JP5836444B2 - 被検物質の評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、SARTストレス負荷動物に被検物質を投与した後、その脳組織を発現プロテオーム解析することによって、該被検物質の薬理作用、特に線維筋痛症に対する作用、鎮痛作用或いは抗ストレス作用を研究、判定又は評価する方法に関する。
線維筋痛症(Fibromyalgia)は、慢性的で全身性の強い疼痛、あるいは部分的でも広範囲の慢性疼痛を主症状とする疾患であり、筋肉組織だけでなく、皮膚に痛みがみられることもある。線維筋痛症では、このような全身性の慢性疼痛だけでなく、疲労感、倦怠感、鬱、不安感、朝のこわばり感、筋肉の硬直、睡眠障害等を伴うことが多い。また、頭痛、顔面痛、認識障害(記憶違い、集中力の欠如)、胃腸の愁訴(内臓痛、消化器系の障害、鼓腸)、頻尿、下痢、便秘、月経困難症等の症状を伴うこともある。
米国の一般人口に対する線維筋痛症の有病率は女性3.4%、男性0.5%と報告されており、概ね25〜50歳の女性に好発し、患者の約80%が女性であり、日本でも米国とほぼ同様であると考えられている。線維筋痛症は自覚症状が多彩である反面、他覚所見は特徴的な全身の圧痛以外にはあまりなく、MRI、CT等の画像検査のほか、筋痛部位の病理検査、各種の免疫学的、ウイルス学的、内分泌学的検査をしてもほとんど異常がみられない。例えば、リウマチ性関節炎と異なり浮腫はみられず、炎症の程度を示す血液中の指標、すなわち血沈やCRPが正常範囲にもかかわらず、患者は四肢や体幹の広範囲にわたる疼痛を訴える。
診断方法としては、米国リウマチ学会が1990年に提唱した分類基準が現在世界的に使用されている。この基準では、臍部を基点として上半身と下半身、右半身と左半身、さらに脊椎部及び胸骨部の5ヶ所の何れの部位にも痛みを認め、それらが少なくとも3ヶ月以上持続する場合、あるいは、規定された全身18ヶ所の圧痛点に4kgの緩やかな荷重を加え、11ヶ所以上で痛覚を感じた場合を線維筋痛症とする。
線維筋痛症の発症の原因やメカニズムについては、現在のところ、ストレス等の心理的要因、ウイルス感染、遺伝、免疫異常や神経伝達物質の異常等が推察されているが、まだ解明されていない。線維筋痛症は、生体組織の損傷あるいは損傷の可能性のある侵害刺激によってもたらされる多くの一般的疼痛性疾患と極めて異なる疾患であり、疼痛部位には関連する病理学的所見は認められない。
線維筋痛症の治療には、一般の疼痛治療に繁用されている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)等の消炎鎮痛剤のほとんどは効果が認められない。また、筋弛緩薬、オピオイド性鎮痛薬、抗不安薬等様々な薬剤が試用されてもいるが、その有効性は個人差が大きく、顕著な効果は認められていない。従って、現在、線維筋痛症の治療には、抗うつ薬又はこれとNSAIDの処方、発痛部位への局所麻酔薬やステロイド剤の投与、マッサージ、運動療法、睡眠療法等が取り入られているに過ぎない。ただし、いずれの治療剤、治療方法においても、線維筋痛症の原因が特定されていないこともあり、治療効果の個人差が大きく、治療法として確立されてはいない。
上述したように、現在のところ、線維筋痛症の発症の原因とメカニズムが明確でないこともあり、この疾患に有効な物質を研究、判定又は評価する方法が求められている。
本発明の目的は、線維筋痛症や疼痛性疾患に有効な物質を研究、判定又は評価する方法を提供することにある。
本発明者らは、先ず線維筋痛症とSARTストレス負荷動物の類似性に着目した。
SARTストレス負荷動物とは、SART(Specific Alternation of Rhythm in Temperature)ストレス、即ち反復寒冷ストレスを負荷した動物であり、マウス、ラット、モルモット等が作製され得る。作製方法は喜多らの方法(日薬理誌、71:195、1975)に準じて行うことができる。すなわち、例えばラットの場合は、飼育環境温度を午前10時から午後5時までは1時間毎に24℃と−3℃に交互に変更し、次いで午後5時から翌朝の午前10時の間は4℃に維持し、水及び飼料は自由に摂取させ4日間以上飼育して反復寒冷ストレスを負荷することで作製できる。ラットで−3℃である低温の温度設定は、マウスでは4℃、モルモットでは0℃とすることで、それぞれSARTストレスマウス、SARTストレスモルモットを作製することができる。
このようにして作製されたSARTストレス負荷動物では、反復される寒冷ストレスにより疼痛閾値が低下し(疼痛過敏)、不安・鬱が亢進し、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)、ノルアドレナリン、IL−1βの放出がそれぞれ亢進し、セロトニン(5−HT)の放出が抑制されるという特徴が知られている。また、体重も減少する。
一方、線維筋痛症の患者においても、疼痛閾値が低下し、不安・鬱が亢進し、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)、ノルアドレナリン、サブスタンスP、IL−1β、IL−2、IL−6、IL−8の放出がそれぞれ亢進し、セロトニン(5−HT)の放出が抑制されるという特徴が知られており、これらの点で、SARTストレス負荷動物と共通性を有することが判明してきている。
ところで、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物がSARTストレス負荷動物において疼痛閾値の低下(疼痛過敏)の抑制作用(鎮痛作用)、CRH(副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)、ノルアドレナリン、IL−1βの放出亢進の抑制作用、セロトニン(5−HT)の放出抑制、体重減少の抑制作用等の抗ストレス作用を有していることが過去から知られており(基礎と臨床、15巻、5号、2459頁、1981年;応用薬理、32巻、3号、599頁、1986年他)、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液を有効成分とする医薬品製剤(商品名:ノイロトロピン)は、このSARTストレス負荷動物を用いた鎮痛効力試験によって力価検定を行い、定量試験として規定している。
ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液製剤は、腰痛症、頸肩腕症候群、症候性神経痛、肩関節周囲炎、変形性関節症、帯状疱疹後神経痛などの疼痛性疾患の他に、皮膚疾患(湿疹、皮膚炎、じんま疹)に伴う掻痒、アレルギー性鼻炎、スモン後遺症状の冷感・異常知覚・痛み等の広範な適応が認められている非常にユニークな製剤であり、皮下、筋注、静注用の注射剤並びに錠剤が医療用医薬品として製造承認を受けて市販されている。近年、難治性の神経因性疼痛であるRSD(反射性交感神経性ジストロフィー、CRPS-type 1)に関して米国で臨床試験が行われている。
また、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物が線維筋痛症に効果を有することが近年判明している(Arthritis Res Ther、5 (Suppl 3):S53、170、 2003年他)。ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物が線維筋痛症に有効であることは次の特許文献に記載されている。
国際公開WO2004/039383号公報
本発明者らは、上記のとおりSARTストレス負荷動物と線維筋痛症患者が共通した特徴を有すること、並びに、ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物がその両者に対して鎮痛作用を有すること、その作用機序としては痛みの下行性抑制系の機能低下の改善によると考えられることに着目し、鋭意研究の結果、SARTストレス負荷動物に被検物質を投与した後、該動物の脳組織を発現プロテオーム解析することによって、該被検物質の薬理作用、特に線維筋痛症に対する作用、鎮痛作用或いは抗ストレス作用を研究、判定又は評価する方法を発明した。
本発明は、SARTストレス負荷動物に被検物質を投与した後、その脳組織を発現プロテオーム解析することによって、該被検物質の薬理作用、特に線維筋痛症に対する作用や鎮痛作用を研究、判定又は評価する方法を提供するものであり、これにより、線維筋痛症や疼痛性疾患に有効な物質の探索、効果の判定・評価、あるいは、該物質の標的蛋白質の解析等が行い得る。
ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物は、ワクシニアウイルスを動物に接種して発痘させた組織を破砕し、抽出溶媒を加えて組織片を除去した後、除蛋白処理を行い、これを吸着剤に吸着させ、次いで吸着成分を溶出することによって得られる。
ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物は、例えば、以下の工程で製造される。
(a)ワクシニアウイルスを接種し発痘させたウサギ、マウス等の皮膚組織等を採取し、発痘組織を破砕し、水、フェノール水、生理食塩液またはフェノール加グリセリン水等の抽出溶媒を加えた後、濾過または遠心分離することによって抽出液(濾液または上清)を得る。
(b)前記抽出液を酸性のpHに調整して加熱し、除蛋白処理する。次いで除蛋白した溶液をアルカリ性に調整して加熱した後に濾過または遠心分離する。
(c)得られた濾液または上清を酸性とし活性炭、カオリン等の吸着剤に吸着させる。
(d)前記吸着剤に水等の抽出溶媒を加え、アルカリ性のpHに調整し、吸着成分を溶出することによってワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物を得ることができる。
上記各工程を更に詳しく述べると次のとおりである。
(a)について
ワクシニアウイルスを家兎等のウサギに接種して発痘させた炎症皮膚組織を採取して破砕し、その1乃至5倍量の抽出溶媒を加えて乳化懸濁液とする。抽出溶媒としては、蒸留水、生理食塩水、弱酸性乃至弱塩基性の緩衝液などを用いることができ、グリセリン等の安定化剤、フェノール等の殺菌・防腐剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩類などを適宜添加してもよい。この時、凍結融解、超音波、細胞膜溶解酵素又は界面活性剤等の処理により細胞組織を破壊して抽出を容易にすることもできる。
(b)について
得られた乳状抽出液を濾過又は遠心分離等によって組織片を除去した後、除蛋白処理を行う。除蛋白操作は、通常行われている公知の方法により実施でき、加熱処理、蛋白質変性剤、例えば、酸、塩基、尿素、グアニジン、アセトン等の有機溶媒などによる処理、等電点沈澱、塩析等の方法を適用することができる。次いで、不溶物を除去する通常の方法、例えば、濾紙(セルロース、ニトロセルロース等)、グラスフィルター、セライト、ザイツ濾過板等を用いた濾過、限外濾過、遠心分離等により析出してきた不溶蛋白質を除去する。
(c)について
こうして得られた有効成分含有抽出液を、塩酸、硫酸、臭化水素酸等の酸を用いて酸性、好ましくはpH3.5乃至5.5に調整し、吸着剤への吸着操作を行う。使用可能な吸着剤としては、活性炭、カオリン等を挙げることができ、抽出液中に吸着剤を添加し撹拌するか、抽出液を吸着剤充填カラムに通過させて、該吸着剤に有効成分を吸着させることができる。抽出液中に吸着剤を添加した場合には、濾過や遠心分離等によって溶液を除去して、有効成分を吸着させた吸着剤を得ることができる。
(d)について
吸着剤より有効成分を溶出(脱離)させるには、前記吸着剤に溶出溶媒を加え、室温又は適宜加熱して或いは撹拌して溶出し、濾過や遠心分離等の通常の方法で吸着剤を除去して達成できる。用いられる溶出溶媒としては、塩基性の溶媒、例えば塩基性のpHに調整した水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等又はこれらの適当な混合溶液を用いることができ、好ましくはpH9乃至12に調整した水を使用することができる。
なお、より具体的な製法が、例えば上記特許文献1等に記載されている。
まず、次のとおりSARTストレス負荷動物の脳組織サンプルを作製した。
(1)動物
6週齡のWistar系雄性ラットにSARTストレスを負荷し、SARTストレスラットを作製した。ラットには飼料及び水道水を自由に摂取させて5日間負荷し、6日目にストレス負荷から解放し、実験に供した。
(2)ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物
ワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物としては、上記特許文献1の実施例2に従って製造されたワクシニアウイルスを接種したウサギの炎症皮膚からの抽出物を20 NU/mLに調製したもの(ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物)を用いた。NUとは、疼痛閾値が正常動物より低下した慢性ストレス動物であるSARTストレスマウスを用い、Randall-Selitto変法に準じて試験を行い、鎮痛効力のED50値をもって規定する。1NUはED50値が100 mg/kgであるときのワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物の鎮痛活性含有成分1mgを示す活性である。
(3)ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物の投与
上記SARTストレス負荷ラットに、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物を体重1kg当り200 NUでSARTストレス負荷開始日から連日腹腔内投与した(SARTストレス被検物質投与群)。正常対照群及びSARTストレス負荷対照群には、生理食塩液を同じスケジュールで投与した。投与液量は、体重1kg当り10 mLとした。群編成としては、正常対照群 (n=5)、SARTストレス負荷対照群 (n=10)、SARTストレス負荷被検物質投与群 (n=10) とした。
(4)疼痛閾値の測定
疼痛閾値は圧刺激鎮痛効果測定装置を用いたRandall-Selitto変法に準じた試験によって測定した。すなわち、ラット右後肢足蹠に一定の加圧速度で圧刺激を加えて、動物が逃避あるいは鳴諦反応を示す加圧重量 (g) を疼痛閾値とて測定した。
これにより、次の結果を得た。
(1)体重の変化
SARTストレス負荷対照群の体重は、正常対照群と比較してストレス負荷開始1日後から有意な体重増加の抑制が認められた。SARTストレス負荷被検物質投与群の体重は、SARTストレス負荷対照群と比較して変化はみられなかった。
(2)SARTストレス負荷ラットの疼痛閾値低下に及ぼすワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物の効果
SARTストレスを5日間負荷すると疼痛閾値は正常対照群と比較して有意に低下した。SARTストレス負荷被検物質投与群で最終投与30分後に疼痛閾値を測定した結果、SARTストレス負荷対照群と比較して有意な改善が観察された。
(3)サンプル
上記のとおり、SARTストレス負荷による疼痛閾値の低下とワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物の鎮痛効果が確認できた後、各群の脳組織から大脳、中脳、小脳、間脳、橋と延髄、及び脊髄後角と後根神経節を回収した。得られた各サンプルは、ポリトロンホモジナイザーを用いてそれぞれの群より4匹分のサンプルを氷冷下で細胞溶解緩衝液(30mmol/L トリス塩酸、2mol/L チオ尿素、7mol/L 尿素、4% CHAPS、pH8.5)〔CHAPS:3-[(3-Cholamidopropyl)dimethylammonio]propanesulfonic acid〕でホモジナイズした。組織ホモジネートは、液体窒素で急冷し使用時まで-80℃で凍結保存した。
次に、上記方法で得られたサンプルを用いて、SARTストレス負荷動物の中枢及び末梢神経で発現量が変動している蛋白質を蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動(2D-DIGE)法で見出し、これらの蛋白質をマトリックス支援レーザー脱離イオン化時間飛行型質量分析装置(MALDI-TOF/MS)を用いて同定した。詳しくは次のとおりである。
(1)試薬
上記二次元電気泳動に使用する試薬はいずれもGEヘルスケア バイオサイエンス株式会社(旧Amersham Bioscience)が指定する製造元、グレードのものを使用した。細胞溶解緩衝液、膨潤緩衝液に使用する尿素及びチオ尿素は分解物による実験系への悪影響を避けるため、イオン交換樹脂Amberliteを加えて振盪し、分解物を吸着除去した後使用した。試薬の調製には超純水(Milli-Q水)を使用した。
(2)蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動(2D-DIGE)法
上記方法で得られたサンプルの蛋白質濃度はBradford法によりウシ血清アルブミンで作製した検量線を用いて定量した。これを二次元電気泳動のサンプルとして使用し、蛋白質発現量変化の解析には2D-DIGE法を用いた。
(3)蛍光標識試薬(Cy Dye)による標識反応
サンプルの蛋白質濃度を2あるいは5mg/mLとなるように細胞溶解緩衝液で調製し、液性がpH8.0〜9.0の範囲であることを確認した。測定する全サンプルを等量ずつ混合したものを作製しこれを内部標準とした。内部標準、蛋白質サンプル50μgをマイクロチューブに取り、Cy Dye DIGE Fluor minimal dye標識溶液(無水ジメチルホルムアミドでCy Dye色素を400pmol/μLに希釈)1μLを加え、攪拌後氷中・暗所で30分静置して蛋白質を標識した。内部標準サンプルはCy2色素で、蛋白質サンプルはCy3あるいはCy5色素で標識した。10mmol/L リジン溶液1μLを添加し、氷中・暗所で10分間静置して標識反応を停止させた。Cy2、Cy3及びCy5で標識した各サンプルを1本のマイクロチューブに入れて混和し、これを一次元目電気泳動に使用した。
(4)一次元目電気泳動
一次元目の電気泳動はAmersham BioscienceのIPG precast gel(Immobiline Drystrip)と等電点電気泳動システム(IPGphor)を用いた等電点電気泳動を行った。 ストリップ長は24cm、pH範囲はpH4-7L、4.5-5.5L、5.3-6.5L及び6-9Lのものを使用した。
pH4-7L、4.5-5.5L及び5.3-6.5Lのストリップの場合、膨潤とサンプル添加を同時に行った。サンプルを含む膨潤緩衝液(2mol/L チオ尿素、7mol/L 尿素、4% CHAPS、1.2% DeStreak Reagent、0.5% IPG Buffer)450μLを24cmストリップホルダーに乗せ、これにIPG ストリップを乗せて10時間膨潤後、1ストリップあたり最大50μA、最大8000Vで130,000-180,000VHr電気泳動を実施した。
塩基性側の蛋白質を分離するpH6-9Lのストリップの場合、膨潤後にサンプルを添加した方が良い結果が得られるため、サンプルを含まない膨潤緩衝液450μLを乗せた膨潤トレイでIPG ストリップを10時間以上膨潤し、その後サンプルカップを用いてサンプルを添加し、1ストリップあたり最大50μA、最大8000Vで96000VHr電気泳動を実施した。
サンプル添加後の操作は極力遮光した条件で実施し、泳動が完了したストリップは二次元目電気泳動まで-80℃で保存した。
(5)二次元目電気泳動
二次元目の電気泳動は、24cm×20cm、1mm厚のドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE、アクリルアミド濃度:12.5%)で実施した。電気泳動が完了したストリップに平衡化緩衝液 A(50mmol/L トリス塩酸、6mol/L 尿素、30%グリセロール、2%SDS、1%ジチオスレイトール、 pH8.8)を加えて15分間振盪し、平衡化緩衝液B(50mmol/L トリス塩酸、6mol/L 尿素、30%グリセロール、2%SDS、2.5%ヨードアセトアミド、 pH8.8)に変更後更に15分間振盪した。平衡化終了後、直ちに二次元目電気泳動を実施した。泳動は10℃、2W/ゲル、遮光状態で、泳動先端がGel下端から5〜10mmの位置まで実施した。
(6)解析
泳動が終了したゲルは泳動槽より取り出した後遮光し、ガラス板に挟んだまま直ちにTyphoon 9400バリアブルイメージアナライザー(蛍光画像解析装置)を用いてCy2、Cy3、Cy5の蛍光イメージの取り込みを行った(励起波長/蛍光波長: Cy2:488nm/520nm, Cy3:532nm/580nm, Cy5:633nm/670nm)。各神経組織につき6枚のゲル(ゲルイメージ数18)を、DeCyder Differential Analysis Softwareでスポットの検出、マッチング、統計解析を行った。正常対照群とSARTストレス負荷対照群ならびにSARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群を比較し、発現量の差が1.5倍以上、t-testでp<0.05であるスポットを選別した。
(7)リン酸化蛋白質の解析
翻訳後修飾の影響について確認するため、蛍光標識試薬(Cy Dye)を用いた全蛋白質の標識とリン酸化蛋白質染色試薬(Pro-Q Diamond)を用いたリン酸化蛋白質の染色を同一ゲルで実施した。サンプル50μgをCy2でラベルし、ラベルしていない450μgのサンプルと混和し上記と同様に二次元電気泳動を実施した。泳動終了後、Cy DyeならびにPro-Q Diamondの退色が起こらないよう遮光下で染色操作を実施した。
ガラス板よりゲルを取り出し固定液(50%メタノール、10%トリクロロ酢酸)に浸し室温で1時間、その後固定液を交換して終夜、更に固定液を交換して1時間静かに振盪して固定した。固定したゲルは二次蒸留水で15分、4回洗浄し、染色液500mLを入れて2時間振盪して染色し、その後脱色液(20%アセトニトリル、50mmol/L酢酸ナトリウム, pH4.0)を入れて30分、3回洗浄した。ゲルはTyphoon 9400バリアブルイメージアナライザーを用いてCy5は励起波長633nm/蛍光波長670nm、Pro-Q Diamondは励起波長532nm/蛍光波長580nmで測定した。
(8)MALDI-TOF/MSを用いた蛋白質の同定
蛋白質量で500μgに相当する組織ホモジネートをサンプルとして添加し、上記と同様に二次元電気泳動を実施した。
ゲル中の全蛋白質の染色はSYPRO Ruby Protein Gel及びBlot Stain kitを用い、プロトコルに従い染色した。泳動が完了したゲルはガラス板より取り出し、固定液(10%メタノール、7%酢酸)500mLに浸し終夜静かに室温で振盪して固定した。固定後染色液500mLを入れ、遮光下で5時間以上静かに室温で振盪し染色した。その後脱色液(10%メタノール、6%酢酸)500mLを入れ、遮光下で1〜2時間静かに室温で振盪して脱色した。ゲルはTyphoon 9400バリアブルイメージアナライザーを用いて励起波長457nm/蛍光波長610nmで測定した。染色後のゲルはBioRad SpotCutterを用いて目的のスポットをピックし、これを解析した。
その結果は次のとおりであった。
(1)pH4-7の範囲における蛋白質発現変動の解析
採取した全ての組織において、pH4-7の範囲での蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動(2D-DIGE)解析を実施した。
(1−1)大脳
解析の結果、正常対照群とSARTストレス負荷対照群ならびにSARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群を比較し、発現量の差が1.5倍以上、t-testでp<0.05であるスポットは見出されなかった。以下、同様の検定基準でスポットの発現量の差を評価した。
(1−2)間脳
正常対照群とSARTストレス負荷対照群ならびにSARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群で発現量に差のあるスポットは見出されなかった。
(1−3)中脳
正常対照群とSARTストレス負荷対照群の比較ではSARTストレス負荷対照群で5個のスポットが増加しており、減少したスポットは見出されなかった。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、被検物質投与群で1個のスポットが増加し、4個のスポットが減少していた。
(1−4)橋
正常対照群とSARTストレス負荷対照群の比較ではSARTストレス負荷対照群で6個のスポットが増加しており、4個のスポットが減少していた。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、被検物質投与群で3個のスポットが増加し、減少したスポットは見出されなかった。
(1−5)延髄
正常対照群とSARTストレス負荷対照群の比較ではSARTストレス負荷対照群で増加したスポットは見られず、1個のスポットが減少していた。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、被検物質投与群で増加したスポットは見られず、1個のスポットが減少していた。
(1−6)小脳
正常対照群とSARTストレス負荷対照群の比較ではSARTストレス負荷対照群で5個のスポットが増加しており、9個のスポットが減少していた。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、発現量に差のあるスポットは見出されなかった。
(1−7)脊髄後角
正常対照群とSARTストレス負荷対照群の比較ではSARTストレス負荷対照群で1個のスポットが増加しており、減少したスポットは見られなかった。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、被検物質投与群で1個のスポットが増加しており、1個のスポットが減少していた。
(1−8)後根神経節
正常対照群とSARTストレス負荷対照群の比較ではSARTストレス負荷対照群で1個のスポットが増加しており、減少したスポットは見られなかった。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、発現量に差のあるスポットは見出されなかった。
これまでの実験で変化が見出されたスポットの数を表1に示した。
Figure 0005836444
(2)狭pH範囲(pH4.5-5.5及びpH5.3-6.5)における蛋白質発現変動の解析
pH4-7の範囲で、複数のスポットの変化が確認できた中脳、橋及び小脳に関して、より狭い範囲(pH4.5-5.5及びpH5.3-6.5)でのDIGEを実施し、pH4-7で得られた結果の再確認と新たなスポットの検出を試みた。
(2−1)中脳
pH4.5-5.5の範囲においては正常対照群とSARTストレス負荷対照群ではSARTストレス負荷対照群で14個のスポットが増加しており、6個のスポットが減少していた。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、1個のスポットが被検物質投与群で増加し、14個のスポットが減少していた。pH5.3-6.5の範囲においては正常対照群とSARTストレス負荷対照群ではSARTストレス負荷対照群で7個のスポットが増加しており、2個のスポットが減少していた。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、2個のスポットが被検物質投与群で増加し、6個のスポットが減少していた。
中脳においてpH4-7の範囲で変動が見られたスポットは1つを除いてpH4.5-5.5及びpH5.3-6.5の範囲においても1.5倍以上有意に変動しており、実験の再現性が確認できた。
(2−2)橋
pH4.5-5.5の範囲においては正常対照群とSARTストレス負荷対照群ならびにSARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群で発現量に差のあるスポットは見出されなかった。pH5.3-6.5の範囲においては正常対照群とSARTストレス負荷対照群ではSARTストレス負荷対照群で1個のスポットが増加しており、1個のスポットが減少していた。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、2個のスポットが被検物質投与群で増加し、1個のスポットが減少していた。
橋においては、pH4-7の範囲で変動が検出できたスポットをpH4.5-5.5及びpH5.3-6.5の範囲において確認することができなかった。
(2−3)小脳
pH4.5-5.5の範囲においては正常対照群とSARTストレス負荷対照群ではSARTストレス負荷対照群で3個のスポットが増加しており、12個のスポットが減少していた。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、2個のスポットが被検物質投与群で増加し、1個のスポットが減少していた。pH5.3-6.5の範囲においては正常対照群とSARTストレス負荷対照群ではSARTストレス負荷対照群で2個のスポットが増加しており、7個のスポットが減少していた。SARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群では、1個のスポットが被検物質投与群で増加し、減少しているスポットは見出されなかった。
小脳においてpH4-7の範囲で変動が見られたスポットは2つを除いてpH4.5-5.5及びpH5.3-6.5の範囲においても1.5倍以上有意に変動しており、実験の再現性が確認できた。
(3)pH6-9の範囲における蛋白質発現変動の解析
pH6-9の範囲での大脳と後根神経節におけるDIGE解析結果は次のとおりであった。
(3−1)大脳
正常対照群とSARTストレス負荷対照群ならびにSARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群で発現量に差のあるスポットは見出されなかった。
(3−2)後根神経節
正常対照群とSARTストレス負荷対照群ならびにSARTストレス負荷対照群とSARTストレス負荷被検物質投与群で発現量に差のあるスポットは見出されなかった。
狭pH範囲及び塩基性pH範囲の実験で変化が見出されたスポットの数を表2に示した。
Figure 0005836444
(4)中脳サンプルのリン酸化解析
プロテオーム解析では翻訳後修飾の影響を見出せる点で他の手法よりも利点があるといわれている。そこで、中脳サンプルで蛋白質のリン酸化について確認を行った。総蛋白質をCy5でプレ標識し、二次元電気泳動後リン酸化している蛋白質をProQ Diamondで染色してそれぞれの蛍光波長でイメージを取得し、蛋白質のリン酸化の有無を確認した。
(5)変動が確認された蛋白質の同定
中脳、橋及び小脳のサンプルについて二次元電気泳動を行い、スポットに関してピックしゲル内消化した後MALDI-TOF/MSで解析した。
上記のとおり、2D-DIGEを用いたプロテオーム解析により、SARTストレス負荷動物においては、中脳、橋、小脳で複数の蛋白質が変動していることが確認された。
プロテオミクス解析の利点としては、遺伝子レベルでは確認できない翻訳後修飾についても確認できる点がある。DIGE解析ではリン酸化、糖化、切断などの翻訳後修飾を受けた蛋白質は別のスポットとして確認できるため、スポットがリン酸化蛋白質であるかの確認をPro-Q Diamond染色を用いて実施した。Cy Dye標識とPro-Q Diamond染色を組み合わせることによって、DIGEで変動が確認できたスポットのリン酸化の有無が確認できた。
変動が確認できた蛋白質のMALDI-TOF/MSによる同定を行った結果、同定できた蛋白質は、CRMP-2、CRMP-4、Munc-18-1、Complexin 1、Complexin 2、Synapsin 2、PGP 9.5 (Protein gene product 9.5)、Alpha-synuclein、Erk2 (MAPK)、Ser/Thr protein kinase PAK2、TOLLIP、Actin related protein 2/3 sub2、Actin related protein 2/3 sub4、Tubulin alpha、Regucalcin (SMP30)、eIF5A、Aldehyde dehydrogenase、Succinyl CoA ligase、Creatine kinase、Citrate synthase、ATP synthase、NSF (N-ethylmaleimide sensitive fusion protein) の22種類であった。表3に、正常対照群の発現量を1としたときのSARTストレス負荷対照群及びSARTストレス負荷被検物質(Drug)投与群における各同定蛋白質のスポットの発現量を示した。
Figure 0005836444
(6)同定された蛋白質の解析
これら同定された蛋白質のうち、中脳においてSARTストレス負荷により変動するが被検物質投与により変動が抑制された、CRMP-2、CRMP-4、Munc-18-1及びNSF、ならびに小脳おいてSARTストレス負荷により変動が認められたComplexin 1/2について、更に詳細に検討を行なった。
(A)CRMP-2の中脳中心灰白質でのmRNA量をrealtime PCRを用いて測定したところ、SARTストレス負荷ならびにSARTストレス負荷被検物質投与によりmRNA量の変化は確認できず、転写段階では影響を受けていない事が示された。そこで、中脳ホモジネートをポリアクリルアミドゲルで電気泳動した後、PVDF膜に転写し、抗CRMP-2抗体を用いて検出したところ、抗CRMP-2抗体で認識されたバンドの濃さには変化が見られず、2次元電気泳動では確認可能な翻訳後修飾などの変化が起きていることが示唆された。このことを確認するため、2次元電気泳動により分離したゲルよりPVDF膜に転写し、抗CRMP-2抗体を用いて検出したところ、2D-DIGEで変動が確認されたスポットよりも高分子量の位置にもCRMP-2のスポットが見出された。この結果より2D-DIGEで変動が確認されたスポットはCRMP-2の一部が切断されて生じた、切断型CRMP-2であることが示唆された。
(B)CRMP-4の中脳中心灰白質でのmRNA量をrealtime PCRを用いて測定したところ、CRMP-4もSARTストレス負荷ならびにSARTストレス負荷被検物質投与によりmRNA量の変化は確認できず、転写段階では影響を受けていない事が示された。そこで、中脳ホモジネートをポリアクリルアミドゲルで電気泳動した後、PVDF膜に転写し、抗CRMP-4抗体を用いて検出したところ、抗CRMP-4抗体で認識されたバンドの濃さには変化が見られず、2次元電気泳動では確認可能な翻訳後修飾などの変化が起きていることが示唆された。このことを確認するため、2次元電気泳動により分離したゲルよりPVDF膜に転写し、抗CRMP-4抗体を用いて検出したところ、2D-DIGEで変動が確認されたスポットとほぼ同じ分子量で、等電点の異なる複数のスポットが検出され、翻訳後修飾の可能性が考えられた。これらのスポットの濃さはSARTストレス負荷により酸性側が減少、塩基性側が増加しており、被検物質投与によりこの変動は抑制されていた。蛋白質の等電点を変動させる翻訳後修飾としてはリン酸化が知られているため、ProQ Diamondで染色したゲルイメージと比較したところ、酸性側のスポットはリン酸化されており、塩基性側のスポットはリン酸化されていないことが分かった。この結果よりSARTストレス負荷によるリン酸化されたCRMP-4の減少が2D-DIGEにより見出された事が示唆された。
(C)Munc-18-1の中脳中心灰白質でのmRNA量をrealtime PCRを用いて測定したところ、Munc-18-1もSARTストレス負荷ならびにSARTストレス負荷被検物質投与によりmRNA量の変化は確認できず、転写段階では影響を受けていない事が示された。そこで、中脳ホモジネートをポリアクリルアミドゲルで電気泳動した後、PVDF膜に転写し、Munc-18-1のアミノ酸58-70を認識する抗体を用いて検出したところ、SARTストレス負荷により新たに抗Munc-18抗体で認識されるバンドが低分子量側に確認され、切断などの翻訳後修飾が起きていることが示唆された。このことを確認するため、2次元電気泳動により分離したゲルよりPVDF膜に転写し、PVDF膜に転写し、抗Munc-18抗体を用いて検出したところ、2D-DIGEで変動が確認されたスポットに加え、高分子量側にも複数のスポットが検出された。更にMunc-18-1のC末端のアミノ酸580-594を認識する抗体で検出を試みたところ、高分子量側の複数のスポットは検出されたが2D-DIGEで変動が確認されたスポットは検出されなかった。これらの結果から、2D-DIGEで見出されたスポットはMunc-18-1からC末端の切断されたものであることが示唆された。また、NSFと同定されたスポットも、NSFのC末端領域(アミノ酸510〜734)に存在するペプチドであり、翻訳後に切断修飾を受けていることが示唆された。
(D)Complexin 1/2については、小脳ホモジネートを2次元電気泳動により分離し、ゲルよりPVDF膜に転写して抗Complexin 1/2抗体を用いて検出したところ、MALDI-TOF/MSでそれぞれComplexin 1、Complexin 2と同定されたスポットだけでなく、ほぼ同じ分子量で等電点が若干酸性側に存在する複数のスポットが検出され、翻訳後修飾の可能性が考えられた。これらのスポットは、2D-DIGEの解析で変動が認められていたもののMALDI-TOF/MSでは同定に至らなかったスポットで、同じ位置に存在するスポットが中脳でも変動していた。中脳ではこれらのスポットの濃さはSARTストレス負荷により酸性側が増加しており、被検物質投与によりこの変動は抑制されていた。この結果よりSARTストレス負荷による翻訳後修飾の変化が2D-DIGEにより見出された事が示唆された。以上の結果を表4にまとめた。
Figure 0005836444
上記のCRMP-2、CRMP-4、 Munc-18-1及びNSFのように発現プロテオーム解析によって変動する蛋白質として同定されたものは、翻訳後に修飾されている場合もある。変動が確認された前述の蛋白質は、翻訳後に修飾されているものもあれば修飾を受けていない蛋白質もある。翻訳後の修飾反応としては、ペプチド鎖の切断、糖鎖や脂肪酸の付加といった不可逆反応と、リン酸化、アセチル化、メチル化、水酸化、カルボキシル化、アデニリル化、ADPリボシル化等の可逆的反応が挙げられる。
(7)同定された蛋白質の生体内機能
見出された蛋白質に関しては公共のデータベースおよび公知の文献より情報を収集した。
CRMP-1、CRMP-2およびCRMP-4は同じCRMPファミリーに属する蛋白質で、それぞれ70%以上のホモロジーがある。CRMP-2は軸索伸長や成長円錐の破壊に関与する蛋白質でリン酸化により軸索伸長が抑制されることが報告されている。今回見出された切断型CRMP-2については、組織採取後に経時的に増加する事や、内側型側頭葉てんかん患者の萎縮した海馬において発現が減少していることが報告されているが、生体内での機能や意義に関しては明らかになっていない。CRMP-4もCRMP-2と同様の機能を有している事が知られているが、その機能制御等についてはまだ知られておらず、リン酸化の報告もない。軸索伸長と痛覚過敏との関連については直接的な報告は無いものの、痛みや温度などで神経ネットワークの変化が生じている可能性が考えられる。
Munc-18-1、Complexin 1、Complexin 2、NSFならびにSynapsin 2 に関しては、神経伝達物質の放出に関与している。神経伝達物質は分泌小胞内に蓄えられており、刺激に反応して細胞膜と融合し放出が起きるが、Munc-18-1、Complexin 1およびComplexin 2は分泌小胞と細胞膜との融合における中心的な蛋白質複合体であるSNARE複合体の形成において重要な役割を果たしていることが知られている。NSFもSNARE複合体に関与する蛋白質として考えられており、細胞内の小胞輸送において広く働いていることが明らかになっている。切断型と思われる低分子量のMunc-18-1に関しては、生体内の機能や意義に関しては明らかになっていないが、これまでに海馬や大脳皮質で存在が観察されている。
PGP 9.5(Protein gene product 9.5、Ubiquitin carboxyl-terminal hydrolase isozyme L1)とalpha synucleinも神経に特異的に発現している事が知られている蛋白質である。PGP 9.5は神経のマーカーとして広く用いられている蛋白質であるが、ユビキチン加水分解酵素活性を持っており、ユビキチン化による神経の損傷を防いでいると考えられており、消失により神経の破壊が生じる事が知られている。また最近、P2X ATP受容体を活性化し、ATP誘導性の電流を増加させる事も報告されている。alpha synucleinはその生理的機能よりもパーキンソン病で凝集することで広く知られている蛋白質で、ドーパミン合成に関与するチロシンリン酸化酵素の活性を抑制したり、ドーパミントランスポーターと結合し、細胞内へのドーパミン流入を減少させたりする事が報告されている。
これらの神経特異的な蛋白質以外にも、シグナル伝達系、細胞形態、蛋白質合成開始、エネルギー産生などに関与する蛋白質も同定された。以上の変動が確認されMALDI-TOF/MSで同定された蛋白質に関する既知の機能について表5にまとめた。
Figure 0005836444
上記蛋白質はSARTストレス負荷動物における疼痛閾値低下等の生理機能異常あるいは線維筋痛症患者の病因である可能性があり、ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物の標的分子である可能性がある。従って、これら蛋白質の変化が被検物質により正常化された場合、該被検物質は線維筋痛症や腰痛症、頸肩腕症候群、症候性神経痛、肩関節周囲炎、変形性関節症、帯状疱疹後神経痛などの疼痛性疾患、RSD等の神経因性疼痛、或いはストレスによる生理機能異常などに対して有効な薬物となる可能性がある。
上記のとおり、本発明方法により、SARTストレス負荷やワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物投与で発現が変動する蛋白質を検出・同定できることが確認できた。従って、本発明は、SARTストレス負荷動物に被検物質を投与した後、その脳組織を発現プロテオーム解析することによって、該被検物質の線維筋痛症に対する作用、鎮痛作用或いは抗ストレス作用等の薬理作用を研究、判定又は評価する方法として有用である。

Claims (8)

  1. 被検物質の鎮痛作用評価する方法であって、SARTストレスを負荷したラット、マウス又はモルモットに被検物質を投与し、該動物の中脳における、翻訳後に修飾されている又は修飾されていないNSF(N-ethylmaleimide sensitive fusion protein)及び/又はTubulin alphaの蛋白質の発現を、該被検物質を投与した場合と投与していない場合で比較し、その変動を指標として、該被検物質の上記作用を評価する方法。
  2. SARTストレスを負荷したラット、マウス又はモルモットの中脳における、翻訳後に修飾されている又は修飾されていないNSF(N-ethylmaleimide sensitive fusion protein)及び/又はTubulin alphaの蛋白質の発現の変動が、被検物質を投与していない場合には有意に増加し、被検物質を投与した場合には該増加した発現が有意に減少するものである請求項1に記載の方法。
  3. SARTストレスを負荷したラット、マウス又はモルモットがラットである請求項1又は2に記載の方法。
  4. 鎮痛作用が線維筋痛症に対する作用である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 被検物質がワクシニアウイルス接種炎症組織抽出物である請求項1乃至のいずれか1項に記載の方法。
  6. 被検物質がワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物である請求項に記載の方法。
  7. 請求項1又は2に記載の方法に用いるSARTストレスを負荷したラット、マウス又はモルモットの使用方法。
  8. 被検物質がワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出物である請求項1又は2に記載の方法に用いるSARTストレスを負荷したラット、マウス又はモルモットの使用方法。
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