JP5830289B2 - 固定具、太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法及び屋根構造 - Google Patents

固定具、太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法及び屋根構造 Download PDF

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Description

本発明は、建屋の外壁又は屋根部材等に建材や金具等を固定する固定具であり、より詳細には、屋根に太陽電池モジュール用の取付け金具を固定するときに好適に用いることができる固定具に関するものである。また本発明は、太陽電池モジュールを屋根に取付けるための取付け方法及び屋根構造に関するものである。
一般的な建屋の外壁には、雨樋、窓の転落防止用の柵、梯子、戸袋、扉のヒンジ、エアコンの室外機といったさまざまな外装部材が取付けられており、また屋根上の屋根部材(瓦等)にも棟包や太陽電池モジュールの取付け用金具といった種々の外装部材が取付けられている。そして、これらの外装部材は、外壁や屋根部材にドリルで孔を空けてネジ止めをしたり、クギを打付けるといった工法によって外壁や屋根部材に対して一体に固定されている。
しかしながら、このように外壁や屋根部材に孔を穿つ工法によると、外壁や屋根部材に設けた孔から漏水するおそれがある。即ち、外壁や屋根部材にネジやクギで孔を空けると、外壁や屋根部材の内側に位置する防水シートにまで孔が空いてしまうことがある。そして、大雨や台風等によって外壁や屋根部材に形成した孔から内側へ水が入り込んでしまい、防水シートの内側に位置する下地部分にまで浸水してしまうというおそれがある。
このような水の浸入を防止するための技術として、例えば、特許文献1に開示されている技術がある。特許文献1には、クギの頭部近傍にパッキンを取付けたパッキン付きクギによって棟包を屋根に固定する技術が開示されている。即ち、特許文献1に開示されている発明では、クギの頭部近傍に取付けたパッキンによってクギ穴の開口部分を塞ぐことにより、クギ穴からの屋根下地側への水の浸入を防いでいる。
特公昭59−38383号公報
ところで、屋根上に太陽電池モジュールを取付けるとき、一般的には、屋根下地に取付けられた瓦の上に太陽電池モジュール取付け用の金具(以下単に取付け金具とも称す)を取付けている。そして、この取付け金具に太陽電池モジュールを固定することによって屋根上に太陽電池モジュールを取付けている。即ち、屋根下地の上には、瓦と取付け金具の2つの部材が順に重なった状態で取付けられている。
また、このような取付け具は、一般的に、瓦の上に重ねられた状態でクギ等を打ち込むことによって取付けられている。このとき、クギ等の先端部分を屋根下地に打ち込む必要があるため、クギ等が取付け金具と瓦とを貫通した状態となる。つまり、太陽電池モジュールの取付け用の金具を屋根上にクギで取り付けるとき、クギは取付け金具と瓦とを貫通した状態でその先端部分が屋根下地に打ち込まれている。
ここで、特許文献1に開示されているパッキン付きクギで太陽電池モジュールの取付け用の金具を取付けた場合、取付け金具と瓦の間から水が浸入してしまうおそれがある。詳説すると、パッキン付きクギ(以下単にクギとも称す)で取付け金具を取付けるとき、クギは、取付け金具に形成されたクギ孔と、瓦に形成されたクギ孔とが重なることによって形成される連通孔に挿通されることとなる。このとき、取付け金具に形成されたクギ孔の外側に位置する開口部分は、クギに取付けたパッキンによって塞ぐことができるので、この開口部分から水が浸入することはない。しかしながら、瓦に形成されたクギ孔の開口部分、即ち、取付け金具と接触する位置にある瓦の開口部分には、取付け金具と瓦の間に入り込んでしまった水を遮る部材がない。したがって、取付け金具と瓦の間に水が入り込んでしまうと、瓦に形成されたクギ孔の開口部分から屋根下地側へと水が浸入してしまうおそれがある。
つまり、特許文献1に開示されているパッキン付きクギでは、下地の上に2つ以上の部材を重ねた状態で取付けるとき、最も上側の部材に形成された貫通孔の開口部分のみしか液密に封止できないという問題があった。
そこで本発明は、上記した従来技術の問題点に鑑み、建屋に外装部材を取付けるとき、より止水性の高い取付けが可能な固定具を提供することを課題とする。また、屋根下地側への浸水による部材の腐食や雨漏りのない太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法及び屋根構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、建屋の外壁又は屋根部材に外装部材を取り付けるための固定具であって、建屋の外壁又は屋根部材に少なくとも一部が埋め込まれる埋込片と、棒状体とを有し、埋込片は予め筒状体に成形され、上端部分に側面部分よりも径が大きくなるフランジ部が形成されており、棒状体は棒状体本体と棒状体側封止部から形成され、前記棒状体側封止部は弾性圧縮可能であり、取付け時に外装部材に外側から接触し、圧縮状態で止水性を有するものであり、前記外装部材を貫通した前記棒状体本体を前記埋込片に挿通することにより、前記棒状体側封止部の下面と前記外装部材を面接触させ、前記外装部材を前記棒状体側封止部と前記埋込片の間に位置した状態で固定することを特徴とする固定具である。
ここで、棒状体本体はネジ、クギ、ボルト等を含む。また、埋込片は自然状態(外力が加わらない状態)において予め成形された一定の形状と体積を有し、保形性を有する固形物である。
本発明の固定具は、建屋の外壁又は屋根部材に少なくとも一部が埋め込まれる埋込片と、棒状体側封止部と棒状体本体から形成される棒状体とを有している。そして、棒状体本体が外装部材を貫通した状態で、その一部を外壁又は屋根部材に埋め込まれた埋込片に挿通することにより、外装部材を建屋の外壁又は屋根部材に固定する。このことにより、外装部材は、棒状体側封止部と埋込片との間に位置した状態で取付けられる。
このことにより、外装部材に形成された貫通孔の開口部分の内、外側に位置する開口部分は棒状体側封止部によって塞がれる。そのため、水が外装部材の外側から外装部材の貫通孔を介して壁又は屋根の下地側へ浸入することがない。またさらに、外壁又は屋根部材(瓦等)に埋込片が埋め込まれており、棒状体本体が埋込片を挿通している。つまり、棒状体本体の外壁又は屋根部材に挿通された部分の周囲には埋込片が位置しており、換言すると、外壁又は屋根部材に形成された貫通孔の内周壁と棒状体本体の間には埋込片が位置している。このことにより、外装部材と外壁又は屋根部材の表面の間に水が浸入しても、壁又は屋根の下地側への水の浸入を埋込片によって防止できるので、水が壁又は屋根の下地へ達することがない。これらのことから、本発明の固定具によると、壁又は屋根の下地への水の浸入を確実に防止可能であり、止水性の高い外装部材の取付けが可能となる。
さらにまた、本発明の固定具は、壁や屋根部材に固形の埋込片を埋め込むため、壁や屋根部材に形成した下孔に粘性の高いコーキング材を注入する従来の方法(固定具)に比べて、周辺部材の経年変化の影響を少なくでき、取付け作業を簡易化することができる。
このことについて具体的に説明すると、従来の方法のように屋根部材等の下孔にコーキング材を注入し、コーキング材が充填された下孔にネジ等を挿入して外装部材を固定した場合、コーキング材は施工後に下孔の内周面やネジ等に密着した状態で乾燥硬化する。このことで、コーキング材は下孔の内周面やネジ等に一体に接着される。ここで、施工完了から長い年月が経過すると、ネジ等が錆びて膨張したり、屋根部材(瓦)が太陽光等の熱や風雨に晒されることによって膨張又は収縮したりすることがある。すると、コーキング材がネジや屋根部材に一体に接着されていることにより、ネジや屋根部材の膨張、収縮に伴って、コーキング材が下孔の径方向外側へ引っ張られたり、下孔の径方向内側へ押圧されたりしてしまう。そして、硬化したコーキング材が引っ張られたり、押圧されたりすることによって、硬化したコーキング材にひびが入るといった損傷が発生してしまう。
これに対して、本発明の固定具は、固形物である埋込片を下孔に埋め込む構成であるため、屋根部材に形成した下孔の内周面と埋込片が一体に接着されていない。また、埋め込み片は、コーキング材のように乾燥硬化するものでなく固定物であるので、ネジ等と埋込片もまた一体に接着されていない。即ち、下孔の内周面やネジ等と埋込片が密着していても、押しつけられた状態で接触しているのであって、一体に接着されて離間不能となるものではない。したがって、上記したように、ネジ等や屋根部材の膨張又は収縮が発生したとしても、埋込辺の外周面が引っ張られるといったことがなく、ネジ等や屋根部材の変形に伴って埋込片に無理な力が加わらない。このため、埋込片の損傷の発生を抑制できる。このように本発明の固定具は、周辺部材の経年変化よる影響を受けにくい構成となっている。
また本発明の固定具によると、コーキングガン等を用いた下孔へのコーキング材の注入作業を実施することなく、埋込片を下孔に入れ込むだけでよいので、建屋の外壁や屋根上への外装部材の取付け作業を簡易化できる。
本発明の固定具は、前記埋込片は、筒状体である。
かかる構成によると、筒状の埋込片が予め形成された貫通孔を備えているので、棒状体本体の埋込片への挿入が容易となる。
また本発明の固定具は、前記棒状体側封止部は弾性圧縮可能であり、取付け時に外装部材に外側から接触し、圧縮状態で止水性を有するものである。
かかる構成によると、外装部材に形成された貫通孔からの水の浸入を確実に防止できる。具体的に説明すると、外装部材を貫通した棒状体本体(例えば、ネジ又はクギ)を外壁又は屋根部材に埋め込まれた埋込片に挿通するとき、棒状体本体の外壁又は屋根部材側への移動に伴って、棒状体本体に取付けられた棒状体側封止部も外壁又は屋根部材側へと移動する。そして、棒状体側封止部が外装部材に外側から接触し、さらに外壁又は屋根部材側へ押圧されて圧縮された状態となる。ここで、本発明の棒状体側封止部は圧縮された状態において止水性を有するため、棒状体側封止部と外装部材との間に水が浸入しない。したがって、棒状体側封止部の縁部分より内側に位置する外装部材の貫通孔に水が到達するということがなく、雨漏りや屋根下地側への水の侵入をより確実に阻止できる。
請求項2に記載の発明は、前記埋込片は弾性材料で形成されるものであり、棒状体本体が挿通されることにより拡径することを特徴とする請求項1に記載の固定具である。
かかる構成によると、埋込片に棒状体本体が挿通されない状態にあっては、埋込片の径が比較的小さい状態であるため、外壁や屋根部材に埋め込み易くなっている。そして、埋込片に棒状体本体が挿通された状態にあっては、埋込片の径が比較的大きくなるため、外壁や屋根部材の内部に形成された貫通孔の内周面に埋込片の外周面が強く押しつけられる。このことにより、外壁や屋根部材に形成された貫通孔の内周壁と埋込片の外周壁の間を確実に密栓できる。
また、このように埋込片を弾性部材で形成すると、上記したように、ネジ等が錆びて膨張したり、屋根部材(瓦)が太陽光等の熱や風雨に晒されることによって膨張又は収縮したりした場合であっても、これら周辺部材の膨張や収縮に追随して埋込片の形状が変化する。例えば、屋根部材の下孔の径が小さくなってしまった場合、埋込片の径も下孔の内周面に押圧されて小さくなる。また、屋根部材の下孔の径が大きくなってしまった場合、埋込片を押圧していた下孔の内周面が下孔の径方向外側へと移動することにより、埋込片の外周面は下孔の内周面に密着するまで下孔の径方向外側へ拡がる。つまり、周辺部材が膨張又は収縮に応じて埋込片の形状が変形することにより、ネジや屋根部材等の周辺部材の形状が変形しても埋込片に無理な力が加わらない。このため、周辺部材の経年変化による影響をより受けにくく、埋込片の損傷の発生を確実に抑制できる。
請求項3に記載の発明は、前記埋込片の外表面には1又は複数の段差部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の固定具である。
かかる構成によると、埋込片の外表面に段差部が形成されている。つまり、埋込片の外表面に外側に向かって張り出した部分と、内側に窪んだ部分が形成される。このため、埋込片を外壁又は屋根部材に形成された貫通孔に埋め込んだとき、段差部を形成しない場合に比べて、外壁又は屋根部材に形成された貫通孔の内周壁と埋込片の外周面との接触面積が小さくなる。このことにより、外壁又は屋根部材に形成された貫通孔の内周壁と埋込片の外周面との間に働く面積あたりの力が大きくなり、貫通孔の内周壁と埋込片の外周面との間で力がかかり易くなる。即ち、貫通孔の内周壁と埋込片の外周面との間の摩擦力が大きくなる。したがって、貫通孔に埋込片を挿入して埋め込んだとき、埋込片が外側へ外れにくく、壁下地又は屋根下地側へ抜け落ちにくい。
請求項4に記載の発明は、棒状体側封止部は被覆部を備え、当該被覆部が前記棒状体本体の少なくとも外側端部近傍の一部又は全部を覆うことが可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固定具である。
かかる構成によると、寒冷地で固定具を使用するとき、屋根下地近傍の部材の結露水による腐食を防止することができる。
具体的に説明すると、寒冷地では、防寒対策のために室内を暖房装置等で暖めていることが一般的である。そして一般的な建屋では、居住する人の吐息、水道、ガス器具といった水蒸気発生源が屋内に存在するため、屋外に比べて屋内の湿度が高くなっている。即ち、寒冷地では、屋外と屋内の温度差が大きく、屋外に比べて屋内の湿度が高くなっていることが多々ある。
ここで、外壁又は屋根部材上に外装部材を取付けるとき、固定具(例えば、ネジ又はクギ)の先端が壁下地側又は屋根下地側に打ち込まれる。このとき、固定具の先端が軸組みされた木材等の内部に埋め込まれる場合と、固定具の先端が壁の裏側や屋根裏に形成される空間に露出する場合がある。即ち、固定具の先端が軸組みされた木材と木材の間に付き抜けたり、軸組みされた木材を貫通したりすることによって、壁下地側又は屋根下地側に形成されている空間で固定具の先端が露出した状態となる場合がある。
この場合、打ち込まれた固定具(例えば、ネジ又はクギ)は、片側端部(頭部側)が外部に露出している状態となり、他方端部(先端側)が壁下地側又は屋根下地側に形成された空間に位置している状態となる。
そして、この状態において露出した端部(頭部)が屋外の冷たい外気によって冷やされることにより、固定具全体の温度が低下してしまうことがある。この場合、当然、固定具の壁下地側又は屋根下地側の空間で露出した部分(先端部分)も温度が低下してしまう。すると、温度と湿度が高い屋内側において、固定具近傍の温度が低下するため、温度が低下した部分(固定具表面)で結露が発生してしまう場合がある。このように、壁の内部や屋根の内部で結露が発生すると、結露水によって壁の内部や屋根の内部の部材が腐食してしまうおそれがある。
そこで本発明では、外部に露出する固定具の外側部分を被覆部で覆っている。このことにより、固定具が屋外の冷たい外気に直接さらされることがないので、固定具が過度に冷やされない。そのため、上記のような固定具の温度低下に基づく結露の発生を防止することができる。
請求項5に記載の発明は、前記被覆部は断熱部材で形成されていることを特徴とする請求項に記載の固定具である。
かかる構成によると、被覆部によって外気を遮断することにより、外気による固定具の冷却を確実に防止できる。
請求項6に記載の発明は、前記外装部材は太陽電池モジュールの取付け具であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の固定具である。
本発明の固定具は、太陽電池モジュールの取付け具(取付け用金具)の屋根上への取付けに好適に用いることができる。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の固定具を使用して複数の屋根部材が載置された基礎屋根構造を有する建屋に太陽電池モジュールの取付け具を取付ける太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法であって、屋根部材に貫通孔を形成する工程と、屋根部材に形成した貫通孔に前記埋込片を挿入する工程と、前記棒状体本体で太陽電池モジュールの取付け具を貫通し、前記棒状体本体を前記埋込片に挿通させる工程を有することを特徴とする太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法である。
本発明の太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法では、屋根部材に形成した貫通孔に前記埋込片が埋め込まれているので、屋根部材に形成した貫通孔から屋根下地側へ水が浸入することがない。また、棒状体の棒状体側封止部が太陽電池モジュールの取付け具に形成された貫通孔を塞ぐため、太陽電池モジュールの取付け具の貫通孔から屋根下地側へ水が浸入することがない。このことにより、屋根下地への水の浸入を確実に防止できるため、雨漏りや屋根下地の腐食といった問題を確実に防止できる。
請求項8に記載の発明は、前記棒状体本体は頭部と軸部とを有し、前記屋根部材に形成する貫通孔の径が前記軸部の径よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法である。
本発明の太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法では、屋根部材に形成した下孔に埋込片を挿入し、埋込片に棒状体本体を挿通する。このことにより、従来のように屋根部材に形成した下孔にネジ、クギ等(棒状体本体)を直接挿通する構成と比べて、屋根部材に下孔を形成するときの設計上の制限を少なくできる。
このことについて具体的に説明すると、従来の方法のようにネジ、クギ等で屋根部材の下孔を挿通する場合、予め形成しておく下孔の径をネジ、クギ等の軸部分の径より小さくしなければならないという施工上の制限がある。即ち、下孔の径がネジ、クギ等の軸部分の径よりも大きいと、ネジ、クギを下孔に挿通したときに下孔の内周面とネジ、クギ等の外周面との間に隙間が形成されてしまう。このような隙間が形成されると、挿通したネジ、クギ等の姿勢が安定しないばかりか、隙間から屋根下地側へ雨水等の水が浸入してしまうといった問題が発生してしまう。そのため、通常、屋根部材に形成する下孔の径をネジ、クギ等の軸部分より小さく形成している。そして、ネジ、クギ等を下孔に挿通することによって、下孔をネジ、クギ等によって押し広げ、ネジ、クギ等の外周面と下孔の内周面を密着させた状態としている。即ち、ネジ、クギ等を下孔に密着させることで、ネジ、クギ等と下孔の隙間を塞ぎ、この隙間から屋根下地側への水の浸入を防止している。したがって、従来の方法では、作業者が屋根部材に下孔を形成するとき、ネジ、クギ等の軸部分より小さい孔を形成しなければならなかった。換言すると、従来の方法では、屋根下地側への水の浸入を防止するという観点から、径の小さい下孔の形成が望まれるものであった。
対して、本発明の固定具による太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法では、屋根部材に形成した下孔に埋込片を挿入し、埋込片にネジ、クギ等の軸部分を挿通している。このことにより、ネジ、クギ等の軸部分の外周面と、下孔の内周面の間には埋込片が位置している。このため、屋根部材に形成する下孔がネジ、クギ等の軸部分より大きい場合、さらに言えば、屋根部材に形成する下孔が十分に大きい場合でも、形成された下孔の径に応じた大きな埋込片を挿入することにより、下孔の内周面近傍を水が漏れない状態に封止することができる。そのため、屋根部材に形成する下孔を必ずしも小さくする必要がなく、径の大きな下孔であってもよい。つまり、屋根部材に形成する下孔の径の大きさをネジ、クギ等の軸部分の径の大きさに合わせなくてもよいので、屋根部材に形成する下孔の設計上の制限を少なくできる。
請求項9に記載の発明は、複数の屋根部材が屋根下地上に列状及び複数段状に並べられて平面的な広がりをもって載置された基礎屋根構造を有し、前記基礎屋根構造上に請求項に記載の固定具を介して太陽電池モジュールの取付け具が固定されており、前記太陽電池モジュールの取付け具を介して、複数の太陽電池モジュールが基礎屋根構造に取付けられていることを特徴とする屋根構造である。
本発明の太陽電池モジュールの屋根構造では、太陽電池モジュールの取付け具に形成された貫通孔を棒状体の棒状体側封止部が塞ぎ、屋根部材に形成された孔を埋込片が密栓するため、水の屋根下地への浸入が確実に防止可能であり、雨漏りや部材の腐食等の問題を確実に防ぐことができる。
本発明の固定具は、建屋に外装部材を取付けるとき、外壁や屋根部材の内側に位置する下地部分への水の浸入を確実に防止可能であるという効果がある。そのことにより、下地近傍の部材の腐食や、雨漏りといった問題が発生しないという効果がある。
さらに本発明の固定具は、固形物の埋込片を外壁や屋根部材に埋め込む構成であるため、従来のコーキング材のように埋込片の外面が外壁や屋根部材と一体に接着されることがない。そのため、長い年月の経過によって外壁や屋根部材が膨張、収縮しても、それによって埋込片に無理な力がかかることがない。このことにより、周辺部材の経年変化よる影響を受けにくく、埋込片の損傷の発生を抑制できる。
加えて、本発明の固定具は、コーキングガン等を用いた下孔へのコーキング材の注入作業を実施することなく、埋込片を下孔に入れ込むだけでよいので、建屋の外壁や屋根上への外装部材の取付け作業を簡易化できる。
また、本発明の太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法は、太陽電池モジュールの取付け具をネジやクギ等によって屋根上に固定しても、雨漏りや屋根下地側への水の侵入による部材の腐食といった問題が発生しないという効果がある。
そして、本発明の屋根構造は、下地が傷みにくく、また雨漏りが生じないので、建屋が長持ちするという効果がある。
本発明の第1の実施形態に係る屋根構造を示す斜視図であり、太陽電池モジュールの取付け前に、基礎屋根構造上に太陽電池モジュールの取付け具を固定した状態を示す。 本発明の第1の実施形態に係る屋根構造を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態に係る屋根構造で採用する太陽電池モジュールの取付け具の一例を示す斜視図である。 図3の太陽電池モジュールの取付け具のA−A断面図であり、固定部材を省略した状態を示す。 本発明の第1の実施形態に係る固定具を示す斜視図である。 図5の埋込片の正面図である。 図3の太陽電池モジュールの取付け具をスレート瓦上に取付ける際の様子を示す斜視図であり、(a)〜(d)の順に取付けられていくものであって、太陽電池モジュールの取付け具を一部破断させて示す。 図3の太陽電池モジュールの取付け具をスレート瓦上に取付ける際の様子を示す断面図であって、(a)〜(d)の順に取付けられていく。 図3の太陽電池モジュールの取付け具をスレート瓦上に取付ける際の様子を示す断面図であり、(a)は図8(c)を拡大して示し、(b)は図8(d)を拡大して示す。 図5とは異なる形態の本発明の棒状体を示す斜視図であり、(a)は被覆部を取付ける前の状態を示し、(b)は被覆部取付け後の状態を示す。 図5とは異なる形態の本発明の棒状体を示す図であり、(a)は被覆部を取付ける前の状態を示す斜視図であり、(b)は(a)のA−A断面図であり、(c)は被覆部を封止部本体に取付けた状態を示す。 図5とは異なる形態の本発明の埋込片を示す斜視図であり、(a)〜(c)はいずれも別形態の埋込片を示す。
以下さらに本発明の実施形態について説明する。また以下の説明において、上下、左右、前後の位置関係については特に断りのない限り、通常の設置状態を基準として説明する。
第1の実施形態の屋根構造1は、図1で示されるように、屋根下地45(図8参照)の上にスレート瓦(屋根部材)2を敷き詰めた基礎屋根構造3の上に、取付け金具4(外装部材)を取付けている。そして、図2で示されるように、取付け金具4に太陽電池モジュール7のフレーム部分を固定することにより、基礎屋根構造3上に太陽電池モジュール7を一体に取付けた状態とする。また必要部分には、部分的に雨仕舞い板8を設置した状態とする。
取付け金具4は、図3で示されるように、レール部材10と固定部材11とを備えた、太陽電池モジュール7の取付け具である。
レール部材10は、図3に示されるように本体部材13と屋根保護材14から形成されている。
本体部材13は、断面倒C字状をした長尺状の部材である。具体的には、底板部16,2つの側壁部17(17a,17b),2つの載置部18(18a,18b)から形成されるものである。
底板部16は細長い平板状の部分であり、図3,4に示されるように、4つの取付け孔20(20a,20b,20c,20d)が列状に並んで設けられている。そして、取付け孔20は夫々底板部16を上面から下面まで貫通する貫通孔となっている。
側壁部17(17a,17b)は、底板部16の幅方向(図3における左右方向)両端部にそれぞれ立設されるものであり、どちらも鉛直方向上側へ向かって略垂直に突出している。つまり、2つの側壁部17(17a,17b)は対向する位置に設けられている。
載置部18(18a,18b)は、側壁部17(17a,17b)の各最頂部にそれぞれ設けられており、底板部16の幅方向において互いに近づく方向へ突出している。
屋根保護材14はEPDM(エチレンプロピレンゴム)発泡体等の適宜な衝撃吸収性が高く、止水性の高い材料によって形成される直方体状の部材である。なお、本実施形態の屋根保護材14は、元の体積の半分まで圧縮した状態においても高い止水性を発揮する。そして、図3で示されるように、この屋根保護材14の長手方向長さ及び幅方向の長さは、前記した本体部材13の底板部16のそれと略同一となっている。さらに屋根保護材14には、図4で示されるように、屋根保護材14の上面と底板部16の下面とを重ね合わせた際に、底板部16の4つの取付け孔20(20a,20b,20c,20d)に対応する位置に、4つの取付け孔21(21a,21b,21c,21d)が設けられている。この4つの取付け孔21(21a,21b,21c,21d)は、屋根保護材14を上面から下面へ貫通する孔であり、その開口面積は底板部16の取付け孔20(20a,20b,20c,20d)の開口面積と等しい、若しくは大きくなっている。
固定部材11は、図3に示されるように、押圧用ボルト25,上板部材26,下板部材27,押圧用ナット28から形成されている。
押圧用ボルト25は公知の六角ボルトであり、押圧用ナット28と一対となっている。
上板部材26は外形が長方形平板状の部材であり、前後方向の長さに比べて幅方向の長さが長くなっている。そして、上板部材26の底面の前後方向の両端部近傍にそれぞれ係合溝29が設けられている。このとき、この係合溝29は、底面の幅方向に沿ってそれぞれ断面長方形で平行に延びる溝となっており、いずれも本体部材13の長手方向に略直交するように延びている。
そして、この上板部材26の中心部分には、上面から下面までを貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。
下板部材27は外形が長方形平板状の部材であり、その幅方向の長さは、前述したレール部材10の本体部材13における底板部16の幅方向の長さと略同等である。より詳細には、底板部16の幅方向の長さから側壁部17の幅を2倍した長さを引いた長さL3(図1)と略同等である。加えて、下板部材27はその中心部分に上面から下面までを貫通する貫通孔(図示せず)が設けられている。
次に本実施形態の取付け金具4の組み立て構造について、図3を参照しながら説明する。
レール部材10の底板部16と載置部18の間に下板部材27が配されており、レール部材10の載置部18の上側に上板部材26が配されている。そして、上板部材26と下板部材27はその中心部分が重なるように配置されており、上板部材26の貫通孔と下板部材27の貫通孔はその中心軸が同じ位置になっている。そして、押圧用ボルト25が頭部(図示せず)を下側に配した状態で下板部材27の貫通孔と上板部材26の貫通孔を連通し、押圧用ナット28の雌ネジ孔と上板部材26上側で螺合している。つまり、押圧用ボルト25の頭部(図示せず)の上側に下板部材27が位置しており、下板部材27の上側に上板部材26が位置しており、上板部材26の上側に押圧用ナット28が位置している。
このことにより、本実施形態の取付け金具4は、レール部材10の載置部18の天面と固定部材11の上板部材26の底面とで太陽電池モジュール7のフレームを挟み込むことにより、レール部材10の上に太陽電池モジュール7を固定可能となっている。
具体的に説明すると、固定部材11は、押圧用ナット28を締めていくことにより、上板部材26と下板部材27の間隔が狭まっていく。即ち、押圧用ナット28を締めていくと、押圧用ボルト25が押圧用ナット28に対して相対的に上側へ移動していく。このことにより、下板部材27の下側に位置する押圧用ボルト25の頭部(図示せず)も上側へ移動していく。すると、この押圧用ボルト25の頭部に押圧された下板部材27が上側へ移動していく。そして、上板部材26の底面がレール部材10の載置部18に上側から接触し、下板部材27の上面がレール部材10の載置部18に下側から接触した状態となる。
したがって、上板部材26と下板部材27の間隔を広げた状態で載置部18の天面に太陽電池モジュール7のフレームを載置し、上板部材26と下板部材27の間隔を狭めることにより、太陽電池モジュール7のフレームを上板部材26と載置部18で挟みこんで固定することができる。このとき、太陽電池モジュール7のフレームの一部を固定部材11の上板部材26に設けた係合溝29に挿入させることにより、太陽電池モジュール7のフレームを強固に固定することができる。
次に、本実施形態の取付け金具4による太陽電池モジュール7の取付け方法について説明する。なお、図2で示されるように、屋根下地45(図8参照)にスレート瓦2(屋根部材)を敷設した公知の基礎屋根構造3に対して太陽電池モジュール7を取付ける場合について説明するが、本実施形態の取付け金具4を取付ける屋根構造がこれに限るものでないことは当然である。
まず、太陽電池モジュール7の設置に先立って、完成された屋根構造であるところの基礎屋根構造3上に取付け金具4を取付ける。このとき、取付け金具4は固定具33を介してスレート瓦2に取付けられる。本実施形態の特徴的構成であるところの固定具33について、図5,6を参照しつつ詳細に説明する。
固定具33は、図5で示されるように、棒状体34と、埋込片35(筒状体)とを備えている。
棒状体34は、棒状体本体36と、棒状体側封止部37とを有している。
棒状体本体36は、木ネジ、クギ、ボルト等の締結要素であって、本実施形態では先端部分が尖ったネジを採用している。より詳細には、棒状体本体36は、頭部36aと軸部36bから形成されている。頭部36aは、軸部36bの長手方向の片側端部に形成された円錐台形の部分であって、軸部36bの中心側から端部側に向かって径が大きくなっている。このとき、頭部36aの径が最も小さい部分が軸部36bと略同径となっており、頭部36aのその他の大部分が軸部36bより径が大きくなっている。また、軸部36bの頭部36aと対向する位置にある端部は、軸部36bの中心側から端部側に向かって先細りしており、先端部分が尖っている。そして、軸部36bの外周面には、ネジ山が形成されている。
なお、上記した締結要素とは、ネジ、クギ、ボルト等の上位概念である。
棒状体側封止部37は、高さの低い円筒状の部材であり、その中心部分に天面から底面までを貫通する開口形状が円形の貫通孔37aが形成されている。また、この棒状体側封止部37は、圧縮時に止水性を有する弾性材料で形成されており、具体的には、ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム(バイトン)、多流化ゴム(チオコール)等を使用でき、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ハイパロン)、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム等が好ましく、天然ゴム、合成天然ゴム(イソプレンゴム)、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等がより望ましい。即ち、反発弾性(外力が加わったとき、外力が加えられた部分を押し返す力)が高いものが望ましい。
なお、本実施形態では、棒状体側封止部37は硬質ブチルゴムで形成されているものとする。ここで、「硬質」とは、自然状態(外力が加わらない状態)で一定の形状と体積とを有する保形性を備えた固形物である。そして、本実施形態の棒状体側封止部37は弾性変形(可逆変形)可能であり、外力を加えると変形し、外力を除くと元の形状に戻る。
そして棒状体34は、棒状体側封止部37の貫通孔37aに棒状体本体36の軸部36bを挿通した状態となっている。このとき、軸部36bを挿通しない状態での貫通孔37aの径は、棒状体本体36の軸部36bの径より小さくなっている。そして、軸部36bを貫通孔37aに挿通することによって、軸部36bの外周面によって貫通孔37aの内周面が外側に押圧されて貫通孔37aの径が拡径し、軸部36bを挿通可能な状態となる。このことにより、軸部36bを貫通孔37aに挿通したとき、軸部36bの外周面と貫通孔37aの内周面とが液密に密着した状態となっている。なお、棒状体側封止部37を棒状体本体36に取付けたとき、棒状体側封止部37は棒状体本体36の頭部36aに近接する位置に配されている。
埋込片35は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)等の耐久性、止水性が高く、高弾性の部材で形成された略円筒状の部材であり、図5で示されるように、埋込片35の中心部分には、天面から底面を貫通する貫通孔32が形成されている。なお、特に限定されるものでないが、棒状体本体36の軸部36bにネジ山が形成されている場合、この貫通孔32の径の大きさは、軸部36bのネジ溝の部分の径(軸部36bのネジ山を除いた部分の径であり、最も径が小さい部分)の大きさと略同等であることが望ましい。
また埋込片35は、図5,6で示されるように、片側端部から他方端部へ向かって次第に径が小さくなっている。
具体的に説明すると、図6で示されるように、埋込片35の側面には段差部38が形成されている。段差部38は、埋込片35の中心側から外側へ向かって突出するように、埋込片35の全周に亘って形成された突出片39,39,39,39が、埋込片35の軸方向に連続して設けられることにより形成されている。このことにより、埋込片35の側面は外側に突出した部分と、内側に窪んだ凹部40とが交互に連続した状態となっている。そして、突出片39は、上端に位置する最も突出した部分から当該突出片39と下側で連続する凹部40までの間が、次第に狭径となるなだらかな傾斜面となっている。即ち、それぞれの突出片39の外形は、下方に凸となった略半球状となっている。
ここで、埋込片35の軸方向に連続して設けられた突出片39,39,39,39はそれぞれ大きさが異なっており、下方に位置する突出片39ほど最も突出した部分の径が小さくなっている。つまり、埋込片35、片側端部(上端)から他方端部(下端)に向かって、最大径の大きさの異なる突出片39,39,39,39が、最大径の大きさ順に連続するように設けられている。このことにより、埋込片35の側面は、片側端部(上端)から他方端部(下端)に向かうにつれて次第に径の大きさが小さくなっていく。即ち、埋込片35の幅方向両端部分において、それぞれ各突出片39,39,39,39の最も突出した部分を結んで形成される2つの直線L1,L2は、片側端部(上端)から他方端部(下端)に向かうにつれて次第に近づいていく。
また、埋込片35の上端部分には、側面部分より径が大きくなったフランジ部41が形成されている。
次に、本実施形態の固定具33によるスレート瓦2上への取付け金具4の取付け方法について図7,8を参照しつつ詳細に説明する。
まず、図7(a),図8(a)で示されるように、スレート瓦2の取付け金具4の設置予定位置に予め下孔43(貫通孔)を形成しておく。このとき、防水シート44及び屋根下地45には穴を開けないものとする、次に、スレート瓦2に形成された下孔43の径に応じた大きな埋込片35を挿入するが、このスレート瓦2に形成する下孔43の径は、固定具33の埋込片35の側面に形成された段差部38の最大径(棒状体34を挿入していない状態における最大径)より0.5mm乃至1.5mmだけ小さくなっていることが望ましく、0.5mm乃至1.0mmだけ小さくなっていることがより望ましい。即ち、固定具33の埋込片35の最大径は、下孔43の径よりも0.5mm乃至1.5mmだけ大きいことが望ましく、0.5mm乃至1.0mmだけ大きいことがより望ましい。
なお、取付け金具4の設置予定位置とは、図2で示される様に、太陽電池モジュール7を基礎屋根構造3上に設置したとき、太陽電池モジュール7の屋根の桁行方向における両端部が位置する場所である。
さらに、図7(b),図8(b)で示されるように、スレート瓦2に形成した下孔43に固定具33の埋込片35を挿入する。このとき、埋込片35の上端部分に位置するフランジ部41が下孔43の上端開口より上方に位置している。そして、フランジ部41の下面がスレート瓦2の上面と接触した状態となる。このとき、上記したように、スレート瓦2に形成する下孔43の径は、固定具33の埋込片35の側面に形成された段差部38の最大径よりわずかに小さい(0.5mm乃至1.5mmだけ小さいことが望ましく、より望ましくは0.5mm乃至1.0mmだけ小さい)。そのため、下孔43に挿入した埋込片35が上下方向(取付け方向)に抜けにくくなっている。なお、特に限定されるものではないが、スレート瓦2に形成した下孔43の径は、埋込片35の凹部40の内で最も径が大きな凹部40(図6において最も上側に位置する凹部40)の径と略同一であってもよい。
そして、図7(c),図8(c)で示されるように、下孔43及び埋込片35の上方に取付け金具4を載置する。このとき、図9(a)で示されるように、取付け金具4が自身の自重によって下方へ押圧されるため、屋根保護材14の埋込片35のフランジ部41と接触する部分14aが上方へ凹んだ状態となる。そのことにより、屋根保護材14の下面と埋込片35及びスレート瓦2の上面とが隙間なく密着する。そして、レール部材10の底板部16の取付け孔20と、屋根保護材14の取付け孔21と、埋込片35の貫通孔32が重なりあって一体の穴となる。
ここで、図7(d),図8(d)で示されるように、2つの取付け孔20,21と貫通孔32が重なりあって形成される穴に固定具33の棒状体34を挿通し、挿通した棒状体34をさらにねじ込む(押し込む)ことによって、スレート瓦2の下部にある防水シート44を棒状体34が貫通する。そしてさらに、防水シート44を貫通した棒状体34をさらに屋根下地45側へ押圧する(ねじ込む、押し込む)ことによって、屋根下地45に係止穴47が形成される。このとき、棒状体34の先端側の部分と係止穴47とが係合することにより、取付け金具4がスレート瓦2及び屋根下地45に対して固定される。換言すると、レール部材10とスレート瓦2とが屋根下地45に棒状体34を介して一体に取付けられる。
上記したように、本実施形態では、スレート瓦2に形成した下孔43の径が、自然状態における埋込片35の段差部38の最大径よりわずかに(0.5mm乃至1.5mmだけ小さいことが望ましく、より望ましくは0.5mm乃至1.0mmだけ小さい)小さくなっている。ここで、棒状体本体36の軸部36bの径は、埋込片35に形成された貫通孔32の径よりわずかに大きくなっている(図5参照)。したがって、スレート瓦2に形成した下孔43の径は、棒状体本体36の軸部36bの径より十分に大きくなっている。このように、本実施形態では、スレート瓦に形成した下孔に直接ネジクギを挿通する従来の方法に比べて、スレート瓦2に形成する下孔43の径を大きくすることができる。このことから、下孔43の形成時に従来より大きな孔を空けることができるので、下孔43の形成作業(図7(a))が容易となるという利点もある。
本実施形態では、スレート瓦2に予め下孔43を形成するときに、従来より大きな孔を空けることができる。即ち、従来の方法であるところの、下孔43の径をできるだけ小さくして水の浸入する可能性のある断面積をできるだけ小さくしようとする方法とは全く異なり、当業者の技術常識と逆行する構成となっている。そして、本実施形態では、防水シート44や屋根下地45にスレート瓦2が接しない状態で下孔43を形成する等の方法により、防水シート44及び屋根下地45に穴を空けず、棒状体34を屋根下地45に係合させるときに棒状体34によって防水シート44及び屋根下地45に孔(穴)を形成している。このことにより、防水シート44に形成される孔の径を棒状体34の軸部36bの径とほぼ同じとすることができる。即ち、防水シート44に形成される孔の内周と棒状体34の軸部36bとの間の隙間を無くす、又は略無くすことができる。そのため、防水シート44の機能を損なうことが無い、又は殆ど損なうことがない状態とすることができる。
また、取付け金具4がスレート瓦2及び屋根下地45に対して固定されるとき、取付け金具4をスレート瓦2上に取付けると、本体部材13に押圧されて屋根保護材14が圧縮される。ここで本実施形態の屋根保護材14は、圧縮した状態においても高い止水性を有するため、スレート瓦2と屋根保護材14の間への雨水や雪溶け水等の水の浸入を阻止又は抑制できる。換言すると、取付け金具4の4周から内側への水の浸入を防止又は抑制できる。そのため、雨水等の水が屋根保護材14の下面とスレート瓦2の上面の間から本体部材13の取付け孔20、屋根保護材14の取付け孔21、スレート瓦2の下孔43の位置まで到達しない、又はわずかしか到達しない。
そしてこのとき、図9(b)で示されるように、棒状体34の棒状体側封止部37が、棒状体本体36の頭部36aによって下方(屋根下地45側)へと押圧される。このことにより、棒状体側封止部37は圧縮された状態で取付け金具4の底板部16の上面に接触し、底板部16の取付け孔20の開口を塞ぐ。このとき、棒状体側封止部37は圧縮した状態においても高い止水性を有するため、棒状体側封止部37の下面と底板部16の上面の間への雨水等の水の浸入を阻止又は抑制できる。換言すると、棒状体側封止部37の外縁部分から内側への水の浸入を防止又は抑制できる。そのため、雨水等の水が棒状体側封止部37の下面と底板部16の上面の間から底板部16の取付け孔20の位置まで到達しない、又はわずかしか到達しない。
さらにこのとき、図9(a),図9(b)で示されるように、棒状体34の軸部36bを埋込片35の貫通孔32に挿入することにより、埋込片35の貫通孔32が拡径する。このとき、軸部36bの外周面は、貫通孔32の内周面から締めつけられた状態となる。そのことにより、軸部36bの外周面と貫通孔32の内周面とが隙間なく密着し、液密に封止される。またこのとき、棒状体34の軸部36bによって埋込片35が中心側から外側へと押圧される。このため、埋込片35が外側へ拡がるように変形し、外周側面(段差部38)がスレート瓦2の下孔43の内周面に押し付けられる。そして、埋込片35の外周面とスレート瓦2の下孔43の間に形成されていた隙間49(図9(a)参照)が、外側へと拡がるように変形した埋込片35によって埋められる(図9(b)参照)。このように、埋込片35の外周側面(段差部38)がスレート瓦2の下孔43の内周面に強く押し付けられるので、埋込片35の外周側面(段差部38)と下孔43の内周面の間が隙間なく密着した状態が得られ、十分な液密性が確保できる。また、スレート瓦2の下孔43の間に形成されていた隙間49が無くなる、又は殆ど無くなった状態となるので、より液密性を向上させることができる。
即ち、棒状体34の軸部36bを埋込片35の貫通孔32に挿入することで、軸部36bの外周面と貫通孔32の内周面の間と、埋込片35の外周側面(段差部38)とスレート瓦2の下孔43の内周面の間がそれぞれ隙間なく密着し、これらの間が液密に封止された状態となる。
以上で、固定具33によるスレート瓦2上への取付け金具4の取付け方法の説明を終了する。この方法によって、図1で示されるように、基礎屋根構造3上の所定の場所に予め決められた数の取付け金具4を取付けることで、基礎屋根構造3上への取付け金具4の取付け作業が完了する。
そして、図2で示されるように、太陽電池モジュール7のフレーム部分を取付け金具4によって固定する。この工程を繰り返し、全ての太陽電池モジュール7を基礎屋根構造3上の取付け金具4と固定することで、取付け金具4による屋根上への太陽電池モジュール7の取付け作業が完了する。
上記した実施形態では、屋根保護材14を備えた取付け金具4をスレート瓦2に取付ける場合について説明したが、本発明の固定具で固定する太陽電池モジュールの取付け金具はこれに限るものではない。例えば、屋根保護材を有さず底板部を直接スレート瓦2上に載置する金具の取付けに本発明の固定具を使用してもよい。本発明の固定具では、棒状体本体36の軸部36bの外周面と、埋込片35に形成された貫通孔32の内周面との間が液密に封止され、且つ、埋込片35の外周側面とスレート瓦2の下孔43の内周面との間が液密に封止される。したがって、仮に雨や雪溶け水等の水がスレート瓦2の下孔43の上部開口付近まで到達しても、それらの水が屋根下地45側へ浸入することはない。
また、本発明の固定具の埋込片と下孔43は、上記した実施形態に限定されるものではなく、例えば、下孔43の径をより小さくする、又は埋込片の最大径をより大きくする等により、下孔43の径の埋込片に対する相対的な大きさをより小さくしてもよい。そして、埋込片を下孔43に挿通したとき、埋込片に形成される段差部38の上部(埋込片の径が大きい部分)がスレート瓦2の上面より上側に位置する構成であってもよい。即ち、埋込片を下孔43に挿通したとき、段差部38の一部がスレート瓦2から上方に突出する構成であってもよい。この場合、埋込片に形成されたフランジ部41の下面はスレート瓦2の上面と接触しなくてもよい。つまり、埋込片に形成されたフランジ部41の下面は、必ずしもスレート瓦2の上面と必ずしも接触しなくてもよく、フランジ部41の下面とスレート瓦2の上面が接近していればよい。このような構成によると、埋込片を下孔43に完全に挿入する前に、埋込片の一部を下孔43に挿入した状態で掛止させて仮止めすることができる。
以下で本発明の固定具について、上記した第1の実施形態とは異なる実施形態について説明するが、上記した第1の実施形態と同様な構造については同様の符号を付して説明を省略する。
本発明の第2の実施形態の棒状体60は、図10で示されるように、棒状体本体36と、棒状体側封止部61とを有している。
そして本実施形態の棒状体側封止部61は、封止部本体62と、被覆部63と、連結部64を備えている。
封止部本体62は、高さの低い円筒状の部材であり、その中心部分に天面から底面までを貫通する開口形状が円形の貫通孔62aが形成されている。
また、この封止部本体62は、圧縮時に止水性を有する弾性材料で形成されており、具体的には、ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム(バイトン)、多流化ゴム(チオコール)等を使用でき、スチレンブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(ハイパロン)、エチレン酢酸ビニルゴム、エピクロルヒドリンゴム等が好ましく、天然ゴム、合成天然ゴム(イソプレンゴム)、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等がより望ましい。即ち、反発弾性(外力が加わったとき、外力が加えられた部分を押し返す力)が高いものが望ましい。
なお、本実施形態では、封止部本体62は硬質ブチルゴムで形成されているものとする。ここで、「硬質」とは、自然状態(外力が加わらない状態)で一定の形状と体積とを有する保形性を備えた固形物である。そして、本実施形態の封止部本体62は弾性変形(可逆変形)可能であり、外力を加えると変形し、外力を除くと元の形状に戻る。
被覆部63は、外形が半球状の部材であり、その内側部分に凹部65が形成されている。この凹部65は一方端が開放された略円柱状の空間となっており、被覆部63の平面部63aに形成された円形の開口65aを介して外部と連続している。なお、凹部65の断面の径(開口65aの径)は、棒状体本体36の頭部36aの最大径よりやや小さくなっている。
なお、被覆部63は封止部本体62と同様の材料である硬質ブチルゴムで形成されている。つまり、被覆部63は、弾性を有し、熱伝導率が低く断熱性を有する材料によって形成されている。
連結部64は、断面円形で延びる紐状体であって、その片側端部で封止部本体62と連続し、他方端部で被覆部63と連続している。
本実施形態の棒状体60は、図10で示されるように、棒状体本体36の頭部36aを被覆部63で覆うことができる。具体的に説明すると、被覆部63を平面部63a側から棒状体本体36の頭部36aに近づけ、被覆部63の凹部65に棒状体本体36の頭部36aを押し入れる。このとき、被覆部63は弾性を有する材料で形成されているため、頭部36aを押し入れることによって凹部65が外側へ拡がった状態となる。そして、頭部36aを押し入れると、頭部36aが凹部65の内周面によって締めつけられた状態となる。このことにより、頭部36aに被覆部63が固定できる。そしてこのとき、頭部36aは、その周囲を被覆部63に取り囲まれた状態となる。このように、棒状体本体36の頭部36aを凹部65の内部に収納することにより、断熱性を有する被覆部63によって頭部36aを収納した内部の空間が外気と遮断され、頭部36aが外気に晒されないので、棒状体本体36が外気によって冷却されてしまうことを防止することができる。
さらに、本発明の第3の実施形態の棒状体70について説明する。
本発明の第3の実施形態の棒状体70は、図11で示されるように、棒状体本体36と、棒状体側封止部71とを有している。
そして本実施形態の棒状体側封止部71は、封止部本体72と、被覆部73と、連結部64を備えている。
封止部本体72は、扁平した半球状の部分が積み重なった略鏡餅状の本体部74と、本体部74の下端と連続する略円盤状のフランジ部75とが一体に形成された部材である。
本体部74の外周面には段差部76が形成されており、この段差部76は、本体部74の全周に亘って形成された突出片77,77,77が、本体部74の軸方向に連続して設けられることによって形成されている。そして、各突出片77の間は内側に窪んでおり、周囲より径の小さな凹部78,78となっている。即ち、本体部74の外周面では、その軸方向において、突出片77と凹部78が交互に連続した状態となっている。また、突出片77の上端に位置する部分から当該突出片77の下端に位置する最も突出した部分までの間が、次第に拡径となるなだらかな傾斜面となっている。即ち、それぞれの突出片77の外形は、上方に凸であり扁平した略半球状となっている。また、それぞれの突出片77の径は、上側に位置する突出片77ほど小さくなっている。つまり、最も下側に位置する突出片77の径が最も大きくなっており、最も上側に位置する突出片77が径が最も小さくなっている。
ここで、フランジ部75の径の大きさは、本体部74の最大径よりさらに大きくなっている。
さらに、本体部74とフランジ部75には、それぞれ上端から下端までを貫通する開口形状が円形の貫通孔79,80がそれぞれ形成されている。そして、これらの2つの貫通孔79,80は連通されている。このとき、本体部74に形成された貫通孔79の径は、フランジ部75に形成された貫通孔80の径より大きくなっており、2つの貫通孔79,80は段差を介して連続している。また、本体部74に形成された貫通孔79の径は、棒状体本体36の頭部36aの最大径と略同一となっており、フランジ部75に形成された貫通孔80の径は、棒状体本体36の軸部36bの径と略同一となっている。
封止部本体72は、図11で示されるように、棒状体本体36に一体に取り付けられている。このとき、棒状体本体36の軸部36bがフランジ部75の貫通孔80に挿通され、2つの貫通孔79,80によって形成される段差部分に棒状体本体36の頭部36aが当接された状態となっている。
被覆部73は、図11で示されるように、上端部分が塞がれた円筒状である有天円筒状の部材となっており、下方部分が開放されて内部に形成された空間81と連続している。
被覆部73の内部に形成された空間81は、その外形が扁平した半球状の部分が積み重なった略鏡餅状となっている。ここで、この空間81の縁部分を形成する内周面には、内周面の全周に亘って形成された突起部82,82が、空間81の軸方向に間隔を空けて設けられている。この突起部82,82はいずれも空間81の内周面から内側方向へ突出するものであり、より詳細には、空間81の径方向外側から中心側に向かって略垂直に突出する突起となっている。
このように突起部82,82が設けられることにより、被覆部73の内部に位置する空間81は、図11(b)で示されるように、上方に凸である扁平した半球状の空間81a,81a,81aが被覆部73の軸方向に連続することで形成されている。ここで、この半球状の空間81aは、下方に位置する空間81aほど大きくなっている。つまり、最も下側に位置する空間81aが最も大きくなっており、最も上側に位置する空間81aが最も小さくなっている。
連結部64は、断面円形で延びる紐状体であって、その片側端部で封止部本体72と連続し、他方端部で被覆部73と連続している。
本実施形態の棒状体70では、被覆部73を封止部本体72に取付けることができる。具体的に説明すると、被覆部73と封止部本体72はいずれも弾性材料で形成されているので、被覆部73を封止部本体72の上方から接触させた状態で下方へ押圧することにより、封止部本体72の本体部74を被覆部73の内部の空間81に押入することができる。即ち、被覆部73の突起部82等が押入時に一時的に変形することにより、被覆部73の各突起部82,82を本体部74の各凹部78,78に嵌め込むことができる。そして、図11(c)で示されるように、被覆部73の各突起部82,82が本体部74の各凹部78,78に嵌め込まれ、被覆部73の下面がフランジ部75の上面に接触し、本体部74の上面が被覆部73の内部側の上端面に接触した状態で被覆部73が封止部本体72に一体に取付けられる。
そして、被覆部73が封止部本体72に取付けられると、棒状体本体36の頭部36aが、被覆部73と、封止部本体72の本体部74によって囲繞される。より具体的には、封止部本体72の本体部74に形成された貫通孔79がその上部開口を被覆部73によって塞がれることによって形成される棒状体側封止部71の内部空間に、棒状体本体36の頭部36aが収納される。このことにより、棒状体本体36の頭部36aは外気に晒されない状態となる。
なお、本発明の棒状体側封止部並びに被覆部は、上記した各実施形態のものに限るものではない。例えば、本発明の棒状体側封止部は、連結部を設けない構成であってもよい。即ち、封止部本体と被覆部のみの構成であってもよい。しかしながら、連結部を備えた構成であれば、被覆部を棒状体本体36の頭部36aから外したとき、被覆部を紛失しないため好ましい。また、この連結部は、被覆部又は棒状体本体と一体に形成しなくてもよく、連結部を被覆部又は棒状体本体に形成した係合部に取付ける構成であってもよい。
また、本発明の被覆部は上記した形状に限るものではない。例えば、棒状体本体36の頭部36aの周囲を完全に覆わなくてもよく、被覆部に溝や孔を形成すること等によって、棒状体本体の頭部36aの一部が外部に露出してもよい。即ち、外気による頭部36aの冷却を抑制できればよい。しかしながら、棒状体本体36の頭部36aの周囲を完全に覆う構成であれば、棒状体本体36の冷却をより確実に防止できるので望ましい。
さらにまた、被覆部の形状は上記した形状に限るものではない。例えば、角柱形、円柱形、円錐台形のように封止部本体や棒状体本体の形状又は外装部材(太陽電池モジュールの取付け具)の形状に応じてその外形を適宜変更してよい。また、被覆部の凹部の形状も同様に適宜変更してよい。例えば、凹部の形状は、棒状体本体の頭部の形状と同じ形であってもよく、棒状体本体の頭部の形状と相似形であってもよい。さらに、半球形、角柱形、円錐台形であってもよい。つまり、棒状体本体の頭部の形状等に応じて適宜変更してもよい。
ここで、本発明の埋込片もまた、上記した第1の実施形態のものに限るものではない。例えば、図12(a)で示されるように、側面部分に段差部を有さない埋込片88であってもよい。即ち、外形が略円柱状であって、長手方向の片側端部から他方端部へ向かって断面の径が小さくなっていくコルク状の埋込片88でもよい。また、貫通孔32でなくスリット88aを設ける構成であってもよい。即ち、スリット88aに棒状体本体36の軸部36bの先端を挿入し、そのまま軸部36bを押し入れることによって、スリット88aを押し広げていく構成であってもよい。また、図12(b)で示されるように、貫通孔32でなく有底穴89aを設けた埋込片89であってもよい。つまり、有底穴89aに棒状体本体36の軸部36bを挿入し、さらに棒状体本体36を下方側へ押し込むことによって、有底穴89aの底部分から埋込片89の下端面までの間に新たに貫通孔を形成する構成であってもよい。即ち、本発明の固定具で採用する埋込片は、貫通孔32を有した筒状体でなくてもよい。
そしてまた、図12(c)で示されるように、長手方向の片側端部の径と、他方端部の径は同じでもよい。即ち、片側端部から他方端部へ向かって断面の径が小さくなっていく構成でなくてもよい。また、埋込片の段差部を形成する突出片は、第1の実施形態のように片側端部から他方端部に向かって最大径が小さくなっていく構成でなくてもよく、最大径が同じ突出片90a,90a,90a,90a,90aが連続して設けられる構成の埋込片90であってよい。即ち、最大径が同じ突出片90a,90a,90a,90a,90aと、溝部90b,90b,90b,90bが交互に連続する埋込片90であってもよい。また、突出片90aと溝部90bはなだらかに連続しなくてもよく、突出片90aの上面又は下面と、溝部90bの底面にあたる最も中心側に位置する外周面とが略直角に交わる構成であってもよい。
さらにまた、図12(a)〜(c)で示されるように、埋込片はフランジ部を有さない構成であってもよい。即ち、スレート瓦2の下孔43内に挿入したとき、埋込片の一部が下孔43の開口から上側に突出する構成でなくてもよい。本発明で採用する埋込片は、下孔43内に挿入したとき、埋込片の天面が下孔43の開口面と同じ高さ又は開口面より低い位置にあってもよい。
本発明の固定具は、太陽電池モジュールの取付け金具の取付けだけでなく、他の外装部材、例えば、棟包の取付け等に使用してもよい。また、屋根上への外装部材の取付けだけでなく、建屋の外壁への外装部材の取付けに使用してもよい。
1 屋根構造
2 スレート瓦(屋根部材)
3 基礎屋根構造
4 取付け金具(外装部材)
7 太陽電池モジュール
32 貫通孔
33 固定具
34 棒状体
35 埋込片(筒状体)
36 棒状体本体
37 棒状体側封止部
38 段差部
43 下孔(貫通孔)
60 棒状体
61 棒状体側封止部
63 被覆部
70 棒状体
71 棒状体側封止部
73 被覆部
88 埋込片
89 埋込片
90 埋込片

Claims (9)

  1. 建屋の外壁又は屋根部材に外装部材を取り付けるための固定具であって、
    建屋の外壁又は屋根部材に少なくとも一部が埋め込まれる埋込片と、棒状体とを有し、
    埋込片は予め筒状体に成形され、上端部分に側面部分よりも径が大きくなるフランジ部が形成されており
    棒状体は棒状体本体と棒状体側封止部から形成され、前記棒状体側封止部は弾性圧縮可能であり、取付け時に外装部材に外側から接触し、圧縮状態で止水性を有するものであり、
    前記外装部材を貫通した前記棒状体本体を前記埋込片に挿通することにより、前記棒状体側封止部の下面と前記外装部材を面接触させ、前記外装部材を前記棒状体側封止部と前記埋込片の間に位置した状態で固定することを特徴とする固定具。
  2. 前記埋込片は弾性材料で形成されるものであり、棒状体本体が挿通されることにより拡径することを特徴とする請求項1に記載の固定具。
  3. 前記埋込片の外表面には1又は複数の段差部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の固定具。
  4. 棒状体側封止部は被覆部を備え、当該被覆部が前記棒状体本体の少なくとも外側端部近傍の一部又は全部を覆うことが可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の固定具。
  5. 前記被覆部は断熱部材で形成されていることを特徴とする請求項に記載の固定具。
  6. 前記外装部材は太陽電池モジュールの取付け具であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の固定具。
  7. 請求項に記載の固定具を使用して複数の屋根部材が載置された基礎屋根構造を有する建屋に太陽電池モジュールの取付け具を取付ける太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法であって、
    屋根部材に貫通孔を形成する工程と、屋根部材に形成した貫通孔に前記埋込片を挿入する工程と、前記棒状体本体で太陽電池モジュールの取付け具を貫通し、前記棒状体本体を前記埋込片に挿通させる工程を有することを特徴とする太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法。
  8. 前記棒状体本体は頭部と軸部とを有し、前記屋根部材に形成する貫通孔の径が前記軸部の径よりも大きいことを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュールの取付け具の取付け方法。
  9. 複数の屋根部材が屋根下地上に列状及び複数段状に並べられて平面的な広がりをもって載置された基礎屋根構造を有し、前記基礎屋根構造上に請求項に記載の固定具を介して太陽電池モジュールの取付け具が固定されており、前記太陽電池モジュールの取付け具を介して、複数の太陽電池モジュールが基礎屋根構造に取付けられていることを特徴とする屋根構造。
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