以下、図面に従って本発明の実施形態を説明する。図1は、本実施形態を適用した発券ユニットの外装を外した状態であって、発券ユニット1の内部レイアウトを示す斜視図である。
発券ユニット1は、主な要素として、印刷部2、切替部6、リジェクト部8、出口部20を有する。発券ユニット1は、出口部20が配置された側、つまり本図で向かって右側が、前側になる。以下で、発券ユニット1の前後方向の向きを、図示のように「前側」と「奥側」と称し、また、左右の表示は、前側から見た方向で呼ぶ。
印刷部2は、印刷部A2−1と印刷部B2−2の2つを有する。印刷部A2−1は、発券ユニット1の奥側の位置の右側に設けられ、印刷部B2−2は、同じく左側に設けられる。
印刷部A2−1及び印刷部B2−2の内部には、媒体用のロール紙4がそれぞれ収納される。印刷部A2−1及び印刷部B2−2の両方に、ロール紙4がある場合には、印刷部A2−1が優先され、印刷部A2−1で媒体の印刷が行われる。印刷部A2−1のロール紙4がなくなった場合に、印刷部B2−2で媒体の印刷が行われる。また、2種類のロール紙を個々に印刷部A2−1及び印刷部B2−2の内部に入れて、必要に応じて、印刷することも可能である。
印刷部A2−1及び印刷部B2−2は、ロール紙4を指定の寸法に切断し、切断された用紙(以下、媒体と呼ぶ)に指定した文字やマーク等を印刷し、印刷後に指定した文字やマーク等が正しく印字されているかを確認する。印刷機構は、例えばサーマルプリンタである。
切替部6は、印刷部A2−1及び印刷部B2−2で印刷された媒体を、それぞれ出口部20まで搬送するものである。
印刷部A2−1で印刷された媒体10は、媒体10a―1の位置から切替部6に入り、切替部6で斜め下方向(媒体10a―2)に搬送され出口部20に送出される。
一方、印刷部B2−2で印刷された媒体10は、媒体10b―1の位置から、切替部6で、媒体10b―2、媒体10b―3、媒体10b―4の順に示すように、右方向に搬送されて、出口部20に送出される。
出口部20は、発券ユニット1の前側右下隅に配置される。発券ユニット1から外した状態の出口部20も、あわせて示す。
出口部20は、切替部6から送出される印刷された媒体を複数枚スタック(積層)して、取出し口24に放出するものである。出口部20の前面には、前カバー22を設けられる。前カバー22には、単体あるいは積層された複数枚の媒体の束を取り出すための取出し口24とシャッター23が設けられる。取出し口24は、媒体が放出される時以外はシャッター23で遮蔽される。
取り外された状態で示す出口部20では、単体あるいは積層された媒体10が取出し口24から放出された状態を示す。
図2は、出口部20及び出口部20に設けられる関連する部品を拡大して示す図である。図2(A)は、出口部20の拡大斜視図である。出口部20の前面側には、前述のように、取出し口24にシャッター23が設けられた前カバー22が取付けられる。出口部20の左側の奥に、後述する媒体動作部30を駆動するガイド駆動モータ68が設けられる。
ガイド駆動モータ68の斜め下側に、媒体10を取出し口24まで放出する搬送用駆動モータ94が設けられる。
前カバー22の奥側で左側面の位置に可動ガイドL62、同じく右側面の位置に可動ガイドR64が設けられる。可動ガイドL62と可動ガイドR64は、ガイド駆動モータ68の駆動によって媒体動作部30を移動させるための1対のガイドで、可動ガイドL62と可動ガイドR64の間に媒体動作部30が配置される。
図2(B)及び(C)は、可動ガイドL62及び可動ガイドR64の単体の図で、図2(A)と同方向から見た斜視図である。図2(C)に示すように、可動ガイドR64の内側を向く面には、四角錐形状の凸部64aが形成される。図2(B)に示すように、可動ガイドL62の内側を向く面(本図では裏側になる)にも、破線で示すように、凸部64aと同等な四角錐形状の凸部62aが形成される。凸部62aと凸部64aについては、図10で詳述する。
可動ガイドR64には、可動ガイドL62と同期して回動されるよう、可動ガイドL62と結合するための各軸が取付けられる軸孔64b、軸孔64c、軸孔64dが計3か所設けられる。同様に、可動ガイドL62にも、一部裏側になって見えないが、対応する位置に軸孔62b、軸孔62c、軸孔62dがそれぞれ設けられる。
可動ガイドL62と可動ガイドR64に挟まれるような位置であって、軸孔62dと軸孔64dに取付けられる軸に嵌合するようにレバー40が取付けられる。図2(D)は、レバー40の拡大斜視図である。レバー40は、左右方向に細長い棒状の部材で、断面が半円状である。
レバー40の奥側の面は曲面40cで形成され、レバー40の前側の面は平坦状の取付部40aとなっている。レバー40の曲面40cには、溝部40bが2か所形成されている。溝部40bについては、図17で詳述する。
レバー40の奥側の近傍であって、可動ガイドL62と可動ガイドR64の間のセンタ位置に、媒体10が積載されるテーブルの位置を決めるためのテーブルストッパー80が設けられる。尚、テーブルストッパー80は、出口部20の本体の両側面部21より、不図示の軸に取り付けられている。図2(E)は、テーブルストッパー80の拡大斜視図である。テーブルストッパー80については、図15で詳述する。
図3は、出口部20から、前カバー22や搬送用駆動モータ94を取り外した状態の図である。出口部20には、媒体10を積層するために媒体10をテーブルへの押しつける動作をしたり、積層された媒体10を搬送する動作を行う媒体動作部30が設けられる。
出口部20には、また、媒体動作部30を媒体10を積層するための押しつけ位置や積層された媒体10の搬送を行うための搬送位置に移動させる移動部60が設けられる。
媒体動作部30は、ベルト32、プーリー34、レバー40及びレバーブラケット42を有する。ベルト32は、媒体10の表面に接触して、テーブルへの媒体10の押しつけ動作や搬送動作を行うもので、例えばタイミングベルトである。
また、プーリー34は、搬送動作時にベルト32を駆動するためもので、プーリー34a、プーリー34b、プーリー34c、プーリー34dの4つを1組としてベルト32に巻装される。ベルト32とプーリー34は、左右に1対設けられる。
レバー40は、本図で最も高い位置にある左右のプーリー34c、プーリー34dの間に挟まれるように設けられる。
レバーブラケット42は、指示軸75に嵌合されるレバー40を保持して、媒体動作部30の回動に連動してレバー40の奥側の曲面40cの部分の向きを変化させるものである。
レバーブラケット42は、平板状のベース42aと、ベース42aの奥側の端部から起立して設けられた取付部42bと、ベース42aの両側にベース42aに垂直な向きに設けられた1対の腕部42cを有する。腕部42cの端部には、それぞれU字状の開口が設けられる。
移動部60は、可動ガイドL62、可動ガイドR64、ガイド駆動モータ68、伝達ベルト70、トルクリミッタ72、伝達軸73、ギヤ74、支持軸75、支持軸76等を有する。
ガイド駆動モータ68の出力軸に伝達ベルト70が巻装され、伝達ベルト70の他方はトルクリミッタ72の入力軸に巻装される。伝達ベルト70によって、ガイド駆動モータ68の駆動力がトルクリミッタ72に伝達される。
トルクリミッタ72の出力軸には伝達軸73が結合され、伝達軸73の先端にはギヤ74(歯形状は不図示)取付けられる。ギヤ74は、可動ガイドR64の周面64eに形成されたギヤ(歯形状は不図示)に噛み合う。
可動ガイドL62の軸孔62bと可動ガイドR64の軸孔64bに中心軸66が取り付けられ、中心軸66は、不図示の支持部材に回動自在に支持される。
また、可動ガイドL62の軸孔62cと可動ガイドR64の軸孔64cに支持軸76が取付けられ、可動ガイドL62の軸孔62dと可動ガイドR64の軸孔64dに支持軸75が取付けられる。これにより、可動ガイドL62と可動ガイドR64は、中心軸66を中心にして、一体的に回動可能となる。
また、媒体動作部30のプーリー34aとプーリー34cに、中心軸66と支持軸75が取付けられることで、媒体動作部30は、可動ガイドL62と可動ガイドR64と一体的に回動される。
レバーブラケット42は、両側の腕部42cの端部にそれぞれ設けられたU字状の開口が、支持軸76に回動自在に嵌合して取付けられる。レバー40は、支持軸75に回動自在に嵌合され、かつ、レバー40の取付部40aがレバーブラケット42の取付部42bに固定されることで、レバー40の奥側の曲面40cの部分は、可動ガイドL62及び可動ガイドR64の回動角度に応じて、つまり媒体動作部30の回動角度に応じて、向きを変化させていく。
可動ガイドR64の周面64eには、伝達軸73の先端側に取付けられギヤ74と噛合うギヤが形成され、ギヤ74の回転により、可動ガイドR64が駆動される。
ガイド駆動モータ68の回転により、可動ガイドL62と可動ガイドR64は中心軸66を中心に一体的に回動され、媒体動作部30が、例えばp1方向に回動して移動される。
図4は、図3で示す出口部20をZ方向から見た側面図である。ここでは、媒体動作部30による作用を示すため、媒体動作部30と移動部60の必要な部材のみ図示している。なお、本図では、媒体動作部30は、媒体10を後述するテーブル90に押しつける前の状態に位置している様子を示している。
以降で、媒体10をテーブル90に押しつける前の位置であって、切替部6から送出される媒体10をテーブル90に収納(受け入れ)可能とする媒体動作部30の位置を第1の位置、受け入れた媒体10をテーブル90に押しつける媒体動作部30の位置を第2の位置、テーブル90に載置された媒体10を取出し口24に搬送する媒体動作部30の位置を第3の位置と、それぞれ称す。媒体動作部30は、第1の位置から第2の位置、第3の位置の順にp2方向に回動して移動する。
媒体10をテーブル90に押しつける動作を行うのは、複数枚の媒体をまとめて発券するためで、複数枚の媒体を束としてきれいにまとめるために、押しつける動作が必要になる。
切替部6には、出口部20の手前に、内部の印刷部2で印刷され搬送されてきた媒体10を出口部20に送出するローラ25が設けられる。
出口部には、図3で説明した部材の他に、テーブル90、テーブルストッパー80、媒体ストッパー92、下搬送部200が設けられる。
テーブル90は、切替部6から1枚ずつ送出された媒体10を順番に積層し、積層された媒体10を取出し口24から発券させるための台である。テーブル90は、媒体動作部30の第1の位置と第2の位置間での移動時には固定され、媒体動作部30が第3の位置に移動される場合に、テーブル90も、移動部60によって、同じくp2方向に回動され、略水平な角度まで移動される。図4のように、テーブル90は、第1の位置においては、奥側方向に上がった斜めの角度に配置される。
テーブル90の先端付近にテーブルストッパー80が設けられる。テーブルストッパー80は、固定的に配置され、テーブル90の角度位置を規定するものである。テーブルストッパー80は、テーブルストッパー80の下端の当接面80cが、テーブル90の先端に当接するような位置に配置される。
また、テーブルストッパー80には、媒体10を分離するための分離シート84、及び分離シート84を取り付けるためのブラケット82が設けられる。テーブルストッパー80については、図15で詳述する。
斜めのテーブル90の中間位置に、媒体ストッパー92が設けられる。媒体ストッパー92は、切替部6からテーブル90に向かって滑るように送出されてくる媒体10を、所定の位置で停止させるためのものである。送出された媒体10は、その前側方向の端部である先端部が媒体ストッパー92に当たり、テーブル90上での位置が決められる。
媒体ストッパー92は、固定的に配置され、媒体動作部30の移動に関わらず一定の位置にある。
テーブル90の下に、下搬送部200が設けられる。下搬送部200は、媒体10を媒体動作部30と上下に挟んで、媒体10を取出し口24に搬送するものである。下搬送部200は、第3の位置への媒体動作部30の移動と連動して、p2方向に移動される。媒体動作部30が第1の位置及び第2の位置にある場合には、図示のように、下搬送部200はテーブル90と略平行な斜めの角度に保持され移動はされない。
媒体動作部30のベルト32の下側が、媒体10をテーブル90に押しつける場合に、媒体10と接触する接触部32aとなる。なお、ベルト32は、媒体10を押しつける動作を行う場合には駆動されずに、第3の位置で媒体10を搬送する場合に駆動される。
このように、媒体動作部30は、発券ユニットの内部からテーブル90に搬送されてきた媒体10を、1枚ずつテーブル90に押しつけて媒体10をテーブル90上に積層して載置させる動作を行い、テーブル90に積層載置された複数枚の媒体10を取出し口24まで搬送する動作を行う。
下搬送部200は、ベルト202、プーリー204a、プーリー204b、プーリー204cを有する。ベルト202は、例えばタイミングベルトで、プーリー204a、プーリー204b及びプーリー204cに巻装される。ベルト202の上側にある搬送面202aが、媒体10を搬送する場合の搬送面になる。
テーブル90に載置された媒体10を取出し口24に搬送する場合には、媒体動作部30の接触部32aと下搬送部200の搬送面202aが略平行で、媒体10を挟持するような位置に、媒体動作部30と下搬送部200がそれぞれ移動される。
なお、図3で媒体動作部30で、ベルト32とプーリー34の組が左右に1つずつあることを示したが、下搬送部200でも、同様に、ベルト202およびプーリー204の組が左右に1つずつ設けられる。
図4で示すように、第1の位置にあっては媒体動作部30は、切替部6から送出された媒体10をテーブル90に収納可能なように、接触部32aをテーブル90の角度よりも立ち上がった角度になるような位置にする。
送出された媒体10がテーブル90に収納された後に、移動部60により媒体動作部30がp2方向に所定角度回動され(図4では、約30°)第2の位置に移動され、媒体動作部30の接触部32aが媒体10をテーブル90に押し付ける。
押し付け後に媒体動作部30は第2の位置から元の第1の位置に戻る。媒体10が1枚ずつテーブル90に送出される毎に、媒体動作部30の第1の位置と第2の位置間の移動が繰り返し行なわれ、媒体10がテーブル90に積層されていく。
所定枚数分の媒体10がテーブル90に積層されると、上述したように、媒体動作部30、下搬送部200及びテーブル90が水平位置まで移動されて、媒体10はベルト32とベルト202で挟持されて取出し口24まで搬送される。
〔第1実施形態〕
このように、出口部20では、ベルト32の接触部32aで媒体10を押しつけてテーブル90に複数枚の媒体を積層させるが、突発的に媒体10がテーブル90に載置されず、テーブル90に起立してしまったり、テーブル90からこぼれ落ちてしまう場合がある。その原因の1つとして、押しつけによって媒体10がベルト32の接触部32aに貼りつく現象があり、これを以下図5で説明する。
図5は、接触部32aに媒体10が貼りついたことによって、媒体10が出口部20内部に残留する過程を、時系列で説明する図である。なお、図5の説明では、下搬送部200の位置は直接関与しないので、下搬送部200は回動しない状態で示す。
図5(A)は、図4と同様に、媒体動作部30が第1の位置にある状態である。媒体動作部30がテーブル90から反時計方向に立ち上がって、ベルト32の接触部32aがテーブル90の面から離れた状態である。切替部6のローラ25(ここでは2組を表示)によって矢印m2で示す斜め左下方向に搬送された媒体10−1(破線で示す)は、テーブル90に落下する。そして、媒体10−1は、その先端が媒体ストッパー92に当接して、媒体10−1(実線で示す)はテーブル90に乗る。
切替部6から媒体10が送出された後に、媒体動作部30がp3方向に回動され第2の位置に移動され、テーブル90上の媒体10−1はベルト32によってテーブル90に押しつけられる。
図5(B)は、押しつけられた媒体10−1がベルト32の接触部32aに貼りついてしまった状態を示す図である。通常であれば、第2の位置から第1に位置に戻る媒体動作部30の接触部32aに媒体10−1が貼りつくことはないが、条件によって、媒体10−1が接触部32aに貼りついて持ち上がってしまうことが起きる。媒体10−1はテーブル90上からq1方向に移動してしまう。媒体10が接触部32aに貼りついてしまう原因は、静電気や湿度等である。
そして、媒体10−1がこのような位置にある場合に、切替部6からm3方向に新たに送出されてきた媒体10−2と、媒体10−1との干渉(衝突)が発生する。
図5(C)は、媒体10−1に媒体10−2が衝突した後に、媒体動作部30がp4方向に回動されて第2の位置に移動された様子である。衝突によってテーブル90に正常に収納されない新たな媒体10−2は、テーブルストッパー80にもたれかかってテーブル90の端部に立ち上がったような状態になり、ベルト32によって押しつけのできない状態になってしまう。
図5(D)は、必要な枚数分の媒体印刷が終わり、媒体動作部30が第3の位置に移動され、テーブル90から積層された媒体10を放出する状態を示す図である。
印刷が終って枚数分の媒体10−1がテーブル90上に積層されると、媒体動作部30は、第2の位置からさらにp5方向に回動して、ほぼ水平な状態の第3の位置まで移動される。この状態で、媒体動作部30は下搬送部200と積層された媒体10−1を上下で挟んで、取出し口24へ搬送して放出する。
しかし、図5(C)のようにテーブル90に正常に収納されない媒体があると、テーブル90への媒体の収納中あるいは収納後に媒体動作部30を第3の位置に移動する際に、媒体10−2がテーブル90からこぼれ落ちてしまい、枚数の足りない状態で媒体10が発券されてしまう。
以上のような媒体動作部30の押しつけ動作による媒体10の貼りつき現象に起因する媒体10の内部残留を防止するために、本実施形態では、媒体10が媒体動作部30のベルト32に貼りついて持ち上がることを防止する分離シートを、テーブルストッパー80に設けるようにした。以下、図6から図15を用いて、これを具体的に説明する。
図6〜図9、及び図11〜図14は、媒体動作部30の動作を中心として、切替部6からテーブル90に送出された媒体10が取出し口24から発券されるまでの様子を時系列で示す図である。
図6は、送出される媒体10を収納する第1の位置にある媒体動作部30の状態を示す図である。図4と同様な状態の図で、印刷部A2−1あるいは印刷部B2−2で印刷されて切替部6から媒体10が、テーブル90に送出される状態を示す図である。切替部6のローラ25から、媒体10からテーブル90に送出される。
上述のように、この状態では、テーブル90及び下搬送部200は、奥側が上がった斜めの角度で維持される。テーブル90は、テーブル90の奥側に設けられるテーブルストッパー80によって、角度が規定される。テーブルストッパー80の詳細について、図15を用いて説明する。
図15は、テーブルストッパー80及び分離シート84等の形状を示す斜視図である。図15(A)は、テーブルストッパー80の斜視図である。図2(E)と同方向から見た図である。テーブルストッパー80は、平板状のベース部80aと、ベース部80aの左右にそれぞれ垂直に設けられる1対のサイド部80bと、ベース部80aの上端に設けられる取付部80dを有する。
1対のサイド部80bの下側の端面が、テーブル90の位置を決める当接面80cになる。取付部80dはベース部80aにかぶさるような角度で設けられる。テーブルストッパー80には、ブラケット82を介して分離シート84が取付けられる。
図15(B)は、分離シート84の形状を示す図である。分離シート84は、柔軟性に富む弾性シート、材質は例えばテフロン(登録商標)シートで、厚さは、0.03〜0.2mm程度のものである。
分離シート84は、T字型の形状で、上部の横長部分には、中央にネジ貫通用の孔84e、左側に位置決め用の孔84f、右側に位置決め用の長円状の孔84gの3つの孔が、横1列に設けられる。
図15(C)は、テーブルストッパー80から、ブラケット82と分離シート84を外した状態の図である。テーブルストッパー80の取付部80dには、中央にネジ貫通用の孔80eが設けられる。孔80eの断面は、例えば皿ネジ用に円錐状に形成される。
孔80eの左右に、分離シート84の位置決め用に、奥側に突出するようなボス80f、ボス80gが設けられる。ボス80f、ボス80gは、分離シート84の孔84fと孔84gに対応する位置に、対応する径で設けられる。
ブラケット82は、分離シート84の上部の横長部分と略一致するような平板である。
ブラケット82には、中央に雌ネジ82e、雌ネジの左右に取付部80dのボス80fとボス80gに対応する孔82fと長円状の孔82gが設けられる。
分離シート84は、テーブルストッパー80の取付部80dとブラケット82に挟まれ、テーブルストッパー80のボス80fとボス80gによって、分離シート84とブラケット82が位置決めされ、皿ネジ85で固定される。分離シート84は、テーブルストッパー80に対してT字型の形状の縦長部分が片持ちはり状になるように取り付けられる。
図7に進む。図7では、媒体動作部30は図6と同じ第1の位置にある。切替部6からテーブル90に送出された媒体10aは、矢印m4方向に落下する。テーブルストッパー80の分離シート84は、矢印m4方向に落下する媒体10bの後端(図では右端)を受け止めるような位置に設定されている。
そして、媒体10は、媒体10bで示すように、先端が媒体ストッパー92に当て付き、後端が分離シート84に引っかかった姿勢で保持される。
図8は、媒体動作部30が第1の位置から第2の位置に移動する途中の状態を示す図である。媒体動作部30が媒体10をテーブル90に押しつける動作を開始した状態である。
移動部60により、第1の位置にある媒体動作部30がp6方向に回動され、ベルト32の接触部32aが、後端が分離シート84に引っかかった状態の媒体10に接触して、媒体10をテーブル90側に移動させる。
ここで、分離シート84は柔軟性に富む弾性体なので、媒体10やレバー40との接触により変形(湾曲、カール)しながら媒体10を通過させる。
図9は、媒体動作部30が第2の位置に移動され、媒体10をテーブル90に押しつけている状態を示す図である。ベルト32の接触部32aが、媒体10をテーブル90に押しつけ、既にテーブル90に何枚か媒体が載置されている場合には、載置された媒体10に新たな媒体10を加えて積層させていく。
また、媒体10が分離シート84を通過した後は、分離シート84は、変形を解消して、元の平坦な形状に戻る。
図10は、媒体動作部30が第1の位置から第2の位置に移動する過程で、整列部によって媒体10が整列される様子を示す図である。整列部とは、テーブル90に1枚ずつ載置されていく媒体10を、取出し口24へ搬送される方向に直交する方向、つまり図9で見ると、紙面に直交する方向に整列させるものである。
図10は、図9で示す可動ガイドL62と可動ガイドR64をW方向から見た図である。W方向は、おおよそ、テーブル90の面に垂直な方向である。また、図10では、媒体10が整列される様子を分かりやすくするために、ベルト32やプーリー34等は除いてある。
図10(A)は、切替部6から本図で左に片寄った位置に送出された媒体10を中央に整列させる様子を示す図である。図10(B)は、逆に本図で右に片寄った位置に送出された媒体10を中央に整列させる様子を示す図である。
本実施形態の発券ユニット1は、印刷部A2−1と印刷部B2−2の2台の印刷部を使用するために切替部6を設けられていて、この切替部6からテーブル90への媒体の送出位置が、左右方向でばらつく可能性があるため、整列部が有効である。
整列部は、可動ガイドL62と可動ガイドR64のそれぞれ内側に対向するように設けられた、角錐形状の凸部62aと凸部64aである(図2(B)、(C)参照)。
媒体10が左右いずれか片寄った位置にあると、媒体動作部30が第1の位置から第2の位置に移動する際に、整列部である凸部62a及び凸部64aが媒体10の左端あるいは右端に接触して、媒体10を中央に移動させる。
図10(A)は、左に片寄った位置にある破線で示す媒体10aの左端が、凸部62aに接触して、m5方向に移動されて、実線で示す媒体10bの位置に整列される様子を示す。図10(B)は、右に片寄った位置にある破線で示す媒体10aが、凸部64aに接触して、m6方向に移動されて、実線で示す媒体10bの位置に整列される様子を示す。
図11は、媒体動作部30が第2の位置から第1の位置に戻る場合に、図5(B)で説明したような、媒体10が媒体動作部30に貼りつく現象が発生した様子を示す図である。
いったんはテーブル90に押しつけられた媒体10aが、媒体動作部30の接触部32aに貼りついてしまい、p8方向に回動されて第2の位置から第1の位置に戻る媒体動作部30とともにm7方向(上方)に持ち上げられて、媒体10bの位置に移動された状態である。
図12は、p9方向に回動されて第2の位置から第1の位置に戻る媒体動作部30とともにm8方向に持ち上げられた媒体10が、移動途中で分離シート84によって規制される様子を示す図である。接触部32aに貼りついた媒体10は媒体動作部30とともに上方に持ち上げられるが、持ち上げられた媒体10はその後端が、分離シート84の自由端に引っかかる。
静電気や湿度による媒体10と接触部32aとの粘着力は弱く、分離シート84を乗り越える程の力ではないので、媒体10は接触部32aから剥がされて分離シート84の位置で留まり、媒体動作部30だけが第1の位置に移動する。
また、分離シート84によって接触部32aから剥離された媒体10は、自重でテーブル90上に落下する。これにより、接触部32aに媒体10が貼りついたとしても、分離シート84によって、接触部32aから媒体10が分離されて、テーブル90に落下するので、媒体10に切替部6から送出される新たな媒体10−2と衝突するおそれはなくなる。つまり、分離シート84によって、媒体10が新たな媒体と干渉するような位置へ移動することが確実に規制される。
以上のように、分離シート84は、媒体動作部30が第1の位置にある場合に発券ユニット1の内部から搬送されてきた媒体10を一時的に支持し、媒体動作部30の第2の位置への移動により、媒体10との接触により変位しながら媒体10を通過させ、媒体10の通過後に変位を解消して、押しつけによってテーブル90に載置された媒体10が押し付けられる前の位置に戻ることを規制する媒体規制部を構成する。
図13は、媒体10がカールした状態の場合を示す図である。テーブル90に送出された媒体10は、必ずしもフラットとは限らず、カールしている場合もある。カールした媒体10が浮き上がりぎみにテーブル90上に置かれていると、新たに送出されてきた媒体10と衝突する可能性がある。
図13に示すように、カールした媒体10であっても、分離シート84によって、その後端が分離シート84に押さえられて、さらに上方向に変形するのが規制される。このように、接触部32aへの貼りつき以外でも、媒体10が新たな媒体10と干渉するような現象が防止される。
図14は、テーブル90に積層載置された媒体10を取出し口24に搬送して、発券する様子を示す図である。ユーザの指定した枚数の媒体10がテーブル90に積層された場合、あるいは、ユーザの指定枚数に達する前でも所定の最大枚数分(例えば、20枚)の媒体10がテーブル90に積層された場合に発券される。
移動部60は、媒体動作部30を第2の位置から更にp10方向に回動させて、下搬送部200と媒体10を上下で挟み込むような第3の位置に移動させる。あわせて、移動部60は、不図示の伝達機構により、テーブル90及び下搬送部200もp10方向に所定角度回動させる。
この状態では、テーブル90の面は略水平となり、対応して媒体動作部30の接触部32aと下搬送部200のベルト202の上側の面202aも略水平となる。そして、媒体10は、ベルト32の下側の面(接触部32a)とベルト202の上側の面202aで挟持される。
不図示の搬送用駆動モータ94によって、媒体動作部30のプーリー34aと下搬送部200のプーリー204aが回転される。各プーリーの回転により、媒体動作部30のベルト32がd1方向に駆動され、下搬送部200のベルト202がd2方向に駆動される。テーブル90上に積層された媒体10が取出し口24に搬送され、取出し口24から放出される。
以上により、印刷された媒体10の一部がベルト32に貼りつくことによって内部に残留等して枚数不足の媒体10が発券されることを防止することができる。
〔第2実施形態〕
また、一部の媒体が内部に残留して発券されない現象は、上述の媒体10のベルト32への貼りつきとは別に、切替部6から送出された媒体10がテーブル90に正常に収納されないことによって起きる場合がある。これに対処する例を以下に説明する。
図16は、切替部6から送出された媒体10がテーブル90に正常に収納されない1例を示す図である。切替部6から送出された媒体10が、図16に示すように、偶発的にテーブル90から立ち上がって、テーブルストッパー80にもたれかかったような状態になってしまう場合がある。
図17は、第2の位置に移動する媒体動作部30によって、媒体10がレバー40とテーブルストッパー80の間に挟まる様子を示す図である。図17(A)は、図8等と同様な側面図で、図17(B)は、W方向からの上面図である。レバー40の溝部40bがテーブルストッパー80のサイド部80bを通過する状態を示す図である。
また、図17(A)に示すように、可動ガイドL62または可動ガイドR64の移動を検出するセンサA96が、出口部20の後方または、出口部20の後方の発券ユニット本体、例えば図のような位置に設けられている。
図17(B)は、媒体動作部30が第1の位置から第2の位置に移動する際の、レバー40の曲面40cの溝部40bと、固定されたテーブルストッパー80のサイド部80bの位置関係を示すものである(図2および図15を参照)。テーブルストッパー80のサイド部80bは、レバー40に凹上に形成された溝部40bに、食い込むような位置関係になっていて、テーブルストッパー80とレバー40の間に媒体10が入り込むことがなければ、所定の隙間をもって通過する。
つまり、切替部6から送出された媒体10がテーブル90の面に正常に乗っていれば、レバー40の溝部40bはテーブルストッパー80のサイド部80bを通過するが、図17で示すように、立ち上がった媒体10がテーブルストッパー80を覆っていると、移動するレバー40の溝部40bとテーブルストッパー80のサイド部80bの間に媒体10が挟まってしまう。
換言すれば、レバー40(第1の部材とも呼ぶ)は、媒体動作部30が第1の位置から第2の位置へ移動する際に、テーブル90で立ち上がった姿勢になっている媒体10の表面を摺動するように媒体動作部30に設けられる。そして、テーブルストッパー80(第2の部材とも呼ぶ)は、第1の位置から第2の位置へ移動する第1の部材に対して相対的に静止し、かつ立ち上がった姿勢の媒体10を挟んで第1の部材の逆側の位置に配置され、第1の部材とで立ち上がった姿勢の媒体10を挟みつける。
そして、レバー40は、左右2か所の溝部40bがサイド部80bを通過する際に、媒体10をV字状に変形させて移動することになるので、移動のためには大きなトルクが必要になる。
ここで、ガイド駆動モータ68の伝達ベルト70と伝達軸73の間に設けられているトルクリミッタ72として、媒体10を挟んだ状態での回動に必要なトルクよりリミットトルクの小さいものを取り付けておく。
これにより、媒体10がレバー40とテーブルストッパー80との間に挟まった状態では、伝達軸73の回転が停止し、可動ガイドL62、可動ガイドR64の回動が停止する。
可動ガイドL62または可動ガイドR64の位置を検出するセンサA96からの信号を検知することで、テーブル90から立ち上がった媒体10を検出することができる。
そして、発券ユニット1の制御部(不図示)は、テーブル90に正常に収納されていない媒体10を検出した場合には、例えば、警告音や警告画面を表示する。
〔第3実施形態〕
図18は、リジェクト部8の入口を塞ぐような位置に残留する媒体10を検出する手段を示す図である。
テーブル90に正常に収納されなかった媒体10が、媒体動作部30が第3の位置に移動する際に、テーブル90からこぼれて、媒体動作部30の外に出て、媒体10−2として示すように、リジェクト部8の入口を塞ぐような位置に残留する場合がある。
そして、リジェクト部8の入口が塞がれると、テーブル90で取り忘れられた媒体10−1をリジェクト部8に戻す場合に、媒体10−1が媒体10−2に衝突してしまう。
そこで、リジェクト部8の前には、このような位置に落ちた媒体10−2を検出するための1組の光学的なセンサB98と、スリット98bを設けておく。尚、センサB98とスリット98bは、出口部20の後方、または、出口部20の後方の発券ユニット本体に配置される。センサB98は、発光部98−1と受光部98−2との組である。スリット98bは、受光部98−2の前に配置され、発光部98−1以外の周囲光が受光部98−2に入るのを防止するものである。
受光部98−2の状態を検出することで、リジェクト部8の入口付近に正常に収納されていない媒体10が残留したことを、確実に検知することができる。
以上説明したような各実施形態を任意に組み合わせた発券ユニット1によって、印刷された媒体の一部が内部に残留等して枚数不足の媒体が発券されることを防止することができる。
なお、上述の説明では、ベルト32に貼りついた媒体10を、弾性変形可能な分離シート84で分離することを説明したが、媒体規制部はこれに限るものではない。例えば、媒体10の押しつけ力で媒体10から逃げる方向に変位(移動)し、媒体10通過後にバネ等の付勢力によって元の位置に戻るような進退自在に構成された移動部材であってもよい。
また、レバー40とテーブルストッパー80の間に媒体10が挟まったことによる駆動トルクの増加を、トルクリミッタ72で制限して検出するようにしたが、ガイド駆動モータ68の駆動電流をモニタして、電流の増加で検出するようにしても当然によい。
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。