まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。図4は、パチンコ遊技機を開放した状態を示す斜視図である。図5は、遊技盤ユニットを示す分解斜視図である。図6は、各入賞口におけるスイッチの配設状況を示す概略図である。
パチンコ遊技機1は、図1、図2及び図4に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤6は、図4に示すように、遊技領域7が前面に形成された合成樹脂製の盤面板200と、所定の厚み幅寸法を有し、盤面板200を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材250と、から構成され、該遊技盤6の背面側には、後述する導光板ユニット350や、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット49等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技用部品ユニット300が一体的に組み付けられている(図5参照)。
遊技盤6と遊技用部品ユニット300とが一体的に組み付けられた遊技盤ユニット400(図5参照)を前面枠101の前面に取り付けるには、遊技盤6の左端部を図中太矢印に示すように、前面枠101に形成された縦長長方形状の開口部115の左上下位置に設けられた係止凹部116a,116bに、遊技盤6の左端部を差し込んだ状態で、右端部を盤押え金具692,693で係止することにより取り付けられるようになっている。係止凹部116a,116bには後述する盤押えバネ690,691が設けられており、係止凹部116a,116bに係止された遊技盤6の前後のガタツキが防止されている。盤面板200が取り付けられた状態において、該遊技盤6の背面に設けられた遊技用部品ユニット300が開口部115を介して前面枠101の背面側に臨むようになっている。
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。尚、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び第2入賞確認スイッチ15bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。尚、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。尚、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部(図示略)と、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部(図示略)とが設けられている。尚、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
尚、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、遊技球が入賞可能な第1大入賞口23c(図6参照)を有する第1特別可変入賞球装置23が設けられている。第1大入賞口23cに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1カウントスイッチ23a及び第3入賞確認スイッチ23bによって検出される。
第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって後述する大入賞口扉704(図32参照)が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる第1大入賞口23cが開状態とされる。第1特別可変入賞球装置23が開状態になることによって、遊技球が第1大入賞口23cに入賞可能になり(入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。第1特別可変入賞球装置23が開状態になっている状態では、第1大入賞口23cに遊技球が入賞しやすい。また、大入賞口扉704(図32参照)が閉止状態になっている場合、遊技球は第1大入賞口23cに入賞しない。尚、大入賞口扉704(図32参照)が閉止状態になっている場合において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第1カウントスイッチ23a及び第3入賞確認スイッチ23bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
第1カウントスイッチ23aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、第1特別可変入賞球装置23において開放状態となった第1大入賞口23cを遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、第1特別可変入賞球装置23において第1大入賞口23cが開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、第1特別可変入賞球装置23において第1大入賞口23cが閉止状態となれば、第1大入賞口23cに遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
また、演出表示装置9の上方左側には、遊技球が入賞可能な第2大入賞口24cを有する第2特別可変入賞球装置24が設けられている。第2大入賞口24cに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2カウントスイッチ24a及び第4入賞確認スイッチ24bによって検出される。
第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド22によって羽根部材600(図21参照)が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる第2大入賞口24cが開状態とされ、遊技球が第2大入賞口24cに入賞可能になり(入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。第2特別可変入賞球装置24が開状態になっている状態では、第2大入賞口24cに遊技球が入賞しやすい。また、羽根部材600(図21参照)が閉止状態になっている場合、遊技球は第2大入賞口24cに入賞しない。尚、第2特別可変入賞球装置24が閉状態になっている場合において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第2カウントスイッチ24a及び第4入賞確認スイッチ24bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
第2カウントスイッチ24aによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、第2特別可変入賞球装置24において開放状態となった第2大入賞口24cを遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、第2特別可変入賞球装置24が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、第2特別可変入賞球装置24において第2大入賞口24cが閉止状態となれば、第2大入賞口24cに遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
また、近接スイッチである第1始動口スイッチ14a(以下、第2始動口スイッチ15a、第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aも同様であるが、説明を省略する)の一方の端子には、電源基板から+12V電源電圧が供給されている。第1始動口スイッチ14aの他方の端子の電圧レベルである検出信号は、主基板31に入力される。主基板31において、検出信号は、入力ドライバ回路から遊技制御用マイクロコンピュータの入力ポートに入力される。また、第1始動口スイッチ14aの出力側には、一端が接地されている抵抗RとコンデンサCが接続されている。
近接スイッチである第1始動口スイッチ14aに設けられている穴を金属の遊技球が通過するとコイルに逆起電力が生じ、コイルの等価的な抵抗値が極めて大きくなる。従って、第1始動口スイッチ14aの出力は、0Vに近いローレベルになる。すなわち、検出信号は、ローレベルである。第1始動口スイッチ14aに設けられている穴を金属の遊技球が通過していない場合には、第1始動口スイッチ14aの出力は、+12Vがコイルと抵抗Rの抵抗値で分圧された値であり、ハイレベルであるとみなされるしきい値レベルを越える。すなわち、検出信号は、ハイレベルである。従って、本実施例では、遊技制御用マイクロコンピュータは、第1始動口スイッチ14aからの出力がハイレベルであれば第1始動口スイッチ14aがオフ状態であると判断することができ、第1始動口スイッチ14aからの出力がローレベルであれば第1始動口スイッチ14aがオン状態であると判断することができる(すなわち、第1始動口スイッチ14aの出力は負論理となっている)。尚、検出信号のレベルを入力ドライバ回路で論理反転してから遊技制御用マイクロコンピュータ156に入力するように構成してもよい。
フォトセンサである第1入賞確認スイッチ14b(以下、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23b、第4入賞確認スイッチ24bも同様であるが、説明を省略する)は、発光する発光ダイオード(LED)と受光して電流を出力するフォトトランジスタとで構成されている。発光ダイオードおよびフォトトランジスタの近傍を遊技球が通過すると、遊技球が反射した発光ダイオードからの光をフォトトランジスタが受光して出力側に電流を流す。尚、この場合、フォトトランジスタのコレクタ端子からエミッタ端子の向きに電流が流れることにより、フォトセンサの検出信号は、近接スイッチと同様に負論理である。フォトセンサの出力側は主基板31に接続され、主基板31において、フォトセンサの検出信号は、入力ドライバ回路から遊技制御用マイクロコンピュータの入力ポートに入力される。フォトセンサの出力側(具体的には、フォトトランジスタの出力側)に電流が流れると、入力ドライバ回路は、ハイレベルの検出信号を遊技制御用マイクロコンピュータに出力する。尚、近接スイッチと同様に、検出信号のレベルを入力ドライバ回路で論理反転してから遊技制御用マイクロコンピュータ156に入力するように構成してもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、入力ドライバ回路からの検出信号がローレベルである場合に、遊技球がフォトセンサを通過したと判定することができる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
尚、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における第1特別可変入賞球装置23や第2特別可変入賞球装置24の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
第1特別可変入賞球装置23の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a,29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29b,29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。尚、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや第1大入賞口23c、第2大入賞口24cも、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
図6(a)に示すように、第1始動入賞口13a内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b)が設けられている。この実施例では、第1始動入賞口13a内で、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとが上下に配置されている(本例では、第1始動口スイッチ14aが上側に配置され、第1入賞確認スイッチ14bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第1始動入賞口13a内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第1始動口スイッチ14aで検出され、次いで第1入賞確認スイッチ14bで検出される。
図6(b)に示すように、第2始動入賞口13b内には、始動入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b)が設けられている。この実施例では、第2始動入賞口13b内で、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bとが上下に配置されている(本例では、第2始動口スイッチ15aが上側に配置され、第2入賞確認スイッチ15bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第2始動入賞口13b内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第2始動口スイッチ15aで検出され、次いで第2入賞確認スイッチ15bで検出される。
図6(c)に示すように、第1大入賞口23c内には、第1大入賞口23c内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23b)が設けられている。この実施例では、後述するように、第1大入賞口23c内で、第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23bとが配置されている(本例では、第1カウントスイッチ23aが上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第1大入賞口23c内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まず第1カウントスイッチ23aで検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23bで検出される。
図6(d)に示すように、第2大入賞口24c内には、第2大入賞口24c内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24b)が設けられている。この実施例では、後述するように、第2大入賞口24c内で、第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24bとが配置されている(本例では、第2カウントスイッチ24aが上側に配置され、第4入賞確認スイッチ24bが下側に配置されている)。従って、この実施例では、第2大入賞口24c内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれた後、第2カウントスイッチ24aで検出され、次いで第4入賞確認スイッチ24bで検出される。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23b、第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24bとして、それぞれ異なる検出方式のスイッチが用いられる。この実施例では、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよび第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aとして近接スイッチを用い、第1入賞確認スイッチ14b、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23b、第4入賞確認スイッチ24bとしてフォトセンサを用いている。
また、第1始動口スイッチ14aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第1特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、第2始動口スイッチ15aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、第2特別図柄の変動表示が開始され、賞球払出が実行される。また、第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aによって遊技球が検出されたことにもとづいて、賞球払出が実行される。また、第1始動口スイッチ14aによる検出結果に加えて第1入賞確認スイッチ14bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、第2始動口スイッチ15aによる検出結果に加えて第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、第1カウントスイッチ23aによる検出結果に加えて第3入賞確認スイッチ23bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。また、第2カウントスイッチ24aによる検出結果に加えて第4入賞確認スイッチ24bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。従って、第1入賞確認スイッチ14b、第2入賞確認スイッチ15b、第3入賞確認スイッチ23b、第4入賞確認スイッチ24bは、異常入賞の判定のみに用いられる。
このように、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aは近接スイッチを用いて構成し、第1〜第4入賞確認スイッチ14b,15b,23b,24bはフォトセンサを用いているが、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23b、第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24bの検出方式はこの実施例で示したものにかぎらず、例えば、第1,2始動口スイッチ14a,15a及び第1,第2カウントスイッチ23a,24aと、第1〜4入賞確認スイッチ14b,15b,23b,24bとで異なる検出方式であれば、逆に第1,2始動口スイッチ14a,15a及び第1,第2カウントスイッチ23a,24aとしてフォトセンサを用い、第1〜4入賞確認スイッチ14b,15b,23b,24bとして近接スイッチを用いてもよい。この場合、フォトセンサである第1,2始動口スイッチ14a,15a及び第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aの検出結果にもとづいて特別図柄の変動表示や賞球払出処理が実行され、近接スイッチである第1〜4入賞確認スイッチ14b,15b,23b,24bの検出結果は、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、第1大入賞口23c、第2大入賞口24cの異常入賞の判定のみに用いられることになる。また、例えば、電磁式のスイッチである近接スイッチや光学式のフォトセンサに代えて、第1,2始動口スイッチ14a,15a及び第1,2カウントスイッチ23a,24aは第1〜4入賞確認スイッチ14b,15b,23b,24bとして、機械式のスイッチ(マイクロスイッチなど)を用いてもよい。
また、この実施例では、特別図柄の変動表示や賞球払出処理の実行の契機となる第1,2始動口スイッチ14a,15a及び第1,2カウントスイッチ23a,24aは、異常入賞の判定に用いられる第1〜4入賞確認スイッチ14b,15b,23b,24bよりも上流側に設けられていたが、異常入賞の判定に用いられるスイッチの下流側に設けてもよい。
そして遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第1入賞確認スイッチ14b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第1始動口スイッチ14aにて検出された遊技球数と第1入賞確認スイッチ14bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えたと判定すると、所定のエラーとして、第1始動入賞口13aへの異常入賞が発生したと判定する。また、第2始動口スイッチ15a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第2入賞確認スイッチ15b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第2始動口スイッチ15aにて検出された遊技球数と第2入賞確認スイッチ15bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えたと判定すると、所定のエラーとして、第2始動入賞口13bへの異常入賞が発生したと判定する。
第1カウントスイッチ23a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第3入賞確認スイッチ23b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第1カウントスイッチ23aにて検出された遊技球数と第3入賞確認スイッチ23bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えたと判定すると、所定のエラーとして、第1大入賞口23cへの異常入賞が発生したと判定する。また、第2カウントスイッチ23a(近接スイッチ)から入力した検出信号と第4入賞確認スイッチ24b(フォトセンサ)から入力した検出信号とにもとづいて、第2カウントスイッチ24aにて検出された遊技球数と第4入賞確認スイッチ24bにて検出された遊技球数との差が所定の閾値を超えたと判定すると、所定のエラーとして、第2大入賞口24cへの異常入賞が発生したと判定する。
このように、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15b、第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23b、第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24bと、を互いに異なる検出方式のセンサ(本例では、近接スイッチとフォトセンサ)により構成していることで、例えば電磁波などを用いて第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、第1大入賞口23c、第2大入賞口24cへの入賞数が実際の入賞数よりも多くなるように認識させるような不正行為が行われた場合に、近接スイッチにて検出された遊技球数とフォトスイッチにて検出された遊技球数とに差が生じ、遊技制御用マイクロコンピュータ156はこの差球数が所定の閾値(例えば、本実施例では15)を超えた場合に異常入賞が発生したと判定するため、確実な不正行為対策を講ずることができる。
遊技領域7の左右周辺には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25L,25Rが設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cが設けられている。天枠LED28a、左枠LED28bおよび右枠LED28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
また、演出表示装置9の周囲には、表示画面の周囲を装飾するセンター枠飾り11(図1中網点領域)が設けられており、このセンター枠飾り11の上部には、前述した第2特別可変入賞球装置24が設けられているとともに、導光板351の端面に光を出射するセンター枠飾りLED62a〜62d(図3参照)が設けられている。
図1では、図示を省略しているが、左枠LED28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠LED28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプ(図示略)が設けられている。尚、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により、打球発射装置65(図2参照)から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「非確変」または「確変A」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第1大当り状態(15ラウンド大当り状態)に移行する。大当り遊技状態(通常15ラウンド大当り状態)では、第1特別可変入賞球装置23の第1大入賞口23cを、第1期間となる所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて開放状態とすることにより、第1特別可変入賞球装置23を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に第1大入賞口23cを開放状態とした第1特別可変入賞球装置23は、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に第1大入賞口23cを閉鎖状態とすることにより、第1特別可変入賞球装置23を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、第1大入賞口23cの開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、第1大入賞口23cに遊技球が入賞するたびに15個の出玉(賞球)が得られる。尚、15ラウンド大当り状態は、第1特定遊技状態ともいう。
特図ゲームにおける確定特別図柄として「確変B」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、多ラウンド特定遊技状態としての第2大当り状態(高速15ラウンド大当り状態)に移行する。第2大当り状態では、第2特別可変入賞球装置24の第2大入賞口24cを、第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間(例えば0.5秒間)あるいは所定個数(例えば3個)の入賞球が発生するまでの期間にて開放状態とすることにより、第2特別可変入賞球装置24を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に第2大入賞口24cを開放状態とした第2特別可変入賞球装置24は、遊技盤6の表面を落下する遊技球を受け止め、その後に第2大入賞口24cを閉止状態とすることにより、第2特別可変入賞球装置24を遊技者にとって不利な第2状態(閉止状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。第2大当り状態では、第2大入賞口24cの開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第2ラウンド数(例えば「15」)となる。
このような第2大当り状態では、第2大入賞口24cに遊技球が入賞すれば15個の出玉(賞球)が得られるが、第2大入賞口24cの開放期間が第2期間(0.5秒間)であって、非常に短い。そのため、第2大当り状態は実質的には出玉(賞球)が得られない大当り遊技状態である。尚、第2大当り状態は第2特定遊技状態ともいう。また、第2大当り状態は、第1大当り状態に比べてラウンドの実行回数が少ないものであってもよい。すなわち、第2大当り状態は、各ラウンドで第2大入賞口24cを開放状態に変化させる期間が第1大当り状態における第1期間よりも短い第2期間となることと、ラウンドの実行回数が第1大当り状態における第1ラウンド数よりも少ない第2ラウンド数となることのうち、少なくともいずれか一方となるものであってもよい。
また、「非確変」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば100回)の特図ゲームが実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに、終了すればよい。このように「非確変」に対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
「確変A」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第1大当り状態が終了した後や、確変状態において「確変B」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき第2大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。
こうした「確変A」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。また、「確変B」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り遊技状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、突確大当り図柄と称される。また、大当り図柄のうち確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「確変大当り」と称される。突確大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「突確大当り」(「突確大当り」ともいう)と称される。尚、これら大当り図柄は任意であり、例えば、遊技者に大当り図柄であることや、大当り種別を認識されないようにするために、大当り図柄を数字とせずに予め定められた記号等にしてもよい。
「小当り」に対応する特別図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示された後には、小当り遊技状態に制御される。この小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に第2特別可変入賞球装置24において第2大入賞口24cを遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させる可変入賞動作が行われる。すなわち、小当り遊技状態では、例えば第2特別可変入賞球装置24を第2期間にわたり第1状態(開放状態)とする動作が、第2回数{第2ラウンド数に等しい実行回数(本例では、15回)}に達するまで繰り返し実行される。尚、小当り遊技状態では、第2大当り状態と同様に、第2特別可変入賞球装置24を第1状態とする期間が第2期間となることと、第1状態とする動作の実行回数が第2回数となることのうち、少なくともいずれか一方が行われるように制御されればよい。小当り遊技状態が終了した後には、遊技状態の変更が行われず、可変表示結果が「小当り」となる以前の遊技状態に継続して制御されることになる。ただし、可変表示結果が「小当り」となる特図ゲームが実行されたときに、特別遊技状態における特図ゲームの実行回数が所定回数に達していれば、小当り遊技状態の終了後には、特別遊技状態が終了して通常状態となることがある。可変入賞動作により第2特別可変入賞球装置24を第1状態とする回数が「15」である小当り遊技状態における遊技は、第2大当り状態における遊技と同様に、15回開放遊技とも称される。尚、第2大当り状態における各ラウンドで第2特別可変入賞球装置24とは別個に設けられた入賞球装置を第1状態に変化させる場合には、小当り遊技状態でも、第2大当り状態と同様の態様で、その入賞球装置を第1状態に変化させるようにすればよい。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。尚、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
また、この実施例では、通常状態において「確変B」に対応する「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われない第2確変制御(潜伏確変状態)へ移行する。また、確変状態において「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態へ移行する。
このように確変状態のうちには、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われるものの他に、確変制御のみが行われて時短制御や高開放制御が行われないもの(潜伏確変)が含まれていてもよい。また、例えば、特図ゲームにける可変表示結果が「確変大当り」となったことに基づく第1大当り状態の終了後には、確変制御とともに時短制御や高開放制御が行われる第1確変状態(高確高ベース状態ともいう)に制御され、その後、特図表示結果が「大当り」となることなく、特図ゲームの実行回数が所定回数(例えば70回)に達したときには、確変制御は継続して行われるものの、時短制御や高開放制御が終了して行われなくなる第2確変状態(高確低ベース状態ともいう)に制御されるようにしてもよい。
また、この実施例では、確変状態であるときに特図ゲームにおける可変表示結果が「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後には第2確変状態(潜伏確変状態)へと移行するようになっていたが、確変状態だけでなく、時短状態であるときに特図ゲームにおける可変表示結果が「突確大当り」となったことに基づく第2大当り状態の終了後にも第1確変状態へと移行するようにしてもよい。あるいは、「確変大当り」に基づく第1大当り状態の終了後には、再び特図表示結果が「大当り」となるまで第1確変状態に制御される一方、「突確大当り」に基づく第2大当り状態の終了後には、第1確変状態に移行して、特図表示結果が「大当り」となることなく特図ゲームの実行回数が所定回数に達したときに第2確変状態へと移行するようにしてもよい。時短制御と高開放制御は、それらの開始と終了が同時に(連動して)行われる一方で、確変制御の開始と終了は、時短制御や高開放制御の開始や終了と必ずしも連動するものでなくてもよい。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。尚、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されている。
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
尚、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
尚、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。尚、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。尚、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。尚、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置65の駆動も停止する。
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路153が内蔵されている。
尚、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路153が内蔵されている。乱数回路153は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路153は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路153は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路153は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路153は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路153が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路153が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路153が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路153から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路155が内蔵されている。尚、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。尚、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。尚、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。尚、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。尚、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
入力ポート0のビット0〜7には、それぞれ、電源基板からの電源断信号およびクリアスイッチ、ゲートスイッチ32a、入賞口スイッチ30a,30b、磁石センサ信号1、磁石センサ信号2、ドア開放信号、賞球情報が入力される。また、入力ポート0のビット4,5には磁石を用いた不正行為を検出するための磁気センサG(図31参照)が2個設けられており、それぞれの磁石センサからの検出信号も入力ポート0から入力される。また、入力ポート1のビット0には、第1始動口スイッチ14aの検出信号が入力され、入力ポート1のビット1には、第1入賞確認スイッチ14bの検出信号が入力され、入力ポート1のビット2には、第2始動口スイッチ15aの検出信号が入力され、入力ポート1のビット3には、第2入賞確認スイッチ15bの検出信号が入力され、入力ポート1のビット4には、第1カウントスイッチ23aの検出信号が入力され、入力ポート1のビット5には、第3入賞確認スイッチ23bの検出信号が入力され、入力ポート1のビット6には、第2カウンタスイッチ24aの検出信号が入力される。入力ポート1のビット7には、第4入賞確認スイッチ24bの検出信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、第1カウントスイッチ23a、第3入賞確認スイッチ23b、第2カウントスイッチ24a、第4入賞確認スイッチ24bおよび各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、第1特別可変入賞球装置23を開閉するソレノイド21、第2特別可変入賞球装置24を開閉するソレノイド22と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。尚、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28c、センター枠飾りLED62a〜62d、役物LED63、後述する第1導光板LED60a〜60t、第2導光板LED61a〜61fなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25aに駆動信号を供給する。尚、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、遊技機の動作について説明する。図7は、主基板31における遊技制御用マイクロコンピュータ156が実行するメイン処理を示すフローチャートである。遊技機に対して電源が投入され電力供給が開始されると、リセット信号が入力されるリセット端子の入力レベルがハイレベルになり、遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)は、プログラムの内容が正当か否か確認するための処理であるセキュリティチェック処理を実行した後、ステップS1以降のメイン処理を開始する。メイン処理において、CPU56は、まず、必要な初期設定を行う。
初期設定処理において、CPU56は、まず、割込禁止に設定する(ステップS1)。次に、割込モードを割込モード2に設定し(ステップS2)、スタックポインタにスタックポインタ指定アドレスを設定する(ステップS3)。そして、内蔵デバイスの初期化(内蔵デバイス(内蔵周辺回路)であるCTC(カウンタ/タイマ)およびPIO(パラレル入出力ポート)の初期化など)を行った後(ステップS4)、RAMをアクセス可能状態に設定する(ステップS5)。尚、割込モード2は、CPU56が内蔵する特定レジスタ(Iレジスタ)の値(1バイト)と内蔵デバイスが出力する割込ベクタ(1バイト:最下位ビット0)とから合成されるアドレスが、割込番地を示すモードである。
次いで、CPU56は、入力ポートを介して入力されるクリアスイッチ(例えば、電源基板に搭載されている。)の出力信号(クリア信号)の状態を確認する(ステップS6)。その確認においてオンを検出した場合には、CPU56は、通常の初期化処理(ステップS10〜S15)を実行する。
クリアスイッチがオンの状態でない場合には、遊技機への電力供給が停止したときにバックアップRAM領域のデータ保護処理(例えばパリティデータの付加等の電力供給停止時処理)が行われたか否か確認する(ステップS7)。そのような保護処理が行われていないことを確認したら、CPU56は初期化処理を実行する。バックアップRAM領域にバックアップデータがあるか否かは、例えば、電力供給停止時処理においてバックアップRAM領域に設定されるバックアップフラグの状態によって確認される。
電力供給停止時処理が行われたことを確認したら、CPU56は、バックアップRAM領域のデータチェックを行う(ステップS8)。本実施例では、データチェックとしてパリティチェックを行う。よって、ステップS8では、算出したチェックサムと、電力供給停止時処理で同一の処理によって算出され保存されているチェックサムとを比較する。不測の停電等の電力供給停止が生じた後に復旧した場合には、バックアップRAM領域のデータは保存されているはずであるから、チェック結果(比較結果)は正常(一致)になる。チェック結果が正常でないということは、バックアップRAM領域のデータが、電力供給停止時のデータとは異なっていることを意味する。そのような場合には、内部状態を電力供給停止時の状態に戻すことができないので、電力供給の停止からの復旧時でない電源投入時に実行される初期化処理を実行する。
チェック結果が正常であれば、CPU56は、遊技制御手段の内部状態と演出制御手段等の電気部品制御手段の制御状態を電力供給停止時の状態に戻すための遊技状態復旧処理(ステップS41〜S43の処理)を行う。具体的には、ROM54に格納されているバックアップ時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS41)、バックアップ時設定テーブルの内容を順次作業領域(RAM55内の領域)に設定する(ステップS42)。作業領域はバックアップ電源によって電源バックアップされている。バックアップ時設定テーブルには、作業領域のうち初期化してもよい領域についての初期化データが設定されている。ステップS41およびS42の処理によって、作業領域のうち初期化してはならない部分については、保存されていた内容がそのまま残る。初期化してはならない部分とは、例えば、電力供給停止前の遊技状態を示すデータ(特別図柄プロセスフラグ、確変フラグ、時短フラグなど)、出力ポートの出力状態が保存されている領域(出力ポートバッファ)、未払出賞球数を示すデータが設定されている部分などである。
尚、CPU56は、これら電力供給停止前の遊技状態を示すデータのうち、確変フラグがセットされているか否かを判定し、確変フラグがセットされている場合には、高確報知LED24を点灯させるための高確報知フラグをセットする高確報知フラグ設定処理を実施する(ステップS42+)。
また、CPU56は、電力供給復旧時の初期化コマンドとしての停電復旧指定コマンドを送信する(ステップS43)。そして、ステップS14に移行する。尚、本実施例では、CPU56は、ステップS43の処理において、バックアップRAMに保存されていた合算保留記憶数カウンタの値を設定した合算保留記憶数指定コマンドも演出制御基板80に対して送信する。
尚、本実施例では、バックアップフラグとチェックデータとの双方を用いてバックアップRAM領域のデータが保存されているか否か確認しているが、いずれか一方のみを用いてもよい。すなわち、バックアップフラグとチェックデータとのいずれかを、遊技状態復旧処理を実行するための契機としてもよい。
初期化処理では、CPU56は、まず、RAMクリア処理を行う(ステップS10)。尚、RAMクリア処理によって、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)は0に初期化されるが、任意の値またはあらかじめ決められている値に初期化するようにしてもよい。また、RAM55の全領域を初期化せず、所定のデータ(例えば、普通図柄当り判定用乱数を生成するためのカウンタのカウント値のデータ)をそのままにしてもよい。また、ROM54に格納されている初期化時設定テーブルの先頭アドレスをポインタに設定し(ステップS11)、初期化時設定テーブルの内容を順次作業領域に設定する(ステップS12)。
ステップS11およびS12の処理によって、例えば、普通図柄当り判定用乱数カウンタ、特別図柄バッファ、総賞球数格納バッファ、特別図柄プロセスフラグなど制御状態に応じて選択的に処理を行うためのフラグに初期値が設定される。
また、CPU56は、サブ基板(主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板。)を初期化するための初期化指定コマンド(遊技制御用マイクロコンピュータ156が初期化処理を実行したことを示すコマンドでもある。)をサブ基板に送信する(ステップS13)。例えば、演出制御用マイクロコンピュータは、初期化指定コマンドを受信すると、演出表示装置9において、遊技機の制御の初期化がなされたことを報知するための画面表示、すなわち初期化報知を行う。
また、CPU56は、乱数回路153を初期設定する乱数回路設定処理を実行する(ステップS14)。CPU56は、例えば、乱数回路設定プログラムに従って処理を実行することによって、乱数回路153にランダムRの値を更新させるための設定を行う。
そして、ステップS15において、CPU56は、所定時間(例えば2ms)毎に定期的にタイマ割込がかかるように遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されているCTCのレジスタの設定を行う。すなわち、初期値として例えば2msに相当する値が所定のレジスタ(時間定数レジスタ)に設定される。本実施例では、2ms毎に定期的にタイマ割込がかかるとする。
初期化処理の実行(ステップS10〜S15)が完了すると、CPU56は、メイン処理で、表示用乱数更新処理(ステップS17)および初期値用乱数更新処理(ステップS18)を繰り返し実行する。表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理を実行するときには割込禁止状態に設定し(ステップS16)、表示用乱数更新処理および初期値用乱数更新処理の実行が終了すると割込許可状態に設定する(ステップS19)。本実施例では、表示用乱数とは、大当りとしない場合の特別図柄の停止図柄を決定するための乱数や大当りとしない場合にリーチとするか否かを決定するための乱数であり、表示用乱数更新処理とは、表示用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。また、初期値用乱数更新処理とは、初期値用乱数を発生するためのカウンタのカウント値を更新する処理である。本実施例では、初期値用乱数とは、普通図柄に関して当りとするか否か決定するための乱数を発生するためのカウンタ(普通図柄当り判定用乱数発生カウンタ)のカウント値の初期値を決定するための乱数である。後述する遊技の進行を制御する遊技制御処理(遊技制御用マイクロコンピュータ156が、遊技機に設けられている演出表示装置、可変入賞球装置、球払出装置等の遊技用の装置を、自身で制御する処理、または他のマイクロコンピュータに制御させるために指令信号を送信する処理、遊技装置制御処理ともいう)において、普通図柄当り判定用乱数のカウント値が1周(普通図柄当り判定用乱数の取りうる値の最小値から最大値までの間の数値の個数分歩進したこと)すると、そのカウンタに初期値が設定される。
尚、本実施例では、リーチ演出は、演出表示装置9において可変表示される演出図柄(演出図柄)を用いて実行される。また、特別図柄の表示結果を大当り図柄にする場合には、リーチ演出は常に実行される。特別図柄の表示結果を大当り図柄にしない場合には、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数を用いた抽選によって、リーチ演出を実行するか否か決定する。ただし、実際にリーチ演出の制御を実行するのは、演出制御用マイクロコンピュータである。
タイマ割込が発生すると、CPU56は、図8に示すステップS20〜S34のタイマ割込処理を実行する。タイマ割込処理において、まず、電源断信号が出力されたか否か(オン状態になったか否か)を検出する電源断検出処理を実行する(ステップS20)。電源断信号は、例えば電源基板に搭載されている電源監視回路が、遊技機に供給される電源の電圧の低下を検出した場合に出力する。そして、電源断検出処理において、CPU56は、電源断信号が出力されたことを検出したら、必要なデータをバックアップRAM領域に保存するための電力供給停止時処理を実行する。次いで、入力ドライバ回路58を介して、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、第1カウントスイッチ23a、第3入賞確認スイッチ23b、第2カウントスイッチ24a、第4入賞確認スイッチ24bおよび各入賞口スイッチ30a,30bの検出信号を入力し、それらの状態判定を行う(スイッチ処理:ステップS21)。
次に、CPU56は、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8b、普通図柄表示器10、第1特別図柄保留記憶表示器18a、第2特別図柄保留記憶表示器18b、普通図柄保留記憶表示器41、高確報知LED24の表示制御を行う表示制御処理を実行する(ステップS22)。第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび普通図柄表示器10については、ステップS32,S33で設定される出力バッファの内容に応じて各表示器に対して駆動信号を出力する制御を実行する。
また、遊技制御に用いられる普通図柄当り判定用乱数等の各判定用乱数を生成するための各カウンタのカウント値を更新する処理を行う(判定用乱数更新処理:ステップS23)。CPU56は、さらに、初期値用乱数および表示用乱数を生成するためのカウンタのカウント値を更新する処理を行う(初期値用乱数更新処理,表示用乱数更新処理:ステップS24,S25)。
さらに、CPU56は、特別図柄プロセス処理を行う(ステップS26)。特別図柄プロセス処理では、第1特別図柄表示器8a、第2特別図柄表示器8bおよび大入賞口を所定の順序で制御するための特別図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
次いで、普通図柄プロセス処理を行う(ステップS27)。普通図柄プロセス処理では、CPU56は、普通図柄表示器10の表示状態を所定の順序で制御するための普通図柄プロセスフラグに従って該当する処理を実行する。CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値を、遊技状態に応じて更新する。
また、CPU56は、演出制御用マイクロコンピュータに演出制御コマンドを送出する処理を行う(演出制御コマンド制御処理:ステップS28)。
さらに、CPU56は、例えばホール管理用コンピュータに供給される大当り情報、始動情報、確率変動情報、起動高確情報などのデータを出力する情報出力処理を行う(ステップS29)。尚、起動高確情報は、高確報知フラグがセットされていることに応じて情報出力回路53から、パチンコ遊技機1の上方位置に設けられている図示しない呼び出しランプに対して出力される。
また、CPU56は、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよび第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aの検出信号にもとづく賞球個数の設定などを行う賞球処理を実行する(ステップS30)。具体的には、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15aおよび第1カウントスイッチ23a、第2カウントスイッチ24aのいずれかがオンしたことにもとづく入賞検出に応じて、払出制御基板37に搭載されている払出制御用マイクロコンピュータに賞球個数を示す払出制御コマンド(賞球個数信号)を出力する。払出制御用マイクロコンピュータは、賞球個数を示す払出制御コマンドに応じて球払出装置97を駆動する。
本実施例では、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域(出力ポートバッファ)が設けられているのであるが、CPU56は、出力ポートの出力状態に対応したRAM領域におけるソレノイドのオン/オフに関する内容を出力ポートに出力する(ステップS31:出力処理)。
また、CPU56は、特別図柄プロセスフラグの値に応じて特別図柄の演出表示を行うための特別図柄表示制御データを特別図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する特別図柄表示制御処理を行う(ステップS32)。CPU56は、例えば、特別図柄プロセス処理でセットされる開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、変動速度が1コマ/0.2秒であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値を+1する。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bにおける第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示を実行する。
さらに、CPU56は、普通図柄プロセスフラグの値に応じて普通図柄の演出表示を行うための普通図柄表示制御データを普通図柄表示制御データ設定用の出力バッファに設定する普通図柄表示制御処理を行う(ステップS33)。CPU56は、例えば、普通図柄の変動に関する開始フラグがセットされると終了フラグがセットされるまで、普通図柄の変動速度が0.2秒ごとに表示状態(「○」および「×」)を切り替えるような速度であれば、0.2秒が経過する毎に、出力バッファに設定される表示制御データの値(例えば、「○」を示す1と「×」を示す0)を切り替える。また、CPU56は、出力バッファに設定された表示制御データに応じて、ステップS22において駆動信号を出力することによって、普通図柄表示器10における普通図柄の演出表示を実行する。
その後、割込許可状態に設定し(ステップS34)、処理を終了する。
以上の制御によって、本実施例では、遊技制御処理は2ms毎に起動されることになる。尚、遊技制御処理は、タイマ割込処理におけるステップS21〜S33(ステップS29を除く。)の処理に相当する。また、本実施例では、タイマ割込処理で遊技制御処理が実行されているが、タイマ割込処理では例えば割込が発生したことを示すフラグのセットのみがなされ、遊技制御処理はメイン処理において実行されるようにしてもよい。
第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび演出表示装置9にはずれ図柄が停止表示される場合には、演出図柄の可変表示が開始されてから、演出図柄の可変表示状態がリーチ状態にならずに、リーチにならない所定の演出図柄の組合せが停止表示されることがある。このような演出図柄の可変表示態様を、可変表示結果がはずれ図柄になる場合における「非リーチ」(「通常はずれ」ともいう)の可変表示態様という。
第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bおよび演出表示装置9にはずれ図柄が停止表示される場合には、演出図柄の可変表示が開始されてから、演出図柄の可変表示状態がリーチ状態となった後にリーチ演出が実行され、最終的に大当り図柄とはならない所定の演出図柄の組合せが停止表示されることがある。このような演出図柄の可変表示結果を、可変表示結果が「はずれ」となる場合における「リーチ」(「リーチはずれ」ともいう)の可変表示態様という。
本実施例では、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bに大当り図柄が停止表示される場合には、演出図柄の可変表示状態がリーチ状態になった後にリーチ演出が実行され、最終的に演出表示装置9における「左」、「中」、「右」の各図柄表示エリアに、演出図柄が揃って停止表示される。
次に、タイマ割込処理におけるスイッチ処理(ステップS21)を説明する。本実施例では、入賞検出またはゲート通過に関わる各スイッチの検出信号のオン状態が所定時間継続すると、確かにスイッチがオンしたと判定されスイッチオンに対応した処理が開始される。RAM55に形成される各2バイトのバッファにおいて、前回ポートバッファは、前回(例えば4ms前)のスイッチオン/オフの判定結果が格納されるバッファである。ポートバッファは、今回入力したポート0,1の内容が格納されるバッファである。スイッチオンバッファは、スイッチのオンが検出された場合に対応ビットが1に設定され、スイッチのオフが検出された場合に対応ビットが0に設定されるバッファである。尚、前回ポートバッファ、ポートバッファ、およびスイッチオンバッファは、入力ポート0,1ごとに用意される。例えば、本実施例では、2つのスイッチオンバッファ1,2が用意されており、入力ポート0のスイッチの状態がスイッチオンバッファ1に設定され、入力ポート1のスイッチの状態がスイッチオンバッファ2に設定される。
図9は、遊技制御処理におけるステップS21のスイッチ処理の処理例を示すフローチャートである。スイッチ処理において、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、まず、前述した入力ポート0,1に入力されているデータを入力し(ステップS101)、入力したデータをポートバッファにセットする(ステップS102)。
次いで、RAM55に形成されるウェイトカウンタの初期値をセットし(ステップS103)、ウェイトカウンタの値が0になるまで、ウェイトカウンタの値を1ずつ減算する(ステップS104,S105)。
ウェイトカウンタの値が0になると、再度、入力ポート0,1のデータを入力し(ステップS106)、入力したデータとポートバッファにセットされているデータとの間で、ビット毎に論理積をとる(ステップS107)。そして、論理積の演算結果を、ポートバッファにセットする(ステップS108)。ステップS103〜S108の処理によって、ほぼ[ウェイトカウンタの初期値×(ステップS104,S105の処理時間)]の時間間隔を置いて入力ポート0から入力した2回の入力データのうち、2回とも「1」になっているビットのみが、ポートバッファにおいて「1」になる。つまり、所定期間としての[ウェイトカウンタの初期値×(ステップS104,S105の処理時間)]だけスイッチの検出信号のオン状態が継続すると、ポートバッファにおける対応するビットが「1」になる。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、前回ポートバッファにセットされているデータとポートバッファにセットされているデータとの間で、ビット毎に排他的論理和をとる(ステップS109)。排他的論理和の演算結果において、前回(例えば4ms前)のスイッチオン/オフの判定結果と、今回オンと判定されたスイッチオン/オフの判定結果とが異なっているスイッチに対応したビットが「1」になる。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、さらに、排他的論理和の演算結果と、ポートバッファにセットされているデータとの間で、ビット毎に論理積をとる(ステップS110)。この結果、前回のスイッチオン/オフの判定結果と今回オンと判定されたスイッチオン/オフの判定結果とが異なっているスイッチに対応したビット(排他的論理和演算結果による)のうち、今回オンと判定されたスイッチに対応したビット(論理積演算による)のみが「1」として残る。
そして、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ステップS110における論理積の演算結果をスイッチオンバッファにセットし(ステップS111)、ステップS108における演算結果がセットされているポートバッファの内容を前回ポートバッファにセットする(ステップS112)。
以上の処理によって、所定期間継続してオン状態であったスイッチのうち、前回(例えば4ms前)のスイッチオン/オフの判定結果がオフであったスイッチ、すなわち、オフ状態からオン状態に変化したスイッチに対応したビットが、スイッチオンバッファにおいて「1」になっている。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156(具体的には、CPU56)は、スイッチ正常/異常チェック処理を行う(ステップS113)。
図10は、スイッチ正常/異常チェック処理を示すフローチャートである。図10に示すスイッチ正常/異常チェック処理において、CPU56は、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファの内容を読み出す(ステップS121)。そして、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第1始動口スイッチ14aに対応するビット0の値が0であるか否か確認する(ステップS122)。すなわち、第1始動入賞口13aの第1入賞通路に設けられた第1始動口スイッチ14a(近接スイッチ)がオン(遊技球を検出)したか否か確認する。
入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第1始動口スイッチ14aに対応するビット0の値が0である場合(すなわち、第1始動口スイッチ14aがオン状態である場合)には、RAM55に形成されているスイッチ用カウンタの値を1増やす(ステップS123)。
また、CPU56は、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第1入賞確認スイッチ14bに対応するビット1の値が0であるか否か確認する(ステップS124)。すなわち、第1始動入賞口13aの第1入賞通路に設けられた第1入賞確認スイッチ14b(フォトセンサ)がオン(遊技球を検出)したか否か確認する。
入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第1入賞確認スイッチ14bに対応するビット1の値が0である場合(すなわち、第1入賞確認スイッチ14bがオン状態である場合)には、RAM55に形成されているスイッチ用カウンタの値を1減らす(ステップS125)。
また、CPU56は、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第2始動口スイッチ15aに対応するビット2の値が0であるか否か確認する(ステップS126)。すなわち、第2始動入賞口13bの第2入賞通路に設けられた第2始動口スイッチ15a(近接スイッチ)がオン(遊技球を検出)したか否か確認する。
入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第2始動口スイッチ15aに対応するビット2の値が0である場合(すなわち、第2始動口スイッチ15aがオン状態である場合)には、RAM55に形成されているスイッチ用カウンタの値を1増やす(ステップS127)。
また、CPU56は、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第2入賞確認スイッチ15bに対応するビット3の値が0であるか否か確認する(ステップS128)。すなわち、第2始動入賞口13bの第2入賞通路に設けられた第2入賞確認スイッチ15b(フォトセンサ)がオン(遊技球を検出)したか否か確認する。
入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第2入賞確認スイッチ15bに対応するビット3の値が0である場合(すなわち、第2入賞確認スイッチ15bがオン状態である場合)には、RAM55に形成されているスイッチ用カウンタの値を1減らす(ステップS129)。
また、CPU56は、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第1カウントスイッチ23aに対応するビット4の値が0であるか否か確認する(ステップS130)。すなわち、第1大入賞口23cの第1大入賞通路に設けられた第1カウントスイッチ23a(近接スイッチ)がオン(遊技球を検出)したか否か確認する。
入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第1カウントスイッチ23aに対応するビット4の値が0である場合(すなわち、第1カウントスイッチ23aがオン状態である場合)には、RAM55に形成されているスイッチ用カウンタの値を1増やす(ステップS131)。
また、CPU56は、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第3入賞確認スイッチ23bに対応するビット5の値が0であるか否か確認する(ステップS132)。すなわち、第1大入賞口23cの第1大入賞通路に設けられた第3入賞確認スイッチ23b(フォトセンサ)がオン(遊技球を検出)したか否か確認する。
入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第3入賞確認スイッチ23bに対応するビット5の値が0である場合(すなわち、第3入賞確認スイッチ23bがオン状態である場合)には、RAM55に形成されているスイッチ用カウンタの値を1減らす(ステップS133)。
また、CPU56は、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第2カウントスイッチ24aに対応するビット6の値が0であるか否か確認する(ステップS134)。すなわち、第2大入賞口24cの第2大入賞通路に設けられた第2カウントスイッチ24a(近接スイッチ)がオン(遊技球を検出)したか否か確認する。
入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第2カウントスイッチ24aに対応するビット6の値が0である場合(すなわち、第2カウントスイッチ24aがオン状態である場合)には、RAM55に形成されているスイッチ用カウンタの値を1増やす(ステップS135)。
また、CPU56は、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第4入賞確認スイッチ24bに対応するビット7の値が0であるか否か確認する(ステップS136)。すなわち、第2大入賞口24cの第2大入賞通路に設けられた第4入賞確認スイッチ24b(フォトセンサ)がオン(遊技球を検出)したか否か確認する。
入力ポート1に対応するスイッチオンバッファにおける第4入賞確認スイッチ24bに対応するビット7の値が0である場合(すなわち、第4入賞確認スイッチ24bがオン状態である場合)には、RAM55に形成されているスイッチ用カウンタの値を1減らす(ステップS137)。
そして、CPU56は、スイッチ用カウンタの値が所定値以上になっているか否か確認する(ステップS138)。スイッチ用カウンタの値が所定値以上になっている場合には、CPU56は、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、第1大入賞口23c、第2大入賞口24cのうちいずれかへの異常入賞が発生したと判定し、セキュリティ信号情報タイマに所定時間(本例では、4分)をセットする(ステップS139)。尚、本実施例では、CPU56は、スイッチ用カウンタの値が所定値として15以上となったことにもとづいて、セキュリティ信号情報タイマに所定時間(本例では、4分)をセットするものとする。本実施例では、ステップS139でセキュリティ信号情報タイマに所定時間がセットされたことにもとづいて、情報出力処理(S31参照)が実行されることによって、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、第1,2大入賞口23c,24cの異常入賞が検出されたときに、セキュリティ信号が所定時間(本例では、4分)外部出力される。
尚、ステップS138の処理において、CPU56は、例えば、スイッチ用カウンタの値が10以上となったことにもとづいて、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、第1大入賞口23c、第2大入賞口24cへの異常入賞が発生したと判定することに加えて、逆にスイッチ用カウンタの値が−10以下となったことにもとづいても、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、第1大入賞口23c、第2大入賞口24cへの異常入賞が発生したと判定するようにしてもよい。この場合、スイッチ用カウンタの値がマイナス値となっていることを認識できないように構成されている場合には、例えば、スイッチ用カウンタの値のデフォルト値として10をセットするようにしておき、スイッチ用カウンタの値が0または20以上となったことにもとづいて、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、第1大入賞口23c、第2大入賞口24cへの異常入賞が発生したと判定するようにしてもよい。
尚、本実施例では、既にセキュリティ信号情報タイマに値が設定されセキュリティ信号を外部出力中であっても、新たに異常入賞を検出した場合には、再度ステップS127の処理が実行されて、セキュリティ信号情報タイマに所定時間(本例では、4分)が上書きされる。従って、セキュリティ信号の外部出力中に新たな異常入賞を検出した場合には、実質的にセキュリティ信号の外部出力期間が延長され、その新たに異常入賞を検出した時点から更に所定時間(本例では、4分)セキュリティ信号の出力が継続されることになる。
尚、本実施例では、1つのスイッチ用カウンタのみを用いて第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13b、第1大入賞口23c、第2大入賞口24cへの異常入賞を検出する場合を示したが、第1始動口スイッチ14aの検出回数と第1入賞確認スイッチ14bの検出回数または第2始動口スイッチ15aの検出回数と第2入賞確認スイッチ15bの検出回数または第1カウントスイッチ23aの検出回数と第3入賞確認スイッチ23bの検出回数または第2カウントスイッチ23bの検出回数と第4入賞確認スイッチ24bの検出回数とで異なるスイッチ用カウンタを用いてもよい。この場合、例えば、第1始動口スイッチ14aのオン状態を検出するごとに第1スイッチ用カウンタの値を1加算するようにするとともに、第1入賞確認スイッチ14bのオン状態を検出するごとに第2スイッチ用カウンタの値を1加算するようにすればよい。そして、ステップS138では、第1スイッチ用カウンタの値と第2スイッチ用カウンタの値との差が所定値(例えば、15)以上であると判定したことにもとづいて、第1始動入賞口13aへの異常入賞が発生したと判定し、ステップS139の処理を実行してセキュリティ信号を外部出力するようにすればよい。
また、第1始動入賞口13aへの異常入賞が発生したことを検出した場合には、ステップS139の処理を実行してセキュリティ信号を外部出力するとともに、所定のエラー報知コマンドを演出制御用マイクロコンピュータに送信するようにして、演出制御用マイクロコンピュータ側において演出表示装置9に所定のエラー画面を表示させるなどによりエラー報知を行えるようにすることが望ましい。
また、例えば、第1始動入賞口13aへの異常入賞に加えて、他の入賞口29a、29bへの異常入賞や、異常磁気エラー、異常電波エラー、通信エラーを検出した場合にもセキュリティ信号を出力するように構成する場合には、それぞれエラーの種類ごとに異なるエラー報知コマンドを演出制御用マイクロコンピュータに送信するようにしてもよい。そして、演出制御用マイクロコンピュータ側において、演出表示装置9に、エラーの種類ごとにそれぞれ異なるエラー画面を表示させるなどによりエラー報知を行えるようにしてもよい。
尚、上記のように構成する場合、遊技機への電力供給が停止した後に電力供給が再開したときには、電力供給の停止前にエラー報知中であった場合には、電源供給の再開時に所定のエラー報知コマンドを演出制御用マイクロコンピュータに対して再度送信するようにするようにしてもよい。すなわち、演出制御用マイクロコンピュータ側ではRAMなどの記憶内容がバックアップ電源によってバックアップされていないので、停電が発生してしまうと、そのままでは、それまで実行していたエラー報知などの演出を実行できないのであるが、停電復旧時に所定のエラー報知コマンドを再度送信するように構成することによって、停電復旧時にエラー報知を再開できるようにすることができる。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、セキュリティ信号情報タイマの値もバックアップRAMにバックアップしておくようにし、電力供給の停止前にセキュリティ信号の出力中であった場合には、停電復旧時にバックアップされていたセキュリティ信号情報タイマの値にもとづいてセキュリティ信号の出力を再開できるようにしてもよい。それらの構成を備えることによって、故意に遊技機への電源断を発生させることによって、エラー報知を消したりセキュリティ信号の出力を停止させたりするような不正行為を防止することができる。
また、そのビット0に対応する第1始動口スイッチ14a(近接スイッチ)によって遊技球が検出されると「0」になる。また、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファのビット1は、そのビット1に対応する第1入賞確認スイッチ14b(フォトセンサ)によって遊技球が検出されると「0」になる。スイッチが正常に動作し、かつ、不正行為(スイッチからの検出信号を不正にオン状態にしたり、オン状態の検出信号を不正にオフ状態にしたりする行為)を受けていない場合には、第1始動口スイッチ14aが第1入賞確認スイッチ14bよりも上流側に配置されていることから、まず、第1始動口スイッチ14a(近接スイッチ)がオンし、次いで、第1入賞確認スイッチ14b(フォトセンサ)がオンするはずである。従って、まず第1始動口スイッチ14aがオンしたことにもとづいてスイッチ用カウンタの値が1加算されて1となり(ステップS123参照)、次いで第1入賞確認スイッチ14bがオンしたことにもとづいてスイッチ用カウンタの値が1減算されて0に戻る(ステップS125参照)。よって、遊技球がスイッチを通過するときに、入力ポート1に対応するスイッチオンバッファのビット0とビット1とがともに「0」となり、正常な動作状態であれば、カウントアップのタイミングにずれ(遊技球の通過タイミングのずれに相当)があるものの、スイッチ用カウンタの値は0に保たれる筈である。
しかし、電波による不正行為が行われた場合には、第1始動口スイッチ14aが1回オンする筈の期間に、電波により不正にオフ状態を割り込ませ、恰も第1始動口スイッチ14aが2回オンしたかのように認識させる不正行為が行われるおそれがある。従って、第1始動口スイッチ14aが1回だけオンとなったにもかかわらず、第1始動口スイッチ14aが2回に亘ってオンしたと誤認識させられてスイッチ用カウンタの値が合計で2加算されて2となる(ステップS123が2回実行されることになる)。一方、下流側に配置されている第1入賞確認スイッチ14bは、電磁式である第1始動口スイッチ14aとは検出方式が異なり、光学式のフォトセンサが用いられていることから、電波による不正行為の影響を受けない。そのため、第1始動口スイッチ14aで遊技球を1球検出した後に、少し遅れて第1入賞確認スイッチ14b側で遊技球を検出されたときに、正常に第1入賞確認スイッチ14bのオンを1回だけ検出して、スイッチ用カウンタの値を1減算して1とする(ステップS125参照)。従って、電波による不正行為が行われた場合には、検出方式の異なる第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとの間で検出数に差が生じるのであるから、スイッチ用カウンタの値が0に保たれず、スイッチ用カウンタの値が所定値(本例では15)以上となったことにもとづいて(第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとの間の検出誤差の累積値が所定値(本例では15)以上となったことにもとづいて)、第1始動入賞口13aへの異常入賞が発生したことを検出することができる。
尚、ここでは第1始動口スイッチ14aの検出結果と第1入賞確認スイッチ14bの検出結果とにもとづいて第1始動入賞口13aへの異常入賞を検出する例を示したが、第2始動口スイッチ15aの検出結果と第2入賞確認スイッチ15bの検出結果とにもとづいて第2始動入賞口13bへの異常入賞を検出することができる。また、第1、第2カウントスイッチ23a,24aの検出結果と第3、第4入賞確認スイッチ23b,24bの検出結果とにもとづいて第1、第2大入賞口23c,24cへの異常入賞を検出することができる。
尚、不正に光を照射するなどの行為によって同様な不正行為が行われることも考えられる。この場合、第1入賞確認スイッチ14bが1回オンする筈の期間に、光により不正にオフ状態を割り込ませ、恰も第1入賞確認スイッチ14bが2回オンしたかのように認識させる不正行為が行われるおそれがある。しかし、この場合、逆に電磁式の第1始動口スイッチ14a側では光による不正行為の影響をうけず正常に遊技球を検出できるのであるから、同様にスイッチ用カウンタの値が0に保たれず、スイッチ用カウンタの値が所定値(本例では15)以上となったことにもとづいて(第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとの間の検出誤差の累積値が所定値(本例では15)以上となったことにもとづいて)、第1始動入賞口13aへの異常入賞が発生したことを検出することができる。
尚、本実施例では、第1始動口スイッチ14aおよび第1入賞確認スイッチ14bの出力が負論理である場合を示しているが、第1始動口スイッチ14aおよび第1入賞確認スイッチ14bの出力が正論理となるように構成してもよい。この場合、例えば、第1始動口スイッチ14aおよび第1入賞確認スイッチ14bの出力レベルをそれぞれ入力ドライバ回路で論理反転してから遊技制御用マイクロコンピュータ156に入力するように構成すればよい。
また、本実施例では、スイッチ用カウンタの値が0に保たれていないこと(第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとの間に検出誤差が発生したこと)にもとづいて直ちに異常入賞と判定するのではなく、スイッチ用カウンタの値が所定値(本例では15)以上となったことにもとづいて異常入賞が発生したと判定している。そのように構成することによって、例えば、第1始動入賞口13a内で遊技球が球詰まり状態を起こした場合などを不正行為による異常入賞と判定することを防止している。
次に、図6(a)に示すように、第1入賞通路内において、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとは、上下に一定の距離をおいて配置されている。そのため、第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、まず第1始動口スイッチ14aで検出された後、少し時間をおいて下流側の第1入賞確認スイッチ14bで検出されることになる。よって、第1入賞通路内において遊技球が球詰まり状態を起こした場合には、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとの物理的な距離差によって、その検出数に差が生じた状態となる。そして、第1入賞通路内では、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとの間で最大9個の検出誤差が生じるものとする。
図6(b)に示すように、第2入賞通路内において、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bとは、上下に一定の距離をおいて配置されている。そのため、第2始動入賞口13bに入賞した遊技球は、まず第2始動口スイッチ15aで検出された後、少し時間をおいて下流側の第2入賞確認スイッチ15bで検出されることになる。よって、第2入賞通路内において遊技球が球詰まり状態を起こした場合には、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bとの物理的な距離差によって、その検出数に差が生じた状態となる。そして、第2入賞通路内では、第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bとの間で最大2個の検出誤差が生じるものとする。
図6(c)に示すように、第1大入賞通路内において、第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23bとは、左右及び前後に一定の距離をおいて配置されている。そのため、第1大入賞口23cに入賞した遊技球は、まず第1カウントスイッチ23aで検出された後、少し時間をおいて下流側の第3入賞確認スイッチ23bで検出されることになる。よって、第1大入賞通路内において遊技球が球詰まり状態を起こした場合には、第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23bとの物理的な距離差によって、その検出数に差が生じた状態となる。そして、第1大入賞通路内では、第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23bとの間で最大4個の検出誤差が生じるものとする。
図6(d)に示すように、第2大入賞通路内において、第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24bとは、左右及び前後に一定の距離をおいて配置されている。そのため、第2大入賞口24cに入賞した遊技球は、まず第2カウントスイッチ24aで検出された後、少し時間をおいて下流側の第4入賞確認スイッチ24bで検出されることになる。よって、第2大入賞通路内において遊技球が球詰まり状態を起こした場合には、第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24bとの物理的な距離差によって、その検出数に差が生じた状態となる。そして、第2大入賞通路内では、第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24bとの間で最大4個の検出誤差が生じるものとする。
本実施例では、スイッチ用カウンタの値が、複数の入賞通路(第1入賞通路、第2入賞通路、第1大入賞通路、第2大入賞通路)のうち、上流側の近接スイッチ(14a,15a,23a,24a)と下流側のフォトセンサ(14b,15b,23b,24b)との物理的な距離差が最も大きい入賞通路である第1入賞通路内での球詰まり状態における第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとの検出誤差9個に対して、十分余裕をもたせた所定値(本例では15)以上となったことにもとづいて異常入賞が発生したと判定することによって、第1入賞通路、第2入賞通路、第1大入賞通路、第2大入賞通路のうちいずれかで遊技球が球詰まり状態を起こした場合などを不正行為による異常入賞と判定することを防止している。
尚、本実施例では、球詰まり状態における第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとの検出誤差9個に対して十分余裕をもたせた所定値(本例では15)以上となったことにもとづいて異常入賞が発生したと判定する場合を示しているが、異常入賞の判定に用いる所定値は、本実施例で示したものにかぎられない。例えば、少なくとも、球詰まり状態における第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bとの検出誤差9個より多い数であれば、誤って異常入賞と判定してしまうことを防止できるのであるから、スイッチ用カウンタの値が10以上となったことにもとづいて異常入賞が発生したと判定するようにしてもよい。
また、複数の入賞通路における球詰まり状態での検出誤差がそれぞれ同数(例えば3個)である場合は、検出誤差3個に対して十分余裕をもたせた所定値(例えば10)以上となったことにもとづいて異常入賞が発生したと判定するようにしてもよい。
また、複数の入賞通路内における異常入賞を検出可能に構成した場合には、これら全ての入賞通路での球詰まり状態における検出誤差を合計した数(9個+2個+4個=15個)より多い数(例えば20個)を所定値として用いて、異常入賞の判定を行うようにすれば、誤って異常入賞を判定することを防止することができる。
また、本実施の形態では、複数の入賞通路での球詰まり状態における検出誤差を1つのスイッチ用カウンタにて検出できるようにしていることで、各入賞通路に対応するスイッチ用カウンタをそれぞれ設けなくても各入賞通路内における異常入賞を検出できるようになっていたが、各入賞通路に対応するスイッチ用カウンタをそれぞれ設けるとともに、各入賞通路毎の検出誤差に対応する所定値を設定し、各スイッチ用カウンタにおける検出誤差を監視して異常入賞の判定を行うようにしてもよい。このようにすることで、いずれの入賞通路にて入賞異常が発生したかを特定することが可能となる。
また、本実施例では、第1大入賞口23cに入賞した遊技球は、第1カウントスイッチ23aと第3入賞確認スイッチ23bとにより検出され、第2大入賞口24cに入賞した遊技球は、第2カウントスイッチ24aと第4入賞確認スイッチ24bとにより検出されるようになっていたが、前述したように第3入賞確認スイッチ23b及び第4入賞確認スイッチ24bは異常入賞の判定のみに用いられるため、例えば第1大入賞口23cや第2大入賞口24cの開閉は、第1カウントスイッチ23a及び第2カウントスイッチ24aにて検出されたタイミングを契機として行われる。
ここで、第1特別可変入賞球装置における大入賞口扉704の開閉タイミングの一例を説明する。図11は、第1特別可変入賞球装置における遊技球の検出タイミングと扉の開閉タイミングとの関係を示す図である。
図11に示すように、例えば、非確変大当りや確変A大当りの発生を契機に移行した大当り遊技状態において、第1大入賞口23cが開放してラウンド遊技が行われている間に第1大入賞口23c内に遊技球が進入(入賞)した場合、該進入した遊技球は第1カウントスイッチ23aにて検出された後に第3入賞確認スイッチ23bにて検出されることになるが、基本的に遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1カウントスイッチ23aにて検出されたタイミングで第1大入賞口23cに遊技球が入賞したと判定するようになっている。
よって、本実施例では、第1大入賞口23cは、各ラウンドにおいて所定期間である29.5秒間あるいは所定個数である8個の入賞球が発生するまでの期間開放状態とされるようになっているため、8球目の遊技球が入賞したとき、つまり第1カウントスイッチ23aが8球目の遊技球を検出したタイミングで閉止条件が成立したとしてソレノイド21を励磁して、大入賞口扉704を閉止状態とする。このようにすることで、2つのセンサにより入賞異常を判定しつつ、第1大入賞口23cを開閉する大入賞口扉704を迅速に閉じることができる。
(入賞口ユニット)
次に、本実施例の入賞口ユニットの構造について、図面にもとづいて説明する。図12は、入賞口ユニットを示す分解斜視図である。図13は、(a)は入賞口ユニットを示す正面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図である。図14は、(a)は入賞口部材を示す正面図、(b)は入賞口部材を示す背面図、(c)は(a)のC−C断面図である。図15は、入賞口部材を示す斜視図である。図16は、入賞口部材をメッキ処理するための治具を示す図である。図17は、入賞口部材をメッキ処理する工程を示す図である。図18は、入賞口部材をメッキ処理する際に使用する治具の変形例を示す図である。図19は、(a)は変形例1としての入賞口部材を示す正面図、(b)は(a)のD−D断面図である。図20は、(a)は変形例2としての入賞口部材を示す正面図、(b)は(a)のE−E断面図である。
図12及び図13に示されるように、第1始動入賞口13aや一般入賞口29a〜29dを構成する入賞口ユニット500は、盤面板200に対し前面側から金属製のビス501aにより取り付けられる入賞口取付部材501と、入賞口取付部材501の前面側に、該入賞口取付部材501の背面側から差し込まれる金属製のビス502aにより取り付けられる入賞口部材502と、から主に構成されており、入賞口部材502の前面には、装飾用シール503が貼着される。また、これら入賞口取付部材501及び入賞口部材502は、合成樹脂材にて所定形状に成型された後、後述するメッキ処理が施されるメッキ部材とされている。
入賞口取付部材501は、正面視横楕円形状に形成され、中央に遊技球が通過可能な通路孔504が形成された取付板部505と、取付板部505の背面における通路孔504の周縁の一部から後方に向けて延設された通路部506と、から主に構成されている。取付板部505には、ビス501aが取り付けられる取付孔506aが左右に形成されているとともに、その内側にビス502aが取り付けられる取付孔506bが形成されている。また、取付板部505の背面における取付孔506aの近傍には、盤面板200に形成された位置決め穴H2(図13(c)参照)に嵌合される位置決め突起507aが突設されているとともに、取付孔506bの近傍には、入賞口部材502の後端面に突設された位置決め突起531a,531bが嵌合される位置決め孔507bが形成されている。
通路部506は、縦断面略上向き略U字形をなし、所定の前後幅寸法を有するとともに遊技球が通過可能な左右幅寸法を有する入賞球誘導溝509が形成されており、その内底部には、通路孔504から後方に向けて下方に傾斜する上端面(図13(b)参照)を有する誘導壁508が前後方向に向けて立設されている。
このように構成される入賞口取付部材501は、盤面板200の所定箇所に形成された取付穴H1(図13(b)(c)参照)に、通路部506を前面側から嵌合させて取付板部505を盤面板200の前面に当接させることで、位置決め突起507a及び位置決め孔507bにより取付位置が決定され、ビス501aにより前面側から取り付けできるようになっている。
図12〜図15に示すように、入賞口部材502は、正面視略円形状に形成される前面板部520と、前面板部520の背面から後方に向けて所定長さ延設された上向きU字形の通路部521と、から主に構成されている。
前面板部520は、図14に示すように、下周縁部に水平な直線部522が形成されており、該直線部522が下部位置であることが判るようになっている。また、特に図13(b)(c)に示すように、前面板部520の前面には、正面視略円形状の第1凹部523が形成されている。この第1凹部523の下周縁部にも水平な直線部524が形成されており、該直線部524が下部位置であることが判るようになっている。
通路部521は、軸心が前後方向を向く円柱部材の上部に、縦断面略U字形の入賞球誘導溝525が前後方向に向けて形成されてなる。この入賞球誘導溝525の上面開口の左右幅寸法及び前後幅寸法は、遊技球の直径よりも僅かに大きく形成されており、図13に示すように入賞口取付部材と一体化されたときに、上向きに開口する略正方形状の入賞口(例えば第1始動入賞口13a、入賞口29a〜29d)を形成してなる。また、入賞球誘導溝525の内底部には、後方に向けて下方に傾斜する上端面(図13(b)参照)を有する誘導壁526が前後方向に向けて立設されており、進入した遊技球を背面側に誘導するようになっている。
通路部521の後端面521aにおける入賞球誘導溝525の左右側方位置には、通路部521を中空状にするための左右一対の第1成型用凹部530a及び第2成型用凹部530bが前方に向けて形成されている。また、入賞球誘導溝525の下方位置には、第3成型用凹部530cが前方に向けて形成されているとともに、第1成型用凹部530a及び第2成型用凹部530bと第3成型用凹部530cとの間には、それぞれビス502aが螺入されるネジ穴530dが前後に向けて形成されている。
また、通路部521の後端面における第1成型用凹部530a,第2成型用凹部530bに対応する位置には、位置決め孔507bに嵌合される位置決め突起531a,531bが背面側に向けて突設されている。
これら第1〜3成型用凹部530a〜530cは、成型の際に所謂ヒケ(樹脂は溶融し、冷却固化する過程で収縮が起こるが、成形時に溶融した樹脂を冷却して固化させていくと、肉厚部やその中心部などは表面よりも冷却が遅れてしまうが、その際に、早期に固化した表面が遅れて固化する内部の収縮によって陥没する(凹む)箇所。)が生じることがないように、予め通路部521内部を中空状に形成するための成型用の凹部である。
そして、第1凹部523における底面(前面)523aには、第1成型用凹部530aに対応する箇所に第1連通孔535aが形成され、第2成型用凹部530bに対応する箇所に第2連通孔535bが形成され、第3成型用凹部530cに対応する箇所に第3連通孔535aが形成されているとともに、これら第1〜3連通孔535a〜535cはそれぞれ対応する第1〜3成型用凹部530a〜530cに連通されている。
すなわち、前面側に開口する第1凹部523と後面側に開口する第1成型用凹部530aとは第1連通孔535aを介して連通され、前面側に開口する第1凹部523と後面側に開口する第2成型用凹部530bとは第2連通孔535bを介して連通され、前面側に開口する第1凹部523と後面側に開口する第3成型用凹部530cとは第3連通孔535cを介して連通されている(図15参照)。
また、これら第1〜3連通孔535a〜535cの縦断面面積は、図15に示すように、第1凹部523の底面523a(前面)及び第1〜3成型用凹部530a〜530cの底面530t(後面)よりも小さく形成されている。すなわち、第1凹部523の底面523aに第1〜3成型用凹部530a〜530cが直接貫通して形成されているわけではなく、第1凹部523の底面523aの一部と第1〜3成型用凹部530a〜530cの底面530tの一部とが、メッキ処理時の液剤(水洗水等も含む)が流通可能な大きさを有する第1〜3連通孔535a〜535cを介して連通されている。図14(b)中網点領域は、底面530tに占める第1〜3連通孔535a〜535cの領域を示している。
このように、第1凹部523の底面523aの一部と第1〜3成型用凹部530a〜530cの底面530tの一部とが第1〜3連通孔535a〜535cを介して連通され、液剤が流通可能な程度の小さな孔にて構成されていることで、第1凹部523の底面523aに対して第1〜3成型用凹部530a〜530cを直接貫通形成する場合に比べて強度低下を防止できる。
また、底面523aと底面530tとは互いに平坦状に形成されるとともに、互いに平行に配置されており、かつ、底面523aと底面530tとの間のうち最も離間幅が狭い箇所同士が第1〜3連通孔535a〜535cにて連通されていることで、第1〜3連通孔535a〜535cの長さが極力短寸化されているので、連通孔内に液剤が滞留することが防止される。
また、ネジ穴530dは、第1凹部523の底面523aに対応する箇所に形成されているものの、図14(c)に示すように、前面板部520を貫通していないとともに、連通孔等を介して連通されてもいない。よって、ビスが螺入可能な程度(例えば5mm以下)の直径であり、長手方向に延びる円筒形状の凹部であることで液剤が内部に進入しにくいので、固化したメッキ層によりビス502aの螺入時に大きな抵抗力が生じて通路部521が破損することが防止される。
このように構成される入賞口部材502は、図16に示すように、該入賞口部材502の成形時において、1本の棒状の幹部540aとこの幹部540aから枝分かれした複数の枝部540bとからなるランナー540と共に成形され、枝部540bの先端にそれぞれ入賞口部材502が連結された状態で成形型から取り出される。この状態でランナー540を図示しない治具により保持してメッキ処理を施し、その後、枝部540bの先端で入賞口部材502を切り離すことにより、複数の入賞口部材502を同時にメッキ処理することができるようになっている。尚、本実施例では、入賞口部材502は直線部522にて枝部540bと連結されているため、以下に説明するメッキ処理後の切断時等において切断が容易とされている。
ここで、メッキ処理工程の大まかな流れの一例を説明する。まず、メッキ処理工程は、大きく分けて段取り、脱脂、各種メッキ、乾燥、検査のようになり、詳細は下記の通りとなる。
1.段取り(素材・形状・数量・要求機能・電流密度・治具設計)
2.素地調整、マスキング(素材の表面がメッキに適していない、表面粗さの場合に表面を調整する)
3.治具選択、治具付け(品物にあった治具を選択し、取り付ける。または、バレルに入れる)
4.予備脱脂(大量に付着した油を除去する)
5.本脱脂(中程度に付着している油を除去する)
6.水洗(前工程で付着している液を洗い流す)
7.酸洗(錆、スケール、スマットなどを除去する)
8.水洗(前工程で付着している液を洗い流す)
9.仕上げ洗浄(ごく微量の油やスマットを除去する)
10.水洗(前工程で付着している液を洗い流す)
11.活性化(前処理工程で生じた酸化膜を除去する)
12.水洗(前工程で付着している液を洗い流す)
13.各種メッキ(素材表面に各種の金属皮膜を析出させる)
14.回収(品物によってくみ出されたメッキ液を回収する)
15.水洗(前工程で付着している液を洗い流す)
16.活性化(亜鉛メッキ後、表面を活性化する)
17.水洗(前工程で付着している液を洗い流す)
18.各種クロメート処理(亜鉛メッキ上にクロムの酸化化合物を付ける)
19.水洗(前工程で付着している液を洗い流す)
20.乾燥(品物を乾燥する)
21.治具はずし(治具からはずす、ホッパーなどからとりだす)
このようにメッキ処理の際には、メッキ処理に用いられる液剤の滞留等によって、メッキ状態の品質の低下を招くことがあるため、複雑な形状の装飾品のメッキ処理には、細心の注意を払い、処理する必要があるが、これにより作業効率の低下を招いていたのでは生産性が大幅に低下する恐れがある。
次に、メッキ処理における作用について、図17にもとづいて説明する。尚、図17においては、第1凹部523と第3成型用凹部530cとの間でのメッキ液剤Mの流通状況についてのみ説明し、第1凹部523と第1,2成型用凹部530a,530bとの間での液剤の流通状況は同様であるため、ここでの説明は省略することとする。
まず、図17(a)に示すように、図示しない治具によりランナー540を保持して、入賞口部材502を所定の姿勢に維持する。このとき、例えば第1凹部523をメッキ液剤Mの水面に対して斜め約45度傾けた傾斜姿勢で対向させたまま下降させる。ここで、第1凹部523が下向きに開口した姿勢でメッキ液剤M内に浸された場合、第1凹部523内の空気は、上方に位置する第3連通孔535cを介して第3成型用凹部530c内に排出されるので、内部に滞留することがない。つまり、第3連通孔535cは第1凹部523の空気抜き孔として機能する。よって、第1凹部523、連通孔535c、第3成型用凹部530cそれぞれの内面ほぼ全域に液剤が均等にいきわたるので、次工程においてメッキ不良を起こすことが防止される。また、入賞球誘導溝525は上方に開口しているため、内面ほぼ全域にメッキ液剤Mが均等にいきわたる。
次いで、図17(b)に示すように、傾斜姿勢から回転させて垂直姿勢にして入賞口部材502全体を液剤に浸した後、再び傾斜姿勢に戻しながら上昇させる。
そして、図17(c)に示すように、メッキ液剤Mから引き上げられると同時に第1凹部523内の液剤が流れ落ちるとともに、上向きに開口している第3成型用凹部530c内の液剤は、その底面530tに形成された第3連通孔535cを介して流出し、第1凹部523から流れ落ちる。また、入賞球誘導溝525は斜め下向きにも開口しているため、液剤はほぼ流れ落ちる。
このように、第3成型用凹部530c内の液剤が迅速に排出されることで、メッキ処理中、あるいはメッキ処理後に第3成型用凹部530c内に液剤が滞留し、この滞留した液剤がメッキ処理中であれば次工程へ至るまえの水洗でも拭うことができず、この次工程中の振動等によって、不用意に第3成型用凹部530cの後端開口から流出して、この次工程の処理が不良となってメッキ不良を起こすことが防止される。
尚、本実施例では、第1凹部523をメッキ液剤Mの水面に対して斜め約45度傾けた傾斜姿勢で対向させたまま浸していたが、メッキ液剤Mに浸す際の姿勢は任意であり、例えば第3成型用凹部530cを下向きに開口させた姿勢で下降させてメッキ液剤Mに浸すようにしてもよい。
また、本実施例では、第1凹部523と第3成型用凹部530c(第2凹部)とのうち、開口面積が大きいまたは深さ寸法が小さい凹部をメッキ液剤Mに対して傾斜させた姿勢で対向させた状態で浸していることで、メッキ液剤Mに対向させた第1凹部523内に空気が入り込みにくく、かつ、入り込んだ空気を連通孔535cを介して反対側の第3成型用凹部530c(第2凹部)に迅速に排出させることができることで、第1凹部523及び第3成型用凹部530c双方の内部にメッキ液剤Mが確実にいきわたるため、メッキ不良が発生しにくくなる。
そして、このようにメッキ処理が施された入賞口部材502は、図12に示されるように、ビス502aにより入賞口取付部材501の前面に取り付けられて一体化される。一体化された状態において、図13(b)(c)に示されるように、前面板部520と通路部521の左右側壁と取付板部505とにより、上方に開口する略正方形状の入賞口(例えば第1始動入賞口13a、入賞口29a〜29d)が形成されるとともに、前後の入賞球誘導溝525,509が通路孔504を介して合致され、前後方向に延びる入賞球誘導通路が形成される。
また、第1凹部523の底面523aには、前面に所定の装飾が施された装飾用シール503が貼着される。これにより、底面523aに形成された複数の第1〜3連通孔535a〜535cが前面側から被覆され、遊技者側から視認不能に隠蔽されるため、外観体裁が向上するとともに、第1〜3連通孔535a〜535cから針金等の異物等を進入されて遊技盤6の背面側に設けられた遊技制御基板31等に対し不正行為が行われることを防止できる。
以上説明したように、第1凹部523及び第2凹部である第1〜3成型用凹部530a〜530cのうち一方が下向きに開口する姿勢でメッキ液剤に浸けられることで、第1〜3成型用凹部530a〜530cに空気が閉じ込められてしまっても、第1〜3連通孔535a〜535cを介して他方の第1〜3成型用凹部530a〜530cから空気を逃がすことができるため、凹部にムラなくメッキ処理を施すことができる。また、入賞口部材502がメッキ液剤Mから引き上げられたときに、上向きに開口する姿勢の第1〜3成型用凹部530a〜530cに滞留した液剤は、第1〜3連通孔535a〜535cを介して他方の凹部から排出されるため、メッキ不良を引き起こすことが防止される。
また、特に第1凹部と第2凹部とが連通孔を介して連通することで、各凹部に対応する連通孔をそれぞれ設ける必要がないとともに、連通孔の開口は第1凹部及び第2凹部の内面に形成され、入賞口部材502の表面における凹部以外の箇所に開口が露呈することがない。
また、入賞口部材502の表面における第1凹部523及び第1〜3成型用凹部530a〜530c以外の箇所に第1〜3連通孔535a〜535cの開口が露呈されることがないとともに、第1〜3連通孔535a〜535c内にメッキ液剤Mが流入することでメッキ処理面積が増加するため、例えば、入賞口に入賞した遊技球に帯電した電気が除電されやすくなる。さらに、入賞口取付部材501にもメッキ処理が施されていることによりメッキ処理面積がさらに増加するとともに、入賞口取付部材501が該入賞口取付部材501よりも大きな盤面板200に取り付けられていることでアースされるため、除電効果が高まる。
また、特に第2凹部としての第1〜3成型用凹部530a〜530cは、遊技球を誘導する入賞球誘導溝525が形成される通路部521に形成される成型用の凹部であり、通路部521のメッキ処理面積が増大するため、入賞した遊技球を誘導しながら電気を除去することができる。また、通路部521に第1〜3成型用凹部530a〜530cが形成されても該通路部521は筒形状が維持されるため、著しく強度が低下することがない。
また、第1〜3成型用凹部530a〜530cは、第1凹部523と反対側に開口する位置に形成され、第1〜3連通孔535a〜535cは、第1凹部523と第1〜3成型用凹部530a〜530cとの離間幅寸法が最も小さい箇所間、つまり底面523aと底面530t間を連通させることで、第1〜3連通孔535a〜535cが長くなってメッキ液剤Mや空気が滞留しやすくなることが防止される。
尚、本実施例では、第1凹部と第2凹部とがそれぞれ前後に開口するように、第1凹部が正面、第2凹部が反対側の背面に形成されていたが、例えば第1凹部に対して、第2凹部が左右側面、平面、底面のいずれかに形成されていてもよい。さらに本実施例のように、第1凹部に対して複数の第2凹部(第1〜3成型用凹部530a〜530c)が形成されていてもよいし、あるいは複数の第1凹部と複数の第2凹部とがそれぞれ1対1で連通されていてもよい。
また、第1〜第3連通孔535a〜535cは、底面523aと底面530tとを連通するように最短距離間に形成されていたが、例えば底面523aと底面530t以外の面同士を連通するように形成されていてもよい。
また、本実施例では、第1〜第3連通孔535a〜535cは、底面523a及び底面530tのうち、底面530tの周縁の一部に沿って形成されていることで、第1〜第3連通孔535a〜535cの内周面の一部と第1〜3成型用凹部530a〜530cの内周面の一部とが面一をなし、段部が形成されないことで、メッキ液剤Mから引き上げた際に、第1〜3成型用凹部530a〜530c内のメッキ液剤Mが段部に滞留することなく確実に流れ落ちるようになる。
また、入賞口部材502は、遊技盤6に設けられる遊技球の入賞口13a,29a〜29d及び該入賞口に進入した遊技球を誘導する遊技球誘導路を構成する入賞口部材であり、第1〜3成型用凹部530a〜530cは、遊技球誘導路を構成する通路部521(肉厚部)を中空状にするために形成される成型用凹部であることで、第1〜3成型用凹部530a〜530cを外部に連通させるための切欠溝等を形成しなくても、第1〜3成型用凹部530a〜530cに形成される第1〜第3連通孔535a〜535cから内部に進入した空気やメッキ液剤Mを排出することができるため、遊技球誘導路の強度低下を防止できる。さらに、通路部521に形成された入賞球誘導溝525の表面から第1〜3成型用凹部530a〜530cにかけて表面がメッキ処理されることで、メッキ処理面積が広がるため、入賞球誘導溝525を通過する遊技球の静電気を効果的に除去できる。
また、本実施例では、入賞口部材502はランナー540に連結された状態で成型され、メッキ処理時には図示しない治具によりランナー540を保持して液剤M内に浸していたが、図18に示すように、先端に側方に屈曲する係止部552が形成されるとともに、弾性変形可能に形成された左右一対の棒部材551を有する治具550を使用して保持してもよい。
具体的には、左右一対の棒部材551は、第1,2成型用凹部530a,530bの後端開口から第1,2連通孔535a,535bを介して前面側に挿通可能な長さを有しており、前面板部520の第1凹部523(図示略)まで挿通されたときに、左右一対の係止部552が第1,2連通孔535a,535bの開口左右縁に弾性係止されることで逸脱が規制されるようになっている。
このように、メッキ処理を行う際に入賞口部材502を保持する治具550を備え、入賞口部材502は、第1凹部523及び第1,2成型用凹部530a,530bのうちいずれかが下向きになるように治具550が取り付けられる第1,2成型用凹部530a,530bが形成されていることで、メッキ液剤Mが良好に排出される。
図19には、本発明の変形例1としての入賞口部材502Aが示されている。
前記実施例の入賞口部材502は、ネジ穴530dは第1凹部523の底面523aに対応する箇所に形成されているものの、前面板部520を貫通していないとともに、連通孔等を介して連通されてもいなかったが、本変形例1のように、第1凹部523とネジ穴530dとを第4連通孔535dを介して連通してもよく、このようにすることで、径が小さくて長いネジ穴530dに進入した空気やメッキ液剤Mを第4連通孔535dから排出することができる。
尚、第4連通孔535dの開口面積は、ネジ穴530dの外径よりも小さくてもよいし、同じであってもよく、同一である場合、ネジ穴530dが底面523aに貫通して形成されていることになる。
このように第1凹部523とネジ穴530dとを第4連通孔535dを介して連通することで、ネジ穴530d内もメッキ処理が施されることになる。よって、このネジ穴530dに金属製のビス502aが螺入されることで、入賞口部材502に生じた静電気がビス502aに逃げるため、入賞口取付部材501にもメッキ処理を施すことで、静電気を入賞口取付部材501に逃がすことが可能となる。
図20には、本発明の変形例2としての入賞口部材502Bが示されている。
前記実施例の入賞口部材502は、各第1〜3成型用凹部530a〜530cは第1〜第3連通孔535a〜535cを介して第1凹部523に連通しているだけであったが、例えば第3成型用凹部530cの底壁に、前後方向に延びる切欠溝560を形成することで、第3成型用凹部530c内に進入したメッキ液剤Mをより確実に流出させることができる。この場合、入賞球誘導溝525を直接形成している第1底壁部560aが切欠溝で分断されるわけではなく、第3成型用凹部530cを挟んでその下側の第2底壁部560bの一部が分断されているだけであるので、入賞球誘導溝525の底壁部の強度が著しく低下することがない。
また、本実施例では、メッキ部材の一例として、可変入賞球装置の入賞口を構成する入賞口部材502について説明したが、一方に向けて開口する第1凹部と他方に向けて開口する第2凹部とが形成された部材であれば、本発明のメッキ部材の対象となる。
(第2特別可変入賞球装置)
次に、本実施例の第2特別可変入賞球装置の構造について、図面にもとづいて説明する。図21は、(a)(b)は第2特別可変入賞球装置を示す斜視図である。図22は、(a)(b)は第2特別可変入賞球装置の構造を示す分解斜視図である。図23は、(a)は第2特別可変入賞球装置を示す正面図、(b)は(a)のE−E断面図である。図24は、(a)は第2特別可変入賞球装置を示す左側面図、(b)は図23(a)のF−F断面図である。図25は、(a)は羽根部材を示す正面図、(b)は左側面図、(c)は右側面図、(d)〜(f)は斜視図である。図26は、(a)は図24(a)のG−G断面図、(b)は(a)の背面図である。図27は、(a)は駆動機構を示す一部断面図、(b)は閉止状態、(c)は開放状態での駆動機構を示す図である。図28は、(a)は羽根部材の閉止状態を示す断面図、(b)は開放状態を示す断面図である。図29は、(a)は閉止状態の左側面図であり、(b)は第2特別可変入賞球装置の要部拡大断面図である。
図21〜図24に示す第2特別可変入賞球装置24は、図1に示すように、演出表示装置9を囲むように形成されたセンター枠飾り11の上部に設けられている。センター枠飾り11は、合成樹脂材により環状に形成され、盤面板200に形成された開口(図示略)の周縁に該盤面板200の前面に沿って配置される板状部11aから構成され、板状部11aの前面には各種装飾部材が施される。
第2特別可変入賞球装置24は、板状部11aに形成される第2大入賞口24cと、第2大入賞口24cに遊技球が入賞しやすい開放位置(図28(b)参照)と遊技球が入賞しないまたは入賞しにくい閉止位置(図28(a)参照)との間で回動可能に設けられた羽根部材600と、羽根部材600を駆動する駆動ユニット601と、から主に構成されている。
第2大入賞口24cは、板状部11aの前面に凸設された三角柱形状のブロック壁610に形成された傾斜側面610aの上部と、その下部に水平に配置される第2カウントスイッチ24aの左端部と、の間に形成される左側方に開口する縦向きの入賞口である。ブロック壁610の下部には、前後方向に延設された左右一対の保持溝604a(図26(a)参照)を有するセンサ保持部604が形成されており、該保持溝604aに第2カウントスイッチ24aの本体を背面側から差し込み可能とされている。
図22に示すように、第2カウントスイッチ24aの本体24Aは平面視長方形状の平板部材からなり、遊技球が通過可能な通過孔24B(検出開口)が上下に貫通して形成されており、第2大入賞口24cから進入(入賞)して通過孔を通過した遊技球を検出する。
センサ保持部604の下方には、第2カウントスイッチ24aの通過孔24Bを通過して下方に誘導された遊技球を、板状部11aの背面側に誘導する入賞球誘導通路605aを構成する誘導樋605が形成されている。誘導樋605は、図26(a)に示すように縦断面略上向きU字形に形成された板部材からなり、背面側に向けて延設されている。
また、羽根部材600の左側方位置には、羽根部材600に遊技球が衝突することを防止する防護壁606が、板状部11aの前面に立設されている。尚、防護壁606の詳細な構造については後述することとする。
羽根部材600及び羽根部材600を駆動する駆動ユニット601について説明すると、図22に示されるように、駆動ユニット601は、板状部11aの背面上部所定箇所に固設される駆動源としてのソレノイド22と、ソレノイド22のプランジャ22aの先端に設けられた連結部材620と、連結部材620に連結された偏心軸部材621を有し、盤面板200の前面に対し略直交する方向(前後方向)を向く回動軸622と、から主に構成されている。
回動軸622は、板状部11aに形成された前後方向を向く軸受孔607に軸心周りに回動可能に挿通され、前端に羽根部材600が固着されるとともに、後端に偏心軸部材621が固着されている。偏心軸部材621には、回動軸622の軸心に対して偏心位置にある偏心軸621aが後向きに突設されている。
連結部材620は、図22,図24(b),図26(b),図27に示されるように、プランジャ22aの先端に直交して取り付けられる取付板620aと、取付板620aの後端縁上部から連設され板状部11aに対向する連結板620bと、取付板620aの下部から連設され水平方向に延びるガイド板620cと、から構成されている。連結板620bには、上下方向の延びる連結孔623が形成されており、該連結孔623内に偏心軸621aが長手方向に摺動可能に嵌挿されることで、プランジャ22aと回動軸622とが連結部材620を介して連結される。また、ガイド板620cは、前端が板状部11aの背面に形成された左右方向を向くガイド溝608(図22(b),図26(b)参照)内に左右方向に摺動可能に差し込まれており、これにより連結部材620が左右方向に安定してスライド案内されるようになっている。
このように構成された駆動ユニット601は、図27(b)に示すように、ソレノイド22が励磁されていない状態(ソレノイド22;off)においては、コイルバネ22bの付勢力によりプランジャ22aが突出位置に位置する。この状態において、回動軸622の軸心に対して連結孔623及び偏心軸621aが正面から見て右側に偏心した位置に維持され、羽根部材600は閉止位置に停止される。
そして図27(c)に示すように、ソレノイド22が励磁されると(ソレノイド22;on)、コイルバネ22bの付勢力に抗してプランジャ22aが本体側の退避位置まで移動する。このプランジャ22aとともに連結部材620がソレノイド22の本体側に移動することにより、連結孔623に嵌挿された偏心軸621aが回動軸622の軸心周りに回転される。これにより、回動軸622が正面から見て反時計回りに回転するため、羽根部材600は回動軸622を中心として閉止位置から開放位置まで回転する。
図25に示すように、羽根部材600は、板状部11a、つまり盤面板200の前面に対して略平行に設けられる前面板部630と、前面板部630の背面所定箇所に突設され、回動軸622の前端が相対回転不能に嵌合される嵌合穴631aが形成された円筒形状の軸受部631と、前面板部630の背面における軸受部631の近傍位置に突設されたストッパ片632と、前面板部630の背面における第2大入賞口24c側の縁辺から盤面板200に向けて立設される内側壁部633と、前面板部630の背面における第2大入賞口24cと反対側の縁辺から盤面板200に向けて立設される外側壁部634と、前面板部630の背面上部縁辺から盤面板200に向けて立設され内側壁部633と外側壁部634とを連結する上側壁部635と、から構成されている。
図26(a)に示すように、ストッパ片632の先端は、板状部11aにおける軸受孔607の上部に同心円弧形状に形成された回動規制溝609内に嵌挿されており、閉止位置においては、回動規制溝609の右端に位置するとともに、開放位置においては、回動規制溝609の左端に位置し、回動規制溝609の左端または右端に当接することにより、回転が約90度の範囲内で規制されるようになっている。
図25に示すように、前面板部630は、一方向に向けて延設される長板からなり、長手方向の中央位置から僅かに一端側にずれた位置に軸受部631が形成されている。すなわち、羽根部材600は、軸受部631から回動軸622の軸心に対して直交する一方向に延設される球受部600aと、軸受部631から前記一方向と反対側に延設されるベース部600bと、から構成される。
球受部600aは、盤面板200の前面(遊技盤面)に対し直交する方向(前後方向)の厚み寸法L20が遊技球の直径寸法Pにほぼ相当し(L20≒P、図29参照)、羽根部材600が閉止位置にあるときに第2大入賞口24cへの遊技球の進入を規制する部分である。また、ベース部600bの厚み寸法L21は、球受部600aよりも狭い(L20>L21)。
尚、本実施例では、球受部600aの厚み寸法L20は、遊技球の直径寸法Pにほぼ相当する寸法とされているが、遊技球の直径寸法Pにほぼ相当する寸法とは、例えば、遊技球の直径寸法Pの約半分の寸法から該直径寸法Pの約2倍の寸法の範囲内であることが好ましく、遊技球の直径寸法Pが11mmの場合、5.5mm〜22mmの範囲内であればよい。
つまり外側壁部634は、前面板部630の背面上端から外側辺に沿って軸受部631の側方やや下方位置まで延設されている。すなわち、球受部600a及びベース部600bの一部の外側辺に沿って延設されているが、軸受部631のやや上方位置から下端にかけて、つまり下半分に切欠部636が形成されていることで、実質、前面板部630の背面上端から外側辺に沿って軸受部631の側方やや上方位置までしか延設されていないため、上端から切欠部636までの第1外側面634aと切欠部636に並設される第2外側面634bとから構成されている。また、切欠部636は、防護壁606に対応する箇所に、該防護壁606よりも若干大きく形成されており、羽根部材600が閉止位置に位置する際や回動させる際に防護壁606と干渉しないように形成されている。
内側壁部633は、前面板部630の背面上端から内側辺に沿って軸受部631の側方位置まで延設されている。すなわち、球受部600aの内側辺に沿って延設されており、ベース部600bの内側辺には形成されていない。そしてこの内側壁部633の内側面633aは、遊技球を受ける内側面633aを構成する。
図28(a)に示すように、防護壁606は、閉止位置にある羽根部材600の切欠部636に対応する位置に配設される。具体的には、羽根部材600の外側辺に沿って延設されるとともに、閉止位置において、下方に向けて外側(左側)に傾斜する上傾斜壁606aと該上傾斜壁606aの下端から連設され下方に向けて内側(右側)に傾斜する下傾斜壁606bとから略「く」の字形に形成されている。
また、図29に示すように、防護壁606の突出長さ寸法、つまり板状部11aの前面から先端までの長さ寸法L22は、遊技球の直径Pよりも長く形成されているとともに(P<L22)、盤面板200の前面に対し直交する方向の厚み寸法L22がベース部600bの厚み寸法L21よりも広く形成されている(L22>L21)。
一方、遊技領域7は、盤面板200の前面(遊技盤面)と、該盤面板200の前面側に配置されるガラス扉枠102のガラス板102aと、の間に形成され、これら前後の離間幅寸法L23は、遊技球の直径Pよりも大きく、かつ、2球分の遊技球の直径の合計幅寸法よりも短寸であるため(P<L23<2P)、2つの遊技球が遊技盤面に沿って前後に並設された状態で流下することはない。そして球受部600aの厚み寸法L20及び防護壁606の厚み寸法L22は、それぞれ離間幅寸法L23の半分以上の幅寸法を有していることで、盤面板200の前面に沿って移動する遊技球に確実に当接する。
また、防護壁606の厚み寸法L22とベース部600bの厚み寸法L21との合計寸法は遊技球の直径寸法Pよりも幅広であるため(L21+L22>P)、防護壁606に対してベース部600bが前後に重畳するように羽根部材600が取り付けられることで、閉止位置において、防護壁606の外側面606cとベース部600bの第2外側面634bとが、遊技球の流下を遮るように前後方向に並設される。
言い換えると、少なくとも閉止位置において、遊技球の第2大入賞口24cへの進入を阻止する羽根部材600の外側壁部634の一部が、該羽根部材600が取り付けられる固定部材である板状部11aの前面に突設された防護壁606にて構成されることになる。
そして羽根部材600は、閉止位置にあるときに、ベース部600bの第2外側面634bに対し防護壁606の外側面606c(外壁部)が外側にはみ出すように、防護壁606にベース部600bを前後方向に重畳させて取り付けられている(図28,図29参照)ため、ベース部600bとの接触が防止される。
尚、本実施例では、閉止位置にあるときに、ベース部600bの第2外側面634bに対し防護壁606の外側面606c(外壁部)が外側にはみ出すように配置されたが、第2外側面634bと外側面606cとがほぼ面一となるように配置されてもよい。
また、上傾斜壁606aは、回動軸622の左側上方位置から左側下方位置にかけて斜めに延設されていることで、左側上方から移動してくる遊技球が、前面板部630における回動軸622よりも下方のベース部600bに衝突することが防止されるため、閉止位置において遊技球がベース部600bに衝突することで球受部600aが強制的に開放方向に回転してしまうことを防止できる。
次に、このように構成された第2特別可変入賞球装置24の作用について、図28及び図29にもとづいて説明する。
図28(a)に示すように、羽根部材600は、閉止位置において上方に起立した起立姿勢に維持される。このとき、球受部600aは回動軸622よりも上方に配置され、内側面633aにて第2大入賞口24cを閉塞することにより、ベース部600bは回動軸622よりも下方に配置されるので、遊技球がベース部600bの第2外側面634bに衝突すると、その衝撃がコイルバネ22bの付勢力よりも大きい場合には、羽根部材600が回動軸622を中心として正面から見て反時計回りに回転し、これにより球受部600aが開放方向に回転するので、ベース部600bに遊技球が衝突する度に羽根部材600が僅かに開放してしまう。
しかし本実施例では、羽根部材600が閉止位置にあるときは、ベース部600bの外側(遊技領域7側)が防護壁606により覆われることで、遊技球が直接ベース部600bに直接衝突することが防止される。すなわち、図29に示すように、盤面板200の前面とガラス板102aの背面との間に形成される遊技領域7において、閉止位置にある羽根部材600の下側には、可動する羽根部材600に形成された第2外側面634bと、板状部11aの前面に立設された防護壁606の外側面606cとが、遊技球の流下を妨げるように前後幅方向に並設され、特に、第2外側面634bよりも外側面606cの方が厚み幅方向の寸法が大きいことで(L22>L21)、離間幅寸法L23に対する専有面積が、可動する第2外側面634bよりも固定された外側面606cの方が大きいため、第2外側面634bよりも外側面606cの方が遊技球が当りやすい。よって、遊技球との衝突により羽根部材600が僅かに開放されて、第2大入賞口24cに遊技球が誤って進入してしまうこと等が防止される。
特に本実施例では、第2特別可変入賞球装置24は、センター枠飾り11の上部左側、すなわち、打球発射装置65から遊技領域7の上部左側に誘導された後、該遊技領域7の上部左側の流入部7a(図1参照)から内部に進入してくる発射球が直接到達する所謂「ぶっこみ」位置に、防護壁606の外側面606c及び羽根部材600の外側壁部634を流入部7a側に向けて設けられているため、外側壁部634や防護壁606に対して略直交する方向から衝突する遊技球により羽根部材600が損傷したり、第2大入賞口24cが不用意に開放することが防止される。
ここで、ソレノイド22が励磁され、羽根部材600が開放位置に向けて反時計回りに回転するときに、防護壁606が干渉して回転が阻害されることがない。つまり、切欠部636が形成されているとともに、内部が中空状であることで回転に応じて防護壁606が前面板部630の背面側に入り込む。
そして、図28(b)に示すように、開放位置においては、上端が外側(左側)に約90度回転して斜めに傾倒した傾倒姿勢に維持される。このとき、球受部600aは回動軸622よりも上方に配置され、内側面633aは、上端から下端に向けて下方に緩やかに傾斜する上向き傾倒姿勢となるので、遊技球を受け止めて第2大入賞口24cに誘導する球受面を構成する。
また、この状態において、防護壁606の上端と内側壁部633の内面とは近接するが、回動範囲の規制はストッパ片632が回動規制溝609の左端に当接することで行われるため、球受けの衝撃は全て板状部11aに分散される。
さらに、板状部11aにおいて、閉止位置に位置する羽根部材600における前面板部630の下部背面側には、所定の演出部材640(本実施例では星型の装飾部材)が遊技者側から視認不能に設けられている。よって、開放位置に移動したときに、演出部材640の前方に位置していた前面板部630の下部が側方に移動され、これにより演出部材640が露呈されて遊技者側から視認可能となることで、羽根部材600の回転動作を利用して演出部材640の装飾態様を変化させることができる。
以上説明したように、本発明の実施例としての第2特別可変入賞球装置24は、羽根部材600が閉鎖位置にあるときに、固定部材である板状部11aにおいて羽根部材600が取り付けられる取付部に形成される防護壁606は、外側面606cがベース部600bの第2外側面634bに対し外側にはみ出すように配置され、また、ベース部600bよりも厚み寸法が広く形成されていることで、羽根部材600のベース部に向けて遊技球が移動してきた場合、可動する羽根部材600のベース部600bよりも、固定部材である板状部11aから突設された固定部である防護壁606に衝突する確率の方が高い。尚、第2外側面634bに対し外側とは、遊技球の流下方向の手前側または上流側である。
よって、回動軸622の下側に延設されるベース部600bに遊技球が衝突し、該回動軸622を挟んでその反対側の球受部600aが開放方向に回転することが極力防止されるばかりか、回動軸622に遊技球が衝突して羽根部材600が回動不能となることもない。
また、防護壁606は、少なくとも閉止位置において、遊技球の第2大入賞口24cへの進入を阻止する羽根部材600の外側壁部634(外側面)の一部を構成するように、盤面板200の前面に対し交差する起立姿勢で設けられることで、盤面板200の前面からガラス板102aに向けて幅広く設けることができるので、遊技球の進入を確実に阻止することができる。
また、本実施例では、ベース部600bがガラス板102a側に配置され、その奥側に防護壁606が配置されるとともに、該ベース部600bを構成する前面板部630は盤面板200に対し略平行に配設される板部材にて構成されていることで、正面から見たときに、防護壁606が前面板部630の背面側に隠れて目立たないので、遊技者に違和感を与えることがない。さらに開放位置に回転する際においても、前面板部630の背面側に入り込むので、回転に支障をきたすことがない。
さらに、羽根部材600は、盤面板200の前面に対して略平行に設けられる前面板部630と、前面板部630の背面における縁辺から盤面板200に向けて立設される内側壁部633、外側壁部634、上側壁部635からなる側壁部とから中空状に形成されることで、回動の際に防護壁606と前面板部630とが干渉しないように前後方向に重畳可能に構成されることで、防護壁606により回動範囲が規制されにくくなるので、防護壁606により遊技球の衝突を阻止する範囲を広げること(例えば本実施例のように、回動軸622より下方のベース部600bだけでなく、回動軸622よりも上方の球受部600aの一部にかけて遊技球の衝突を阻止することが可能となる。
また、本実施例では、遊技領域7に流入した遊技球が直撃しやすい場所に第2特別可変入賞球装置24が設けられた場合でも、防護壁606によりベース部600bへの遊技球の直撃を極力回避できるので、遊技球との衝突により羽根部材600が損傷したり大きく開放されたりすることが防止される。遊技球が衝突しやすいぶっこみ位置に設けられた第2大入賞口24cに設けられた第2特別可変入賞球装置24が設けられた場合でも、遊技球との衝突により羽根部材600が開放してしまうことを防止できる。
また、開放位置において、遊技盤6に設けられた板状部11aの演出部材640が前面板部630により隠蔽されることで、羽根部材600の開閉動作により演出部材640の態様に変化を持たせることができる。尚、閉止位置において隠蔽されるようにしてもよい。
また、本実施例では、羽根部材600の回動範囲は、回動規制溝609の左右端にストッパ片632が当接されることで規制されるようになっていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば特に図示はしないが、羽根部材600が開放位置に位置したときに、内側壁部633の内面が防護壁606の上端に当接することで(図28(b)参照)、回動範囲が規制されるようにしてもよい。
このようにすることで、開放位置においては防護壁606を利用して回動範囲を規制することができるため、閉止位置及び開放位置の双方で防護壁606を有効に利用できるとともに、球受面となる内側面633aを有する内側壁部633を下方から直接受支することができるので、遊技球が内側面633a上に落下した衝撃で内側壁部633が破損や損傷しにくくなる。
また、特に詳細な図示はしないが、ベース部600bの第2外側面634bを、ガラス板102aの背面から遊技球の半径(P/2)幅以内に配置することで、遊技球がガラス板102aに接触しても遊技球に衝突することがないので、遊技球との衝突を確実に回避することが可能となる。
また、本実施例では、第2特別可変入賞球装置24は、盤面板200に組み付けられるセンター枠飾り11に設けられていたが、盤面板200に直接取り付けられてもよい。つまり、固定部材が盤面板200であり、該盤面板200から直接防護壁606が突設されていてもよい。
また、本実施例では、本発明の可変入賞装置の一例として第2特別可変入賞球装置24を適用したが、例えば可変入賞球装置15や第1特別可変入賞球装置23等に本発明を適用してもよい。
次に、本発明の変形例としての第2特別可変入賞球装置24’について、図30にもとづいて説明する。図30は、(a)は変形例としての第2特別可変入賞球装置を示す左側面図、(b)は(a)のH−H断面図である。
前記実施例の羽根部材600は、前面板部630と、該前面板部630の縁辺から盤面板200に向けて立設される内側壁部633及び外側壁部634から構成されていたが、本変形例のように平板部材からなる羽根部材650であってもよい。羽根部材650の上半部は前後幅寸法が広い球受部651とされるとともに、下半部は前後幅寸法が球受部651及び防護壁660よりも狭いベース部652とされ、ベース部652には回動軸622が固着されている。つまり、下半部の前後側に切欠部653a,653bが形成されることでベース部652が構成されている。尚、球受部651における盤面板200に対し起立する内側面654が球受面とされ、反対側が外側面655とされる。
また、球受部651の厚み寸法L20は遊技球の直径寸法Pにほぼ相当し(L20≒P)、ベース部652の厚み寸法L21は、球受部651よりも狭い(L20>L21)。一方、防護壁660の突出長さ寸法、つまり板状部11aの前面から先端までの長さ寸法L22から後述する切欠溝661の幅寸法を減算した幅寸法L22a+L22bは、遊技球の直径Pよりも長く形成されているとともに(P<L22a+L22b)、盤面板200の前面に対し直交する方向の厚み寸法幅寸法L22a+L22bがベース部の厚み寸法L21よりも広く形成されている(L22a+L22b>L21)。
防護壁660は、閉止位置において羽根部材650に沿って配置されるとともに、ベース部652に対応する位置には、切欠溝661が上下方向に向けて形成されており、これにより羽根部材650が閉止位置に位置する際や回動する際におけるベース部652と防護壁660との接触が回避されている。
また、閉止位置において、防護壁660の外側面660aはベース部652の外側面655よりも外側にずれて配置されていることで、遊技球がベース部652に接触して球受部651が開放位置に向けて回転しないようになっている。
このように、羽根部材650側に防護壁660との接触を回避するための切欠部653a,653bを形成するだけでなく、防護壁660側にも羽根部材650との接触を回避するための切欠溝661を構成してもよい。
また、特に詳細な図示はしないが、ベース部652を、盤面板200の前面から遊技球の半径(P/2)幅以内に配置することで、遊技球が盤面板200の前面に接触しても遊技球に衝突することを回避できる。
次に、各入賞口に設けられた近接スイッチに対する不正行為を防止するための磁気センサを取り付けるための磁気センサ取付部の構造について、図31にもとづいて説明する。図31は、(a)は磁気センサの取付部を示す斜視図、(b)は(a)の平面図、(c)は(b)のI−I断面図である。
図31に示す磁気センサ取付部680は、例えばセンター枠飾り11の所定箇所に形成されており、直方体形状をなす磁気センサGを弾性係止部にて着脱できるようになっている。詳しくは、磁気センサ取付部680は、取付ベース681上に立設され、互いに平行をなすように左右方向に延設された上下一対のリブ682a,682bの先端に形成される弾性係止部683a,683bと、これら上下の弾性係止部683a,683b間に挟持される磁気センサGの角部を保持する平面視L字形の保持壁684と、から主に構成される。
弾性係止部683aはリブ682aの左端部に形成されるとともに、弾性係止部683bはリブ682bの右端部に形成され、互いに対向するように配置されている。取付ベース681における弾性係止部683a,683bの直下には、該弾性係止部683a,683bを成型するための成型用開口685が形成されており、これにより弾性係止部683a,683bは取付ベース681の上面から離間されていることで、リブ682a,682bの先端に形成された弾性係止部683a,683bは、図31(b)に示すように水平方向に弾性変形可能とされている。
弾性係止部683a,683bは、成型用開口685の上方に配置される弾性片686aと、該弾性片686aの先端から上方に屈曲形成される垂直片686bと、該垂直片686bの上端内側に突設される係止爪686cと、から構成される。
このように弾性係止部683a,683bは、図31(a)(b)に示すように、上下一対の係止爪686cが互いに左右方向のほぼ同位置に対向して配置されており、左右の保持壁684により磁気センサGの対角線上の2つの角部が保持されて取付位置が決定された状態において、磁気センサGの上面における長辺部の略中央位置に係止されるようになっている。
ここで、磁気センサGを磁気センサ取付部680に取り付ける場合、取付ベース681の上方位置において、図31(b)に示すように左右の保持壁684に磁気センサGの対角線上の2つの角部を合致させた状態で下降させていく。
係止爪686cの上面は、図31(c)に示すように、下方に向けて内側に傾斜するテーパ面とされており、上下一対の係止爪686cのテーパ面は逆「ハ」の字形に配置されていることで、磁気センサGを上方からテーパ面に沿って下降させるだけで、上下の弾性係止部683a,683bが水平方向に弾性変形して外側に向けて開いていく。そして、磁気センサGが磁気センサ取付部680上に載置されたときに、係止爪686cが磁気センサGの上面に位置するため、弾性復帰力により係止されるとともに、上下の弾性片686aにより磁気センサGの上下側面が保持されるので、水平方向への移動および上方への逸脱が規制され、磁気センサ取付部680に取り付けられる。
このように、上方への逸脱を係止する係止爪686cを、上下方向に延びる弾性片の上端に設けるのではなく、水平方向に延びる弾性片686aに形成することで、取付時において上下一対の弾性片686aにより挟持することで、水平方向への移動を左右幅方向にわたり規制することができるため、取り付け時の安定性が向上する。
また、このように係止対象物(磁気センサG)の高さ寸法が短寸であり、垂直片686bが短寸となって十分に弾性変形させることができない場合、取付ベース681の取付面から短寸の垂直片686bを立設する場合よりも、取付ベース681の取付面に沿って十分に弾性変形させることができる。よって、垂直片686bの上下幅寸法を短寸化することができ、これにより、合成樹脂材により板厚に形成しにくい盤面板200等においても弾性係止部を簡単に設けることができるばかりか、係脱操作が容易になる。
(第1特別可変入賞球装置)
次に、本実施例の第1特別可変入賞球装置の構造について、図面にもとづいて説明する。図32は、(a)は第1特別可変入賞球装置を示す分解斜視図、(b)はベースカバーの裏面を示す斜視図である。図33は、(a)(b)は第1特別可変入賞球装置の内部構造を示す斜視図である。図34は、第1特別可変入賞球装置を示す分解斜視図である。図35は、同じく第1特別可変入賞球装置を示す分解斜視図である。図36は、第1特別可変入賞球装置を示す平面図である。図37は、(a)(b)は大入賞口扉の駆動機構を示す左右側面図である。図38は、図36のJ−J断面図である。図39は、(a)は第1カウントスイッチを示す図、(b)は図38の要部拡大段面図である。図40は、(a)は第1カウントスイッチが誘導底面に対し平行に離れた場合、(b)は第1カウントスイッチが誘導底面に対し傾倒して離れた場合を示す説明図である。図41は、(a)は第1カウントスイッチが誘導底面より上方に位置する場合、(b)は第1カウントスイッチが誘導底面より下方に位置する場合を示す説明図である。
図32〜図33に示すように、第1特別可変入賞球装置23は、箱状に形成された第1大入賞ユニット700と、該第1大入賞口23cの周囲を装飾する装飾パネル701(図1参照)と、から構成されている。第1大入賞ユニット700の前面には、第2大入賞口24cより開口が大きい横長長方形状の第1大入賞口23cが形成されているとともに、装飾パネル701が、該装飾パネル701に形成された大入賞口用開口701aに第1大入賞口23cを臨ませるように取り付けられている。また、装飾パネル701における大入賞口用開口701aの左右側部には側壁701bが突設されている。
第1大入賞ユニット700は、透光性を有する合成樹脂材により上面が開口する箱状に形成されたベース本体702と、ベース本体702の開口を開閉可能な大きさを有し、透光性を有する合成樹脂材により下面が開口する箱状に形成されたベースカバー703と、から構成され、両者を組み付けることにより中空状の箱体が形成される。そして第1大入賞ユニット700の内部には、第1大入賞口23cを開閉可能とする大入賞口扉704を駆動する開閉機構705が設けられているとともに、第1大入賞口23cから進入してきた入賞球を誘導する入賞球誘導路706が形成されている。
入賞球誘導路706は、ベース本体702に、その前面に形成される横長の第1大入賞口23cの右側部から左側部に向けて第1大入賞口23cに沿うように延設されている。入賞球誘導路706の左側部には、第1カウントスイッチ23aが設置される凹溝725(図35参照)が形成されているとともに、その左側、つまり下流側には、排出路707が後向きに延設され、その後端には排出口707bが形成されている。また、この排出口707bからは排出樋708が下方に垂下されているとともに、その途中には第4入賞確認スイッチ23bが配設されている。
このように、第1大入賞口23cに進入した入賞球は、入賞球誘導路706、第1カウントスイッチ23a、排出路707を流下した後、排出口707bから第1大入賞ユニット700の外部に排出された後、排出樋708を流下する。尚、入賞球誘導路706における第1カウントスイッチ23aの詳細な配設構造に関しては後述する。
入賞球誘導路706の背面側には、第1大入賞口23cを背面側から照明するための大入賞口LED710aが前面に複数(本実施例では3つ)横並びに配設された横長のLED基板710が誘導路に沿って配設されている。この大入賞口LED710aからの照射光は、ベースカバー704の裏面に形成される透光性を有する通路側壁711(図32(b)参照)を透して前面側に出射され、第1大入賞口23cを背面側から照明するようになっている。
このように、照明装置としての大入賞口LED710aにより、第1大入賞口23cの内部を奥側から照明することができるとともに、第1カウントスイッチ23aは大入賞口LED710aの一側方に該大入賞口LED710aに対して略直交する方向、つまり光の出射方向に対し略平行な前後方向に設置されるため、大入賞口LED710aによる照明の邪魔になることがない。
また、本実施例では、大入賞口LED710aは第1大入賞口23cを背面側から照明するように配設されていたが、例えば図38中2点鎖線で示すように、ベース本体702における誘導底面706aを構成する部位を透光性を有する部材にて構成するとともに、誘導底面706aの下側に、大入賞口LED710a’が配設されたLED基板710Aを、誘導底面706aに向けて光を出射可能に設けてもよい。
このようにする場合、第1カウントスイッチ23aは、誘導底面706aに対し交差する方向に起立させた状態で、かつ、誘導底面706aの下流側端部に設けられていることで、誘導底面706aの下側からの光が遮られることがないので、第1大入賞口23cの内部を効果的に照明することができる。
図34〜図37に示すように、開閉機構705は、大入賞口扉704と、該大入賞口扉704を駆動するソレノイド21と、ソレノイド21のプランジャ21aの先端に取り付けられ前後に移動する移動部材720と、移動部材720と大入賞口扉704とを連結する連結部材721と、から主に構成されている。ソレノイド21は、プランジャ21aが前後方向に移動可能となるとともに、大入賞口扉704の右側部に対応する位置に設けられている。
移動部材720は、プランジャ21aの先端に直交して取り付けられる取付板720aと、取付板720aの左端縁上部から連設され前後方向を向く移動板720bと、から構成されている。移動板720bには、上下方向に延びる連結孔722が形成されている。
連結部材721は、前後方向に向けて起立する連結板721aと、連結板721aの左右側面に突設され、ベース本体702に設けられた軸受部723に受支される左右方向を向く回動軸721bと、連結板721aの左側面における回動軸721bの上方位置に突設され、連結孔722に嵌挿される連結ピン721cと、連結板721aの左側面における回動軸721bの前方位置に突設されるストッパピン721dと、連結板721aの前部に形成される係合片721eと、から構成されている。
大入賞口扉704は、第1大入賞口23cとほぼ同形に形成された横長平板形状の板部材704aと、該板部材704aの左右側端面下部に突設され、ベース本体702に設けられた軸受部724に受支される左右方向を向く回動軸704bと、板部材704aの背面における右側辺から後向きに突設され、ストッパピン721dに対し上方から当接可能な当接片704cと、当接片704cの右側面に突設され、係合片721eに対し下方から係合可能な係合ピン704dと、から構成されている。
このように構成された開閉機構705は、図37(a)に示すように、ソレノイド21が励磁されていない状態(ソレノイド21;off)においては、コイルバネ21bの付勢力によりプランジャ21aが突出位置に位置する。この状態において、回動軸721bの軸心に対して連結孔722及び連結ピン721cが前側に位置することで、前端の係合片721eが下向きに傾倒して係合ピン704dを押し下げ、これにより板部材704aが起立姿勢になるとともに、当接片704cがストッパピン721dに対して上方から当接してそれ以上の回転が規制されるため、板部材704aは閉止位置に維持される。
すなわち、回動軸704bを中心として回動可能に設けられた板部材704aは、係合ピン704dが係合片721eにより下向きに押圧されることで、図37中反時計回り方向に回転付勢されるが、ストッパピン721dに当接片704cが当接して該反時計回り方向への回転が規制されることにより、時計回り及び反時計回りの回転が規制されるため、板部材704aの上部を手前側に引いても奥側に押し込んでも開放されにくくなる。
そして図37(b)に示すように、ソレノイド21が励磁されると(ソレノイド21;on)、コイルバネ21bの付勢力に抗してプランジャ21aが本体側の退避位置まで移動(後退)する。このプランジャ21aとともに移動部材720がソレノイド21の本体側に移動することにより、連結孔722に嵌挿された連結ピン721cが回動軸721bの軸心周りに回転される。これにより、連結部材721が回動軸721bを中心として図37中反時計回りに回転することで、前端の係合片721eが上昇して係合ピン704dの付勢が解除されるとともに、ストッパピン721dが上昇して当接片704cを押し上げる。従って、板部材704aが回動軸704bを中心として図37中時計回りに回転され、前方に傾倒した開放位置に維持される。
つまり、板部材704aは、ソレノイド21が励磁されて開放位置に移動する際に、前端の係合片721eが上昇して係合ピン704dの付勢が解除されることで、自重により傾倒して開放位置まで回転するのだけではなく、ストッパピン721dの上昇により当接片704cが強制的に押し上げられることで、板部材704aが自重で回転して開放する場合よりも開放動作開始時の速度が速くなるので、ソレノイド21の励磁タイミングと開放動作開始タイミングとの間にずれが生じにくくなるとともに、特に詳細な図示はしないが、ストッパピン721dの上昇により当接片704cが僅かに押し上げられた後は、ストッパピン721dから係合ピン704dが離れることで、板部材704aが自重で回転して開放するので、例えば開放動作開始時に板部材704aの前面側を遊技球が通過しているときでも、遊技球をガラス板102aとの間に挟み込んでしまうことがない。
このように、回動軸704bを中心として回動可能に設けられた板部材704aは、係合ピン704dが係合片721eにより下向きに押圧されることで、図37中反時計回り方向に回転付勢されるが、ストッパピン721dに当接片704cが当接して該反時計回り方向への回転が規制されることにより、時計回り及び反時計回りの回転が規制される。従って、板部材704aの上部を手前側に引いても、係合片721eにより係合ピン704dが押さえつけられているので開放され難く、また、板部材704aの上部を奥側に押し込んでも、ストッパピン721dにより当接片704cが当接規制されるので、奥側に開放され難い。
次に、入賞球誘導路706及び排出路707と、これら入賞球誘導路706と排出路707との間に形成された凹溝725に設置される第1カウントスイッチ23aと、の詳細に関して、図38〜図40にもとづいて説明する。
図38に示すように、第1大入賞口23cに沿って延設される入賞球誘導路706は、図38中左側、つまり排出路707に向けて漸次下方に傾斜する傾斜面状に形成され、遊技球を転動により流下させる誘導底面706aを有している。そしてこの誘導底面706aの下流側端部には、凹溝725が前後方向、つまり入賞球誘導路706を横切る方向に向けて形成され、さらにこの凹溝725よりも下流側には、排出路707が後方に向けて延設されている。
尚、排出路707は、後方に向けて漸次下方に傾斜する傾斜面状に形成され、遊技球を転動により流下させる流下底面707aを有している。また、この流下底面707aの上流側端部は、誘導底面706aの下流側端縁部706bよりも低い位置に設けられているとともに、この流下底面707aの下流側端部には排出口707bが形成されている。
尚、本実施例では、排出路707が後方に向けて延設されていたが、例えば凹溝725の下流側に直接排出口707bが形成されていてもよく、排出路の構成は種々に変更可能である。
一方、第1カウントスイッチ23aは、図39(a)に示すように、細長の平板部材からなる本体23Aと、本体23Aの一端側に形成された遊技球の通過孔23Bと、から構成される近接スイッチであり、通過孔23Bを通過した遊技球を検出可能とされている。通過孔23Bは略円形に形成され、直径L1は遊技球の直径P(約11mm)よりも若干大寸とされている(L1>P)。
このように構成された第1カウントスイッチ23aは、図33に示すように、本体23Aは入賞球誘導路706の下流側端部に横切るように配設される。具体的には、第1カウントスイッチ23aは、図39(b)に示すように、通過孔23Bの開口(検出開口)中心に対して垂直な垂線Xが誘導底面706aに対しほぼ平行をなすとともに誘導底面706aの幅方向の略中央位置に配置されるように配置される。つまり、誘導底面706aに対して交差する方向に起立させた起立姿勢で配置される。
また、設置された状態において、本体23Aにおける下側の長辺部の一部が、誘導底面706aの下流側端部と流下底面707aとの間に形成された凹溝725内に遊嵌されるとともに、本体23Aにおける上側の長辺部の一部が、ベースカバー703の下面に形成された凹溝726内に嵌合されることで起立姿勢に保持される。
凹溝725の底面725aは、誘導底面706aに対し下流側に向けて僅かに下方に傾倒するとともに、遊技球の流下方向の幅寸法L11は、本体23Aの板厚幅寸法L3よりも僅かに長寸に形成されている(L11>L3)。よって、誘導底面706aの下流側端縁部706bと第1カウントスイッチ23aの通過孔23Bにおける上流側の開口下端縁23Cとの間に、遊技球の直径Pよりも小さい所定の空隙L12が設けられている(L12<P)。また、凹溝725の底面725aまでの深さ寸法は、第1カウントスイッチ23aの開口下端縁23Cから本体23Aの下長辺部までの幅寸法L2とほぼ同寸とされている。さらに、上下の凹溝725,726により形成される入賞球誘導路706における開口上下幅寸法L10は遊技球の直径Pよりも大寸とされている。
基本的には、通過孔23Bの直径L1と入賞球誘導路706における開口上下幅寸法L10とはほぼ同寸に形成されているため(L10≒L1)、ベース本体702や第1カウントスイッチ23aの本体23Aの成型や組み付け時において凹溝725や本体23Aに寸法誤差が生じることで、通過孔23Bの開口上端縁23Dと誘導底面706aの下流側端縁部706bとの間に形成される遊技球の実際の開口上下幅寸法L13が遊技球の直径Pよりも短寸となるケースがある(L13<P)。
例えば図41(a)に示すように、凹溝725の深さ寸法が、第1カウントスイッチ23aの開口下端縁23Cから本体23Aの下長辺部までの幅寸法L2よりも長寸(深く)となってしまった場合、開口下端縁23Cは、下流側端縁部706bよりも低位置に配置されるとともに、その分開口上端縁23Dが誘導底面706aに近づくことで、開口上下幅寸法L13が遊技球の直径Pよりも短寸となり、球詰まりが発生しやすくなる(L13<P)。
また、図41(b)に示すように、凹溝725の深さ寸法が、第1カウントスイッチ23aの開口下端縁23Cから本体23Aの下長辺部までの幅寸法L2よりも短寸(浅い)となってしまった場合、開口下端縁23Cは、下流側端縁部706bよりも高位置に配置されるとともに、その分、開口上端縁23Dが誘導底面706aから遠ざかるものの、開口下端縁23Cが誘導底面706aから上方に突出して段差が形成されることで、開口上下幅寸法L13が遊技球の直径Pよりも短寸となり、球詰まりが発生しやすくなる。
さらに、特に図示はしないが、上述したように通過孔23Bの直径L1と入賞球誘導路706における開口上下幅寸法L10とはほぼ同寸に形成されていることで(L10≒L1)、上記のような寸法誤差が生じなくても、例えば誘導底面706a上に遊技球に付着していたゴミなどが付着したりすることにより、誘導底面706aに対する通過孔23Bの相対位置が若干低くなると、図41(b)と同様に開口上下幅寸法L13が遊技球の直径Pよりも短寸となり、球詰まりが発生しやすくなる。
これに対し、本実施例の第1カウントスイッチ23aは、図39(b)に示すように、開口下端縁23Cが、誘導底面706aの下流側端縁部706bに対して遊技球の流下方向に所定の空隙L12を隔てて設けられていることで、開口上下幅寸法L13が長寸となるため、遊技球の直径Pよりも長寸の幅寸法を確保しやすくなる。
ここで、図40(a)にもとづいて具体的に説明すると、第1カウントスイッチ23aが、誘導底面706aに対して下流側に向けて平行に離間配置された場合、開口上下幅寸法L13は、開口上端縁23Dが下流側にずれた位置に配置されることで、開口上端縁23Dと下流側端縁部706bとを通過する仮想線が誘導底面706aに対し直交する場合に比べて長くなる。
さらに、図40(b)に示すように、第1カウントスイッチ23aが、誘導底面706aに対して下流側に向けて上部を傾倒させることにより離間配置された場合、開口上下幅寸法L13は、開口上端縁23Dが下流側にずれた位置に配置されることで、開口上端縁23Dと下流側端縁部706bとを通過する仮想線が誘導底面706aに対し直交する場合に比べて長くなるだけでなく、開口下端縁23Cが下流側端縁部706bよりも低位置に配置されることになることで、遊技球が下流側端縁部706bから転がり落ちるように誘導されるため、遊技球をスムーズに流下させることができる。
また、第1カウントスイッチ23aが誘導底面706aに対し流下方向に傾倒させて起立させた状態で設置されることで、誘導底面706aよりも通過孔23Bを通過するときの方が下り傾斜角度が大きくなるので、誘導底面706aと通過孔23Bとの間に空隙L12があっても、遊技球をスムーズに流下させることができる。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、第1特別可変入賞球装置23の成型や組み付け時において寸法誤差が生じたり、使用により誘導底面706a上に遊技球のゴミなどが付着したりすることにより、誘導底面706aに対する通過孔23Bの相対位置が若干低くなっても、誘導底面706aと通過孔23Bとの間に遊技球の直径Pより狭い空隙L12が設けられることで、通過孔23Bの開口上端縁23Dから誘導底面706aの下流側端縁部706bまでの開口上下幅寸法L13が長くなる、すなわち、間口が広がるので、通過孔23Bの上下幅寸法が狭くなって球詰まりが発生することが防止される。
また、第1カウントスイッチ23aの通過孔23Bの少なくとも上流側の周縁には面取り加工が施されていることで、誘導底面706aと通過孔23Bとの間に空隙L12があっても、遊技球を通過孔23Bにスムーズに導くことができる。
また、本実施例では、第1カウントスイッチ23aは、誘導底面706aに対し交差する方向に起立させた状態で、誘導底面706aと通過孔23Bとの間に遊技球の直径Pより狭い空隙L12が生じるように設置されていたが、誘導底面706aに対し交差する方向に起立するとは、例えば誘導底面706aに対し約45度〜90度の範囲で交差することが好ましい。また、空隙L12も、好ましくは遊技球の直径Pの1/2以下であることが好ましい。
また、本実施例では、第1カウントスイッチ23aは凹溝725内に嵌合して設けられていたが、必ずしもこのような凹溝725に設置されるものに限定されるものではなく、排出路707と誘導底面706aとの間に設置されれば、設置構造は種々に変形可能である。
また、本実施例では、第1カウントスイッチ23aは第1大入賞口23cの左側部に設置され、しかも遊技球が左側に向けて誘導されるように設けられていたが、誘導底面706aは遊技球を転動により誘導するものであれば、誘導(流下)方向は後側でも右側でもよく、種々に変更可能である。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。