JP5828862B2 - トルクコンバータ装置 - Google Patents
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Description
タービンランナ7は、タービン羽根7aを保持した羽根殻8と、連結部材9と、ハブ10とを順次一体に結合して構成され、ハブ10は変速機の入力軸25とスプライン結合している。これによりタービンランナ7は入力軸25と一体に回転するようになっている。ハブ10は連結部材9からコンバータカバー6側へ突出する軸部11を有している。
ステータ12は固定側のステータシャフト13に支持されている。
ロックアップクラッチピストン15’とタービンランナ7(連結部材9)とはスプリング14を介して回転を伝達可能に連結されている。
レリーズ室R2は入力軸25に設けられる油路26と連通している。アプライ室R1は、ポンプインペラ4から延びるコンバータスリーブ5の内壁とステータシャフト13の外壁との間の油路24と連通している。各油路24、26は不図示の油圧制御装置につながり、流体伝動状態(トルコン状態)ではレリーズ室R2とアプライ室R1を同圧としているが、アプライ室R1への油圧を増大し、レリーズ室R2への油圧を低下させることにより、ロックアップクラッチピストン15’(フェーシング17)がコンバータカバー6に押し付けられ、これにより入力軸25がコンバータカバー6(エンジン)と一体回転するロックアップ状態となる。
同様のトルクコンバータ装置が例えば特許第2839269号公報にも示されている。
トルコン状態ではレリーズ室R2とアプライ室R1が同圧でフェーシング17とコンバータカバー6間が開いているので、油路24からアプライ室R1に供給された作動油はレリーズ室R2を通ってオイルクーラへ流れる。一方、ロックアップ状態ではロックアップクラッチピストン15’の外径側ではフェーシング17がコンバータカバー6に押し付けられて閉じて、内径側はシール部材19で油密となっているので、アプライ室R1の作動油は閉じ込められてオイルクーラへ流れ得ないこととなる。
すなわち、一方で油密のためコスト高要因となるシール部材19を採用しながら、他方でオイルを流す貫通孔20を設けており、このような矛盾する構成は好ましくない。
同じく、この貫通孔20はロックアップクラッチの作動に必要なアプライ室R1/レリーズ室R2の圧力差を確保しながら、所定量の作動油を通過させるものであるから、通常、小径の1個である。しかしながら、当該1個の貫通孔20において相当の圧力差をもってアプライ室R1からレリーズ室R2内に作動油が流れ込むため、局部的な反力を受けてロックアップクラッチピストン15’に加わる圧力が不均一になる。この結果、ロックアップ途中のフェーシング17滑り時に当該フェーシング17が片当たりになって偏摩耗してしまうおそれがある。
また、ロックアップクラッチピストンの内径部におけるシール部材も不要となり、部品点数とコストが低減する。
図1は実施の形態を示す断面図である。実施の形態のトルクコンバータ装置1は従来例に対してロックアップクラッチピストンのみが異なるので、他の構成については従来例と同じ参照番号を付して重複する説明は省略する。
ロックアップクラッチピストン15は、貫通孔20を廃するとともに、内径部とタービンランナ7のハブ10の軸部11との間のシール部材19を廃している。その代わりに、内径部に開閉構造30(図2参照)を備えている。
なお、図2および後掲の図3における各部材のサイズや間隙等は、理解を容易にするため誇張して示している。
ロックアップクラッチピストン15はディスク部16の外周部にフェーシング17を備えるとともに、図2の(a)に示すように、ディスク部16の中央にはタービンランナ7のハブ10の軸部11に嵌合するピストンスリーブ32を有している。ピストンスリーブ32はディスク部16からタービンランナ7側へ延びている。トルコン状態では、ピストンスリーブ32の先端がタービンランナ7の連結部材9に当接する位置にあり、ディスク部16とコンバータカバー6との間には所定の間隙がある。(図1参照)
図2の(b)および(c)に示すように、ピストンスリーブ32には周方向所定間隔(ここでは90°間隔)で軸方向にスリット35が形成されている。スリット35は所定のスリット幅Wを有して、隣接するスリット35間に区画された各部位はそれぞれ弁片36となる。
この際、ピストンスリーブ32はその外形に設けた円錐面34により先端を鋭角に尖らせてあるので、間隙S内では剥離現象による渦で圧力損失が生じて、ピストンスリーブ32の弁片36が弾性変形により撓むのを助けて間隙Sを容易に閉じる。また、ピストンスリーブ32の先端部分は同じく円錐面34により薄肉となるので、この点からも撓みやすくなっている。
すなわち、図3の(a)に示すように弁片36が撓んでその先端がハブ10の軸部11に接することにより、軸方向に見たとき(b)に示すようにピストンスリーブ32の先端の開口(間隙S)が閉じるとともに、側方から見たとき(c)に示すようにピストンスリーブ32の先端から根元方向への所定区間は隣接する弁片36が周方向にも互いに接近して、スリット幅Wを実質なくしている。
こうして弁片36による開閉構造30が形成される。そして、自由状態時と同じスリット幅Wはピストンスリーブ32の根元側に残るのみとなる。
ピストンスリーブ32の長さや肉厚、スリット幅等は機種ごとに実験で求めればよいが、乗用車用のトルクコンバータ装置1で、例えばピストンスリーブ32の長さL=6.5mm、肉厚t=1.2mmとして、ピストンスリーブ32の内径とハブ10の軸部11間の間隙はS=0.1mm、スリット幅はW=0.1mm、スリット35の長さF(図示なし)はピストンスリーブ32の先端から根元まで、すなわちLと同じF=6.5mmとすることができる。
また、シール部材の廃止により、部品点数とコストが低減する。
そして、ロックアップクラッチピストン15の内径部におけるシール部材も不要となり、部品点数とコストが低減する。
(請求項1に対応する効果)
また、ピストンスリーブ32は、その先端を円錐面で鋭角に尖らせているので、間隙S内の剥離現象による渦で圧力損失を生じさせ、ピストンスリーブ32の弁片36が撓むのを助けて、間隙Sの閉じ作動を一層確実にする。(請求項3に対応する効果)
スリット35の数は4本としたが、少な過ぎると剛性のため弁片36が変形困難となる一方、多過ぎると漏れによって圧力差が弱まって同じく変形困難となるので、3以上6本以下が好ましい。
その他の数値も例示であって、記載のものに限定されず、ロックアップ時の必要な油密特性と循環冷却のためのオイル流量に応じて決定されるべきものである。
また、ピストンスリーブ32は必要に応じてディスク部16とは別材質で形成し、弁片36に適切な弾性変形特性を得るようにしてもよい。
2 コンバータハウジング
3 流体伝動部
4 ポンプインペラ
5 コンバータスリーブ
6 コンバータカバー
7 タービンランナ
7a タービン羽根
8 羽根殻
9 連結部材
10 ハブ
11 軸部
12 ステータ
13 ステータシャフト
14 スプリング
15 ロックアップクラッチピストン
16 ディスク部
17 フェーシング
24、26 油路
25 入力軸
30 開閉構造
32 ピストンスリーブ
34 円錐面
35 スリット
36 弁片
R1 アプライ室
R2 レリーズ室
Claims (3)
- コンバータハウジング内にポンプインペラ、タービンランナおよびステータからなる流体伝動部を形成するとともに、タービンランナのハブに支持されたロックアップクラッチピストンを有して、コンバータハウジング内が流体伝動部側のアプライ室とレリーズ室とに区画されており、
ロックアップ状態で、前記アプライ室の作動油が前記アプライ室に閉じ込められて、前記レリーズ室に流れることができない構成のトルクコンバータ装置において、
前記ロックアップクラッチピストンの内径部と前記タービンランナのハブとの間に、ロックアップ時に閉じる開閉構造を設け、
該開閉構造は閉じたときにも限定された所定の開口を残して、前記アプライ室からレリーズ室側へ所定量の作動油を流すことを特徴とするトルクコンバータ装置。 - 前記開閉構造が、前記ハブの軸部に沿って所定の間隙をもって前記ロックアップクラッチピストンのディスク部から前記アプライ室側へピストンスリーブを延ばし、該ピストンスリーブの先端から根元方向に複数のスリットを形成して構成され、
隣接する前記スリットで区画された各弁片がロックアップ時の前記アプライ室とレリーズ室間の圧力差により内径方向に弾性変形することを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータ装置。 - 前記ピストンスリーブは、その先端を鋭角に尖らせていることを特徴とする請求項2に記載のトルクコンバータ装置。
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