JP5837664B2 - 熱可塑性樹脂フィルム原反、及びその製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルム原反、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムを用いた偏光板に関するものであり、大面積の液晶表示装置や薄形の液晶表示装置等に用いられる偏光板に関するものでもある。
近年、液晶テレビに代表されるフラットパネルディスプレイの大型画面化が進んでいる。それに伴って、フラットパネルディスプレイ用光学フィルムもますます大サイズ化の要求が強くなってきている。なかでも液晶表示装置用偏光板に対する薄膜化、広幅化、高品質化の要求が非常に強くなってきている。ここで、偏光板は通常巻芯に巻かれてフィルム原反となり、保存、輸送されている。
液晶表示装置(LCD)は、液晶セルおよび偏光板からなる。前記偏光板は保護フィルムおよび偏光子を有し、例えば、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償フィルムを配置することもある。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償フィルム、偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。また保護フィルムが光学補償フィルムをかねることもある。
液晶表示装置の大型画面化に伴って、フィルム原反は幅広、長尺となり、フィルム原反荷重は増加する傾向にあり、これらを長期間保存していると、フィルムの面状故障が発生しやすくなる。また、液晶ディスプレイの最表面に設置する場合にはフィルムの表面にクリアハード加工やアンチグレア加工、アンチリフレクション加工が施されている。これらの加工を施すとき、上記フィルムの面状故障があると、塗布ムラや蒸着ムラとなり、製品収率を大幅に悪化させる原因となる。これまで、このようなフィルム故障に対してはベース面の動摩擦係数を低くすることや、両サイドにアニーリング加工(エンボス加工)の高さを調節することによって発生を低減できることが知られている。しかしながら、ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムは表面強度が高く、機械強度も高いため、フィルム原反で保存、輸送する場合に面状故障の問題が深刻であり、解決手段が切望されていた。
国際公開第06/025445A1号公報 特開2005−22766号公報
従って、本発明は前記の問題点を鑑みてなされたものであり、ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に、「熱可塑性樹脂フィルム」ということがある)を長期間保存しても面状故障が発生しない生産性に優れた偏光板原反を提供するものであり、特に1350mm幅以上の広幅、かつ薄膜の偏光板においてその効果を発揮するものである。
我々は検討の結果、上記の故障を解決するには、広幅でかつ長巻きとなった偏光板の厚さを薄くすることと、粘着剤層外側のセパレータフィルムの厚さを特定の範囲に設定することが有効であることを見出した。
即ち、本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
〔1〕
1枚以上の保護フィルムと偏光子とを有する偏光板における保護フィルムに用いられ、ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム原反であって、
弾性率10〜15GPaの巻芯に巻き回してなり、
前記巻芯に巻き取られるフィルム長が500m以上のラクトン環含有重合体を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム原反。
〔2〕
巻芯両端部の円周長の平均と、巻芯中央部の円周長とが等しい巻芯を用いた〔1〕に記載の熱可塑性樹脂フィルム原反。
〔3〕
フィルム幅が1350mm以上である、〔1〕又は〔2〕に記載の熱可塑性樹脂フィルム原反

前記熱可塑性樹脂フィルム原反のフィルムの引張強度が30MPa以上100MPa未満である、〔1〕〜〔〕のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルム原反。

前記熱可塑性樹脂フィルム原反の一方の面に偏光子を有する〔1〕〜〔〕のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂フィルム原反。
本発明は、上記〔1〕〜〔〕に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記(1)〜(7))についても記載している。
(1)ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムからなる1枚以上の保護フィルムと光吸収層を有する偏光子からなる偏光板であって、該熱可塑性樹脂フィルムの厚さが60μm以下、該偏光子の厚さが40μm以下、偏光板の厚さが100μm以下である偏光板。
(2)前記偏光板の最外層に粘着層が1層積層され、該粘着層の厚さが30μm以下で、かつセパレータが粘着層の外側に配置され、該セパレータの厚さが前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さより厚い(1)に記載の偏光板。
(3)前記セパレータの厚さが、50μm以上である(2)記載の偏光板。
(4)前記セパレータが配置された側と反対側の表面にプロテクションフィルムが配置され、該プロテクションフィルムの厚さがセパレータより薄い(1)から(3)に記載の偏光板。
(5)前記偏光板がロールに巻き取られ、その長さが500m以上、幅が1m以上である(1)から(4)に記載の偏光板。
(6)ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムからなる1枚以上の保護フィルムと光吸収層を有する偏光子からなる偏光板であって、該熱可塑性樹脂フィルムの厚さが60μm以下、該偏光子の厚さが40μm以下、偏光板の厚さが100μm以下である偏光板ラベラー。
(7)前記偏光板の最外層に粘着層が積層され、該粘着層の厚さが30μm以下で、かつセパレータが粘着層の外側に配置され、該セパレータの厚さが前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さより厚い(6)に記載の偏光板ラベラー。
本発明により、熱可塑性樹脂フィルムを長期間にわたって保存しても、熱可塑性樹脂フィルム原反の面状故障が起りにくくなった。
また偏光板が薄形化できるため、原反1ロールあたりの巻取り長さが長くなり、輸送保管コストの削減ができた。同時に広幅化しても重量増加が抑えられ同様の効果が得られた。
さらに薄形化しても液晶表示装置に貼り合せる製造も容易であり、液晶表示装置の軽量化、薄形化を可能にした。
本発明における巻芯の一例を示す。 本願実施例で作製した巻芯の形状を示す。 本願実施例で作製した巻芯の形状を示す。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。本明細書において、アルキル基等の「基」は、特に述べない限り、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。さらに、炭素原子数が限定されている基の場合、該炭素原子数は、置換基が有する炭素原子数を含めた数を意味している。
本発明のラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム原反は、巻芯(円筒状のコア)を軸として、該巻芯の外周面にラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムを巻き回して構成されている。
本発明に使用される巻芯はフィラーメント・ワインディング(FW)法による繊維強化樹脂製のいわゆるFWPコアである。FW法とは、芯金の外周に樹脂を付着させたガラス、カーボン、アラミドなどの強化繊維を巻き付け、これを硬化炉に入れて樹脂を加熱硬化させた後、芯金を引き抜くという方法で巻芯を作製するものである。このFWPコアは、精度と強度と軽量性に優れている。
図1に、本発明におけるFW法による繊維強化樹脂製の巻芯の一例を示す。図1に示されるように、このFWPコアからなる巻芯本体10は、樹脂含浸(プリプレグ化)されたガラス、カーボン等の無機繊維を巻回して構成した基材層12と、ガラス、カーボン等の無機繊維あるいはナイロン等の合成繊維によって形成された繊維13を所定の傾斜角度で巻回した第一ワインディング層14と、この第一ワインディング層14を形成している繊維13の交差角度とは異なる交差角度で繊維13を巻回して構成した第二ワインディング層15、およびコーティング層16とにより構成されている。
図1は、説明上成形芯金11を入れたままの状態が示してある。この成形芯金11は巻芯本体10を完成させた後に取外されるものであって、本発明における巻芯の構成要素ではない。
基材層12は、中心物となる成形芯金11に、プリプレグ化されたガラス、カーボン等の無機繊維等を2層に巻回して構成されているもので、この基材層12は完成後の巻芯本体10の内面を滑らかにしかつ内径精度を上げるためのものである。この場合、成形芯金11は当然真円に近いものが使用され、その表面には必要に応じて離型剤が塗布される。離型剤の塗布は、完成後の巻芯本体10からこの成形芯金11を抜き取る場合に、その作業を容易に行えるようにするためである。
また、基材層12を成形芯金11に対して巻回しするには、その布目が成形芯金11に対して斜めになるように配置してなされる。その理由は、この基材層12上に第一ワインディング層14を巻回していく場合に、この巻回し途中において基材層12がほぐれないようにするためである。
この基材層12は、巻芯本体10として完成した後における強度を保障するというよりは、むしろ次の第一ワインディング層14および第二ワインディング層15の巻回し作業を容易かつ確実にするものであり、例えば、巻芯本体10自体の径が小さい場合には1回でよいし、一方、巻芯本体10の径が大きい場合には3回以上巻回すればよい。
第一ワインディング層14は、成形芯金11とともに回転される基材層12の上面に、繊維13を順次巻回(ワインディング)することによって形成される。この第一ワインディング層14を形成する繊維13は、ガラス、カーボン等の無機繊維あるいはナイロン、アラミド等の合成繊維によって形成されたものであり、巻回される以前にプリプレグ化されている。勿論、この巻回しにあたっては、各繊維13に所定の張力を付した状態で行なわれる。そして、この第一ワインディング層14を形成する繊維13の成形芯金11軸心に対する傾斜角度は、図1の場合45度である。この傾斜角度で成形芯金11の一端側から他端側に向けて所定の隙間で巻回し、他端に到ると今度は逆の傾斜角度(135度)で同様な巻回作業を順次行っていく。このような巻回しによって形成された層(繊維13の一回巻きを1層とする)は、例えば6層とする。この第一ワインディング層14は、当該巻芯の強度等を出す主タール部分となるから、繊維13によって形成される層の数はさらに多くてもよいが、径の小さい巻芯を形成する場合には少なくてもよい。
第二ワインディング層15は、基本的には第一ワインディング層14を形成する場合と同様な方法によって形成されるが、その成形芯金11に対する傾斜角度および巻き数において異なる。すなわち、この第二ワインディング層15を形成する繊維13の傾斜角度は図1においては75度であり、例えばその巻き数は3層とする。この傾斜角度で、上述の第一ワインディング層14の場合と同様に、成形芯金11の一端側から他端側に向けて所定の隙間で巻回し、他端に致ると今度は逆の傾斜角度(105度)で同様な巻回作業を順次行っていく。このように、第一ワインディング層14を形成している繊維13の各隙間を埋め尽くす様に、繊維13の傾斜角度を第一ワインディング層14の場合に比較して変更することが好ましい。この第二ワインディング層15は巻芯としての強度を保障するものというよりは、完成後の巻芯の表面が完全に滑らかなものとするためのものである。
巻芯の最外層には、例えば、厚さ0.3〜0.4mmのエポキシ樹脂によるコーティング層16が施されており、このコーティング層16の表面に機械的研磨を施して、表面仕上げし、研摩面とする。
以上のように形成した巻芯本体10にあっては、その表面仕上げをする前に、すなわち各層および各被膜が硬化した後において、成形芯金11が抜き出され、その後これら巻芯本体10はその表面仕上げがなされるとともに、巻芯本体10の不要な端部を切断して完成品とされるのである。
この成形芯金11の抜き出しは、当該成形芯金11に離型剤が塗布してあればより一層良好に行うことができるものであり、各層の端部を係止部材に係止させた状態で成形芯金11を機械によって強制的に引き抜くことによって行なわれる。
通常、ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム原反においては、製膜した長尺状フィルムを巻芯に巻き取る前に、巻き取られたフィルム同士の裏面と表面が完全に面同士密着するのを防止するために、フィルム加工幅の端部にエンボス加工などにより微小の連続した凹凸からなる定の幅に文様をつけるナーリング加工が行われている。これにより巻き取ったフィルム同士が完全に接着して、或いは、部分的に接着してフィルムの表面の状態に影響を与え、故障を引き起こすのを防ぐ役割を果たすものであり、本発明においてもナーリング加工を施すことが好ましい。しかしながら広幅で、薄膜のラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムを長尺のロールに巻き取って、保存、搬送しようとするとナーリング加工だけでは巻き取ったフィルムに面状故障が発生してしまう。
本発明においては、フィルム幅が1350mm以上で膜厚が10μm〜80μmとなるラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム原反では、フィルム原反に使用される巻芯の弾性率を10GPa〜40GPaとすると面状故障の発生が減少し好ましく、10GPa〜20GPaとすることがさらに好ましい。
巻芯の弾性率を高くしすぎると巻芯に近いところを中心に面状故障が発生し、一方巻芯の弾性率を低くしすぎるとロールの外側を中心に面状故障が発生する傾向にあった。これは硬い巻芯にフィルムが巻き取られて巻芯に近いところに力が集中することによる影響と軟らかい巻芯では巻芯のゆがみによりロールの外側に力が集中する影響とのバランスとそこにフィルムの特性が重なって巻芯の弾性率の好ましい領域が決まるためと考えている。
本発明の効果は、フィルム幅が1350mm以上のラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムに適用すると有意な効果が得られる。またロールに巻き取られるフィルム長が長いほど顕著な効果が得られ、ロールに巻き取られるフィルム長が500m以上でより効果が優位な傾向にある。さらに本発明のラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムの両端部にエンボス加工などにより微小の連続した凹凸からなる一定の幅に文様をつけるナーリング加工を施すことが好ましい。
巻芯の弾性率は、本発明においては、測定すべき巻芯を、支点間距離が1250mmになるようにして支え、巻芯中央に荷重をかけたときの、荷重−たわみ比より求めるものとする。
弾性率の調整方法は、特に制限されないが、例えばFWPに使用される、前記強化繊維の種類をカーボン繊維やアラミド繊維を多く使用したり、巻き付ける量を多くしたりすることで、弾性率を上げることができるため、適宜調整が可能である。また、ベースとなるプリプレグ用樹脂(マトリクス樹脂)の選択(ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂)や巻芯表面の樹脂の選択(熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ導電性樹脂、アクリル系塗料など)を適宜組み合わせることでも調整が可能である。これらを適宜組み合わせると容易に上記の弾性率範囲への調整が可能である。
本発明においては、巻芯の巻芯両端部の円周長の平均よりも中央部の円周長の方が、0.5mm〜10mmの範囲で長くすることが好ましく、1.0mm〜5.0mmがより好ましく、1.0mm〜3.0mmがさらに好ましい。本発明で用いる巻芯は、その中央部に平坦な部分を設けてもよい。このような構成とすることにより、面状故障がさらに少なくなるという利点がある。また、中央部の平坦な部分は、巻芯を研磨することにより形成することができる。中央部の平坦な部分の比率は、20〜50%とすることが好ましい。
以下、本発明のラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムについて詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更して実施することができる。
《ラクトン環含有重合体》
本発明で用いるラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムは、フィルム幅が1350mm以上であるが、好ましくは1500mm以上である。また、該フィルムの膜厚は10μm〜80μmであるが、好ましくは20〜65μmである。本発明で用いるラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムは、ラクトン環含有重合体を主成分として含有するか(ラクトン環含有重合体を有する熱可塑性樹脂フィルム(A))、ラクトン環含有重合体とその他の熱可塑性樹脂とを含有するもの(ラクトン環含有重合体を有する熱可塑性樹脂フィルム(B)であることが好ましい。
ラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(1)で示されるラクトン環構造を有する。
式(1)
Figure 0005837664
[式中、R、RおよびRは、それぞれ、水素原子または炭素原子数1〜20の有機残基を表し、有機残基は酸素原子を含有していてもよい]
ここで、炭素原子数1〜20の有機残基は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが好ましい。
ラクトン環含有重合体の構造中における上記式(1)で示されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。ラクトン環構造の含有割合を5質量%以上とすることにより、得られた重合体の耐熱性、耐溶剤性および表面硬度が向上する傾向にあり、ラクトン環構造の含有割合を90質量%以下とすることにより、得られた重合体の成形加工性が向上する傾向にある。
ラクトン環含有重合体は、上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造を有していてもよい。上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造としては、例えば、ラクトン環含有重合体の製造方法として後述するような、(メタ)アクリル酸エステルと、ヒドロキシ基含有単量体と、不飽和カルボン酸と、下記式(2)で示される単量体とからなる群から選択される少なくとも1種の単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)が好ましい。
式(2)
Figure 0005837664
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−CO−O−R基を表し、Acはアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素原子数1〜20の有機残基を表す。]
ここで、Xは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基などが好ましい。
ラクトン環含有重合体の構造中における上記式(1)で示されるラクトン環構造以外の構造の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステルを重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%であり、ヒドロキシ基含有単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。また、不飽和カルボン酸を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。さらに、上記式(2)で示される単量体を重合して形成される重合体構造単位(繰り返し構造単位)の場合、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
ラクトン環含有重合体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、重合工程によって分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体(a)を得た後、得られた重合体(a)を加熱処理することによりラクトン環構造を重合体に導入するラクトン環化縮合工程を行うことによって得られる。
重合工程においては、例えば、下記式(3)で示される単量体を配合した単量体成分の重合反応を行うことにより、分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体が得られる。
式(3)
Figure 0005837664
[式中、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素原子数1〜20の有機残基を表す。]
ここで、炭素原子数1〜20の有機残基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが好ましい。
上記式(3)で示される単量体としては、例えば、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸イソプロピル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸n−ブチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸tert−ブチルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルが好ましく、耐熱性を向上させる効果が高いことから、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルが特に好ましい。
重合工程に供する単量体成分中における上記式(3)で示される単量体の含有割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは10〜70質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50質量%である。上記式(3)で示される単量体の含有割合を5質量%以上とすると、得られた重合体の耐熱性、耐溶剤性および表面硬度が向上する傾向にある。逆に、上記式(3)で示される単量体の含有割合を90質量%以下とすると、重合工程やラクトン環化縮合工程においてゲル化が起ることや、得られた重合体の成形加工性が向上する傾向にある。
重合工程に供する単量体成分には、上記式(3)で示される単量体以外の単量体を配合してもよい。このような単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ基含有単量体、不飽和カルボン酸、および、下記式
(4)で示される単量体などが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
式(4)
Figure 0005837664
[式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、アリール基、−OAc基、−CN基、−CO−R基、または−CO−O−R基を表し、Acはアセチル基を表し、RおよびRは水素原子または炭素原子数1〜20の有機残基を表す]
ここで、Xは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基などが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、上記式(3)で示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルである限り、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸エステル;などが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの(メタ)アクリル酸エステルのうち、得られた重合体の耐熱性や透明性が優れることから、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
上記式(3)で示される単量体以外の(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、好ましくは10〜95質量%、より好ましくは10〜90質量%、さらに好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜90質量%である。
ヒドロキシ基含有単量体としては、上記式(3)で示される単量体以外のヒドロキシ基含有単量体である限り、特に限定されるものではないが、例えば、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸メチルなどの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル;2−(ヒドロキシエチル)アクリル酸などの2−(ヒドロキシアルキル)アクリル酸;などが挙げられる。これらのヒドロキシ基含有単量体は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記式(3)で示される単量体以外のヒドロキシ基含有単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−置換アクリル酸、α−置換メタクリル酸などが挙げられる。これらの不飽和カルボン酸は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの不飽和カルボン酸のうち、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。
不飽和カルボン酸を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
上記式(2)で示される単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの単量体のうち、スチレン、α−メチルスチレンが特に好ましい。
上記式(2)で示される単量体を用いる場合、重合工程に供する単量体成分中におけるその含有割合は、好ましくは0〜30質量%、より好ましくは0〜20質量%、さらに好ましくは0〜15質量%、特に好ましくは0〜10質量%である。
単量体成分を重合して分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体を得るための重合反応の形態としては、溶剤を使用する重合形態であることが好ましく、溶液重合が特に好ましい。
重合温度や重合時間は、使用する単量体の種類や割合などに応じて変化するが、例えば、好ましくは、重合温度が0〜150℃、重合時問が0.5〜20時間であり、より好ましくは、重合温度が80〜140℃、重合時間が1〜10時間である。
溶剤を使用する重合形態の場合、重合溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンケトンなどのケトン系溶剤;テトラヒドロフランなどのエーテル系溶剤1などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。また、溶剤の沸点が高すぎると、最終的に得られるラクトン環含有重合体の残存揮発分が多くなることから、沸点が50〜200℃である溶剤が好ましい。
重合反応時には、必要に応じて、重合開始剤を添加してもよい。重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエ−トなどの有機過酸化物;2、2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1、1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2、2’−アゾビス(2、4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物;などが挙げられる。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合開始剤の使用量は、単量体の組合せや反応条件などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。
重合を行う際には、反応液のゲル化を抑制するために、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50質量%以下となるように制御することが好ましい。具体的には、重合反応混合物中の生成した重合体の濃度が50質量%を超える場合には、重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加して50質量%以下となるように制御することが好ましい。重合反応混合物中の生成した重合体の濃度は、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下である。なお、重合反応混合物中に生成した重合体の濃度が低すぎると生産性が低下する場合があるので、重合反応混合物中に生成した重合体の濃度は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。
重合溶剤を重合反応混合物に適宜添加する形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、連続的に重合溶剤を添加してもよいし、間欠的に重合溶剤を添加してもよい。このように重合反応混合物中に生成した重合体の濃度を制御することによって、反応液のゲル化をより充分に抑制することができ、特に、ラクトン環含有割合を増やして耐熱性を向上させるために分子鎖中のヒドロキシ基とエステル基の割合を高めた場合であっても、ゲル化を充分に抑制することができる。添加する重合溶剤としては、例えば、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤であってもよいし、異なる種類の溶剤であってもよいが、重合反応の初期仕込み時に使用した溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。また、添加する重合溶剤は、1種のみの単一溶剤であっても2種以上の混合溶剤であってもよい。
以上の重合工程を終了した時点で得られる重合反応混合物中には、通常、得られた重合体以外に溶剤が含まれているが、溶剤を完全に除去して重合体を周体状態で取り出す必要はなく、溶剤を含んだ状態で、続くラクトン環化縮合工程に導入することが好ましい。また、必要な場合は、固体状態で取り出した後に、続くラクトン環化縮合工程に好適な溶剤を再添加してもよい。
重合工程で得られた重合体は、分子鎖中にヒドロキシ基とエステル基とを有する重合体
(a)であり、重合体(a)の質量平均分子量は、好ましくは1、000〜2、000、000、より好ましくは5、000〜1、000、000、さらに好ましくは10、000〜500、000、特に好ましくは50、000〜500、000である。重合工程で得られた重合体(a)は、続くラクトン環化縮合工程において、加熱処理されることによりラクトン環構造が重合体に導入され、ラクトン環含有重合体となる。
重合体(a)にラクトン環構造を導入するための反応は、加熱により、重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とが環化縮合してラクトン環構造を生じる反応であり、その環化縮合によってアルコールが副生する。ラクトン環構造力通合体の分子鎖中(重合体の主骨格中)に形成されることにより、高い耐熱性が付与される。ラクトン環構造を導く環化縮合反応の反応率が不充分であると、耐熱性が充分に向上しないことや、成形時の加熱処理によって成形途中に縮合反応が起こり、生じたアルコールが成形品中に泡やシルバーストリークとなって存在することがある。
ラクトン環化縮合工程において得られるラクトン環含有重合体は、好ましくは、下記式(5)で示されるラクトン環構造を有する。
式(5)
Figure 0005837664
[式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素原子または炭素原子数1〜20の有機残基を表す;なお、有機残基は酸素原子を含有していてもよい。]
炭素原子数1〜20の有機残基としては、好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。
重合体(a)を加熱処理する方法については、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を利用すればよい。例えば、重合工程によって得られた、溶剤を含む重合反応混合物を、そのまま加熱処理してもよい。あるいは、溶剤の存在下で、必要に応じて閉環触媒を用いて加熱処理してもよい。あるいは、揮発成分を除去するための真空装置あるいは脱揮装置を備えた加熱炉や反応装置、脱揮装置を備えた押出機などを用いて加熱処理を行うこともできる。
環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。また、環化縮合反応を行う際には、必要に応じて、環化縮合反応の触媒として一般に用いられるp−トルエンスルホン酸等のエステル化触媒またはエステル交換触媒を用いてもよいし、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸などの有機カルボン酸類を触媒として用いてもよい。さらに、例えば、特開昭61−254608号公報や特開昭61−261303号公報に開示されているように、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などを用いてもよい。
あるいは、環化縮合反応の触媒として有機リン化合物を用いてもよい。有機リン化合物を触媒として用いることにより、環化縮合反応率を向上させることができると共に、得られるラクトン環含有重合体の着色を大幅に低減することができる。さらに、有機リン化合物を触媒として用いることにより、後述の脱揮工程を併用する場合において起り得る分子量低下を抑制することができ、優れた機械的強度を付与することができる。
環化縮合反応の触媒として用いることができる有機リン化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜ホスホン酸等のアルキル(アリール)亜ホスホン酸(ただし、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)およびこれらのモノエステルまたはジエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸などのジアルキル(アリール)ホスフィン酸およびこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸などのアルキル(アリール)ホスホン酸およびこれらのモノエステルまたはジエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸などのアルキル(アリール)亜ホスフィン酸およびこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニルなどの亜リン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2−エチルヘキシル、リン酸オクチル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ−2−エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニルなどのリン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのモノ−、ジ−またはトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィンなどのアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィンなどの酸化モノ−、ジ−またはトリ−アルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウムなどのハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;などが挙げられる。これらの有機リン化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの有機リン化合物のうち、触媒活性が高くて着色性が低いことから、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸が好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステルがより好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、リン酸モノエステルまたはジエステルが特に好ましい。
環化縮合反応の際に用いる触媒の使用量は、特に限定されるものではないが、例えば、重合体(a)に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.01〜1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。触媒の使用量を0.001質量%以上とすることにより、環化縮合反応の反応率が向上する傾向にある。逆に、触媒の使用量を5質量%以下とすると、得られた重合体が着色しにくくなる傾向にあり、また、重合体が架橋して溶融賦形が因難になることを抑止できる傾向にある。
触媒の添加時期は、特に限定されるものではなく、例えば、反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、それらの両方で添加してもよい。
環化縮合反応を溶剤の存在下で行い、かつ、環化縮合反応の際に、脱揮工程を併用することが好ましい。この場合、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態、および、脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに過程の−部においてのみ併用する形態などが挙げられる。脱揮工程を併用する方法では、縮合環化反応で副生するアルコールを強制的に脱揮させて除去するので、反応の平衡が生成側に有利となる。
脱揮工程とは、溶剤、残存単量体などの揮発分と、ラクトン環構造を導く環化縮合反応により副生したアルコールを、必要に応じて減圧加熱条件下で、除去処理する工程を意味する。この除去処理が不充分であると、得られた重合体中の残存揮発分が多くなり、成形時の変質などによって着色することや、泡やシルパーストリークなどの成形不良が起ることがある。
環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、用いる装置については、特に限定されるものではないが、例えば、本発明をより効果的に行うために、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置やベント付き押出機、また、脱揮装置と押出機を直列に配置したものを用いることが好ましく、熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置またはベント付き押出機を用いることがより好ましい。
熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場合の反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度を150℃以上とすると、環化縮合反応が充分となって残存揮発分が少なくなる傾向にあり、反応処理温度を350℃以下とすると、得られた重合体の着色や分解が起りにくくなる傾向にある。
熱交換器と脱揮槽からなる脱揮装置を用いる場合の反応処理圧力は、好ましくは931hPa〜1.33hPa(700mmHg〜1mmHg)、より好ましくは798hPa〜66.5hPa(600mmHg〜50mmHg)である。反応処理圧力を931hPa(700mmHg)以下とすることにより、アルコールを含めた揮発分が残存しにくくなる。逆に、反応処理圧力を1.33hPa(1mmHg)以上とすると、工業的に実施しやすい傾向にある。
ベント付き押出機を用いる場合、ベントは1個でも複数個でもいずれでもよいが、複数個のベントを有する方が好ましい。
ベント付き押出機を用いる場合の反応処理温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。反応処理温度を150℃以上とすると、環化縮合反応が充分に進行しやすく残存揮発分が少なくなる傾向にある。逆に、反応処理温度を350℃以下とすることにより、得られた重合体の着色や分解が起リにくい傾向にある。
ベント付き押出機を用いる場合の反応処理圧力は、好ましくは931hPa〜1.33hPa(700mmHg〜1mmHg)、より好ましくは798hPa〜13.3hPa
(600mmHg〜10mmHg)である。反応処理圧力を931hPa(700mmHg)以下とすることにより、アルコールを含めた揮発分が残存しにくくなり、反応処理圧力を1.33hPa(1mmHg)以上とすると、工業的な実施が行いやすい傾向にある。
なお、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、後述するように、厳しい熱処理条件では得られるラクトン環含有重合体の物性が劣化することがあるので、前述した脱アルコール反応の触媒を用い、できるだけ温和な条件で、ベント付き押出機などを用いて行うことが好ましい。
また、環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態の場合、好ましくは、重合工程で得られた重合休(a)を溶剤と共に環化縮合反応装置系に導入するが、この場合、必要に応じて、もう一度ベント付き押出機などの環化縮合反応装置に通してもよい。
脱揮工程を環化縮合反応の過程全体にわたっては併用せずに、過程の一部においてのみ併用する形態を行っても良い。例えば、重合体(a)を製造した装置を、さらに加熱し、必要に応じて脱揮工程を一部併用して、環化縮合反応を予めある程度進行させておき、その後に引き続いて脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行い、反応を完結させる形態である。
先に述べた環化縮合反応の全体を通じて脱揮工程を併用する形態では、例えば、重合体(a)を、二軸押出機を用いて、250℃付近、あるいはそれ以上の高温で熱処理する時に、熱履歴の違いにより環化縮合反応が起る前に一部分解などが生じ、得られるラクトン環含有重合体の物性が劣化することがある。そこで、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う前に、予め環化縮合反応をある程度進行させておくと、後半の反応条件を緩和でき、得られるラクトン環含有重合体の物性の劣化を抑制できるので好ましい。特に好ましい形態としては、例えば、脱揮工程を環化縮合反応の開始から時間をおいて開始する形態、すなわち、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態などが挙げられる。具体的には、例えば、予め釜型反応器を用いて溶剤の存在下で環化縮合反応をある程度の反応率まで進行させておき、その後、脱揮装置を備えた反応器、例えば、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置や、ベント付き押出機などで、環化縮合反応を完結させる形態が好ましく挙げられる。特に、この形態の場合、環化縮合反応用の触媒が存在していることがより好ましい。
前述したように、重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基を予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う方法は、本発明においてラクトン環含有重合体を得る上で好ましい形態である。この形態により、ガラス転移温度がより高く、環化縮合反応率もより高まり、耐熱性に優れたラクトン環含有重合体が得られる。この場合、環化縮合反応率の目安としては、例えば、実施例に示すダイナッミクTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率が、好ましくは2%以下、より好ましくは1.5%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に採用できる反応器は、特に限定されるものではないが、例えば、オートクレーブ、釜型反応器、熱交換器と脱揮槽とからなる脱揮装置などが挙げられ、さらに、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に好適なベント付き押出機も使用可能である。これらの反応器のうち、オートクレーブ、釜型反応器が特に好ましい。しかし、ベント付き押出機などの反応器を用いる場合でも、ベント条件を温和にしたり、ベントをさせなかったり、温度条件やバレル条件、スクリュー形状、スクリュー運転条件などを調整することにより、オートクレーブや釜型反応器での反応状態と同じ様な状態で環化縮合反応を行うことが可能である。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、例えば、重合工程で得られた重合体(a)と溶剤とを含む混合物を、(i)触媒を添加して、加熱反応させる方法、(ii)無触媒で加熱反応させる方法、および、前記(i)または(ii)を加圧下で行う方法などが挙げられる。
なお、ラクトン環化縮合工程において環化縮合反応に導入する「重合体(a)と溶剤とを含む混合物」とは、重合工程で得られた重合反応混合物それ自体、あるいは、いったん溶剤を除去した後に環化縮合反応に適した溶剤を再添加して得られた混合物を意味する。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際に再添加できる溶剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;クロロホルム、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン;などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。重合工程に用いた溶剤と同じ種類の溶剤を用いることが好ましい。
方法(i)で添加する触媒としては、例えば、一般に使用されるp−トルエンスルホン酸などのエステル化触媒またはエステル交換触媒、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などが挙げられるが、本発明においては、前述の有機リン化合物を用いることが好ましい。独媒の添加時期は、特に限定されるものではないが、例えば、反応初期に添加してもよいし、反応途中に添加してもよいし、それらの両方で添加してもよい。触媒の添加量は、特に限定されるものではないが、例えば、重合体(a)の質量に対して、好ましくは0.001〜5質量%、より好ましくは0.01〜2.5質量%、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。方法(i)の加熱温度と加熱時間は、特に限定されるものではないが、例えば、加熱温度は、好ましくは室温〜180℃、より好ましくは50℃〜150℃であり、加熱時問は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度を室温以上とすることにより、または、加熱時間を1時間以上とすることにより、環化縮合反応率が向上する傾向にある。逆に、加熱温度を180℃以下とすることにより、または、加熱時間を20時間以下とすることにより、樹脂の着色や分解が起りにくくなる。
方法(h)は、例えば、耐圧性の釜型反応器などを用いて、重合工程で得られた重合反応混合物をそのまま加熱すればよい。方法(h)の加熱温度や加熱時間は、特に限定されるものではないが、例えば、加熱温度は、好ましくは100〜180℃、より好ましくは100〜150℃であり、加熱時間は、好ましくは1〜20時間、より好ましくは2〜10時間である。加熱温度を100℃以上とすることにより、または、加熱温度を1時間以上とすることにより、環化縮合反応率が向上する傾向にある。逆に、加熱温度を180℃以下とすることにより、または、加熱時間を20時間以下とすることにより、樹脂の着色や分解が起りにくくなる。
いずれの方法においても、条件によっては、加圧下となっても何ら問題はない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の際には、溶剤の一部が反応中に自然に揮発しても何ら問題ではない。
脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応の前に予め行う環化縮合反応の終了時、すなわち、脱揮工程開始直前における、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率は、好ましくは2%以下、より好ましくは1、5%以下、さらに好ましくは1%以下である。質量減少率を2%以上とすることにより、環化縮合反応率が進行しやすく、得られるラクトン環含有重合体の物性が向上する傾向にある。なお、上記の環化縮合反応を行う際に、重合体(a)に加えて、他の熱可塑性樹脂を共存させてもよい。
重合工程で得られた重合体(a)の分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基とを予め環化縮合反応させて環化縮合反応率をある程度上げておき、引き続き、脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応を行う形態の場合、予め行う環化縮合反応で得られた重合体(分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基との少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)と溶剤を、そのまま脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に導入してもよいし、必要に応じて、前記重合体(分子鎖中に存在するヒドロキシ基とエステル基との少なくとも一部が環化縮合反応した重合体)を単離してから溶剤を再添加するなどのその他の処理を経てから脱揮工程を同時に併用した環化縮合反応に導入しても構わない。
脱揮工程は、環化縮合反応と同時に終了することには限らず、環化縮合反応の終了から時間をおいて終了しても構わない。
ラクトン環含有重合体の質量平均分子量は、好ましくは1、000〜2、000、000、より好ましくは5、000〜1、000、000、さらに好ましくは10、000〜500、000、特に好ましくは50、000〜500、000である。
ラクトン環含有重合体は、ダイナミックTG測定における150〜300℃の範囲内における質量減少率が好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
ラクトン環含有重合体は、環化縮合反応率が高いので、成形後の成形品中に泡やシルバーストリークが入るという欠点が回避できる。さらに、高い環化縮合反応率によってラクトン環構造が重合体に充分に導入されるので、得られたラクトン環含有重合体が充分に高い耐熱性を有している。
ラクトン環含有重合体は、濃度15質量%のクロロホルム溶液にした場合、その着色度(YI)が、好ましくは6以下、より好ましくは3以下、さらに好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。着色度(YI)が6を超えると、着色により透明性が損なわれ、本来目的とする用途に使用できない場合がある。
ラクトン環含有重合体は、熱質量分析(TG)における5%質量減少温度が、好ましくは330℃以上、より好ましくは350℃以上、さらに好ましくは360℃以上である。熱質量分析(TG)における5%質量減少温度は、熱安定性の指標であり、これを330℃以上とすることにより、充分な熱安定性が発揮されやすい傾向にある。
ラクトン環含有重合体は、ガラス転移温度(Tg)が、好ましくは115℃以上、より好ましくは125℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは135℃以上、最も好ましくは140℃以上である。
ラクトン環含有重合体は、それに含まれる残存揮発分の総量が、好ましくは5、000ppm以下、より好ましくは2、000ppm以下、さらに好ましくは1、500ppm、特に好ましくは1、000ppmである。残存揮発分の総量を5、000ppm以上とすると、成形時の変質などによって着色したり、発泡したり、シルバーストリークなどの成形不良が起りにくくなる。
ラクトン環含有重合体は、射出成形により得られる成形品に対するASTM−D−1003に準拠した方法で測定された全光線透過率が、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は、透明性の指標であり、これを85%以上とすると、透明性が向上する傾向にある。
《ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム(A)》
本発明におけるラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムとして、熱可塑性樹脂フィルム(A)を挙げることができる。
熱可塑性樹脂フィルム(A)中におけるラクトン環含有重合体の含有割合は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%、特に好ましくは80〜100質量%である。
熱可塑性樹脂フィルム(A)には、その他の成分として、ラクトン環含有重合体以外の重合体(以下「その他の重合体」ということがある。)を含有していてもよい。
その他の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィン系重合体;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩素化ビニル樹脂などのハロゲン化ビニル系重合体;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系重合体;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂などのゴム質重合体;などが挙げられる。
熱可塑性樹脂フィルム(A)中におけるその他の重合体の含有割合は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜40質量%、さらに好ましくは0〜30質量%、特に好ましくは0〜20質量%である。
熱可塑性樹脂フィルム(A)は、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;フェニルサリチレート、(2、2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロ−モプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤などの帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。
熱可塑性樹脂フィルム(A)中における添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。
熱可塑性樹脂フィルム(A)の製造方法としては、上述の方法に従って行うことができ、例えば、ラクトン環含有重合体と、必要に応じて、その他の重合体や添加剤などを、従来公知の混合方法で充分に混合し、これをフィルム状に成形することができる。
熱可塑性樹脂フィルム(A)は、高い透明性を有するので、全光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは92%以上である。
熱可塑性樹脂フィルム(A)は、ASTM−D−882−61Tに準拠して測定した引張強度が好ましくは10MPa以上、100MPa未満、より好ましくは30MPa以上、100MPa未満である。引張強度を10MPa以上とすると、充分な機械的強度が得られやすい傾向にあり、引張強度を100MPa以下とすると、加工性が向上する傾向にある。
熱可塑性樹脂フィルム(A)は、ASTM−D−882−61Tに準拠して測定した伸び率が好ましくは1%以上である。伸び率の上限は、特に限定されるものではないが、通常、好ましくは100%以下である。伸び率を1%以上とすることにより、靭性に優れる傾向にある。
熱可塑性樹脂フィルム(A)は、ASTM−D−882−61Tに準拠して測定した引張弾性率が好ましくは0.5GPa以上、より好ましくは1GPa以上、さらに好ましくは2GPa以上である。引張弾性率の上限は、特に限定されるものではないが、通常、好ましくは20GPa以下である。引張弾性率を0.5GPa以上とすることにより、充分な機械的強度が得られやすい。
熱可塑性樹脂フィルム(A)には、目的に応じて、帯電防止層、粘接着剤層、接着層、易接着層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー性などの種々の機能性コーティング層が各々積層塗工されていてもよいし、各々の単独の機能性コーティング層が塗工された部材が粘着剤や接着剤を介して積層されていてもよい。なお、各層の積層順序は特に限定されるものではなく、積層方法も特に限定されない。
紫外線遮蔽層は、紫外線遮蔽層よりも下層にある基材層や印刷層などの紫外線劣化する材料の紫外線劣化を防ぐために設けるものである。紫外線遮蔽層は、分子量が1、000以下の紫外線吸収剤を、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性、湿気硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性などの硬化性樹脂に配合したものが使用できるが、特に、耐候性の観点から、特許第3081508号公報、特許第3404160号公報、特許第2835396号公報に開示されているような紫外線吸収性骨格を有する単量休を必須に含む単量体混合物を重合して得られるアクリル系ポリマーが好ましい。市販品としては、例えば、「ハルスハイブリッドUV−G13」や「ハルスハイブリッドUV−G301」(以上、(株)日本触媒製)、「ULS−935LH」(一方社油脂工業(株)製)などが挙げられる。
熱線遮蔽層は、例えば、ディスプレイ装置の発光に伴い発生する近赤外線(特に、700〜1、200nm)による周辺機器の誤動作を防ぐために設けられる。熱線遮蔽層としては、有機系や無機系の熱線遮蔽物質がアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂などの熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性、湿気硬化性、紫外線硬化性、電子線硬化性などの硬化性樹脂に配合したものが使用される。有機系の熱線遮蔽物質としては、フタロシアニン色素やジイモニウム系、スクアリリウム系などの近赤外線領域(700〜1、800nm)に吸収を有する物質である限り、特に限定されるものではなく、用途によっては、ポルフィリン系やシアニン系色素などの可視領域(400〜700nm)に吸収を有する色素を、1種または2種以上を互いに組み合わせて使用できる。また、無機系の熱線遮蔽物質としては、例えば、金属、金属窒化物、金属酸化物などが挙げられるが、分散媒体への溶解性、耐候性の観点から、金属酸化物の微粒子が好適に使用される。金属酸化物としては、酸化インジウム系、酸化亜鉛系が好ましく、透明性の観点から、平均粒子サイズが0.1μm以下であるものが好ましい。
粘接着剤層としては、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、またはこれらの共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレンゴム、ポリイソブチレンゴムなどのゴム類や、ポリビニルエーテル系、シリコーン系、マレイミド系、シアノアクリレート系粘接着剤などが挙げられ、これらは単独で使用してもよいが、さらに、架橋剤、粘着付与剤を配合することもできる。光学特性、耐光性、透明性の観点からは、アクリル酸アルキルエステル単量体を主成分とする共重合体であるアクリル系樹脂が好ましく、芳香族系粘着付与剤を添加して屈折率を調節し、ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム(A)の屈折率に近づけた粘着剤がより好ましい。必要に応じて、粘着剤に前記熱線遮蔽物質、例えば、フタロシアニン色素やシアニン色素を混合して機能性の粘着剤層とすることができ、光学積層体として薄層化、生産性の観点から有利である。また厚さは30μm以下が偏光板の薄形から好ましい。
電磁波遮蔽層は、例えば、ディスプレイ装置からの発光に伴い発生する電磁波による生体や電子機器への悪影響を防ぐために設けるものである。竃磁波遮蔽層は、銀、銅、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズなどの金属または金属酸化物の薄膜からなる。これらの薄膜は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法、プラズマ化学蒸着法などの従来公知のドライプレーティング法を利用し、製造することができる。電磁波遮蔽層として最もよく使用されるのは、酸化インジウムスズ(「ITO」と略記されることもある。)の薄膜であるが、メッシュ状の穴を有する銅の薄膜や、誘電体層と金属層とを基材上に交互に積層させた積層体も好適に用いることができる。誘電体層としては、酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物などが挙げられ、金属層としては、銀または銀−パラジウム合金が一般的である。積層体は、通常、誘電体層から積層し始めて3〜13層程度の問で奇数層となるように積層される。
反射防止層は、表面の反射を抑えて、表面への蛍光灯などの外光の写り込みを防止するものである。反射防止層は、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物などの無機物の薄膜からなる場合と、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率が異なる樹脂を単層または複層に積層したものからなる場合とがある。また、特開2003−292805号公報に開示されているような無機系化合物と有機系化合物との複合微粒子を含む薄膜を積層させたものも使用できる。
ノングレア層は、視野角を広げ、透過光を散乱させるために設けられる。シリカ、メラミン樹脂、アクリル樹脂などの微粉体をインキ化し、従来公知の塗布法で、他の機能層上に塗布し、熱または光硬化させることにより形成される。また、ノングレア処理したフィルム(A)を他の機能性フィルム上に貼り付けてもよい。
ハードコート層は、シリコーン系硬化性樹脂、有機ポリマー複合無機微粒子含有硬化性樹脂、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、多官能アクリレートなどのアクリレートと光重合開始剤とを有機溶剤に溶解または分散させた塗布液を、従来公知の塗布法で、本発明におけるラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム(A)上に、好ましくは最外層に位置するように、塗布し、乾燥させ、光硬化させることにより形成される。シリコーン系硬化性樹脂は、シロキサン結合を有する樹脂であり、例えば、トリアルコキシシランおよびテトラアルコキシシランまたはそれらのアルキル化物の部分加水分解物、メチルトリアルコキシシランおよびフェニルトリアルコキシシランの混合物を加水分解したもの、コロイド状シリカ充填オルガノトリアルコキシシランの部分加水分解縮合物などが挙げられる。市販品としては、例えば、「Siコート2」(第八化学工業(株)製)、「トスガード510」や「UVHC8553」(以上、GE東芝シリコーン(株)製)、「ソルガードNP720」や「ソルガードNP730」や「ソルガードRF0831」(以上、(株)目本ダクロシヤムロック製)などが挙げられる。また、有機ポリマー複合無機微粒子とは、無機微粒子の表面に有機ポリマーが固定された複合無機微粒子を意味し、この複合無機微粒子を含む硬化性樹脂で表面保護層を形成することにより、表面硬度の向上などが図られる。複合無機微粒子およぴその製法の詳細は、例えば、特開平7−178335号公報、特開平9−302257号公報、特開平11−124467号公報などに記載されている。複合無機微粒子を含有させる硬化性樹脂も特に限定されるものではなく、例えば、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、多官能アクリル樹脂などが挙げられる。多官能アクリル樹脂としては、ポリオールアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレートなどの樹脂を挙げることができる。複合無機微粒子含有硬化性樹脂の市販品としては、例えば、「ユーダブルC−3300」や「ユーダブルC−3600」(以上、(株)目本触媒製)などが挙げられる。
<光学用保護フィルム(A)>
熱可塑性樹脂フィルム(A)は、例えば、光学用保護フィルム(以下「光学用保護フィルム(A)」ということがある。)に用いられるものである。光学用保護フィルム(A)は、透明光学部品を保護するフィルムである限り、特に限定されるものではないが、好ましい具体例としては、液晶表示装置用の偏光板の保護フィルムなどが挙げられる。また、位相差フィルムを兼ねた光学用保護フィルムとすることもできる。光学用保護フィルム(A)は、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。光学用保護フィルム(A)が、未延伸フィルムである場合、面方向の位相差が好ましくは20nm未満、より好ましくは10nm未満である。光学用保護フィルム(A)が、延伸フィルムである場合、面方向の位相差が好ましくは20〜500nm、より好ましくは50〜400nmである。光学用保護フィルム(A)は、延伸フィルムである場合、特定の位相差(例えば、λ/2やλ/4)を持たせることで、位相差フィルムの機能を有するものとすることも可能である。この場合、ラクトン環含有重合体を製造する際に用いる単量体として、上記式(3)で示される単量体としての(メタ)アクリル酸および/または(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。また、ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム(A)中のその他重合体として、アクリル系ポリマーを含むことが好ましい。光学用保護フィルム(A)は、位相差の波長依存性が小さく、590nmにおける位相差Reと各波長における位相差Rとの比(R/Re)が、好ましくは0.9〜1.2、より好ましくは0.95〜1.1である。光学用保護フィルム(A)は、位相差の入射角依存性が小さく、入射角OQの位相差Rと入射角40°の位相差R40との差(R−R40)が、好ましくは20nm未満、より好ましくは10nm未満である。光学用保護フィルム(A)は、表面硬度が高く、鉛筆硬度が好ましくはH以上、より好ましくは2H以上である。
光学用保護フィルム(A)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ラクトン環含有重合体と、必要に応じて、その他の重合体や添加剤などを、従来公知の混合方法で混合し、フィルム状に成形することにより得られる。また、延伸することによって延伸フィルムとしてもよい。
フィルム成形の方法としては、従来公知のフィルム成形方法を使用すればよく、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法などが挙げられる。これらのフィルム成形方法のうち、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が特に好ましい。溶液キャスト法(溶液流延法)に使用される溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の、フィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。延伸を行う方法としては、従来公知の延伸方法が適用でき、例えば、一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などを用いることができる。延伸は、好ましくは、フィルム原料の重合体のガラス転移温度付近で行われる。具体的な延伸温度としては、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)である。延伸温度を(ガラス転移温度−30℃)以上とすることにより、充分な延伸倍率が得られやすい傾向にあり、延伸温度を(ガラス転移温度+100℃)以下とすることにより、樹脂が流動して安定な延伸を行いやすい傾向にある。面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍、より好ましくは1.3〜10倍である。延伸倍率を1.1倍以下とすることにより、延伸による靭性の向上が得られ安い傾向にある。逆に、延伸倍率を25倍以上とすることにより、延伸倍率を上げるだけの効果がより認められやすい傾向にある。延伸速度(一方向)としては、好ましくは10〜20、000%/分、より好ましくは100〜10、000%/分である。延伸速度を10%/分以上とすることにより、充分な延伸倍率を得る時間を短縮できる傾向にあり、製造コストを抑えることが可能にある。逆に、延伸速度を20、000%/分以上とすることにより、延伸フィルムの破断などが起りにくくなる。
フィルムの光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うこともできる。
<光学フィルム(A)>
熱可塑性樹脂フィルム(A)は、例えば、光学フィルム(以下「光学フィルム(A)」ということがある。)として用いることができる。光学フィルム(A)は、光学特性に優れたフィルムである限り、特に限定されるものではないが、好ましくは、位相差フィルム(以下「位相差フィルム(A)」ということがある。)、視野角補償フィルム(以下「視野角補償フィルム(A)」ということがある。)である。光学フィルム(A)は、面方向の位相差が好ましくは20〜500nm、より好ましくは50〜400nmである。光学フィルム(A)は、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよいが、大きい位相差を発現するためには、延伸フィルムであることが好ましい。位相差フィルム(A)は、位相差の波長依存性が小さく、590nmにおける位相差Reと各波長における位相差Rとの比(R/Re)が、好ましくは0.9〜1.2、より好ましくは0、95〜1.1である。位相差フィルム(A)は、位相差の入射角依存性が小さく、入射角0°の位相差Rと入射角40°の位相差R40との差(R−R40)が、好ましくは20nm未満、より好ましくは10nm未満である。位相差フィルム(A)は、表面硬度が高く、鉛筆硬度が好ましくはH以上、より好ましくは2H以上である。
位相差フィルム(A)の製造方法は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ラクトン環含有重合体と、必要に応じて、その他の重合体や添加剤などを、従来公知の混合方法で混合し、フィルム状に成形することにより得られる。また、延伸することによって延伸フィルムとしてもよい。フィルム成形温度、フィルム成形の方法は、前述の光学用保護フィルムにおけるフィルム成形温度、フィルム成形の方法と同様である。延伸を行う方法としては、従来公知の延伸方法が適用でき、例えば、一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などを用いることができる。これらの延伸方法のうち、位相差フィルムとするためには、一軸延伸が特に好ましい。延伸温度、延伸倍率、延伸速度は、前述の光学用保護フィルムにおける延伸温度、延伸倍率、延伸速度と同様である。フィルムの光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うこともできる。位相差フィルム(A)は、必要により、表面をコロナ処理してもよい。特に、フィルム表面にコーティング加工等の表面処理が施される場合や、粘着剤により別のフィルムがラミネートされる場合には、相互の密着性を向上させるため、フィルム表面のコロナ処理を行うことが好ましい。
位相差フィルム(A)は、偏光板に積層してもよい。また、位相差フィルム(A)を偏光板の保護フィルムとして用いることも可能である。
視野角補償フィルム(A)は、位相差の波長依存性が小さく、590nmにおける位相差Reと各波長における位相差Rとの比(R/Re)が、好ましくは0.9〜1.2、より好ましくは0.95〜1.1である。視野角補償フィルム(A)は、表面硬度が高く、鉛筆硬度が好ましくはH以上、より好ましくは2H以上である。視野角補償フィルム(A)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ラクトン環含有重合体と、必要に応じて、その他の重合体や添加剤などを、従来公知の混合方法で混合し、フィルム状に成形することにより得られる。また、延伸することによって延伸フィルムとしてもよい。
フィルム成形温度、フィルム成形の方法は、前述の光学用保護フィルムにおけるフィルム成形温度、フィルム成形の方法と同様である。延伸を行う方法としては、従来公知の延伸方法が適用でき、例えば、一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などを用いることができる。これらの延伸方法のうち、視野角補償フィルムとするためには、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの二軸延伸が特に好ましい。延伸温度、延伸倍率、延伸速度は、前述の光学用保護フィルム(A)における延伸温度、延伸倍率、延伸速度と同様である。フィルムの光学的等方性や機械的特性を安定化させるため、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うこともできる。
《ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム(B)》
本発明では、熱可塑性樹脂フィルムとして、ラクトン環含有重合体とその他の熱可塑性樹脂とを含有するラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムであって、ガラス転移温度が120℃以上、面方向の厚さ100μmあたりの位相差が20nm以下、全光線透過率が85%以上である熱可塑性樹脂フィルム(以下、「熱可塑性樹脂フィルム(B)」ということがある)を用いることができる。
熱可塑性樹脂フィルム(B)に使用されるその他の熱可塑性樹脂は、ラクトン環含有重合体とブレンドしてフィルム状にした際に、ガラス転移温度が120℃以上、面方向の厚さ100μmあたりの位相差が20nm以下、全光線透過率が85%以上という性能を発揮しうるものであれば、特に種類は問わないが、熱力学的に相溶する熱可塑性樹脂は、透明性や耐熱性、低位相差、優れた機械的強度の性能を有する光学フィルムを提供できるという観点から好ましい。ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム(B)中におけるラクトン環含有重合体とその他の熱可塑樹脂との含有割合は、好ましくは60〜99:1〜40質量%、より好ましくは70〜97:3〜30質量%、さらに好ましくは80〜95:5〜20質量%である。その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)などのオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂などの含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂などのゴム質重合体;などが挙げられる。ゴム質重合体は、その表面に、ラクトン環含有重合体と相溶し得る組成のグラフト部分を有するのが好ましく、また、ゴム質重合体の平均粒子サイズは、フィルム状とした際の透明性を向上させる観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは70nm以下である。
ラクトン環含有重合体と熱力学的に相溶する熱可塑性樹脂としては、シアン化ビニル系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単位とを有する共重合体、具体的には、アクリロニトリル−スチレン系共重合体や、ポリ塩化ビニル樹脂、メタクリル酸エステル類を50質量%以上含有する重合体が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂のうち、アクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いると、ガラス転移温度が120℃以上、面方向の厚さ100μmあたりの位相差が20nm以下、全光線透過率が85%以上である光学フィルムが容易に得られる。なお、ラクトン環含有重合体とその他の熱可塑性樹脂とが熱力学的に相溶することは、これらを混合して得られた熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度を測定することによって確認することができる。具体的には、示差走査熱量測定器により測定されるガラス転移温度がラクトン環含有重合体とその他の熱可塑性樹脂との混合物について1点のみ観測されることによって、熱力学的に相溶していると言える。その他の熱可塑性樹脂としてアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いる場合、その製造方法は、乳化重合法や懸濁重合法、溶液重合法、バルク重合法などを用いることができるが、得られる熱可塑性樹脂フィルム(B)の透明性や光学性能の観点から溶液重合法またはバルク重合法を用いることが好ましい。
熱可塑樹脂組成物(B)は、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;フェニルサリチレート、(2、2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、2−ヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤などの帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。熱可塑性樹脂フィルム(B)中における添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5質量%、より好ましくは0〜2質量%、さらに好ましくは0〜0.5質量%である。熱可塑性樹脂フィルム(B)の製造は、上述の方法等に従って行うことができ、例えば、ラクトン環含有重合体とその他の熱可塑性樹脂と、必要に応じて、添加剤などを、従来公知の混合方法で充分に混合し、これをフィルム状に成形することができる。
<光学フィルム(B)>
熱可塑性樹脂フィルム(B)は、例えば、光学フィルム(以下「光学フィルム(B)」ということがある。)として用いるものである。
光学フィルム(B)は、各種光学用途に応じた特性を十分に発揮できる、光学フィルムである。光学フィルム(B)は、ガラス転移温度が120℃以上、好ましくは125℃以上、より好ましくは130℃以上である。光学フィルム(B)は、面方向の厚さ100μmあたりの位相差が好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下である。光学フィルム(B)は、全光線透過率が好ましくは85%以上、より好ましくは87%以上、より好ましくは90%以上である。光学フィルム(B)は、位相差の入射角依存性が小さく、入射角0°の厚さ100μmあたりの位相差Rと入射角40°の厚さ100μmあたりの位相差R40との差(R40−R)が、好ましくは20nm未満、より好ましくは10nm未満である。光学フィルム(B)は、厚さが好ましくは1μm以上500μm未満、より好ましくは10μm以上300μm未満である。厚さを1μm以上とすることにより、機械的強度が向上する傾向にあり、延伸を行う場合に破断などが起りにくい。光学フィルム(B)は、ASTM−D−882−61Tに準拠して測定した引張強度が好ましくは10MPa以上100MPa未満、より好ましくは30MPa以上100MPa未満である。引張強度を10MPa以上とすることにより、充分な機械的強度が発現されやすい傾向にあり、引張強度を100MPa以上とすることにより、加工性が向上する傾向にあり好ましい。
光学フィルム(B)は、ASTM−D−882−61Tに準拠して測定した伸び率が好ましくは1%以上、より好ましく3%以上である。伸び率の上限は、特に限定されるものではないが、通常、好ましくは100%以下である。伸び率を1%以上とすることにより、靭性が向上する傾向にあり好ましい。
光学フィルム(B)は、ASTM−D−882−61Tに準拠して測定した引張弾性率が好ましくは0.5GPa以上、より好ましくは1GPa以上、さらに好ましくは2GPa以上である。引張弾性率の上限は、特に限定されるものではないが、通常、好ましくは20GPa以下である。引張弾性率を0.5GPa以上とすることにより、機械的強度が向上する傾向にあり好ましい。
光学フィルム(B)の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ラクトン環含有重合体とその他の熱可塑樹脂と、必要に応じて、添加剤などを、従来公知の混合方法で混合し、予め熱可塑性樹脂組成物としてから、光学フィルム(B)を製造することができる。この熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、例えば、オムニミキサーなどの混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する方法を採用することができる。この場合、押出混練に用いる混練機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機などの押出機や加圧ニーダーなど、従来公知の混練機を用いることができる。
フィルム成形の方法としては、従来公知のフィルム成形方法を使用すればよく、例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法などが挙げられる。これらのフィルム成形方法のうち、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が特に好ましい。この際、前述のように予め押出し混練した熱可塑性樹脂組成物を用いてもよいし、ラクトン環含有重合体とその他の熱可塑樹脂と、必要に応じて、添加剤などを、別々に溶液に溶解して均一な混合液とした後、溶液キャスト法(溶液流延法)や溶融押出法のフィルム成形工程に付してもよい。溶液キャスト法(溶液流延法)に使用される溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の、フィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出し機や二軸押出し機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出したフィルムを巻取りロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出し方向に延伸を加えることで、一軸延伸工程とすることも可能である。また、押出し方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加えることで、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの工程を加えることも可能である。
本発明における光学フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。延伸する場合は、一軸延伸フィルムでもよいし、二軸延伸フィルムでもよい。二軸延伸フィルムとする場合は、同時二軸延伸したものでも良いし、逐次二軸延伸したものでも良い。二軸延伸した場合は、機械強度が向上しフィルム性能が向上する。本発明における光学フィルムは、その他の熱可塑性樹脂を混合することにより、延伸しても位相差の増大を抑制することができ、光学的等方性を保持することができる。延伸は、好ましくは、フィルム原料の熱可塑樹脂組成物のガラス転移温度付近で行われる。具体的な延伸温度としては、好ましくは(ガラス転移温度−30℃)〜(ガラス転移温度+100℃)、より好ましくは(ガラス転移温度−20℃)〜(ガラス転移温度+80℃)である。延伸温度が(ガラス転移温度−30℃)未満であると、充分な延伸倍率が得られないことがある。逆に、延伸温度が(ガラス転移温度+100℃)を超えると、樹脂が流動して安定な延伸を行えないことがある。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍、より好ましくは1.3〜10倍である。延伸倍率を1.1倍以上とすると、延伸による靭性が向上する傾向にある。逆に、延伸倍率を25倍以下とすると、延伸倍率を上げた効果が発揮されやすい傾向にある。延伸速度(一方向)としては、好ましくは10〜2、0000%/分、より好ましくは100〜10、000%/分である。延伸速度を10%/分以上とすると、充分な延伸倍率を得るための時間が短縮できる傾向にあり、製造コストを抑得やすい。逆に、延伸速度を20、000%/分以上とすることにより、延伸フィルムの破断などが起りにくくなる傾向にある。
フィルムの光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うこともできる。
次に本発明のラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムを用いた偏光板について詳しく説明する。
偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護フィルムで構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。又、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
<保護フィルム>
前期ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルムを用いることで、薄形でかつ、強度、生産性、光学特性の優れた偏光板が得られる。また同フィルムは、場合により表面処理を行うことによって、透明フィルムと各機能層(例えば、下塗層およびバック層)との接着の向上を達成することができる。例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸またはアルカリ処理を用いることができる。ここでいうグロー放電処理とは、10−3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
<偏光子>
本発明で用いられる偏光子は、親水性樹脂としてポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチル変性等の変性セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)から構成することが好ましい。特に好ましい親水性樹脂はPVAであり、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材である。PVAは、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、数平均重合度で1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。PVAのシンジオタクティシティーは、特許2978219号明細書に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
PVAはフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号、特開平09−328593号、特開平13−302817号公報、特開平14−144401号公報を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開平14−236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号明細書に記載されている、複屈折が1.0×10−3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。ただし、特開平14−228835号公報に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.02以上0.01以下としてもよいし、特開平14−060505号に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003以上0.01以下としてもよい。なおここで、nxはフィルム長手方向の屈折率、nyはフィルム幅方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率である。
PVAフィルムのレターデーションRe(面内)は0nm〜100nmが好ましく、0nm〜50nmがさらに好ましい。また、PVAフィルムのRth(膜厚方向)は0nm〜500nmが好ましく、0nm〜300nmがさらに好ましい。
この他、本発明の偏光板には、特許3021494号明細書に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム;特開平13−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm当たり500個以下であるPVAフィルム;特開平14−030163号公報に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム;さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコールを1〜100質量部混合したり、また特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルム;などを好ましく用いることができる。
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、10〜200μmがより好ましく、10〜40μmが特に好ましい。特開平14−236212号公報に記載されているように水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
二色性分子はI やI などの高次のヨウ素イオン又は二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編(CMC出版)や「工業材料」第28巻、第7号、39〜45頁に記載されているように、ヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液及び/又はホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、その具体例としては、例えば、「偏光フィルムの応用」(CMC刊、昭和61年2月10日発行)、或いは「COLOUR INDEX、ThirdEdition、Volume2」(The Society of Dyers and Colourists、The American Association of Textile Chemists and Colrists刊、1971年発行)中のC.I.Direct染料(直接染料)等をあげることができる。さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平6−65815号、特開平7−261024号の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開平14−082222号公報に記載されているように、吸着厚みが4μm以上であってもよい。
フィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01質量%から5質量%の範囲に調整される。
偏光子の好ましい膜厚としては5〜40μm、さらには10〜30μm、特には5〜22μmの範囲である。偏光子の膜厚が5〜22μmと薄膜化した場合には、該偏光子がクロスニコル時の700nmの透過率が0.001%以上0.3%以下で410nmの透過率が0.001%以上0.3%以下とする態様が好ましい。クロスニコル時の700nmの透過率の上限は、0.3%以下であることが好ましく、0.2%であることが好ましい。410nmの透過率の上限は0.3%以下であることが好ましく、0.08%以下であることがより好ましく、0.05%以下であることがさらに好ましい。このことにより、経時変化による偏光子の収縮によって生じる画像表示装置の周辺部からの光漏れ故障(額縁故障)を改良し、且つ表示画像のサイズが17インチ以上の大きな画面となっても、青味が少ないニュートラルグレーの色味を示し、良好な表示画像品位を達成することができる。
クロスニコル時の700nmの透過率及び410nmの透過率を下げる手段としては、偏光子に、ヨウ素などの二色性物質に加えて対応する波長域に吸収をもつ上記の二色性色素を色相調整剤として添加すること、ヨウ素などの二色性物質を添加する際にホウ酸などの硬膜剤を添加すること等が有効であることを見出した。また、これらを組み合わせて行うことも有効である。
上記色相調整剤は2種以上を配合してもよい。添加する色素は、410nm又は700nmに吸収を有すれば本発明の目的を達成するが、主吸収が380nmから500nmもしくは600nmから720nmに有することが好ましい。また、添加する色素量は、使用する色素の吸光度、二色比などにより任意に決めることができる。いずれもクロスニコル時の700nmの透過率が0.3%以下で410nmの透過率が0.3%以下になれば特に制限されることはない。
また、上記色相調整剤を偏光子に添加する方法としては、浸漬、塗布、噴霧などのあらゆる方法が用いられるが、その中でも浸漬が好ましい。添加する工程は、延伸前、延伸後のいずれでもかまわないが、偏光性能向上の観点から延伸前が好ましい。単独で添加工程を設けてもよいし、後述する染色工程又は硬膜剤添加工程のいずれかもしくは両方において行うこともできる。
偏光子の厚さと後述する保護フィルムの厚さの比は、特開平14−174727号公報に記載されているように、0.01≦A(偏光子の膜厚)/B(保護フィルムの膜厚)≦0.16の範囲とすることも好ましい。
保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸の交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
<セパレータフィルム>
セパレータフィルムとしては、紙、合成樹脂フィルム等があげられるが、好ましくは合成樹脂フィルムである。合成樹脂フィルムの例としては、セルロースエステル(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等)、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−1、4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1、2−ジフェノキシエタン−4、4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリスチレン(例えば、シンジオタクチックポリスチレン等)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等)、ポリアリレート等から作製されるフィルムが挙げられる。なかでも、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンから作製される合成樹脂フィルムが好ましく、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンから作製される合成樹脂フィルムが好ましい。
セパレータフィルムは、表面処理されていてもよい。例えば、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、帯電防止処理等が挙げられる。セパレータフィルムの膜厚は4〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは4〜50μm、特に好ましくは4〜25μmである。膜厚が4μm未満あるいは100μmを越える場合、セパレータフィルムを介在させることが難しい。
偏光子と保護フィルムを薄形化した場合、偏光板の硬さが不足して液晶パネルへの貼合時に皺が発生したり、貼合装置に偏光板がうまくセット、吸着できなかったりする問題が生じる。そこでセパレータフィルムの厚さを20μm以上、特に保護フィルムより厚くすることで、これらの問題を解決することができる。
<プロテクトフィルム>
フィルム材料は上記セパレートフィルムと同様のフィルムが使える。もちろん同一材料である必要はない。
プロテクトフィルムは偏光板を液晶パネルに貼合後、剥離するため、偏光板が薄形化してもその厚さは大きく影響を受けない。偏光板原反の薄形化、ロール原反の点からは薄形が好ましく、4〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは4〜50μmが好ましい。特に、セパレータフィルムより薄いことが偏光板貼合時に好ましい。
<偏光板ラベラー>
偏光板原反は通常巻芯に巻かれてフィルム原反となり、保存、輸送されている。用途に応じて、さらに位相差フィルムや表面フィルムが積層、貼合され、液晶表示装置の画面サイズに応じて裁断、加工される。
液晶表示装置の画面サイズが大きい、パソコンモニタやテレビ用の偏光板は上記加工過程で製造されるが、画面サイズの小さい携帯電話などの表示装置用偏光板は、裁断後、長尺のセパレータ上に積層され、リール上の巻芯に巻き取られる。この状態を偏光板ラベラーと呼ぶ。
偏光板ラベラー形態では、偏光板が薄くてもセパレータフィルムの厚さを20μm以上に厚くすることで、偏光板貼合の製造過程が容易に行える。またセパレータに帯電防止処理をすることで、静電気によるゴミの付着や液晶パネル破損が回避できる。
<偏光板光学性能>
本発明の偏光板は、25℃60%RHにおける400〜700nmの単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CT、偏光度Pが下記式(a)〜(d)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。(なお、「400〜700nmの」とは、400〜700nmの範囲をスキャンした平均値をいう。以下、同様である。)
単板透過率とは偏光板一枚の透過率、平行透過率とは二枚の偏光板を透過軸を平行に合わせた状態で測定した透過率、直交透過率とは二枚の偏光板の透過軸を直交させた状態で測定した透過率である。
(a)40.0≦TT≦45.0
(b)30.0≦PT≦40.0
(c)CT≦2.0
(d)95.0≦P
単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTはこの順でそれぞれ、より好ましくは、40.5≦TT≦45.0、32.0≦PT≦40.0、CT≦1.5であり、さらに好ましくは41.0≦TT≦45.0、34.0≦PT≦40.0、CT≦1.3である。偏光度Pは95.0%以上であることが好ましく、より好ましくは96.0%以上、さらに好ましくは97.0%以上である。
本発明の偏光板は、波長λにおける直交透過率をTλとしたときに、T(380)、T(410)、T(700)が下記式(e)〜(g)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(e)T(380)≦2.0
(f)T(410)≦1.0
(g)T(700)≦0.5
より好ましくはT(380)≦1.95、T(410)≦0.9、T(700)≦0.49であり、さらに好ましくはT(380)≦1.90、T(410)≦0.8、T(700)≦0.48である。
本発明の偏光板は、60℃95%RHの条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(h)、(i)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(h)−6.0≦ΔCT≦6.0
(i)−10.0≦ΔP≦0.0
(ただし、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値を示す)
より好ましくは−5.8≦ΔCT≦5.8、−9.5≦ΔP≦0.0、更に好ましくは、−5.6≦ΔCT≦5.6、−9.0≦ΔP≦0.0である。
本発明の偏光板は、60℃90%RHの条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(j)、(k)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(j)−3.0≦ΔCT≦3.0
(k)−5.0≦ΔP≦0.0
(ただし、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値を示す)
より好ましくは−2.0≦ΔCT≦2.0、−0.5≦ΔP≦0.0、更に好ましくは、−0.2≦ΔCT≦0.2、−0.2≦ΔP≦0.0である。
本発明の偏光板は、80℃の条件下に500時間静置した場合の400〜700nmの直交透過率の変化量ΔCT、偏光度変化量ΔPが下記式(l)、(m)の少なくとも1つ以上を満たすことが好ましい。
(l)−3.0≦ΔCT≦3.0
(m)−2.0≦ΔP≦0.0
(ただし、変化量とは試験後測定値から試験前測定値を差し引いた値を示す)
より好ましくは−2.0≦ΔCT≦2.0、−0.5≦ΔP≦0.0、更に好ましくは、−0.2≦ΔCT≦0.2、−0.2≦ΔP≦0.0である。
偏光板の単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTはUV3100PC(島津製作所社製)を用い、380nm〜780nmの範囲で測定し、TT、PT、CTともに、10回測定の平均値(400nm〜700nmでの平均値)を用いる。偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行う。偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に本発明に関する透明フィルムが挟まれるように組み合わせて直交、同じものを2つ用意し測定する。ガラス貼り付け状態のものはガラスの上に偏光板を本発明に関する透明フィルムがガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作成する。単板透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板の透過率とする。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1
(巻芯の作製)
表1に示した形状で、FW法により、巻芯A−1〜A−3、比較巻芯−A1、A2をそれぞれ作製した。巻芯の大きさは、内径150mm、外径166〜168mm、長さ1620mmとした。巻芯は、基材層、第一ワインディング層、第二ワインディング層について、それぞれガラス、カーボン繊維およびマトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いたプリプレグ樹脂層を巻回して巻芯母材を形成した。この形成された巻芯母材について、各層のガラス繊維、カーボン繊維の比率、巻数を調整し巻芯仕上がりの弾性率が表1に示す値になるように調整した。また芯表面にはエポキシ導電性樹脂をコーティングし、表面を研磨して、巻芯の両端部、中央部がそれぞれ表1に示す円周長になるように、また、中央部の平坦な部分の比率(%)が、表1の様になる様に各巻芯について調整した。
Figure 0005837664
(巻芯の円周長)
尚、巻芯の円周長は、0.1mmの精度の帯状スケ−ル(JIS1級)を使用し、巻芯の中央部分と両端部の円周長を測定した。
(巻芯の弾性率)
巻芯の弾性率については、巻芯を、支点間距離が1250mmになるようにして支えたのち、巻芯中央に荷重をかけ、荷重−たわみ比より求めた。
(表面粗さ)
表面粗さRa値は、JIS B 0601に準じ、東京精密(株)の表面粗さ計サ−フコム111Aを使用して、カットオフ0.25mmにて中心線平均粗さを3点測定し、その平均値を表面粗さとした。
実施例2
(ラクトン環含有重合体の作製)
<ラクトン環含有重合体ペレット(A)の作製>
国際公開WO2006/025445A1号パンフレット[0230]〜[0232]に記載された合成方法に従い、ラクトン環含有重合体ペレット(A)を得た。
<ラクトン環含有重合体ペレット(B)の作製>
国際公開WO2006/025445A1号パンフレット[0245]〜[0247]に記載された合成方法に従い、ラクトン環含有重合体ペレット(B)を得た。
実施例3
(フィルムの作製とロール巻取り)
実施例2で作製したラクトン環含有重合体ペレット(A)を溶融押出し成形で1450mm、平均厚さ80μmの樹脂フィルム2500mを5ロール分作製し、それぞれ実施例1で作製した巻芯A−1〜A−3および比較巻芯−A1、A2に25℃55%RHで、それぞれ130Nのテンションをかけた条件で巻き取った。
巻き取ったフィルム原反試料をフィルム原反が床などに触れないように巻芯の両端を架台に載せて、フィルム原反をポリエチレンシートで2重に包み、25℃、50%RHの条件下で30日間保存した。その後、ポリエチレンシートを開け、ロールからフィルムを巻きなおして、外側から300m、1200m、2400mのところでそれぞれ2mの長さで1450mm幅のサンプルを10枚採取し、面状故障の個数を目視で数えた。
Figure 0005837664
本発明の巻芯を用いたフィルム原反では面状故障が少ない好ましい結果が得られた。
実施例4
(フィルムの作製とロール巻取り)
実施例2で作製したラクトン環含有重合体ペレット(B)を国際公開WO2006/025445A1号パンフレットの[0311]に記載の方法に従い、アクリロニトリル−スチレン(旭化成(株)製、スタイラック(R)−AS783)(AS樹脂)を、ラクトン環含有重合体/AS樹脂=90/10の質量比で、単軸押出機を用いて混練することにより、熱可塑性樹脂組成物の透明なペレットを得た。
この熱可塑性樹脂組成物をメチルエチルケトンに溶解させ、溶液キャスト法により、厚さ40μm、幅1450mm、長さ4100mの未延伸フィルム5ロール分を作製し、それぞれ実施例1で作製した巻芯A−1〜A−3および比較巻芯−A1、A2に実施例3と同じ条件で巻き取った。
巻き取ったフィルム原反試料をフィルム原反が床などに触れないように巻芯の両端を架台に載せて、フィルム原反をポリエチレンシートで2重に包み、25℃、50%RHの条件下で30日間保存した。その後、ポリエチレンシートを開け、ロールからフィルムを巻きなおして、外側から300m、2000m、3800mのところでそれぞれ1mの長さで1450mm幅のサンプルを10枚採取し、面状故障の個数を目視で数えた。
Figure 0005837664
本発明の巻芯を用いたフィルム原反では面状故障が少ない好ましい結果が得られた。
10 巻芯本体
11 芯金
12 基材層
13 繊維
14 第一ワインディング層
15 第二ワインディング層
16 コーティング層

Claims (5)

  1. 1枚以上の保護フィルムと偏光子とを有する偏光板における保護フィルムに用いられ、ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム原反であって、
    弾性率10〜15GPaの巻芯に巻き回してなり、
    前記巻芯に巻き取られるフィルム長が500m以上のラクトン環含有重合体を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂フィルム原反。
  2. 巻芯両端部の円周長の平均と、巻芯中央部の円周長とが等しい巻芯を用いた請求項1に記載の熱可塑性樹脂フィルム原反。
  3. フィルム幅が1350mm以上である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂フィルム原反
  4. 前記熱可塑性樹脂フィルム原反のフィルムの引張強度が30MPa以上100MPa未満である、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂フィルム原反。
  5. 前記熱可塑性樹脂フィルム原反の一方の面に偏光子を有する請求項1〜のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂フィルム原反。
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