本発明の使い捨て補助パッドは、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体とを有し、前記バックシートの裏面側に、着衣の内面に着脱可能に止着する止着部材が設けられた使い捨て補助パッドであって、前記止着部材は、基材シートと基材シート上に起立する複数のフック部材を有し、前記フック部材は、ステムと、前記ステムの先端に設けられたヘッドとを有し、前記ヘッドは、平面視で、短径と前記ステムの径よりも大きい長径とを有する形状であり、前記止着部材が、前記ヘッドの長径方向が使い捨て補助パッドの幅方向に一致するように取り付けられていることを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の使い捨て補助パッドは、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体とを有する。
前記透液性のトップシートは、透液性のシート材料、例えば、親水性繊維により形成された不織布であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収体へと移動させる。トップシートとして利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布であり、これらの不織布を形成する親水性繊維としては通常、セルロースやレーヨン、コットン等が用いられる。なお、トップシートとして、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が用いられてもよい。
吸収体は、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートとの間に配置され、トップシートを透過した水分を吸収して迅速に固定する。吸収体は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の吸水性ポリマー(例えば、SAP(Super Absorbent Polymer))を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成される。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および吸水性ポリマーとホットメルト接着剤により接合されることが好ましい。親水性繊維の型崩れ、および、吸水性ポリマーの脱落(特に、吸水後における脱落)を防止することができる。
バックシートとしては、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルムが利用され、バックシートに到達した排泄物の水分等が、使い捨て補助パッドの外側にしみ出すのを防止する。バックシートにプラスチックフィルムが利用される場合、ムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
本発明の使い捨て補助パッドのバックシートの裏面側には、着衣の内面に着脱可能に止着する止着部材が設けられている。前記止着部材は、基材シートと基材シート上に起立する複数のフック部材を有し、前記フック部材は、ステムと、前記ステムの先端に設けられたヘッドとを有し、前記ヘッドは、平面視で、短径と前記ステムの径よりも大きい長径とを有する形状であり、前記止着部材が、前記ヘッドの長径方向が使い捨て補助パッドの幅方向に一致するように取り付けられている。
本発明で使用するフック部材は、平面視で、ヘッドが、ステムから少なくとも長径方向に張り出す形状を有している。前記ヘッド形状を有するフック部材は、長径方向には係合力が強く、短径方向には係合力が弱くなる。従って、止着部材を、ヘッドの長径方向が、使い捨て補助パッドの幅方向に一致するように取り付ければ、使い捨て補助パッドの係合力が、使い捨て補助パッドの幅方向には強く、長さ方向には弱くなる。その結果、本発明の使い捨て補助パッドは、幅方向にはずれにくく、長さ方向には容易に取り外すことができる。
前記フック部材のヘッドの短径は、特に限定されないが、ステム径よりも短い、あるいは、ステム径に等しいことが好ましい。ヘッドの短径が、ステム径よりも短い、あるいは、ステム径に等しければ、短径方向の係合力が小さくなる。一方、短径方向の係合力を高める場合には、フック部材のヘッドの短径を、ステム径よりも大きくしてもよい。ヘッドが短径方向にもステムから張り出せば、短径方向の係合力が向上する。
フック部材のヘッド形状は、特に限定されないが、平面視で、略矩形状または略楕円形状であることが好ましい。ヘッドは、長径方向の一方向のみにステムから張り出していてもよいが、長径方向の二方向にステムから張り出していることが好ましい。ステムの断面形状(平面視)は、円形、多角形、あるいは、十字形状やX型の異形断面形状を有してもよい。また、ステムは、円柱状、角柱状、円錐状、角錐状などのいずれであってもよいが、円柱状または円錐が好ましい。ステムは、平面視でヘッド形状のほぼ中央に結合していることが好ましい。フック部材のヘッド形状は、例えば、電子顕微鏡で観察することができる。
前記ヘッドの長径は、特に限定されないが、250μm以上が好ましく、350μm以上がより好ましく、500μm以下が好ましく、450μm以下がより好ましい。前記ヘッドの短径は、特に限定されないが、170μm以上が好ましく、180μm以上がより好ましく、250μm未満が好ましく、200μm以下がより好ましい。
フック部材のステムの高さは、特に限定されないが、200μm以上が好ましく、250μm以上がより好ましく、700μm以下が好ましく、350μm以下がより好ましい。また、フック部材のステムの径は、特に限定されないが、120μm以上が好ましく、150μm以上がより好ましく、250μm未満が好ましく、200μm以下がより好ましい。なお、円錐状や角錐状のステムの場合には、ステム径が高さによって変化するが、ステム径としては、ヘッドと結合している部分のステム径を採用する。また、ステムの断面形状が、十字型やX型の異形断面形状の場合には、異形断面形状に外接する外接円の中で、最小径を有する外接円の径をステム径とする。
基材シート上のフック部材の密度は、特に限定されないが、1cm2当たり225個以上が好ましく、240個以上がより好ましく、256個以下が好ましく、250個以下がより好ましい。1cm2当たり225個以上にすることにより、係合力が高くなり、使い捨て補助パッドを着衣にしっかりと固定することができる。
フック部材は、基材シート上に整列していることが好ましく、ヘッドの長径方向を一致させて整列していることがより好ましい。ヘッドの長径方向を一致させて整列することにより、フック部材の係合力の異方性が高くなる。
基材シートの形状は、特に限定されないが、円形状、楕円形状、または、矩形状などが挙げられ、矩形状がより好ましい。この場合、基材シートの長さは、300mm以上が好ましく、500mm以下が好ましい。基材シートの幅は、10mm以上が好ましく、30mm以下が好ましい。基材シートの厚みは、50μm以上が好ましく、150μm以下が好ましい。
基材シートおよびフック部材を構成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエチレンまたはポリプロピレンが好ましい。
基材シートと基材シート上に起立する複数のフック部材を有する止着部材を成形する方法としては、例えば、多数の微孔を持つローラー上に溶融樹脂を圧入し、基材シート上にフック部材を一体成形する方法、あるいは、基材シートとその表面に複数の列状の隆起を成形するように付形されたダイを通して溶融樹脂を押し出し、前記列状の隆起に小間隔で横に切れ目を入れ、次いで、基材シートを延伸して、連続した列状の隆起から多数のフック部材を形成する方法などを挙げることができる。
本発明の使い捨て補助パッドは、長さ方向に、前側部と後側部と前側部と後側部の間に位置する股部とを有し、幅方向に、中央部と中央部の両側に位置する両側縁部とを有する。使用に際して、使い捨て補助パッドの前側部が、着用者の腹側に当接し、後側部が着用者の臀部側に当接する。
本発明では、止着部材が、使い捨て補助パッドの前側部と後側部に取り付けられ、前記使い捨て補助パッドの長さ方向股部には、止着部材が存在しない領域が設けられていること、および/または、止着部材が、幅方向の両側縁部に取り付けられ、前記使い捨て補助パッドの幅方向中央部には、止着部材が存在しない領域が設けられていることが好ましい。
使い捨て補助パッドの長さ方向股部および/または幅方向中央部に、止着部材が存在しない領域を設けることにより、使い捨て補助パッドを取り付ける際に、使い捨て補助パッドと着衣の間に指を挿入することができる。その結果、取り付け作業や位置調整が容易になる。また、長さ方向股部および/または幅方向中央部において、使い捨て補助パッドと着衣が固定されていない。その結果、使い捨て補助パッドが、着衣の動きに追従しすぎることが抑制され、使い捨て補助パッドの着用者へのフィット性が低下せず、尿漏れが低減する。
本発明の使い捨て補助パッドの形状は、長辺両側縁と短辺両端縁とを有する略矩形状であることが好ましい。また、長辺両側縁に、着用者の股間部分に沿いやすいように脚用切り欠き部が設けられた砂時計形状であってもよい。
使い捨て補助パッドには、長辺両側縁に沿って、長さ方向に延びる一対の起立部が設けられていてもよい。起立部は、尿などの横漏れを防止して、排泄物の水分を速やかに吸収体へと移動させる。起立部は、不透液性のサイドシートで構成されていることが好ましい。起立部に用いられるサイドシートとしては、不透液性バックシートの材料として用いるものを挙げることができる。前記起立部は、例えば、吸収体の上面の幅方向両側に設けられてもよく、吸収体の側縁より外側に設けられてもよい。起立部は、トップシートの幅方向両側に設けられたサイドシートの内方端が立ち上げられて、形成されてもよい。起立部の自由端(内方端)には弾性部材が設けられることが好ましく、当該弾性部材の収縮力により起立部が着用者の肌に向かって立ち上がる。弾性部材については、ポリウレタン糸や天然ゴムシートなどの伸縮性材料が用いられる。
本発明の使い捨て補助パッドは、使い捨ておむつ本体、生理用ナプキン、綿生地のパンツなどの着衣に好適に使用することができ、使い捨ておむつ本体、生理用ナプキンなどに使用することが好ましい。
前記使い捨ておむつ本体としては、例えば、透液性のトップシートと、不透液性のバックシートと、前記透液性トップシートと不透液性のバックシートとの間に吸収体を有し、吸収体の両側縁に沿って一対の立ち上がりフラップが形成されたもの;内側シートと外側シートからなる積層体と、前記積層体の肌面側に、透液性トップシートと不透液性バックシートとの間に吸収体が挟み込まれた吸収性本体とを有し、吸収性本体の両側縁に沿って一対の立ち上がりフラップが形成されたものなどを挙げることができる。なお、上記では、おむつ本体に吸収性本体や吸収体が備えられている場合を例示したが、おむつ本体に吸収性本体や吸収体は必ずしも必要ではない。
以下、図面を参照しながら、本発明を詳細に説明するが、本発明は、図面に示された態様に限定されるものではない。
図1には、本発明で使用する止着部材の一例を示した。図1は、本発明で使用する止着部材の一例の拡大平面図であり、止着部材10は、基材シート44上に起立する複数のフック部材45を有する。複数のフック部材45が、ヘッドの短径方向18および長径方向19に並列して設けられている。図2(a)は、フック部材の平面図である。図2(b)は、フック部材45をヘッド47の短径方向18から見た正面図であり、図2(c)は、フック部材45をヘッドの長径方向19から見た側面図である。フック部材45は、ステム(茎)46と、前記ステム46の先端に設けられたヘッド47とを有する。ヘッド47は、短径50と前記ステムの径53よりも大きい長径49とを有する略楕円形状を有し、ステムから長径方向19に張り出す張り出し部48を有する。図2(c)に示した例では、ヘッド47の短径50とステムの径53がほぼ等しく、ヘッドの短径方向18には、ヘッドは張り出していない。上述したような構成を有する止着部材10は、長径方向19にはフック部材のヘッドが張り出しているため、しっかりと係合するが、短径方向18には、ヘッドが張り出していないので、ゆるく係合する。
図3には、本発明に使用するフック部材の変形例を示した。図3(a)は、フック部材の平面図、図3(b)は、短径方向18から見た正面図、図3(c)は、長径方向19から見た側面図である。ヘッドの短径50がステムの径53より大きく、ヘッドが短径方向18にも張り出している。また、長径方向19に張り出す長さ51は、短径方向に張り出す長さ52よりも大きい。長径方向および短径方向に張り出す長さを調整することにより、長径方向および短径方向の係合力をそれぞれ調整することができる。前記構成を有する止着部材10は、長径方向19にはヘッドの張り出し長さが大きく、しっかりと係合するが、短径方向18には、ヘッドの張り出し長さが小さく、ゆるく係合する。
図4には、本発明に使用するフック部材の別の変形例を示した。図4(a)は、フック部材の平面図、図4(b)は、短径方向18から見た正面図、図4(c)は、長径方向19から見た側面図である。ヘッドの短径50がステムの径53より大きく、ヘッドが、短径方向18にも張り出している。また、長径方向19に張り出す長さ51は、短径方向に張り出す長さ52よりも大きい。図4に示した態様では、ステム46が円錐状であり、ステムの径53が、ヘッドから基材シートに向かって大きくなる。ステムのボトム径54は、ステムが基材シートと接合している部分のステム径であり、ヘッドの短径50より大きくなっている。このような構成とすることにより、ステム46が安定して起立し、倒れにくくなる。その結果、係合力が安定する。
本発明で使用する止着部材のフック部材の長径方向の張り出し長さ51は、30μm以上が好ましく、50μm以上がより好ましく、190μm以下が好ましく、175μm以下がより好ましい。また、フック部材の短径方向の張り出し長さ52は、25μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、フック部材が短径方向に張り出していないことが最も好ましい。
上述した構成を有する止着部材は、長径方向19にはしっかりと係合するが、短径方向18には、ゆるく係合する。本発明では、斯かる止着部材を、ヘッドの長径方向19が使い捨て補助パッドの幅方向に一致するようにバックシートの裏面に取り付ける。そうすると、使い捨て補助パッドを着衣の内面に取り付けて使用したときに、ヘッドの長径方向19と使い捨て補助パッドの幅方向が一致しているので、幅方向へのずれを抑制することができる。使い捨て補助パッドの長さ方向には、ヘッドが張り出していないので、使い捨て補助パッドを長さ方向に抵抗なく容易に取り外すことができる。
本発明で使用する止着部材の長径方向の係合力は、0.25N/15mm以上が好ましく、0.30N/15mm以上がより好ましく、3.50N/15mm以下が好ましく、1.50N/15mm以下がより好ましい。止着部材の長径方向の係合力が上記範囲であれば、使い捨て補助パッドの幅方向のずれが抑制される。また、本発明で使用する止着部材の短径方向の係合力は、0N/15mm以上が好ましく、0.010N/15mm以上がより好ましく、0.100N/15mm以下が好ましく、0.0050N/15mm以下がより好ましい。止着部材の短径方向の係合力が上記範囲であれば、使い捨て補助パッドを長さ方向に抵抗なく容易に取り外すことができる。止着部材の係合力は、後述する方法により測定することができる。
図5〜図7には、本発明の使い捨て補助パッドの好ましい実施態様(第1実施形態1)を示した。図5は、肌面側から見た平面図であり、図6は、裏面側から見た裏面図である。図7は、図5のI−I線における断面図である。以下、本発明では、着用者の左側に当たる側を左側と称し、着用者の右側に当たる側を右側と称す。従って、図6に向かって右側は左側であり、向かって左側は右側である。(図5では向かって右側が右側であり、向かって左側は左側である。)
使い捨て補助パッド1は、透液性のトップシート2と、不透液性のバックシート3と、両シートの間に挟まれて配置された吸収体4とで主に構成されている。吸収体4は、ホットメルト接着剤などでトップシート2およびバックシート3と接合されており、さらに吸収体4から外方へ延出するトップシート2およびバックシート3のフラップ部分は接着剤などで互いに接合されて、吸収体4や吸収体4が吸収した尿等の排泄物が外方へ漏れ出さないように保持されている。なお、図5から図7の例では、バックシート3は吸収体4の上方へ巻き上げられ、吸収体4の幅方向側縁24はバックシート3で覆われている。これは、吸収体4や吸収体4が吸収した尿等の排泄物が外方へ漏れ出さないようにより強固に保持するための措置である。
使い捨て補助パッド1は、長さ方向118、幅方向119、厚さ方向20を有しており、長さ方向118に沿って前側部12、後側部14、及び、前側部12と後側部14との間に位置する股部13を有している。また、幅方向119に沿って、側縁部15,17と中央部16を有している。なお、前記股部13のフラップ部分は、着用者の股間部分に沿いやすいように脚用切り欠き部8を設け括れている。さらに吸収体4の股部縁25も同様に括れている。図6では、使い捨て補助パッド1をほぼ3等分する2点鎖線を2本引いて示しており、2点鎖線間を中央部16とし、2点鎖線の外方の部分を側縁部15,17としている。
使い捨て補助パッド1には、止着部材10,11がバックシート3の裏面側に設けられている。ここで、裏面側とは図7に向かって下側のことであり、着用者の着衣の内面に面する側である。図7に向かって上側は、着用者の肌に面する側である。前側止着部材10は、前側部12における側縁部15,17にそれぞれ配置されている。後側止着部材11は、後側部14における側縁部15,17中にそれぞれ配置されている。前後止着部材10および11は、それぞれ長さ方向の端縁29と幅方向側縁30を有する長方形状のものとして描かれている。しかしながら、形状はこの形に限定されない。
フック部材を有する止着部材10,11は、該フック部材を着衣の内面に向くように、バックシート3の裏面に取り付けられる。該フック部材が着衣の内面に係合することで、使い捨て補助パッド1が着衣に接合できる。フック部材を有する止着部材であれば、繰り返し取り付けができて、位置調整が容易な上、着衣の内面を損傷することも少なくなる。
各止着部材の幅方向側縁30は、使い捨て補助パッド1の側縁22に沿うように配置することが好ましい。また、側縁30の長さ26の方が、端縁29の長さ31よりも長いことが好ましい。そのような止着部材の配置関係と寸法関係により、使い捨て補助パッド1を着衣に固定した際に、長さ方向に対するずれを起こしにくくすることができる。ずれが起こりにくいことで、使い捨て補助パッドが着用者の股間の適切な位置にフィットし続けるため、尿等の排泄物の漏れを防ぐことができる。
止着部材10、11は、使い捨て補助パッドの幅方向側縁22から、離間して設けられていることが好ましく、止着部材の外方の側縁30が、使い捨て補助パッドの側縁22から10mm以上内方に位置することが好ましい。止着部材を、使い捨て補助パッドの幅方向側縁22から離間して設けることにより、使い捨て補助パッド1の幅方向側縁22から止着部材10、11までの間隔27において、使い捨て補助パッド1が、着衣に接合されず自由な状態になる。この間隔27の部分についても、作業者が指でつまむことができ、位置調整のために使うことができる。また、この間隔27の部分は、着衣の動きに追従しないため、着衣との関連によって曲がったり、折れたりすることがなく、それら曲がり・折れに起因する排泄物の漏れを防ぐことができる。
前記間隔27の幅方向19における寸法は、10mm以上であることが好ましく、15mm以上がより好ましく、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましい。30mmを越える寸法であると、自由度があり過ぎて、補助パッド単独で折れ曲がりやすくなる。また、10mm未満の寸法であると作業者がつまみにくく作業しづらくなる。
前側止着部材10および後側止着部材11は、それぞれ左右の止着部材間に間隔28が設けられている。この間隔があるために左右の止着部材の間に手を入れて作業することができ、着衣に取り付ける際に位置を調整し易くなる。着用者の体型や姿勢に合わせて適切な位置に使い捨て補助パッドを取り付けることで確実にフィットさせることができ、結果として漏れを軽減することができる。
前記左右の止着部材間の間隔は、50mm〜90mmとすることが好ましい。50mmより小さい間隔では装着作業者の手や指が入りづらくなる。また、90mmよりも大きい間隔では使い捨て補助パッドの止着が不安定になる。
図5および図7を参照すると、トップシート2の幅は使い捨て補助パッド1の幅よりも狭く設定されており、トップシート2の両側縁部の下面は、バックシート3の折り返し端9のやや外方上面と第1の接合部32において接合されている。トップシート2の幅方向外方にはサイドシート5が接合されて配置されている。サイドシート5の第1の折り返し縁36よりやや外方の部分の下面は、トップシート2の上面と第2の接合部33により接合されている。なお、その他のサイドシート5の下面もトップシート2の上面や折り返されたバックシート3の上面と接合されている(図示せず)。第2の接合部33よりも内方のサイドシート5の部分は、延伸した状態で貼り付けられた弾性部材7の収縮力により着用者の肌に向かって起立する起立部6となっている。
図5および図7の例では、起立部6は、第1の折り返し縁36で外方に向かって折り返され、次いで第2の折り返し縁34で内方に向かって折り返され、次いで第3の折り返し縁35で弾性部材7を覆うように内方に向かって折り返される。弾性部材7は、第3の折り返し縁35の内部に伸張状態で取り付けられている。折り畳まれた起立部6は、使い捨て補助パッド1の長さ方向118の端縁付近においては折り畳まれた状態で固定されている。その固定された部分の間の起立部6は固定されていないので、弾性部材7の収縮力により着用者の肌に向かって起立する。起立部6は、主に着用者の股間部において起立するため、股間部における尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。
弾性部材7については、ポリウレタン糸や天然ゴムシートなどの伸縮性材料が用いられる。材料の接合には、ホットメルト接着剤による接合や、熱溶融接合が用いられる。
図8から図10には、本発明の別の好ましい実施態様(第2実施形態101)を示している。使い捨て補助パッド101では、バックシート3が吸収体4の幅方向側縁24に沿って巻き上げられてはおらず、側縁24から外方へ延出している。また、サイドシート5も側縁24から外方へ延出しており、延出したサイドシート5とバックシート3を互いに接合してフラップ部分を形成している。上記の点以外は、基本的に第1実施形態と同じである。
止着部材の外方の側縁30は、吸収体の幅方向側縁24から10mm以上内方に位置することが好ましい。図5から図7の補助パッド1では、吸収体4の側縁24と補助パッド1の側縁22がほぼ一致しているが、図8から図10の補助パッド101では、吸収体4の側縁24は使い捨て補助パッド101の側縁22よりも内方にある。止着部材の側縁30と吸収体4の側縁24との間隔43については、10mm以上であることが好ましく、15mm以上がより好ましく、30mm以下が好ましい。30mmを越える寸法であると、自由度があり過ぎて、補助パッド単独で折れ曲がりが発生しやすくなる。また、10mm未満の寸法であると作業者がつまみにくく作業しづらくなる。
第1実施形態、第2実形態ともにサイドシート5を用い、横漏れ防止用の起立部6を設けている。変形例としてサイドシート5を用いず、トップシート2のみで表面全体を覆ってもよい。その他、本発明の主旨が許す範囲で変形しても差し支えない。
図11には、本発明の使い捨て補助パッドの別の好ましい実施態様(第3実施形態201)を示した。図11は、使い捨て補助パッドを裏側から見た裏面図である。使い捨て補助パッド201では、止着部材の取り付け位置を変更している。前記変更点以外は、基本的に第1実施形態と同じである。止着部材は、幅方向中央部16の前側部12と後側部14に取り付けられ、前記使い捨て補助パッドの長さ方向股部には、止着部材が存在しない領域が設けられている。使い捨て補助パッド201のような態様においても、本発明の効果を奏することができ、さらに止着部材の数が少ないので製造コストを低減できる。
以下、本発明の使い捨て補助パッドをおむつ本体に取り付けて使用する態様について、図12〜14を参照しながらさらに詳細に説明する。図12に示すように使い捨て補助パッド1は2つ折り部37により2つに折られている。2つに折られた状態で、図13に示すようにおむつ本体の内面41、42に重ねて接合する。
図14では、おむつ本体38の前側の内面41(斜線で示す部分)に使い捨て補助パッド1を重ねた状態で、内面41に前側止着部材10を接合している。左右の前側止着部材10間は固定されていないので、図14のように作業者の手39の指40が、補助パッドの裏面とおむつ本体の内面との間に入る。このことにより、一旦接合した状態でも使い捨て補助パッドをしっかりと持って接合状態を調整することができる。また、股部13には止着部材は配置されない。よって、股部13は、おむつ本体38の動きに関連せず、おむつ本体38の動きに起因する捩れ、しわなどが発生しない。特に股部13の吸収体4が捩れたり、しわになったりすると吸収力の低下を招きやすいので、その部分に影響が無いことが望ましい。
図14に示すように、止着部材は、使い捨て補助パッドの幅方向側縁22から、離間して設けられている。使い捨て補助パッド1の幅方向側縁22から止着部材10までの間隔27において、使い捨て補助パッド1が、おむつ本体に接合されず自由な状態になる。この間隔27の部分についても、作業者が指でつまむことができ、位置調整のために使うことができる。また、この間隔27の部分は、おむつ本体38の動きに追従しないため、おむつ本体との関連によって曲がったり、折れたりすることがなく、それら曲がり・折れに起因する排泄物の漏れを防ぐことができる。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
[止着部材の係合力の評価]
(1)図15(a)および(b)に示すように、使い捨て補助パッド1のバックシートの裏面側に、止着部材10として幅15mmのフックテープを取り付けた。取り付けたフックテープの部分を含むように幅50mm×長さ120mmの長方形A、Bの形状にバックシートを切り取り、フックテープ基材A,Bを作製した。図15中、使い捨て補助パッド1の長さ方向118は、MD方向(製造工程の不織布の流れ方向)に一致し、MD方向と直交する方向が、使い捨て補助パッド1の幅方向119に相当する。
(2)図16(a)および(b)に示すように、おむつ本体の吸収性本体57から長方形a,bの形状に,エアスルー不織布製のトップシート58を切り取り、トップシート基材a,bを作製した。このトップシート基材a,bを幅53mm×長さ100mmのステンレス板に貼り付けた。図16中、おむつ本体の吸収性本体57の長さ方向118が、MD方向(製造工程の不織布の流れ方向)に一致し、MD方向と直交する方向が、吸収性本体57の幅方向119に相当する。
(3)このトップシート基材a,bとフックテープ基材A,Bとを、フックテープがトップシート基材に係合するように重ねて、上から2kgのローラーを往復させて、トップシート基材とフックテープ基材とを係合させて、剥離試験用の試験片1〜8を作製した。剥離試験用の試験片は、トップシート基材a,bとフックテープ基材A,Bとを、図17(a)〜(d)に示すように4通りの組合せで積層して作製した。図17において、X方向がT型剥離試験の剥離方向である。また、各基材に付された矢印方向は、各基材のMD方向を示す。
(4)図18に示すように、得られた剥離試験用の試験片202に500gの荷重204をかけて、135°の方向に剥離するように治具で固定してT型剥離試験を行った。
剥離試験は、エー・アンド・デイ製テンシロン万能試験機を用いて、チャック間距離100mm、チャックスピード300mm/minの条件で行った。
(5)得られた試験結果を、「汎用試験機用データ処理システム MSAT0003RTF/RTG−1210」を用いて処理し、JIS K6854に定める面積法により、係合力(N/15mm)を算出した。すなわち、係合力(N/15mm)は、測定によって得られたチャート紙上の剥離荷重曲線と剥離長さとで囲まれた面積を剥離長さ(mm)で除することにより算出される。なお、フックテープ基材Bを用いた試験片については、N/50mmの係合力が測定されるが、これをN/15mmに換算して、係合力を算出した。得られた結果を表1に示した。フックテープ基材Aを用いた試験片の剥離試験結果が、使い捨て補助パッドの幅方向に使い捨て補助パッドを取り外す係合力を指標し、フックテープ基材Bを用いた試験片の剥離試験結果が、使い捨て補助パッドの長さ方向に使い捨て補助パッドを取り外す係合力を指標する。
(6)止着部材としては、表1に示したフックテープ1(実施例)と、フックテープ2(比較例)を用いた。フックテープ1のフック部材は、ステムと、前記ステムの先端に設けられたヘッドとを有し、ヘッド形状が、平面視で、短径と前記ステムの径よりも大きい長径とを有する形状であり、ヘッドの長径方向が、フックテープの長さ方向と一致している。フックテープ2のフック部材は、ステムと、前記ステムの先端に設けられたヘッドとを有し、ヘッド形状は、長径方向および短径方向にほぼ均等にステムから張り出している。
フック部材のヘッドの長径方向がフックテープの長さ方向と一致するフックテープ1を、使い捨て補助パッド1のバックシートに取り付けたフックテープ基材A、Bは、いずれも止着部材が、フック部材のヘッドの長径方向と使い捨て補助パッドの幅方向が一致するように取り付けられている場合である。そして、試験片1,2の剥離試験結果は、使い捨て補助パッドを幅方向に取り外すときの係合力を指標し、試験片3,4の剥離試験結果が、使い捨て補助パッドの長さ方向に取り外すときの係合力を指標する。試験片1〜4の試験結果から、フックテープ1を取り付けた使い捨て補助パッドは、幅方向に係合力が大きく、長さ方向に係合力が弱いことが分かる。また、試験片1と2の結果、及び、試験片3と4の結果をそれぞれ比較すると、使い捨てパンツ本体のトップシートの方向性によらず、この傾向が、認められることが分かる。以上の結果より、フックテープ1を取り付けた使い捨て補助パッドは、幅方向にはずれにくく、長さ方向に容易に取り外すことができる。
また、試験片4〜7の結果から、フック部材のヘッドのステムからの張り出し長さが短いフックテープ2をバックシートに取り付けた使い捨て補助パッドの場合、幅方向の係合力と、長さ方向の係合力とに大きな差は認められなかった。