JP5834272B2 - 汚染土の除染方法 - Google Patents

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Description

本発明は、放射性物質、特に放射性セシウムで汚染された汚染土の除染方法に関する。
2011年3月11日に発生した福島原子力発電所における原子力発電装置の水素爆発、圧力容器のベントの開放により多量のセシウム137、ヨウ素131等の放射性物質が大気中に放出された後に拡散されて、雨水等により広域に土壌が汚染された。特に地表層が半減期30.2年の放射性セシウム137により汚染されている。この汚染によりこの地域の住民は長期間被爆するおそれがあり、放射性物質に汚染された土壌の早期の徐染が望まれている。
放射性セシウム137は、ウラン235に熱中性子を照射したときに核分裂によって、生成し、その半減期は前記の通り30.2年と非常に長い。セシウムは、周期律表の1族に属するアルカリ金属元素Li、Na、K、Rb、Frの仲間で、1価の陽イオンとなり、反応性に富みハロゲン族元素や酸素と強く結合する。アルカリ金属元素の融点と沸点は相対的に低く、揮発性である。セシウムの融点は28.5℃で沸点は671℃である。放射性セシウムの同位体としてセシウム135も上記核分裂で生成されるが放射能レベルは低くあまり問題にはならない。
尚、ヨウ素131も上記核分裂によって生成するが、半減期は8.02日と短い(非特許文献1)。従って、放射性物質で汚染された汚染土からセシウム137を除去する必要性は高い。
セシウム137と、ヨウ素131等の放射性物質が大気中に放出されると、大気中に微小な粒子として、また空気中に浮遊しているエアロゾルに吸着して浮遊し、降雨時に地表に降りそそがれる。エアロゾルは生成過程の相違から粉じん、フューム、ミスト、ばいじんなど、また気象学的には視程や色の違いから霧、もや、煙霧、スモッグと呼ばれることもある。エアロゾルは大気中には極微量にしか存在しない(非特許文献2)。
放射性セシウム、又はエアロゾルに吸着された放射性セシウムは土壌表面に吸着され易く、揮発性の有機化合物、放射性のストロンチウム等と比較して、汚染は土壌深部には広がりにくいと考えられている。
特許文献1には、種々の汚染物質、例えば重金属、放射性物質及び有機物で汚染されている土壌のような粒状物を、溶脱、洗浄、アトリション研磨、向流方式により粒径の差に従って行う分離(サイズ差分離)及び密度の差による分離(以下、「密度差分離」ともいう。)を併用してクリーニングするための方法及び装置が開示されている。
しかし、汚染土壌を水洗後分級により汚染物質を取り除いているがスラリーの溶液中に溶けているセシウムは除去することが困難である。また最終の汚染物質を溶液から分離するにあたり汚染物質がコロイド状である場合、濾過をしたり、造粒にするには困難を伴い、経済性に欠けるという問題点がある。
特許文献2には、汚染土壌をふるい分け、これと液体でスラリーを形成し、該スラリーを洗浄して大径粒子の表面から微粒子を洗い落とし、向流状態の液体を利用してスラリー中の大径粒子から微粒子を分粒し、それにより微粒子を廃棄物の一部として液体に同伴させ、微粒子からデブリ(屑片)を除去して汚染微粒子流を生じさせ、密度分離器、常磁性分離器又はこれらの併用により、汚染微粒子流から金属、金属化合物及び/又は放射性汚染要因物を分離する方法が開示されている。
しかし、放射性物質を洗い落とし段階で、グリズリ、ドラムウッシャ、分級機、フロス浮選機、アトリクションスクラバ、あるいはこれらの組み合わせ使用可能であることが記載されているが、具体的な説明はなされていない。
放射性セシウム137等の放射性物質で汚染された土壌を早期に、操作が複雑でなく、エネルギー消費が少なく、徐染して早期に元の自然状態の放射能濃度に戻すことが求められている。
しかしながら、放射性セシウム137で汚染された汚染土を除染して、放射性セシウムの除染率が高く、かつ高い回収率の除染土を得る方法は知られていない。
特開平6−343948号公報 特開平7−185513号公報
放射能のはなし 野口邦和著、新日本出版、2011年5月30日発行 「エアロゾルの大気環境影響」笠原三紀夫、東野達編集、京都大学学術出版会発行、2007年2月20日発行、1〜8頁
本発明は、上記課題を解決して、操作が比較的容易で連続プロセスの採用が可能であり、除染土としての回収率が高く、かつ除染土中の放射性セシウムの除去率の高い、汚染土の除染方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記実情に鑑み鋭意検討した結果、少なくともアトリッション工程、分級工程、及び浮選工程をこの順に組み合わせることにより、放射性セシウムで汚染された汚染土を効率よく除染することが可能になり、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(1)に記載の発明を要旨とする。
(1)放射性セシウムで汚染された汚染土(S)から放射性セシウムを除去する、汚染土の除染方法であって、
(i)汚染土(S)に水もしくは酸性水溶液を添加して得た、汚染土(S)のスラリーを磨砕機(AT)の供給口に供給して、半自生・自生湿式磨砕によって汚染土(S)の粒子表面を磨砕して該表面から放射性セシウムが付着している微粒子を削り取り、磨砕機(AT)の吐出口から磨砕土のスラリー(B)を取り出す、もしくは磨砕機(AT)の吐出口から排出された磨砕土をスクリーン(SC)で礫(G1)を取り除いた後に磨砕土のスラリー(B)を取り出す、
又は、汚染土(S)を磨砕機(AT)の供給口に供給して、半自生・自生乾式磨砕によって汚染土(S)の粒子表面を磨砕して該表面から放射性セシウムが付着している微粒子を削り取り、磨砕機(AT)の吐出口から排出される磨砕土を水もしくは酸性水溶液と混合して磨砕土のスラリー(B)を取り出す、もしくは磨砕機(AT)の吐出口から排出された磨砕土と水もしくは酸性水溶液を混合しスクリーン(SC)で礫(G1)を取り除いた後に磨砕土のスラリー(B)を取り出す、アトリッション工程(工程1)
(ii)前記磨砕土のスラリー(B)を、液体サイクロン(CY)に連続的に供給して、放射性セシウムが濃縮された微粒子状の汚染土のスラリー(B1)を該装置(CY)からオーバーフローさせる一方、放射性セシウム濃度が低減された、前記汚染土より粒径の大きい粒子状の除染土のスラリー(B2)を該装置(CY)からアンダーフローさせて分級する分級工程(工程2)、
(iii)前記微粒子状の汚染土のスラリー(B1)に、少なくとも捕収剤(C1)を含む浮選剤(C)を添加して浮選機(FL)に供給すると共に、浮選機(FL)の下部から気泡を供給することにより、浮選機(FL)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U)を浮上回収する一方、下部からアンダーフロー水(W1)を回収する、浮選工程(工程3)、
を含む、ことを特徴とする汚染土の除染方法。
(2)前記アトリッション工程(工程1)と分級工程(工程2)間、及び/又は分級工程(工程2)と浮選工程(工程3)間に中間タンク(TN)を設けて、アトリッション工程(工程1)、分級工程(工程2)、及び浮選工程(工程3)から選択される1又は2以上の工程を連続運転する、ことを特徴とする(1)に記載の汚染土の除染方法。
(3)前記工程1のアトリッション工程において、磨砕土のスラリー(B)中の磨砕土濃度が5〜30質量%である、ことを特徴とする(1)又は(2)に記載の汚染土の除染方法。
(4)前記工程1のアトリッション工程において、酸性水溶液を添加した場合のスラリーのpHが0〜6.5である、ことを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
(5)前記磨砕機(AT)において、汚染土(S)又は磨砕土のスラリーが流通する部分の外形形状が円筒状であり、当該部分の内面壁に磨砕効果を高めるための突起物が設けられている、ことを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
(6)前記工程2の分級工程において、液体サイクロンの磨砕土の分級点が30μmであることを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
(7)前記工程2の分級工程において、液体サイクロン(CY)からアンダーフローさせた除染土のスラリー(B2)を脱水・ろ過器(DH1)で脱水した後、除染土(G2)を回収すると共に、ろ過水(W2)を液体サイクロン(CY)からオーバーフローしたスラリー中にリサイクルするか、又はアトリッション工程(工程1)における磨砕機(AT)もしくはスクリーン(SC)にリサイクルする、ことを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
(8)前記工程3の浮選工程において、使用される捕収剤(C1)が炭素原子数6〜20の高級アルキルアミンから製造されるアルキルアミン塩型カチオン界面活性剤、炭素数6〜18の第四級アルキルアンモニウム塩型カチオン界面活性剤、炭素数6〜20のアルキル硫酸エステルの塩、炭素数6〜20の脂肪酸アルカリ金属塩、炭素数6〜20のアルキルベンゼンスルホン酸塩、及び炭素数6〜20のアルキルスルホン酸塩から選択される1種又は2種以上である、ことを特徴とする(1)から(7)のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
(9)前記工程3の浮選工程において、(i)捕収剤(C1)が前記炭素原子数6〜20のアルキルアミン塩カチオン界面活性剤でかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が酸性域(pH0〜6)、(ii)捕収剤(C1)が前記炭素原子数6〜20の脂肪酸アルカリ金属塩でありかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が中性〜アルカリ性域(pH6〜12)、(iii)捕収剤(C1)が前記炭素数6〜20のアルキルベンゼンスルホン酸塩でありかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が強酸性〜酸性域(pH3以下)、又は(iv)捕収剤(C1)が炭素数6〜20のアルキルスルホン酸塩でありかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が強酸性〜酸性域(pH3以下)である、ことを特徴とする(8)に記載の汚染土の除染方法。
(10)前記工程3の浮選工程において、浮選剤(C)に捕収剤(C1)と、pH調整剤(C2)、吸着剤(C3)、及び共沈剤(C4)から選択される1種又は2種以上とが含まれる、ことを特徴とする(1)から(9)のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
(11)前記工程3の浮選工程において、使用される吸着剤(C3)がゼオライト微粉末、ベントナイト微粉末、及びカオリン微粉末から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする(10)に記載の汚染土の除染方法。
(12)前記工程3の浮選工程において、使用される共沈剤(C4)がフェロシアン化鉄、フェロシアン化銅、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化コバルト、水酸化第2鉄、塩化第2鉄、硫酸第2鉄、水酸化コバルト、及びリン酸カルシュウムから選択される1種又は2種以上である、ことを特徴とする(10)又は(11)に記載の汚染土の除染方法。
(13)前記工程3の浮選工程において、浮選剤(C)として、捕収剤(C1)、pH調整剤(C2)、及び吸着剤(C3)を使用する、ことを特徴とする(10)又は(11)に記載の汚染土の除染方法。
(14)前記工程3の浮選工程において、浮選機(FL)の下部に供給される気泡がマイクロバブルである、ことを特徴とする(1)から(13)のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
(15)前記工程3の浮選工程において、浮選機(FL)の上部から浮上物(U)を浮上回収した後、脱水ろ過器(DH2)で脱水した固形物を低レベル放射性物質(R)として保管し、該脱水により生成したろ過水(W3)はアトリッション工程(工程1)における磨砕機(AT)、又はスクリーン(SC)にリサイクルする、ことを特徴とする(1)から(14)のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
(16)前記工程3の浮選工程において、浮選機(FL)の下部から取り出されたアンダーフロー水(W1)をアトリッション工程(工程1)における磨砕機(AT)、又はスクリーン(SC)にリサイクルする、ことを特徴とする(1)から(15)のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
(17)前記アトリッション工程(工程1)において汚染土(S)のスラリーを汚染土(S)に酸水溶液を添加もしくは酸水溶液で洗浄により得るか、
又は前記工程2で得られる前記微粒子状の汚染土のスラリー(B1)に更に酸水溶液を添加撹拌して磨砕土に付着している放射性セシウムを水溶液中に溶解後、
工程3の浮選工程において、浮選機(FL)に捕収剤(C1)、もしくは捕収剤(C1)とpH調整剤(C2)を添加して、浮選機(FL)の上部から浮上物(U)を浮上回収する一方、下部から放射性セシウムを含むアンダーフロー水(W1)を回収し、
更に、アンダーフロー水(W1)に少なくとも吸着剤(C3)又は共沈剤(C4)を添加して第2の浮選機(FL2)に供給する一方、該浮選機(FL2)の下部から気泡を供給することにより、浮選機(FL)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U2)を浮上回収する一方、下部から放射性セシウムが除去されたアンダーフロー水を回収する、ことを特徴とする(1)に記載の汚染土の除染方法。
本発明の汚染土の除染方法は、砂土と称される20μm以上の大きさの粗砂・細砂を大量に含む、放射性セシウムで汚染された汚染土壌の除染に極めて有効である。
また、本発明の汚染土の除染方法により、上記汚染土壌を除染して95%以上の除染土の回収が可能となり、かつ該回収土の放射性セシウムの除去率を95%以上として、埋め戻しが可能である。
更に、本発明の汚染土の除染方法を採用するプロセスは、鉱山で培った技術を利用し、用いる薬剤や交換部品のメンテナンスの費用を最大限抑制(低コスト化)することにより、省スペース化、省資源・省エネルギー化、無人化、及び連続化が可能である。
本発明の汚染土の除染方法において、アトリッション工程(工程1)で湿式磨砕を採用した場合のプロセスフロー概念図である。 本発明の汚染土の除染方法において、アトリッション工程(工程1)で乾式磨砕を採用した場合のプロセスフロー概念図である。 本願明細書の実施例で使用した液体サイクロン断面の概念図である。 本願明細書の実施例で使用した浮選機断面の概念図である。
本発明の汚染土の除染方法は、放射性セシウムで汚染された汚染土(S)から放射性セシウムを除去する、汚染土の除染方法であって、
(i)汚染土(S)に水もしくは酸性水溶液を添加して得た、汚染土(S)のスラリーを磨砕機(AT)の供給口に供給して、汚染土(S)の粒子表面を磨砕すると共に、該表面から放射性セシウムが付着している微粒子を削り取る半自生・自生湿式磨砕して、磨砕機(AT)の吐出口から磨砕土のスラリー(B)を取り出す、もしくは磨砕機(AT)の吐出口から排出された磨砕土をスクリーン(SC)で礫(G1)を取り除いた後に磨砕土のスラリー(B)を取り出す、
又は、汚染土(S)を磨砕機(AT)の供給口に供給して、汚染土(S)の粒子表面を磨砕すると共に、該表面から放射性セシウムが付着している微粒子を削り取る半自生・自生乾式磨砕して、磨砕機(AT)の吐出口から排出される磨砕土を水もしくは酸性水溶液で洗浄して磨砕土のスラリー(B)を取り出す、もしくは磨砕機(AT)の吐出口から排出された磨砕土をスクリーン(SC)で水もしくは酸性水溶液で洗浄して礫(G1)を取り除いた後に磨砕土のスラリー(B)を取り出す、
アトリッション工程(工程1)
(ii)前記磨砕土のスラリー(B)を、液体サイクロン(CY)に連続的に供給して、放射性セシウムが濃縮された微粒子状の汚染土のスラリー(B1)を該装置(CY)からオーバーフローさせる一方、放射性セシウム濃度が低減された、前記微粒子より粒径の大きい粒子状の除染土のスラリー(B2)を該装置(CY)からアンダーフローさせて分級する分級工程(工程2)、
(iii)前記汚染土のスラリー(B1)に、少なくとも捕収剤(C1)を含む浮選剤(C)を添加して浮選機(FL)に供給すると共に、浮選機(FL)の下部から気泡を供給することにより、浮選機(FL)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U)を浮上回収する一方、下部からアンダーフロー水(W1)を回収する、浮選工程(工程3)、
を含む、ことを特徴とする。
本発明の汚染土の除染方法を図1、2を用いて説明する。尚、図1、2は本発明の汚染土の除染方法の例示であり、本発明は図1、2に示す例示に限定されるものではない。
(イ)アトリッション工程(工程1)で湿式磨砕を採用したプロセスフロー
図1は、本発明の汚染土(S)の除染方法において、アトリッション工程(工程1)で湿式磨砕を採用した場合のプロセスフロー概念図である。
放射性セシウムで汚染された汚染土(S)に水又は酸性水溶液(W)を添加して得られたスラリーをアトリッション工程(工程1)において、ホッパー1から磨砕機(AT)2に供給して湿式磨砕した後に、礫が含まれる場合にはスクリーン(SC)3で除染された礫(G1)を除去して、放射性セシウムが含まれているスラリー(B)を得る。該スラリー(B)は一旦、中間タンク(TN1)4に貯蔵されるか、又は直接分級工程(工程2)に供給する。
次に、分級工程(工程2)において、スラリー(B)は液体サイクロン(CY)5に供給され、分級された放射性セシウム濃度が低下した土粗粒子のスラリーはアンダーフローとして回収し、脱水・ろ過器(DH1)6で固液分離を行い、除染土(G2)は回収して埋め戻しを行い、前記固液分離で生じたろ過水(W2)は汚染土のスラリー(B1)中にリサイクルすることができる。一方、液体サイクロン(CY)5で分級された放射性セシウムを含む汚染土のスラリー(B1)はオーバーフローとして、中間タンク(TN2)(図示せず)に一旦貯蔵されるか、次の微粒子の浮選工程(工程3)に直接供給される。
浮選工程(工程3)において、汚染土のスラリー(B1)に浮選剤(C)を添加して浮選機(FL)7の上部側に供給すると共に、浮選機(FL)7の下部から気泡を連続的に供給して、浮選機(FL)7の上部から浮上物(U)を浮上回収する一方、下部からアンダーフロー水(W1)を回収する。該アンダーフロー水(W1)は、アトリッション工程(工程1)の水又は酸性水溶液(W)としてリサイクルすることができる。浮上物(U)は、脱水・脱水器(DH2)8で脱水されて低レベル放射性廃棄物として保管される一方、該脱水で生じたろ過水(W3)はアンダーフロー水(W1)と共にアトリッション工程(工程1)の水又は酸性水溶液(W)としてリサイクルすることができる。
(ロ)アトリッション工程(工程1)で乾式磨砕を採用したプロセスフロー
図2は、本発明の汚染土(S)の除染方法において、アトリッション工程(工程1)で乾式磨砕を採用した場合のプロセスフロー概念図である。
放射性セシウムで汚染された汚染土(S)をアトリッション工程(工程1)において、ホッパー1から磨砕機(AT)2に供給して乾式で磨砕した後に、スクリーン(SC)3で磨砕土の上部側から水又は酸性水溶液(W)を散水して、礫が含まれる場合には除染された礫(G1)を除去して、放射性セシウムが含まれるスラリー(B)を得る。該スラリー(B)は一旦、中間タンク(TN1)4に貯蔵されるか、又は直接分級工程(工程2)に供給する。
次に、分級工程(工程2)において、スラリー(B)は液体サイクロン(CY)5に供給され、分級された放射性セシウム濃度が低下した除染土のスラリー(B2)はアンダーフローとして回収し、脱水・ろ過器(DH1)6で固液分離を行い、除染土は回収して埋め戻しを行い、前記固液分離で生じたろ過水(W2)は汚染土のスラリー(B1)中にリサイクルすることができる。一方、液体サイクロン(CY)5で分級された放射性セシウムを含む汚染土のスラリー(B1)はオーバーフローとして、中間タンク(TN2)(図示せず)に一旦貯蔵されるか、次の微粒子の浮選工程(工程3)にリサイクルすることができる。
浮選工程(工程3)において、汚染土のスラリー(B1)に浮選剤(C)を添加して浮選機(FL)7の上部側に供給すると共に、浮選機(FL)7の下部から気泡を連続的に供給して、浮選機(FL)7の上部から浮上物(U)を浮上回収する一方、下部からアンダーフロー水(W1)を回収する。該アンダーフロー水(W1)は、アトリッション工程(工程1)の水又は酸性水溶液(W)にリサイクルすることができる。浮上物(U)は、脱水・ろ過器(DH2)8で脱水されて低レベル放射性廃棄物として保管される一方、該脱水で生じたろ過水(W3)はアンダーフロー水(W1)と共にアトリッション工程(工程1)の水又は酸性水溶液(W)にリサイクルすることができる。
尚、前記アトリッション工程(工程1)と分級工程(工程2)間に中間タンク(TN1)、及び/又は分級工程(工程2)と浮選工程(工程3)間に中間タンク(TN2)を設けて、アトリッション工程(工程1)、分級工程(工程2)、及び浮選工程(工程3)から選択される1又は2以上の工程を連続運転するが可能である。
以下に、本発明の汚染土の除染方法を詳述する。
(1)汚染土
汚染土は、微量の放射性物質で汚染された農地(田、畑)、住宅、公園、グランドなどの表土であり、放射性セシウムで汚染された細砂・粗砂、粘土等の細粒を含む土である。本発明の汚染土の除染方法において、除染の対象となる汚染土としては木片を除く、粒径が5cm程度以下の小石等の礫と、2μmオーダーの微粒子も含む、砂および粘土で構成されており、粘土が12.5%以下の砂土、比較的粘土を多い、粘土含有量:12.5〜25質量%の砂壌土、及びより粘土を多く含む(粘土含有量:25〜37.5質量%)を含む壌土に分類される土である。
(2)アトリッション工程(工程1)
アトリッション工程(工程1)では、汚染土(S)の粒子表面を磨砕する際に、半自生・自生湿式磨砕と、半自生・自生乾式磨砕をそれぞれ採用することが可能である。
(イ)半自生・自生湿式磨砕
汚 染土(S)に水もしくは酸性水溶液を添加して得た、汚染土(S)のスラリーを磨砕機(AT)の供給口に供給して、汚染土(S)の粒子表面を磨砕すると共に、該表面から放射性セシウムが付着している微粒子を削り取る半自生・自生湿式磨砕して、磨砕機(AT)の吐出口から磨砕土のスラリー(B)を取り出す。尚、磨砕土の中に粒径が5mmφ程度以上の礫が含まれている場合にはスクリーン(SC)で礫(G1)を取り除いた後に磨砕土のスラリー(B)を取り出す。
前記スラリー中で汚染土(S)の粒子表面を磨砕する際に、汚染土(S)粒子表面に付着している放射性セシウムが削り取られづらい場合には、スラリーを形成する際に水の代わりにpHが0〜6の酸性水溶液を使用することが望ましい。前記の通り放射性セシウムはアルカリ金属元素に属しているので酸性化合物との親和性により、酸性化合物の存在下ではより削り取られ易くなると考えられる。
汚染土(S)に水又は酸性水溶液を添加して得られるスラリー中の汚染土(S)濃度は5〜30質量%が好ましい。該濃度が前記範囲の下限未満であると液体サイクロン(CY)において分級に不都合を生ずるおそれがあり、一方、前記範囲の上限を超えると汚染水が増加することと、汚染土(S)の除染処理量が低下するおそれがある。
上記酸性水溶液のメイクアップに使用される酸は特に限定されず、主に経済性の観点から塩酸、硫酸等の使用が好ましい。
磨砕機(AT)の外形、内部構造、及び配置方法について、スラリー中で汚染土(S)粒子表面に付着している放射性セシウムが削り取られ易い構造であれば特に限定されるものではないが、実用的には汚染土(S)と磨砕土のスラリーが流通する部分の磨砕機(AT)の外形形状が円筒状であり、該円筒形状物内面壁に磨砕効果を高めるための突起物が設けられている構造が好ましい。
本発明において、前記半自生・自生湿式磨砕における「自生磨砕」は磨砕機(AT)内に磨砕を向上するための粉砕メディア(鋼球・セラミック球等)を特に添加せずに汚染土(S)同士で磨砕する方式をいい、「半自生磨砕」は磨砕を向上するために粉砕メディア(鋼球・セラミック球等)を内部に投入して磨砕することを意味する。汚染土(S)に礫が含まれる場合にはこの礫がボールミルにおけるボールの役割をはたす場合が多いので、実質的には半自生磨砕と同様になる。
尚、汚染土(S)表面に付着している放射性セシウムを効率よく削り取るための、磨砕機(AT)内の好ましい滞留時間は、処理する汚染土(S)、汚染土(S)表面への放射性セシウムの付着状態にもよるのが、30秒〜6分秒程度が好ましい。
磨砕機(AT)で磨砕された磨砕土のスラリー、又は礫が含まれる場合にスクリーン(SC)で粒径が5mm程度以上の礫(G1)が除かれた磨砕土のスラリー(B)は一旦、中間タンク(TK1)に貯蔵されるか、又は直接液体サイクロン(CY)に供給される。
スクリーン(SC)としては、土壌汚染、建設汚泥、浚渫汚泥、残土、建設混合廃棄物等の選別に使用されているトロンメル(Trommel)を使用することが望ましい。トロンメルは、円筒状の金網が円周方向に円回転しているので礫は該円筒形状の金網内部側から押し出され、礫が除去された磨砕土のスラリー(B)は該円筒形状の金網の外部側から回収される。
(ロ)半自生・自生乾式磨砕
汚染土(S)を磨砕機(AT)の供給口に供給して、汚染土(S)の粒子表面を磨砕すると共に、該表面から放射性セシウムが付着している微粒子を削り取る半自生・自生乾式磨砕して、磨砕機(AT)の吐出口から排出される磨砕土を水もしくは酸性水溶液(W)で洗浄して磨砕土のスラリー(B)を取り出す、又は磨砕機(AT)の吐出口から排出された磨砕土をスクリーン(SC)で水もしくは酸性水溶液(W)で洗浄して粒径が5mm以上の礫(G1)を取り除いた後に磨砕土のスラリー(B)を取り出す。
半自生・自生乾式磨砕は、磨砕機(AT)にスラリーではなく、汚染土(S)を直接供給する点で半自生・自生湿式磨砕とは異なる。前記磨砕土のスラリー(B)は、一旦、中間タンク(TK1)に貯蔵されるか、又は直接液体サイクロン(CY)にスラリーポンプ等を用いて供給される。
スクリーン(SC)としては、トロンメルの使用が好ましくで、トロンメル入口側にウォッシャー部が設けられたトロンメルを使用することが望ましい。該ウォッシャー部から前記水又は酸性水溶液(W)をシャワー状に流すことにより礫に付着している放射性セシウムを洗い流すことができる。
(ハ)中間タンク(TK1)
スクリーン(SC)から排出された磨砕土のスラリー(B)は、一旦、中間タンク(TK1)に貯蔵されることが望ましい。中間タンク(TK1)を設けることにより、液体サイクロン(CY)に供給される磨砕土のスラリー(B)の量を制御できるので液体サイクロン(CY)での分級を効率よく行うことが可能になる。尚、スラリータンク(TK1)内には撹拌機を設けて、内部のスラリー濃度を均一することが望ましい。
(3)分級工程(工程2)
分級工程(工程2)は、前記磨砕土のスラリー(B)を、液体サイクロン(CY)に供給して、放射性セシウムの付着が多い微粒子状の汚染土のスラリー(B1)を該装置(CY)からオーバーフローさせる一方、放射性セシウムの付着が少ない、前記微粒子より粒径の大きい粒子状の除染土のスラリー(B2)を該装置(CY)からアンダーフローさせて連続的に分級する工程である。
磨砕土のスラリー(B)を漏斗状または円筒の液体サイクロン(CY)の円周方向から液体の流速により渦を描く様に流し込むと、放射性セシウムの付着が多い微粒子状の汚染土のスラリー(B1)の排出方向は液体サイクロン(CY)の円の中心から上方向に排出する。一方、放射性セシウムの付着が少ない、前記微粒子より粒径の大きい粒子状の除染土のスラリー(B2)は、遠心分離され、壁面に衝突しその後重力により落下して、下部に溜まる。下に溜った除染土のスラリー(B2)は、断続的又は連続的に取り出される。除染土のスラリー(B2)は、必要に応じて脱水・ろ過器(DH2)されて、固形物は除染土(G2)として回収され、ろ過水(W2)は汚染土のスラリー(B1)中にリサイクルすることができる。
汚染土のスラリー(B1)中の放射性セシウムが付着している微粒子の粒子径は一般に2μm程度のものが最も多いが、分級点は汚染土(S)の種類と、アトリッション工程(工程1)における磨砕の程度にもよるので一概に決定することはできないが、実験の結果から分級点を例えば30μm程度とすることが好ましい。分級点を30μm程度とする場合には、粒径が30μm程度以下の汚染土のスラリー(B1)を該装置(CY)からオーバーフローさせる一方、粒径が30μm程度以上の除染土(B2)を該装置(CY)からアンダーフローさせて分級することになる。
汚染土のスラリー(B1)は一旦、中間タンク(TN2)に貯蔵するか、次の浮選工程に供給することができる。
液体サイクロン(CY)からアンダーフローさせた除染土のスラリー(B2)は脱水・ろ過器(DH1)で脱水した後、除染土(G2)を回収すると共に、ろ過水(W2)は液体サイクロン(CY)からオーバーフローした汚染土のスラリー(B1)中にリサイクルするか、又はアトリッション工程(工程1)における水又は酸性水溶液(W)にリサイクルすることができる。
(4)浮選工程(工程3)
浮選工程(工程3)は、前記汚染土のスラリー(B1)に、少なくとも捕収剤(C1)を含む浮選剤(C)を添加して浮選機(FL)に供給すると共に、浮選機(FL)の下部から気泡を供給することにより、浮選機(FL)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U)を浮上回収する一方、下部からアンダーフロー水(W1)を回収する工程である。
浮選工程は、汚染土のスラリー(B1)に空気の気泡を導入すると、疎水性表面を有する汚染土微粒子は導入空気により生じた泡沫に付着して浮上する浮選(泡沫浮上法、または浮遊選法ともよばれる)を利用して、汚染土のスラリー(B1)から放射性セシウムが吸着等している固体の浮上物(U)と、アンダーフロー水(W1)に固液分離する工程である。
前記アンダーフロー水(W1)はアトリッション工程(工程1)における、水又は酸性水溶液(W)にリサイクルすることができる。
(4−1)浮選剤(C)
本発明の浮選工程(工程3)において使用する浮選剤(C)に、少なくとも捕収剤(C1)と、pH調整剤(C2)、吸着剤(C3)、及び共沈剤(C4)から選択される1種又は2種以上とが含まれるようにすると、浮選手段により固液分離を効率よく行うことが可能になる。
(イ)捕収剤(C1)
汚染土のスラリー(B1)のうち、疎水性表面を有する微粒子は導入空気により生じた泡沫に付着して浮上するが、親水性表面を有する微粒子は泡沫に付着しづらく浮上しないので、捕収剤(C1)(scavenger)を添加することにより、親水性表面を有する微粒子をも泡沫に付着し易くして浮上させることができる。
本発明の浮選工程(工程3)において、使用される捕収剤(C1)として、炭素原子数6〜20の高級アルキルアミンから製造されるアルキルアミン塩型カチオン界面活性剤、炭素数6〜18の第四級アルキルアンモニウム塩型カチオン界面活性剤、炭素数6〜20のアルキル硫酸エステルの塩、炭素数6〜20の脂肪酸アルカリ金属塩、炭素数6〜20のアルキルベンゼンスルホン酸塩、及び炭素数6〜20のアルキルスルホン酸塩から選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
前記捕収剤(C1)は汚染土のスラリー(B1)のpHの範囲に好ましい範囲があり、(i)捕収剤(C1)が前記炭素原子数6〜20のアルキルアミン塩カチオン界面活性剤の場合には浮選機(FL)内のスラリー水溶液が酸性域(pH0〜6)、(ii)捕収剤(C1)が前記炭素原子数6〜20の脂肪酸アルカリ金属塩の場合には浮選機(FL)内のスラリー水溶液が中性〜アルカリ性域(pH6〜12)、(iii)捕収剤(C1)が前記炭素数6〜20のアルキルベンゼンスルホン酸塩の場合には浮選機(FL)内のスラリー水溶液が強酸性〜酸性域(pH3以下)、又は(iv)捕収剤(C1)が炭素数6〜20のアルキルスルホン酸塩の場合には浮選機(FL)内のスラリー水溶液が強酸性〜酸性域(pH3以下)であることが好ましい。
捕収剤(C1)の添加量は、汚染土のスラリー(B1)中で5〜50ppm(wt/wt)が好ましい。捕収剤(C1)の添加量は、少なすぎる場合にはその添加効果が発揮されず、一方過剰に添加しても経済性の点から不利益を被ることになる。
(ロ)pH調整剤(C2)
前述の通り、浮選工程(工程3)で使用する捕収剤(C1)に対応させて、pH調整剤(C2)を添加してpH調製を行うことが好ましい場合がある。使用可能なpH調整剤としては特に限定されず、経済性を考慮すると硫酸、塩酸等を使用することができる。
(ハ)吸着剤(C3)
浮選工程(工程3)において、汚染土のスラリー(B1)中に存在する放射性セシウムのうち、特に水溶性の放射性セシウム化合物は、吸着剤(C3)を添加して吸着させ、浮上物(U)として除去することができる。使用される吸着剤(C3)として、ゼオライト微粉末、ベントナイト微粉末、及びカオリン微粉末から選択される1種又は2種以上がこのましい。
これらの微粉末は天然又は合成のいずれのものも使用でき、高純度品である必要はない。
これらの吸着剤はそれぞれ細孔を有しており、これらの細孔内にイオン化して溶解している放射性セシウム化合物が吸着されることにより、汚染土のスラリー(B1)中の水溶性放射性セシウムが除去可能になる。
上記吸着剤(C3)の中でも、吸着性と、低レベル放射性廃棄物としての取り扱い上、及び経済性の点から、天然のゼオライト微粉末、又はカオリン微粉末がより好ましい。尚、ゼオライト微粉末は、現在、原子力発電所等で放射性化合物が含まれる溶液処理に吸着剤として使用され、低レベル放射性廃棄物として保管されていることから、取り扱い上の優位性があるといえる。
吸着剤(C3)の添加量は、汚染土のスラリー(B1)中で0.05〜0.5質量%程度の濃度となるように添加されることが望ましい。
(ニ)共沈剤(C4)
浮選工程(工程3)において、汚染土のスラリー(B1)中に存在する放射性セシウムのうち、特に水溶性の放射性セシウム化合物は、共沈剤(C4)(coprecipitating agent)を添加して、浮上物(U)として除去することもできる。
尚、共沈とは、溶液中でそのままの状態であれば沈殿しない物質が、他の物質が沈殿するのに誘発されて、いっしょに沈殿する現象をいい、放射性セシウムは下記に例示する共沈剤により共沈物となり、浮選工程で浮上物(U)として除去することができる。
このような共沈剤(C4)としては、フェロシアン化鉄、フェロシアン化銅、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化コバルト、水酸化第2鉄、塩化第2鉄、硫酸第2鉄、水酸化コバルト、及びリン酸カルシュウムから選択される1種又は2種以上が例示できる。汚染土のスラリー(B1)中への共沈剤(C4)の添加量は、汚染土のスラリー(B1)中で0.001〜0.05質量%程度が好ましい。
(4−2)気泡
浮選機(FL)の底部から供給する気泡は、気泡径の小さいものが好ましく、マイクロバブルがより好ましい。該気泡は経済性の点から空気が好ましい。気泡の直径がマイクロバブルサイズになる50μm以下になると、通常の気泡とは、異なった性質が発現する。
例えば、低濃度型気泡は、直径が30μm付近に分布のピークがあり、気泡濃度としては数百個/mL程度であり、外見は水が少し曇った状態である。一方、高濃度型気泡は、直径が10μm付近に気泡分布のピークがあり、気泡個数は数千個/mL以上であり、外見は牛乳のような状態である。
通常の気泡は、急激に水液中を上昇し最終的に液面で破裂する。しかし、マイクロバブルは気泡体積が微細であるため、上昇速度が遅く長い間、水液中に滞在し続ける。例えば、直径10μmの気泡は一分間に3mm程度しか上昇しない。マイクロバブルの上昇速度はストークスの式で示される。
マイクロバブルはコロイドとしての側面があり、負に帯電をしている。このため、マイクロバブル同士は反発し合う。この性質のため、マイクロバブル同士の結合がなく、気泡濃度が減少することがない。浮選工程において浮選手段を用いて固液分離を行うことにより、ろ過手段を用いる場合のフィルターの閉塞トラブル等を回避して連続運転が容易になるばかりでなく、微粒子からなる固体をより確実に分離することが可能になる。
浮選機(FL)の底部から供給する気泡は、あらかじめ浮選機(FL)の底部近傍から汚染土のスラリー(B1)の一部を取り出して、該スラリーに気泡を混入させて気液混合物として浮選機(FL)の底部から供給されることが望ましい。
浮選機(FL)内には気泡が均一状態で存在するように供給する必要がある。尚、浮選機(FL)内への気泡の供給が過多であると該気泡に多くの液体が同伴されて浮選機(FL)をオーバーフローする不都合を生じ、一方気泡の供給が過少であると浮選が効率良くおこなわれない。
(4−3)浮上物(U)の脱水等
浮選機(FL)において、上部から浮上回収された浮上物(U)は、脱水.ろ過器(DH2)で脱水することができ、固形物は放射性セシウムが濃縮された低レベル放射性廃棄物(R)として回収される。該脱水により生じたろ過水(W3)はアトリッション工程(工程1)における、水又は酸性水溶液(W)にリサイクルすることができる。脱水.ろ過器(DH2)の種類としては、特に限定されず、オリバーフィルター、フィルタープレス、ロ布材で作製されたバックによるろ過器等が使用できる。
(4−4)浮選工程のフロー
前述の通り、浮選剤(C)には、少なくとも捕収剤(C1)と、pH調整剤(C2)、吸着剤(C3)、及び共沈剤(C4)から選択される1種又は2種以上とが含まれるが、浮選剤(C)として、捕収剤(C1)、pH調整剤(C2)、及び吸着剤(C3)からなる成分を使用することがより好ましい。記成分の浮選剤(C)を使用することにより、放射性セシウムは吸着剤(C3)に効率よく吸着され、浮選工程(工程3)で得られた浮上物(U)を脱水して得られた低レベル放射性廃棄物(R)の処理も従来の廃棄物と同種のものとなるので取り扱いが容易となる。
また、前記アトリッション工程(工程1)において汚染土(S)のスラリーを汚染土(S)に酸水溶液を添加もしくは酸水溶液で洗浄により得るか、
又は前記工程2で得られた汚染土のスラリー(B1)に更に酸水溶液を添加撹拌して磨砕土に付着している放射性セシウムを水溶液中に溶解後、
工程3の浮選工程において、浮選機(FL)に捕収剤(C1)、もしくは捕収剤(C1)とpH調整剤(C2)を添加して、浮選機(FL)の上部から浮上物(U)を浮上回収する一方、下部からアンダーフロー水(W1)を回収し、
更に、アンダーフロー水(W1)に吸着剤を添加し、また必要により中性ないしアルカリ性にpH調整して第2の浮選機(FL2)に供給する一方、該浮選機(FL2)の下部から気泡を供給することにより、浮選機(FL)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U2)を浮上回収する一方、下部からアンダーフロー水を回収する、ことができる。第2の浮選機(FL2)の操作方法は、最初の浮選機(FL)の操作方法と同様である。該方法を採用をすることにより、低レベル放射性廃棄物の発生量を少なくすることが可能になる。
(5)プロセス(プラント)の特徴
本発明の汚染土の除染方法は、少なくとも(i)アトリッション工程(工程1)、(ii)分級工程(工程2)、及び(iii)浮選工程(工程3)を組み合わせることに特徴があり、アトリッション工程(工程1)で回収される礫(G1)の放射能は5000Bq/kg以下とすることができ、分級工程(工程2)で回収される除染土(G2)の放射能は5000Bq/kg以下とすることができる。また、分級工程(工程2)で得られるろ過水(W2)、又は浮選工程(工程3)で得られる除染されたアンダーフロー水(W1)は基準値の200Bq/kgベクレル以下であればれリサイクルせずにそれぞれ放流することも可能である。
本発明の汚染土の除染方法により、汚染土(S)の量(Sw)から、除染して得られる礫(G1)と除染土(G)の量(Gw)の割合である除染土回収率(Gw/Sw)を95質量%以上(又は95〜98質量%程度)とすることが可能である。
また、汚染土(S)の放射性セシウム量(Ssc)に対する、低レベル放射性廃棄物(R)中の放射性セシウム量(Rsc)の割合(Cs回収率)(Rsc/Ssc)を95質量%以上とすることが可能である。
このような除染土回収率(Gw/Sw)と、Cs回収率(Rsc/Ssc)は本発明の(i)アトリッション工程(工程1)、(ii)分級工程(工程2)、及び(iii)浮選工程(工程3)を組み合わせることにより初めて可能になったのであり、従来の汚染土の除染方法では前記除染土回収率とCs回収率の双方についてこのような優れた効果は得られていない。
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例で使用した試料、機器、セシウムの分析方法を以下に記載する。
(1)試料
(イ)擬汚染土
茨城県久慈郡大子町の農地(畑)の表層から30cmの砂土を採取した。
該砂土のセシウム濃度が100ppmとなるように20kgの砂土に水酸化セシウム水溶液を散布して、ボールミルで混合し、その後2リットルの水をスプレーして乾燥させる操作を2度繰り返し、擬汚染土を調製した。
尚、採取した砂土中には非放射性の(安定)天然セシウムが数ppm含まれていたがこの安定セシウムは、化合物として砂土の内部に含まれていて、除外しづらいものと思われるので、該天然セシウムは以下の分析による濃度からは除外されている。
(ロ)補収剤
ODAA:オクタデシルアミンアセテート
(ハ)吸着剤
ゼオライト板谷ジークライトの微粉末、平均粒径75μm以下
(2)使用機器
(イ)磨砕機
(株)マキノ製、ボールミル(型式:BM−50)を使用した。尚、磨砕時に磨砕機内に粉砕メディア(鋼球・セラミック球等)は投入せずに、自生磨砕方式を採用した。
磨砕機ドラムの外径は606mmφ、長さ606mmである。
(ロ)液体サイクロン
試作の液体サイクロンを使用した。図3に示す通り、上部円筒部は内径:30mmφ、長さ:30mmであり、その下部の円錐部は長さ90mm、最上部の内径:30mm、最下部の内径:3mmである。下部にゴム製弁を使用したバルブが装着されている。
(ハ)浮選機
内径:200mm、長さ2000mmの円筒形状のものを使用した。
尚、浮選機からオーバーフローした浮上物は貯留器で回収した。
(ニ)マイクロバブルの発生装置
(株)OHR流体研究所製、マイクロバブル発生装置(型式:MBT−15型)を使用した。
(3)セシウムの分析装置
(株)島津製作所製、ISP−MS(プラズマ(ICP)をイオン源として使用し、発生したイオンを質量分析部(MS)で検出する分析装置)
[実施例1]
前記擬汚染土を使用して、図1に示すアトリッション工程(工程1)、分級工程(工程2)、及び浮選工程(工程3)により、添加したセシウムの除去の評価をおこなった。
(1)アトリッション工程
擬汚染土20kgと水100L(リットル)を混合して110Lのスラリーを調製後、研磨機に仕込んで、回転数47rpmで研磨機を円周方向に240秒間回転させて、湿式磨砕を行い、磨砕土のスラリーを得、一旦、撹拌機付きの中間貯槽Aにたくわえた。
尚、使用した擬汚染土には粒径が5mm以上の礫は含まれていなかったので礫を除去するためのスクリーンは使用しなかった。
(2)分級工程(工程2)
前記中間貯槽A内の磨砕土のスラリーを流入圧を1.5kgf/cm2、供給量10L/分として、図3に示す液体サイクロンに供給した。
液体サイクロンの上部から汚染土のスラリー(I)100kg(該スラリー中の固形分1kg)を得て撹拌機付きの中間貯槽Bにたくわえた。液体サイクロンの下部から除染土スラリー20kg(該スラリー中の固形分19kg)を得た。
該除染土スラリーのセシウム濃度は11ppmであった。
尚、スタート時は、水を供給する水運転によりポンプ吐出圧を調整した後に、磨砕土のスラリーの供給に切り替える方法を採用した。
(3)浮選工程
中間貯槽B内の汚染土のスラリー(I)100kgに補収剤ODAAを濃度が20ppm(wt/wt)となるように添加し、また吸着剤(ゼオライト)100gを添加し、更にpHを5に調整して浮選機供給用の汚染土のスラリー(II)を調製した。
汚染土のスラリー(II)を浮選機に仕込み、浮選機の下部からマイクロバブルを吹き込んだ。尚、マイクロバブルの吹き込みは浮選機の下部から取り出されるアンダーフロー水にマイクロバブルを吹き込んだ気液混合物によりおこなった。
浮選機の上部から浮上物1.82kg(固形物1.0kg、液状物0.82kg)を貯留器に回収した。該浮上物を、更に真空吸引脱水して、擬低レベル放射性廃棄物1.15kg(固形分1.0kg、液状物0.15kg)を得た。該擬低レベル放射性廃棄物のセシウム濃度は1900ppmであった。
一方、浮選機の下部からアンダーフロー水を回収した。該アンダーフロー水のセシウム濃度は、検出限界値以下であった。
[実施例2]
前記擬汚染土を使用して、図に示すアトリッション工程(工程1)、分級工程(工程2)、及び浮選工程(工程3)により、添加したセシウムの除去の評価をおこなった。
(1)アトリッション工程
擬汚染土20kgを研磨機に仕込んで、回転数47rpmで研磨機を円周方向に240秒間回転させて、乾式磨砕を行って磨砕土を得た。該磨砕土に水100L(リットル)を混合して110Lのスラリーを調製して一旦、撹拌機付きの中間貯槽Aにたくわえた。
尚、使用した擬汚染土には粒径が5mm以上の礫は含まれていなかったので礫を除去するためのスクリーンは使用しなかった。
(2)分級工程(工程2)
前記中間貯槽A内の磨砕土のスラリーを流入圧を1.5kgf/cm2、供給量100L/hrとして、図3に示す液体サイクロンに供給した。
液体サイクロンの上部から汚染土のスラリー(I)100.05kg(該スラリー中の固形分0.95kg)を得て撹拌機付きの中間貯槽Bにたくわえた。液体サイクロンの下部から除染土スラリー20.2kg(該スラリー中の固形分19.2kg、液状物1kg)を得た。
該除染土スラリーのセシウム濃度は11ppmであった。
スタートの際の操作運転方法は実施例1と同様とした。
(3)浮選工程
中間貯槽B内の汚染土のスラリー(I)100kgに補収剤ODAAを濃度が20ppm(wt/wt)となるように添加し、また吸着剤(ゼオライト)100gを添加し、更にpHを5に調整して浮選機供給用の汚染土のスラリー(II)を調製した。
汚染土のスラリー(II)を浮選機に仕込み、浮選機の下部からマイクロバブルを吹き込んだ。
浮選機の上部から浮上物1.77kg(固形物0.95kg、液状物0.82kg)を貯留器に回収した。該浮上物を更にフィルタープレスで脱水して、擬低レベル放射性廃棄物1.09kg(固形分0.95kg、液状物0.14kg)を得た。該擬低レベル放射性廃棄物のセシウム濃度は1900ppmであった。
一方、浮選機の下部からアンダーフロー水を回収した。該アンダーフロー水のセシウム濃度は検出限界値以下であった。
1 ホッパー(HO)
2 磨砕機(AT)
3 スクリーン(SC)
4 スラリータンク(TK)
5 液体サイクロン(CY)
6 脱水・ろ過器(DH1)
7 浮選機(FL)
8 脱水・ろ過器(DH2)

Claims (17)

  1. 放射性セシウムで汚染された汚染土(S)から放射性セシウムを除去する、汚染土の除染方法であって、
    (i)汚染土(S)に水もしくは酸性水溶液を添加して得た、汚染土(S)のスラリーを磨砕機(AT)の供給口に供給して、半自生・自生湿式磨砕によって汚染土(S)の粒子表面を磨砕して該表面から放射性セシウムが付着している微粒子を削り取り、磨砕機(AT)の吐出口から磨砕土のスラリー(B)を取り出す、もしくは磨砕機(AT)の吐出口から排出された磨砕土をスクリーン(SC)で礫(G1)を取り除いた後に磨砕土のスラリー(B)を取り出す、
    又は、汚染土(S)を磨砕機(AT)の供給口に供給して、半自生・自生乾式磨砕によって汚染土(S)の粒子表面を磨砕して該表面から放射性セシウムが付着している微粒子を削り取り、磨砕機(AT)の吐出口から排出される磨砕土を水もしくは酸性水溶液と混合して磨砕土のスラリー(B)を取り出す、もしくは磨砕機(AT)の吐出口から排出された磨砕土と水もしくは酸性水溶液を混合しスクリーン(SC)で礫(G1)を取り除いた後に磨砕土のスラリー(B)を取り出す、アトリッション工程(工程1)
    (ii)前記磨砕土のスラリー(B)を、液体サイクロン(CY)に連続的に供給して、放射性セシウムが濃縮された微粒子状の汚染土のスラリー(B1)を該装置(CY)からオーバーフローさせる一方、放射性セシウム濃度が低減された、前記汚染土より粒径の大きい粒子状の除染土のスラリー(B2)を該装置(CY)からアンダーフローさせて分級する分級工程(工程2)、
    (iii)前記微粒子状の汚染土のスラリー(B1)に、少なくとも捕収剤(C1)を含む浮選剤(C)を添加して浮選機(FL)に供給すると共に、浮選機(FL)の下部から気泡を供給することにより、浮選機(FL)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U)を浮上回収する一方、下部からアンダーフロー水(W1)を回収する、浮選工程(工程3)、
    を含む、ことを特徴とする汚染土の除染方法。
  2. 前記アトリッション工程(工程1)と分級工程(工程2)間、及び/又は分級工程(工程2)と浮選工程(工程3)間に中間タンク(TN)を設けて、アトリッション工程(工程1)、分級工程(工程2)、及び浮選工程(工程3)から選択される1又は2以上の工程を連続運転する、ことを特徴とする請求項1に記載の汚染土の除染方法。
  3. 前記工程1のアトリッション工程において、磨砕土のスラリー(B)中の磨砕土濃度が5〜30質量%である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の汚染土の除染方法。
  4. 前記工程1のアトリッション工程において、酸性水溶液を添加した場合のスラリーのpHが0〜6.5である、ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
  5. 記磨砕機(AT)において、汚染土(S)又は磨砕土のスラリーが流通する部分の外形形状が円筒状であり、当該部分の内面壁に磨砕効果を高めるための突起物が設けられている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
  6. 前記工程2の分級工程において、液体サイクロンの磨砕土の分級点が30μmであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
  7. 前記工程2の分級工程において、液体サイクロン(CY)からアンダーフローさせた除染土のスラリー(B2)を脱水・ろ過器(DH1)で脱水した後、除染土(G2)を回収すると共に、ろ過水(W2)を液体サイクロン(CY)からオーバーフローしたスラリー中にリサイクルするか、又はアトリッション工程(工程1)における磨砕機(AT)もしくはスクリーン(SC)にリサイクルする、ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
  8. 前記工程3の浮選工程において、使用される捕収剤(C1)が炭素原子数6〜20の高級アルキルアミンから製造されるアルキルアミン塩型カチオン界面活性剤、炭素数6〜18の第四級アルキルアンモニウム塩型カチオン界面活性剤、炭素数6〜20のアルキル硫酸エステルの塩、炭素数6〜20の脂肪酸アルカリ金属塩、炭素数6〜20のアルキルベンゼンスルホン酸塩、及び炭素数6〜20のアルキルスルホン酸塩から選択される1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
  9. 前記工程3の浮選工程において、(i)捕収剤(C1)が前記炭素原子数6〜20のアルキルアミン塩カチオン界面活性剤でかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が酸性域(pH0〜6)、(ii)捕収剤(C1)が前記炭素原子数6〜20の脂肪酸アルカリ金属塩でありかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が中性〜アルカリ性域(pH6〜12)、(iii)捕収剤(C1)が前記炭素数6〜20のアルキルベンゼンスルホン酸塩でありかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が強酸性〜酸性域(pH3以下)、又は(iv)捕収剤(C1)が炭素数6〜20のアルキルスルホン酸塩でありかつ浮選機(FL)内のスラリー水溶液が強酸性〜酸性域(pH3以下)である、ことを特徴とする請求項8に記載の汚染土の除染方法。
  10. 前記工程3の浮選工程において、浮選剤(C)に捕収剤(C1)と、pH調整剤(C2)、吸着剤(C3)、及び共沈剤(C4)から選択される1種又は2種以上とが含まれる、ことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
  11. 前記工程3の浮選工程において、使用される吸着剤(C3)がゼオライト微粉末、ベントナイト微粉末、及びカオリン微粉末から選択される1種又は2種以上であることを特徴とする請求項10に記載の汚染土の除染方法。
  12. 前記工程3の浮選工程において、使用される共沈剤(C4)がフェロシアン化鉄、フェロシアン化銅、フェロシアン化ニッケル、フェロシアン化コバルト、水酸化第2鉄、塩化第2鉄、硫酸第2鉄、水酸化コバルト、及びリン酸カルシュウムから選択される1種又は2種以上である、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の汚染土の除染方法。
  13. 前記工程3の浮選工程において、浮選剤(C)として、捕収剤(C1)、pH調整剤(C2)、及び吸着剤(C3)を使用する、ことを特徴とする請求項10又は11に記載の汚染土の除染方法。
  14. 前記工程3の浮選工程において、浮選機(FL)の下部に供給される気泡がマイクロバブルである、ことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
  15. 前記工程3の浮選工程において、浮選機(FL)の上部から浮上物(U)を浮上回収した後、脱水ろ過器(DH2)で脱水した固形物を低レベル放射性物質(R)として保管し、該脱水により生成したろ過水(W3)はアトリッション工程(工程1)における磨砕機(AT)、又はスクリーン(SC)にリサイクルする、ことを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
  16. 前記工程3の浮選工程において、浮選機(FL)の下部から取り出されたアンダーフロー水(W1)をアトリッション工程(工程1)における磨砕機(AT)、又はスクリーン(SC)にリサイクルする、ことを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の汚染土の除染方法。
  17. 前記アトリッション工程(工程1)において汚染土(S)のスラリーを汚染土(S)に酸水溶液を添加もしくは酸水溶液で洗浄により得るか、
    又は前記工程2で得られる前記微粒子状の汚染土のスラリー(B1)に更に酸水溶液を添加撹拌して磨砕土に付着している放射性セシウムを水溶液中に溶解後、
    工程3の浮選工程において、浮選機(FL)に捕収剤(C1)、もしくは捕収剤(C1)とpH調整剤(C2)を添加して、浮選機(FL)の上部から浮上物(U)を浮上回収する一方、下部から放射性セシウムを含むアンダーフロー水(W1)を回収し、
    更に、アンダーフロー水(W1)に少なくとも吸着剤(C3)又は共沈剤(C4)を添加して第2の浮選機(FL2)に供給する一方、該浮選機(FL2)の下部から気泡を供給することにより、浮選機(FL)の上部から放射性セシウムが濃縮された浮上物(U2)を浮上回収する一方、下部から放射性セシウムが除去されたアンダーフロー水を回収する、ことを特徴とする請求項1に記載の汚染土の除染方法。
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