ところで、本出願人は、先に、上部旋回体の旋回フレームの左右両側に着脱自在に取り付けられる動力ユニットそれぞれが、エンジンと、このエンジンを制御する制御装置と、上記エンジンにより駆動させる油圧ポンプと、上記エンジンに接続された燃料タンクと、上記油圧ポンプに接続された作動油タンクとを備える構成にし、これにより、建設機械の動作とは別に、動力ユニットが組立補助用の油圧ユニットとして転用できるようにしたものを提案している(特願2012−153753)。
そして、このような提案の建設機械においては、一方の動力ユニットの前端に連結される運転室に設けられる制御装置と、各動力ユニットのエンジン用制御装置との間の情報伝達手段としてCAN通信システムを使用することが考えられるが、この場合、以下の点に配慮する必要がある。
すなわち、提案の建設機械における使用状態としては、上部旋回体の旋回フレームの両側に各動力ユニットを取り付けた定常状態の外に、運転室と連結されない動力ユニットを取り外した状態で建設機械を使用する場合、運転室及びそれに連結された動力ユニットだけで動作確認などのために使用する場合などがあるが、これら全ての使用状態でCAN通信システムの通信ラインに終端抵抗を設けるように構成する必要がある。尚、運転室と連結されない動力ユニットを油圧ユニットとして転用する場合その動力ユニットの制御装置は、他の制御装置と情報伝達を行う必要はない。
また、運転室に設けられる制御装置と左右2つの動力ユニットのエンジン用制御装置とを1系統のCANバス通信ラインで接続する場合、運転室に設けられる制御装置は、エンジン用制御装置が左右いずれの動力ユニットのものであるかを識別できるようにソフトウエア設計を統一して行う必要があるが、エンジン用制御装置のソフトウエアは、汎用品を使用する方がコスト面などで得策である。
本発明はかかる諸点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、上述した提案の建設機械を実施化するに当たり、そのいずれの使用状態でも通信ラインに終端抵抗を設けるように構成するとともに、エンジン用制御装置などユニット側の制御装置のソフトウエア設計に拘わらず運転室側の制御装置でユニット側の制御装置が左右いずれのユニットのものであるかを識別できようにし、もって実施化の促進に寄与し得る建設機械のCAN通信システムを提供せんとするものである。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、建設機械として、下部走行体上に旋回ベアリング装置を介して上部旋回体が旋回自在に設けられ、この上部旋回体は、旋回ベアリング装置及び作業アタッチメントが取り付けられる旋回フレームと、この旋回フレームの左右いずれか一方の側端に着脱自在に取り付けられかつ前端に運転室が連結された第1のユニットと、旋回フレームの他方の側端に着脱自在に取り付けられた第2のユニットとからなり、また、上記第1及び第2のユニットは、いずれも少なくともエンジンなどの機器及びこの機器を制御する制御装置を備えていることを前提とする。そして、建設機械のCAN通信システムとして、上記運転室から第1のユニットに跨がって配線され、運転室に設けられた制御装置及び第1のユニットの制御装置がそれぞれ接続された第1の通信ラインと、この第1の通信ラインの一端に接続された第1の終端抵抗と、上記運転室から第1のユニットに跨がって配線され、運転室に設けられた制御装置が接続された第2の通信ラインと、この第2の通信ラインの一端に接続された第2の終端抵抗と、上記第1のユニットの旋回フレーム側部位に設けられ、上記第1及び第2の通信ラインの他端が共に接続された第1のコネクタと、上記旋回フレーム上にそれぞれ配線された第3、第4及び第5の通信ラインと、上記旋回フレームの第1のユニット側部位に設けられ、上記第3及び第4の通信ラインの一端が共に接続されたコネクタであって、このコネクタを上記第1のコネクタに接続したとき第3の通信ラインを第2の通信ラインに、第4の通信ラインを第1の通信ラインにそれぞれ接続するための第2のコネクタと、上記旋回フレームの第2のユニット側部位に設けられ、上記第3の通信ラインの他端及び第5の通信ラインの一端が共に接続された第3のコネクタと、上記旋回フレームに設けられ、上記第4の通信ラインの他端が接続された第3の終端抵抗と、上記旋回フレームに設けられ、上記第5の通信ラインの他端が接続された第4の終端抵抗と、上記第2のユニットに配線され、第2のユニットの制御装置が接続された第6の通信ラインと、上記第2のユニットの旋回フレーム側部位に設けられ、上記第6の通信ラインの両端が共に接続されたコネクタであって、このコネクタを上記第3のコネクタに接続したとき第6の通信ラインの両端をそれぞれ第3及び第5の通信ラインに接続するための第4のコネクタと、上記第2のユニットを取り外した状態で建設機械を使用する場合に上記第3のコネクタに接続され、上記第3の通信ラインの他端及び第5の通信ラインの一端にそれぞれ終端抵抗を接続するための第1の外部抵抗ユニット、又は上記第3の通信ラインの他端を第5の通信ラインの一端に接続するための第1のショートケーブルと、上記運転室及び第1のユニットだけで使用する場合に上記第1のコネクタに接続され、上記第1及び第2の通信ラインの他端にそれぞれ終端抵抗を接続するための第2の外部抵抗ユニット、又は上記第1及び第2の通信ラインの他端同士を接続するための第2のショートケーブルとを備える構成にする。
この構成では、上部旋回体の旋回フレームの左右両側にそれぞれ第1及び第2のユニットを取り付けた定常状態の場合、第1の通信ラインと第4の通信ラインとが第1及び第2のコネクタを介して接続されることにより、両端に第1の終端抵抗及び第3の終端抵抗を設けた1系統のCANバス通信ラインが構成され、このCANバス通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とが相互に情報伝達を行う。それと共に、第2の通信ラインと第3の通信ラインと第6の通信ラインと第5の通信ラインとが第1及び第2のコネクタ又は第3及び第4のコネクタを介して接続されることにより、両端に第2の終端抵抗及び第4の終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインが構成され、このCANバス通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置と第2のユニットの制御装置とが相互に情報伝達を行う。
また、上記の定常状態から第2のユニットを取り外した状態で建設機械を使用する場合、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とは、定常状態の場合と同様に、第1の通信ラインと第4の通信ラインとからなりかつ両端に第1の終端抵抗及び第3の終端抵抗を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に情報伝達を行う。それと共に、第2の通信ラインと第3の通信ラインとが第1及び第2のコネクタを介して接続されるとともに、第3のコネクタに第1のショートケーブルが接続され、この第1のショートケーブルを介して第3の通信ラインと第5の通信ラインとが接続されることにより、両端に第2の終端抵抗及び第4の終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインが構成され、このCANバス通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置間で情報伝達が行われる。尚、第1のショートケーブルの代わりに、第1の外部抵抗ユニットを第3の通信ラインに接続してもよい。この場合、第2の通信ラインと第3の通信ラインとによって、両端に第2の終端抵抗及び第1の外部抵抗ユニットの終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインが構成され、このCANバス通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置間で情報伝達が行われる。
さらに、上部旋回体の運転室及びそれに連結された第1のユニットだけで動作確認などのために使用する場合、第1のコネクタに第2の外部抵抗ユニットを接続して、第1及び第2の通信ラインにそれぞれ終端抵抗を接続するか、又は第1のコネクタに第2のショートケーブルを接続して、第1及び第2の通信ラインの他端同士を接続する。前者の場合、第1の通信ラインは、その両端に第1の終端抵抗及び第2の外部抵抗ユニットの終端抵抗を設けてなる1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とが相互に情報伝達を行う。それと共に、第2の通信ラインも、その両端に第2の終端抵抗及び第2の外部抵抗ユニットの終端抵抗を設けてなる別の1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置間で情報伝達が行われる。また、後者の場合、第1の通信ラインと第2の通信ラインとは、両端に第1及び第2の終端抵抗を設けてなる1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とが相互に情報伝達を行う。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の建設機械のCAN通信システムにおいて、上記第1ないし第6の通信ラインのうち、少なくとも1つの通信ラインに信号の中継を行う中継装置を設け、この中継装置は、内部に通信ラインの終端抵抗を有する構成にする。この構成では、建設機械の2系統のCANバス通信ラインが長くなる場合でも、その通信ラインの途中に設けた中継装置により信号の中継を行うことで安定した通信を確保することができる。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の建設機械がその旋回フレームの後端に必要に応じて制御装置付きのカウンタウエイトトレーラを連結して装備するクローラクレーンである場合の好ましい形態を提供するものである。すなわち、上記カウンタウエイトトレーラに、その制御装置が共に接続された2本の通信ラインと、この両通信ラインの一端が共に接続されたコネクタと、両通信ラインの他端がそれぞれ接続された2つの終端抵抗とを設ける一方、上記第4及び第5の通信ラインの他端は、カウンタウエイトトレーラを装備しないときそれぞれ第3及び第4の終端抵抗に対し第5のコネクタを介して取り外し可能に接続され、カウンタウエイトトレーラを装備するとき上記第5のコネクタを第3及び第4の終端抵抗から外し、第5のコネクタをケーブルを介して上記カウンタウエイトトレーラのコネクタに接続することでカウンタウエイトトレーラの通信ラインにそれぞれ接続されるように構成する。
この構成では、クローラクレーンが例えば定常状態で制御装置付きのカウンタウエイトトレーラを装備しないときには、第4及び第5の通信ラインの他端は、第5のコネクタを介してそれぞれ第3及び第4の終端抵抗に接続される。これにより、請求項1に係る発明における定常状態の場合と同じく、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とは、第1の通信ラインと第4の通信ラインとからなりかつ両端に第1の終端抵抗及び第3の終端抵抗を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に情報伝達を行うとともに、運転室に設けられた制御装置と第2のユニットの制御装置とは、第2の通信ラインと第3の通信ラインと第6の通信ラインと第5の通信ラインとからなりかつ両端に第2の終端抵抗及び第4の終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に情報伝達を行う。
一方、クローラクレーンが定常状態で制御装置付きのカウンタウエイトトレーラを装備するときには、第5のコネクタを第3及び第4の終端抵抗から外し、第5のコネクタをケーブルを介してカウンタウエイトトレーラのコネクタに接続する。これにより、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とカウンタウエイトトレーラの制御装置とは、第1の通信ラインと第4の通信ラインとケーブルとカウンタウエイトトレーラの1本の通信ラインとからなりかつ両端に第1の終端抵抗及びカウンタウエイトトレーラの1つの終端抵抗を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室に設けられた制御装置と第2のユニットの制御装置とカウンタウエイトトレーラの制御装置とは、第2の通信ラインと第3の通信ラインと第6の通信ラインと第5の通信ラインとケーブルとカウンタウエイトトレーラの別の1本の通信ラインとからなりかつ両端に第2の終端抵抗及びカウンタウエイトトレーラの別の1つの終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
請求項4に係る発明は、請求項2記載の建設機械がその旋回フレームの後端に必要に応じて制御装置付きのカウンタウエイトトレーラを連結して装備するクローラクレーンであり、かつ2系統のCANバス通信ラインが長くなる場合の好ましい形態を提供するものである。すなわち、上記カウンタウエイトトレーラに、その制御装置が共に接続された2本の通信ラインと、この両通信ラインの一端が共に接続されたコネクタと、両通信ラインの他端がそれぞれ接続された2つの終端抵抗とを設ける一方、上記第4及び第5の通信ラインの通信ラインの他端に上記中継装置を設け、この中継装置は、内部に上記第3及び第4の終端抵抗を有するとともに、2本の中継ラインの一端が接続された別の終端抵抗を有しており、上記2本の中継ラインの他端は、旋回フレームに設けた第5のコネクタに接続されており、この第5のコネクタは、上記カウンタウエイトトレーラを装備するときケーブルを介してカウンタウエイトトレーラのコネクタに接続される構成にする。
この構成では、カウンタウエイトトレーラを装備するときには、クレーン本体側で両端に終端抵抗を設けた2系統のCANバス通信ラインが構成されるだけでなく、クレーン本体側の中継装置とカウンタウエイトトレーラとの間でも、中継装置内の終端抵抗に一端が接続された2本の中継ラインが、第5のコネクタ、ケーブル及びカウンタウエイトトレーラのコネクタを介してカウンタウエイトの2本の通信ラインに接続されることにより、両端に終端抵抗を設けた2系統のCANバス通信ラインが構成される。
一方、カウンタウエイトトレーラを装備しないときには、クレーン本体側の中継装置とカウンタウエイトトレーラとの間では、ケーブルを取り外すだけでよく、第5のコネクタにショートケーブルや外部抵抗ユニットなどを接続する必要はない。
請求項5に係る発明は、建設機械として、下部走行体上に旋回ベアリング装置を介して上部旋回体が旋回自在に設けられ、この上部旋回体は、旋回ベアリング装置及び作業アタッチメントが取り付けられる旋回フレームと、この旋回フレームの左右いずれか一方の側端に着脱自在に取り付けられかつ前端に運転室が連結された第1のユニットと、旋回フレームの他方の側端に着脱自在に取り付けられた第2のユニットとからなり、上記第1及び第2のユニットは、いずれも少なくとも機器及びこの機器を制御する制御装置を備えていることを前提とする。そして、上記建設機械は、その旋回フレームの後端に必要に応じて制御装置付きのカウンタウエイトトレーラを連結して装備するクローラクレーンであり、上記カウンタウエイトトレーラには、その制御装置が共に接続された2本の通信ラインと、この両通信ラインの一端が共に接続されたコネクタと、両通信ラインの他端がそれぞれ接続された2つの終端抵抗とが設けられている。また、上記建設機械は、上記運転室から第1のユニットに跨がって配線され、運転室に設けられた制御装置及び第1のユニットの制御装置がそれぞれ接続された第1の通信ラインと、この第1の通信ラインの一端に接続された第1の終端抵抗と、上記運転室から第1のユニットに跨がって配線され、運転室に設けられた制御装置が接続された第2の通信ラインと、この第2の通信ラインの一端に接続された第2の終端抵抗と、上記旋回フレーム上にそれぞれ配線された第3、第4、第5及び第6の通信ラインと、この第4及び第5の通信ラインに対応して上記第1のユニットに配線された第7の通信ラインと、上記第2のユニットに配線され、第2のユニットの制御装置が接続された第8の通信ラインと、上記旋回フレームと上記第1のユニットの間にそれぞれ設けられ、旋回フレームに第1のユニットを取り付けた状態のとき上記第2の通信ラインの他端と上記第3の通信ラインの一端を、上記第4の通信ラインの一端と上記第7の通信ラインの一端を、上記第5の通信ラインの一端と上記第7の通信ラインの他端を、及び上記第1の通信ラインの一端と上記第6の通信ラインの一端をそれぞれ接続する第1、第2、第3及び第4のコネクタと、上記旋回フレームと上記第2のユニットの間にそれぞれ設けられ、旋回フレームに第2のユニットを取り付けた状態のとき上記第3の通信ラインの他端と上記第8の通信ラインの一端を、及び上記第4の通信ラインの他端と上記第8の通信ラインの他端をそれぞれ接続する第5及び第6のコネクタと、上記カウンタウエイトトレーラを装備するとき上記第5及び第6の通信ラインの他端をカウンタウエイトトレーラの2本の通信ラインにそれぞれ接続するケーブルと、上記旋回フレームに第1のユニットを取り付けた状態か否かを検知する第1の検知部と、上記旋回フレームに第2のユニットを取り付けた状態か否かを検知する第2の検知部と、上記カウンタウエイトトレーラを装備した状態か否かを検知する第3の検知部と、上記第1の通信ラインに介設され、上記第3の検知部の検知結果がカウンタウエイトトレーラを装備した状態のとき第1の通信ラインを繋いだ状態にする一方、カウンタウエイトトレーラを装備していない状態のとき第1の通信ラインを遮断しかつ第1の通信ラインの制御装置接続側部分を第1のユニットに設けた第3の終端抵抗に接続するように切り替わる第1の切替器と、上記第2の通信ラインに介設され、上記第1の検知部の検知結果が第1のユニットを取り外した状態のとき、又は上記第2の検知部の検知結果が第2のユニットを取り外した状態でかつ上記第3の検知部の検知結果がカウンタウエイトトレーラを装備していない状態のとき第2の通信ラインを遮断しかつ第2の通信ラインの運転室側部分を第1のユニットに設けた第4の終端抵抗に接続する一方、それ以外のとき第2の通信ラインを繋いだ状態にするように切り替わる第2の切替器と、上記第2の通信ラインにおける第2の切替器より反運転室側部分に介設され、上記第2の検知部の検知結果が第2のユニットを取り付けた状態のとき第2の通信ラインを繋いだ状態にする一方、第2のユニットを取り外した状態のとき第2の通信ラインを遮断しかつ第2の通信ラインの運転室側部分を第1のユニットに配線した中継ラインの一端に接続するように切り替わる第3の切替器と、上記第7の通信ラインに介設され、上記第2の検知部の検知結果が第2のユニットを取り付けた状態のとき第7の通信ラインを繋いだ状態にする一方、第2のユニットを取り外した状態のとき第7の通信ラインを遮断しかつ上記中継ラインの他端と第7の通信ラインにおける第3のコネクタ側部分とを接続するように切り替わる第4の切替器と、上記第8の通信ラインに介設され、上記第3の検知部の検知結果がカウンタウエイトトレーラを装備した状態のとき第8の通信ラインを繋いだ状態にする一方、カウンタウエイトトレーラを装備していない状態のとき第8の通信ラインを遮断しかつ第8の通信ラインの制御装置接続側部分と第2のユニットに設けた第5の終端抵抗とを接続するように切り替わる第5の切替器とを備える構成にする。
この構成では、クレーン本体側が定常状態でカウンタウエイトトレーラを装備するときには、第1の切替器が第1の通信ラインを繋いだ状態にする切替位置に、第2及び第3の切替器が共に第2の通信ラインを繋いだ状態にする切替位置に、第4の切替器が第7の通信ラインを繋いだ状態にする切替位置に、第5の切替器が第8の通信ラインを繋いだ状態にする切替位置にそれぞれ位置する。これにより、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とカウンタウエイトトレーラの制御装置とは、第1の通信ラインと第6の通信ラインとケーブルとカウンタウエイトトレーラの1本の通信ラインなどからなりかつ両端に第1の終端抵抗及びカウンタウエイトトレーラの1つの終端抵抗を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室に設けられた制御装置と第2のユニットの制御装置とカウンタウエイトトレーラの制御装置とは、第2の通信ラインと第3の通信ラインと第8の通信ラインと第4の通信ラインと第7の通信ラインと第5の通信ラインとケーブルとカウンタウエイトトレーラの別の1本の通信ラインなどからなりかつ両端に第2の終端抵抗及びカウンタウエイトトレーラの別の1つの終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
一方、クレーン本体側が定常状態でカウンタウエイトトレーラを装備しないときには、第1の切替器が第1の通信ラインを遮断しかつ第1の通信ラインの制御装置接続側部分を第3の終端抵抗に接続する切替位置に、第2及び第3の切替器が共に第2の通信ラインを繋いだ状態にする切替位置に、第4の切替器が第7の通信ラインを繋いだ状態にする切替位置に、第5の切替器が第8の通信ラインを遮断しかつ第8の通信ラインの制御装置接続側部分と第5の終端抵抗とを接続する切替位置にそれぞれ位置する。これにより、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とは、第1の通信ラインと第1の切替器などからなりかつ両端に第1の終端抵抗及び第3の終端抵抗を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室に設けられた制御装置と第2のユニットの制御装置とは、第2の通信ラインと第3の通信ラインと第8の通信ラインと第5の切替器などからなりかつ両端に第2の終端抵抗及び第5の終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
また、クレーン本体側が定常状態から第2のユニットを取り外した状態でかつカウンタウエイトトレーラを装備するときには、第1の切替器が第1の通信ラインを繋いだ状態にする切替位置に、第2の切替器が第2の通信ラインを繋いだ状態にする切替位置に、第3の切替器が第2の通信ラインを遮断しかつ第2の通信ラインの運転室側部分を第1のユニットに配線した中継ラインの一端に接続する切替位置に、第4の切替器が第7の通信ラインを遮断しかつ中継ラインの他端と第7の通信ラインにおける第3のコネクタ側部分とを接続する切替位置にそれぞれ位置する。これにより、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とカウンタウエイトトレーラの制御装置とは、第1の通信ラインと第6の通信ラインとケーブルとカウンタウエイトトレーラの1本の通信ラインなどからなりかつ両端に第1の終端抵抗及びカウンタウエイトトレーラの1つの終端抵抗を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室に設けられた制御装置とカウンタウエイトトレーラの制御装置とは、第2の通信ラインと中継ラインと第7の通信ラインと第5の通信ラインとケーブルとカウンタウエイトトレーラの別の1本の通信ラインなどからなりかつ両端に第2の終端抵抗及びカウンタウエイトトレーラの別の1つの終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
クレーン本体側が定常状態から第2のユニットを取り外した状態でかつカウンタウエイトトレーラを装備しないときには、第1の切替器が第1の通信ラインを遮断しかつ第1の通信ラインの制御装置接続側部分を第3の終端抵抗に接続する切替位置に、第2の切替器が第2の通信ラインを遮断しかつ第2の通信ラインの運転室側部分を第4の終端抵抗に接続する切替位置にそれぞれ位置する。これにより、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とは、第1の通信ラインと第1の切替器などからなりかつ両端に第1の終端抵抗及び第3の終端抵抗を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室に設けられた制御装置同士は、第2の通信ラインと第2の切替器などからなりかつ両端に第2の終端抵抗及び第4の終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
さらに、クレーン本体側の運転室及びそれに連結された第1のユニットだけで使用するときには、上述したクレーン本体側が定常状態から第2のユニットを取り外した状態でかつカウンタウエイトトレーラを装備しないときと同じく、第1の切替器が第1の通信ラインを遮断しかつ第1の通信ラインの制御装置接続側部分を第3の終端抵抗に接続する切替位置に、第2の切替器が第2の通信ラインを遮断しかつ第2の通信ラインの運転室側部分を第4の終端抵抗に接続する切替位置にそれぞれ位置するため、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とは、第1の通信ラインと第1の切替器などからなりかつ両端に第1の終端抵抗及び第3の終端抵抗を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行うとともに、運転室に設けられた制御装置同士は、第2の通信ラインと第2の切替器などからなりかつ両端に第2の終端抵抗及び第4の終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
その上、上記第1ないし第5の切替器は、いずれも第1、第2又は第3の検知部の検知結果に基づいて、クローラクレーンの使用形態に応じて自動的に切り替わるため、2系統のCANバス通信ラインを構成するための作業が容易なものになる。
請求項6に係る発明は、建設機械が定常状態で第2のユニットを装備しない場合、あるいは第2のユニットを装備してもこの第2のユニットが制御装置を備えない場合に対応したものである。すなわち、建設機械として、下部走行体上に旋回ベアリング装置を介して上部旋回体が旋回自在に設けられ、この上部旋回体は、旋回ベアリング装置及び作業アタッチメントが取り付けられる旋回フレームと、この旋回フレームの左右いずれか一方の側端に着脱自在に取り付けられかつ前端に運転室が連結された第1のユニットとを備えてなり、上記第1のユニットは、少なくとも機器及びこの機器を制御する制御装置を備えていることを前提とする。そして、建設機械のCAN通信システムとして、上記運転室から第1のユニットに跨がって配線され、運転室に設けられた制御装置及び第1のユニットの制御装置がそれぞれ接続された第1の通信ラインと、この第1の通信ラインの一端に接続された第1の終端抵抗と、上記運転室から第1のユニットに跨がって配線され、運転室に設けられた制御装置が接続された第2の通信ラインと、この第2の通信ラインの一端に接続された第2の終端抵抗と、上記第1のユニットの旋回フレーム側部位に設けられ、上記第1及び第2の通信ラインの他端が共に接続された第1のコネクタと、上記旋回フレーム上にそれぞれ配線された第3及び第4の通信ラインと、上記旋回フレームの第1のユニット側部位に設けられ、上記第3及び第4の通信ラインの一端が共に接続されたコネクタであって、このコネクタを上記第1のコネクタに接続したとき第3の通信ラインを第2の通信ラインに、第4の通信ラインを第1の通信ラインにそれぞれ接続するための第2のコネクタと、上記旋回フレームに設けられ、上記第3の通信ラインの他端が接続された第3の終端抵抗と、上記旋回フレームに設けられ、上記第4の通信ラインの他端が接続された第4の終端抵抗と、上記運転室及び第1のユニットだけで使用する場合に上記第1のコネクタに接続され、上記第1及び第2の通信ラインの他端にそれぞれ終端抵抗を接続するための外部抵抗ユニット、又は上記第1及び第2の通信ラインの他端同士を接続するためのショートケーブルとを備える構成にする。
この構成では、上部旋回体の旋回フレームの左右いずれか一方の側端に、前端に運転室が連結された第1のユニットを取り付けるだけの建設機械の場合、その定常状態では、第1の通信ラインと第4の通信ラインとが第1及び第2のコネクタを介して接続されることにより、両端に第1の終端抵抗及び第4の終端抵抗を設けた1系統のCANバス通信ラインが構成され、このCANバス通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とが相互に情報伝達を行う。それと共に、第2の通信ラインと第3の通信ラインとが第1及び第2のコネクタを介して接続されることにより、両端に第2の終端抵抗及び第3の終端抵抗を設けた別の1系統のCANバス通信ラインが構成され、このCANバス通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置間で情報伝達が行われる。
また、上部旋回体の運転室及びそれに連結された第1のユニットだけで動作確認などのために使用する場合、第1のコネクタに外部抵抗ユニットを接続して、第1及び第2の通信ラインにそれぞれ終端抵抗を接続するか、又は第1のコネクタにショートケーブルを接続して、第1及び第2の通信ラインの他端同士を接続する。前者の場合、第1の通信ラインは、その両端に第1の終端抵抗及び外部抵抗ユニットの終端抵抗を設けてなる1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とが相互に情報伝達を行う。それと共に、第2の通信ラインも、その両端に第2の終端抵抗及び外部抵抗ユニットの終端抵抗を設けてなる別の1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置間で情報伝達が行われる。また、後者の場合、第1の通信ラインと第2の通信ラインは、両端に第1及び第2の終端抵抗を設けてなる1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ラインを介して、運転室に設けられた制御装置と第1のユニットの制御装置とが相互に情報伝達を行う。
以上のように、本発明における建設機械のCAN通信システムによれば、建設機械が定常状態以外に第2のユニットを取り外した状態で建設機械を使用する場合及び運転室とそれに連結された第1のユニットだけで使用する場合でも常に両端に終端抵抗を設けたCANバス通信ラインが構成され、この通信ラインを介して運転室側の制御装置と各ユニットの制御装置との間の通信伝達が行われるため、正常な通信を確保することができる。しかも、運転室側の制御装置と第1及び第2のユニットの制御装置とは、別々のCANバス通信ラインを介して通信伝達が行われるため、ユニット側の制御装置のソフトウエア設計に拘わらず運転室側の制御装置でユニット側の制御装置が第1及び第2のいずれのユニットのものであるかを特定した上で通信を行うことができ、実施化の促進に寄与することができる。
特に、請求項2に係る発明では、建設機械の2系統のCANバス通信ラインが長くなる場合でもその通信ラインの途中に設けた中継装置により信号の中継を行うことで安定した通信を確保することができる。
また、請求項3に係る発明では、建設機械が必要に応じて制御装置付きのカウンタウエイトトレーラを装備するクローラクレーンである場合、カウンタウエイトトレーラを装備しないときには運転室側の制御装置と各ユニット側の制御装置とが、両端に終端抵抗を設けたCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行うことができるだけでなく、カウンタウエイトトレーラを装備するときには運転室側の制御装置と各ユニット側の制御装置とカウンタウエイトトレーラの制御装置とが、同じく両端に終端抵抗を設けたCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行うことができ、実施化の促進に一層寄与することができる。
請求項4に係る発明では、建設機械がクローラクレーンで制御装置付きのカウンタウエイトトレーラを装備するときには、クレーン本体側で両端に終端抵抗を設けた2系統のCANバス通信ラインが構成されるだけでなく、クレーン本体側の中継装置とカウンタウエイトトレーラとの間でも両端に終端抵抗を設けた2系統のCANバス通信が構成されるため、安定した通信を確実に確保することができる。しかも、カウンタウエイトトレーラを装備しないときには、クレーン本体側の中継装置とカウンタウエイトトレーラとの間では、ケーブルを取り外すだけでよく、第5のコネクタにショートケーブルや外部抵抗ユニットなどを接続する必要はなく、その分使い勝手が良いという効果を奏する。
さらに、請求項5に係る発明では、クローラクレーンの使用形態に応じて2系統のCANバス通信ラインを構成するための作業が容易なものになるので、利便性を高めることができるという効果を併有する。
以下、本発明を実施するための形態である実施形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は本発明の第1の実施形態に係る建設機械の全体構成を示す。この建設機械Aは、大型のクローラクレーンや油圧ショベルなどであり、クローラ式の下部走行体1と、この下部走行体1上に旋回ベアリング装置2を介して旋回自在に設けられた上部旋回体3と、この上部旋回体3の前部に取り付けられる作業アタッチメント(図示せず)とを備えてなる。
上記下部走行体1は、上部旋回体3を支持するカーボディ5と、このカーボディ5の左右両側にそれぞれ取り付けられた走行ユニット6L,6Rとからなる。各走行ユニット6L,6Rは、図示していないが、カーボディ5に連結されるクローラフレームと、このクローラフレームの前後両端にそれぞれ設けられた駆動輪及び従動輪(あるいは2つの駆動輪)と、この両輪間に巻き掛けられたクローラと、上記駆動輪ひいてはクローラを駆動する走行用油圧モータとを備えている。
上記上部旋回体3は、その中央部分を構成する旋回フレーム11と、この旋回フレーム11の右側側端に着脱装置12,12を介して着脱自在に取り付けられかつ前端に運転室13が連結された第1の動力ユニット14と、旋回フレーム11の左側側端に着脱装置15,15を介して着脱自在に取り付けられた第2の動力ユニット16とからなる。そして、建設機械Aの分解輸送時には上部旋回体3は旋回フレーム11と第1及び第2の動力ユニット14,16の3つの部分に分割して輸送される。
上記旋回フレーム11は、図示していないが、左右の側壁部を底板及び連結材などで連結してなる。この旋回フレーム11の前部には旋回ベアリング装置2及び作業アタッチメントが取り付けられ、旋回フレーム11の後部には複数のカウンタウエイト17,17が取り付けられている。
上記第1の動力ユニット14は、旋回フレーム11に取り付けられるサイドフレーム21と、このサイドフレーム21上に設置されるエンジン22及びその周辺機器(詳しくは後述する)と、このエンジン22及びその周辺機器を覆うケース23とを備えている。第1の動力ユニット14は、旋回フレーム11から第2の動力ユニット16が取り外された状態でも建設機械Aが動作するようにエンジン22及びその周辺機器を備えている。エンジン22の周辺機器は、具体的には、エンジン22を冷却するための冷却器24、エンジン22を制御するエンジン用制御装置25、エンジン22によりパワーデバイダ26を介して駆動される複数(図では2つ)の油圧ポンプ27,27、エンジン22に接続された燃料タンク28、及び上記各油圧ポンプ27に接続された作動油タンク29である。サイドフレーム21上でのエンジン22及び周辺機器の配列は、例えば後から順に、冷却器24、エンジン22、パワーデバイダ26、油圧ポンプ27、作動油タンク29及び燃料タンク28に設定されており、エンジン用制御装置25は、エンジン22に取り付けられている。
上記第2の動力ユニット16は、上述した第1の動力ユニット14と同じく、旋回フレーム11に取り付けられるサイドフレーム31と、このサイドフレーム31上に設置されるエンジン32及びその周辺機器(詳しくは後述する)と、このエンジン32及びその周辺機器を覆うケース33とを備えている。第2の動力ユニット16は、組み立てられた状態の建設機械Aの動作とは別に、例えば動力ユニット16単独で油圧ユニットとして使用可能となるようにエンジン32及びその周辺機器を備えている。エンジン32の周辺機器は、具体的には、エンジン32を冷却するための冷却器34、エンジン32を制御するエンジン用制御装置35、エンジン32によりパワーデバイダ36を介して駆動される複数(図では2つ)の油圧ポンプ37,37、エンジン32に接続された燃料タンク38、及び上記各油圧ポンプ37に接続された作動油タンク39である。サイドフレーム31上でのエンジン32及び周辺機器の配列は、例えば前から順に、冷却器34、エンジン32、パワーデバイダ36、油圧ポンプ37、作動油タンク39及び燃料タンク38に設定されており、エンジン用制御装置35は、エンジン32に取り付けられている。
尚、図1中、41は運転室13の周囲に設けられた足場、42及び43はそれぞれ第1及び第2の動力ユニット14,16の周囲に設けられた足場である。
次に、上記建設機械Aに装備されるCAN通信システムの構成を説明するに、図3ないし図8を用いるが、これらの図は、建設機械Aがクローラクレーンであって、その旋回フレーム11の後端に必要に応じて、車輪操舵用などの制御装置51付きのカウンタウエイトトレーラ52を連結して装備するものを想定して作成されている。それ故、以下の説明では、建設機械Aをクローラクレーンと称する。ここで、図3は旋回フレーム11の左右両側にそれぞれ第1及び第2の動力ユニット14,16を取り付けた定常状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備しないクローラクレーンAの使用状態を示し、図4は定常状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備したクローラクレーンAの使用状態を示し、図5は定常状態から第2の動力ユニット16を取り外したクローラクレーンAの使用状態を示し、図6は定常状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備した状態から第2の動力ユニット16を取り外したクローラクレーンAの使用状態を示す。また、図7は運転室13及び第1の動力ユニット14だけで使用するときの使用状態を示し、図8は第2の動力ユニット16を油圧ユニットとして転用するときの使用状態を示す。
上記クローラクレーンAの運転室13には、図3に示すように、モーメントリミッターなど種々の複数の制御装置53a,53bが設けられている。クローラクレーンAは、この運転室13側の制御装置53a,53b間の情報伝達、運転室13側の制御装置53a,53bとエンジン用制御装置25,35との間の情報伝達、及びカウンタウエイトトレーラ52を装備したときその制御装置51と運転室13側の制御装置53a,53bとの間の情報伝達を行うためにCAN通信システム60を装備している。
上記CAN通信システム60は、図3に示すような定常状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備しないクローラクレーンAの使用状態の場合、運転室13から第1の動力ユニット14に跨がって配線され、運転室13側の制御装置53a,53b及び第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25がそれぞれ接続された第1の通信ライン61と、運転室13側の制御装置53aの内部に設けられ、上記第1の通信ライン61の一端が接続された第1の終端抵抗62と、運転室13から第1の動力ユニット14に跨がって配線され、運転室13側の制御装置53a,53bが接続された第2の通信ライン63と、運転室13側の制御装置53aの内部に設けられ、上記第2の通信ライン63の一端が接続された第2の終端抵抗64と、第1の動力ユニット14の旋回フレーム11側部位に設けられ、上記第1及び第2の通信ライン61,63の他端が共に接続された第1のコネクタ65と、旋回フレーム11上にそれぞれ配線された第3、第4及び第5の通信ライン66,67,68と、旋回フレーム11の第1の動力ユニット14側部位に設けられ、上記第3及び第4の通信ライン66,67の一端が共に接続されたコネクタであって、このコネクタを上記第1のコネクタ65に接続したとき第3の通信ライン66を第2の通信ライン63に、第4の通信ライン67を第1の通信ライン61にそれぞれ接続するための第2のコネクタ69と、旋回フレーム11の第2の動力ユニット16側部位に設けられ、上記第3の通信ライン66の他端及び第5の通信ライン68の一端が共に接続された第3のコネクタ71と、旋回フレーム11にそれぞれ設けられ、上記第4の通信ライン67の他端及び第5の通信ライン68の他端がそれぞれ第5のコネクタ76を介して取り外し可能に接続された第3及び第4の終端抵抗72,73と、第2の動力ユニット16に配線され、第2の動力ユニット16のエンジン用制御装置35が接続された第6の通信ライン74と、第2の動力ユニット16の旋回フレーム11側部位に設けられ、上記第6の通信ライン74の両端が共に接続されたコネクタであって、このコネクタを上記第3のコネクタ71に接続したとき第6の通信ライン74の両端をそれぞれ第3及び第5の通信ライン66,68に接続するための第4のコネクタ75とを備えている。
上記第1及び第2のコネクタ65,69は、誤接続を防止するために、2つの通信ライン同士で凹凸が逆になるように設けられている。また、上記第3及び第4のコネクタ71,75も同様に設けられている。
一方、図4に示すように、上記カウンタウエイトトレーラ52には、CAN通信システム60の構成要素として、制御装置51が共に接続された2本の通信ライン81,82と、この両通信ライン81,82の一端が共に接続されたコネクタ83と、両通信ライン81,82の他端がそれぞれ接続された2つの終端抵抗84,85とが設けられており、この両終端抵抗84,85は、共に制御装置51の内部に設けられている。そして、カウンタウエイトトレーラ52を装備するときには、上記第5のコネクタ76を第3及び第4の終端抵抗72,73から外し、第5のコネクタ76をケーブル86を介してカウンタウエイトトレーラ52のコネクタ83に接続することで上記第4及び第5の通信ライン67,68の他端がカウンタウエイトトレーラ52の2本の通信ライン81,82にそれぞれ接続されるようになっている。
上記CAN通信システム60は、更に、図5及び図6に示すような第2の動力ユニット16を取り外した状態でクローラクレーンAを使用する場合に上記第3のコネクタ71に接続され、上記第3の通信ライン66を第5の通信ライン68に接続するための第1のショートケーブル91と、図7に示すような運転室13及び第1の動力ユニット14だけで使用する場合に上記第1のコネクタ65に接続され、上記第1及び第2の通信ライン61,63の他端にそれぞれ終端抵抗92,93を接続するための第2の外部抵抗ユニット94とを備えている。
尚、上記第1のショートケーブル91は、本実施形態では、旋回フレーム11に固定して配線された部分91aと、取り外し可能な部分91bとからなるが、第1のショートケーブル91全体を取り外し可能なものとしても良い。また、第3のコネクタ71を旋回フレーム11側から引き出し、この第3のコネクタ71を第1のショートケーブル91の旋回フレーム11側の部分91aに直接接続して、第3の通信ライン66を第5の通信ライン68に接続するように構成しても良い。さらに、第1のショートケーブル91の取り外し部分91b及び第2の外部抵抗ユニット94は、非使用時にはクローラクレーンAに装備される収納部などに収納される。
次に、上記クローラクレーンAの各使用状態におけるCAN通信システム60の接続状態などについて説明する。
(1)図3に示すように、クローラクレーンAの定常状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備しない使用状態の場合、第1の通信ライン61と第4の通信ライン67とが第1及び第2のコネクタ65,69を介して接続されるとともに、第4の通信ライン67の他端が第5のコネクタ76を介して第3の終端抵抗72に接続されることにより、両端に第1の終端抵抗62及び第3の終端抵抗72を設けた1系統のCANバス通信ラインが構成され、このCANバス通信ラインを介して、運転室13側の制御装置53a,53b相互間の情報伝達及び運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25との間の情報伝達が行われる。それと共に、第2の通信ライン63と第3の通信ライン66と第6の通信ライン74と第5の通信ライン68とが第1及び第2のコネクタ65,69又は第3及び第4のコネクタ71,75を介して接続されるとともに、第5の通信ライン68の他端が第5のコネクタ76を介して第4の終端抵抗73に接続されることにより、両端に第2の終端抵抗64及び第4の終端抵抗73を設けた別の1系統のCANバス通信ラインが構成され、このCANバス通信ラインを介して、運転室13側の制御装置53a,53b相互間の情報伝達及び運転室13側の制御装置53a,53bと第2の動力ユニット16のエンジン用制御装置35との間の情報伝達が行われる。
(2)図4に示すように、クローラクレーンAの定常状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備した使用状態(拡張使用状態)の場合、(1)の使用状態から、第5のコネクタ76を第3及び第4の終端抵抗72,73から外し、第5のコネクタ76をケーブル86を介してカウンタウエイトトレーラ52のコネクタ83に接続する。これにより、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51とは、第1の通信ライン61と第4の通信ライン67とケーブル86とカウンタウエイトトレーラ52の1本の通信ライン81とからなりかつ両端に第1の終端抵抗62及びカウンタウエイトトレーラ52の1つの終端抵抗84を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室13側の制御装置53a,53bと第2の動力ユニット16のエンジン用制御装置35とカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51とは、第2の通信ライン63と第3の通信ライン66と第6の通信ライン74と第5の通信ライン68とケーブル86とカウンタウエイトトレーラ52の別の1本の通信ライン82とからなりかつ両端に第2の終端抵抗64及びカウンタウエイトトレーラ52の別の1つの終端抵抗85を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
(3)図5に示すように、クローラクレーンAの定常状態から組立途中又は故障などの理由により第2の動力ユニット16を取り外した状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備しない使用状態の場合、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とは、(1)の使用状態の場合と同様に、第1の通信ライン61と第4の通信ライン67とからなりかつ両端に第1の終端抵抗62及び第3の終端抵抗72を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に情報伝達を行う。それと共に、第2の通信ライン63と第3の通信ライン66とが第1及び第2のコネクタ65,69を介して接続されるとともに、第3のコネクタ71に第1のショートケーブル91が接続され、この第1のショートケーブル91を介して第3の通信ライン66と第5の通信ライン68とが接続されることにより、両端に第2の終端抵抗64及び第4の終端抵抗73を設けた別の1系統のCANバス通信ラインが構成され、このCANバス通信ラインを介して、運転室13側の制御装置53a,53b相互間の情報伝達が行われる。
尚、第3のコネクタ71に、第1のショートケーブル91の代わりに、2つの終端抵抗を有する第1の外部抵抗ユニット(図示せず)を接続して、第3の通信ライン66の他端及び第5の通信ライン68の一端にそれぞれ第1の外部抵抗ユニットの終端抵抗を接続するようにしても良い。この場合、第2の通信ライン63と第3の通信ライン66は、その両端に第2の終点抵抗64及び第1の外部抵抗ユニットの終端抵抗を設けてなる別の1系統のCANバス通信ラインを構成し、このCANバス通信ラインを介して、運転室13側の制御装置53a,53b相互間の情報伝達が行われる。また、第1の外部抵抗ユニットは、第2の外部抵抗ユニット94と兼用可能とすることが好ましい。
(4)図6に示すように、クローラクレーンAの定常状態から第2の動力ユニット16を取り外した状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備した使用状態の場合、(3)の使用状態から、第5のコネクタ76を第3及び第4の終端抵抗72,73から外し、第5のコネクタ76をケーブル86を介してカウンタウエイトトレーラ52のコネクタ83に接続する。これにより、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51とは、(2)の使用状態の場合と同様に、第1の通信ライン61と第4の通信ライン67とケーブル86とカウンタウエイトトレーラ52の1本の通信ライン81とからなりかつ両端に第1の終端抵抗62及びカウンタウエイトトレーラ52の1つの終端抵抗84を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室13側の制御装置53a,53bとカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51とは、第2の通信ライン63と第3の通信ライン66と第1のショートケーブル91と第5の通信ライン68とケーブル86とカウンタウエイトトレーラ52の別の1本の通信ライン82とからなりかつ両端に第2の終端抵抗64及びカウンタウエイトトレーラ52の別の1つの終端抵抗85を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
(5)図7に示すように、クローラクレーンAの使用状態としてその上部旋回体3の運転室13及びそれに連結された第1の動力ユニット14だけで動作確認などのために使用する場合、第1のコネクタ65に第2の外部抵抗ユニット94を接続して、第1及び第2の通信ライン61,63にそれぞれ終端抵抗92,93を接続する。これにより、第1の通信ライン61は、その両端に第1の終端抵抗62及び第2の外部抵抗ユニット94の終端抵抗92を設けてなる1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ライン61を介して、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25との間の情報伝達が行われる。それと共に、第2の通信ライン63も、その両端に第2の終端抵抗64及び第2の外部抵抗ユニット94の終端抵抗93を設けてなる別の1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ライン63を介して、運転室13側の制御装置53a,53b相互間の情報伝達が行われる。
尚、第1のコネクタ65に、第2の外部抵抗ユニット94の代わりに、第2のショートケーブル(図示せず)を接続して、第1及び第2の通信ライン61,63の他端同士を接続しても良い。この場合、第1の通信ライン61と第2の通信ライン62は、その両端に第1及び第2の終端抵抗62,64を設けてなる1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ラインを介して、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25の相互間の情報伝達等が行われる。また、第2のショートケーブルは、第1のショートケーブル91の場合と同様に、第1の動力ユニット14に固定して配線された部分と取り外し可能な部分とで構成したり、ショートケーブル全体を取り外し可能にしたり、第1の動力ユニット14に固定して配線された部分のみで構成し、第1のコネクタ65を第1の動力ユニット14側から引き出してその部分に接続したりする構成のいずれでも良いが、ショートケーブル全体を取り外し可能にして、第1のショートケーブル91と第2のショートケーブルとを兼用可能にすることが好ましい。
(6)図8に示すように、クローラクレーンAの使用状態としてその上部旋回体3の第2の動力ユニット16を油圧ユニットとして転用する場合、第2の動力ユニット16のエンジン用制御装置35は、他の制御装置と情報伝達を行う必要はないので、CANバス通信ラインも必要ではない。
以上説明したように、上記第1の実施形態のCAN通信システム60においては、クローラクレーンAのいずれの使用状態でも常に両端に終端抵抗を設けたCANバス通信ラインが構成され、この通信ラインを介して運転室13側の制御装置53a,53bと各動力ユニット14,16のエンジン用制御装置25,35との間の通信伝達(カウンタウエイトトレーラ52を装備する場合更にカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51との間の通信伝達も含む)が行われるため、正常な通信を確保することができる。しかも、運転室13側の制御装置53a,53bと第1及び第2の動力ユニット14,16のエンジン用制御装置25,35とは、別々のCANバス通信ラインを介して通信伝達が行われるため、エンジン用制御装置25,35のソフトウエア設計に拘わらず運転室13側の制御装置53a,53bでエンジン用制御装置25,35が第1及び第2のいずれの動力ユニット14,16のものであるかを特定した上で通信を行うことができ、実施化の促進に寄与することができる。
図9及び図10は本発明の第2の実施形態に係る建設機械に装備されるCAN通信システム100の構成を示す。建設機械は、第1の実施形態の場合と同じく、旋回フレーム11の後端に必要に応じて、制御装置51付きのカウンタウエイトトレーラ52を連結して装備するクローラクレーンである。図9はクレーン本体が定常状態でカウンタウエイトトレーラ52を装備したクローラクレーンの使用状態を示し、図10はクレーン本体が定常状態でカウンタウエイトトレーラを装備していないクローラクレーンの使用状態を示す。
上記CAN通信システム100は、第1の実施形態の如き旋回フレーム11の第3及び第4の終端抵抗72,73の設置箇所に、終端抵抗72,73の代わりに、2つの中継装置101,102を設けている。この各中継装置101,102は、第4の通信ライン67又は第5の通信ライン68に接続されているとともに、2本の中継ライン103,104のうちの一方に接続されていて、両ライン67,103又は68,104間で信号の中継を行うものである。尚、中継装置101,102の中継通信では、ノイズを除去したり、信号の増幅を行ったり、信号波形の整形を行ったり、場合によっては通信プロトコルを変更したりする機能を付加するようにしてもよい。
また、上記各中継装置101,102は、内部に上記第3の終端抵抗72又は第4の終端抵抗73を有するとともに、上記2本の中継ライン103,104のうちの一方の一端が接続された第5の終端抵抗105又は第6の終端抵抗106を有している。上記2本の中継ライン103,104の他端は、旋回フレーム11に設けた第5のコネクタ76に接続されており、この第5のコネクタ76は、上記カウンタウエイトトレーラ52を装備するときケーブル86を介してカウンタウエイトトレーラ52のコネクタ83に接続されるようになっている。尚、クレーン本体、カウンタウエイトトレーラ52及びCAN通信システム100のその他の構成は、第1の実施形態の場合と同じであり、同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
そして、上記第2の実施形態においては、第1の実施形態の場合に述べた作用効果を奏する外、以下のような作用効果をも奏する。
すなわち、図9に示すように、カウンタウエイトトレーラ52を装備するときには、クレーン本体側で両端に終端抵抗を設けた2系統のCANバス通信ラインが構成されるだけでなく、クレーン本体側の中継装置101,102とカウンタウエイトトレーラ52との間でも、中継装置101,102内の第5及び第6の終端抵抗105,106にそれぞれ一端が接続された2本の中継ライン103,104が、第5のコネクタ76、ケーブル86及びカウンタウエイトトレーラ52のコネクタ83を介してカウンタウエイトトレーラ52の2本の通信ライン81,82にそれぞれ接続されることにより、両端に終端抵抗を設けた2系統のCANバス通信ラインが構成される。このため、運転室13側の制御装置53a,53bとカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51との間の実質的なCANバス通信ラインの全長が長くなる場合でも安定した通信を確実に確保することができる。
一方、図10に示すように、カウンタウエイトトレーラ52を装備しないときには、クレーン本体側の中継装置101,102とカウンタウエイトトレーラ52との間では、ケーブル86を取り外すだけでよく、第5のコネクタ76にショートケーブルや外部抵抗ユニットなどを接続する必要はない。その結果、使い勝手が良いという特有の効果を奏する。
図11は本発明の第3の実施形態に係る建設機械に装備されるCAN通信システム200の構成を示す。建設機械は、第1の実施形態の場合と同じく、旋回フレーム11の後端に必要に応じて、制御装置51付きのカウンタウエイトトレーラ52を連結して装備するクローラクレーンである。
上記CAN通信システム200は、運転室13から第1の動力ユニット14に跨がって配線され、運転室13側の制御装置53a,53b及び第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25がそれぞれ接続された第1の通信ライン201と、運転室13側の制御装置53aの内部に設けられ、上記第1の通信ライン201の一端に接続された第1の終端抵抗202と、運転室13から第1の動力ユニット14に跨がって配線され、運転室13側の制御装置53a,53bが接続された第2の通信ライン203と、運転室13側の制御装置53aの内部に設けられ、上記第2の通信ライン203の一端に接続された第2の終端抵抗204と、旋回フレーム11上にそれぞれ配線された第3、第4、第5及び第6の通信ライン205,206,207,208と、この第4及び第5の通信ライン206,207に対応して第1の動力ユニット14に配線された第7の通信ライン209と、第2の動力ユニット16に配線され、第2の動力ユニット16のエンジン用制御装置35が接続された第8の通信ライン210と、旋回フレーム11と第1の動力ユニット14の間にそれぞれ設けられ、旋回フレーム11に第1の動力ユニット14を取り付けた状態のとき上記第2の通信ライン203の他端と上記第3の通信ライン205の一端を、上記第4の通信ライン206の一端と上記第7の通信ライン209の一端を、上記第5の通信ライン207の一端と上記第7の通信ライン209の他端を、及び上記第1の通信ライン201の一端と上記第6の通信ライン208の一端をそれぞれ接続する第1、第2、第3及び第4のコネクタ211,212,213,214と、旋回フレーム11と第2の動力ユニット16の間にそれぞれ設けられ、旋回フレーム11に第2の動力ユニット16を取り付けた状態のとき上記第3の通信ライン205の他端と上記第8の通信ライン210の一端を、及び上記第4の通信ライン206の他端と上記第8の通信ライン210の他端をそれぞれ接続する第5及び第6のコネクタ215,216と、カウンタウエイトトレーラ52を装備するとき上記第5及び第6の通信ライン207,208の他端をカウンタウエイトトレーラ52の2本の通信ライン81,82にそれぞれ接続するケーブル217とを備えている。
また、上記CAN通信システム200は、旋回フレーム11に第1の動力ユニット14を取り付けた状態か否かを検知する第1の検知部218と、旋回フレーム11に第2の動力ユニット16を取り付けた状態か否かを検知する第2の検知部219と、カウンタウエイトトレーラ52を装備した状態か否かを検知する第3の検知部220と、上記第1の通信ライン201に介設された第1の切替器221と、上記第2の通信ライン203に介設された第2の切替器222と、上記第2の通信ライン203における第2の切替器222より反運転室側部分に介設された第3の切替器223と、上記第7の通信ライン209に介設された第4の切替器224と、上記第8の通信ライン210に介設された第5の切替器225とを備えている。
上記第1の切替器221はc接点のリレーからなり、そのコイル221aは、接地ライン226、旋回フレーム11と第1の動力ユニット14との間に設けたコネクタ227、及び旋回フレーム11とカウンタウエイトトレーラ52との間に設けたコネクタ228,229などを介してカウンタウエイトトレーラ52側で接地されている。そして、第1の切替器221は、上記第3の検知部220の検出結果がカウンタウエイトトレーラ52を装備した状態のとき(つまりコイル221aを通る電源経路が形成されてコイル221aが励磁される状態のとき)第1の通信ライン201を繋いだ状態にする一方、カウンタウエイトトレーラ52を装備していない状態のとき(つまりコイル221aが非励磁のとき)、図示の如く第1の通信ライン201を遮断しかつ第1の通信ライン201の制御装置接続側部分を第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25の内部に設けた第3の終端抵抗230に接続するように切り替わるようになっている。この場合、第3の検知部220は、接地ライン226とコネクタ227〜229とにより構成されている。
上記第2の切替器222は、同じくc接点のリレーからなり、そのコイル222aは、接地ライン231、整流器232、接地ライン226及びコネクタ227〜229などを介してカウンタウエイトトレーラ52側で接地されているとともに、接地ライン231、整流器233、接地ライン234、旋回フレーム11と第1の動力ユニット14との間に設けたコネクタ235、及び旋回フレーム11と第2の動力ユニット16との間に設けたコネクタ236などを介して第2の動力ユニット16側で接地されている。そして、第2の切替器222は、上記第1の検知部218の検知結果が第1の動力ユニット14を取り外した状態のとき、又は上記第2の検知部219の検知結果が第2の動力ユニット16を取り外した状態でかつ上記第3の検知部220の検知結果がカウンタウエイトトレーラ52を装備していない状態のとき(つまりコイル222aが非励磁のとき)、図示の如く第2の通信ライン203を遮断しかつ第2の通信ライン203の運転室側部分を第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25の内部に設けた第4の終端抵抗237に接続する一方、それ以外のとき(つまりコイル222aを通る電源経路が形成されてコイル222aが励磁される状態のとき)第2の通信ライン203を繋いだ状態にするように切り替わるようになっている。この場合、第1及び第2の検知部218,219は、共に接地ライン231,234と整流器233とコネクタ235,236とにより構成されており、第3の検知部220は、接地ライン231,226と整流器232とコネクタ227〜229とにより構成されている。
上記第3の切替器223は、同じくc接点のリレーからなり、そのコイル223aは、接地ライン238,234及びコネクタ235,236などを介して第2の動力ユニット16側で接地されている。そして、第3の切替器223は、上記第2の検知部219の検知結果が第2の動力ユニット16を取り付けた状態のとき(つまりコイル223aを通る電源経路が形成されてコイル223aが励磁される状態のとき)第2の通信ライン203を繋いだ状態にする一方、第2の動力ユニット16を取り外した状態のとき(つまりコイル223aが非励磁のとき)、図示の如く第2の通信ライン203を遮断しかつ第2の通信ライン203の運転室側部分を第1の動力ユニット14に配線した中継ライン239の一端に接続するように切り替わるようになっている。この場合、第2の検知部219は、接地ライン238,234とコネクタ235,236とにより構成されている。
上記第4の切替器224は、同じくc接点のリレーからなり、そのコイル224aは、接地ライン240,234及びコネクタ235,236などを介して第2の動力ユニット16側で接地されている。そして、第4の切替器224は、上記第2の検知部219の検知結果が第2の動力ユニット16を取り付けた状態のとき(つまりコイル224aを通る電源経路が形成されてコイル224aが励磁される状態のとき)第7の通信ライン209を繋いだ状態にする一方、第2の動力ユニット16を取り外した状態のとき(つまりコイル224aが非励磁のとき)、図示の如く第7の通信ライン209を遮断しかつ上記中継ライン239の他端と第7の通信ライン209における第3のコネクタ213側部分とを接続するように切り替わるようになっている。この場合、第2の検知部219は、接地ライン240,234とコネクタ235,236とにより構成されている。
上記第5の切替器225は、同じくc接点のリレーからなり、そのコイル225aは、接地ライン241、旋回フレーム11と第2の動力ユニット16との間に設けたコネクタ242、旋回フレーム11と第1の動力ユニット14との間に設けたコネクタ243、接地ライン226及びコネクタ227〜229などを介してカウンタウエイトトレーラ52側で接地されている。そして、第5の切替器225は、上記第3の検知部220の検知結果がカウンタウエイトトレーラ52を装備した状態のとき(つまりコイル225aを通る電源経路が形成されてコイル225aが励磁される状態のとき)第8の通信ライン210を繋いだ状態にする一方、カウンタウエイトトレーラ52を装備していない状態のとき(つまりコイル225aが非励磁のとき)、図示の如く第8の通信ライン210を遮断しかつ第8の通信ライン210の制御装置接続側部分と第2の動力ユニット16のエンジン用制御装置35の内部に設けた第5の終端抵抗244とを接続するように切り替わるようになっている。この場合、第3の検知部220は、接地ライン241,226とコネクタ242,243,227〜229とにより構成されている。
次に、上記クローラクレーンの各使用状態におけるCAN通信システム200の接続状態などについて説明する。
(1)クレーン本体側が定常状態でカウンタウエイトトレーラ52を装備するときには、第1の切替器221が第1の通信ライン201を繋いだ状態にする切替位置に、第2及び第3の切替器222,223が共に第2の通信ライン203を繋いだ状態にする切替位置に、第4の切替器224が第7の通信ライン209を繋いだ状態にする切替位置に、第5の切替器225が第8の通信ライン210を繋いだ状態にする切替位置にそれぞれ位置する。これにより、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51とは、第1の通信ライン201と第6の通信ライン208とケーブル217とカウンタウエイトトレーラ52の1本の通信ライン81などからなりかつ両端に第1の終端抵抗202及びカウンタウエイトトレーラ52の1つの終端抵抗84を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室13側の制御装置53a,53bと第2の動力ユニット16のエンジン用制御装置35とカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51とは、第2の通信ライン203と第3の通信ライン205と第8の通信ライン210と第4の通信ライン206と第7の通信ライン209と第5の通信ライン207とケーブル217とカウンタウエイトトレーラ52の別の1本の通信ライン82などからなりかつ両端に第2の終端抵抗204及びカウンタウエイトトレーラ52の別の1つの終端抵抗85を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
(2)クレーン本体側が定常状態でカウンタウエイトトレーラ52を装備しないときには、第1の切替器221が第1の通信ライン201を遮断しかつ第1の通信ライン201の制御装置接続側部分を第3の終端抵抗230に接続する切替位置に、第2及び第3の切替器222,223が共に第2の通信ライン203を繋いだ状態にする切替位置に、第4の切替器224が第7の通信ライン209を繋いだ状態にする切替位置に、第5の切替器225が第8の通信ライン210を遮断しかつ第8の通信ライン210の制御装置接続側部分と第5の終端抵抗244とを接続する切替位置にそれぞれ位置する。これにより、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とは、第1の通信ライン201と第1の切替器221などからなりかつ両端に第1の終端抵抗202及び第3の終端抵抗230を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室13側の制御装置53a,53bと第2の動力ユニット16のエンジン用制御装置35とは、第2の通信ライン203と第3の通信ライン205と第8の通信ライン210と第5の切替器225などからなりかつ両端に第2の終端抵抗204及び第5の終端抵抗244を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
(3)クレーン本体側が定常状態から第2の動力ユニット16を取り外した状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備するときには、第1の切替器221が第1の通信ライン201を繋いだ状態にする切替位置に、第2の切替器222が第2の通信ライン203を繋いだ状態にする切替位置に、第3の切替器223が第2の通信ライン203を遮断しかつ第2の通信ライン203の運転室側部分を中継ライン239の一端に接続する切替位置に、第4の切替器224が第7の通信ライン209を遮断しかつ中継ライン239の他端と第7の通信ライン209における第3のコネクタ213側部分とを接続する切替位置にそれぞれ位置する。これにより、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51とは、第1の通信ライン201と第6の通信ライン208とケーブル217とカウンタウエイトトレーラ52の1本の通信ライン81などからなりかつ両端に第1の終端抵抗202及びカウンタウエイトトレーラ52の1つの終端抵抗84を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室13側の制御装置53a,53bとカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51とは、第2の通信ライン203と中継ライン239と第7の通信ライン209における第3のコネクタ213側部分と第5の通信ライン207とケーブル217とカウンタウエイトトレーラ52の別の1本の通信ライン82などからなりかつ両端に第2の終端抵抗204及びカウンタウエイトトレーラ52の別の1つの終端抵抗85を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
(4)クレーン本体側が定常状態から第2の動力ユニット16を取り外した状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備しないときには、第1の切替器221が第1の通信ライン201を遮断しかつ第1の通信ライン201の制御装置接続側部分を第3の終端抵抗230に接続する切替位置に、第2の切替器222が第2の通信ライン203を遮断しかつ第2の通信ライン203の運転室側部分を第4の終端抵抗237に接続する切替位置にそれぞれ位置する。これにより、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とは、第1の通信ライン201と第1の切替器221などからなりかつ両端に第1の終端抵抗202及び第3の終端抵抗230を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。それと共に、運転室13側の制御装置53a,53b同士は、第2の通信ライン203と第2の切替器222などからなりかつ両端に第2の終端抵抗204及び第4の終端抵抗237を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。尚、このとき、第3の切替器223は、第2の通信ライン203を遮断しかつ第2の通信ライン203の運転室側部分を中継ライン239の一端に接続する切替位置に、第4の切替器224は、第7の通信ライン209を遮断しかつ第7の通信ライン209の第3のコネクタ213側部分を中継ライン239の他端に接続する切替位置にそれぞれ位置するが、この両切替器223,224の位置によりCANバス通信ラインが影響を受けることはない。
(5)クレーン本体側の運転室13及びそれに連結された第1の動力ユニット14だけで使用するときには、上述したクレーン本体側が定常状態から第2の動力ユニット16を取り外した状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備しないときと同じく、第1の切替器221が第1の通信ライン201を遮断しかつ第1の通信ライン201の制御装置接続側部分を第3の終端抵抗230に接続する切替位置に、第2の切替器222が第2の通信ライン203を遮断しかつ第2の通信ライン203の運転室側部分を第4の終端抵抗237に接続する切替位置にそれぞれ位置するため、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とは、第1の通信ライン201と第1の切替器221などからなりかつ両端に第1の終端抵抗202及び第3の終端抵抗230を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行うとともに、運転室13側の制御装置53a,53b同士は、第2の通信ライン203と第2の切替器222などからなりかつ両端に第2の終端抵抗204及び第4の終端抵抗237を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に通信伝達を行う。
以上説明したように、第3の実施形態のCAN通信システム200においても、第1の実施形態のCAN通信システム60と同じく、クローラクレーンのいずれの使用状態でも常に両端に終端抵抗を設けたCANバス通信ラインが構成され、この通信ラインを介して運転室13側の制御装置53a,53bと各動力ユニット14,16のエンジン用制御装置25,35との間の通信伝達(カウンタウエイトトレーラ52を装備する場合更にカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51との間の通信伝達も含む)が行われるため、正常な通信を確保することができる。また、運転室13側の制御装置53a,53bと第1及び第2の動力ユニット14,16のエンジン用制御装置25,35とは、別々のCANバス通信ラインを介して通信伝達が行われるため、エンジン用制御装置25,35のソフトウエア設計に拘わらず運転室13側の制御装置53a,53bでエンジン用制御装置25,35が第1及び第2のいずれの動力ユニット14,16のものであるかを特定した上で通信を行うことができ、実施化の促進に寄与することができる。
その上、上記第1ないし第5の切替器221〜225は、いずれも第1、第2又は第3の検知部218〜220の検知結果に基づいて、クローラクレーンの使用形態に応じて自動的に切り替わるため、2系統のCANバス通信ラインを構成するための作業が容易なものになるという特有の効果を奏する。
図12及び図13は本発明の第4の実施形態に係る建設機械に装備されるCAN通信システム300の構成を示す。建設機械は、第1の実施形態の場合と同じく、旋回フレーム11の後端に必要に応じて、制御装置51付きのカウンタウエイトトレーラ52を連結して装備するクローラクレーンであるが、建設機械の第2の動力ユニット16は、エンジン用制御装置25などの制御装置を備えていない。図12はクレーン本体が定常状態でカウンタウエイトトレーラを装備していないクローラクレーンの使用状態を示し、図13はクレーン本体が定常状態でカウンタウエイトトレーラ52を装備したクローラクレーンの使用状態を示す。
上記CAN通信システム300は、基本的には、第1の実施形態におけるCAN通信システム60と同じであり、同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。CAN通信システム300の異なる点は、旋回フレーム11上に配線される通信ラインの本数などに過ぎない。
すなわち、上記旋回フレーム11上には、2本の通信ラインである第3の通信ライン301と第4の通信ライン302のみが配線されている。この第3及び第4の通信ライン301,302の一端は、共に旋回フレーム11の第1の動力ユニット14側部位に設けられた第2のコネクタ69に接続されており、この第2のコネクタ69を第1のコネクタ65に接続したとき、第3の通信ライン301が第2の通信ライン63に、第4の通信ライン302が第1の通信ライン61にそれぞれ接続されるようになっている。
上記第3及び第4の通信ライン301,302の他端は、共に第3のコネクタ303に接続されている。そして、カウンタウエイトトレーラ52を装備しないときには、旋回フレーム11にそれぞれ設けられた第3及び第4の終端抵抗304,305に対し上記第3のコネクタ303を介して第3及び第4の通信ライン301,302がそれぞれ接続される一方、カウンタウエイトトレーラ52を装備するときには、上記第3のコネクタ303を第3及び第4の終端端子304,305から外し、第3のコネクタ303をケーブル86を介してカウンタウエイトトレーラ52のコネクタ83に接続することで上記第3及び第4の通信ライン301,302の他端をカウンタウエイトトレーラ52の2本の通信ライン82,81にそれぞれ接続するようになっている。
また、上記CAN通信システム300は、図示していないが、運転室13及び第1の動力ユニット14だけで使用する場合に上記第1のコネクタ65に接続され、上記第1及び第2の通信ライン61,63の他端にそれぞれ終端抵抗を接続するための外部抵抗ユニット、又は上記第1及び第2の通信ライン61,63の他端同士を接続するためのショートケーブルを備えている。
次に、クローラクレーンの各使用状態におけるCAN通信システム300の接続状態などについて説明する。
(1)図12に示すように、クレーン本体側が定常状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備しない使用状態の場合、第1の通信ライン61と第4の通信ライン302とが第1及び第2のコネクタ65,69を介して接続されるとともに、第4の通信ライン302の他端が第3のコネクタ303を介して第4の終端抵抗305に接続されることにより、両端に第1の終端抵抗62及び第4の終端抵抗305を設けた1系統のCANバス通信ラインが構成され、この通信ラインを介して、運転室13側の制御装置53a,53b相互間の情報伝達及び運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25との間の情報伝達が行われる。それと共に、第2の通信ライン63と第3の通信ライン301とが第1及び第2のコネクタ65,69を介して接続されるとともに、第3の通信ライン301の他端が第3のコネクタ303を介して第3の終端抵抗304に接続されることにより、両端に第2の終端抵抗64及び第3の終端抵抗304を設けた別の1系統のCANバス通信ラインが構成され、この通信ラインを介して、運転室13側の制御装置53a,53b相互間の情報伝達が行われる。
(2)図13に示すように、クレーン本体側が定常状態でかつカウンタウエイトトレーラ52を装備した使用状態の場合、(1)の使用状態から、第3のコネクタ303を第3及び第4の終端抵抗304,305から外し、第3のコネクタ303をケーブル86を介してカウンタウエイトトレーラ52のコネクタ83に接続する。これにより、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51とは、第1の通信ライン61と第4の通信ライン302とケーブル86とカウンタウエイトトレーラ52の1本の通信ライン81とからなりかつ両端に第1の終端抵抗62及びカウンタウエイトトレーラ52の1つの終端抵抗84を設けた1系統のCANバス通信ラインを介して相互に情報伝達を行う。それと共に、運転室13側の制御装置53a,53bとカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51とは、第2の通信ライン63と第3の通信ライン301とケーブル86とカウンタウエイトトレーラ52の別の1本の通信ライン82とからなりかつ両端に第2の終端抵抗64及びカウンタウエイトトレーラ52の別の1つの終端抵抗85を設けた別の1系統のCANバス通信ラインを介して相互に情報伝達を行う。
(3)運転室13及びそれに連結された第1の動力ユニット14だけで動作確認などのために使用する場合、第1のコネクタ65に外部抵抗ユニットを接続して、第1及び第2の通信ライン61,63にそれぞれ終端抵抗を接続するか、又は第1のコネクタ65にショートケーブルを接続して、第1及び第2の通信ライン61,63の他端同士を接続する。前者の場合、第1の通信ライン61は、その両端に第1の終端抵抗62及び外部抵抗ユニットの終端抵抗を設けてなる1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ラインを介して、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とが相互に情報伝達を行う。それと共に、第2の通信ライン63も、その両端に第2の終端抵抗64及び外部抵抗ユニットの終端抵抗を設けてなる別の1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ラインを介して、運転室13側の制御装置53a,53b間の情報伝達が行われる。また、後者の場合、第1の通信ライン61と第2の通信ライン63は、両端に第1及び第2の終端抵抗62,64を設けてなる1系統のCANバス通信ラインを構成し、この通信ラインを介して、運転室13側の制御装置53a,53bと第1の動力ユニット14のエンジン用制御装置25とが相互に情報伝達を行う。
そして、上記第4の実施形態においても、第1の実施形態の場合と同様の作用効果を奏することができるのは勿論である。
尚、本発明は上記第1ないし第4の実施形態に限定されるものではなく、その他種々の形態を包含するものである。例えば上記各実施形態では、建設機械Aがクローラクレーンでかつ旋回フレーム11の後端に必要に応じて制御装置51付きのカウンタウエイトトレーラ52を連結して装備するものである場合に述べたが、本発明は、カウンタウエイトトレーラ52を装備しないタイプのクローラクレーンや油圧ショベルなどの建設機械であって、上部旋回体が図1及び図2を用いて説明した第1の実施形態と同じ構成の場合にも適用することができる。この場合、旋回フレーム11に設けられた第3及び第4の終端抵抗72,73に対しては、上記第1の実施形態の如く第4及び第5の通信ライン67,68の他端をそれぞれ第5のコネクタ76を介して取り外し可能に接続する必要はなく、第4及び第5の通信ライン67,68の他端をそれぞれ直接かつ取り外し不能に接続すれば良い。
また、上記第1の実施形態では、第1及び第2の終端抵抗62,64を運転室13側の制御装置53aの内部に設けるとともに、カウンタウエイトトレーラ52の終端抵抗84,85をカウンタウエイトトレーラ52の制御装置51の内部に設けたが、本発明は、これらの終端抵抗62,64,84,85を制御装置53a,51の外部に設けても良いのは勿論である。
さらに、上記第1の実施形態では、第1のコネクタ65と第2のコネクタ69との間、第3のコネクタ71と第4のコネクタ75との間及び第5のコネクタ76又はカウンタウエイトトレーラ52のコネクタ83とケーブル86との間では、誤接続を防止するために、2つの通信ライン同士で凹凸が逆になるように設けたが、それ以外に、コネクタの極数やピン配置などを変えて誤接続を防止するように構成しても良いのは言うまでもない。
加えて、上記第2の実施形態では、第1の実施形態の如き旋回フレーム11の第3及び第4の終端抵抗72,73の設置箇所に、終端抵抗72,73の代わりに、2つの中継装置101,102を設けたが、本発明は、この両中継装置101,102を1つの中継装置により同一の機能を持たせるように構成しても良い。
また、本発明は、旋回フレーム11上に配線される第4及び第5の通信ライン67,68のうち、例えば第5の通信ライン68の他端にのみ中継装置102を設けるようにしても良い。この場合、中継装置102は、第2の実施形態の場合と同じく、内部に第4の終端抵抗73を有するとともに、中継ライン104の一端が接続された別の終端抵抗106を有しており、上記中継ライン104の他端は、旋回フレーム11に設けた第5のコネクタ76に接続されており、この第5のコネクタ76は、カウンタウエイトトレーラ52を装備するときケーブル86を介してカウンタウエイトトレーラ52のコネクタ83に接続する。一方、第4の通信ライン67の他端は、第1の実施形態の場合と同じく、カウンタウエイトトレーラ52を装備しないとき、旋回フレーム11に設けた第5の終端抵抗72に対し上記第5のコネクタ76と別の第6のコネクタを介して取り外し可能に接続し、カウンタウエイトトレーラ52を装備するとき上記第6のコネクタを第5の終端抵抗72から外し、第6のコネクタをケーブル86を介してカウンタウエイトトレーラ52のコネクタ83に接続すれば良い。
さらにまた、上記第3の実施形態では、第1ないし第5の切替器221〜225をいずれもc接点のリレーにより構成するとともに、第1ないし第3の検知部218〜220を、いずれもc接点のリレーのコイル221a〜225aの接地ラインやコネクタなどで構成したが、本発明は、これに限らず、例えば各検知部を接触型又は非接触型のセンサを用いて構成するとともに、各切替器をc接点のリレー以外のものを用いて構成しても良い。
また、上記各実施形態では、いずれも運転室13側の制御装置53a,53bと第1及び第2の動力ユニット14,16の制御装置25,35(カウンタウエイトトレーラ52を装備する場合はその制御装置51を含む。)とを、2系統のCANバス通信ラインを介して情報伝達を行うように構成したが、本発明は、故障などに対処するために、各実施形態の通信ラインを並列に複数本ずつ設けることにより、3系統以上のCANバス通信ラインを介して情報伝達を行うように構成しても良いのは言うまでもない。