JP5833996B2 - 浴室出入口用建具 - Google Patents
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Description
このようなバリアフリータイプの浴室出入口用建具としては、従来、洗い場から脱衣室側に水が流出することを防止するため、浴室出入口用建具の下枠下側に配水樋や排水管を設け、浴室から流出する水を下枠下側の排水樋等に落として排水する構造のものが用いられていた。
例えば、片引き戸形式の障子を下枠のレールに開閉自在に設け、下枠の上面部の脱衣室側端部に立上部を設け、この立上部の上端と同じ高さに上端が位置するスロープ用アタッチメントを上面部に設け、このアタッチメント部材と上面部との間に上面部上に流出した水を浴室側へ戻す排水空間を形成した従来例(特許文献1)がある。
下枠内に水が溜まった状態で障子を引込部に引き込むと、レールの上を移動する障子の下部が下枠内に溜まった水を押し出すことになり、下枠の引込部側端部から水が脱衣室側に漏れるという課題がある。
嵩上レール部材はレール部のうち引込部に配置された部位にあるので、嵩上レール部材で支持される障子の下端は下枠の上面部から上方に離れていることになる。そのため、浴室から流入した水が引込部に溜まっていても、引込部に位置する障子の下端が引込部に溜まった水の水面から上方に離れていると、障子が戸尻縦枠に向かって移動しても、水を戸尻縦枠に向けて押し出すことがない。障子の下端が引込部に溜まった水の水面より下方にあっても、引込部に位置する障子の下端から引込部に溜まった水の水面までの距離が小さいので、障子で水を押し出したとしても、その量が少ないものとなる。従って、脱衣室側への漏水がないか、あるいは、漏水があったとしても、その量が少ないものとなる。しかも、出入口では、障子は嵩上レール部材ではなくレール部に支持されることから、障子を支持する部材の高さを低いまま維持することができる。そのため、脱衣室から浴室に人が出入りしても、レール部が邪魔になることがないから、バリアフリー用の浴室出入口用建具として好適である。
なお、第2実施形態において、次の第1実施形態で説明する構成部材と同じ構成部材、および同様な機能を有する構成部材には、第1実施形態の構成部材と同じ符号を付し、それらの説明を省略または簡略化する。また、各図においては、図面を見やすくするために、主要な構成部材については、その断面部分のハッチングを省略することがある。
本発明の第1実施形態に係る浴室出入口用建具(サッシ)の全体構成について、図1ないし図3に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の浴室出入口用建具1を浴室側から示す正面図である。図2は、浴室出入口用建具1の横断面図である。図3は、浴室出入口用建具1の縦断面図である。
これらの図において、本実施形態の浴室出入口は、浴室床の床面(図示せず)と、脱衣室床2の床面および建具枠10の敷居(下枠12)の最上面との段差が所定寸法範囲、例えば、約10〜15mm程度以下とされた低段差構造とされている。
障子20は、それぞれアルミ押出形材製の上框21、下框22、戸尻框23Aおよび戸先框23Bを四周枠組みし、ガラスや樹脂などの面材24を組み込んで形成されている。戸先框23Bには取手25が取り付けられている。
障子20の上部、例えば、戸尻框23Aおよび戸先框23Bの下端部には、それぞれ凹状のガイド溝を有する摺動片12Tが設けられている。
障子20の下部、例えば、戸尻框23Aおよび戸先框23Bの下端部には、戸車26A,26Bが設けられている。
これらの上枠11、戸尻縦枠13Aおよび戸先縦枠13Bの構成や躯体側への取付構造は、従来と同様のものであるため、説明を省略する。
建具枠10の幅方向略中央における上枠11と下枠12との間には、縦骨14が架設されている。上枠11、下枠12、戸尻縦枠13Aおよび縦骨14の浴室側の部位にはそれぞれ固定枠150が設けられており、これらの固定枠150には固定面材15の四辺部が固定されている。
ここで、上面部121は略フラットな水平面とされているが、レール部123から浴室側端面に向かって低くなるように僅かに傾斜されて水勾配が付けられている。レール部123の上端位置は立上部122の上端位置より低い。
レール部123のうち引込部10Aに配置された部位の上方には、嵩上レール部材31が設けられている。嵩上レール部材31の戸尻側端部はレール部123の端部に合わせて戸尻縦枠13Aに近接する位置まで延びている。
嵩上レール部材31とレール部123のうち嵩上レール部材31より戸先縦枠13B側に位置する部位とは、スロープ部材32で接続されている。レール部123の上面の高さに比べて嵩上レール部材31の上面の高さが高い。そのため、障子20は、レール部123で支持されている場合に比べて引込部10Aの嵩上レール部材31で支持されている場合に上端位置が高くなるが、障子20の摺動片12Tの開口部分の谷と上枠11の上レール11Tの下端とには所定の寸法があるため(図3参照)、障子20の上端が上枠11に当たって移動が阻害されることがない。
図4は嵩上レール部材31およびスロープ部材32が下枠12に取り付けられた状態を示す斜視図であり、図5は図4の分解斜視図であり、図6は図2のVI−VI線で示す矢視断面図である。なお、図6と図2とでは見ている向きが逆となるため、レール部123および嵩上レール部材31の断面形状が左右逆となる。
これらの図において、レール部123は、直線上に所定間隔離して配置された2本のレール本体1231と、これらのレール本体1231の間に所定の隙間を設けて配置された取付片部1232とを備えている。
レール本体1231は、上面部121から起立して形成された基部1231Aと、この基部1231Aの上端から直角に折れ曲がって形成された上端部1231Bとを備えている。
取付片部1232は、スロープ部材32が配置される箇所において上面部121から起立して形成された長尺状の板状部材であり、レール部123の長手方向に沿った端部がそれぞれ斜めに切り欠かかれた形状とされている。取付片部1232の高さはレール本体1231の高さより低い。
係合部311は、レール本体1231が収納される凹部311Aを備え、この凹部311Aの内周面には上端部1231Bを抜け止めするための抜止用突起311Bが形成されている。係合部311は、その下端に上面部121と当接するとともに先端が互いに離れる方向に形成された一対の脚部311Cと、これらの脚部311Cの上側にそれぞれ設けられた係止突起311Dとを備える。
支持部312は、係合部311の上端から上方に向けて突出して形成された起立部3121と、この起立部3121の上端から直角に折れ曲がって形成され戸車26A,26Bが案内される上端部3122とを備える。
スロープ本体320は、その上面に戸車26A,26Bを案内する断面円弧状の案内面320Aが形成され、その内部に取付片部1232に係合する凹部(図示せず)が形成されている。
スロープ本体320の案内面320Aと支持部312の上端部3122の上面とは滑らかに接続されており、案内面320Aとレール部123の上端部1231Bの上面とは滑らかに接続されている。
第一係止部321は係合部311の脚部311Cと係止突起311Dとの間に係止される。
第二係止部322はレール本体1231の基部1231Aと上端部1231Bとに係止される。
そして、レール本体1231に嵩上レール部材31を直接押し付ける。なお、嵩上レール部材31が直線上に並んでいるレール本体1231の間の寸法より短いか、あるいは、嵩上レール部材31を複数本から構成する場合には、取付片部1232の上から嵩上レール部材31を下枠12の上面部121に押し付け、その後、嵩上レール部材31を戸尻縦枠13A側に向けてスライドさせる。これにより、嵩上レール部材31の抜止用突起311Bがレール本体1231の上端部1231Bの下方に案内される。この状態では、嵩上レール部材31を上面部121から離そうとしても、抜止用突起311Bにより上端部1231Bが係止されるので、抜け止めされる。
さらに、スロープ部材32を嵩上レール部材31とは反対側に少しスライドさせることで、スロープ部材32の第二係止部322がレール本体1231に係止される。
ここで、浴室から流入した水が引込部10Aで溜まることがあっても、引込部10Aにおいて障子20が嵩上レール部材31によって嵩上げされているので、下枠12の上面部121と障子20の下端縁との間の寸法は大きくなる。そのため、障子20が戸尻縦枠13Aに向けて移動しても、障子20の下端が引込部10Aに溜まった水の水面から上方に離れている場合には、水を押し出すことがなく、あるいは、水面の下方にあっても水面までの距離が小さいので、押し出す水の量が少ないものとなる。
(1)レール部123の引込部10Aには、スロープ部材32と、このスロープ部材32の戸尻側に配置された嵩上レール部材31とが設けられている。嵩上レール部材31は、レール部123の上方に設けられて障子20の戸車26Aを支持する支持部312を有し、スロープ部材32は、レール部123の高さ位置から支持部312の高さ位置まで傾斜されて障子20の戸車26Aを案内する案内面320Aが形成されたスロープ本体320を有する。そのため、引込部10Aでは嵩上レール部材31によって障子20が高い位置にあるため、引込部10Aに水が溜まっても、移動する障子20で水を押し出すことがないか、押し出しても少量であり、脱衣室への漏水が少ないものとなる。しかも、出入口では、嵩上レール部材31が設けられることがなく、レール部123で障子20が支持されているので、障子20を支持するレール部123を従来と同様に低いまま維持することができるので、バリアフリー用の浴室出入口用建具として好適である。
次に、本発明の第2実施形態に係る浴室出入口用建具について、図7から図9に基づいて説明する。
図7は浴室出入口用建具を示す図2に相当する図であり、図8は浴室出入口用建具の要部を示す縦断面図である。
図7および図8において、浴室出入口用建具1Aは、第1実施形態と同様に、建具枠10と、この建具枠10内に開閉自在に設けられた障子20とを備えた建具である。
下枠12のレール部123のうち引込部10Aに配置された部位の上方に嵩上レール部材31Aが設けられ、嵩上レール部材31Aとレール部123のうち嵩上レール部材31より開口部端部側に位置する部位とはスロープ部材32Aで接続されている。嵩上レール部材31Aの戸尻縦枠13A側には取付部材33が設けられている。
ここで、障子20の戸車26Aがスロープ部材32Aの開始位置Pに到達する際に生じる出入口の開口の水平方向の寸法Wは、開口を脱出口として利用可能な寸法に設定されている(図1参照)。
嵩上部本体310は係合部311および支持部312を備えており、係合部311を構成する一対の係止突起311Dのうち一方にヒレ部313が一体に形成されている。
ヒレ部313は、浴室側の先端部がU字状に折り曲げて形成されており、その折り曲げられた曲折部313Aの一部が固定枠150と当接されている。
ヒレ部313と下枠12の上面部121との間のスペースは下枠12に残る残水を収容する残水スペースSとされる。
充填部材34のレール部123の長手方向に沿った長さはヒレ部313の長さ寸法より短い。
スロープ部材32Aの側面形状が図9(A)に示されている。
図7および図9(A)において、スロープ部材32Aは戸車26A,26Bを案内するスロープ本体320と、このスロープ本体320の一端部に設けられ嵩上レール部材31Aに係止される1つの第一係止部321Aと、スロープ本体320の他端部に設けられレール本体1231に係止される図示しない第二係止部とを備える。
スロープ本体320は、その上面の案内面320Aが嵩上レール部材31Aの支持部312の上面とレール本体1231の上面とを接続するように傾斜している。
第一係止部321Aは、嵩上レール部材31Aのヒレ部313と係合部311と下枠12の上面部121との間に係止される。
図7および図9(B)において、取付部材33は、ポリアセタール、その他の合成樹脂製のブロック体であり、上面部121に配置されるブロック本体330と、このブロック本体330の一端部に設けられ嵩上レール部材31Aに係止される係止部331とを備える。なお、ブロック本体330に高さ調整ねじ(図示せず)を設け、取付部材33を介して嵩上レール部材31Aの高さ調整や傾斜調整をしてもよい。
(8)レール本体1231に連結される嵩上部本体310と、この嵩上部本体310に設けられたヒレ部313とを備えて嵩上レール部材31Aを構成したから、ヒレ部313と下枠12の上面部121との間のスペースが下枠12に残る残水を収容する残水スペースSとされるので、障子20が戸尻縦枠13Aに移動して水を押し出すことがあっても、押し出す水の領域は主にヒレ部313の上方に位置する領域となり、ヒレ部313の下方に位置する領域の水は障子20の移動の影響を受けにくくなる。そのため、障子20の移動に伴って押し出される水の量が少なくなるので、脱衣室への漏水をより少量にすることができる。
例えば、浴室出入口用建具1としては、前記各実施形態に示す片引き戸形式の浴室出入口用建具1に限らず、二枚引戸形式の浴室出入口用建具でもよい。従って、建具枠10や障子20の具体的な構造、材質などは、実施にあたって適宜設定すればよい。
さらに、本発明では、嵩上レール部材31の戸尻側端部とレール部123の戸尻側端部との間に嵩上レール部材31を設けることに代えて、嵩上レール部材31の途中位置から戸尻側に向けて下り傾斜する切欠きを形成することでもよい。この場合でも、障子20の戸車26A,26Bがそれぞれレール部123で支持されることになり、障子20が水平に保たれる。
Claims (5)
- 浴室出入口に取り付けられる建具枠と、この建具枠に対して開閉可能に設けられた障子とを備える浴室出入口用建具であって、
前記建具枠は、前記障子を案内する上枠および下枠と、前記障子の戸先框に対向する戸先縦枠と、前記障子の戸尻框に対向する戸尻縦枠とを備えて構成され、
前記下枠は、上面部と、この上面部から上方に立ち上がって形成されて前記障子の戸車を案内するレール部とを備え、
前記下枠のレール部は、前記障子を戸尻縦枠側に移動して出入口を開口した際に前記障子が配置される引込部を備え、
前記レール部の引込部には、スロープ部材と、前記スロープ部材の戸尻縦枠側に配置された嵩上レール部材とが設けられ、
前記嵩上レール部材は、前記レール部の上方に設けられて前記障子の戸車を支持する支持部を有し、
前記スロープ部材は、前記レール部の高さ位置から前記支持部の高さ位置まで傾斜されて前記障子の戸車を案内する案内面が形成されたスロープ本体を有する浴室出入口用建具。 - 前記障子が前記戸先縦枠から前記戸尻縦枠へ向かって移動して前記障子の戸車が前記スロープ部材の開始位置に到達する際に、前記障子の戸先框と前記戸先縦枠とで形成される開口の水平方向の寸法は、前記開口を脱出口として利用可能な寸法に設定されている請求項1に記載の浴室出入口用建具。
- 前記嵩上レール部材は、前記レール部の上部に係合する係合部を備え、
前記スロープ部材は、前記スロープ本体の一端側に設けられ前記嵩上レール部材に係止される第一係止部と、前記スロープ本体の他端側に設けられ前記レール部に係止される第二係止部と、を備える請求項1または請求項2に記載の浴室出入口用建具。 - 前記嵩上レール部材は、前記レール部に連結される嵩上部本体と、この嵩上部本体から浴室側に向かって設けられたヒレ部とを備え、このヒレ部と前記上面部との間のスペースは前記下枠に残る残水を収容する残水スペースとされる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の浴室出入口用建具。
- 前記ヒレ部と前記上面部との間には、前記残水スペースを少なくするための充填部材が設けられている請求項4に記載の浴室出入口用建具。
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