JP5828186B2 - 導電機能部材及び該導電機能部材の製造方法 - Google Patents
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Description
そして、特許文献1によれば、前記構成について、「高密度の磁束を利用する超電導回転電機の巻線を溝加工を施してあるFRPの溝に装着してあるため、鉄損の如き磁界による電気的損失の発生がなく、簡易にして強固な支持装置が得られる」と説明されている。
溝内に形成された金属膜に対し選択的にメッキ処理を行うことで、導電層を形成するようにしているため、スロットに対し巻線や楔等を嵌め込むようにした従来技術と比較し、特に小型化又は微小化した場合の生産性を向上することができる。
ここで、前記溝の具体例としては、長尺状に形成された溝や、網目状に形成された溝、直線状、曲線状又は螺旋状に形成された溝等が挙げられる。
この導電機能部材1は、絶縁部10aを有する基体10と、該基体10における前記絶縁部10aに形成された長尺状の溝11(図2(a)参照)と、該溝11内の表面を粗面化してなる粗面化処理面11aと、前記溝11の連通方向(図示例によれば、溝11の長手方向)へ連続するように前記粗面化処理面に付着形成された金属膜12(図2(d)参照)と、該金属膜12上に導電体をメッキ処理することにより形成された導電層13(図2(e)参照)と、を具備している。
基体10を構成する絶縁材料は、当該導電機能部材1の用途や、当該導電機能部材1に要求される強度、耐衝撃性、耐熱性、製造性等に応じて適宜に選定され、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリパラキシリレン樹脂等の合成樹脂材料、絶縁性のセラミックなどとすることが可能である。
螺旋部11bの巻数は、当該導電機能部材1の用途等に応じて適宜に設定される。
直線部11cの端部は、基体10の軸方向の端面に貫通し露出しており、該端部の近傍は、他の部分よりも若干幅広に形成される。この構成によれば、後述する工程で溝11内に導電層13を形成した際に、該導電層13の端部側に、他の部分よりも若干幅広な接続部13aが形成される。
この溝11の断面形状の他例としては、特に後述するナノ粒子状金属インク12aを毛細管力によって該溝11の長手方向へ万遍なく行きわたらせる観点や、該溝11の製造性を向上する観点等からは、図3に示す断面V字状や、図4に示す断面逆台形状等、底部へ向かって断面積が小さくなる形状とするのが好ましい。
また、同溝11の断面形状の他例として、特に後述する導電層13の剥離を防止する観点からは、図5に示す台形状等、底部へ向かって断面積が大きくなる形状とするのが好ましい。
また、この溝11は、後述する製造工程においてナノ粒子状金属インク12aを毛細管力によって確実に保持するためには、該溝11の幅に対して一定以上の深さとするのが好ましく、例えば、溝幅20μm以下の場合には、溝深さを5μm以上とするのが好ましい。
この超音波洗浄によれば、基体10の外周面から異物等の汚れを除去してその表面状態を均一にすることができ、ひいては、後述するナノ粒子金属インクとの濡れ性を良好にすることができる。
なお、前記洗浄方法の他例としては、アセトン超音波洗浄、又は水超音波洗浄等とすることも可能である。
詳細に説明すれば、基体10の外周部に対し、UVオゾン洗浄(光洗浄)を5分施すことで、粗面化処理面11aを形成する。この処理によれば、溝11内面を粗面化するとともに溝11内面の親液性を改善して、溝11内面にナノ粒子状金属インク12aを付着し易くすることができる。
次に、基体10をナノ粒子状金属インク12aに浸漬することで、基体10の外周面及び溝11内にナノ粒子状金属インク12aを付着する。この付着状態では、図2(b)に示すように、溝11を含む基体10の外周部がナノ粒子状金属インク12aによって覆われた状態となる。このとき、基体10の最外表面に付着しているナノ粒子状金属インク12aの最大の厚みは、溝11内に付着しているナノ粒子状金属インク12aの最大の厚みよりも小さい。また、溝11内のナノ粒子状金属インク12aは、溝11内の毛細管力によって、該溝11の長手方向へ連続してゆきわたる。
なお、ナノ粒子状金属インク12aに含まれる金属としては、金、銀、又は銅が特に適している。
なお、他の除去方法としては、高速回転による遠心力で液体を除去するスピナー装置等を使用し、ナノ粒子状金属インク12aが付着した基体10を、自転又は公転、あるいは自転と公転の組み合わせにより回転させて、余分なナノ粒子状金属インク12aを飛ばして除去する方法を採用することも可能である。この除去方法によれば、遠心力によって溝11の全体にナノ粒子状金属インク12aを万遍なくゆきわたらせた上で、余分なナノ粒子状金属インク12aを飛ばして除去することができる。
よって、このエッチング処理によれば、図2(d)に示すように、螺旋状の溝11の底面側のみに、該溝11の長手方向へ連続するように、金属膜12が残存する。この金属膜12は、メッキを行う際の平滑で良質なシード層となる。
なお、エッチング溶液としては、硝酸以外にも、リン酸、酢酸、及びこれらの混合酸を用いることが可能である。
より具体的に説明すれば、溝11内に金属膜12が形成された基体10を、メッキ液中に浸漬することによって、溝11内底部側の金属膜12の表面に、無電解メッキ処理を施す。
この工程により、図2(e)に示すように、溝11内の底部側には、螺旋状の溝11の長手方向へ連続するように、表面を露出した状態で導電層13が形成される。そして、当該線状導体1が完成する。
また、本実施例によれば、前記メッキ処理として、無電解メッキ処理を施したが、他例としては、電気メッキ等、他のメッキ法を用いることも可能である。
本実施例において処理された金属膜12及び導電層13は、化学的に処理して基体10から取り外すことができる。金属膜12及び導電層13を取り外した基体10は、上記処理工程により、再度、金属膜12及び導電層13を形成することが可能であり、リサイクル性を有している。
すなわち、この導電機能部材3をトランスとして用いる場合には、軸方向へ並ぶ二つの導電層13,13のうち、その一方を入力側のコイル、他方を出力側のコイルとして用いればよい。
基体20は、図示例によれば、中実の略直方体状に成形され、その全体を絶縁材料からなる絶縁部20aとしている。
各溝21は、基体20の複数(図示例によれば二つ)の面にわたって連続するように形成される。この溝21内には、上記導電機能部材1と略同様の断面構造で、粗面化処理面、金属膜及び導電層22が形成される。これら溝21、粗面化処理面、金属膜及び導電層22の製造方法は、導電機能部材1の場合と同様である。
接続部22aは、溝21の端部側を予め若干幅広に形成しておくことで、導電層22の端部側を幅広に形成した部位である。
さらに、他例としては、前記基体の外表面の一部分のみに、絶縁材料からなる絶縁部を形成し、該絶縁部に、前記溝、前記粗面化処理面、前記金属膜及び前記導電層を形成することも可能である。
特に、この場合の基体を軸状又は円筒状に形成した態様は、回転式電動機のロータやステータとして有用であり、例えば、軸状又は円筒状の基体の外表面に、ナノインプリントにより上記断面構造の溝を形成し、上記粗面化処理面、上記金属膜及び導電層を形成することによって、マイクロパターンコイルのコイルパターンを形成する。
10,10’,20:基体
10a:絶縁部
11,21:溝
11a:粗面化処理面
12,12a’:金属膜
インク12a:ナノ粒子状金属
13,22:導電層
13a,22a:接続部
Claims (5)
- 外表部の少なくとも一部に絶縁材料からなる絶縁部を有する基体と、該基体における前記絶縁部に形成された溝と、該溝内の表面を粗面化してなる粗面化処理面と、前記溝の連通方向へ連続するように前記粗面化処理面に付着形成された金属膜と、該金属膜上に導電体をメッキ処理することにより形成された導電層と、を具備し、
前記基体を筒状に形成し、該基体の外周面に、前記溝、前記粗面化処理面、前記金属膜及び前記導電層を、螺旋状に形成し、前記導電層の端部側に接続部を形成して、インダクタを構成したことを特徴とする導電機能部材。 - 前記基体を角筒状に形成したことを特徴とする請求項1記載の導電機能部材。
- 前記基体に、軸方向に間隔を置いて、二つの前記インダクタを設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の導電機能部材。
- 外表部の少なくとも一部に絶縁材料からなる絶縁部を有する基体と、該基体における前記絶縁部に形成された溝と、該溝内の表面を粗面化してなる粗面化処理面と、前記溝の連通方向へ連続するように前記粗面化処理面に付着形成された金属膜と、該金属膜上に導電体をメッキ処理することにより形成された導電層と、を具備し、
前記基体を直方体ブロック状に形成するとともに、該基体の外表面における複数の面にわたって連続するように、前記溝、前記粗面化処理面、前記金属膜及び前記導電層を形成し、前記導電層における前記連通方向の両端側にそれぞれ他の電気配線に接続するための接続部を設けることで、電気配線中継部材を構成したことを特徴とする導電機能部材。 - 前記基体における前記絶縁部に前記溝を形成する工程と、前記溝内の表面を粗面化することで前記粗面化処理面を形成する工程と、前記溝内を含む前記基体の外表面にナノ粒子状金属インクを付着する工程と、前記溝内のナノ粒子状金属インクを残すように余分なナノ粒子状金属インクを除去する工程と、残されたナノ粒子状金属インクを乾燥させることで前記金属膜を形成する工程と、前記金属膜のうち、前記溝内の底側の金属膜を残すようにして、不要な金属膜をエッチングにより除去する工程と、残された金属膜上に導電体をメッキ処理することで前記導電層を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項1乃至4何れか1項記載の導電機能部材の製造方法。
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