図1は、本発明の第1実施形態に係る金融商品取引システム1の全体的な概要の構成を示す。金融商品取引システム1は、オンラインによる株式取引サービスを、投資家であるユーザ(U1、U2、U3等)に提供するものであり、ユーザ端末(T1、T2、T3等)は、金融商品(本実施形態では株式)の売買に係るユーザ操作の受付が可能な取引画面を提示し、この取引画面での取引操作の内容(取引注文等)を証券会社の証券会社システム2へ送信する。特に本発明は、ユーザが直感的に株式の売買注文を出せるように工夫したユーザインタフェース(取引画面)を、ユーザ端末(T1、T2、T3等)で提示するようにしたことが特徴になっている。
本実施形態の金融商品取引システム1は、上述したユーザインタフェースをユーザ端末(T1、T2、T3等)で提示するためのアプリケーションプログラム(アプリ。一種のコンピュータプログラム)を証券会社がユーザに提供しており、このようなアプリケーションプログラムをネットワーク経由で、証券会社による証券会社システム2からユーザ端末にダウンロードできるようにしている。また、証券会社システム2は、ユーザ端末(T1、T2、T3等)からの取引注文(売り又は買いの注文)を受け付けて、その注文に応じた売買処理を相対取引(市場を介さずに売買当事者間で売買方法、取引価格、取引量を決定して売買する取引)により行う。なお、証券会社システム2は、サーバ装置等でシステムが構成されている。
ユーザ(U1、U2、U3等)は、オンライン株式取引サービスを利用するため、事前に各種ユーザ情報(ユーザの氏名、電話番号、メールアドレス等)を提出して証券会社のオンライン株式取引サービスに登録しており、登録が完了すると、各ユーザにユーザIDが付与される。また、オンライン株式取引サービスに登録の際、ユーザは、オンライン株式取引に係る口座を証券会社等に開設すると共に、その口座に現金を入れる手続を行ってから、取引を行うことになる。
ユーザが使用するユーザ端末T1、T2、T3等は通信端末装置に相当し、具体的には、通信機能を具備するパーソナルコンピュータ(据え置き型又は携帯型のパーソナルコンピュータ)、携帯型ユーザ端末(タブレット、スマートフォン、通信機能付きPDA、携帯電話等)などの通信機能を具備した一種のコンピュータ的な装置をユーザ端末として適用できる。
また、本実施形態の金融商品取引システム1は、情報収集システム3及び取引所システム4も備えている。情報収集システム3は、スクレイピングサーバ3a等を含み、このスクレイピングサーバ等の処理により、取引対象となる株式の銘柄の法人等に関する投資家向け情報等を、ユーザ(U1、U2、U3等)からの要求に応じて提供できるようにしている。また、取引所システム4は、株式の市場取引を行うものであり、各銘柄の取引に係る各種情報(各銘柄の株式単価、単価の変動状況等)を証券会社システム2等へ提供している。以下、本発明について詳説していく。
図2は、ユーザ端末(T1、T2、T3等)の一例であるスマートフォン10(通信端末装置)の主要な内部構成を示している。スマートフォン10は、プログラムに従って各種処理を行う一種のコンピュータ(通信手段及び記憶手段を具備したコンピュータ)に該当する。スマートフォン10は、全体的な制御及び各種処理を行うCPU10a(プロセッサ10a)に、内部接続線10kを介して、通信・通話モジュール10b(通信手段に相当)、RAM10c、ROM10d、入出力インタフェース10e、記憶部(記憶手段に相当)10g、センサ10i等の各種デバイス等を接続したものになっており、また、ユーザが操作可能な操作部10hも内部接続線10kに繋がっている。
スマートフォン10の通信・通話モジュール10bは、ネットワークを介した無線通信処理に加えて、CPU10aの制御に従って所定の電話番号へ電話をかける機能(発呼機能)及び電話を受ける機能(着呼機能)等を有する。RAM10cは、CPU10aの処理に伴う内容、ファイル等を一時的に記憶するものである。ROM10dは、CPU10aの基本的な処理内容を規定したプログラム等を記憶すると共に、スマートフォン10を識別する識別情報(UID)等も格納している。なお、このUIDは、上述した通信・通話モジュール10bで通信(送信)する際、送信内容に含まれるようになっている(例えば、送信パケットのヘッダ等にUIDを含めて送信が行われる)。
入出力インタフェース10eは、タッチパネル機能を具備した長方形のパネル画面を有するディスプレイ10fと接続されており、CPU10aの制御処理により生成された各種画面(図3〜14等に示す画面参照)をディスプレイ10fに出力する処理を行い、それにより、出力した画面内容がディスプレイ10fに表示されることになる。また、入出力インタフェース10kは、ディスプレイ10fの表面をユーザがタッチすることで受け付けた操作内容をCPU10aへ送る処理も行う。
なお、ユーザがディスプレイ10fの表面をタッチすることで受け付ける操作内容は、表示している画面内容に応じて適宜、変化し、例えば、スマートフォン10の基本画面となるホーム画面11(図3参照)がディスプレイ10fに表示されていた場合で、ホーム画面11に含まれる各種アイコン11a、11b、11c等の配置箇所に応じた表面がユーザによりタッチされると、タッチされた箇所に位置するアイコン(例えば、アイコン11a)をユーザが選択したこと(アイコン11aのユーザ選択操作)を、ディスプレイ10fのタッチパネル機能を介して入出力インタフェース10gは受け付けて、入出力インタフェース10gはアイコン11aの選択操作をCPU10aへ伝達する。
操作部10hは、スマートフォン10の筐体に設けられたハードボタンであり、操作部10hが操作されると、操作部10hがユーザにより操作されたことがCPU10gに伝えられる。操作部10hの操作による意味合いは、スマートフォン10の処理状況により様々なものになり、例えば、アプリを起動している状況で、操作部10hが操作されると、アプリを終了する動作が行われるので、この場合、操作部10hの操作は、アプリの終了指示をユーザから受け付けることになる。本発明の場合、後述するように、オンライン株式取引サービス用の株式取引アプリP2(記憶部10gにダウンロードされてインストールされているもの)を用いるので、株式取引アプリP2を起動している状態で、操作部10hが操作されると、株式取引アプリP2の終了指示をスマートフォン10が受け付けたことになり、株式取引アプリP2のログオフ指示が、証券会社システム2へ送信されることになる。
センサ10iは、スマートフォン10の本体の向きを検知するものであり(ディスプレイ10fのパネル画面が縦向きか、又は横向きかを検知)、検知した向きをCPU10aへ伝達する。なお、センサ10iの具体的な仕様としては傾きセンサ(加速度センサ)が用いられる。
記憶部10gは、OSプログラムP1、株式取引アプリP2、及びその他の各種アプリ等のプログラムを記憶(インストール)すると共に、各種データも記憶する。OSプログラムP1は、オペレーティングシステムに相当する基本プログラムであり、スマートフォン10が一種のコンピュータとして機能するためのCPU10aの処理を規定している。OSプログラムP1が規定する基本的な処理の一つとしては、スマートフォン10が使用できる状態になったときに、最初にディスプレイ10fにホーム画面11(図3参照)を表示することが挙げられ、このホーム画面11においては、記憶部10gにインストールされている各種アプリに応じたアイコン11a、11b、11c等を配置することも、OSプログラムP1の規定する処理によるものとなっている。
記憶部10gに記憶される株式取引アプリP2は、証券会社システム2が提供するオンライン株式取引サービス用のアプリケーションプログラム(コンピュータプログラム)であり、株式銘柄取引用の各種画面(図4〜14等参照)をユーザ端末に表示させて、その画面におけるユーザ操作の内容(売買注文等)を証券会社システム2へ送信する処理等に応じた各種制御をCPU10aが行うことを規定したものになっており、このような規定内容により、CPU10aは取引画面等の各種画面の生成手段、表示手段等として機能するようになる。株式取引アプリP2は、処理を規定したプログラムコードに加えて、各種画面に応じた画面データも含む。なお、株式取引アプリP2は各種記憶媒体(USBメモリ、メモリカード等)を介して記憶部10gへインストールすることも可能である。
図3に示すように、株式取引アプリP2は記憶部10gにインストールされると、OSプログラムP1に基づくホーム画面11の中に、株式取引アプリP2を起動させるための株取引アイコン12が選択可能に配置される。
図4は、ホーム画面11で株取引アイコン12をユーザが選択する操作を受け付けた場合に、ディスプレイ10fに表示されるログイン画面15を示している。株式取引アプリP2は、株取引アイコン12の選択の際に、ユーザが株式取引サービスへログイン中でないときに、このログイン画面15の表示処理をCPU10aが行うことを規定する。
ログイン画面15は、ログイン画面用の画面データに基づき生成されるものであり、メールアドレス入力欄15a、パスワード入力欄15b、及び選択可能なログインボタン15cを配置している。このように配置された各部に応じたパーツのデータも、株式取引アプリP2はログイン画面用の画面データとして含んでいる。ログイン画面15を表示した状態で、上述したOSプログラムP1が規定する処理に応じた機能により、ディスプレイ10fにソフトキーボード16を表示し、このソフトキーボード16に含まれる各キーをユーザが操作することで、各入力欄15a、15bに所定の内容を入力していくことになる。なお、入力するメールアドレス及びパスワードは、株式取引サービスへのユーザ登録時に、ユーザごとに定められたものである。
そして、各入力欄15a、15bへ所定の内容が入力された状態で、ログインボタン15cのユーザ選択操作をスマートフォン10が受け付けると、入力された内容(ログイン情報)が、証券会社システム2へ向けて送信されるように作り込みされており、このような作り込みの内容等を規定したデータ(スクリプト系言語等で記載されたデータ)も、ログイン画面用の画面データに含まれる(このような選択ボタンに関する内容は、他の画面データでも同様である)。
なお、ログイン操作に伴うログイン情報を送信して、証券会社システム2で登録ユーザの確認が取れると、ログイン処理が完了した旨の通知(ログイン完了通知)がログイン情報の送信元の通信端末装置(スマートフォン10)へ送信されることになる。
図5は、株式取引アプリP2のトップページ画面18(アイコン画面に相当)を示しており、ログイン画面15でログイン処理が完了した旨の通知をスマートフォン10が受信したときに、ディスプレイ10fに表示されるものである。トップページ画面18は、A社〜F社に応じた銘柄の取引処理を起動させるためのA社〜F社株式取引アイコン18a〜18fを同一画面内に配置したものになっている。なお、証券会社システム2から送信されるログイン完了に伴う通知には、ログイン時における所定の銘柄の株価に関する情報、及びログイン処理を行ったユーザの今までの取引履歴情報等の各種情報が付帯しており、通知と共に受信した各種情報はRAM10cに一時的に記憶されるようになっている。
本実施形態ではユーザが銘柄選択に煩わされないように、株式取引サービスを提供する証券会社側で予め取引対象として6社(A社〜F社)の銘柄を抽出しており、これら抽出された銘柄の中からユーザは、取引対象を選択することになる。このような取引対象としては、幅広い人の取引対象になり得る可能性を高めるために、著名な企業の銘柄を選ぶことが好適であり、また、このような取引対象は日本国の企業から選択すること、又は、ある海外の国の著名企業を選択して、その国用の取引サービスを提供する仕様にしてもよい(例えば、米国市場上場の非常に著名な企業から銘柄対象を選択すること等が考えられる)。なお、証券会社側が選択する企業数(銘柄数)は、6社に限定されるものではなく、6社から適宜増減可能であるが、株式取引業界における協会自主規制ルールにおける特定銘柄の推奨に該当しないように、少なくとも5銘柄以上のアイコンを配置することが好ましい。
また、トップページ画面18は、各アイコン18a〜18fを配置した画面箇所の最下方にメニューバー20を配置しており、メニューバー20は選択可能な複数のメニューボタン20a〜20d等を含んでいる(メニューバー20の配置は各画面に共通)。第1のメニューボタン20aはポートフォリオボタンであり、ユーザが保有する株式に応じた保有量及び株式取引用の口座に入っている金額を図形的に表すポートフォリオ画面(図10等参照)を表示するためのボタンである。この第1のメニューボタン20aがユーザ操作により選択されると、ポートフォリオ画面の表示に必要なログイン中のユーザに関するポートフォリオ情報(各株式の保有量及び口座の金額等を示す情報)を要求するポートフォリオ情報要求を証券会社システム2へ送信する処理を行うことも株式取引アプリP2は規定している。
第2のメニューボタン20bは、お知らせボタンであり、証券会社側がユーザへ伝える事項を提示するお知らせ画面を表示するためのボタンである。この第2のメニューボタン20bがユーザ操作により選択されると、お知らせ画面の表示に必要なお知らせ情報を要求するお知らせ要求を証券会社システム2へ送信する処理を行うことも株式取引アプリP2は規定している。また、第3のメニューボタン20cは、履歴ボタンであり、ユーザの今までの取引履歴を示す履歴画面を表示するためのボタンである。この第3のメニューボタン20cがユーザ操作により選択されるとRAM10cに記憶されている取引履歴情報を読み出してディスプレイ10fに表示する処理を行うことも株式取引アプリP2は規定している。
さらに、第4のメニューボタン20dは、各種設定等を行うためのメニュー画面を表示するためのボタンであり、この第4のメニューボタン20dがユーザ操作により選択されると、各種メニュー項目を含むメニュー画面の表示処理を行うことを株式取引アプリP2は規定している。
図6は、A社(一つの特定銘柄に相当)に応じた特定銘柄取引画面45の買付取引状態を示しており、図5のトップページ画面18に含まれる複数の取引アイコン18a〜18fの中から、A社株式取引アイコン18aの選択を受け付けたことに伴って、株式取引アプリP2の規定に基づくCPU10aの制御処理により、ディスプレイ10fに表示されるものである。図6に示す特定銘柄取引画面45は、A社の株式取引専用の取引画面であり、A社株式取引アイコン18a以外のB社〜F社株式取引アイコン18b〜18fが選択された場合に表示されるB社〜F社株式専用用の取引画面とも基本的な構成は同等であり、会社を示すテキストの部分(画面タイトル46i等)が異なるだけとなっている。なお、本実施形態の特定銘柄取引画面は、金額単位による株式取引用の仕様になっている。
図6の特定銘柄取引画面45は、画面上側を第1共通部46にすると共に、画面中央下部付近を買付取引状態専用の買い取引部48にしており、画面下方を第2共通部47にしている。なお、特定銘柄取引画面45も画面最下方に上述したメニューバー20を配置している。図6及び図7に示すように、特定銘柄取引画面45は図6に示す買付取引状態と、図7に示す売り取引用の売却取引状態とに切り替わるようになっており、第1共通部46及び第2共通部47は、画面状態が切り替わっても、切り替わらずに共通して同様の構成になっている部分であり、一方、画面中央下部付近は、画面状態の切り替わりに応じて構成が切り替わる部分になっている。
第1共通部46は、画面左上隅に戻りボタン46gを配置すると共に画面右上隅に案内ボタン46hを配置している。戻りボタン46gは、図5のトップページ画面18へ戻るための選択可能なボタンであり、他の銘柄の取引に移る場合などに選択されることになる。案内ボタン46hは、取引に関連した情報を表示するための選択可能なボタンであり、選択されると、特定銘柄取引画面45から情報メニュー画面(図示せず)に切り替わり、この情報メニュー画面で表示を所望する項目を選択することになる。情報メニュー画面の項目としては、取引締結前交付書、リスクディスロージャー等があり、取引銘柄が外国の企業のものであれば、外国証券内容等も項目に含ませることになる。また、情報メニュー画面の項目には、ユーザの今までの取引履歴も含ませてもよく、取引履歴の項目が選択されると、表示中の特定銘柄取引画面45の特定銘柄に関するユーザ履歴の要求を証券会社システム2へ送信し、その要求の送信に応じて受信した取引履歴を表示する。
また、戻りボタン46g及び案内ボタン46hの間には、「A社株式売買アプリ」というA社用の画面タイトル46iを配置している。なお、画面タイトル46iは、特定銘柄取引画面45がB社用のものであれば(図5のトップページ画面18でB社取引アイコン21bが選択された場合)、「B社株式売買アプリ」という表記になり、C社用のものであれば(トップページ画面18でC社取引アイコン21cが選択された場合)、「C社株式売買アプリ」という表記になる(他のD〜F社も同様)。
また、特定銘柄取引画面45は、第1共通部46における画面タイトル46iの下方に、選択操作の受付可能な買い取引ボタン46a及び売り取引ボタン46bを配置している。これらボタン46a、46bは、いずれか一方が選択可能な状態(アクティブ状態)になっており、選択可能な方を操作することで、買付取引状態と売却取引状態を適宜切り替えられるようになっている。すなわち、買付取引状態では、売り取引ボタン46bだけが選択できる状態となり(アクティブ状態)、一方、売却取引状態では買い取引ボタン46aだけが選択できる状態となり、アクティブ状態のボタン46a又は46bの選択操作を行うことで、買付/売却取引状態を切り替える。
なお、買付取引状態の特定銘柄取引画面45でも、売り取引ボタン46bが選択できない状態になっていることもあり、ログイン完了の通知に伴って送られてきた情報(RAM10cに一時的に記憶されている情報)の中に、ログイン中のユーザがA社の株式を保有している情報が含まれるか否かをCPU10aが検知し、A社の株式を保有する旨の情報が検知できないときは、売り取引ボタン46bを選択できない状態にして、買付取引状態の特定銘柄取引画面45を表示することになる。この場合、ログイン中のユーザは、A社の株式については買い取引だけが行えることになる。なお、特定銘柄取引画面45は、ディスプレイ10fに表示された直後では図6に示す買付取引状態になっている。
さらに、特定銘柄取引画面45は、第1共通部46における買い/売り取引ボタン46a、46bの下方に銘柄欄46cを配置している。銘柄欄46cは、図6の特定銘柄取引画面45がA社用のものであれば、A社の社名が配置され、B社用のものであれば、B社の社名が配置される(他のC〜F社も同様)。銘柄欄46cの中には、選択可能な銘柄ボタン46d(会社情報ボタン)が配置されており、この銘柄ボタン46dがユーザの選択操作を受け付けると、図1に示す情報収集システム3へアクセスして、A社に関する情報の取得要求を送信するようになっている。そして、取得要求の送信に応じて、情報収集システム3のスクレイピングサーバ3aから、A社に関する情報(IR情報等)をスマートフォン10が受信すると、その受信した情報をディスプレイ10fに表示することも株式取引アプリP2は規定する。なお、このような受信情報は、別ウインドウ又はポップアップ的に特定銘柄取引画面45に重ねて表示すること、若しくは特定銘柄取引画面45と切り替えた画面で表示することが可能である。
そして、特定銘柄取引画面45は、銘柄欄46cの下方に金額設定欄46eを配置している。金額設定欄46eは、買い取引を行う際の金額を設定するものであり、本実施形態では日本円で4桁目以下を全て0にした金額単位(万円単位)で金額を設定する仕様になっており、金額設定欄46eに応じたディスプレイ10fの表面を触ることで、スロットマシン状に万円単位の金額表示が回転する仕様になっており(スマートフォン等で用いられる場合は「ピッカー」と称される仕様)、金額設定欄46eに設けられた金額枠46fに収まった金額表示が設定金額になる。したがって、ユーザは金額設定欄46eをスロットマシン状に回転させるようにディスプレイ10fの表面を触る操作(ディスプレイ表面を指で上向きになぞるような操作、又は下向きになぞるような操作)を行うことで簡単に金額設定(金額指定)を行うことができ、特に、金額も万円単位にしたので、回転させる量が少なくても幅広い範囲の金額を迅速に設定できるようにしている。
また、特定銘柄取引画面45は、上述した第1共通部46の下方の買い取引部48を配置しており、この買い取引部48は、買付ボタン48a及び金額確認欄48bを含んでいる。買付ボタン48aは、A社株式の買付注文のユーザ操作を受け付けるボタン(買い操作部に相当)であり、この買付ボタン48aでユーザ操作を受け付けると、A社の株式を金額設定欄46eで設定された金額分だけ買付注文(買い注文)の操作をCPU10aが受け付けたことになる。
金額確認欄48bは、上述した金額設定欄46eの金額枠46fに収まった額と同期した金額をCPU10aの制御処理により自動的に表示するようにしたものであり、この金額確認欄48bに示されるテキスト(例「5万円投資する!」)を確認することで、買い取引の金額をユーザが確実に把握できるようにしている。
さらに、特定銘柄取引画面45は、上述した買い取引部48の下方に第2共通部47を配置しており、この第2共通部47は、平均買い単価欄47a、現在株価欄47b、投資総額欄47c、及び現在評価額欄47dを含んでいる。
平均買い単価欄47aは、ログイン時点におけるA社株式に対する今までのユーザの平均買い単価の額を示しており、この額は、上述したログイン画面15でのログイン操作によるログイン完了に伴って証券会社システム2からスマートフォン10へ送信される情報に含まれる中から抽出されたものである。すなわち、RAM10cに一時的に記憶された各種情報の中から、A社株式取引アイコン18aの選択に応じて、A社株式の平均買い単価の額がCPU10aにより抽出されて平均買い単価欄47aの中に配置されるようになっている。
現在株価欄47bは、ログイン時点におけるA社株式の直近の株価(最新の株価)の額を示す欄であり、この額も、上述したA社株式の平均買い単価の額と同様に、RAM10cに記憶された各種情報の中から、CPU10aにより抽出されて現在株価欄47bの中に配置される。
投資総額欄47cは、ログイン中のユーザがログイン時点までに、A社株式の株式に対して投資した総額(今までA社の株式を購入するにあたり支払った総額)を示す欄であり、この額も、上述したA社株式の平均買い単価の額と同様に、RAM10cに記憶された各種情報の中から、CPU10aにより抽出されて投資総額欄47cの中に配置される。現在評価額欄47dは、ログイン中のユーザがログイン時点までに買ったA社株式の株式に対する評価額(今までに購入したA社の全株式に対し、ログイン時における株価に基づき算出される最新の評価額)を示す欄であり、この額も、上述したA社株式の平均買い単価の額と同様に、RAM10cに記憶された各種情報の中から、CPU10aにより抽出されて現在評価額欄47dの中に配置される。
このように第2共通部47では、各欄47a〜47dにおいて各種数値を提示するので、これらの提示内容を、買い注文を出すか否かを判断する指標にユーザが用いることができ、しかも、買い注文を行う操作画面と同一の画面内に情報の提示を行うことで、買い注文の適否を判断するにあたり画面の切替等が不要となり、迅速な買い注文を行うことに貢献できる。
図7は、売却取引状態の特定銘柄取引画面45を示しており、図6に示す買付取引状態で第1共通部46における売り取引ボタン46bがユーザの選択操作を受け付けることで、図6に示す画面状態から切り替わったものである。図7の売却取引状態の特定銘柄取引画面45は、第1共通部46及び第2共通部47は図6と基本的に同等であるが、買い取引ボタン46aが選択可能な状態になっている点が図6と異なる。
また、第1共通部46と第2共通部47の間に配置される売り取引部49は、売却取引専用の構成になっており、図7中、左から右方へ金額指定売りボタン49a(金額分売却操作部に相当)、全額売りボタン49b(全部売却操作部に相当)、及び利益売りボタン49c(利益売却操作部に相当)をユーザの選択操作を受け付け可能に配置している。また、金額指定売りボタン49aの下方には金額確認欄49dを配置している。
金額指定売りボタン49aは、上述した図6に示す買付ボタン48aの場合と同様に、第1共通部46の金額設定欄46eで設定された金額分の売却注文(図7では、A社株式の売り注文)の操作をCPU10aが受け付けるためのものである。金額確認欄49dは、上述した図6に示す金額確認欄48bと同様のものであり、第1共通部46の金額設定欄46eの設定金額と同期した金額表示をCPU10aの制御処理により自動的に表示する。それにより、ユーザは自己の設定した金額を確認した上で、希望金額の売り注文を確実に出せるようにしている。
全額売りボタン49bは、ログイン中のユーザが保有する特定銘柄の株式の全部の売り注文を出すためのものであり、全額売りボタン49bでユーザ操作を受け付けると、ログイン中のユーザの保有株式の全部(図7では、A社株式の全部)の売り注文の操作をCPU10aが受け付けることになる。
利益売りボタン49cは、保有株式(表示中の特定銘柄取引画面45に応じた一つの特定銘柄)に係る利益分の売り注文を出すためのものであり、利益売りボタン49cでユーザ操作を受け付けると、その操作を受け付けた時点でのログイン中のユーザの保有株式(図7では、A社株式。一つの特定銘柄の金融商品に相当)に係る利益分の売り注文の操作をCPU10aが受け付けることになる。
また、図7に示す売却取引状態の特定銘柄取引画面45においても、上述した第2共通部47の各欄47a〜47dで各種数値を提示するので、これらの提示内容を、売り注文を出すか否か、又は売り注文を出すときでも上述した3パターンのいずれの売り注文を出すかを判断する指標に用いることができ、しかも、これらの指標を売り注文の操作画面と同一の画面内に提示するので、売り注文に係る各種判断を行うにあたり画面の切替等が不要となり、迅速な売り注文の指示を3パターンの中からワンタッチ操作で行える。
図8(a)は買付確認画面25を示しており、図6に示す買付取引状態の特定銘柄取引画面45で買付ボタン48aのユーザ選択操作が行われた場合に、株式取引アプリP2の規定に従って、スマートフォン10のCPU10aがディスプレイ10fに表示する画面内容である。買付確認画面25は、図6の買付取引状態の特定銘柄取引画面45が、ユーザにより買付ボタン48aが操作されたときに示していた買付取引内容(例えば、A社の株式を5万円分買う)を最終的にユーザに確認するものであり、ユーザに確認させる内容を記した確認テキスト部25c、選択操作の可能なOKボタン25a、及び戻るボタン25bを含んでいる。
買付確認画面25の中の確認テキスト部25cは、「○株式を、¥○円買うでよろしいですか?」という定型テキストに図6の買付ボタン48aが選択されたときの特定銘柄取引画面45の対象となる銘柄名(例えばA社)及び設定された買付金額(例えば5万円)が、上記の定型テキストの中の「○」箇所に挿入されることで生成されており、上記の定型テキストは株式取引アプリP2に付帯しており、この株式取引アプリP2が規定する処理に従ってCPU10aが確認テキスト部25cを生成することになる。
そして、買付確認画面25の中のOKボタン25aが、ユーザ操作により選択されると、株式取引アプリP2が規定する処理に従って、確認テキスト部25cが示す内容の買付注文をCPU10aは証券会社システム2へ送信する処理を行うことになる。送信される買付注文には、取引対象の一つの銘柄を表す銘柄情報(銘柄ID)及び設定された金額を表す金額情報が含まれる。また、買付確認画面25の中の戻るボタン25bが、ユーザ操作により選択されると、株式取引アプリP2が規定する処理に従って、ディスプレイ10fの内容を、図6の売却取引状態の特定銘柄画面45に戻すように表示切替の処理をCPU10aは行うことになる。
図9(a)は買付完了画面27を示しており、図8(a)の買付確認画面25のOKボタン25aがユーザ操作により選択されたときに表示される。すなわち、OKボタン25aの選択操作に伴う買付注文の証券会社システム2への送信に応じて、証券会社システム2から送られてくる買付完了通知を受信したことに伴い、株式取引アプリP2が規定する処理により、CPU10aが買付完了画面27をディスプレイ10fに表示する処理を行うことになる。
買付完了画面27は、買付注文完了テキスト部27a、確認ボタン27b、及びポートフォリオボタン27cを含んでいる。買付注文完了テキスト部27aは、ユーザの出した買付注文に対する買付処理が無事完了したことをユーザに伝えるメッセージとなっている。確認ボタン27bは、ユーザにより選択される操作が行われると、別銘柄の取引を行えるようにするため、図5に示すトップページ画面18の表示に切り替える制御をCPU10aが行うことを株式取引アプリP2は規定している。また、ポートフォリオボタン27cがユーザにより選択される操作が行われると、取引完了により変化したユーザの保有株式に関するポートフォリオの状態を確認できるようにするため、後述する図10のポートフォリオ画面21の表示に切り替える制御をCPU10aが行うことを株式取引アプリP2は規定している。
一方、図8(b)は売却確認画面26を示しており、図7に示す売却取引状態の特定銘柄取引画面45で、金額指定売りボタン49a、全額売りボタン49b、又は利益売りボタン49cのいずれかのユーザ選択操作が行われた場合に、株式取引アプリP2の規定に従って、スマートフォン10のCPU10aがディスプレイ10fに表示する画面内容である。図8(b)に示す売却確認画面26は、図7の特定銘柄取引画面45で金額指定売りボタン49aが操作されたときの内容に応じた確認テキスト部26cを示しているが(A社の株式を5万円分売る内容)、全額売りボタン49bが操作されたときの確認テキスト部26cの内容はA社の保有株式の全部を売ることを記し、利益売りボタン49cが操作されたときの確認テキスト部26cの内容はA社の株式についての現時点の利益分を売ることを記した内容になる。
また、売却確認画面26は、図8(a)の買付確認画面25と同様に、OKボタン26a及び戻るボタン26bを有している。OKボタン26aが、ユーザ操作により選択されると、株式取引アプリP2が規定する処理に従って、確認テキスト部25cが示す内容の売却注文をCPU10aは証券会社システム2へ送信する処理を行うことになる。
なお、金額指定売りの場合で金額証券会社システム2へ送信される金額指定売り注文には、取引対象の一つの特定銘柄(例えば、A社)を表す銘柄情報(銘柄ID)及び設定された金額を表す金額情報等が含まれる。また、全部売りの場合で送信される全部売り注文には、取引対象の一つの特定銘柄を表す銘柄情報(銘柄ID)及び全額売る旨の指示情報等が含まれる。さらに、利益分売りの場合で送信される利益分売り注文には、取引対象の一つの特定銘柄を表す銘柄情報(銘柄ID)と利益分を売る旨の指示情報等が含まれる。なお、売却確認画面26において、戻るボタン26bが、ユーザ操作により選択されると、ディスプレイ10fの内容が図7の売り取引状態の特定銘柄画面45に戻る。
図9(b)は売却完了画面28を示しており、図8(b)の売却確認画面26のOKボタン26aがユーザ操作により選択されたときに表示されるものであり、図9(a)の買付完了画面27に対応する画面である。この売却完了画面28も、上述した買付完了画面27と同様に、OKボタン25aの選択操作に伴う売却注文(売り注文)の証券会社システム2への送信に応じて、証券会社システム2から送られてくる売却完了通知を受信したことに伴い、ディスプレイ10fに表示される。
売却完了画面28は、売却注文完了テキスト部28a、確認ボタン28b、及びポートフォリオボタン28cを含んでいる。売却注文完了テキスト部28aは、ユーザの出した売却注文に対する売却処理が無事完了したことをユーザに伝えるメッセージとなっており、確認ボタン28b及びポートフォリオボタン28cは、上述した図9(a)の買付完了画面27の確認ボタン27b及びポートフォリオボタン27cと同じ意味合いになっている。次に、本発明の特徴であるポートフォリオ画面21について説明していく。
図10はポートフォリオ画面21の一例を示し、各画面の最下方に配置されたメニューバー20における第1のメニューボタン20a(ポートフォリオボタン)、又は図9(a)(b)のポートフォリオボタン27c、28cのいずれかがユーザにより選択操作されたことに伴ってディスプレイ10fに表示される。ポートフォリオ画面21は、画面上方部21aにポートフォリオグラフ30を有し、画面下方部21bにポートフォリオ明細情報22を有し、画面の最下方に他の画面と同様に、メニューバー20を配置した構成になっている。ポートフォリオ画面21は、ポートフォリオグラフ30で、ユーザが保有する株式等に関するポートフォリオを図形的に示すと共に、ユーザが保有する株式の売買操作も直感的なユーザインタフェースで行えるようにしている。
メニューバー20の第1のメニューボタン20a、又はポートフォリオボタン27c、28cのいずれかが選択されることでユーザ端末から証券会社システム2へポートフォリオ情報要求を送信する。このポートフォリオ情報要求の送信に応じて、証券会社システム2から送られてきたポートフォリオ情報(銘柄保有情報及び口座現金情報等を有する情報)を用いて、株式取引アプリP2の規定に基づきポートフォリオグラフ30及びポートフォリオ明細情報22を含む構成のポートフォリオ画面21がCPU10aにより生成されて、ディスプレイ10fに表示されることになる。
図10に示すポートフォリオ画面21は一例であり、ログイン中のユーザが、総資産額として100万円、A社の株式を25万円分(A社株式の直近の評価額)、B社の株式を20万円分、C社の株式を15万円分、D社の株式を10万円分、E社の株式を5万円分有すると共に、ユーザの口座に25万円の現金が有ることを示すポートフォリオ情報を受信した場合に表示される内容になっている。このような内容のポートフォリオ情報を受信すると、各銘柄の株式の評価額の総資産額に対する割合(パーセント)をCPU10aが算出し、その算出した情報等に基づきポートフォリオグラフ30をCPU10aが生成する制御を行うことを株式取引アプリP2は規定する。
ポートフォリオ画面21のポートフォリオグラフ30は円グラフで図形的にログイン中のユーザのポートフォリオを示しており、扇形状のA社株図形部31、B社株図形部32、C社株図形部33、D社株図形部34、E社株図形部35、及び現金図形部36を有する(A〜E社株図形部31〜35は銘柄図形部に相当)。A社株図形部31〜E社株図形部35は、各銘柄についての保有量(各銘柄の評価金額)に応じた円周方向における円周範囲の寸法(円弧寸法)を有することで、銘柄の各保有量を図形的に表したものになっており、また、現金図形部36も口座に入っている現金の額に応じた円周方向の寸法(円弧寸法)を有することで、口座の現金の額を図形的に表したものになっている。
なお、図10等のポートフォリオ画面21では、A社〜E社株式に関するポートフォリオグラフ30を含んでいるが、ポートフォリオグラフ30に含まれる銘柄の種類は、ログイン中のユーザが保有する株式銘柄に依存し、ユーザが保有する銘柄の種類によって、ポートフォリオグラフ30に含まれる株式銘柄は適宜、変わることになる。そのため、例えば、ログイン中のユーザがA社、B社、C社の計3社の株式のみを有する場合、その場合のポートフォリオグラフはA社株図形部、B社株図形部、C社株図形部、及び現金図形部で構成されることになる。また、図10のポートフォリオグラフ30は、中央部分30aをドーナツ状に空けて、その空間に、オンライン株式取引サービスのユーザの総資産額(図10では100万円)を示している。
ポートフォリオグラフ30におけるA社株図形部31は、ユーザのA社保有株式評価額が総資産額100万円の内の25万円分となる4分の1を占めることから、円グラフの円周寸法の4分の1の範囲(円弧範囲)を確保した扇形状になっており、その4分の1の範囲の両端31c、31dに円グラフの中心へ向かう境界線を示している。A社株図形部31における反時計回転方向側の一端31cの境界線は固定になっており、一方、時計回転方向側の他端31dのA社株境界線31aは保有量インジケータとして、A社株式の保有量(総資産額の25%)を特定する図形箇所に配置されており、それにより、A社の保有株式が総資産額の25%であることを直感的に把握できるようにしている。
また、B社株図形部32〜E社株図形部35も、上述したA社株図形部31と同様に、B〜E社株式のユーザ保有量に応じた範囲(円弧範囲)を確保した扇形状になっており、時計回転方向側の端部のB社株境界線32a〜E社株境界線35aが保有量インジケータとして、各社株式のそれぞれ保有量(総資産額の20、15、10、5%のいずれか)を特定する図形箇所に配置されている。さらに、各社株境界線31a〜35aは各株式銘柄の売買注文のために、ユーザにより選択可能になっていると共に、選択状態になるとユーザ操作により時計回転方向又は反時計回転方向へ移動できるようにして、その移動操作によって、株式の売買注文も直感的に出せるようにしたことも本発明の特徴になっている。各社株境界線31a〜35aの選択及び移動の詳細については、図11〜13に基づき後述する。
なお、A社株図形部31〜E社株図形部35は、その内部領域31b〜35bに銘柄及び総資産額に対する銘柄保有量に基づく資産額のパーセンテージを示すテキスト(例えば、A社株図形部31では「A社 25%」)を配置して、各銘柄による具体的な数値もポートフォリオグラフ30で確認できるようにしている。各社株図形部31〜35の内部領域31b〜35bは後述するように、ユーザ操作により選択可能になっている。
また、現金図形部36も基本的に、上述したA社株図形部31〜E社株図形部35と同様に、総額に対する口座入金額の割合に応じた円周範囲を確保した扇形状になっており、この扇形状の内部領域36bには、口座に入っている現金の額の総資産に対するパーセンテージを示すテキスト(図10では、「現金 25%」)が記される。また、現金図形部36は、時計回転方向側の端部の境界線を固定にする一方、反時計回転方向側の端部に位置する現金境界線36aを移動可能な現金インジケータとして機能させており、図10に示す場合では、口座に入っている金額(現金)は25万円であることから、総資産額(100万円)の4分の1となる円グラフの円周範囲の箇所(100万円の内、25万円を特定する箇所)に現金境界線36aを配置している。なお、図10に示す場合では、E社株図形部35のE社株境界線35aと、現金図形部36の現金境界線36aは一致している。
この現金境界線36aは、後述するポートフォリオグラフ30でのA社株〜E社株の売買操作に連動して、時計回転方向又は反時計回転方向に移動するようになっている。すなわち、A社株〜E社株の売却操作が行われると、現金境界線36aは反時計回転方向へ売却金額に応じた円周範囲の分だけ回転し、一方、A社株〜E社株の買付操作が行われると、時計回転方向へ買付金額に応じた円周範囲の分だけ回転する。
例えば、A社の株式を5万円分、売却する操作が行われると、その売却に伴う金額はユーザ口座へ入金されるので、ユーザ口座の現金が5万円分増額することを示すように、現金境界線36aは5万円分に応じた総円周範囲の20分の1だけ反時計回転方向へ移動する。また、A社の株式を5万円分、買付する操作が行われると、その買付資金はユーザ口座で賄われるので、ユーザ口座の現金が5万円分減額することを示すように、現金境界線36aは5万円分に応じた総円周範囲の20分の1だけ時計回転方向へ移動することになる。
また、ポートフォリオ画面21における画面下方部21bのポートフォリオ明細情報22は、受信したポートフォリオ情報の内容を示すテキストになっており、ログイン中のユーザが保有する各社銘柄の株式の保有量(直近に取得した評価額)等を提示する内容になっている。図10に示す例のポートフォリオ明細情報22は、「A社:25万0000円」、「B社:20万0000円」、「C社:15万0000円」、「D社:10万0000円」、「E社:5万0000円」、及び「現金:25万0000円」というユーザ保有株式に関するポートフォリオの中身を示しており、画面上方部21aのポートフォリオグラフ30で図形的に示す内容をテキストで詳細に記した内容になっている。
本発明では、このようなポートフォリオ画面21をユーザに提示することで、ユーザは自身の保有株式に関するポートフォリオを、画面上方部21aのポートフォリオグラフ30で概要を素早く把握できると共に、画面下方部21bのポートフォリオ明細情報22で詳細内容を正確に把握できるようにしている。
図11は、図10のポートフォリオ画面21におけるポートフォリオグラフ30のA社株図形部31のA社株境界線31a(保有量インジケータに相当)がユーザ操作により選択された状態を示している。本実施形態におけるA社株境界線31aの選択は、ディスプレイ10fにおけるA社株境界線31aの表示箇所が、ユーザの指先により触れられるというタップ操作が行われると、ディスプレイ10fのタッチパネル機能により、A社株境界線31aは選択された状態になる。なお、A社株境界線31aは選択状態になると、線幅が図10に示す状態より広くなって、選択状態になっていることをユーザが視覚的に認識できるようにしている。
また、A社株境界線31aが選択状態になると、スマートフォン10のCPU10aは、株式取引アプリP2の規定に従って、A社株境界線31aの移動可能な方向(時計回転方向又は反時計回転方向)を示す矢印40a、40bを含む移動マーク40を、A社株図形部31の他端31d付近に表示する。この移動マーク40により、ユーザはA社株境界線31aを移動させられること、及び移動可能な方向を視覚的に認識できる。
図12は、図11に示す選択状態になったA社株図形部31のA社株境界線31aを時計回転方向に回転させるユーザ操作を行った状態(買付操作状態)のポートフォリオ画面21を示す(図中の黒矢印方向への回転)。A社株境界線31aを時計回転方向に回転させると、A社株図形部31の内部領域31bの図形範囲は拡大することになり、内部領域31bの拡大はA社株式の保有株式が増加することを意味するので、このようにA社株境界線31aを時計回転方向に回転させる操作は、A社株式の保有株式を増加させる買付注文の指示操作に本実施形態では該当し、CPU10aは、A社株境界線31aを時計回転方向に回転移動させるユーザ操作を、A社株式の買付操作として受け付ける。
また、買付注文の買付量(取引量)は、A社株境界線31aの移動量(回転量)に対応しており、図12に示す場合では、A社株境界線31aの元の位置(図12中、破線で示す)から、ポートフォリオグラフ30の総円周範囲の20分の1だけA社株境界線31aを移動した状態を示す。図12の場合、総資産額が100万円であることから(図10参照)、CPU10aはA社株境界線31aの移動量(総円周範囲の20分の1)を検知することで、100万円の20分の1である5万円を取引量として特定し、その特定した5万円分の買付注文として、A社株境界線31aの移動操作を受け付ける。
ポートフォリオグラフ30では、このようなA社株式の保有量を5万円分増加させるユーザ買付操作に連動して、現金図形部36の現金境界線36aを時計回転方向へ総円周範囲の20分の1だけ移動することが、CPU10aの制御により自動で行われる。このような現金境界線36aの移動により、口座の現金はA社株式の買付のために5万円だけ減額することを示す。なお、このようなA社株式の買付注文で、他のB社株図形部32〜E社株図形部35における図形範囲は増減しない。
上述したA社株境界線31aの具体的な移動操作としては、ディスプレイ10fにおけるA社株式境界線31aに応じた表示箇所をユーザの指先で触れたまま、移動方向(図12の場合は、黒矢印で示す方向)へ指先をスライドさせるというドラッグ操作により行うことになる(このようなドラッグ操作は、買付操作及び売却操作に当てはまる)。
このような買付操作に係るA社株境界線31aのドラッグ操作の移動量には限度があり、その限度は、現金図形部36で示される口座の現金の額によって決まる。すなわち、口座の現金の額が25万円であれば、A社株境界線31aを時計回転方向へ移動できる上限は、口座の現金の25万円分に相当するポートフォリオグラフ30の円周の4分の1の範囲となる。そのため、ユーザがA社株境界線31aを円周の4分の1の範囲を超えて移動させるようなドラッグ操作を行ったとしても、CPU10aは、円周の4分の1の範囲を超えるドラッグ操作を無視し、口座に入っている直近の現金額を検知することで、A社株境界線31aが最大でも円周の4分の1の範囲を超えて移動しないように制御している。
また、上述したドラッグ操作が行われると、それに連動するようにCPU10aの制御で、ポートフォリオ画面21の画面下方部21bは、ポートフォリオ明細情報22の提示から(図10参照)、売買注文メニュー23の提示へ自動で切り替えられる。売買注文メニュー23は、取引金額表示欄23a、買付ボタン23b、売却ボタン23c、及びキャンセルボタン23dを含んでいる。
取引金額表示欄23aは、上述したユーザのドラッグ操作による移動量(回転量)に応じた取引金額が示される欄であり、CPU10aがドラッグ操作による移動量を検知すると共に、その検知した移動量に応じた金額を、ユーザの総資産額より割り出して(算出して)特定し、その特定した金額を取引金額表示欄23aに配置する。なお、本実施形態の取引は、上述したように万円単位で金額を設定して取引を行う仕様になっているので、ドラッグ操作による金額の算出による特定も万円単位で行っており、算出した移動量に応じた金額を四捨五入することで、CPU10aは万円単位で金額を特定している。取引金額表示欄23aには、ドラッグ操作に同期して取引金額が提示されるので、取引金額表示欄23aに示される金額を見ながら、ドラッグ操作の移動量を調節して、所望の取引額をユーザは指定できるようになる。
買付ボタン23bは、ユーザによるドラッグ操作が買付操作の場合に、ユーザの選択操作を受け付けられる状態となり(アクティブ状態)、ユーザによるドラッグ操作が売却操作の場合、ユーザの選択操作を受け付けられない状態になる(非アクティブ状態。図13参照)。買付ボタン23bのアクティブ状態と非アクティブ状態は、CPU10aがユーザのドラッグ操作が買付注文又は売却注文のいずれの操作指示であるかを検知することで、CPU10aにより切り替えられており、アクティブ状態で選択を受け付けると、その選択を受け付けたときに取引金額表示欄23aで示される取引額の買付注文の操作を受け付けたことになる。
買付ボタン23bの選択操作により、CPU10aは買付注文の指示を受け付けると、図12の買付操作状態のポートフォリオ画面21を、上述した図8(a)に示す買付確認画面25へとディスプレイ10fの表示を切り替える処理を行うことになる。
切り替えられた買付確認画面25には、図12の買付操作状態のポートフォリオ画面21で買付注文の指示が出された内容が、確認テキスト部25cで示された状態になっており、OKボタン25aがユーザ操作により選択されると、上述した場合と同様に、確認テキスト部25cが示す内容の買付注文をCPU10aは証券会社システム2へ送信する。また、OKボタン25aが選択されたことにより、上述した場合と同様に、図9(a)の買付完了画面27がディスプレイ10fに表示されることになる。なお、ポートフォリオ画面21からの遷移で買付確認画面25が表示された場合で、買付確認画面25で戻るボタン25bが選択されたときは、図10の状態のポートフォリオ画面21にディスプレイ10fの表示を切り替える制御をCPU10aが行うことになる。
図12、13に説明を戻し、画面下方部21bの売買注文メニュー23に含まれる売却ボタン23cは、ユーザによるA社株境界線31aのドラッグ操作が売却操作の場合に、ユーザの選択操作を受け付けられる状態となり(アクティブ状態。図13参照)、ユーザによるドラッグ操作が買付操作の場合、ユーザの選択操作を受け付けられない状態になる(非アクティブ状態。図12参照)。売却ボタン23cのアクティブ状態と非アクティブ状態は、上述した買付ボタン23bの場合と同様に、CPU10aがユーザのA社株境界線31aのドラッグ操作が買付注文又は売却注文のいずれの操作指示であるかを検知することで、CPU10aにより切り替えられており、アクティブ状態で選択を受け付けると、その選択を受け付けたときに取引金額表示欄23aで示される取引額の売却注文の指示をCPU10aが受け付けたことになる。
そして、売却ボタン23cの選択操作により、CPU10aは売却注文を受け付けると、図13の売却操作状態のポートフォリオ画面21を、図8(b)に示す売却確認画面26へとディスプレイ10fの表示を切り替える処理を行うことになる。
切り替えられた売却確認画面26には、図13の売却操作状態のポートフォリオ画面21で売却注文の指示が出された内容が、確認テキスト部26cで示された状態になっており、OKボタン26aがユーザ操作により選択されると、上述した場合と同様に、確認テキスト部26cが示す内容の売却注文をCPU10aは証券会社システム2へ送信する。また、OKボタン26aの選択により、上述した場合と同様に、図9(b)の売却完了画面28がディスプレイ10fに表示されることになる。なお、この場合における売却確認画面26で戻るボタン26bが選択されたときも、図10の状態のポートフォリオ画面21にディスプレイ10fの表示が切り替えられることになる。
また、図12、13における売買注文メニュー23に含まれるキャンセルボタン23dは、ユーザのドラッグ操作の回転方向に関係することなく、選択操作が可能なアクティブ状態になっており、キャンセルボタン23dがユーザ操作により選択されると、図10の状態のポートフォリオ画面21にディスプレイ10fの表示を切り替える制御をCPU10aが行うことになる(この切り替えられたポートフォリオ画面21は、A社株境界線31aがドラッグ操作の移動前の位置にリセットされた状態になっている)。
図13では、図11に示す選択状態になったA社株図形部31のA社株境界線31aを反時計回転方向に回転させるユーザ操作を行った状態(売却操作状態)のポートフォリオ画面21を示している(図中の黒矢印方向への回転)。A社株境界線31aを反時計回転方向に回転させると、A社株図形部31の内部領域31bの図形範囲は減少することになり、内部領域31bの減少はA社株式の保有株式が減少することを意味するので、このようにA社株境界線31aを反時計回転方向に回転させる操作は、A社株式の保有株式を減少させる売却注文の指示操作に本実施形態では該当し、CPU10aは、A社株境界線31aを反時計回転方向に回転移動させるユーザ操作を、A社株式の売却操作として受け付ける。
また、売却注文の売却量(保有量)は、上述した買付注文の場合と同様に、A社株境界線31aの移動量(回転量)に対応し、図13に示す場合では、A社株式境界線31aの元の位置から、ポートフォリオグラフ30の総円周範囲の20分の1だけ移動した状態を示し、この場合、CPU10aはA社株境界線31aの移動量を検知することで、総資産額の100万円の20分の1である5万円を特定し、その特定した5万円分の売却注文の操作として、A社株境界線41aの移動操作を受け付ける。
そしてポートフォリオグラフ30では、このようなA社株式の保有量を5万円分減少させるユーザ売却操作に連動して、現金図形部36の現金境界線36aを反時計回転方向へ総円周範囲の20分の1だけ移動することが、CPU10aの制御により自動で行われる。このような現金境界線36aの移動により、口座の現金は5万円だけA社株式の売却により増加することを示す。なお、このようなA社株式の売却注文でも、他のB社株図形部32〜E社株図形部35における図形範囲に増減は生じない。
売却操作に係るA社株境界線31aのドラッグ操作の移動量の限度は、A社株境界線31aが一端31cに到達するまでであり、一端31cを超えて反時計回転方向へA社株境界線31aを移動させるドラッグ操作があっても、CPU10aは、一端31cを超える範囲のドラッグ操作を無視し、A社株境界線31aが最大でも一端31cに一致するまでの移動範囲となるように制御する。なお、A社株境界線31aが一端に一致するように移動操作が行われたときは、A社株式の全部売却の操作指示を行ったことになる。
上記のような売却操作によっても、ポートフォリオ画面21の画面下方部21bには、売買注文メニュー23が自動で提示されるが、図13は売却状態であることから、買付ボタン23bは非アクティブ状態になっており、一方、売却ボタン23cはアクティブ状態となって、ユーザの選択操作を受け付けられるようにしている。なお、上述した説明は、図11〜13の選択状態、買付状態、及び売却状態について、A社株図形部31のA社株境界線31aに対する選択及び移動の操作の場合で行ったが、他のB社株図形部32〜E社株図形部35のB社株境界線32a〜E社株境界線35aに関する選択及び移動の操作についても上記と同様である。
図14(a)は、図10に示すポートフォリオ画面21でA社株図形部31の内部領域31bがユーザにより選択操作が行われた状態を示している。A社株図形部31の内部領域10bの選択操作が行われると、CPU10aはA社株に関する取引履歴の要求を証券会社システム2へ送信すると共に、紹介会社システム2からA社株の取引履歴を示す情報を受信すると、受信した情報に基づき取引履歴一覧24を生成して、画面下方部21bに提示する。なお、このように取引履歴一覧24を表示した状態で、ユーザがスマートフォン10の本体の向きを横向き(横長方向)に向けると、そのような本体の姿勢をセンサ10iが検知し、その検知に基づきCPU10aはディスプレイ10fの全画面にA社株の取引履歴一覧24を提示して、一度に履歴内容の多くの項目を確認できるようにしている(図14(b)参照)。
なお、他のB社株図形部32〜E社株図形部35の内部領域32b〜35bが選択された場合も上記と同様に、選択された銘柄の取引履歴一覧が画面下方部21bに表示されることになる。また、現金図形部36においても、その内部領域36bが選択されると、口座取引一覧が画面下方部21bに表示される。なお、上記の例では、取引履歴要求の送信により取得した取引履歴に関する情報を用いて取引履歴一覧24を生成するようにしたが、ログイン時から時間が経過していない場合、処理の簡略化を図る場合などには、取引履歴要求を送信せずに、ログイン処理時に受信してRAM10cに記憶している取引履歴情報を用いて、取引履歴一覧24を生成することも可能である。
スマートフォン10に関する説明は以上のとおりであるが、ユーザ端末T1、T2、T3等には上述したように、スマートフォン以外のパーソナルコンピュータ、タブレット、通信機能付きPDA、携帯電話等の適用が可能であり、これらのスマートフォン以外の機器の中で、タッチパネル機能を具備しない機器では、図2に示す構成に対して、ディスプレイ部は表示情報が出力される出力インタフェースに接続される点、及びユーザからの操作を受け付けるキー・ボタン・スイッチ・マウス等が入力インタフェースに接続される点などが異なるが、それ以外の点では、図2に示す構成と基本的に同等になる。それゆえ、本発明に適用可能なユーザ端末T1、T2、T3等の構成は、主要な部分において図2に示す内容に準じたものになっている。次に、本実施形態のオンライン株式サービスを提供する証券会社システム2を説明していく。
図15は、証券会社システム2に含まれるシステムサーバ80(サーバ装置に相当)を示している。このシステムサーバ80は、証券会社システム2の基幹部分を構成しており、オンライン株式取引サービスをユーザに提供する上で必要な処理を行う。なお、図15では、サーバコンピュータとしてシステムサーバ80を示しているが、例えば、システムサーバ80が行う各種処理について分散処理等を行うことで複数のサーバコンピュータ及びデータベースシステム等を組み合わせてシステムサーバ80を構成することも可能であり、このような複数機器による構成の場合も、本発明におけるサーバ装置に相当する。以下、システムサーバ80について説明する。
本実施形態におけるシステムサーバ80としては、一般的なサーバコンピュータを適用しており、全体的な制御及び各種処理を行うMPU80a(制御部80a)に、各種デバイス等を内部接続線80hで接続したものになっている。各種デバイス等には、通信モジュール80b、RAM80c、ROM80d、入力インタフェース80e、出力インタフェース80f、大容量記憶システム(HDDシステム)80g等がある。
通信モジュール80bは、ネットワークとの接続モジュールに相当する通信デバイス(通信手段)であり、所要の通信規格に応じたものである(例えばIEEEの通信規格に基づいたLANモジュール)。通信モジュール80bは、所要の通信機器(図示は省略。例えばルータ等が該当)を介してネットワーク(証券会社システム2の内部ネットワーク、及び外部のネットワーク等)と接続されており、ユーザ端末T1、T2、T3等及び外部の各種サーバ(スクレイピングサーバ3a、ウェブサーバ、データベースサーバ等)との通信を可能にしている。
RAM80cは、MPU80aの処理に伴う内容、ファイル等を一時的に記憶するものであり、ROM80dは、MPU80aの基本的な処理内容を規定したプログラム等を記憶するものである。入力インタフェース80eは、証券会社のシステム管理者等からの操作指示等を受け付けるキーボード80i、マウス等が接続されるものであり、システム管理者等から受け付けた操作指示等をMPU80aへ伝える。出力インタフェース80fは、ディスプレイ80j(表示出力装置)が接続されるものであり、MPU80aの処理に伴う内容をディスプレイ80jへ出力し、システム管理者等が現在の処理内容等を確認できるようにしている。
大容量記憶システム80g(記憶媒体手段に相当)は、プログラム及びデータベース(DB)等を記憶するものであり、本実施形態ではシステムプログラムP10、取引プログラムP11、銘柄DB81、ユーザDB82、及び口座DB83等を記憶している。
システムプログラムP10は、サーバ用のオペレーションシステムに応じた各種処理を規定したものであり、この規定内容に基づいた処理をMPU80aが実行することで、システムサーバ80はサーバとしての基本的な機能を果たす。取引プログラムP11の説明は後述し、先に、銘柄DB81等の説明を行う。
図16は、銘柄DB81の中身の一例を示している。本実施形態では、証券会社システム2が相対取引で取り扱う銘柄は上述したようにA〜F社の6社に絞っているため、銘柄DB81は、A〜F社ごとに付与された銘柄IDに対応づけて、各日における終値、最高値、及び最低値を格納している。なお、直近の日で終値が定まっていない状態のときは、終値の替わりに、そのときにおける最新値が格納される(本日の欄参照)。銘柄DB81に格納される各値は、相対取引における値を示し、また、図1に示す取引所システム4から送信されてくる各種情報を参照した値にすることができ、銘柄DB81の中身は取引状況に応じて随時更新される。
図17は、ユーザDB82の中身の概要を示している。ユーザDB82は、証券会社システム2が提供するオンライン株式取引サービスに登録して取引用の口座を開設したユーザの各種情報を格納したデータベースであり、ユーザ登録にあわせて、ユーザを識別するユーザIDが証券会社システム2から登録ユーザに付与されており、ユーザDB82では、付与されたユーザIDに対応付けて各種情報を格納している。具体的にユーザDB82は、ユーザIDごとに、ユーザの氏名、住所、電話番号、メールアドレス、UID(ユーザ端末の識別情報)、職業、パスワード等を記憶している。なお、本実施形態では、登録されたメールアドレスをログイン時のログインIDとして用いており、また、パスワードはユーザ登録時にユーザから登録された英数字情報を用いている。なお、ユーザDB82は、新規ユーザの登録又は登録ユーザの脱退等に応じて、その中身がサービス運営側により適宜更新される。
図18は、上述した大容量記憶システム80gに記憶される口座データベース83の中身の概要を示している。口座データベース83は、登録ユーザの売買取引に係る履歴を格納した取引履歴データベースに相当し、ユーザIDごとに、ユーザの株式取引の履歴に関する口座情報(株式取引を行った日付情報、売買に伴う株数の情報、売買に用いた金額の情報等)を記憶するユーザ口座テーブル900、901、902等を有する構造になっており、それによりユーザ(ユーザID)ごとに口座情報を記憶できるようにしている。
図19は、ユーザIDが0001のユーザ口座テーブル900の中身の一例を示している。ユーザ口座テーブル900は、各銘柄及び口座に関する株式取引に伴うデータを格納したものであり、銘柄別(銘柄ID)の取引欄900a、900b、900c等ごとに、日付及び売買取引の内容(買い金額、購入株式数、売り金額、売却株式数、取引時株式単価等)及び保有状態(取引後の保有株数)を格納すると共に、口座における現金の出入り(銘柄の売買に伴う現金の出入り)の内容及び保有状態(現金の出入り後の口座に入っている金額)を現金欄901に格納する。
このようなユーザ口座テーブル900には、ユーザの売買注文に応じた売買処理の完了に伴って、その売買処理内容を示す情報がMPU80aの制御により随時、銘柄別の取引欄900a等及び現金欄901に格納されていく。なお、図14(a)(b)に示される取引履歴一覧24は、ログイン中の該当ユーザのユーザ口座テーブルの中からA社株の取引欄に格納された情報に基づき生成されると共に、取引履歴一覧24と同等に表示される口座取引一覧も、ログイン中の該当ユーザのユーザ口座テーブルの現金欄901に格納された情報に基づき生成される。
次に、証券会社システム2のシステムサーバ80における大容量記憶システム80gに記憶される取引プログラムP11が規定する処理内容について説明する。本実施形態の取引プログラムP11は、ユーザのログイン及び売買取引等に関してMPU80aが実行する制御処理等を規定したものになっている。先ず、ユーザのログインについて、ユーザ端末から送信されてきたログイン情報(ユーザのメールアドレス、パスワード、及びユーザ端末のUID等)を通信モジュール80bで受信すると、受信したログイン情報が図17のユーザDB82に格納されている情報の中に一致するものがあるか否かを判断する処理をMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する。
受信したログイン情報がユーザDB82に格納されていないと判断した場合、ログイン情報不一致の旨をログイン情報の送信元のユーザ端末へ通信モジュール80bを用いて送信する制御をMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する。一方、受信したログイン情報がユーザDB82に格納されていると判断した場合、ログイン情報一致の旨をログイン情報の送信元のユーザ端末へ通信モジュール80bを用いて送信する制御をMPU80aが行うと共に、そのログイン情報に応じたユーザIDをログイン中の状態に設定し、ログイン中であることを示すログイン状態情報をRAM80c等に記憶する処理をMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する。このログイン状態情報は、ログオフ情報を受信するまで記憶されることなる。
ログイン状態となったユーザ端末から買付注文を受信した場合、その買付注文に含まれる銘柄情報が示す銘柄の株価として、その買付注文を受信した時点における直近の値を図16の銘柄DB81より特定すると共に、受信した買付注文に含まれる金額情報が示す金額を、特定した直近の株価で割る演算を行うことで、購入株数(取引数)を算出することをMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する。それから算出した購入株数に基づいた取引可能単位の株数の買付処理をMPU80aが相対取引で実行することを取引プログラムP11は規定する。なお、この際、算出した購入株数が取引可能単位の株数より少なければ、CPU80aは取引可能単位の株数で買付処理を実行することになる。買付処理が完了すると、MPU80aは買付完了通知を、買付注文を送信したユーザ端末へ通信モジュール80bを用いて送信する処理をMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する。
また、ログイン状態となったユーザ端末から、金額を設定した売却注文を受信した場合、その売却注文に含まれる銘柄情報が示す銘柄の株価として、その売却注文を受信した時点における直近の値を図16の銘柄DB81より特定すると共に、受信した売却注文に含まれる金額情報が示す金額を、特定した直近の株価で割る演算を行うことで、売却株数(取引数)を算出することをMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する。それから算出した売却株数に基づいた取引可能単位の株数の売却処理を相対取引でMPU80aが実行することを取引プログラムP11は規定する。なお、売り取引においても、上述した買い取引の場合と同様に、算出した売却株数が取引可能単位の株数より少なければ、CPU80aは取引可能単位の株数で売る処理を実行することになる。そして、売却処理が完了すると、MPU80aは売却完了通知を、売却注文を送信したユーザ端末へ通信モジュール80bを用いて送信する処理をMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する。
さらに、ログイン状態となったユーザ端末から、全部売り注文を受信した場合、図18に示す口座DB83から、ログイン状態のユーザに応じたユーザ口座テーブルを特定すると共に、その特定したユーザ口座テーブルの中から、受信した全部売り注文に含まれる銘柄情報が示す銘柄欄に格納される情報に基づき、そのユーザが保有する全株数(取引数)を特定する処理をMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する(例えば、図19に示すユーザ口座テーブル900の中から、取引対象となる銘柄の保有状態の欄から全株数を特定)。それから特定した全株数に基づいた取引可能単位の株数の売却処理をMPU80aが実行することを取引プログラムP11は規定する。この後は、上述した金額を設定した売り指示の場合と同様であり、売却完了通知を、全部売り注文を送信したユーザ端末へ送信することになる。
さらにまた、ログイン状態となったユーザ端末から、利益分の売り注文を受信した場合、その利益分の売り注文に含まれる銘柄情報が示す銘柄の株価として、その利益分の売り注文を受信した時点における直近の値(金融商品の単位価格)を図16の銘柄DB81より特定する処理をMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する。また、図18に示す口座DB83から、ログイン状態のユーザに応じたユーザ口座テーブルを特定すると共に、その特定したユーザ口座テーブルの中から、受信した利益分の売り注文に含まれる銘柄情報が示す銘柄欄に格納される売買取引に係る履歴情報を抽出し、抽出した履歴情報及び特定した直近の単位価格(株価)に基づき、各売買取引における約定金額を算出して利益分の算出を行うことをMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する。
これ以降の処理は、上述した金額を設定した売り注文の場合と同様になり、算出した利益分の金額を、特定した直近の株価で割る演算を行うことで、売却株数(取引数)を算出し、算出した売却株数に基づいた取引可能単位の株数の売却処理をMPU80aが相対取引として実行することなり、また、利益分の売り注文に対する取引完了に伴って、売却完了通知をユーザ端末へ送信することになる。
上述した利益分の算出処理の具体的な内容を説明するために、最初に通常の株数単位(株数指定)の売買取引における利益分の算出を説明する。株式における利益は、売却時の約定代金(売却時の株価×売却株数)に対して、その銘柄の買付時の約定代金(平均買付株価×売却株数)の差額が利益分になる。
具体例として、10月に株価が200円の株式を100株購入し(約定金額は20000円、この時点の平均買付株価は200円)、次に11月に同じ銘柄の株式を100株購入したが、この11月の時点の株価が250円に上がっていると、購入に必要な約定金額は25000円(250円×100株)となり、この11月の購入時点における平均買付株価は225円となる。そして、12月になって、上述した10月及び11月に購入した株式の中から100株だけを売却する場合、12月の売却時点の株価が270円へと更に上がっていると、売却の約定金額は27000円(270円×100株)になる。そのため、利益分の算出は、売却の約定金額の27000円に対して、直近の購入時点の平均買付株価の225円に100株を乗算した22500円との差額4500円(27000円−22500円)が利益分となる。なお、実際の取引では証券会社の手数料等の費用も発生するが、ここでは説明の簡易化のため手数料等の費用を考慮することは除外する。
このように株式取引は、株数を指定して行うことが一般的であるが、一般投資家等には、株数よりも金額を取引単位にした方が取引内容を認識しやすいという捉え方もある。そのため、投資家が株式取引において金額を指定し、その指定した金額に応じた株数を証券会社側で逆算して投資家に提示し、その提示された株数を投資家が承認して注文を出すという金額指定による取引サービスが行われている。例えば、投資家が、ある銘柄の株式を50000円分購入したいと考えた場合、証券会社側は50000円を、その時点における株価で除算を行って、購入可能な株数を算出することになる。
図7の利益売りボタン49cを操作することで利益分の売り注文を行うことは、上述した金額指定による取引サービスを応用したものになっており、投資家から利益分の売り注文が出されると、その時点における利益の金額分を算出し、その算出した利益分を、金額指定による取引サービスにおける金額指定分として取り扱うようにしたものである。そして、その利益分は、算出時における株価に、投資家が保有する全株数を乗じた金額(全株式を売却して得られるべき金額。売却の約定代金に相当)から、その全株数を購入に要した金額(買付にかかった投資元本。買付の約定代金に相当)を差し引くことで得られる。
そのため、取引プログラムP11は、利益分の売り注文を受信すると、その注文を出したユーザのユーザ口座テーブルの中で、その注文に対する指定銘柄に係る売買情報に基づき、上述した利益分の算出をMPU80aが行うことを規定する。
なお、投資家が認識する利益と、税制上の利益は異なることを説明しておく。上述したように、利益分の算出は、売却の約定代金から買付の約定代金を差し引いた額を、投資家は利益として認識することが考えられる。例えば、上述した具体例で、10月に株価が200円の株式を100株購入し、11月に同じ銘柄の株式を100株購入し(11月の購入時の株価は250円)、12月に株価が270円になった場合、売却の約定代金(54000円=270円×200株)から、買付の約定代金(45000円=200円×100株+250円×100株)を差し引いた9000円が利益であると、投資家には認識される。
しかし、上述した売却の約定代金から買付の約定代金を差し引いた額(上記の例では9000円)は、利益の乗った一定の株数を売却する行為になるので、その額の全てが税務上の利益に該当しない。税務上は、逆算して発生した株数の売却が対象となり、上記の例では、9000円を12月の時点の株価(270円)で除算した株数(33.33株。小数点第3位以下省略)の売却であると税務上はみなされるので、その株数(33.33株)の値上がり分(その株数分を売却した値段と買付に要した金額の差)のみが、税務上の利益となる。上記の例では、12月の売却時の株価(270円)×売却株数(33.33株)から、10月及び11月の平均買付株価(225円)×売却株数(33.33株)を差し引いた1500円が税務上の利益になる。
また、上述した利益分の売却を、通常の株数指定で行うことも考えられるが、利益分の計算過程で、上述した金額指定による利益分の売却の計算内容を含むことになるので、結局、利益分の売却は、金額に基づき計算するか、又は株数に基づき計算するかの違いに依存することになる。そのため、金額指定の利益分売却は、株数指定による利益分売却を含む概念となる。
次に、ユーザ端末(例えば、スマートフォン10)に、図10等に示すポートフォリオ画面21を表示させる処理等について、取引プログラムP11が規定する内容について説明する。ログイン中のユーザのユーザ端末からポートフォリオ情報要求を受信すると、ログイン中のユーザのユーザIDを参照して、図18に示す口座DB83から、ログイン状態のユーザに応じたユーザ口座テーブルを特定すると共に、その特定したユーザ口座テーブルにおける保有状態の欄の直近の格納情報(各銘柄の保有状態の欄に格納される直近の株式数、及び口座の保有状態の欄に格納される直近の口座の現金の額)を抽出する処理をMPU80aが行うことを規定する。
抽出した格納情報の各銘柄について、ポートフォリオ情報要求を受信した時点における株価の直近の値を図16の銘柄DB81より特定すると共に、その特定した各銘柄の株価と、抽出した格納情報に含まれる各銘柄の株数とを乗じて、銘柄ごとの株式評価額を算出する処理をMPU80aが行うことを取引プログラムP11は規定する。そして、算出した銘柄ごとの株式評価額と、抽出した格納情報に含まれる口座に入っている直近の現金の額より、ログイン中のユーザの直近の総資産額を算出し、この算出した総資産額、銘柄ごとに算出した株式評価額、及び抽出した格納情報に含まれる直近の現金額等を含む情報を、ポートフォリオ情報として生成し、生成したポートフォリオ情報を、ポートフォリオ情報要求元のユーザ端末へ送信する処理をMPU30aが行うことを取引プログラムP11は規定する。
上記のようなポートフォリオ情報において、銘柄ごとの株式評価額が、ユーザの保有する銘柄株式についての保有量に係る銘柄保有情報に該当し、直近の現金の額が、ユーザの口座に入っている金額を示す口座現金情報に該当する。
なお、上述した処理で生成されるポートフォリオ情報の中身の例として、図10に示すポートフォリオ画面21の表示に用いられるポートフォリオ情報は「総資産額100万円、A社株式25万円、B社株式20万円、C社株式15万円、D社株式10万円、E社株式5万円、現金25万円」という中身になっている。なお、このように各銘柄の評価額、口座の現金を金額ベースで表す他に、割合(パーセント)で示すポートフォリオ情報を生成してユーザ端末に送信するようにしてもよく、割合で示すポートフォリオ情報の例としては、図10に用いられる場合では「総資産額100万円、A社株式25%、B社株式20%、C社株式15%、D社株式10%、E社株式5%、現金25%」という中身になり、この場合、総資産額に対する各社銘柄の割合から、各社株式の評価金額をユーザ端末側で算出して各種処理を行うようになる。
よって、図10に示すポートフォリオ画面21は、上述したように生成されたポートフォリオ情報に基づきユーザ端末で生成されており、この図10のポートフォリオ画面21を生成する元になったポートフォリオ情報は「総資産額:100万円」、「A社株式評価額:25万円」、「B社株式評価額:20万円」、「C社株式評価額:15万円」、「D社株式評価額:10万円」、「E社株式評価額:5万円」、「口座金額(現金):25万円」という各情報を含んでいた場合のものとなる。
なお、ポートフォリオ画面21を用いた売買注文に対しては、ユーザ端末から金額指定の売買注文がシステムサーバ80へ送信されてくることになるので、上述した図6の買付ボタン48aが選択された場合、及び図7の金額指定売りボタン49aが選択された場合と同様の処理をシステムサーバ80は行うことになる。
次に、上述したユーザ端末(例えば、スマートフォン10)及び証券会社システム2(システムサーバ80)がそれぞれ行う各種処理によって、図10〜13等に示すポートフォリオ画面21をユーザ端末に表示すること、及びポートフォリオ画面21での売買注文等に関して金融商品取引システム1で実行される処理内容(金融商品取引方法の内容)を図20〜24の第1フローチャートから第5フローチャートに基づき説明していく。
図20の第1フローチャートは、ユーザがユーザ端末を用いてオンライン株式取引サービスを提供する証券会社システム2(システムサーバ80)へログインを行う場合の処理手順を示したものである。まず、ユーザ端末(CPU10a)は、図3に示すホーム画面11に配置される複数のアイコンの中から、株取引アイコン12の選択操作を受け付けたか否か判断する(S1)。選択操作を受け付けていない場合(S1:NO)、株取引アイコン12の選択待ちの状態となり、一方、選択操作を受け付けた場合(S1:YES)、図4に示すログイン画面15をユーザ端末は表示する(S2)。
このログイン画面15において、メールアドレスの入力操作、パスワードの入力操作、及びログインボタン15cの選択操作というログイン操作の有無を、ユーザ端末は判断する(S3)。ログイン操作が無い場合(S3:NO)、ログイン操作待ちの状態となり、また、ログイン操作が有った場合(S3:YES)、ログイン情報(入力されたメールアドレス及びパスワード、並びにユーザ端末を識別するUID等を含む情報)を証券会社システム2へユーザ端末は送信する(S4)。
証券会社システム2のシステムサーバ80(MPU80a)は、ログイン情報を受信したか否かを判断する段階になっており(S10)、ログイン情報を受信しない場合(S10:NO)、受信待ちの状態となる。また、ログイン情報を受信した場合(S10:YES)、受信したログイン情報に含まれるメールアドレス、パスワード等が、図17に示すユーザDB82に格納される情報の中で一致するものがあるか否かをシステムサーバ80は判断する(S11)。一致する情報が格納されていない場合(S11:NO)、システムサーバ80は不一致通知をアクセス元のユーザ端末へ送信し(S13)、その後は、最初のログイン情報の受信判断段階(S10)へ戻ることになり、また、一致する情報が格納されていた場合(S11:YES)、システムサーバ80は一致通知をアクセス元のユーザ端末へ送信する(S12)。
ユーザ端末は、S4の段階のログイン情報の送信後、一致通知又は不一致通知のいずれを受信したかを判断しており(S5)、不一致通知を受信した場合(S5:不一致)、S2の段階へ戻ってログイン画面15を表示し、再度のログインの機会をユーザに提供する。また、一致通知を受信した場合(S5:一致)、ユーザ端末は図5に示す株式取引アプリP2のトップページ画面18を表示する(S6)。このトップページ画面18により、株式取引アプリP2の取引機能が起動した状態になる。なお、本実施形態においては一旦、ログイン状態になると、ログオフ操作が行われるまで株式取引アプリP2に基づく画面を他のアプリの画面に切り替えてもログイン状態が継続されるように設定可能になっており、この設定がされている場合、ログイン状態が維持される間は図14の第1フローチャートに示す処理を繰り返すことなく、株式の売買取引処理等を行えるようにしている。
図21の第2フローチャートは、図10に示すポートフォリオ画面21をユーザ端末で表示するための処理内容を示しており、ログインが完了したユーザ端末に表示される各画面の最下方に配置されるメニューバー20の中のポートフォリオボタン(例えば、図5のトップページ画面18のメニューバー20に含まれる第1のメニューボタン20a)を選択するユーザ操作の有無を判断する(S20)。なお、S20の判断は、メニューバー20におけるポートフォリオボタンの場合の例で説明したが、上述した売買取引が完了したときに表示される買付/売却完了画面27、28のポートフォリオボタン27c、28c(図9(a)(b)参照)に対しても同様に行われる。
ポートフォリオボタンに対する選択が無い場合(S20:NO)、ボタンの選択待ちの状態となり、ボタンの選択が有った場合(S20:YES)、ユーザ端末はポートフォリオ情報要求を証券会社システム2(システムサーバ80)へ送信する(S21)。
第2フローチャートの場合、証券会社システム2のシステムサーバ80(MPU80a)は、ユーザのログイン処理を完了すると、ログインの完了したユーザからのポートフォリオ情報要求を受信したか否かを判断する段階になっており(S25)、ポートフォリオ情報要求を受信しない場合(S25:NO)、ポートフォリオ情報要求の受信待ちの状態となる。また、ポートフォリオ情報要求を受信した場合(S25:YES)、ログイン中のユーザIDに対応するユーザ口座テーブルを図18の口座DB83から特定すると共に、その特定したユーザ口座テーブルにおける保有状態の欄の直近の格納情報を抽出して、ポートフォリオ受信要求を受信した時点における株価に基づき、ポートフォリオ情報(総資産額、各銘柄の評価額(銘柄保有情報)、及び口座の現金等を含む)を生成し(S26)、生成したポートフォリオ情報をユーザ端末へ送信する(S27)。
ユーザ端末は、ポートフォリオ情報を受信すると、その受信したポートフォリオ情報を用いて図10に示すポートフォリオ画面21を生成し(S22)、生成したポートフォリオ画面21をディスプレイ10fに表示する(S23)。
図22の第3フローチャートは、保有量インジケータとして機能する各銘柄の株境界線のドラッグ操作による売買の取引注文の処理内容を示しており、一例として、A社株境界線31aを操作対象にして、処理内容を説明する。まず、ユーザ端末は、図10に示すポートフォリオ画面21で、A社株境界線31aがユーザ操作により選択されたか否かを判断する(S30)。
A社株境界線31aがユーザにより選択されていない場合(S30:NO)、選択待ちの状態となり、一方、A社株境界線31aがユーザにより選択された場合(S30:YES)、ユーザ端末は図11に示すように、A社株境界線31aの線幅を太くすると共に、移動マーク40を表示する(S31)。そして次にユーザ端末は、A社株境界線31aの移動操作(ドラッグ操作)が行われたか否かを判断する(S32)。移動操作が行われていない場合(S32:NO)、移動操作待ちの状態になり、また、移動操作が有った場合(S32:YES)、その移動操作は、A社株境界線31aの移動方向から、売却注文又は買付注文のいずれの操作指示であるかをユーザ端末は判断する(S33)。
売却注文の操作であると判断した場合(S33:売却)、ユーザ端末は、A社株境界線31aの移動量を検知して、その検知結果を用いた算出処理により売却取引額(取引量)を特定し(S34)、特定した売却取引額を取引金額表示欄23aに含む売却操作状態のポートフォリオ画面21(図13参照)を表示する(S35)。なお、このように表示されるポートフォリオ画面21では、現金図形部36の現金境界線36aもA社株境界線31aの移動操作に連動して、特定された取引額分だけ、現金図形部36の図形範囲が拡大するように反時計回転方向へ移動した状態になっている。この売却操作状態で、ユーザ端末は売却ボタン23cのユーザによる選択操作を受け付けたか否かを判断する(S36)。売却ボタン23cの選択操作が有った場合(S36:YES)、ユーザ端末は、図8(b)に示す売却確認画面26を表示する(S38)。
また、売却ボタン23cの選択操作が無かった場合(S36:NO)、次にユーザ端末は、キャンセルボタン23dのユーザによる選択操作を受け付けたか否かを判断する(S37)。キャンセルボタン23dのユーザによる選択操作を受け付けた場合(S37:YES)、ユーザ端末は、図21の第2フローチャートのS23の段階へ戻り、A社株境界線31aの操作前の状態である図10に示すポートフォリオ画面21を表示することになる(S23)。そしてキャンセルボタン23dの選択操作が無かった場合(S37:NO)、売却ボタン23cの選択操作の有無の判断段階(S36)へ戻ることになる。
一方、A社株境界線31aの移動操作は買付注文の操作指示であると、ユーザ端末が判断した場合(S33:買付)、A社株境界線31aの移動量を検知して、その検知結果を用いた算出処理により買付取引額(取引量)を特定し(S39)、その特定した買付取引額を取引金額表示欄23aに含む買付操作状態のポートフォリオ画面21(図12参照)を表示する(S40)。なお、買付操作状態で表示されるポートフォリオ画面21でも、上述した売却操作状態の表示のときと同様に、現金図形部36の現金境界線36aもA社株境界線31aの移動操作に連動して、特定された取引額分だけ、現金図形部36図形範囲が減少するように時計回転方向へ移動した状態になっている。この買付操作状態で、ユーザ端末は買付ボタン23bのユーザによる選択操作を受け付けたか否かを判断する(S41)。買付ボタン23bの選択操作が有った場合(S41:YES)、ユーザ端末は、図8(a)に示す買付確認画面25を表示する(S42)。
また、買付ボタン23bの選択操作が無かった場合(S41:NO)、次にユーザ端末は、キャンセルボタン23dのユーザによる選択操作を受け付けたか否かを判断する(S43)。キャンセルボタン23dのユーザによる選択操作を受け付けた場合(S43:YES)、ユーザ端末は、図21の第2フローチャートのS23の段階へ戻り、A社株境界線31aの操作前の状態である図10に示すポートフォリオ画面21を表示することになる(S23)。そしてキャンセルボタン23dの選択操作が無かった場合(S43:NO)、買付ボタン23bの選択操作の有無の判断段階(S41)へ戻ることになる。
図23の第4フローチャートは、上述した図22の第3フローチャートのS38の段階で表示した売却確認画面26(図8(b)参照)に基づく株式銘柄の売却処理に関する処理内容を示している。この売却確認画面26において、ユーザ端末はOKボタン26aのユーザによる選択操作が有ったか否かを判断する(S50)。OKボタン26aの選択操作を受け付けていない場合(S50:NO)、次に、戻るボタン26bのユーザによる選択操作を受け付けたか否かをユーザ端末は判断し(S51)、戻るボタン26bの選択操作を受け付けた場合(S51:YES)、図21の第2フローチャートのS23の段階へ戻り、A社株境界線31aの操作前の状態である図10に示すポートフォリオ画面21を表示することになる(S23)。また、戻るボタン26bの選択操作が無かった場合(S51:NO)、OKボタン26aの選択操作の有無の判断段階(S50)へ戻ることになる。
OKボタン26aの選択操作を受け付けた場合(S50:YES)、ユーザ端末は、確認テキスト部26cに記された内容(例えば、「A社株 5万円売却」)に応じた売却注文(銘柄を識別する情報(銘柄ID)及び売却金額を含む注文)を証券会社システム2(システムサーバ80)へ送信する(S52)。
第4フローチャートの場合、証券会社システム2のシステムサーバ80(MPU80a)は、ログイン中のユーザ端末からの売却注文を受信したか否かを判断しており(S60)、売却注文を受信しない場合(S60:NO)、図24の買付処理に関する第5フローチャートの処理段階(S80)へ進み、売却注文を受信した場合(S60:YES)、売却注文に含まれる銘柄の株価(受信した時点で直近の株価)を図16の銘柄DB81から特定すると共に、売却注文に含まれる売却金額に基づき売却できる株数を算出して、その算出した株数に係る取引可能な株数単位の売却処理を相対取引で実行する(S61)。なお、売却処理の実行に伴って、その処理内容を、ログイン中のユーザの口座DB83の中のユーザ口座テーブルに格納することもMPU80aは行う。それから、システムサーバ80(MPU80a)は、売却注文の送信元のユーザ端末へ売却完了通知を送信する(S62)。
ユーザ端末は、S52の段階における売却注文の送信後、証券会社システム2からの売却完了通知を受信したか否かを判断しており(S53)、売却完了通知を受信していない場合(S53:NO)、受信待ちとなり、売却完了通知を受信した場合(S53:YES)、図9(b)に示す売却完了画面28を表示する(S54)。この売却完了画面28により、ユーザは、自身が出した売却注文が完了したことを確認することになる。それから、この売却完了画面28の確認ボタン28bの選択操作を受け付けたか否かをユーザ端末は判断しており(S55)、選択操作を受け付けていない場合(S55:NO)、次にポートフォリオボタン28cの選択操作を受け付けたか否かを判断する(S56)。
ポートフォリオボタン28cの選択操作が有った場合(S56:YES)、図21の第2フローチャートのS21のポートフォリオ情報要求を送信する段階へ戻ることになり、この場合、第2フローチャートに示す各処理が再度実行されて、売却処理の完了した内容のポートフォリオ画面をユーザ端末は表示することになる。また、ポートフォリオボタン28cの選択操作が無い場合(S56:NO)、確認ボタン28bの選択操作の有無を判断する段階(S55)へ処理が戻ることになる。そして、確認ボタン28bの選択操作を受け付けた場合(S55:YES)、図20の第1フローチャートのS6のトップページ画面18(図5参照)を表示する段階へ戻ることになる。
図24の第5フローチャートは、上述した図22の第3フローチャートのS42の段階で表示した買付確認画面25(図8(a)参照)に基づく株式銘柄の買付処理に関する処理内容を示している。この買付確認画面25において、ユーザ端末はOKボタン25aのユーザによる選択操作が有ったか否かを判断する(S70)。OKボタン25aの選択操作を受け付けていない場合(S70:NO)、次に、戻るボタン25bのユーザによる選択操作を受け付けたか否かをユーザ端末は判断し(S71)、戻るボタン25bの選択操作を受け付けた場合(S71:YES)、図21の第2フローチャートのS23の段階へ戻り、A社株境界線31aの操作前の状態である図10に示すポートフォリオ画面21を表示することになる(S23)。また、戻るボタン25bの選択操作が無かった場合(S71:NO)、OKボタン25aの選択操作の有無の判断段階(S70)へ戻ることになる。
OKボタン25aの選択操作を受け付けた場合(S70:YES)、ユーザ端末は、確認テキスト部25cに記された内容(例えば、「A社株 5万円買付」)に応じた買付注文(銘柄を識別する情報(銘柄ID)及び買付金額を含む注文)を証券会社システム2(システムサーバ80)へ送信する(S72)。
証券会社システム2のシステムサーバ80(MPU80a)は、ログイン中のユーザ端末からの買付注文を受信したか否かを判断しており(S80)、買付注文を受信しない場合(S80:NO)、図23の売却処理に関する第4フローチャートの処理段階(S60)へ戻り、買付注文を受信した場合(S80:YES)、買付注文に含まれる銘柄の株価(受信した時点で直近の株価)を図16の銘柄DB81から特定すると共に、買付注文に含まれる買付金額に基づき買付できる株数を算出して、その算出した株数に係る取引可能な株数単位の買付処理を相対取引で実行する(S81)。なお、買付処理の実行に伴って、その処理内容を、ログイン中のユーザの口座DB83の中のユーザ口座テーブルに格納することもMPU80aは行う。それから、システムサーバ80(MPU80a)は、買付注文の送信元のユーザ端末へ買付完了通知を送信する(S82)。なお、システムサーバ80側の処理は、ログイン中のユーザがログオフ操作を証券会社システム2(システムサーバ80)へ送信してくるまで繰り返される(各フローチャートには示さず)。
ユーザ端末は、S72の段階における買付注文の送信後、証券会社システム2からの買付完了通知を受信したか否かを判断しており(S73)、買付完了通知を受信していない場合(S73:NO)、受信待ちとなり、買付完了通知を受信した場合(S73:YES)、図9(a)に示す買付完了画面27を表示する(S74)。この買付完了画面27により、ユーザは、自身が出した買付注文が完了したことを確認することになる。それから、この買付完了画面27の確認ボタン27bの選択操作を受け付けたか否かをユーザ端末は判断しており(S75)、選択操作を受け付けていない場合(S75:NO)、次にポートフォリオボタン27cの選択操作を受け付けたか否かを判断する(S76)。
ポートフォリオボタン27cの選択操作が有った場合(S76:YES)、図21の第2フローチャートのS21のポートフォリオ情報要求を送信する段階へ戻ることになり、この場合、第2フローチャートに示す各処理が再度実行されて、売却処理の完了した内容のポートフォリオ画面をユーザ端末は表示することになる。また、ポートフォリオボタン27cの選択操作が無い場合(S76:NO)、確認ボタン27bの選択操作の有無を判断する段階(S75)へ処理が戻ることになる。そして、確認ボタン27bの選択操作を受け付けた場合(S75:YES)、図20の第1フローチャートのS6のトップページ画面18(図5参照)を表示する段階へ戻ることになる。なお、ユーザ端末側の処理も、ログイン中のユーザがログオフ操作を行うまで繰り返される(各フローチャートには示さず)。
このように第1実施形態に係る発明は、まず、図10に示すポートフォリオ画面21を表示するので、ユーザは自身が有する銘柄株式に関するポートフォリオについて、その概要をポートフォリオ画面21の中のポートフォリオグラフ30により直感的に素早く把握することができると共に、画面下方部21bのポートフォリオ明細情報22で金額的な詳細も確認でき、売買取引を行うときの判断材料としてポートフォリオ画面21を活用できる。
また、このポートフォリオ画面21でも図12、13で示したように売買注文に係る操作指示を出せるので、ポートフォリオ画面21を見ながら売買取引を行う対象銘柄を決めて、そのままの画面で売買注文に係る操作を行えるという一連の流れに応じたユーザインタフェースを提供でき、銘柄判断から売買注文に至る一連の流れをユーザがスムーズに行えることに貢献できる。
さらにポートフォリオ画面21での売買注文に係る操作は、銘柄の株境界線(例えば、A社株境界線31a)を時計回転方向又は反時計回転方向へ取引金額に応じた分だけ移動させるようなアナログ的なユーザ操作で済み、面倒な取引金額の入力操作等を不要にしたので、簡単且つスピーディーにユーザは、所望銘柄の売買注文の操作指示を行える。しかも、このような操作の際も、ポートフォリオグラフ30により、ポートフォリオの変化を確認できるので、ポートフォリオの変化を把握して取引量(取引金額)を決定すること等も可能となる。
さらにまた、取引金額は所定の単位(上述した実施形態では万円単位)で移動量に応じて四捨五入により取引金額を決定するようにしたので、銘柄の株境界線の移動量についても、それほどシビアな操作は要求されることはなく、ユーザは取引金額表示欄23aに提示される金額を見ながら所望の金額になるように銘柄の株境界線を移動すればよく、ユーザの操作負担が重くなるのを防いで、売買取引に良好な株価のタイミングを逃がすことなくユーザは容易に取引操作を行える。
なお、本発明の第1実施形態は、上述した内容に限定されるものではなく、種々の変形例が考えられる。例えば、図6、7に示す特定銘柄取引画面45へは、図5に示す複数のアイコン18a〜18fを配置したトップページ画面18(アイコン画面)から遷移する以外に、従来の売買取引対象の銘柄を示す一覧画面の中から一つの銘柄を選択することで、銘柄の一覧画面から特定銘柄取引画面45へ表示を遷移する仕様にすることも可能である。
また、上述した説明では、図12、13のポートフォリオ画面21で買付/売却ボタン23b、23cが選択されると、ディスプレイ10fの表示内容を、図8(a)(b)の買付/売却確認画面25、26に切り替えるようにしたが、図25に示すように、買付確認画面25と同様の内容の買付確認ウインドウ29(ウインドウの替わりにダイアログと称される場合もある)を、ポートフォリオ画面21に重なるように表示してもよい。このように取引注文の内容をポートフォリオ画面21に重ねて表示すると、買付確認ウインドウ29を重ねていない箇所では、ポートフォリオ画面21を確認できる点で好適となる。なお、図25では買付確認ウインドウ29の場合を示したが、売却確認画面26と同様の内容の売却確認ウインドウの場合も、図25の買付確認ウインドウ29と同様に、ポートフォリオ画面21に重ねて表示することになる。
図26(a)(b)はポートフォリオグラフの株境界線に関する変形例を示し、上述した図11等では、時計回転方向側の他端の株境界線(例えば、時計回転方向側の他端31dのA社株境界線31a)を移動操作可能な保有量インジケータにしたが、図26(a)の変形例のポートフォリオグラフ31′に示すように、反時計回転方向側の一端31c′の一端側境界線31e′を移動操作可能な保有量インジケータにすることも可能である。この場合、一端側境界線31e′を選択すると、図11に示す場合と同様に、移動方向を示す移動マーク40′が一端31c′に表示されることになり、この移動マーク40′を参考にして、ユーザは一端側境界線31e′の移動操作を行える。
図26(b)のポートフォリオグラフ30″は、一端31c″側の一端側境界線31e″及び他端31d″側の他端側境界線31a″の両方を保有量インジケータとして移動操作可能にした変形例である。この図26(b)の変形例の場合、一端側境界線31e″又は他端側境界線31a″のいずれか一方のみを上述した場合と同様に選択してドラッグ操作を行えることに加えて、一端側境界線31e″及び他端側境界線31a″の両方を選択して、両者を同時に移動させる操作も可能にしている。両者を同時に移動させる操作の仕方としては、2本の指先で両方の境界線31a″、31e″に触れた状態から、両方の境界線31a″、31e″が近づくように2本の指先を移動させる操作(ピッチイン操作)、及び2本の指先で両方の境界線31a″、31e″に触れた状態から、両方の境界線31a″、31e″が遠ざかるように2本の指先を移動させる操作(ピッチアウト操作)も可能にしている。
ピッチイン操作は、A社株図形部31″の内部領域31b″を縮小する操作であることから、株式銘柄の売却操作に該当し、また、ピッチアウト操作は、A社株図形部31″の内部領域31b″を拡大する操作であることから、株式銘柄の買付操作に該当する。このように図26(b)に示す変形例のポートフォリオグラフ30″では、各境界線31a″、31e″の多様な操作の仕方を実現できるので、ユーザの使い勝手に合わせた売買操作を行える。なお、両方の境界線31a″、31e″を選択した状態では、図26(b)に示すように、それぞれに二つの移動マーク40″、41″が表示されて、両方の境界線31a″、31e″が移動可能であることをユーザに伝えることになる。
図27(a)〜(c)は、別の変形例のポートフォリオグラフ130を示しており、この変形例では、境界線をインジケータにするのではなく、円グラフにおける各銘柄別の図形部の円周部分(円弧部分)を移動操作が可能な保有量インジケータにしたことが特徴になっている。すなわち、図27(a)に示すように、A社株図形部131の円周部分131fを選択すると、その円周部分131fに対して移動マーク140が表示される。この移動マーク140は、円周部分131fが円グラフの法線方向(径方向)に沿って外向き又は内向きに移動可能なことを示している。
図27(b)は、円周部分131fを法線方向に沿って外向きにドラッグ操作で移動させた状況を示しており、このような法線方向に沿って外向きに円周部分131fを移動させる操作は、A社株図形部131の内部領域131bを拡大する操作であることから、株式銘柄の買付操作に該当する。また、図27(c)は、円周部分131fを法線方向に沿って内向きに(円グラフの中心へ向かう方向に)ドラッグ操作で移動させた状況を示しており、このような法線方向に沿って内向きに円周部分131fを移動させる操作は、A社株図形部131の内部領域131bを縮小する操作であることから、株式銘柄の売却操作に該当する。
図28(a)(b)は、さらに別の変形例のポートフォリオグラフ230を示しており、このポートフォリオグラフ230では、複数の銘柄図形部の株境界線を選択可能にすると共に、選択状態の各株境界線を、それぞれユーザ操作により独立して移動可能にしたことを特徴にしている。図28(a)は、A社株図形部231のA社株境界線231aを選択状態にすると共に、C社株図形部233のC社株境界線233aを選択状態にしたことを示し、選択状態になったA社株各境界線231aに対してA社株移動インジケータ240を表示し、選択状態になったC社株各境界線233aに対してC社株移動インジケータ241を表示して、A社株各境界線231aとC社株各境界線233aが、それぞれ独立して移動操作可能であることをユーザに伝えている。
図28(b)は、A社株境界線231aを時計回転方向に移動させることで、A社株式について5万円分の買付注文の操作を行うと共に、C社株境界線233aを反時計回転方向に移動させることで、C社株式について3万円分の売却注文の操作を行った場合を示している。また、ポートフォリオグラフ230は、A社株式の5万円分の買付注文及びC社株式の3万円分の売却注文の各操作に連動して現金図形部236の現金境界線236aを2万円分減らすことを表すようにCPU10aの制御で移動させている。このように複数の銘柄について売買操作を行うようにしても、ポートフォリオグラフ30は、その操作による状態を表示できるので、最終的な取引を行う前に、ユーザは自身にとって最適なポートフォリオの中身を様々にシミュレーションできるというメリットが、この変形例には存在する。
図28(b)に示すポートフォリオ画面221の画面下方部221bには、変形例の売買注文メニュー223が提示される。この売買注文メニュー223は、取引金額表示欄223a、取引ボタン223b、及び取引キャンセルボタン223cを含んでいる。取引金額表示欄23aは、複数の境界線操作に応じた複数の取引内容を表示できるようにしたことが特徴になっている。具体的には、上述した各境界線231a、233aのユーザ操作に対して移動方向及び移動量をCPU10aが検知して、各ユーザ操作に対する売却/買付の見極め、及び取引量(取引金額)を特定し、その特定結果を取引金額表示欄23aで表しており、図28(b)に示す場合、上述した各境界線231a、233aのユーザ操作に伴って「A社株5万円買付」及び「C社株3万円売却」という内容を示している。
また、取引ボタン223bは、ユーザによる選択操作が可能なボタンであり、取引金額表示欄23aに示された取引内容でユーザが取引を希望するときに、選択されることになる。取引キャンセルボタン223cは、取引金額表示欄23aに示された状態にしたユーザ操作を一旦、キャンセルすることをユーザが希望する場合に選択されるボタンである。
図29は、上述した図28(b)のポートフォリオ画面221で取引ボタン223bの選択操作が行われた場合に、ディスプレイ10fに表示される取引確認画面125を示している。この取引確認画面125は、上述した図8(a)(b)の買付/売却確認画面25、26に対応したものであり、確認テキスト部125c、選択操作の可能なOKボタン125a、及び戻るボタン125bを含んでいる。確認テキスト部125cは、表示内容が切り替わる前のポートフォリオ画面221でユーザにより操作された取引注文内容を表したテキストを含んでおり、図29では「A社株の5万円の買付」及び「C社株の3万円の売却」という複数の取引注文の内容を、ユーザの確認のために表している。
OKボタン125aは、図8(a)(b)のOKボタン25a、26aと同等のものであるが、図29の場合、確認テキスト部125cは複数の取引注文を表していることから、OKボタン125aがユーザにより選択されると、確認テキスト部125cで提示される複数の取引注文を、CPU10aは証券会社システム2へ送信する処理を行うことになる。この場合の具体的な送信内容は、A社の銘柄ID及び5万円の買付注文と、C社の銘柄ID及び3万円の売却注文であり、証券会社システム2(システムサーバ80)は、このような取引注文を受け取ると、A社株式に対する5万円の買付処理と、C社株式に対する3万円の売却処理を同時的に行うことになる。なお、図29の戻りボタン125bは、図8(a)(b)の戻りボタン25b、26bと同じ意味合いのボタンである。
このように図28(a)(b)に示すポートフォリオグラフ230を用いた変形例では、ユーザのポートフォリオの取引に伴う変化状況を確認しながら、複数の売買取引を同時的に行えるというメリットがある。なお、上述した説明では2つの銘柄を同時的に取引する場合で説明したが、2つより多くの銘柄を同時的に取引することも勿論可能であり、また、取引の内容も買付と売却を同時的に行う以外に、複数の銘柄について買付注文の操作を同時的に行うこと、複数の銘柄について売却注文の操作を同時的に行うことも可能である。
図30は、更に別の変形例についての連動設定メニュー画面126を示している。上述した各例では、各株式の売買取引は、口座の現金と連動して行うようにしていたが、口座の現金以外の他の株式の売買取引と連動できるようにしたことが、この変形例の特徴となっている。すなわち、上述した各例において、例えば、A社株式を5万円売却した場合は、売却した5万円を口座に入れるので、口座の現金額が5万円増加し、また、A社株式を5万円買付した場合は、買付に必要な5万円を口座に入っている5万円で賄うので、口座の現金が5万円分減少する。しかし、この変形例では、例えばA社株式の売買取引を、C社株式と連動させると、A社株式を5万円売却した場合、売却に伴う5万円を、C社株式を同時的に5万円買付するのに使うことになり、それに伴いC社株の評価額は5万円増加し、また、A社株式を5万円買付した場合、買付に必要な5万円をC社株式の評価額の5万円で賄うので、C社株式を同時的に5万円売却することになり、それによりC社株の評価額は5万円減少する。このように、A社株式の売買取引に連動させる対象を選択するのが、図30の連動設定メニュー画面126になっている。
連動設定メニュー画面126は、図5のトップページ画面20等におけるメニューバー20の中の第4のメニューボタン20dが選択されることで表示されるメニュー項目画面(図示せず)の中の連動設定の項目を選択することでディスプレイ10fに表示されるものである。連動設定メニュー画面126は、A社株式の売買取引対象の設定用であるが、A社株式以外にも、B〜E社株式の売買取引対象を設定するメニュー画面も存在する。
A社株式用の連動設定メニュー画面126は、売買取引対象として選択可能なB社選択欄126a、C社選択欄126b、D社選択欄126c、E社選択欄126d、及び現金選択欄126eを有しており、各選択欄126a〜126eのいずれかを一度選択すると、連動対象として設定され、また、連動対象として設定されている選択欄126a〜126eを再度選択すると、連動対象から解除されるようになっている。
連動対象として設定されている銘柄の選択欄126a〜126eは、選択欄126a〜126eに含まれるチェックボックスが塗りつぶされた状態となり(図30では、C社銘柄のチェックボックスが塗りつぶされた状態になっている)、設定されていない銘柄の選択欄に含まれるチェックボックスは塗りつぶされていない状態で示される。なお、連動設定メニュー画面16はデフォルトでは、現金選択欄126eが選択された状態となっており、他の選択欄を設定することで、今まで選択されていた選択欄は自動的に非選択状態になる。
連動対象が設定された状態で、連動設定メニュー画面126のOKボタン126fがユーザにより選択操作が行われると、連動設定メニュー画面126で設定された内容が、RAM10cに記憶され、記憶された以降にポートフォリオ画面21等が表示されると、記憶された設定内容に基づき取引操作が行われることになる。なお、連動設定メニュー画面126の戻るボタン126gが選択されると、連動設定メニュー画面126の表示される前にディスプレイ10fに表示されていたメニュー項目画面に戻ることになる。
図31(a)の変形例のポートフォリオグラフ330は、上述した図30の連動設定メニュー画面126でA社株式の売買取引に、C社株式を連動させた場合の状況を示しており、A社株図形部331のA社株境界線331aがユーザにより選択されると、移動マーク340が表示される点は上述した各例と同様であるが、連動対象のC社株図形部333のC社株境界線333aの線幅が、A社株境界線331aの選択に伴って、太くなるようにして、C社株式が連動対象であることをユーザに示している。
図31(b)のポートフォリオ画面321は、図31(a)のポートフォリオグラフ330で、A社株境界線331aを5万円買付するための操作を行った状況を示しており(A社株境界線331aを時計回転方向へ5万円分移動)、このようなA社株境界線331aの移動に連動して、C社株境界線333aは5万円売却することを示す移動がCPU10aの制御により自動で行われる(C社株境界線333aは反時計回転方向へ5万円分移動)。
そして、画面下方部321bの構成は、図28(b)に示すポートフォリオ画面221と同様になっており、取引金額表示欄323aには、A社株境界線331a及びC社株境界線333aの移動に応じた取引内容である「A社株5万円買付」及び「C社株5万円売却」というテキストが示される。この状態で取引OKボタン323bが選択されると、図29に示す取引確認画面125と同様の構成の取引確認画面が表示され、最終的な取引注文を証券会社システム2へ送信できる。また、図31(b)の取引キャンセルボタン323cは、図28(b)のキャンセルボタン223cと同じ意味合いを持つ。
このように図30、31に示す変形例では、一つの銘柄の取引を、他の銘柄等の取引と連動させられるので、一つの銘柄の買付/売却取引と、他の銘柄の売却/買付取引とを連動して同時的に行うことができ、また、連動対象から口座の現金を外した場合は、口座に現金が入っていない場合でも取引を行うことができるメリットがある。なお、この変形例では、一つの銘柄の買付取引を行う場合、連動対象に設定した他の銘柄の評価額を超える取引を行うことが不可であり、CPU10aは連動対象の評価額を検知して特定し、その特定した評価額を超えるような一つの銘柄の買付操作が行われると、評価額を超えた分の操作は無視するようにしている。
さらに、この変形例では、口座の現金を用いない取引も可能であることから、現金図形部を除外したポートフォリオグラフを生成して処理を行うことも可能である。また、一つの銘柄の取引に連動させる対象として、複数の銘柄を設定することも可能であり、このように複数の他の銘柄を連動対象に設定した場合は、一つの銘柄の取引に伴う金額を、複数の他の銘柄で均等に分割して取引を行うことになる。
図32は、円グラフとは異なる棒グラフを用いたポートフォリオグラフ430を含む変形例のポートフォリオ画面421を示している。上述した各例では円グラフのポートフォリオグラフを用いていたが、図32の変形例ではユーザのポートフォリオを表すのに棒グラフを用いたことが特徴になっている。図32の変形例のポートフォリオ画面421は、上述した図10のポートフォリオ画面21に対応するものであり、画面右部421aにポートフォリオグラフ430を配置すると共に、画面左部421bにポートフォリオ明細情報422を配置している。
図中の垂直方向に延伸する棒グラフであるポートフォリオグラフ430は、上から下へA社株図形部431、B社株図形部432、C社株図形部433、D社株図形部434、E社株図形部435、現金図形部436を含んでおり、各図形部431〜436の垂直方向の寸法は、ポートフォリオに関する総資産における各銘柄の評価額(各銘柄株式の保有量に該当)、口座の現金額の割合に対応している。すなわち、ログイン中のユーザの総資産100万円であり、A社株式の評価額は25万円であることからA社株図形部431は棒グラフ全体の4分の1の垂直寸法を確保し、20万円の評価額のB社株式のB社株図形部432は棒グラフ全体の5分の1の垂直寸法を確保し、他の各社図形部433〜435及び現金図形部436の各垂直寸法も棒グラフ全体に対して自己の評価額等と比率の垂直寸法を有する。
また、各株図形部431〜435は、垂直方向における下方側の端部431c〜435c(各株式の評価額を特定する図形箇所に該当)に配置される株境界線431a〜435aをユーザ操作により移動可能な保有量インジケータにしている。なお、現金図形部436だけは垂直方向における上方側の端部436c(口座の金額を特定する図形箇所に該当)に配置される現金境界線436aを移動可能な現金インジケータにしている(図32に示す場合では、E社株図形部435のE社株境界線435aと、現金図形部436の現金境界線436aは一致している)。
図33(a)は、A社株図形部431のA社株境界線431aがユーザにより選択された状態を示している。この変形例の場合でも、A社株境界線431aが選択状態になると、線幅が太く示されると共に、A社株境界線431aの移動可能な方向(上方向又は下方向)を示す移動マーク440がA社株境界線431aに対して表示されるようになって、A社株境界線431aが選択状態であることをユーザに示す。なお、他のB社株図形部432〜E社株図形部435のB社株境界線432a〜E社株境界線435aが選択された場合も、上述したA社株境界線431aが選択されたときと同様の形態となる。
図33(b)の変形例のポートフォリオ画面421は、A社株境界線431aを下方に移動させるユーザ操作(ドラッグ操作)を行った場合を示しており、上述した図12で説明したポートフォリオ画面21に対応するものであり、A社株図形部431の図形範囲を拡大させるので、A社株式の買付注文操作に該当する。また、この図33(b)においても、図12で示した場合と同様に、A社株境界線431aの移動量が買付量(取引量)に該当する(図33(b)に示す場合では、買付量は5万円)。さらに、上述したA社株境界線431aの移動操作に連動して、現金図形部436の現金境界線436aが5万円分、下方に移動するのも図12に示す場合と同様である。
そして、ポートフォリオ画面421の画面左部421bは、A社株境界線431aの移動操作(ドラッグ操作)に伴って、図12に示す場合と同様に、取引金額表示欄423a、買付ボタン423b、売却ボタン423c(図33(b)では非アクティブ状態)、及びキャンセルボタン423dを含む売買注文メニュー423を表示することになる。また、図示しないが、A社株境界線431aを上方に移動させるユーザ操作(ドラッグ操作)を行うと、A社株式の売却注文操作を行ったことになり、この場合も、図33(b)と図12に示す関係と同様に、図13の売却注文操作と同様のことが、変形例のポートフォリオ画面421にも当てはまることになる。
なお、上記のポートフォリオ画面421の説明では、A社株境界線431aをドラッグ操作する場合で説明したが、他のB社株境界線432a〜E社株境界線435aについてもA社株境界線431aと同様のドラッグ操作を行って、買付注文操作又は売却注文操作を行うことが可能である。棒グラフのポートフォリオグラフ430を含むポートフォリオ画面421においても、円グラフのポートフォリオグラフ30を含むポートフォリオ画面21に関して説明した各種変形例の内容(図25〜31等参照)を適用することが可能である。さらにまた、棒グラフのポートフォリオグラフ430は、図32、33に示すように垂直方向に配置するだけでなく、図中の水平方向に延伸する仕様にすることも可能である。
また、上述した各社株図形部は、円グラフ又は棒グラフのポートフォリオグラフの中で用いる例で説明したが、各社株図形部は、必ずポートフォリオの形態で表示する必要はなく、取引対象となる銘柄図形部単体、取引対象となる銘柄図形部と現金図形部の組合せ、又は、図30の連動設定メニュー画面126で設定した連動対象となる銘柄図形部同士の組合せをユーザに提示するようにしてもよい。このようにポートフォリオではなく、取引対象に絞った各図形部をユーザに示す場合は、ユーザが取引対象にしている銘柄に絞って取引判断を行いやすくなるというメリットが生じる。
図34(a)は、A社株図形部単体で用いた画面例を示しており、図6、7に示す特定銘柄取引画面45等と同等の画面において、単独でA社株図形部146を用いて、特定の銘柄の売却又は買付注文操作を行えるようにした変形例のA社株取引画面145を示している。A社株図形部146は、上述した図32、33等に示す棒グラフのポートフォリオグラフ430の中からA社株図形部を取り出して水平方向に配置したような形態になっており、長方形のA社株図形部146は、水平方向の寸法がA社株の保有量(評価価値)に応じたものになっている。このようなA社株図形部146を含むA社株取引画面145は、証券会社システム2から送信されてくるA社株式の保有量に係る銘柄保有情報に基づき生成される。
また、このA社株取引画面145は、A社株図形部146の下方に、図12、13,図33(b)に示す場合と同様に、取引金額表示欄150a、買付ボタン150b(図34(a)に示す状態では非アクティブ状態)、売却ボタン150c(図34(a)に示す状態では非アクティブ状態)、及びキャンセルボタン150dを含む売買注文メニュー150を含んでいる。
A社株取引画面145に配置されるA社株図形部146は、図中の左側端部146cの境界線を固定にする一方、図中の右側端部146d(A社株式の評価額を特定する図形箇所に該当)に位置するA社株境界線146aをユーザ操作により移動可能な保有量インジケータにしている。なお、A社株図形部146の右方には、A社株境界線146aが右方へ移動できる範囲を破線で示しており、この破線は、ユーザ口座に入っている現金の額に応じた範囲寸法に対応している。
図34(b)は、A社株境界線146aがユーザにより選択された状態を示し、上述した各例と同様に、選択状態では線幅が太くなると共に、移動方向(左方向又は右方向)を示す移動マーク140がA社株境界線146aに対して表示される。図34(c)に示すようにA社株境界線146aを図中の右方向へ移動させるユーザ操作(ドラッグ操作)を行うと、A社株図形部146aの図形範囲が拡大するので、A社株式の買付操作を意味することになる。このような右方向へのドラッグ操作を行うと、A社株境界線146aの移動量をCPU10aが検知して、検知した移動量に応じた買付量(買付額)を特定し、その特定した額を取引金額表示欄150aに示すと共に、買付ボタン150bをアクティブ状態にして、ユーザからの買付注文の操作を受け付け可能にする。なお、この場合も、A社株境界線146aを右方向へ移動できる範囲の限度は、口座に入っている現金の量により制限を受けることになり、現金の額を超える分のドラッグ操作は、CPU10aにより無視されて、現金の額により制限される限度より右方向へA社株境界線146aは移動できないようになっている。
また、図34(b)に示す選択状態のA社株境界線146aを図中の左方向へ移動させるユーザ操作(ドラッグ操作)を行うと、A社株図形部146aの図形範囲が減少するので、A社株式の売却操作を意味することになる。このような左方向へのドラッグ操作を行うと、A社株境界線146aの移動量をCPU10aが検知して、検知した移動量に応じた売却量(売却額)を特定し、その特定した額を取引金額表示欄150aに示すと共に、売却ボタン150cをアクティブ状態にして、ユーザからの売却注文の操作を受け付け可能にする。なお、A社株境界線146aは、左側端部146cの境界線に重なる位置まで移動でき、この場合、ログイン中のユーザが保有するA社株式の全部の売却を意味することになる。
図34(a)(b)では、A社株図形部146を用いたA社株取引画面145を例にして説明したが、他のB社株図形部等を用いたB社株取引画面等でも同様な操作を行うことができる。このように図34(a)(b)に示す変形例では、A社株図形部146のA社株境界線146aを左右何れかの方向にドラッグ操作することで、売却又は買付のいずれの取引注文も出すことができるので、取引額の入力操作等を不要にして、直感的な操作を可能にしたユーザインタフェースをユーザに提供できる。なお、図34(a)〜(c)では、A社株図形部146のみを単体で示すようにしたが、A社株図形部146の右方の口座の現金の額に応じた破線を実線で表して、A社株図形部146と現金図形部の組合せとして表現するようにしてもよい。
図35は、更に別の変形例のポートフォリオ画面521を示し、このポートフォリオ画面521は、図10等に示す円グラフ又は図32等に示す棒グラフではなく、イコライザー的な銘柄図形部を用いたことが特徴になっている。即ち、ポートフォリオ画面521は、A社株式の保有量を示すA社株イコライザー部531、B社株式の保有量を示すB社株イコライザー部532、C社株式の保有量を示すC社株イコライザー部533、D社株式の保有量を示すD社株イコライザー部534、E社株式の保有量を示すE社株イコライザー部535、口座に入っている現金量を示す現金イコライザー部536を含んでいる(各社株イコライザー部521〜535は銘柄図形部に該当し、現金イコライザー部536は現金図形部に該当する)。
各社株イコライザー部531〜535は、保有量(評価額に応じた金額量)を示す箇所に配置される保有量インジケータ531a〜535aをユーザ操作により移動可能に含んでおり、これら保有量インジケータ531a〜535aより左方の範囲部分531b〜535bが保有量(株式評価金額)に応じた寸法を有している。なお、各保有量インジケータ531a〜535aはユーザにより選択可能になっており、選択状態になると移動操作(ドラッグ操作)が可能になる。また、現金イコライザー部536も、口座の現金の額を示す箇所に位置する現金インジケータ536aを有し、この現金インジケータ536aは、上述した各例と同様に、各保有量インジケータ531a〜535aの移動に連動して自動的に移動することになる。そして現金インジケータ536aの左方の範囲部分536bが口座金額の金額量に応じた寸法を有している。なお、この変形例のポートフォリオ画面521も、画面下方にポートフォリオ詳細情報532を配置している。
図36(a)は、A社株イコライザー部531の保有量インジケータ531aをユーザによる選択操作で選択状態にした場合を示しており、保有量インジケータ531aが選択状態になることで、上述した各例と同様に、保有量インジケータ531aの移動可能方向(図中の左方向又は右方向)を示す移動マーク540が保有量インジケータ531aに対して表示される。
図36(b)の変形例のポートフォリオ画面521は、A社株イコライザー部531の保有量インジケータ531aを右方向に移動させるユーザ操作(ドラッグ操作)を行った場合を示しており、上述した図12、図33(b)で説明したポートフォリオ画面21、421に対応するものである。この場合、A社株イコライザー部531の範囲部分531bは保有量インジケータ531aの移動により拡大するので、A社株式の買付注文操作に該当する。また、この図36(b)においても、図12等で示した場合と同様に、保有量インジケータ531aの移動量が買付量に該当する(図36(b)に示す場合では、買付量は5万円)。さらに、上述したA社株イコライザー部531の保有量インジケータ531aの移動操作に連動して、現金イコライザー部536の現金インジケータ536aが5万円分、左方向へ移動するのも図12、図33(b)等に示す場合と同様である。
そして、ポートフォリオ画面521は、A社株の保有量インジケータ531aの移動操作(ドラッグ操作)に伴って、図12等に示す場合と同様に、取引金額表示欄523a、買付ボタン523b、売却ボタン523c(図36(b)では非アクティブ状態)、及びキャンセルボタン523dを含む売買注文メニュー523を画面下部に表示することになる。また、図示しないが、A社株の保有量インジケータ531aを左方向に移動させるユーザ操作(ドラッグ操作)を行うと、A社株式の売却注文操作を行ったことになり、この場合も、図13の売却注文操作と同様の内容が、変形例のポートフォリオ画面521にも当てはまることになる。
なお、上記のポートフォリオ画面521の説明では、A社株の保有量インジケータ531aをドラッグ操作する場合で説明したが、他のB社株イコライザー部532の保有量インジケータ532a〜E社株イコライザー部535の保有量インジケータ535aについても上記と同様のドラッグ操作を行って、買付注文操作又は売却注文操作を行うことが可能である。また、このようなイコライザー形式のポートフォリオ画面521においても、上述した円グラフのポートフォリオグラフ30を含むポートフォリオ画面21に関して説明した各種変形例の内容(図25〜31等参照)を適用することが可能である。さらにまた、各イコライザー部531〜536は、図35、36に示すように水平方向に配置するだけでなく、垂直方向に配置することも可能である。
また、上述した各ポートフォリオ画面21等には、取引判断に用いることが可能な様々な情報を提供する欄を設けるようにしてもよく、このような情報の欄の例としては、平均為替欄、及び現在の為替欄等が想定できる。このような情報の欄は、銘柄が海外(例えば、米国)の株式であり、その海外との為替に関する情報を、平均為替欄、及び現在の為替欄に表示すれば、投資家(ユーザ)は自国の金銭単位との関係を考慮した上で、売買取引を行いやすくなり好適である。なお、海外の銘柄を取引対象にする場合は、ユーザ操作により指定される国の金額貨幣と、取引対象の国を貨幣とに関する為替処理等もシステムサーバ80等で適宜行った上で、取引株数等を算出することになる。このような表示対象となる為替に関する情報は、ユーザ端末(スマートフォン10等)が、情報収集システム3から直接取得するか、又は、証券会社システム2が為替に関する情報を取得してユーザ端末へ送信することになる。
また、上述した各ポートフォリオ画面21等で用いられる金額単位は、万円単位の他に、金額の少なくとも一桁目から三桁目までを0にした千円単位(三桁目以下を0にした単位)にすること、一桁目から二桁目までを0にした百円単位(二桁目以下を0にした単位)にすること、又は一桁目を0にした十円単位にすることも可能である。
さらに、本発明で扱える金融商品としては、世界中の株式等が対象となり、また、その場合、銘柄取引画面45等において買い/売りで設定する貨幣種類としては、日本円以外に、米国:ドル、カナダ:ドル、欧州:ユーロ、ブラジル:レアル、オーストラリア:ドル、中国:元、英国:ポンド、韓国:ウォン、ニュージーランド:ドル、シンガポール:ドル、南アフリカ:ランド、香港:ドル、タイ:バーツ、スイス:フラン、インド:ルピー、ロシア:ルーブル、フィリピン:ペソ、インドネシア:ルピア等を用いることも可能である。その場合、金額単位として、日本円の100円以上が貨幣単位となる海外貨幣(ドル、ユーロ等)に対しては金額の少なくとも一桁目を0にすることが、金額の扱い負荷を低減するために好適である。また、このように海外の貨幣単位を用いる場合、為替に関する処理をシステムサーバ80で行う。
そして、本発明は、上述したように金額単位でユーザの売買注文の操作を受け付ける以外に、株数単位で売買注文の操作指示を受け付けることも可能であり、この場合、図6、7の特定銘柄取引画面45の金額設定欄46eは、株数設定欄に切り替わることになると共に、各ポートフォリオ画面21等の取引金額表示欄23a等も株数設定欄に切り替わることになる。さらに、本発明は、証券会社システム2が相対取引で取引処理を実行する以外に、委託取引で取引処理を実行することにも適用できる(取引所システム4に係る金融商品取引所で取引を執行する場合等を想定)。さらにまた、本発明の取引対象は、上述した株式以外の金融商品にも適用でき、具体的には、債券、不動産証券、投資信託等の有価証券、又は、先物取引、CFD(Contract for Difference)、新株予約権等の派生商品(金融デリバティブ)が想定でき、これらの金融商品における銘柄に相当するものに対して上述した内容を適用できる。
また、図21の第2フローチャートのS32の段階で証券会社システム2(システムサーバ80)がユーザ端末へ送信するポートフォリオ情報は、その中身が「総資産額、各銘柄の評価金額、及び口座金額」である場合、又は「総資産額、総資産額に対する各銘柄の金額割合(パーセント)、及び総資産額に対する口座金額割合(パーセント)」である場合について上記で説明したが、このような中身以外にも、「総資産額、各銘柄についてログイン中のユーザが保有する株式数(銘柄保有情報に相当)、各銘柄の直近の株価、口座金額」という中身の情報をポートフォリオ情報としてユーザ端末へ送信してもよい。この場合はユーザ端末側で、「総資産額、各銘柄についてログイン中のユーザが保有する株式数、各銘柄の直近の株価、口座金額」という中身のポートフォリオ情報から、各銘柄の評価金額、又は総資産額に対する各銘柄の金額割合(パーセント)等を算出してポートフォリオ画面を生成することになる。
さらに、株価の変動に伴うポートフォリオの変化も詳細にユーザへ提示する場合などには、一旦、ポートフォリオ情報を送信してからも、直近の銘柄の株価を証券会社システム2又は情報収集システム3等からユーザ端末へ送信し、ユーザ端末(CPU10a)は、先に受信していたポートフォリオ情報を記憶しておくと共に、受信した直近の銘柄の株価と、記憶しておいたポートフォリオ情報に含まれる各銘柄の株式数等を用いて、各銘柄の評価金額、又は総資産額に対する各銘柄の金額割合(パーセント)等を算出して最新のポートフォリオ画面を生成するようにしてもよい。
さらにまた、上述したように海外の企業の株式を取引対象にする場合、ユーザ端末へ送信するポートフォリオ情報の中身に含まれる総資産額、各銘柄の評価金額(又は総資産額に対する各銘柄の金額割合)等については、証券会社システム2(システムサーバ80)側で、海外の為替レートを用いて算出した額等にすることが想定できる。このときに用いる為替レートは、ユーザ端末からのポートフォリオ要求情報を証券会社システム2が受信した時点において(図21のS25:YESの段階参照)、証券会社システム2が把握している直近の為替レートを用いることになる。また、為替レートが変動する時間帯等であれば、為替レートの変動に合わせて上記の各額等を証券会社システム2(システムサーバ80)で算出することで、為替レートの変動も、ポートフォリオで表現できるようにしてもよい。さらに、海外の為替レートを証券会社システム2又は情報収集システム3等からユーザ端末へ送信して、ユーザ端末で、受信した為替レートを用いて、総資産額、各銘柄の評価金額(又は総資産額に対する各銘柄の金額割合)等について算出し、算出した結果を用いてポートフォリオ画面を生成することも勿論可能である。
なお、上述した現金図形部(例えば、図10の現金図形部36等)は、口座に入っている現金を対象としたが、現金相当品(現金と同様の流動性を有する金融商品、例えば、MRF、MMF等)に応じた口座のときは、現金図形部について現金相当品の評価額を対象としてもよく、また、現金及び現金相当品の口座の両方をユーザが持っているときは、それらの両方を合わせた額を対象にしてもよい。