JP5831022B2 - インクジェット印刷インク用バインダーの製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、前記インク組成物であっても、産業界から求められる非常に高いレベルの吐出性や配合安定性には、あと一歩及ぶものではなく、長期間にわたって使用した場合に経時的なインク吐出ノズルの詰まり等を引き起こす場合があった。
一方、インクジェット印刷物の使用分野が広範となるのに伴い、より一層の高いレベルの耐擦過性が求められるなかで、前記文献1に記載されたようなインク組成物では、例えば極所的に強い外力が加わった場合等に、依然として顔料の脱落等に起因した印刷画像の色落ちや劣化や損傷を引き起こす場合があった。また、前記インク組成物を用いて印刷して得られた印刷物は、その表面に、例えばアルカリ性洗浄剤等が付着した場合に、印字表面に浮きやにじみが発生するという問題があった。
また、前記製造方法を採用するとともに、バインダーとして、ポリウレタンとエポキシ化合物とを反応させることによって粒子内架橋が進行した複合樹脂粒子が水系媒体に分散したインクジェット印刷インク用バインダーを用いた場合に、インクの良好な吐出安定性や配合安定性を損なうことなく、耐擦過性や耐アルカリ性を向上できることを見出した。
親水性基含有ポリオール(a1−1)を含むポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを有機溶剤(D)中または無溶剤下で反応させポリウレタン(A1)を得、必要に応じ有機溶剤(D)を供給することによって前記ポリウレタン(A1)の有機溶剤(D)溶液[I]を製造する工程(1)、
前記有機溶剤(D)溶液[I]と、前記エポキシ化合物(A2)と前記アセチレン化合物(B)と前記水系媒体(C)とを混合することによって、前記ポリウレタン(A1)と前記エポキシ化合物(A2)とが反応し形成した複合樹脂粒子(A3)を含む混合物[II]を製造する工程(2)、及び、
前記混合物[II]中に含まれる有機溶剤(D)の一部または全部を除去する工程(3)を含み、
前記親水性基含有ポリオール(a1−1)が、2,2’−ジメチロールプロピオン酸であり、
前記ポリオール(a1)が、さらに数平均分子量500〜7000のポリエーテルポリオールを含むものであり、
前記ポリイソシアネート(a2)が、イソホロンジイソシアネートであり、
前記エポキシ化合物(A2)が、100〜2000のエポキシ当量を有するものであり、
前記工程(2)が、前記ポリウレタン(A1)の有するカルボキシル基、カルボキシレート基またはアミノ基である官能基[X]と前記エポキシ化合物(A2)の有するエポキシ基[Y]とを反応させることによって複合樹脂(A3)を含む混合物[II]を製造する工程であり、
前記複合樹脂(A3)を構成する、前記ポリウレタン(A1)の有する前記官能基[X]と前記エポキシ化合物(A2)の有する前記エポキシ基[Y]とのモル比[エポキシ基[Y]/官能基[X]]が1/20〜1/1となる範囲であり、
前記アセチレン化合物(B)が、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物であることを特徴とするインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法に関するものである。
前記工程(1)は、親水性基含有ポリオール(a1−1)を含むポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを有機溶剤(D)中または無溶剤下で反応させポリウレタン(A1)を得、必要に応じ有機溶剤(D)を供給することによってポリウレタン(A1)の有機溶剤(D)溶液[I]を製造する工程である。
また、前記親水性基含有ポリオール(a1−1)と前記ポリイソシアネート(a2)とを無溶剤下で反応させることによってウレタンプレポリマー(A1−1)を製造し、次いで、前記ウレタンプレポリマー(A1−1)と、前記官能基[X]含有ポリオール(a1−2)やその他のポリオール(a1−3)や有機溶剤(D)を含む混合物とを混合し反応させることによってポリウレタン(A1)の有機溶剤(D)溶液[I]を製造することもできる。
前記片末端に2個以上の水酸基を有するビニル重合体としては、具体的には、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール等のチオグリセリンの存在下でカルボキシル基を含有するビニル単量体を重合して得られるものを好適に使用できる。
前記官能基[X]含有ポリオール(a1−2)は、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)との合計質量に対して、0.5質量%〜35質量%の範囲で使用することが好ましい。
また、前記官能基[X]を有するポリオールを使用する場合には、前記親水性基含有ポリオール(a1−1)やその他のポリオール(a1−3)等を必ずしも使用する必要はない。しかし、水系媒体(C)中における良好な保存安定性や印刷画像の優れた耐擦過性等の諸特性を付与する観点から、前記官能基[X]含有ポリオール(a1−2)を使用する場合であっても、前記親水性基含有ポリオール(a1−1)やその他のポリオール(a1−3)を組み合わせ使用することが好ましい。
前記アミノ基含有化合物としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等を使用することができる。
前記工程(2)は、前記工程(1)で得られたポリウレタン(A1)の有機溶剤(D)溶液[I]と、前記エポキシ化合物(A2)と前記アセチレン化合物(B)と前記水系媒体(C)と、必要に応じてその他の添加剤とを混合することによって、前記ポリウレタン(A1)と前記エポキシ化合物(A2)とが反応し形成した複合樹脂粒子(A3)を含む混合物[II]を製造する工程である。
ここで、前記アセチレン化合物(B)を前記工程(2)で使用せず、その全量を、従来技術のように、インクジェット印刷インク用バインダーと顔料等とを混合しインクを製造する際に混合、使用して得られたインクジェット印刷用インクは、本願発明の製造方法で得られたインクジェット印刷インク用バインダーを用いて得られたインクジェット印刷用インクと比較して、長期間の保存によって分離を引き起こしたり、長期間の印刷によってインク吐出ノズルの詰まりやインク吐出方向の異常を引き起こす場合がある。
前記アセチレンモノアルコールは、アセチレン基と1個の水酸基を有する化合物であって、例えば下記一般式(3)で示される構造を有する化合物を使用することができる。
前記アセチレングリコールは、アセチレン基と2個の水酸基を有する化合物であって、例えば下記一般式(1)や(2)で示される化合物を使用することができる。
前記したなかでも、アセチレングリコールを使用することが、インクの優れた配合安定性、及びインクの優れた吐出安定性を長期間維持できるため好ましい。
前記エポキシ化合物(A2)は、前記アセチレン化合物(B)や前記水系媒体(C)とともに、前記有機溶剤(D)溶液[I]と混合してもよく、また、前記アセチレン化合物(B)や前記水系媒体(C)よりも先に、前記有機溶剤(D)溶液[I]と混合してもよい。とりわけ、前記有機溶剤(D)溶液[I]と前記水系媒体(C)とを混合することによって、ポリウレタン(A1)と有機溶剤(D)と前記水系媒体(C)を含み前記ポリウレタン(A1)が前記水系媒体(C)中に分散または溶解した混合物[II’]と、前記エポキシ化合物(A2)と前記アセチレン化合物(B)とを混合することが好ましい。その際、前記エポキシ化合物(A2)と前記アセチレン化合物(B)を、前記混合物[II’]へ供給する順序は任意である。
前記工程(3)は、前記工程(1)及び(2)を経ることで得られた前記混合物[II]中に含まれる有機溶剤(D)の一部または全部を除去する工程である。
これにより、前記混合物[II]中に含まれる有機溶剤(D)を、より好ましくは99質量%以上を、特に好ましくは実質的に全て除去することが可能となる。
本発明の製造方法によって得られたインクジェット印刷インク用バインダーは、インクの吐出安定性や配合安定性に優れたインクジェット印刷用インクの製造に使用することができる。
前記無機顔料としては、例えば酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等を使用することができる。
(w1)顔料及び高分子分散剤等の添加剤を2本ロールやミキサー等を用いて予備混練して得られた混練物と、水系媒体とを各種の分散装置を用いて混合することによって顔料を含む水系分散体からなるインク前駆体を調製する方法。
(w2)顔料と高分子分散剤を各種の分散装置を用いて混合した後、前記高分子分散剤の溶解性をコントロールすることによって該高分子分散剤を前記顔料の表面に堆積させ、更に分散装置を用いてそれらを混合することで顔料を含む水系分散体からなるインク前駆体を調製する方法。
(w3)顔料と前記添加物とを各種の分散装置を用いて混合し、次いで前記混合物と樹脂エマルジョンとを分散装置を用いて混合することによって顔料を含む水系分散体からなるインク前駆体を調製する方法。
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「エクセノール2020」旭硝子株式会社製のポリプロピレングリコール、数平均分子量2000)300.6質量部、2,2’―ジメチロールプロピオン酸24.2質量部、1,4―シクロヘキサンジメタノール40.0質量部及びイソホロンジイソシアネート135.2質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン214.3質量部の存在下で5時間反応させた。
得られたポリウレタン(A1−1)の水分散体にエポキシ樹脂(「エピクロン850」DIC株式会社製のエポキシ樹脂であるビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量188)8.1質量部を加え、80℃で6時間反応させることで複合樹脂粒子(A3−1)とメチルエチルケトンと水とを含み、前記複合樹脂粒子(A3−1)が前記水中に分散又は溶解した混合物(II’−1)を得た。
次いで、水を加えることによって不揮発分を調整することにより、不揮発分25質量%のインクジェット印刷インク用バインダー(III−1)1000質量部を得た。
前記で得たポリウレタンの有機溶剤溶液(A1−1)483.8質量部に20質量%アンモニア水溶液を7.3質量部加えることで、前記ポリウレタンが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水887.9質量部を加え十分に攪拌することによって、ウレタン樹脂(A1−2)を得た。
得られたポリウレタン(A1−2)の水分散体にエポキシ樹脂(「エピクロン850」DIC株式会社製のエポキシ樹脂であるビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量188)8.1質量部を加え、80℃で6時間反応させることで複合樹脂粒子(A3−2)とメチルエチルケトンと水とを含み、前記複合樹脂粒子(A3−2)が前記水中に分散又は溶解した混合物(II’−2)を得た。
次いで、水を加えることによって不揮発分を調整することにより、不揮発分25質量%のインクジェット印刷インク用バインダー(III−2)1000質量部を得た。
前記実施例1で得た混合物(II’−1)を、約2時間エージングした後、前記混合物(II’−1)中にサーフィノール440(エアープロダクツ社製)0.04質量部を加え、約20分攪拌することにより混合物(II−3)を得、該混合物(II−3)を約1〜50kPaの減圧条件下で蒸留した。
前記実施例1で得た混合物(II’−1)を、約2時間エージングした後、前記混合物(II’−1)中にサーフィノール440(エアープロダクツ社製)0.13質量部を加え、約20分攪拌することにより混合物(II−4)を得、該混合物(II−4)を約1〜50kPaの減圧条件下で蒸留した。
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「エクセノール2020」旭硝子株式会社製のポリプロピレングリコール、数平均分子量2000)146.9質量部、2,2’―ジメチロールプロピオン酸29.3質量部、1,4―シクロヘキサンジメタノール0.3質量部及びイソホロンジイソシアネート65.4質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン103.7質量部の存在下で5時間反応させた。
反応物の重量平均分子量が20000から50000の範囲に達した時点で、メタノール1.9質量部投入することで反応を終了し、更に希釈溶剤としてメチルエチルケトン136.3質量部を追加することで、酸価50のポリウレタンの有機溶剤溶液(A1’−5)(不揮発分50質量%)483.8質量部を得た。
前記で得たポリウレタンの有機溶剤溶液(A1’−5)に20質量%アンモニア水溶液を18.3質量部加えることで、前記ポリウレタンが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水975.0質量部を加え十分に攪拌することによって、ウレタン樹脂(A1−5)を得た。
得られたポリウレタン(A1−5)の水分散体にエポキシ樹脂(「エピクロン850」DIC株式会社製のエポキシ樹脂であるビスフェノールA型ジグリシジルエーテル、エポキシ当量188)8.1質量部を加え、80℃で6時間反応させることで複合樹脂粒子(A3−5)とメチルエチルケトンと水とを含み、前記複合樹脂粒子が前記水中に分散又は溶解した混合物(II’−5)を得た。
次いで、水を加えることによって不揮発分を調整することにより、不揮発分25質量%のインクジェット印刷インク用バインダー(III−5)1000質量部を得た。
温度計、窒素ガス導入管及び攪拌機を備えた窒素置換された容器中にメチルエチルケトン80.2質量部を加え、該メチルエチルケトン中で、2,2’−ジメチロールプロピオン酸23.0質量部及びイソホロンジイソシアネート42.4質量部を混合し、80℃で4時間反応させた。4時間後、メチルエチルケトンを更に47.7質量部を供給し、60℃以下に冷却した後、ポリエーテルポリオール(「PTMG2000」三菱化学株式会社製のポリオキシテトラメチレングリコール、数平均分子量1000)175.2質量部を80℃で反応を継続させた。
反応物の重量平均分子量が20000から50000の範囲に達したことを確認した後、メタノール1.7質量部を投入することによって反応を終了した。次いで、メチルエチルケトン51.9質量部を追加することによってウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、混合物(II’−6)を約2時間エージングした後、約20分攪拌し、該混合物(II’−6)を約1〜50kPaの減圧条件下で蒸留した。
前記混合物(II’−6)中に含まれるメチルエチルケトンの180質量部と、前記混合物(II’−6)中に含まれる水の185質量部とを除去したことを確認し、前記減圧蒸留を終了した。
次いで、水を加えることによって不揮発分を調整することにより、不揮発分25質量%のインクジェット印刷インク用バインダー(III’−6)1000質量部を得た。
前記混合物(II’−6)を約2時間エージングした後、前記混合物(II’−6)中にノプコ8034L(サンノプコ製:シリコーン鉱物油系消泡剤)0.09質量部を加え、約20分攪拌することにより混合物(II’−7)を得、該混合物(II’−7)を約1〜50kPaの減圧条件下で蒸留した。
前記混合物(II’−7)中に含まれるメチルエチルケトンの180質量部を除去したことを確認した後、減圧下でノプコ8034L(サンノプコ製:シリコーン鉱物油系消泡剤)0.04質量部を追加し、減圧蒸留を継続した。前記混合物(II’−7)中に含まれる水の185質量部を除去できたことを確認し、減圧蒸留を終了した。
次いで、水を加えることによって不揮発分を調整することにより、不揮発分25質量%のインクジェット印刷インク用バインダー(III’−7)1000質量部を得た。
前記で得たインクジェット印刷インク用バインダー中の残留しうる溶剤(メチルエチルケトン)の量は、ガスクロマトグラフ(株式会社 島津製作所製の「GC−2014」)を用いて測定した。
○:残留有機溶剤量が100ppm未満で、かつ減圧蒸留時間が5時間以内であったもの。
△:残留有機溶剤量が100ppm未満または減圧蒸留時間が5時間以内であったもの。
×:残留有機溶剤量が100ppm以上で、かつ、減圧蒸留時間が5時間を越えたもの。
ビニル重合体(スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/13(質量比)であり、重量平均分子量が11000、酸価156mgKOH/g)を1500g、キナクリドン系顔料(クロモフタールジェットマジェンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を4630g、フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数が1.4)を380g、ジエチレングリコールを2600g、及び34質量%水酸化カリウム水溶液688gを、容量50LのプラネタリーミキサーPLM−V−50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21回転/分,公転回転数:14回転/分)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35回転/分,公転回転数:24回転/分)に切り替え、4時間、混練を継続した。
インクジェット印刷用インクの全量に対してキナクリドン系顔料の濃度が4質量%で、かつ複合樹脂粒子(A3)の濃度が1質量%となるよう、前記実施例1〜5及び比較例1〜2で得たインクジェット印刷インク用バインダー(III−1)〜(III−5)、(III’−1)〜(III’−2)のいずれかと、調製例1で得たキナクリドン系顔料の水分散体と、2−ピロリジノンと、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、グリセリンと、界面活性剤(サーフィノール440、エアープロダクツ社製)とイオン交換水とを、下記配合割合にしたがって混合、攪拌することによって、それぞれインクジェット印刷用インク(IV−1)〜(IV−5)、(IV’−1)〜(IV’−2)を調製した。
・調製例1で得たキナクリドン系顔料水系分散体(顔料濃度14.9質量%);26.8g
・2−ピロリジノン;8.0g
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル;8.0g
・グリセリン;3.0g
・界面活性剤(サーフィノール440、エアープロダクツ社製);0.5g
・イオン交換水;48.7g
・前記実施例1〜5及び比較例1〜2で得たインクジェット印刷インク用バインダー;4.0g
インクの配合安定性は、前記で得たインクジェット印刷用インクの粘度と、該インク中の分散粒子の粒子径に基づいて評価した。
[粘度に基づくインクの配合安定性(I)の評価方法]
前記で得たインクジェット印刷用インクの初期粘度を、東機産業(株)製のVISCOMETER TV−22を用いて測定した。次いで、前記インクをスクリュー管等のガラス容器に密栓し、70℃の恒温器で6週間の加熱試験を行った後の前記インクの粘度を、前記と同様の方法で測定した。
前記加熱試験前後のインクの粘度変化を、下記式(I)により算出し評価した。
[{(加熱試験後のインク中の分散粒子の粒子径)−(加熱試験前のインク中の分散粒子の粒子径)}/(加熱試験前のインク中の分散粒子の粒子径)]×100
○: 粒子径の変化の割合が、3%未満
△: 粒子径の変化の割合が、3%以上10%未満
×: 粒子径の変化の割合が、10%以上
前記で得たインクジェット印刷用インク中に含まれる分散粒子の粒子径を、日機装(株)社製のマイクロトラック UPA EX150を用いて測定した。次いで、前記インクをスクリュー管等のガラス容器に密栓し、70℃の恒温器で6週間の加熱試験を行った後の前記インク中に含まれる分散粒子の粒子径を、前記と同様の方法で測定した。
前記加熱試験前後のインク中に含まれる分散粒子の粒子径変化を、下記式(II)により算出し評価した。
[{(加熱試験後のインクの粘度)−(加熱試験前のインクの粘度)}/(加熱試験前のインクの粘度)]×100
○: 粘度の変化の割合が、2%未満
△: 粘度の変化の割合が、2%以上5%未満
×: 粘度の変化の割合が、5%以上
前記のインクジェット印刷用インクを黒色インクカートリッジに充填したPhotosmart D5360(ヒューレットパッカード社製)にて、診断ページを印刷しノズルの状態を確認した。1ページあたり18cm×25cmの領域の印字濃度設定100%のベタ印刷を連続で20ページ実施した後、再度診断ページを印刷しノズルの状態を確認した。連続ベタ印刷の前後でのノズルの状態変化をインク吐出安定性として評価した。評価基準を以下に記す。
◎:ノズルの状態に変化がなく、吐出異常が発生していないもの
○:ノズルへの若干のインクの付着が確認されたものの、インクの吐出方向の異常は発生していないもの
△:前記ベタ印刷を連続で20ページ実施した後に、インクの吐出方向の異常やインクの不吐出が生じたもの
×:印刷途中でインクの吐出方向の異常やインクの不吐出が生じ、連続して20ページの印刷を完了できなかったもの
(耐擦過性)
写真印刷用紙(光沢)[HPアドバンスフォト用紙 ヒューレットパッカード社製]の印刷面に、市販のサーマルジェット方式インクジュットプリンター(Photosmart D5360;ヒューレットパッカード社製)を用い、前記インクを黒色インクカートリッジに充填し、印字濃度設定100%のベタ印刷を行うことで評価用印刷物を得た。
A: 印刷面に傷は全くなく、印材の剥離等もみられなかった。
B: 印刷面に若干の傷が発生したものの実用上問題ない程度であり、色材の剥離等もみられなかった。
C: 印刷面に若干の傷が発生し、かつ、色材の剥離等もみられた。
D: 印刷面の約50%以上の範囲で著しい傷が発生し、かつ、色材の剥離等もみられた。
(耐アルカリ性)
前記評価用印刷物を常温下で10分間乾燥した後、印刷面に、0.5質量%KOH水溶液をスポイトで3滴滴下し、10秒後に印刷面を指で擦過し、該印刷面の表面状態を目視で評価した。評価基準を以下に記す。なお、インクの吐出安定性が不十分であるため、前記評価用印刷物が得られず、本評価を行うことができなかったものについては表中に「−」と記した。
A: 印刷面に色材等の剥がれは全くみられず、印刷面の変色もみられなかった。
B: 印刷面に色材等の剥がれはみられなかったが、印刷面の変色が僅かに発生した。
C: 印刷面に色材等の若干の剥がれが発生し、かつ、印刷面の変色も発生した。
D: 印刷表面の約50%以上の範囲にわたって色材等の著しい剥がれが発生し、かつ、印刷面の変色も発生した。
前記評価用印刷物を常温下で10分間乾燥した後、印刷面に、5質量%エタノール水溶液をスポイトで3滴滴下し、10秒後に印刷面を指で擦過し、該印刷面の表面状態を目視で評価した。評価基準を以下に記す。なお、インクの吐出安定性が不十分であるため、前記評価用印刷物が得られず、本評価を行うことができなかったものについては表中に「−」と記した。
A: 印刷面に色材等の剥がれは全くみられず、印刷面の変色もみられなかった。
B: 印刷面に色材等の剥がれはみられなかったが、印刷面の変色が僅かに発生した。
C: 印刷面に色材等の若干の剥がれが発生し、かつ、印刷面の変色も発生した。
D: 印刷表面の約50%以上の範囲にわたって色材等の著しい剥がれが発生し、かつ、印刷面の変色も発生した。
Claims (10)
- ポリウレタン(A1)とエポキシ化合物(A2)とが反応し形成した複合樹脂粒子(A3)と、アセチレン化合物(B)と、水系媒体(C)とを含有するインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法であって、前記製造方法が、
親水性基含有ポリオール(a1−1)を含むポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを有機溶剤(D)中または無溶剤下で反応させポリウレタン(A1)を得、必要に応じ有機溶剤(D)を供給することによって前記ポリウレタン(A1)の有機溶剤(D)溶液[I]を製造する工程(1)、
前記有機溶剤(D)溶液[I]と、前記エポキシ化合物(A2)と前記アセチレン化合物(B)と前記水系媒体(C)とを混合することによって、前記ポリウレタン(A1)と前記エポキシ化合物(A2)とが反応し形成した複合樹脂粒子(A3)を含む混合物[II]を製造する工程(2)、及び、
前記混合物[II]中に含まれる有機溶剤(D)の一部または全部を除去する工程(3)を含み、
前記親水性基含有ポリオール(a1−1)が、2,2’−ジメチロールプロピオン酸であり、
前記ポリオール(a1)が、さらに数平均分子量500〜7000のポリエーテルポリオールを含むものであり、
前記ポリイソシアネート(a2)が、イソホロンジイソシアネートであり、
前記エポキシ化合物(A2)が、100〜2000のエポキシ当量を有するものであり、
前記工程(2)が、前記ポリウレタン(A1)の有するカルボキシル基、カルボキシレート基またはアミノ基である官能基[X]と前記エポキシ化合物(A2)の有するエポキシ基[Y]とを反応させることによって複合樹脂(A3)を含む混合物[II]を製造する工程であり、
前記複合樹脂(A3)を構成する、前記ポリウレタン(A1)の有する前記官能基[X]と前記エポキシ化合物(A2)の有する前記エポキシ基[Y]とのモル比[エポキシ基[Y]/官能基[X]]が1/20〜1/1となる範囲であり、
前記アセチレン化合物(B)が、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物であることを特徴とするインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法。 - 前記工程(3)が、前記混合物[II]中に含まれる有機溶剤(D)の一部または全部とともに、前記水系媒体(C)の一部を除去する工程であって、除去される前記水系媒体(C)の質量が、前記混合物[II]中に含まれる前記有機溶剤(D)の全質量の50質量%〜300質量%と同質量である、請求項1に記載のインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法。
- 前記アセチレン化合物(B)の使用量が、前記複合樹脂粒子(A3)100質量部に対して0.001質量部〜0.5質量部である、請求項1に記載のインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法。
- 前記アセチレン化合物(B)の60質量%〜90質量%が前記工程(3)の開始前に使用され、残りの40質量%〜10質量%のアセチレン化合物(B)が、前記工程(3)で使用される、請求項3に記載のインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法。
- 前記工程(3)で使用される前記アセチレン化合物(B)の40質量%〜10質量%が、前記混合物[II]中に含まれる前記有機溶剤(D)の全量の80質量%以上が前記混合物[II]から除去された後、前記混合物[II]中に含まれる前記有機溶剤(D)の全量の10質量%と同質量の水系媒体(C)が除去されるまでに、前記混合物[II]中に供給される、請求項4に記載のインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法。
- 前記工程(2)が、前記ポリウレタン(A1)の有機溶剤(D)溶液[I]と前記水系媒体(C)とを混合することによって、ポリウレタン(A1)と有機溶剤(D)と前記水系媒体(C)を含み前記ポリウレタン(A1)が前記水系媒体(C)中に分散または溶解した混合物[II’]を得、次いで、前記混合物[II’]と前記エポキシ化合物(A2)と前記アセチレン化合物(B)とを混合することによって、前記ポリウレタン(A1)と前記エポキシ化合物(A2)とが反応し形成した複合樹脂粒子(A3)、前記アセチレン化合物(B)及び前記水系媒体(C)を含む混合物[II]を製造する工程である、請求項1に記載のインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法。
- 前記有機溶剤(D)及び/または前記水系媒体(C)の一部を除去する方法が減圧蒸留法である、請求項1に記載のインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法。
- 前記複合樹脂粒子(A3)が、親水性基としてカチオン性基またはアニオン性基を有するものである、請求項1に記載のインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法。
- 前記アニオン性基が、カルボキシル基及びカルボキシレート基からなる群より選ばれる1種以上である、請求項6に記載のインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法。
- 前記エポキシ化合物(A2)が脂肪族ポリグリシジルエーテルまたはビスフェノール系ジグリシジルエーテルである、請求項1に記載のインクジェット印刷インク用バインダーの製造方法。
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