JP5832026B2 - 集電装置 - Google Patents

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Description

この発明は、電車線路と摺動する摺動部によってこの電車線路から集電する集電装置に関する。
電気鉄道においては、トロリ線にすり板が摺動しながら通電し、電力エネルギーを車両に取り入れている。摺動と通電に伴いトロリ線とすり板の双方が摩耗するため、それぞれ定期的に点検と検査が必要であり、鉄道事業者からその保守費用の低減が望まれている。例えば、トロリ線にすり板が摺動するとすり板に局所的な大きな摩耗である局部摩耗が発生したり、すり板のある部位の摩耗だけが他の部位の摩耗に比べて特に進行する段付き摩耗が発生したりするこのようなすり板の集中的な摩耗を避けるために、直線区間においてトロリ線をジグザグに設置することが一般的である。
従来の電車線の支持構造は、集電装置のすり板と摺動するトロリ線と、このトロリ線が長さ方向に左右に偏位するようにこのトロリ線をジグザグに支持する架線金具などを備えている(例えば、特許文献1参照)。このような従来の電車線の支持構造では、トロリ線を引っ張る曲線引金具又は振止金具などの架線金具によってトロリ線を左右交互に引っ張り、このトロリ線にジグザグ偏位を付与することによって、すり板を左右方向に平均的に摩耗させている。
特開2002-321550号公報
このような従来の電車線の支持構造では、トロリ線にジグザグ偏位を付与してもすり板の局部摩耗がときどき生じており、すり板の局部摩耗を解消することができない問題点がある。また、従来の電車線の支持構造では、トロリ線に架線金具を取り付ける取付箇所において、トロリ線の柔軟性が局部的に失われて硬点となる。このため、従来の電車線の支持構造では、トロリ線の硬点においてトロリ線が上下に動き難くなり、架線としての集電性能が低下してしまう問題点がある。また、従来の電車線の支持構造では、トロリ線にジグザグ偏位を付与するために多数の架線金具を使用しているため、取付作業や点検作業に手間かかかりコストが高くなってしまう問題点がある。
また、従来の電車線の支持構造では、すり板に対してトロリ線がジグザグに偏位するように支持されているが、すり板自体が集電装置に固定されており、集電装置に対してすり板が駆動しない。例えば、すり板がカーボンを主原料とし銅を含浸させたカーボン系すり板であるときには、トロリ線との摺動によってすり板の温度が上昇すると、すり板の表面から銅が溶け出してすり板の熱伝導率が低下する。その結果、カーボン系すり板の主要成分であるカーボンが高温になって酸化し、すり板の摩耗が生じやすくなる。このため、カーボン系すり板の場合には、すり板自体を駆動することによって局所的な温度上昇を防ぎ、すり板の温度をできる限り低温に保つことですり板の摩耗を抑制可能であると考えられる。さらに、従来の電車線の支持構造では、車両が停車中に集電装置のすり板にトロリ線から大電流が流れ続けると、トロリ線の温度が部分的に上昇して、トロリ線の軟化に伴う損傷が発生する問題点がある。
この発明の課題は、低コストで集電性能を向上させることができるとともに摺動部の摩耗及び架線の損傷を防ぐことができる集電装置を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図4、図5、図7、図8、図10、図11及び図13〜図16に示すように、トロリ線(1a)と摺動する摺動部によってこのトロリ線から集電する集電装置であって、前記摺動部は、前記トロリ線と摺動するすり板(10A;10A 1 〜10A 4 )であり、前記トロリ線に対して略直交する方向、かつ、前記すり板とこのトロリ線とを結ぶ方向と直交する方向(B 1 ,B 2 このすり板が往復運動しながら接触するように、このすり板を駆動する駆動部(19)を備えることを特徴とする集電装置(3)である。
請求項2の発明は、図17に示すように、導電レール(1b)と摺動する摺動部によってこの導電レールから集電する集電装置であって、前記摺動部は、前記導電レールと摺動する集電靴(10D)であり、前記導電レールに対して略直交する方向、かつ、前記集電靴とこの導電レールとを結ぶ方向と直交する方向(B 1 ,B 2 この集電靴が往復運動しながら接触するように、この集電靴を駆動する駆動部(19)を備えることを特徴とする集電装置(33)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の集電装置において、図4、図5、図7及び図8に示すように、前記駆動部は、前記摺動部(10A)を往復駆動するエアシリンダ機構部(20)を備えることを特徴とする集電装置である。
請求項4の発明は、請求項1又は請求項2に記載の集電装置において、図10及び図11に示すように、前記駆動部は、前記摺動部(10A)を往復駆動する送りねじ機構部(25)と、前記送りねじ機構部のねじ軸(25a)を回転駆動するための駆動力を発生する駆動力発生部(26)とを備えることを特徴とする集電装置である。
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の集電装置において、図13及び図14に示すように、前記駆動部は、前記摺動部(10A)を装着する巻き掛け部材(28c)を回転体(28a,28b)に掛けて、この回転体を回転駆動することによってこの巻き掛け部材を往復駆動する巻き掛け伝導機構部(28)と、前記回転体を回転駆動するための駆動力を発生する駆動力発生部(26)とを備えることを特徴としている集電装置である。
請求項6の発明は、請求項1又は請求項2に記載の集電装置において、図15及び図16に示すように、前記摺動部は、互いに平行な第1及び第2の摺動部を備え、前記駆動部は、前記第1(10A1,10A2)及び前記第2の摺動部(10A3,10A4)が互いに逆方向に往復運動するようにこの第1及びこの第2の摺動部を駆動することを特徴とする集電装置である。
請求項7の発明は、請求項に記載の集電装置において、図15に示すように、前記駆動部は、前記第1の摺動部側のラック(30a)と前記第2の摺動部側のラック(30b)との間にピニオン(30c)を噛み合わせて、この第1及びこの第2の摺動部を往復駆動するラックピニオン機構部(30)と、前記第1及び前記第2の摺動部を往復駆動するための駆動力を発生する駆動力発生部(20)とを備えることを特徴とする集電装置である。
請求項8の発明は、請求項に記載の集電装置において、図16に示すように、前記駆動部は、前記第1の摺動部と前記第2の摺動部とを連結する巻き掛け部材(31b)を回転体(31a)に掛けて、この第1及びこの第2の摺動部を往復駆動する滑車機構部(31)と、前記第1の摺動部を往復駆動するための駆動力を発生する駆動力発生部(20)と、前記巻き掛け部材が弛まずに前記第1の摺動部の往復動作に連動して前記第2の摺動部が往復動作するように、この第2摺動部に張力を付与する張力付与部(32)とを備えることを特徴とする集電装置である。
この発明によると、低コストで集電性能を向上させることができるとともに摺動部の摩耗及び架線の損傷を防ぐことができる。
この発明の第1実施形態に係る集電装置の側面図であり、(A)は側面図であり、(B)は正面図である。 この発明の第1実施形態に係る集電装置を概略的に示す斜視図である。 この発明の第1実施形態に係る集電装置の集電舟の平面図である。 図3のIV-IV線で切断した状態を示す断面図である。 図4のV-V線で切断した状態を示す断面図である。 図4のVI-VI線で切断した状態を示す断面図である。 この発明の第1実施形態に係る集電装置の駆動部の構成図である。 この発明の第1実施形態に係る集電装置の動作を説明するための概念図であり、(A)〜(E)はすり板の往復動作を時系列順に示す概念図である。 この発明の第2実施形態に係る集電装置の縦断面図である。 この発明の第3実施形態に係る集電装置の集電舟の縦断面図である。 図10のXI-XI線で切断した状態を示す断面図である。 図11のXII部分を拡大して示す断面図である。 この発明の第4実施形態に係る集電装置の集電舟を模式的に示す側面図である。 この発明の第4実施形態に係る集電装置の集電舟を模式的に示す平面図である。 この発明の第5実施形態に係る集電装置の集電舟を模式的に示す平面図である。 この発明の第6実施形態に係る集電装置の集電舟を模式的に示す平面図である。 この発明の第7実施形態に係る集電装置を模式的に示す斜視図である。 この発明の第7実施形態に係る集電装置の縦断面図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1〜図4に示す架線1は、線路上空に架設される架空式電車線路であり、所定の間隔をあけて架線金具によって支持点で支持されている。トロリ線1aは、集電装置3のすり板10A〜10Cが接触移動する電車線(電線)であり、集電装置3が摺動することによって、図1に示す車両2に負荷電流を供給する。車両2は、電車又は電気機関車などの電気車であり、例えば高速で走行する新幹線(登録商標)などの鉄道車両である。車体2aは、乗客又は貨物を積載し輸送するための構造物である。
図1及び図2に示す集電装置3は、架線1のトロリ線1aと摺動するすり板10A〜10Cによってこのトロリ線1aから集電する装置である。集電装置3は、図1に示す台枠4と、碍子(がいし)5と、図1及び図2に示す枠組6と、図1〜図6に示す集電舟(舟体)7と、図1〜図4に示すすり板10A〜10Cと、図7に示す動作開始/終了選択部22と、制御部23などを備えている。集電装置3は、トロリ線1aから車両2に電力を導く集電機能を有するとともに、集電舟7上ですり板10Aを往復運動させる往復運動機能を有するすり板可動パンタグラフである。
図1に示す台枠4は、枠組6を支持して車体2aの屋根上に設置される部材であり、碍子5上に設置されている。碍子5は、車体2aと台枠4との間を電気的に絶縁する部材である。図1及び図2に示す枠組6は、集電舟7を支持する部材であり、集電舟7を支持した状態で上下方向に動作可能なリンク機構である。枠組6は、台枠4に取り付けられて上昇力を付与する主ばね(押上げ用ばね)によって上方に押上げられている。枠組6は、舟支え部6aと、上枠6bと、下枠6cと、屈曲部(関節部)6dなどを備えている。舟支え部6aは、集電舟7を支持する部分であり、集電舟7を架線1に対して水平に押上げる。上枠6bは、舟支え部6aを支持する部材であり、この舟支え部6aに回転自在に連結されており、台枠4に装着されている図示しない押上げ用ばねによって上方に押上げられる。下枠6cは、台枠4が備える図示しない主軸に固定される部材であり、屈曲部6dは上枠6bと下枠6cとが回転自在に連結される中間ヒンジとして機能する部分である。集電装置3は、車両2の進行方向(図中A方向)に対して非対称であり、一方向又は両方向に使用可能なシングルアーム型パンタグラフである。図1及び図2に示す集電装置3は、車両2の進行方向後側に屈曲部6dが位置する反なびき方向ではなく、車両2の進行方向前側に屈曲部6dが位置するなびき方向に移動している。
図1〜図6に示す集電舟7は、すり板10A〜10Cを取り付けて支持する部材である。集電舟7は、一般にトロリ線1aと直交する方向(まくらぎ方向)に伸びた細長い金属製の柱状部材である。集電舟7は、図1〜図5に示すホーン8と、図1〜図6に示すすり板組立体9と、図4及び図5に示す通電部13A,13Bと、図4及び図6に示すガイド部14と、図4及び図6に示す固定部15と、図4及び図5に示す固定部16と、図4〜図6に示す舟体枠17と、図6に示す固定部18と、図4、図5及び図7に示す駆動部19などを備えている。集電舟7は、図2及び図3に示すように、この集電舟7の中心軸に対して前後対称であり、前後がいずれも同一形状に形成されている。
図1〜図5に示すホーン8は、車両2が分岐器を通過するときに、この分岐器の上方で交差する2本のトロリ線1aのうち車両2の進行方向とは異なる方向のトロリ線1aが集電舟7の下に入り込むのを防止するための部材である。ホーン8は、図1(B)及び図2に示すように、集電舟7の長さ方向の両端部から突出しており、先端部が湾曲して形成された金属製の部材である。
図1〜図6に示すすり板組立体9は、集電舟7の主要構成部分を組み立てた部材である。すり板組立体9は、図6に示すように、集電舟7の舟体枠17に嵌め込まれてこの舟体枠17と一体化される。すり板組立体9は、図1〜図4及び図6に示すすり板10A〜10Cと、図4及び図6に示す導電部11と、図4〜図6に示す絶縁断熱部12などを備えている。すり板組立体9は、図6に示すように、すり板10A、導電部11、絶縁断熱部12及びガイド部14のスライド部14aなどが整列された状態で組み立てられている組立品(すり板体)である。
図1〜図4に示すすり板10A〜10Cは、トロリ線1aと摺動する部材である。すり板10A〜10Cは、図1(B)、図2及び図3に示すように、車両2の進行方向と直交する方向に伸びた金属製又は炭素製の板状部材である。すり板10A〜10Cは、集電舟7とは別個に製造される別部品であり、図6に示すように舟体枠17の上面に形成された凹部に収容されており、この集電舟7と一体に取り付けられている。すり板10A〜10Cは、トロリ線1aと接触移動(摺動)して大電流が流れるため、一定の機械的強度、導電性及び耐摩耗性などが要求される。
図2〜図4及び図6に示すすり板10Aは、すり板組立体9の主要部分を構成する部材である。すり板10Aは、車両2が本線走行時に主にトロリ線1aと摺動する主すり板として機能するすり板片であり、集電舟7の中央部に合計2枚取り付けられている。すり板10Aは、例えば、図2及び図3に示すように、外観形状が略平行四辺形の薄板状部材である。すり板10Aは、集電舟7の進行する方向(すり板10Aの長さ方向と直交する方向)Aに対して所定の傾斜角度で両端部が斜めに直線状に切断されている。すり板10Aは、例えば、カーボン(炭素)を主原料とするカーボン系すり板、鉄又は銅などを主成分とする焼結合金すり板である。すり板10Aは、図3、図4及び図6に示すように、このすり板10Aを貫通する雌ねじ部10aを備えている。
図2〜図4に示すすり板10B,10Cは、すり板組立体9の補助的部分を構成する部材である。すり板10B,10Cは、すり板10Aに比べて摺動頻度が低い補助すり板として機能するすり板片である。すり板10Bは、図3に示すように、集電舟7の両端部に合計2枚取り付けられており、すり板10Cはすり板10Aとすり板10Bとの間におけるこれらのすり板10A,10Bの外側に合計4枚取り付けられている。すり板10B,10Cは、例えば、アルミニウム製の薄板状部材であり、すり板10Aに比べてトロリ線1aと接触する頻度が低いため耐摩耗性よりも軽量化が重要視されている。すり板10Bは、例えば、図3に示すように、すり板10Cと隣接する側部が集電舟7の進行方向であるA方向に対して所定の傾斜角度で斜めに直線状に切断されている。すり板10Cは、すり板10Aとすり板10Bとの間の間隙部を塞ぐように、これらのすり板10A,10Bの両縁部に配置されている。すり板10Cは、集電舟7の進行方向であるA方向と略直交するB1,B2方向にすり板10Aが往復運動可能なように、図6に示すすり板10Aの幅よりも僅かに間隔が広くなるように舟体枠17に固定されている。
図4及び図6に示す導電部11は、電流経路を確保するための部材である。導電部11は、例えば、銅板などの導電性部材であり、図6に示すように導電部11の幅はすり板10Aの幅よりも僅かに狭く形成されている。導電部11は、固定ボルト15aを挿入するためにこの導電部11を貫通する貫通孔11aを備えている。図4及び図6に示すように、導電部11の上面にはすり板10Aの下面が接触し、導電部11の下面には絶縁断熱部12の上面が接触している。
図4〜図6に示す絶縁断熱部12は、導電部11とガイド部14との間を電気的に絶縁するとともに、この導電部11からガイド部14に熱が伝わるのを防ぐ部材である。絶縁断熱部12は、例えば、合成樹脂製の板状部材であり、図6に示すように絶縁断熱部12の幅は導電部11の幅よりも僅かに狭く、ガイド部14のスライド部14aと略同じ幅に形成されている。絶縁断熱部12は、固定ボルト15aを挿入するためにこの絶縁断熱部12を貫通する貫通孔12aと、図4及び図5に示すエアシリンダ機構部20のピストンロッド部20bの先端部の雄ねじ部が噛み合う雌ねじ部12bを備えている。図4及び図6に示すように、絶縁断熱部12の上面には導電部11の下面が接触し、絶縁断熱部12の下面にはスライド部14aの上面が接触している。
図4及び図5に示す通電部13A,13Bは、すり板10Aと舟体枠17との間に電流を流す部材である。通電部13A,13Bは、例えば、外観がばね状又は蛇腹状であり、可撓性を有する柔軟な通電用銅線などの電線である。通電部13A,13Bは、すり板組立体9のB1,B2方向への往復運動に追従して伸縮可能なように、導電部11に弛緩状態で接続されている。図5に示すように、通電部13Aは導電部11の長さ方向の一方の端部に配置されており、通電部13Bは導電部11の長さ方向の他方の端部に配置されている。通電部13A,13Bは、一方の端部が導電部11の端部に接続されており、他方の端部が舟体枠17の底面に接続されている。通電部13A,13Bは、長さが長くなって重量が増加し、すり板組立体9のB1,B2方向への往復動作が重くならないように、可能な限り短い長さで配線されている。
図4及び図6に示すガイド部14は、すり板10Aを往復移動自在にガイドする部材である。ガイド部14は、すり板組立体9を支持した状態で、図4に示すB1,B2方向にこのすり板組立体9が往復運動可能なように、このすり板組立体9をガイドする。ガイド部14は、図4及び図6に示すように、スライド部14aとガイドレール部14bなどを備えている。ガイド部14は、図6に示すように、長板状のスライド部14a側の凹部と、複数の小片状のガイドレール部14b側の凸部とをスライド自在に嵌合させて、このガイドレール部14bに沿ってスライド部14aを進退自在にガイドするリニアガイド装置である。
スライド部14aは、ガイドレール部14bによってガイドされる部材である。スライド部14aは、すり板組立体9の絶縁断熱部12の下面を支持した状態でこのすり板組立体9と一体となってB1,B2方向に往復運動可能である。スライド部14aは、図6に示す固定ボルト15aを挿入するためにこのスライド部14aを貫通する貫通孔14cを備えている。ガイドレール部14bは、スライド部14aを移動自在にガイドする部材であり、図4に示すようにスライド部14aの移動方向であるB1,B2方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている。ガイドレール部14bは、図4及び図6に示す溝部14dと、図6に示す雌ねじ部14eなどを備えている。図4及び図6に示す溝部14dは、固定ボルト15aのボルト頭部とガイドレール部14bとが干渉するのを防止する逃げ部である。溝部14dは、図4に示す固定ボルト15aがスライド部14aと一体となってB1,B2方向に往復運動するときに、この固定ボルト15aのボルト頭部とガイドレール部14bとが干渉しないように、このガイドレール部14bの長さ方向に沿って形成されている。図6に示す雌ねじ部14eは、固定ボルト18aの雄ねじ部が噛み合う部分であり、ガイドレール部14bの下面に形成されている。
図4及び図6に示す固定部15は、すり板組立体9とスライド部14aとを固定する部材である。固定部15は、すり板10Aとスライド部14aとの間に導電部11及び絶縁断熱部12を挟み込むように、すり板組立体9とスライド部14aとを着脱自在に固定する。固定部15は、図6に示すように、貫通孔11a,12a,14cを貫通して先端部がすり板10Aの雌ねじ部10aにねじ込まれる固定ボルト(すり板取付ボルト)15aなどを備えている。
図4及び図5に示す固定部16は、通電部13A,13Bを舟体枠17に固定する部材である。固定部16は、通電部13A,13Bの導電部11に接続される側とは反対側の端部を舟体枠17に着脱自在に固定する。固定部16は、先端部が舟体枠17の雌ねじ部にねじ込まれる固定ボルト(通電線取付ボルト)16aなどを備えている。
図4〜図6に示す舟体枠17は、集電舟7の本体部分を構成する部材である。舟体枠17は、図6に示すように、断面形状が略U字状の溝形のフレーム部材であり、舟体枠17の上部には開口部が形成されており、舟体枠17の内部にはすり板組立体9及びガイド部14などが収容されている。舟体枠17の下面には、図1及び図2に示す舟支え部6aが取り付けられており、舟体枠17の両端部寄りの両側面には図3及び図6に示すすり板10Cが取り付けられている。舟体枠17の両端部には、図4及び図5に示すように、所定長さで溝のない厚板状部分が形成されており、この厚板状部分の上面には図3及び図4に示すすり板10Bの下面が取り付けられている。舟体枠17は、図6に示すように、固定ボルト18aのボルト頭部を収容する凹部17aと、固定ボルト18aを挿入するために凹部17aの中心においてこの舟体枠17を貫通する貫通孔17bなどを備えている。
図6に示す固定部18は、ガイドレール部14bを舟体枠17に固定する部材である。固定部18は、ガイドレール部14bの下面を舟体枠17の底部上面に着脱自在に固定する。固定部18は、貫通孔17bを貫通して先端部がガイドレール部14bの雌ねじ部14eにねじ込まれる固定ボルト(ガイドレール取付ボルト)18aなどを備えている。
図4、図5及び図7に示す駆動部19は、トロリ線1aに対してすり板10Aが往復運動しながら接触するように、このすり板10Aを駆動する部分である。駆動部19は、すり板10AをB1,B2方向に往復運動させることによって、トロリ線1aに対するすり板10Aの接触位置を変化させて、すり板10Aに局部摩耗が発生するのを防止する。駆動部19は、図7に示すように、エアシリンダ機構部20と動作切替部21などを備えている。
図7に示すエアシリンダ機構部20は、すり板10Aを往復駆動する部分である。エアシリンダ機構部20は、図4及び図6に示すガイド部14に沿ってすり板10Aを往復運動するための駆動力を空気圧によって発生する。エアシリンダ機構部20は、例えば、作動流体として空気圧を利用して駆動力を発生する空気圧シリンダなどの直動アクチュエータである。エアシリンダ機構部20は、図4、図5及び図7に示すシリンダ部20aと、図3〜図5及び図7に示すピストンロッド部20bなどを備えている。シリンダ部20aは、すり板組立体9を駆動する部材である。シリンダ部20aは、ピストンロッド部20bを伸縮することによってすり板組立体9を往復駆動し、すり板10Aとトロリ線1aとの接触位置を可変する。ピストンロッド部20bは、シリンダ部20a内のピストンの進退動作に連動して進退動作する部材である。ピストンロッド部20bは、図3〜図5に示すように、先端部にすり板組立体9の絶縁断熱部12の雌ねじ部12bと噛み合う雄ねじ部20cを備えている。
図7に示す動作切替部21は、ピストンロッド部20bを進出動作と後退動作とに切り替える部分である。動作切替部21は、右側のソレノイドSOL-1が通電状態になると流路が切り替わり、ピストンロッド部20bがB1方向に伸長(前進)するように、空気圧源24からの空気をヘッド側室S1に供給させ、ロッド側室S2から空気を大気中に排出させる。一方、動作切替部21は、左側のソレノイドSOL-2が通電状態になると流路が切り替わり、ピストンロッド部20bがB2方向に縮小(後退)するように、空気圧源24からの空気をロッド側室S2に供給させ、ヘッド側室S1から大気中に空気を排出させる。
動作開始/終了選択部22は、すり板10Aの往復動作を開始及び終了を選択する部分である。動作開始/終了選択部22は、例えば、すり板10AのB1,B2方向への往復動作の開始及び終了を選択するときに、車両2の運転者が手動で操作する切替スイッチなどである。動作開始/終了選択部22は、動作開始位置に切り替えられてすり板10Aの往復動作の開始が選択されたときには動作開始選択信号を制御部23に出力する。一方、動作開始/終了選択部22は、動作終了位置に切り替えられてすり板10Aの往復動作の終了が選択されたときには動作終了選択信号を制御部23に出力する。
制御部23は、駆動部19を動作制御する中央処理部(CPU)である。制御部23は、動作開始/終了選択部22が出力する動作開始信号に基づいて動作切替部21に切替動作開始を指令する。制御部23は、動作切替部21のソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で交互に電流を流し、すり板10Aが往復動作するように動作切替部21を動作制御する。制御部23は、動作開始/終了選択部22が出力する動作終了信号に基づいて動作切替部21に切替動作終了を指令する。制御部23は、動作切替部21のソレノイドSOL-1,SOL-2に流れる電流を遮断し、すり板10Aが往復動作を停止するように動作切替部21を動作制御する。制御部23には、動作切替部21と動作開始/終了選択部22とが接続されている。
空気圧源24は、エアシリンダ機構部20に空気を供給する部分である。空気圧源24は、例えば、集電装置3の枠組6の昇降動作に使用する圧縮空気を蓄積する空気だめ、又は車両2の制御又は動力に使用する圧縮空気を蓄積する空気だめなどの空気圧供給源である。空気圧源24は、動作切替部21を通じてシリンダ部20aに空気を供給する。
次に、この発明の第1実施形態に係る集電装置の動作を説明する。
図7に示す動作開始/終了選択部22を車両2の運転者が操作して、動作開始/終了選択部22が動作開始位置に切り替えられたときには、動作開始/終了選択部22が動作開始選択信号を制御部23に出力する。このため、図示しない電源から制御部23に電力が供給されるとともに、動作切替部21のソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で制御部23が交互に電流を流す。ソレノイドSOL-1に制御部23が電流を流すと、シリンダ部20aのヘッド側室S1に空気圧源24から空気が供給されるとともに、このシリンダ部20aのロッド側室S2から大気中に空気が排出される。その結果、ピストンロッド部20bがB1方向に伸長し、図4及び図6に示すガイド部14のガイドレール部14bに沿ってスライド部14aがスライドし、図8(A)に示すようにすり板10AがB1方向に移動する。
図7に示すピストンロッド部20bがB1方向に最も伸長すると、図8(B)に示すようにすり板10Aが左側の駆動限界点まで到達する。このとき、ソレノイドSOL-1に流れる電流を制御部23が遮断し、ソレノイドSOL-2に制御部23が電流を流すと、シリンダ部20aのロッド側室S2に空気圧源24から空気が供給されるとともに、このシリンダ部20aのヘッド側室S1から大気中に空気が排出される。その結果、ピストンロッド部20bがB2方向に縮小し、図4及び図6に示すガイド部14のガイドレール部14bに沿ってスライド部14aがスライドし、図8(B)(C)に示すようにすり板10AがB2方向に移動する。
図7に示すピストンロッド部20bがB2方向に最も縮小すると、図8(D)に示すようにすり板10Aが右側の駆動限界点まで到達する。このとき、ソレノイドSOL-2に流れる電流を制御部23が遮断し、ソレノイドSOL-1に制御部23が電流を流すと、シリンダ部20aのヘッド側室S1に空気圧源24から空気が供給されるとともに、このシリンダ部20aのロッド側室S2から大気中に空気が排出される。その結果、ピストンロッド部20bがB1方向に伸長し、図4及び図6に示すガイド部14のガイドレール部14bに沿ってスライド部14aがスライドし、図8(D)(E)に示すようにすり板10AがB1方向に移動する。このように、図7に示すソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で制御部23が交互に電流を流すことによって、図8(A)〜(E)に示すようトロリ線1aにジグザグ偏位が付与されていなくても、すり板10AがB1,B2方向に往復運動を繰り返し、すり板10Aの局部摩耗が低減する。
この発明の第1実施形態に係る集電装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、トロリ線1aに対してすり板10Aが往復運動しながら接触するように、このすり板10Aを駆動部19が駆動する。このため、すり板10Aに発生する局部摩耗のような集中的な摩耗を防止することができる。その結果、すり板10Aの交換周期を延長することができ、すり板10Aの交換のためのコストを低減することができる。また、トロリ線1aにジグザグ偏位を付与するために多量の架線金具を取り付ける必要がなくなって、トロリ線1aを少量の架線金具によって直線状に取り付けることができる。その結果、架線金具の取付作業が軽減されて、架線金具の設置コストを軽減することができるとともに、架線金具の点検作業などが軽減されて、メンテナンスコストを低減することができる。また、架線金具の取付箇所を低減することができるためトロリ線1aの硬点の数が低減し、トロリ線1aが上下に動き易くなって集電装置3の集電性能を向上させることができる。その結果、トロリ線1a及びすり板10Aの摩耗を低減することができる。また、トロリ線1aに対するすり板10Aの接触位置を速い速度で移動させながら摺動させることができる。その結果、すり板10Aが往復駆動することによって、このすり板10Aの温度上昇した部分を走行風によって速やかに冷却することができるとともに、すり板10Aの表面温度の上昇が抑制されてすり板10Aの全般的な摩耗を抑制することができる。さらに、車両2が停車中であってもすり板10Aを往復駆動させて、トロリ線1aに対するすり板10A側の接触点を変更することができる。その結果、トロリ線1aからすり板10Aに大電流が流れ続けても、トロリ線1aの部分的な温度上昇を抑えることができトロリ線1aの損傷を抑えることができる。
(2) この第1実施形態では、エアシリンダ機構部20がすり板10Aを往復駆動する。このため、例えば、空気圧によって駆動力を発生する簡単な構造の空気圧シリンダなどによって、すり板10Aを簡単に往復駆動することができる。また、作動流体として空気圧を利用するため、特別な絶縁対策を施さずに鉄道用パンタグラフとしての高圧の絶縁を容易に図ることができるとともに、大規模な改造をせずに鉄道車両が備えている圧縮空気圧源を動力として容易に利用することができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図8に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図9に示すすり板組立体9は、すり板10A、導電部11、絶縁断熱部12及びガイド部14のスライド部14fなどが整列された状態で組み立てられている組立品(すり板体)である。ガイド部14は、スライド部14fとガイドレール部14gなどを備えている。ガイド部14は、すり板組立体9側のスライド部14fの下面と舟体枠17の凹状の底部上面とをスライド自在に接触させるとともに、舟体枠17側のガイドレール部14gとすり板組立体9側の絶縁断熱部12とをスライド自在に接触させて、すり板組立体9を移動自在にガイドするガイド装置である。
スライド部14fは、舟体枠17によってガイドされる部材である。スライド部14fは、すり板組立体9の絶縁断熱部12の下面を支持した状態でこのすり板組立体9と一体となってB1,B2方向に往復運動可能な板状部材である。スライド部14fは、舟体枠17の底部上面と干渉しないように固定ボルト15aのボルト頭部を収容する凹部14hと、この凹部14hの中心においてこのスライド部14fを貫通する貫通孔14iなどを備えている。スライド部14fは、絶縁断熱部12の幅よりもこのスライド部14fの幅が広く形成されており、ガイドレール部14gの下面とこのスライド部14fの上面両縁部とが接触することによって、舟体枠17からすり板組立体9が脱落するのを防止している。スライド部14fは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) のようなフッ素樹脂(フッ化炭素樹脂)製のスライド用の摺動絶縁部材である。
ガイドレール部14gは、すり板組立体9の絶縁断熱部12を移動自在にガイドする部材であり、すり板組立体9の移動方向であるB1,B2方向に沿って、舟体枠17の内側側面に取り付けられている板状部材である。ガイドレール部14gは、このガイドレール部14gの舟体枠17と接合する側の表面に、固定部18の固定ねじ18bの雄ねじ部が噛み合う雌ねじ部14jを備えている。ガイドレール部14gは、例えば、スライド部14fと同様にフッ素樹脂製のスライド用の摺動絶縁部材である。
舟体枠17は、固定ねじ18bの頭部を収容する凹部17cと、固定ねじ18bを挿入するために凹部17cの中心においてこの舟体枠17の側面を貫通する貫通孔17dなどを備えている。この発明の第2実施形態では、第1実施形態の効果に加えて、舟体枠17をガイド部14の一部として利用することができるため、集電舟7の構造をより一層簡単にすることができる。
(第3実施形態)
図10及び図11に示す駆動部19は、送りねじ機構部25と、駆動力発生部26と、動作切替部27などを備えている。送りねじ機構部25は、すり板10Aを往復駆動する部材である。送りねじ機構部25は、駆動力発生部26が発生する駆動力による回転運動を直線運動に変換してすり板組立体9を往復運動させる。送りねじ機構部25は、図10〜図12に示すねじ軸25aと、図12に示す鋼球25bと、図10及び図11に示す軸受部25cと、継手部25dと、図10〜図12に示すナット部25eなどを備えている。送りねじ機構部25は、例えば、図12に示すように、ナット部25e内に保持されている多数の鋼球(ボール)25bをねじ軸25aのねじ溝に沿って無限循環運動させることによって、ナット部25eを往復直線運動させるボールねじなどの送り装置である。
図10〜図12に示すねじ軸25aは、外周面にボールねじ溝を有する部材である。ねじ軸25aは、駆動力発生部26が発生する駆動力によって正転及び逆転可能である。ねじ軸25aの外周面には、一方の端部から他方の端部に向かってボールが転動可能な溝が螺旋状に連続して形成されている。図12に示す鋼球25bは、ねじ軸25aとナット部25eとの間の摩擦抵抗を低減する部材である。鋼球25bは、ナット部25eの内周面に形成されたボールねじ溝と、ねじ軸25aの外周面に形成されたボールねじ溝との間を転動しながらナット部25e内部で循環する。図10及び図11に示す軸受部25cは、ねじ軸25aを回転自在に支持する部材である。軸受部25cは、ねじ軸25aの一方の端部と他方の端部とを支持した状態で舟体枠17に取り付けられている。継手部25dは、送りねじ機構部25側のねじ軸25aと駆動力発生部26側の出力軸26aとを接続する部材である。継手部25dは、例えば、駆動力発生部26から送りねじ機構部25に動力を伝達する軸継手などであり、ねじ軸25aと出力軸26aとが一体となって回転するようにこれらを連結する。ナット部25eは、ねじ軸25aの回転動作によって往復運動する部材である。ナット部25eは、すり板組立体9の絶縁断熱部12の下面に取り付けられており、すり板10AをB1,B2方向に往復移動させる。ナット部25eは、図12に示すように、ねじ軸25aが回転自在に貫通する貫通孔を備えており、内部に鋼球25bを循環させる循環機構部を備えており、ねじ軸25aの回転動作に連動してすり板組立体9と一体となって往復運動する。
図10及び図11に示す駆動力発生部26は、送りねじ機構部25のねじ軸25aを回転駆動するための駆動力を発生する部分である。駆動力発生部26は、送りねじ機構部25のねじ軸25aに回転力を伝達する出力軸26aを備えている。駆動力発生部26は、例えば、複数枚のベーンを外周面に有するロータを回転自在に収容するハウジング内に圧縮空気を供給し、この圧縮空気による圧力をベーンに作用させてロータを回転させ、このロータの回転を出力軸26aに伝達する空気圧モータなどのエアモータ装置である。
図10に示す動作切替部27は、出力軸26aを正転動作と逆転動作とに切り替える部分である。動作切替部27は、右側のソレノイドSOL-1が通電状態になると流路が切り替わり、出力軸26aが正転するように、空気圧源24からの空気を正転用空気供給口P1に供給させる。一方、動作切替部27は、左側のソレノイドSOL-2が通電状態になると流路が切り替わり、出力軸26aが逆転するように、空気圧源24からの空気を逆転用空気供給口P2に供給させる。
次に、この発明の第3実施形態に係る集電装置の動作を説明する。
図10に示す動作開始/終了選択部22が動作開始位置に切り替えられると、図示しない電源から制御部23に電力が供給されるとともに、動作切替部27のソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で制御部23が交互に電流を流す。ソレノイドSOL-1に制御部23が電流を流すと、駆動力発生部26の正転用空気供給口P1に空気圧源24から空気が供給される。このため、図10及び図11に示す駆動力発生部26の出力軸26aが正転すると、図10〜図12に示すねじ軸25aも正転してナット部25eがB1方向に移動し、図10及び図11に示すすり板10Aがナット部25eと一体となってB1方向に移動する。
図10及び図11に示すすり板10Aが左側の駆動限界点まで到達すると、ソレノイドSOL-1に流れる電流を制御部23が遮断し、ソレノイドSOL-2に制御部23が電流を流す。ソレノイドSOL-2に制御部23が電流を流すと、駆動力発生部26の逆転用空気供給口P2に空気圧源24から空気が供給される。このため、図10及び図11に示す駆動力発生部26の出力軸26aが逆転すると、図10〜図12に示すねじ軸25aも逆転してナット部25eがB2方向に移動し、図10及び図11に示すすり板10Aがナット部25eと一体となってB2方向に移動する。すり板10Aが右側の駆動限界点まで到達すると、ソレノイドSOL-2に流れる電流を制御部23が遮断し、ソレノイドSOL-1に制御部23が電流を流す。このように、ソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で制御部23が交互に電流を流すことによって、すり板10AがB1,B2方向に往復運動を繰り返し、すり板10Aの局部摩耗が低減する。
この発明の第3実施形態に係る集電装置には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、すり板10Aを送りねじ機構部25が往復駆動し、この送りねじ機構部25のねじ軸25aを回転駆動するための駆動力を駆動力発生部26が発生する。このため、十分な収容空間を確保することが困難な舟体枠17の内部に送りねじ機構部25を配置し、低摩擦の送りねじ機構部25によってすり板10Aを迅速に往復駆動させることができる。
(第4実施形態)
図13及び図14に示す駆動部19は、駆動力発生部26と、動作切替部27と、巻き掛け伝導機構部28と、歯車機構部29などを備えている。図13に示す駆動力発生部26は、巻き掛け伝導機構部28の回転体28aを回転駆動するための駆動力を発生する部分である。動作切替部27は、巻き掛け伝導機構部28の回転体28a,28bを正転動作と逆転動作とに切り替える部分である。動作切替部27は、右側のソレノイドSOL-1が通電状態になると、空気圧源24から正転用空気供給口P1に空気を供給して出力軸26aを正転させ、左側のソレノイドSOL-2が通電状態になると、空気圧源24から逆転用空気供給口P2に空気を供給させて出力軸26aを逆転させる。
図13及び図14に示す巻き掛け伝導機構部28は、すり板10Aを往復駆動する部材であり、図13及び図14に示すように回転体28a,28bと、巻き掛け部材28cなどを備えている。巻き掛け伝導機構部28は、すり板10Aを装着する巻き掛け部材28cを回転体28a,28bに掛けて、この回転体28a,28bを回転駆動することによってこの巻き掛け部材28cを往復駆動する。巻き掛け伝導機構部28は、例えば、回転体28a,28bに屈曲自在な巻き掛け部材28cを巻き付けて、回転体28aの回転を回転体28bに伝達するベルト伝動装置(巻き掛け伝動装置)である。
回転体28a,28bは、巻き掛け部材28cを掛けるための部材である。回転体28a,28bは、巻き掛け部材28cを外周部に巻き付けた状態で水平面内において回転するベルト車であり、舟体枠17の長さ方向に間隔をあけて配置されている。回転体28aは、巻き掛け部材28cを駆動するための駆動力を発生する原動車である。回転体28aは、駆動力発生部26によって回転駆動される原動軸28dを備えており、この原動軸28dは軸受を介して舟体枠17に回転自在に支持されている。回転体28bは、巻き掛け部材28cによって駆動される従動車であり従動軸28eを備えており、この従動軸28eは軸受を介して舟体枠17に回転自在に支持されている。回転体28a,28bは、外周面に巻き掛け部材28c側の歯と噛み合う歯を備えている。
巻き掛け部材28cは、回転体28a,28bに巻き掛けられる部材(巻き掛け媒介節)である。巻き掛け部材28cは、この巻き掛け部材28cの内側表面の平坦面にすり板組立体9の絶縁断熱部12の一方の側面が取り付けられており、すり板10Aを支持した状態で往復運動する。巻き掛け部材28cは、例えば、柔軟で折り曲げが容易であり、比較的小径のプーリに使用可能なタイミングベルト(歯付き伝導ベルト)などである。巻き掛け部材28cは、回転体28a,28b側の歯と噛み合う範囲内でこの巻き掛け部材28cの内側表面の長さ方向に連続して歯を備えている。
歯車機構部29は、駆動力発生部26が発生する駆動力を巻き掛け伝導機構部28に伝達する部材である。歯車機構部29は、互いに直交する駆動力発生部26の出力軸26aと回転体28aの原動軸28dとの間で動力を伝達しており、歯車29aと歯車29bなどを備えている。歯車29aは、駆動力発生部26の出力軸26aと一体となって回転するかさ歯車であり、この出力軸26aに取り付けられている。歯車29bは、歯車29aと噛み合って回転するかさ歯車であり、回転体28aの原動軸28dと一体となって回転するようにこの原動軸28dに取り付けられている。
次に、この発明の第4実施形態に係る集電装置の動作を説明する。
図13に示す動作開始/終了選択部22が動作開始位置に切り替えられると、動作切替部21のソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で制御部23が交互に電流を流す。ソレノイドSOL-1に制御部23が電流を流すと、駆動力発生部26の正転用空気供給口P1に空気圧源24から空気が供給される。このため、図13及び図14に示す駆動力発生部26の出力軸26aが正転すると、歯車29aと歯車29bとが噛み合って、原動軸28dと一体となって回転体28aも正転して、巻き掛け部材28cが駆動する。その結果、図13に示すガイド部14のガイドレール部14bに沿ってすり板組立体9のスライド部14aがスライドし、図13及び図14に示すすり板10AがB1方向に移動する。
図13及び図14に示すすり板10Aが左側の駆動限界点まで到達すると、ソレノイドSOL-1に流れる電流を制御部23が遮断し、ソレノイドSOL-2に制御部23が電流を流す。ソレノイドSOL-2に制御部23が電流を流すと、駆動力発生部26の逆転用空気供給口P2に空気圧源24から空気が供給される。このため、駆動力発生部26の出力軸26aが逆転すると、歯車29aと歯車29bとが噛み合って、原動軸28dと一体となって回転体28aも逆転して、巻き掛け部材28cが駆動する。その結果、図13に示すガイド部14のガイドレール部14bに沿ってすり板組立体9のスライド部14aがスライドし、図13及び図14に示すすり板10AがB2方向に移動する。すり板10Aが右側の駆動限界点まで到達すると、ソレノイドSOL-2に流れる電流を制御部23が遮断し、ソレノイドSOL-1に制御部23が電流を流す。このように、ソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で制御部23が交互に電流を流すことによって、すり板10AがB1,B2方向に往復運動を繰り返し、すり板10Aの局部摩耗が低減する。
この発明の第4実施形態に係る集電装置には、第1実施形態〜第3実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第4実施形態では、すり板10Aを装着する巻き掛け部材28cを回転体28a,28bに掛けて、この回転体28a,28bを回転駆動することによってこの巻き掛け部材28cを巻き掛け伝導機構部28が往復駆動させ、この回転体28a,28bを回転駆動するための駆動力を駆動力発生部26が発生する。このため、十分な収容空間を確保することが困難な舟体枠17の内部に巻き掛け伝導機構部28を水平に配置し、簡単な構造の巻き掛け伝導機構部28によってすり板10Aを確実に往復駆動させることができる。
(第5実施形態)
図15に示す集電装置3は、互いに平行なすり板10A1,10A2とすり板10A3,10A4とを備えており、複数のすり板(すり板片)10A1〜10A4に分割された多分割すり板体である。集電装置3は、例えば、多数のすり板10A1〜10A4に分割することによって、トロリ線1aと接触して加振されるすり板10A1〜10A4の1枚当たりの質量を低減し、トロリ線1aに対する追従性能を向上させた新幹線用(高速用)パンタグラフ集電舟である。すり板10A1〜10A4は、隣接するすり板10A1,10A2同士の干渉を防ぐとともに、隣接するすり板10A3,10A4同士の干渉を防ぐために、集電舟7の長さ方向に沿って所定の間隔(隙間)をあけて一列に配置されている。すり板10A1,10A2は、図6及び図9に示す絶縁断熱部12に支持されており、すり板10A3,10A4はすり板10A1,10A2とは別の絶縁断熱部12に支持されている。連結部10bは、すり板10A1とすり板10A2とが一体となって往復移動するようにこれらを連結する部材であり、連結部10cはすり板10A3とすり板10A4とが一体となって往復移動するようにこれらを連結する部材である。すり板10A1〜10A4は、B1,B2方向に往復移動可能なように、図6及び図9に示すガイド部14によってガイドされている。
駆動部19は、すり板10A1,10A2とすり板10A3,10A4とが互いに逆方向に往復運動するように、このすり板10A1〜10A4を駆動する。駆動部19は、エアシリンダ機構部20と、動作切替部21と、ラックピニオン機構部30などを備えている。エアシリンダ機構部20は、すり板10A1〜10A4を往復駆動するための駆動力を発生する部分である。エアシリンダ機構部20は、ピストンロッド部20bを伸縮することによってすり板10A1,10A2をB1,B2方向に往復駆動し、このすり板10A1,10A2の往復駆動に連動して、このすり板10A1,10A2と逆方向のB1,B2方向にすり板10A3,10A4を往復駆動する。動作切替部21は、右側のソレノイドSOL-1が通電状態になると流路が切り替わり、すり板10A1,10A2がB1方向に駆動し、すり板10A3,10A4がB2方向に駆動するように、ピストンロッド部20bをB1方向に伸長(前進)させる。一方、動作切替部21は、左側のソレノイドSOL-2が通電状態になると流路が切り替わり、すり板10A1,10A2がB2方向に駆動し、すり板10A3,10A4がB1方向に駆動するように、ピストンロッド部20bをB2方向に縮小(後退)させる。
ラックピニオン機構部30は、すり板10A1〜10A4を往復駆動する部材であり、ラック30a,30bとピニオン30cなどを備えている。ラックピニオン機構部30は、ピニオン30cの回転運動をラック30a,30bの直線運動に変換しており、すり板10A1,10A2側のラック30aとすり板10A3,10A4側のラック30bとの間にピニオン30cを噛み合わせて、このすり板10A1,10A2及びすり板10A3,10A4を往復駆動する。ラック30a,30bは、ピニオン30cと噛み合う歯である。ラック30aは、すり板10A1,10A2と一体となって往復移動するように、このすり板10A1,10A2側の図6及び図9に示す絶縁断熱部12の側面に取り付けられており、ラック30bはすり板10A3,10A4と一体となって往復移動するように、このすり板10A3,10A4側の図6及び図9に示す絶縁断熱部12の側面に取り付けられている。ピニオン30cは、ラック30a,30bと噛み合って回転する歯車であり、軸受を介して舟体枠17に回転自在に支持されている。ピニオン30cは、ラック30aとラック30bとの間に挟み込まれるようにこれらのラック30a,30bと噛み合っており、正転及び逆転することによってラック30aとラック30bとを互いに逆方向に移動させる。
次に、この発明の第5実施形態に係る集電装置の動作を説明する。
図15に示す動作開始/終了選択部22が動作開始位置に切り替えられると、動作切替部21のソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で制御部23が交互に電流を流す。ソレノイドSOL-1に制御部23が電流を流すと、エアシリンダ機構部20のピストンロッド部20bがB1方向に伸長して、すり板10A1,10A2がガイドされながらB1方向に駆動する。その結果、すり板10A1,10A2とともにラック30aもB1方向に駆動し、このラック30bと噛み合いながらピニオン30cが反時計回りに回転する。ピニオン30cが反時計回りに回転すると、このピニオン30cとラック30bとが噛み合いながらこのラック30bがB2方向に駆動する。その結果、ラック30bとともにすり板10A3,10A4がガイドされながら、すり板10A1,10A2とは反対方向のB2方向にすり板10A3,10A4が駆動する。
すり板10A1,10A2が左側の駆動限界点まで到達して、すり板10A3,10A4が右側の駆動限界点まで到達すると、ソレノイドSOL-1に流れる電流を制御部23が遮断し、ソレノイドSOL-2に制御部23が電流を流す。ソレノイドSOL-2に制御部23が電流を流すと、エアシリンダ機構部20のピストンロッド部20bがB2方向に縮小して、すり板10A1,10A2がB2方向に駆動する。その結果、すり板10A1,10A2とともにラック30aもB2方向に駆動し、このラック30aと噛み合いながらピニオン30cが時計回りに回転する。ピニオン30cが時計回りに回転すると、このピニオン30cとラック30bとが噛み合いながらこのラック30bがB1方向に駆動する。その結果、すり板10A1,10A2とは反対方向のB1方向に、ラック30bと一体となってすり板10A3,10A4が駆動する。このように、ソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で制御部23が交互に電流を流すことによって、すり板10A1,10A2とすり板10A3,10A4とが互いに逆方向に往復運動を繰り返し、すり板10A1〜10A4の局部摩耗が低減する。
この発明の第5実施形態に係る集電装置には、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第5実施形態では、互いに平行なすり板10A1,10A2及びすり板10A3,10A4が互いに逆方向に往復運動するように、このすり板10A1,10A2及びすり板10A3,10A4を駆動部19が駆動する。このため、車両2の進行方向(A方向)に対して前後に配置されているすり板10A1,10A2及びすり板10A3,10A4を互いに逆方向に往復駆動させることができる。その結果、トロリ線1aとすり板10A1,10A2との間に発生する摩擦力と、トロリ線1aとすり板10A2,10A4との間に発生する摩擦力との作用方向が互いに逆方向になり、トロリ線1aに作用する左右方向の摩擦力が打ち消し合ってこの摩擦力を軽減することができる。
(2) この第5実施形態では、すり板10A1,10A2のラック30aとすり板10A3,10A4側のラック30bとの間にピニオン30cを噛み合わせて、これらのすり板10A1〜10A4をラックピニオン機構部30が往復駆動し、これらのすり板10A1〜10A4を往復駆動するための駆動力をエアシリンダ機構部20が発生する。このため、十分な収容空間を確保することが困難な舟体枠17の内部に、高さが低いラックピニオン機構部30を配置して、簡単な構造のラックピニオン機構部30によってすり板10A1〜10A4を確実に往復駆動させることができる。
(第6実施形態)
図16に示す駆動部19は、エアシリンダ機構部20と、動作切替部21と、滑車機構部31と、張力付与部32などを備えている。エアシリンダ機構部20は、すり板10A1,10A2を往復駆動するための駆動力を発生する部材である。エアシリンダ機構部20は、ピストンロッド部20bを伸縮することによってすり板10A1,10A2をB1,B2方向に往復駆動し、このすり板10A1,10A2の往復駆動に連動して、このすり板10A1,10A2と逆方向のB1,B2方向にすり板10A3,10A4を往復駆動する。動作切替部21は、右側のソレノイドSOL-1が通電状態になると流路が切り替わり、すり板10A1,10A2がB1方向に駆動し、すり板10A3,10A4がB2方向に駆動するように、ピストンロッド部20bをB1方向に伸長(前進)させる。一方、動作切替部21は、左側のソレノイドSOL-2が通電状態になると流路が切り替わり、すり板10A1,10A2がB2方向に駆動し、すり板10A3,10A4がB1方向に駆動するように、ピストンロッド部20bをB2方向に縮小(後退)させる。
滑車機構部31は、すり板10A1〜10A4を往復駆動する部材であり、回転体31aと巻き掛け部材31bなどを備えている。滑車機構部31は、すり板10A1,10A2とすり板10A3,10A4とを連結する巻き掛け部材31bを回転体31aに掛けて、すり板10A1,10A2とすり板10A3,10A4とを往復駆動させる。
回転体31aは、巻き掛け部材31bを掛けるための部材である。回転体31aは、巻き掛け部材31bを外周部に巻き付けた状態で水平面内において回転する滑車(定滑車)である。回転体31aは、巻き掛け部材31bによって駆動される従動車であり従動軸31cを備えており、この従動軸31cは軸受を介して舟体枠17に回転自在に支持されている。回転体31aは、外周面に巻き掛け部材31b側の歯と噛み合う歯を備えている。
巻き掛け部材31bは、回転体31aに巻き掛けられる部材(巻き掛け媒介節)である。巻き掛け部材31bは、すり板10A1,10A2側を支持する図4及び図6に示す絶縁断熱部12と、すり板10A3,10A4側を支持する絶縁断熱部12とを連結する。巻き掛け部材31bは、連結部10bに連結される側とは反対側の絶縁断熱部12の端部に、この巻き掛け部材31bの一方の端部が接続されており、連結部10cに連結される側とは反対側の絶縁断熱部12の端部に、この巻き掛け部材31bの他方の端部が接続されている。巻き掛け部材31bは、例えば、図13及び図14に示す巻き掛け部材28cと同様のタイミングベルト(歯付き伝導ベルト)などである。
張力付与部32は、巻き掛け部材31bが弛まずにすり板10A1,10A2の往復動作に連動してすり板10A3,10A4が往復動作するように、このすり板10A3,10A4に張力を付与する部材である。張力付与部32は、例えば、すり板10A3,10A4に引張力を常に作用させる引張ばねなどの付勢部材である。張力付与部32は、連結部10cに連結される側とは反対側の絶縁断熱部12の端部に、この張力付与部32の一方の端部が接続されており、舟体枠17にこの張力付与部32の他方の端部が接続されている。張力付与部32は、すり板10A3,10A4にB2方向の引張力を作用させるとともに、巻き掛け部材31bを通じてすり板10A1,10A2にB1方向の引張力を作用させる。張力付与部32は、エアシリンダ機構部20のピストンロッド部20bがB1方向に駆動したときに巻き掛け部材31bが弛まないような大きさの引張力(張力)を発生する。
次に、この発明の第6実施形態に係る集電装置の動作を説明する。
図16に示す動作開始/終了選択部22が動作開始位置に切り替えられると、動作切替部21のソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で制御部23が交互に電流を流す。すり板10A3,10A4に張力付与部32が引張力をB2方向に作用させているため、巻き掛け部材31bを通じてすり板10A1,10A2にこの引張力がB1方向に作用する。このため、ソレノイドSOL-1に制御部23が電流を流すと、エアシリンダ機構部20のピストンロッド部20bがB1方向に伸長して、図4及び図6に示すガイド部14によってすり板10A1,10A2がガイドされながらB1方向に駆動する。このとき、張力付与部32が巻き掛け部材31bにB2方向に引張力を作用させているため、巻き掛け部材31bが弛まずに回転体31aが反時計回りに回転する。その結果、すり板10A1,10A2のB1方向への移動に連動して、このすり板10A1,10A2とは反対方向のB2方向にすり板10A3,10A4が移動する。
すり板10A1,10A2が左側の駆動限界点まで到達し、すり板10A3,10A4が右側の駆動限界点まで到達すると、ソレノイドSOL-1に流れる電流を制御部23が遮断し、ソレノイドSOL-2に制御部23が電流を流す。ソレノイドSOL-2に制御部23が電流を流すと、エアシリンダ機構部20のピストンロッド部20bがB2方向に縮小して、張力付与部32が発生する引張力に抗してすり板10A1,10A2がガイドされながらB2方向に駆動する。すり板10A3,10A4に張力付与部32が引張力をB2方向に作用させており、すり板10A1,10A2にエアシリンダ機構部20が駆動力をB1方向に作用させている。このため、巻き掛け部材31bが弛まずに回転体31aが時計回りに回転し、すり板10A1,10A2のB2方向への移動に連動して、張力付与部32が発生する引張力に抗して、このすり板10A1,10A2とは反対方向のB1方向にすり板10A3,10A4が移動する。このように、ソレノイドSOL-1,SOL-2に所定の時間間隔で制御部23が交互に電流を流すことによって、すり板10A1,10A2とすり板10A3,10A4とが互いに逆方向に往復運動を繰り返し、すり板10A1〜10A4の局部摩耗が低減する。
この発明の第6実施形態に係る集電装置には、第1実施形態〜第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第6実施形態では、すり板10A1,10A2とすり板10A3,10A4とを連結する巻き掛け部材31bを回転体31aに掛けて、これらのすり板10A1〜10A4を滑車機構部31が往復駆動する。また、この第6実施形態では、すり板10A1,10A2を往復駆動するための駆動力をエアシリンダ機構部20が発生し、このすり板10A1,10A2の往復動作に連動して巻き掛け部材31bが弛まずにすり板10A3,10A4が往復動作するように、このすり板10A3,10A4に張力付与部32が張力を付与する。このため、十分な収容空間を確保することが困難な舟体枠17の内部に、高さが低い滑車機構部31を水平に配置して、簡単な構造の滑車機構部31によってすり板10A1〜10A4を確実に往復駆動させることができる。
(第7実施形態)
図17及び図18に示す導電レール1bは、集電装置33の集電靴10Dが摺動する電車線路(第三軌条式電車線路(第三レール))であり、支持碍子によって支持された状態で軌道の側方に沿って軌道と平行に敷設されている。導電レール1bは、鉄道車両の車輪を支持する通常の走行用レールとは異なり、車両に電力を供給するための集電用レールであり、車両に負荷電流を供給することを目的として使用される。
集電靴10Dは、導電レール1bと摺動する部材である。集電靴10Dは、鋳鉄製又は鋳鋼製の板状部材であり、図2に示すすり板10Aと同様に導電部11上に直線状に並べて配置されている。集電靴8Bは、軌道上を走行する台車に集電装置33によって絶縁材を介して取り付けられており、図示しないばねによって導電レール1bに押し付けられている。集電靴10Dは、図18に示すガイド部14によって移動自在にガイドされており、図17に示す駆動部19によって導電レール1bに対してB1,B2方向に往復運動しながら接触するように駆動される。
図17及び図18に示す集電装置33は、導電レール1bと摺動する集電靴10Dによってこの導電レール1bから集電する装置である。集電装置33は、導電レール1bから電力を導く集電機能を有するとともに、導電レール1b上で集電靴10Dを往復運動させる往復運動機能を有する。図17及び図18に示す集電装置33は、導電レール1bの長さ方向(A方向)と直交するB1,B2方向に集電靴10Dを移動させながら、導電レール1bの頭頂面に集電靴10Dの下面を摺動させて集電する第三軌条式集電装置である。
この発明の第7実施形態に係る集電装置には、第1実施形態〜第6実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第7実施形態では、導電レール1bと摺動する集電靴10Dを駆動部19が駆動する。このため、集電靴10Dを略均一に摩耗させることができ、この集電靴10Dに局部摩耗が発生するのを防止することができる。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、鉄道車両の集電装置3,33を例に挙げて説明したが、運搬機械又はエレベータなどのような移動体の集電装置、高速で摺動しながら種々の試験を実施する集電試験機の集電装置などについてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、シングルアーム式の集電装置3及び第三軌条方式の集電装置33を例に挙げて説明したが、菱型又は翼型などの他の形式の集電装置についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、電車線がトロリ線1a及び導電レール1bである場合を例に挙げて説明したが、アルミ合金又は導電鋼などの剛体を電車線に使用する剛体ちょう架式電車線路の剛体電車線などについてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、車両2がA方向に移動する場合を例に挙げて説明したが、車両2がA方向とは逆方向に移動する場合についてもこの発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、すり板10A,10A1〜10A4及び集電靴10Dを所定の速度で往復駆動する場合を例に挙げて説明したが、これらを任意の速度で駆動することもできる。例えば、すり板10A,10A1〜10A4及び集電靴10Dの駆動速度を車両2の速度に応じて可変するために、この車両2の速度を検出する速度検出部が出力する速度検出信号に基づいて、すり板10A,10A1〜10A4及び集電靴10Dの駆動速度を最適な速度に自動で設定することもできる。また、すり板10A,10A1〜10A4及び集電靴10Dの駆動速度を任意の速度に車両2の運転者が手動で設定することもできる。この場合には、すり板10A,10A1〜10A4及び集電靴10Dの駆動速度を任意の速度に設定する動作設定部が出力する動作設定情報に基づいて、すり板10A,10A1〜10A4及び集電靴10Dが往復駆動するように、駆動部19,23〜26を制御部23によって制御することができる。
(3) この第1実施形態、第2実施形態及び第5実施形態〜第7実施形態では、作動流体として空気を使用するエアシリンダを例に挙げて説明したがエアシリンダに限定するものではない。例えば、作動流体として油を使用する油圧シリンダについてもこの発明を適用することができる。同様に、空気圧シリンダなどの流体圧シリンダ以外にリニアモータ、超音波モータなどの電動アクチュエータをこの発明適用することができる。また、この第3実施形態及び第4実施形態では、駆動力発生部26が空気圧モータである場合を例に挙げて説明したが、電動モータなどの回転式アクチュエータを使用することもできる。
(4) この第4実施形態及び第6実施形態では、巻き掛け部材28c,31bがタイミングベルトである場合を例に挙げて説明したが、ワイヤ、ロープ又はチェーンなどの他の巻き掛け部材を使用しることもできる。また、この第5実施形態では、すり板10A1,10A2をエアシリンダ機構部20によって往復駆動する場合を例に挙げて説明したが、エアモータ又は電動モータなどによってピニオン30cを正転及び逆転させて、すり板10A1,10A2及びすり板10A3,10A4を往復駆動することもできる。さらに、この第5実施形態では、すり板10A1,10A2をエアシリンダ機構部20によって往復駆動する場合を例に挙げて説明したが、すり板10A3,10A4をエアシリンダ機構部20によって往復駆動することもできる。
(5) この第5実施形態及び第6実施形態では、複数のすり板10A1〜10A4に分割されている場合を例に挙げて説明したが、すり板10A1,10A2を一体に形成するとともに、すり板10A3,10A4を一体に形成することもできる。また、この第7実施形態では、集電靴10Dをエアシリンダ機構部20によって駆動する場合を例に挙げて説明したが、集電靴10Dを送りねじ機構部25、巻き掛け伝導機構部28、ラックピニオン機構部30又は滑車機構部31によって駆動することもできる。
1 架線(電車線路)
1a トロリ線(電車線)
1b 導電レール(電車線)
2 車両
2a 車体
3 集電装置
7 集電舟
9 すり板組立体
10A〜10C すり板(摺動部)
10D 集電靴(摺動部)
10A1,10A2 すり板(第1の摺動部)
10A3,10A4 すり板(第2の摺動部)
11 導電部
12 絶縁断熱部
13A,13B 通電部
14 ガイド部
15,16 固定部
17 舟体枠
18 固定部
19 駆動部
20 エアシリンダ機構部
21 動作切替部
22 動作開始/終了選択部
23 制御部
24 空気圧源
25 送りねじ機構部
25a ねじ軸
26 駆動力発生部
27 動作切替部
28 巻き掛け伝導機構部
28a,28b 回転体
28c 巻き掛け部材
29 歯車機構部
30 ラックピニオン機構部
30a,30b ラック
30c ピニオン
31 滑車機構部
31a 回転体
31b 巻き掛け部材
32 張力付与部
33 集電装置

Claims (8)

  1. トロリ線と摺動する摺動部によってこのトロリ線から集電する集電装置であって、
    前記摺動部は、前記トロリ線と摺動するすり板であり、
    前記トロリ線に対して略直交する方向、かつ、前記すり板とこのトロリ線とを結ぶ方向と直交する方向このすり板が往復運動しながら接触するように、このすり板を駆動する駆動部を備えること、
    を特徴とする集電装置。
  2. 導電レールと摺動する摺動部によってこの導電レールから集電する集電装置であって、
    前記摺動部は、前記導電レールと摺動する集電靴であり、
    前記導電レールに対して略直交する方向、かつ、前記集電靴とこの導電レールとを結ぶ方向と直交する方向この集電靴が往復運動しながら接触するように、この集電靴を駆動する駆動部を備えること、
    を特徴とする集電装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の集電装置において、
    前記駆動部は、前記摺動部を往復駆動するエアシリンダ機構部を備えること、
    を特徴とする集電装置。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の集電装置において、
    前記駆動部は、
    前記摺動部を往復駆動する送りねじ機構部と、
    前記送りねじ機構部のねじ軸を回転駆動するための駆動力を発生する駆動力発生部とを備えること、
    を特徴とする集電装置。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の集電装置において、
    前記駆動部は、
    前記摺動部を装着する巻き掛け部材を回転体に掛けて、この回転体を回転駆動することによってこの巻き掛け部材を往復駆動する巻き掛け伝導機構部と、
    前記回転体を回転駆動するための駆動力を発生する駆動力発生部とを備えること、
    を特徴とする集電装置。
  6. 請求項1又は請求項2に記載の集電装置において、
    前記摺動部は、互いに平行な第1及び第2の摺動部を備え、
    前記駆動部は、前記第1及び前記第2の摺動部が互いに逆方向に往復運動するようにこの第1及びこの第2の摺動部を駆動すること、
    を特徴とする集電装置。
  7. 請求項に記載の集電装置において、
    前記駆動部は、
    前記第1の摺動部側のラックと前記第2の摺動部側のラックとの間にピニオンを噛み合わせて、この第1及びこの第2の摺動部を往復駆動するラックピニオン機構部と、
    前記第1及び前記第2の摺動部を往復駆動するための駆動力を発生する駆動力発生部とを備えること、
    を特徴とする集電装置。
  8. 請求項に記載の集電装置において、
    前記駆動部は、
    前記第1の摺動部と前記第2の摺動部とを連結する巻き掛け部材を回転体に掛けて、この第1及びこの第2の摺動部を往復駆動する滑車機構部と、
    前記第1の摺動部を往復駆動するための駆動力を発生する駆動力発生部と、
    前記巻き掛け部材が弛まずに前記第1の摺動部の往復動作に連動して前記第2の摺動部が往復動作するように、この第2摺動部に張力を付与する張力付与部とを備えること、
    を特徴とする集電装置。
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