JP5839985B2 - 冷凍サイクル装置 - Google Patents
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Description
また、冷媒の膨張動力を回収して消費することにより、蒸発器の比エンタルピー差を大きくすることができ、冷凍サイクルにおける所定の冷凍能力を得るための冷媒循環量を減少させることができるので、圧縮機に必要な圧縮動力を低減させることができ、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
(冷凍サイクル装置100の構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の冷媒回路構成図の一例を示す図である。
図1で示されるように、冷凍サイクル装置100は、冷媒を圧縮する圧縮機4と、圧縮された高温高圧冷媒から放熱させる放熱器7と、その放熱器7から流出した冷媒を膨張することで膨張動力を回収する膨張機1と、その膨張機1で膨張及び減圧された冷媒を蒸発させる蒸発器8とが冷媒配管によって接続され、冷凍サイクルを構成している。
図2は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の膨張機1の断面模式図であり、図3は、同膨張機1の負荷装置3の断面拡大図である。
図2で示されるように、膨張機1は、冷媒の膨張動力を回収し、密閉容器35によって周囲を覆われた膨張機構2、この膨張機構2によって回収された膨張動力を消費する負荷装置3、及び、膨張機構2と負荷装置3とを隔離し、かつ、接続する役割を有する隔離板45によって構成されている。
また、ブレーキ部材17は駆動軸20の半径方向に移動可能としているが、厳密に半径方向に限定されるものではなく、駆動軸20を挟み込む向き及び駆動軸20から離れる向きに移動可能であればよい。
また、図2及び図3で示されるように、ブレーキ部材17は、駆動軸20を挟み込むように2個配置された構成としているが、これに限定されるものではなく、1個又は3個以上が配置される構成としてもよい。
図4で示されるように、膨張機構2は、揺動スクロール21、膨張機構固定スクロール23、オルダムリング28及び内周シール30を主要な構成要素として備えている。
次に、図2を参照しながら、膨張機1の動作の概要について説明する。
放熱器7から流出した高圧冷媒は、膨張機構入口管36から膨張機1内に流入する。膨張機1内に流入した高圧冷媒は、膨張機構2内に流入し、この膨張機構2によって膨張及び減圧される。この冷媒を膨張及び減圧する際、膨張機構2は冷媒から膨張動力を回収する。すなわち、膨張動力は、駆動軸20の回転エネルギーに変換される。膨張及び減圧されて低圧となった冷媒は、低圧空間42に流出した後、膨張機構出口管37から膨張機1外に流出し、蒸発器8に向かう。
放熱器7から流出した高圧冷媒は、膨張機構入口管36から膨張機1内に流入し、膨張用導入通路25に流入することによって、膨張機構2に流入することになる。この膨張用導入通路25に流入した高圧冷媒は、揺動スクロール21及び膨張機構固定スクロール23によって形成される膨張室26内に取り込まれる。膨張室26に取り込まれた冷媒の膨張動力は、揺動スクロール21の揺動を誘引し、この揺動スクロール21の揺動によって、駆動軸20が回転する。すなわち、膨張動力が駆動軸20の回転エネルギーに変換され、膨張機構2によって冷媒から膨張動力が回収されることになる。その後の動作は、図2において前述した動作と同様である。
ブレーキ部材17は、前述のように、駆動軸20の半径方向に移動可能なように、ブレーキ部材収納容器18の内壁面に埋設されているが、ブレーキ部材17の側面とブレーキ部材収納容器18との間には、所定の幅を有する微小な間隙(図示せず)が存在する。高圧導入管15の流量調整弁16を経由して、高圧導入通路19を介して流入してくる高圧冷媒は、この微小な間隙を通過して、ブレーキ部材収納容器18の内部空間である低圧空間43に流入し、この低圧空間43と連通している低圧空間42にも流入し、膨張機構2により膨張及び減圧された低圧の冷媒と合流する。このとき、微小な間隙を通過する冷媒より流量調整弁16を通過する冷媒の方が多い場合、ブレーキ部材17の背面に作用する圧力PHは高くなる。一方、微小な間隙を通過する冷媒より流量調整弁16を通過する冷媒の方が少ない場合、ブレーキ部材17の背面に作用する圧力PHは低くなる。すなわち、流量調整弁16の開度を調整することによって、圧力PHを制御することが可能となる。
次に、図1を参照しながら、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の冷凍サイクルの動作概要について説明する。
図6は、本発明の実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100の高圧制御動作を示すフローチャートである。以下、図6を参照しながら、冷凍サイクル装置100の高圧制御動作について説明する。
制御装置60は、冷凍サイクル装置100の運転開始後、初期状態として流量調整弁16を所定開度に調整する。そして、ステップS2へ進む。
制御装置60は、圧縮機4を始動(具体的には、モーター6の回転駆動の始動)させ、冷媒の圧縮動作を開始する。そして、ステップS3へ進む。
膨張機1は、圧縮機4が始動されることによって、放熱器7から流出した高圧冷媒を膨張及び減圧させ、低圧の気液二相冷媒にする。そして、ステップS4へ進む。
制御装置60は、吐出圧力検出手段70によって検出された圧縮機4からの吐出冷媒の圧力(高圧)が、所定範囲内であるか否かを判定する。その判定の結果、所定範囲内である場合、制御装置60は、現状の運転状態を維持し、吐出圧力検出手段70によって検出された高圧が、所定範囲内であるか否かを継続して判定する。一方、所定範囲外である場合、ステップS5へ進む。
なお、上記の「所定範囲」とは、冷凍サイクル装置100の冷凍サイクル効率が最適又はその近傍となる高圧の目標範囲であり、必ずしも一定の幅を有する数値範囲に限定されるものではなく、特定の値である所定値をも含む概念であるものとする。
制御装置60は、ステップS4において吐出圧力検出手段70によって検出された高圧が、所定範囲よりも高いか否かを判定する。その判定の結果、所定範囲よりも高い場合、ステップS6へ進む。一方、所定範囲よりも低い場合、ステップS7へ進む。
制御装置60は、流量調整弁16の開度を現状の開度よりも所定量小さくする。これによって、流量調整弁16を通過する冷媒の流量が少なくなり、ブレーキ部材17の背面に作用する圧力が低くなり、そして、駆動軸20の回転数が高くなるので、冷凍サイクル装置100の高圧(吐出圧力検出手段70によって検出される圧力)を低くすることができる。そして、ステップS4へ戻る。
制御装置60は、流量調整弁16の開度を現状の開度よりも所定量大きくする。これによって、流量調整弁16を通過する冷媒の流量が多くなり、ブレーキ部材17の背面に作用する圧力が高くなり、そして、駆動軸20の回転数が低くなるので、冷凍サイクル装置100の高圧(吐出圧力検出手段70によって検出される圧力)を高くすることができる。そして、ステップS4へ戻る。
前述したように、膨張機1においては、冷媒の膨張動力が回収され、最終的には、ブレーキ部材17と駆動軸20との間に摩擦による熱エネルギーに変換され、放熱板41から外部に放熱されることになる。その膨張機1の膨張過程における膨張熱落差分だけ、蒸発器8に流入する冷媒の比エンタルピーが低下し、図7で示されるように、蒸発器8の出入口の比エンタルピー差が大きくなる。また、図7の点線で示される膨張過程は、膨張動力を回収しない膨張弁を用いた場合のものを示している。このように、蒸発器8の比エンタルピー差が大きくなることによって、冷凍サイクルにおける所定の冷凍能力を得るための冷媒循環量が減少するので、圧縮機4に必要な圧縮動力を低減させることができ、冷凍サイクルの効率を向上させることができる。
以上の構成及び動作のように、流量調整弁16の開度を調整して冷媒の流量を調整し、ブレーキ部材17の背面の圧力を調整することによって、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の高圧を制御することが可能となり、冷凍サイクルの効率が最適又はその近傍となる高圧に制御することが可能となる。
本実施の形態に係る冷凍サイクル装置101について、実施の形態1に係る冷凍サイクル装置100と相違する点を中心に説明し、原則として同一部分には同一符号を付すものとする。
図8は、本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置101の冷媒回路構成図の一例を示す図である。
図8で示されるように、冷凍サイクル装置101において、実施の形態1と同様に、放熱器7と膨張機1とを接続する冷媒配管から高圧導入管15が分岐しており、この高圧導入管15は、膨張機1の負荷装置3に接続している。また、高圧導入管15には、高圧導入管15を流通する冷媒の流量を調整する流量調整弁16aが設置されている。また、この流量調整弁16aと負荷装置3とを接続する冷媒配管から、バイパス配管9が分岐しており、このバイパス配管9は、膨張機1蒸発器8とを接続する冷媒配管に接続されている。そして、バイパス配管9には、バイパス配管9を流通する冷媒の流量を調整する流量調整弁16bが設置されている。
図9は、本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置101の膨張機1の負荷装置3aの断面拡大図である。
図9で示されるように、膨張機1の負荷装置3aにおけるブレーキ部材17の側面とブレーキ部材収納容器18とをシールするシール材47がブレーキ部材17に設置されている。このシール材47によって、実施の形態1における負荷装置3のようにブレーキ部材17の側面とブレーキ部材収納容器18との微小な間隙を冷媒が流通するということがない。その他の負荷装置3aの構造は、実施の形態1における負荷装置3と同様である。
次に、図8及び図9を参照しながら、膨張機1の動作、特にブレーキ部材17の背面に作用する圧力PHについて説明する。
ブレーキ部材17は、前述のように、駆動軸20の半径方向に移動可能なように、ブレーキ部材収納容器18の内壁面に埋設されており、ブレーキ部材17に設置されたシール材47が、ブレーキ部材17の側面とブレーキ部材収納容器18とをシールしている。したがって、実施の形態1のように、高圧導入管15を流通し、高圧導入通路19を介して流入してくる冷媒が、ブレーキ部材収納容器18の内部空間である低圧空間43に流入することはない。したがって、高圧導入管15の流量調整弁16aを経由してきた冷媒の圧力が、そのまま、ブレーキ部材17の背面に圧力PHとして作用することになり、高圧導入管15を流通する冷媒は流量調整弁16aを経由し、そのままバイパス配管9に流入し、流量調整弁16bを経由して、蒸発器8へ向かうことになる。ここで、流量調整弁16aの開度が小さくなる方向に調整され、流量調整弁16bの開度が大きくなる方向に調整された場合、上流側である流量調整弁16aによる減圧量は大きくなり、下流側である流量調整弁16bによる減圧量は小さくなる。その結果、負荷装置3aに接続される高圧導入管15の冷媒の圧力は低くなり、ブレーキ部材17の背面に作用する圧力PHは低くなる。一方、流量調整弁16aの開度が大きくなる方向に調整され、流量調整弁16bの開度が小さくなる方向に調整された場合、上流側である流量調整弁16aによる減圧量は小さくなり、下流側である流量調整弁16bによる減圧量は大きくなる。その結果、負荷装置3aに接続される高圧導入管15の冷媒の圧力は高くなり、ブレーキ部材17の背面に作用する圧力PHは高くなる。すなわち、流量調整弁16a、16bの開度を調整することによって、圧力PHを制御することが可能となる。
図10は、本発明の実施の形態2に係る冷凍サイクル装置101の高圧制御動作を示すフローチャートである。以下、図10を参照しながら、冷凍サイクル装置101の高圧制御動作について説明する。
制御装置60は、冷凍サイクル装置101の運転開始後、初期状態として、流量調整弁16a、16bを所定開度に調整する。そして、ステップS12へ進む。
なお、この所定開度について、流量調整弁16aの開度と流量調整弁16bの開度とが同一である必要はなく、例えば、流量調整弁16aを閉状態とし、流量調整弁16bのみ開状態とするものとしてもよい。この場合、ブレーキ部材17の背面には、膨張機1の出口側の冷媒圧力(低圧)が作用し、ブレーキ部材17の正面及び背面の圧力差は生じない。
制御装置60は、圧縮機4を始動(具体的には、モーター6の回転駆動の始動)させ、冷媒の圧縮動作を開始する。そして、ステップS13へ進む。
膨張機1は、圧縮機4が始動されることによって、放熱器7から流出した高圧冷媒を膨張及び減圧させ、低圧の気液二相冷媒にする。そして、ステップS14へ進む。
制御装置60は、吐出圧力検出手段70によって検出された圧縮機4からの吐出冷媒の圧力(高圧)が、所定範囲内であるか否かを判定する。その判定の結果、所定範囲内である場合、制御装置60は、現状の運転状態を維持し、吐出圧力検出手段70によって検出された高圧が、所定範囲内であるか否かを継続して判定する。一方、所定範囲外である場合、ステップS15へ進む。
なお、上記の「所定範囲」とは、冷凍サイクル装置101の冷凍サイクル効率が最適又はその近傍となる高圧の目標範囲であり、必ずしも一定の幅を有する数値範囲に限定されるものではなく、特定の値である所定値をも含む概念であるものとする。
制御装置60は、ステップS14において吐出圧力検出手段70によって検出された高圧が、所定範囲よりも高いか否かを判定する。その判定の結果、所定範囲よりも高い場合、ステップS16へ進む。一方、所定範囲よりも低い場合、ステップS17へ進む。
制御装置60は、流量調整弁16aの開度を現状の開度よりも所定量小さくし、流量調整弁16bの開度を現状の開度よりも所定量大きくする。これによって、ブレーキ部材17の背面に作用する圧力が低くなり、駆動軸20の回転数が高くなるので、冷凍サイクル装置101の高圧(吐出圧力検出手段70によって検出される圧力)を低くすることができる。そして、ステップS14へ戻る。
制御装置60は、流量調整弁16aの開度を現状の開度よりも所定量大きくし、流量調整弁16bの開度を現状の開度よりも所定量小さくする。これによって、ブレーキ部材17の背面に作用する圧力が高くなり、駆動軸20の回転数が低くなるので、冷凍サイクル装置101の高圧(吐出圧力検出手段70によって検出される圧力)を高くすることができる。そして、ステップS14へ戻る。
以上の構成及び動作のように、流量調整弁16a、16bの開度を調整して冷媒の流量を調整し、ブレーキ部材17の背面の圧力を調整することによって、本実施の形態に係る冷凍サイクル装置101の高圧を制御することが可能となり、冷凍サイクルの効率が最適又はその近傍となる高圧に制御することが可能となる。
Claims (4)
- 冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒から放熱する放熱器と、冷媒を膨張及び減圧する膨張機と、冷媒を蒸発させる蒸発器とが冷媒配管によって接続されて冷凍サイクルが構成された冷凍サイクル装置において、
前記圧縮機の吐出圧力である高圧を検出する吐出圧力検出手段と、
前記圧縮機の回転数を制御する制御装置と、
を備え、
前記膨張機は、駆動軸と、冷媒を膨張及び減圧したときの冷媒圧力である低圧にする時の膨張動力を回収して該駆動軸の回転エネルギーに変換する膨張機構と、前記駆動軸に接触する向き及び前記駆動軸から離れる向きに移動可能であり、前記駆動軸に接触することによって該駆動軸の回転動作を妨げるブレーキ部材とを備え、
前記放熱器の出口側の前記冷媒配管と、前記膨張機において形成され、前記ブレーキ部材の前記駆動軸との接触面である正面と反対側の面である背面側に前記放熱器から流出した冷媒を導入する通路とが高圧導入管によって接続され、
前記放熱器から流出して前記高圧導入管を流通する冷媒の流量を調整する第1流量調整弁が前記高圧導入管に設置され、
前記第1流量調整弁と前記通路との間の前記高圧導入管と、前記膨張機と前記蒸発器とを接続する前記冷媒配管とがバイパス配管によって分岐接続され、
前記第1流量調整弁を経由して前記バイパス配管を流通する冷媒の流量を調整する第2流量調整弁が前記バイパス配管に設置され、
前記制御装置は、前記第1流量調整弁及び前記第2流量調整弁の開度を調整することによって、前記ブレーキ部材の前記背面側に導入される冷媒の圧力を調整して前記ブレーキ部材を前記駆動軸に押し付ける力を調整し、該駆動軸の回転数を調整し、前記吐出圧力検出手段によって検出される前記高圧が所定範囲になるように制御する
ことを特徴とする冷凍サイクル装置。 - 前記ブレーキ部材は、前記通路が形成された前記膨張機の外郭容器の内壁面に埋設され、前記ブレーキ部材の側面と前記外郭容器との間をシールするシール材を有し、
該外郭容器内において、前記膨張機構によって前記低圧に減圧された冷媒によって満たされた空間が形成され、
前記シール材によって、前記通路と前記空間とが遮断され、
前記制御装置は、前記第1流量調整弁及び前記第2流量調整弁の開度を調整することによって、前記ブレーキ部材の前記背面側に作用する冷媒圧力と前記正面に作用する前記低圧との差圧を調整して前記ブレーキ部材を前記駆動軸に押し付ける力を調整し、前記吐出圧力検出手段によって検出される前記高圧が前記所定範囲になるように制御する
ことを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル装置。 - 前記制御装置は、
前記吐出圧力検出手段によって検出された前記高圧が前記所定範囲より高い場合、前記第1流量調整弁の開度をその時の開度よりも小さく調整し、前記第2流量調整弁の開度をその時の開度よりも大きく調整し、
該高圧が前記所定範囲より低い場合、前記第1流量調整弁の開度をその時の開度よりも大きく調整し、前記第2流量調整弁の開度をその時の開度よりも小さく調整する
ことを特徴とする請求項2記載の冷凍サイクル装置。 - 前記膨張機の外郭に設置され、前記駆動軸と前記ブレーキ部材とが接触することによって発生する摩擦による熱エネルギーを放熱する放熱板を備えた
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
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