JP5835131B2 - 浸漬ノズル - Google Patents
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Description
鋼の連続鋳造工程において、浸漬ノズル内を溶鋼が通過していくと、これに伴い浸漬ノズル内のアルゴンガスが消費される。アルゴンガスの吹込み量を絞っていくと、アルゴンガスの吹込み量と比べて、アルゴンガスの消費量が過剰となって、浸漬ノズル内が負圧となる。内部が負圧となった浸漬ノズルでは、浸漬ノズルとタンディッシュ下ノズルとの嵌合部、および、スライディングノズルと下ノズル間との嵌合部でエアリークが発生し、溶鋼中に巻き込まれる気泡数が増加する。
本実施形態の浸漬ノズル1は、図1に示すように、上部ノズル2、スライディングノズル3、下部ノズル4とともに、分割構造の連続鋳造用ノズル5を構成するものである。
図4および図5に示すように、上記実施形態1の不活性ガス滞留空間9の下部に更に、第2の不活性ガス滞留空間12を形成することもできる。
(1)270トンの極低炭素鋼を転炉−RHで溶製し、タンディッシュ内溶鋼温度を1560〜1580℃とし、垂直曲げタイプの連続鋳造機を用いて、鋳造速度1.0〜2.5m/minで厚さ250mm、幅1000〜2000mmの鋳片を製造した。メニスカス下150mmまでを印加推力110mmFe/mの移動磁界で電磁攪拌しながら鋳造した。
(2)浸漬ノズルは内径90mmφ、外径170mmφで吐出孔径70mmφ、下向き45度の2孔ノズルを使用し、溶鋼中に400mm浸漬させた。浸漬ノズルは上記実施形態1〜3(図2、図4または図5)、図6に示す従来品の何れかを使用した。不活性ガスとしてArを使用し、本発明品では浸漬ノズル内圧力に応じて、また従来品の流量制御方式では2〜5NL/minのArを浸漬ノズル内壁の多孔質体を通して供給した。図2に示す実施形態1では、不活性ガス吹出し内部貫通孔10および外部貫通孔11は不活性ガス導入孔として使用した。図4に示す実施形態2では、上部の不活性ガス吹出し内部貫通孔10および外部貫通孔11を浸漬ノズル内の内圧測定に用い、下部の第2外部貫通孔13および第2の不活性ガス滞留空間12の内壁8を不活性ガス導入孔として使用した。図5に示す実施形態3では、上部の不活性ガス吹出し内部貫通孔10および外部貫通孔11を浸漬ノズル内の内圧測定に用い、下部の第2外部貫通孔13および第2不活性ガス吹出し内部貫通孔14を不活性ガス導入孔として使用した。尚、表1のA7〜A12、B4〜B5、B7は、不活性ガス滞留空間が上と下で合計二つあるものであるが、前記空間の高さは上も下も同じで、表1の値とした。
(3)得られた鋳片を通常の方法で、熱間圧延、酸洗、冷延、焼鈍して自動車用鋼板(板厚0.7〜1.2mm)とし、スリバー発生状況を観察した。
内壁8に不活性ガス吹出し内部貫通孔を有さない多孔質体から形成し、不活性ガス滞留空間9における不活性ガスの圧力が所定値を超えると浸漬ノズル内に不活性ガスを吹き込む構造を採用している点で相違している。
比較例について:
B1は従来タイプの不活性ガス吹出し内部貫通孔を有さない多孔質体からなる内壁で囲まれた不活性ガス滞留空間を2次メニスカスを挟むように上下方に設け、Arガスを吹き込みながら鋳造した場合であり、Arガスを溶鋼中に直接吹き込んだため、アルミナクラスターを伴うAr気泡が鋳片表層に多く捕捉され鋼帯コイルのスリバー欠陥が多くなった。
B2、B3は従来タイプの不活性ガス吹出し内部貫通孔を有さない多孔質体からなる内壁で囲まれた不活性ガス滞留空間を本発明の実施形態1と同一の条件になるように、メニスカス上方に1段配置した場合であるが、内壁の多孔質体の流通抵抗が大きく、ノズル内が負圧となったため、ノズルの接合部からノズル内に空気が巻込まれ、ノズル閉塞が発生するとともに、鋼帯コイルのスリバー品位が悪化した。
B4、B5は、従来タイプの不活性ガス吹出し内部貫通孔を有さない多孔質体からなる不活性ガス滞留空間を本発明の実施形態2または3条件になるように、メニスカス上方に2段配置した場合であるが、この場合も不活性ガス吹出し内部貫通孔を有さない多孔質体の流通抵抗が大きく、内圧測定はできなかった。結果として、Arガス吹込みが不十分でノズル内が負圧となり、ノズルの接合部からノズル内に空気が巻込まれたため、ノズル閉塞が発生するとともに、鋼帯コイルのスリバー品位が悪化した。
B6は、本発明の実施形態1と同様の不活性ガス吹出し内部貫通孔、不活性ガス滞留空間、外部貫通孔を有しているが、内部圧力制御用の不活性ガス吹出し内部貫通孔の大きさを本発明の下限より小さい0.7mmφとした浸漬ノズルを使用した場合である。鋳造中に内部圧力制御用の不活性ガス吹出し内部貫通孔が閉塞し、ノズル内が負圧となったため、ノズルの接合部からノズル内に空気が巻込まれ、ノズル閉塞が発生するとともに、鋼帯コイルのスリバー品位が悪化した。
B7は、本発明の実施形態1と同様の不活性ガス吹出し内部貫通孔、不活性ガス滞留空間、外部貫通孔を有しているが、内部圧力制御用の不活性ガス吹出し内部貫通孔の大きさを本発明の上限より大きい3.5mmφとした浸漬ノズルを使用した場合であるが、鋳造中に内部圧力制御用の不活性ガス吹出し内部貫通孔から溶鋼が侵入し、内圧測定が不能になった。結果として、Arガス吹込みが不十分でノズル内が負圧となり、ノズルの接合部からノズル内に空気が巻込まれたため、ノズル閉塞が発生するとともに、鋼帯コイルのスリバー品位が悪化した。
B8は、本発明の実施形態1と同様の不活性ガス吹出し内部貫通孔、不活性ガス滞留空間、外部貫通孔を有しているが、内部圧力制御用の不活性ガス吹出し内部貫通孔をノズル内部方向へ上向きとした浸漬ノズルを使用した場合であるが、鋳造中に内部圧力制御用の不活性ガス吹出し内部貫通孔を溶鋼が閉塞し、浸漬ノズル内部へのArガス導入が遮断された。その結果、Arガス供給が不十分でノズル内が負圧となり、ノズル閉塞が発生するとともに、鋼帯コイルのスリバー品位が悪化した。
本発明の実施例について:
上記比較例と比較して、本発明の実施例A1〜A12によれば、浸漬ノズル内圧が負圧になることを十分に抑制でき、鋼帯コイルのスリバー品位が大きく改善されることが確認された。
2 上部ノズル
3 スライディングノズル
4 下部ノズル
5 連続鋳造用ノズル
6 ノズル本体
7 外壁
8 内壁
9 不活性ガス滞留空間
10 不活性ガス吹出し内部貫通孔
11 外部貫通孔
12 第2の不活性ガス滞留空間
13 第2外部貫通孔
14 第2不活性ガス吹出し内部貫通孔
15 溶鋼メニスカス
Claims (6)
- ノズル本体に外壁と内壁に囲まれた不活性ガス滞留空間を形成し、該不活性ガス滞留空間からノズル内に向けて不活性ガスを吹出す不活性ガス吹出し内部貫通孔を有する浸漬ノズルであって、
該不活性ガス滞留空間は、浸漬ノズルの上端から30mm以上下方、かつ、連続鋳造時の鋳型内の湯面高さ位置から30mm以上上方に形成され、
該不活性ガス滞留空間に囲まれた内壁には、該不活性ガス滞留空間に向けて貫通させた口径1〜3mmφの不活性ガス吹出し内部貫通孔を複数備え、
該不活性ガス滞留空間を囲む外壁には、該不活性ガス滞留空間に向けて貫通させた口径3mmφ超の外部貫通孔を備え、
外部貫通孔の総断面積(SOUT)>不活性ガス吹出し内部貫通孔の総断面積(SIN)
とし、
不活性ガス吹出し内部貫通孔のガス吹出し角度を、水平〜下向き45°としたことを特徴とする浸漬ノズル。 - 外部貫通孔は、外壁に一個、
不活性ガス吹出し内部貫通孔は、内壁の高さ方向および円周方向に複数個、各々配置し、下記数1を満足することを特徴とする請求項1記載の浸漬ノズル。
- 不活性ガス滞留空間は、50mm以上の高さを有することを特徴とする請求項1または2記載の浸漬ノズル。
- 該不活性ガス滞留空間と、該不活性ガス滞留空間を囲む外壁と内壁は、同心円状に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の浸漬ノズル。
- 該不活性ガス滞留空間の下部に更に、第2の不活性ガス滞留空間を形成し、
該第2の不活性ガス滞留空間は、上側の不活性ガス滞留空間の下端から20mm以上下方、かつ、連続鋳造時の鋳型内の湯面高さ位置から30mm以上上方に形成され、
該第2の不活性ガス滞留空間に囲まれた内壁は、第2の不活性ガス滞留空間における不活性ガスの圧力が所定値を超えると浸漬ノズル内に不活性ガスを吹き込む多孔質体からなり、
該第2の不活性ガス滞留空間を囲む外壁には、該不活性ガス滞留空間に向けて貫通させた口径3mmφ超の第2外部貫通孔を備える
ことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の浸漬ノズル。 - 該不活性ガス滞留空間の下部に更に、第2の不活性ガス滞留空間を形成し、
該第2の不活性ガス滞留空間は、上側の不活性ガス滞留空間の下端から20mm以上下方、かつ、連続鋳造時の鋳型内の湯面高さ位置から30mm以上上方に形成され、
該第2の不活性ガス滞留空間に囲まれた内壁には、該不活性ガス滞留空間に向けて貫通させた口径1〜3mmφの第2不活性ガス吹出し内部貫通孔を複数備え、
該第2の不活性ガス滞留空間を囲む外壁には、該不活性ガス滞留空間に向けて貫通させた口径3mmφ超の第2外部貫通孔を備え、
第2外部貫通孔の総断面積(SOUT)>第2不活性ガス吹出し内部貫通孔の総断面積(SIN)
としたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の浸漬ノズル。
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2012
- 2012-07-05 JP JP2012151106A patent/JP5835131B2/ja active Active
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