JP5836986B2

JP5836986B2 - 金属加飾板に使用する保護シート

Info

Publication number: JP5836986B2
Application number: JP2013032861A
Authority: JP
Inventors: 真一北村; 健太濱井; 裕介上野
Original assignee: Nissha Printing Co Ltd
Current assignee: Nissha Printing Co Ltd
Priority date: 2013-02-22
Filing date: 2013-02-22
Publication date: 2015-12-24
Anticipated expiration: 2033-02-22
Also published as: JP2014162025A

Description

本発明は金属加飾板に使用される保護シートに関し、特に金属加飾板をプレス加工するときに金属加飾板から剥離しにくい保護シートに関する。

転写シートを用いてプラスチック部品や外装品のような物品の表面を装飾する方法が従来から知られている。転写シートは、支持体である基体シートの片面上に転写層が設けられた構成であり、この転写層が基体シートから物品の表面に転写される。物品の表面に転写された転写層は樹脂や図柄等が積層された積層体であり、物品表面に保護被覆や装飾被覆を形成する。

上記転写シートを用いた製品として、金属加飾成形品（例えば、パソコンの筐体）が挙げられる。金属加飾成形品は、所望の形状を有する金属板の上に接着層、柄層、ハードコート層などの転写層が積層された構成からなる（例えば、特許文献１)。

金属加飾成形品の作成は、金属板の上に転写層が積層された金属加飾板を、プレス加工機で成形加工することにより行われる。なお、上記の方法で金属加飾成形品を作成する場合は、保護シートが使用される。保護シートは、金属加飾板をプレス加工機から保護するために使用されるものであり、プレス加工する前に金属加飾板の上に貼り付けられ、プレス加工が終了した後に金属加飾板から剥離される。

特開２００７−２４５７２５号公報

しかし、この方法で金属加飾板を成形すると、金属加飾板を複雑な形状に加工する場合に、保護シートが破れたり、金属加飾板から剥離してしまう。その結果、成形するときに使用する油などが金属加飾板の表面に付着して、意匠性の高い金属加飾成形品を作成できないという問題があった。

そこで、本発明は金属加飾板を成形するときに金属加飾板から剥離しにい保護シートを提供する。

上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。

本発明の第１態様の特徴は、
金属板の上にハードコート層が積層される金属加飾板の前記ハードコート層の上に積層され、１０〜６０Ｗ％の固形分を含むウレタンエマルジョンを含んでなる保護シートを提供する。

本発明の第２態様の特徴は、
固形分が１０〜６０Ｗ％のウレタンエマルジョンと、
エチレングリコールモノブチルエーテルと、
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含む水溶性インキと、
水と、を含む保護シートを提供する。

本発明の第３態様の特徴は、
前記ウレタンエマルジョンを５０Ｗ％〜８０Ｗ％、
前記エチレングリコールモノブチルエーテルを５Ｗ％〜１０Ｗ％
前記水溶性インキを０．０１Ｗ％〜０．２Ｗ％
前記水を９Ｗ％〜４０Ｗ％の割合で含む保護シートを提供する。

本発明の第４態様の特徴は、
金属板と、
前記金属板の上に積層されるハードコート層と、
前記ハードコート層の上に積層される上記保護シートと、
を備える金属加飾板を提供する。

本発明の第５態様の特徴は、
前記ハードコート層が疎水性樹脂である金属加飾板を提供する。

本発明の第６態様の特徴は、
前記疎水性樹脂がアクリル樹脂である金属加飾板を提供する。

本発明の第７態様の特徴は、
金属板の上にハードコート層が積層された金属加飾板の前記ハードコート層の上に
固形分が１０〜６０Ｗ％、ＰＨが６〜７のウレタンエマルジョンと、
エチレングリコールモノブチルエーテルと、
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含む水溶性インキと、
水とを含み、
前記ウレタンエマルジョンを５０Ｗ％〜８０Ｗ％、
前記エチレングリコールモノブチルエーテルを５Ｗ％〜１０Ｗ％
前記水溶性インキを０．０１Ｗ％〜０．２Ｗ％
前記水を９Ｗ％〜４０Ｗ％の割合で含む保護溶液を噴霧し、乾燥させることにより積層される保護シートを提供する。

上記のように構成したので、本発明の保護シートは金属加飾板を成形するときに金属加飾板から剥離しにくい。

本発明の保護シートが積層された金属加飾板の断面図である。転写シートの断面図である。本発明の金属加飾板の製造方法にかかる断面図である。

下記で、本発明に係る実施形態を図面に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明の実施例に記載した部位や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。

［金属加飾板］
図１は、本発明の保護シートが積層された金属加飾板１の構造を示す断面図である。金属加飾板１は、金属板２の片面に接着層３、柄層４、ハードコート層５が積層された構成からなり、上記金属加飾板の上には保護シート６が積層されている。

以下で、金属板２、接着層３、柄層４、ハードコート層５、保護シート６の材質などについて詳細に説明する。

＜金属板＞
金属板２は、接着層３、柄層４、ハードコート層５、保護シート６などを保持する板状の部材であり、アルミニウム、マグネシウム、ＳＵＳなどから構成される。

＜接着層＞
接着層３は、金属板２と柄層４、ハードコート層５、保護シート６を接着するための層である。接着層３は、成形樹脂の種類に適した感熱性又は感圧性のある樹脂が使用される。成形樹脂がＰＭＭＡ系樹脂であれば、例えば、接着層もＰＭＭＡ系樹脂を使用するとよい。成形樹脂がＰＣ、ポリスチレン（ＰＳ）系樹脂であれば、例えば、接着層は、これらの樹脂と親和性のある、ＰＭＭＡ、ＰＳ、ＰＡ系樹脂を使用するとよい。なお、接着層１０の厚みは、０．１μｍ〜２０μｍである。

＜柄層＞
柄層４は、金属加飾板１を装飾する層である。柄層４の材質としては、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、セルロースエステル樹脂、アルキッド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。

＜ハードコート層＞
ハードコート層５は、最終的に金属加飾板１の表面に配置される層である。そのため、ハードコート層５は、柄層４、接着層３、金属板２を保護するために一定以上の硬度を有している。ハードコート層５の材質としては、疎水性樹脂から構成されることが好ましい。ハードコート層５が上記のように構成されると、保護シート６は水溶性樹脂を主成分としてなるため、保護シート６がハードコート層５の上に形成されても、疎水相互作用によりハードコート層５が保護シート６によって冒されない。なお、疎水性樹脂の中でも特に、アクリル樹脂から構成されることが好ましい。ハードコート層５がアクリル樹脂から構成されると、ハードコート層５の表面硬度がH以上になり、ハードコート層５の下に配置される柄層４などを適切に保護できる。そのようなアクリル樹脂としては、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステルなどが挙げられる。

＜保護シート＞
保護シート６は、金属加飾板１をプレス加工するときに、金属加飾板１に傷や汚れが入らないよう、金属加飾板１を保護するためものである。保護シート６は、固形分が１０〜６０Ｗ％のウレタンエマルジョンを含む。保護シート６が、上記のように構成されると、保護シート６の厚みが一定となり、金属加飾板１をプレス加工するとき、保護シート６が金属加飾板１から剥離しにくくなる。なお、ウレタンエマルジョンの固形分が１０Ｗ％未満であると、保護シート６自体が脆くなる。その結果、金属加飾板１をプレス加工するときに、保護シート６が破れてしまい金属加飾板１を保護できなくなる。反対に６０Ｗ％を超えると、保護シート６の厚みが均一でなくなり、金属加飾板１をプレス加工するとき、保護シート６が金属加飾板１から剥離しやすくなる。

また、保護シート６は、固形分が１０〜６０Ｗ％のウレタンエマルジョンと、エチレングリコールモノブチルエーテルと、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含む水溶性インキと、水とを含む。保護シート６が、上記のように構成されると、保護シート６の剥離性が向上し、プレス加工した後の金属加飾板１から保護シート６を剥離しやすくなる。

さらに、保護シート６は、ウレタンエマルジョンを５０Ｗ％〜８０Ｗ％、エチレングリコールモノブチルエーテルを５Ｗ％〜１０Ｗ％、水溶性インキを０．０１Ｗ％〜０．２Ｗ％、水を９Ｗ％〜４０Ｗ％の割合で含む。保護シート６が、上記のように構成されると、塗工の際に膜厚が安定し、均一に塗工でき、プレス加工後に剥がれやすくなる。

次に、保護シート６が積層された金属加飾板１の製造方法について説明する。

図２は、転写シート１０の構造を示す断面図であり、図３は金属加飾板１の製造工程の一部を示す断面図である。金属加飾板１は、転写シート１０を使用して作成される。図２で示すように、転写シート１０は、基体シート１１の片面に転写層１２が設けられた構成からなる。基体シート１１は、ＰＥＴなどの合成樹脂から構成され、転写層１２は、基体シート１１側から順にハードコート層５、柄層４、接着層３が積層された構成からなる。ハードコート層５、柄層４、接着層３の基体シート１１上への積層は、特に断らない限り、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、またはグラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法によって行われる。

図３に示すように、転写シート１０を使用した金属加飾板１の製造方法は、転写シート１０の転写層１２側の面を金属板２の表面に重ね、ロール転写機、アップダウン転写機などの転写機２０を用いて、転写シート１０の基体シート１１側から熱及び圧力をかける。このようにすることで、転写シート１０が金属板２の表面に接着される。次に、転写シート１０と金属板２とが接着すれば、基体シート１１を金属板２から剥離する。すると、転写層１２が金属板２の表面に転写され、金属加飾板１が作成される。

つぎに、金属加飾板１の上に保護シート６を積層する。保護シート６の積層は、以下のようにして行われる。

まず、保護溶液を用意する。保護溶液は、以下の構成のものを用いる。
（１）ウレタンエマルジョン：５０Ｗ％〜８０Ｗ％
（２）エチレングリコールモノブチルエーテル：５Ｗ％〜１０Ｗ％
（３）水溶性インキ：０．０１Ｗ％〜０．２Ｗ％
（４）水：９Ｗ％〜４０Ｗ％

なお、ウレタンエマルジョンは、固形分が１０〜６０Ｗ％、ＰＨが６〜７であるものを用いる。固形分が１０〜６０Ｗ％であるウレタンエマルジョンを用いるのは、均一な膜厚の保護シート６を金属加飾板１の形成するためであり、ＰＨが６〜７であるウレタンエマルジョンを用いるのは、保護溶液を金属加飾板１の上に噴霧したときに、保護溶液が金属板２まで浸透して金属板２が腐食されるのを防止するためである。また、水溶性インキは、剥離調整剤から構成される。そのような剥離調整剤としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含むものなどが挙げられる。

次に、用意した保護溶液を噴霧機にセットし、金属加飾板１のハードコート層５上に噴霧する。このとき、保護溶液が、１０〜２０μｍの厚みで積層されるように噴霧する。そして、保護溶液が噴霧された金属加飾板１を乾燥機に入れ、保護溶液を乾燥させる。このときの乾燥条件は、１２０℃の下、１０分時間程度である。最後に乾燥機から金属加飾板を取り出し、ハードコート層５の上に保護シート６が積層された金属加飾板１を得る。

１：金属加飾板
２：金属板
３：接着層
４：柄層
５：ハードコート層
６：保護シート
１０：転写シート
１１：基体シート
１２：転写層
２０：金属板
２１：転写機

Claims

金属板の上にハードコート層を積層する工程と、
前記ハードコート層の上に、保護溶液を塗工し乾燥させることにより保護シートを積層する工程とを備え、
前記保護溶液は、固形分が１０重量％〜６０重量％のウレタンエマルジョンを含む、金属加飾板の製造方法。
前記保護溶液は、エチレングリコールモノブチルエーテルと、水溶性インキと水とを更に含み、
前記水溶性インキはポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを含む、請求項１に記載の金属加飾板の製造方法。
前記保護溶液は、
前記ウレタンエマルジョンを５０重量％〜８０重量％と、
前記エチレングリコールモノブチルエーテルを５重量％〜１０重量％と、
前記水溶性インキを０．０１重量％〜０．２重量％と、
前記水を９重量％〜４０重量％の割合で含む（但し、ウレタンエマルジョンとエチレングリコールモノブチルエーテルと水溶性インキと水との合計が１００重量％である）、請求項２に記載の金属加飾板の製造方法。
前記ウレタンエマルジョンはＰＨが６〜７である、請求項３に記載の金属加飾板の製造方法。
前記ハードコート層は疎水性樹脂である、請求項１〜４のいずれかに記載の金属加飾板の製造方法。
前記疎水性樹脂はアクリル樹脂である、請求項５に記載の金属加飾板の製造方法。