図1や図9で示すマスター型製造装置1は、型(たとえば、金型)M1を複数回繰り返して使用することにより、平板状の基板W1の面に硬化した成型材料で構成された複数の凸部W2を設けることで、マスター型M2を製造する装置であり、マスター型製造装置本体部3と制御装置5とを備えている。
ここで説明の便宜のために、水平方向の一方向をX軸方向とし、水平方向の他の一方向であってX軸方向に対して直交する方向をY軸方向とし、鉛直方向(上下方向)をZ軸方向とする。
また、マスター型製造装置1は、たとえば、クリーンルームに設置されて使用される。金型M1は、1台のマスター型製造装置1にたとえば1つだけ設置されるものであり、基板W1も、1台のマスター型製造装置1にたとえば1つだけ設置されるものである。基板W1は、ガラス基板等で構成されており、各凸部W2は、紫外線硬化樹脂等の材料で構成されており、ガラス基板W1の厚さ方向の一方の面に設けられる。
凸部W2は、たとえば球冠状に形成されており、球冠の平面がガラス基板W1の平面に面接触している。また、各凸部W2は、お互いが縦方向、横方向で所定の間隔をあけて設けられている。
マスター型M2(図3(c)、図6等参照)は、ガラス基板W1とこのガラス基板W1に設けられた複数の凸部W2とを備えて構成されている。ガラス基板W1は、たとえば、直径が8インチ程度の円板状に形成されており、凸部W2は、1枚のガラス基板W1に数千個設けられるようになっている。なお、図が煩雑になることを防止するために、図3(c)、図6等では凸部W2の数を少なくして表示してある。
マスター型製造装置本体部3は、型保持部(金型保持部)7と基板保持部(ガラス基板保持部)9とを備えて構成されている。
型保持部7は、凸部W2を形成するための凹部(コア)M3を備えた金型M1を、凹部M3が上方を向くように(凹部M3が型M1の上端部で上方に開放するように)保持し、この保持した金型M1を水平方向(X軸方向、Y軸方向)で移動位置決めするものである。
金型M1には凹部M3が1つだけ形成されており、型保持部7で保持されている金型M1の凹部M3の周辺は、上方を向いて水平方向に展開している環状の平面M4になっている。
基板保持部9は、型保持部7から離れて型保持部7の上方に設けられている。基板保持部9は、型保持部7で保持された金型M1の上方でガラス基板W1を保持するようになっている。基板保持部9で保持されているガラス基板W1は、凸部W2が形成される面が水平方向に展開して下方を向いている。また、基板保持部9は、保持したガラス基板W1を、型保持部7で保持されている金型M1に対して上下方向で移動位置決めするようになっている。
ここで、基板保持部9で保持しているガラス基板W1が、上下方向で移動位置決め自在な構成になっているが、この構成に代えてもしくは加えて、型保持部7で保持している金型M1を、上下方向で移動位置決め自在に構成してもよい。すなわち、基板保持部9で保持されているガラス基板W1が、型保持部7で保持されている金型M1に対して相対的にZ軸方向で移動位置決め自在になっていればよい。
同様にして、基板保持部9で保持しているガラス基板W1を、型保持部7で保持されている金型M1に対して相対的に水平方向(X軸方向、Y軸方向)で移動位置決め自在に構成にしてもよい。
基板保持部9で保持されているガラス基板W1が上昇して上昇端に位置しているときには、ガラス基板W1と金型M1とは所定の距離だけ離れており、金型M1の凹部M3周辺の平面M4と、ガラス基板W1の下面とは、お互いが平行になって対向している。上昇端に位置しているガラス基板W1が所定の距離下降することで、ガラス基板W1の下面と金型M1の凹部M3周辺の平面M4とがお互いに面接触し、平凸レンズ状の空間が形成されるようになっている(図2(c)等参照)。また、ガラス基板W1(金型M1)で金型M1(ガラス基板W1)を押圧するようになっている。
平面視すると、基板保持部9で保持されたガラス基板W1の面積は、型保持部7で保持された金型M1に対して大きくなっており、基板保持部9で保持されたガラス基板W1の内側に型保持部7で保持された金型M1が存在している。
また、マスター型製造装置1(マスター型製造装置本体部3)には、金型M1の凹部M3に硬化前の紫外線硬化樹脂(流動体状の紫外線硬化樹脂)を供給するディスペンサ11と、金型M1の凹部M3に供給された紫外線硬化樹脂を硬化するための成型材料硬化手段(たとえば紫外線発生部)13とが設けられている。
ここで、マスター型M2について説明する。マスター型M2では、前述したように、平板状のガラス基板W1の一方の面に硬化した紫外線硬化樹脂で構成された複数の凸部W2が設けられている(図3(c)、図6等参照)。
マスター型M2は、図4や図5で示すような多レンズ用金型M5を製造するとき等に使用されるものである。
多レンズ用金型M5の製造に際しては、まず、図4(a)で示すように、マスター型M2の一方の面(凸部W2の表面と凸部W2で覆われていないガラス基板W1の表面)に、導電性の材料で構成されたシード層M6を、真空蒸着等により設ける。
続いて、図4(b)で示すように、電鋳等によって多レンズ用金型M5を生成し、図4(c)で示すように、多レンズ用金型M5からマスター型M2を分離する。この分離後にあっては、シード層M6は多レンズ用金型M5の一部を形成している。多レンズ用金型M5には、マスター型M2の凸部W2に対応して、複数の凹部M7が形成されている。
このようにして製造された多レンズ用金型M5は、図5(b)で示す多レンズ成型体W3をモールド成型するときに使用される金型になる。すなわち、2つの多レンズ用金型M5が、図5で示す上型M8と下型M9とになる。なお、上型M8における凹部M7の曲率半径と下型M9における凹部M7の曲率半径とは、お互いが異なっているが、お互いが一致していてもよい。また、上型M8における凹部M7の直径と下型M9における凹部M7の直径とは、お互いが一致しているが、お互いが異なっていてもよい。
また、上型M8に設けられている各凹部M7のそれぞれの位置と、下型M9に設けられている各凹部M7のそれぞれの位置とは、図5の左右方向(X軸方向)および図5の紙面に直交する方向(Y軸方向)において、お互いに一致している。
したがって、上型M8と下型M9とを用いてモールド成型された多レンズ成型体W3に形成されている凸部W4,W5の位置は、お互いに一致している。すなわち、多レンズ成型体W3は平板状の基部W6の厚さ方向の一方の面に複数の凸部W4を備え他方の面に複数の凸部W5を備えた形状になっている。そして、凸部W4の数と凸部W5の数とはお互いに一致しており、凸部W4のそれぞれの位置と、凸部W5のそれぞれの位置とは、お互いに一致しており、基部W6の厚さ方向から見ると、凸部W4の中心と凸部W5の中心とがお互いに一致している。
このようにして製造された多レンズ成型体W3は、1つの凸部W4と1つの凸部W5とを備えたレンズに分割されて、携帯電話のカメラのレンズ等として使用される。
なお、多レンズ成型体W3において、球冠状の凸部W4や凸部W5を囲むような、円環状の凸部(図示せず)がレンズ枠として設けられている場合もある。
ところで、上記説明では、マスター型M2を、多レンズ用金型M5を製造するときの型として使用しているが、マスター型M2自体を製品もしくは半製品として使用してもよい。たとえば、マスター型M2を、1つの凸部W2の部位毎に分割し、この分割したものをレンズ等として使用してもよい。
ここで、マスター型製造装置1の説明に戻る。マスター型製造装置1には、型洗浄部(金型洗浄部)15と硬化前観察カメラ17と硬化後観察カメラ19と硬化状況観察カメラ21とが設けられている。
金型洗浄部15は金型M1を洗浄するためのものである。より詳しくは、金型洗浄部15が、少なくとも、金型M1の凹部M3とこの周辺の平面M4とを洗浄するようになっている。
金型洗浄部15による金型M1の洗浄は、金型M1を用いた凸部W2の形成がさなれた後であって金型M1を用いた次の凸部W2の形成がさなれる前に、行われるようになっている。つまり、金型M1よる1つの凸部W2の形成がさなれた後、金型M1よる次の1つの凸部W2の形成がさなれる前に、洗浄が行われるようになっている。なお、金型M1よる複数の凸部W2(たとえば2〜10個程度の凸部W2)の形成がさなれた後、次の凸部W2の形成がさなれる前に、洗浄を行う構成であってもよい。
金型M1の洗浄は、詳しくは後述するが、洗浄液を金型M1の凹部M3等に吹きつけてなされるようになっている。また、金型M1の凹部M3等に吹きつけられた洗浄液は、適宜回収されるようになっている。
硬化前観察カメラ17は、ディスペンサ11によって金型M1の凹部M3に供給された硬化前の紫外線硬化樹脂を観察するカメラである。金型M1の凹部M3に供給された硬化前の紫外線硬化樹脂は、すでに理解されるように、凸部W2を形成するために供給されるものである。
そして、マスター型製造装置1では、金型M1の凹部M3に供給された硬化前の紫外線硬化樹脂に欠陥(たとえば気泡)が発生したことを硬化前観察カメラ17が検知した場合、制御装置5の制御の下、金型洗浄部15を用いて欠陥が発生した硬化前の紫外線硬化樹脂を洗浄して金型M1から除去するように構成されている。
硬化前観察カメラ17は、金型M1の凹部M3に硬化前の紫外線硬化樹脂を供給し終えた後に、欠陥の発生を観察するようになっているが、供給後に加えて硬化前の紫外線硬化樹脂を供給しているとき(供給途中)においても、硬化前観察カメラ17で欠陥の発生を観察する構成であってもよい。そして、紫外線硬化樹脂の供給途中で欠陥の発生を硬化前観察カメラ17が検知したときに、ディスペンサ11による紫外線硬化樹脂の供給を途中でただちに停止し、金型洗浄部15を用いて紫外線硬化樹脂を洗浄して金型M1から除去するように構成してもよい。
なお、金型洗浄部15で金型M1を洗浄した後、この洗浄した金型M1の凹部M3に硬化前の紫外線硬化樹脂を再び供給する(供給しなおす)ようになっている。
また、硬化前観察カメラ17で、金型洗浄部15による洗浄状態を検査してもよい。そして、洗浄状態に問題がなければ、洗浄した金型M1の凹部M3に硬化前の紫外線硬化樹脂を再び供給するようにしてもよい。また、洗浄状態に問題があったときには、金型洗浄部15で金型M1を再び洗浄するようにしてもよい。
さらに、硬化前観察カメラ17で紫外線硬化樹脂の欠陥の発生を検知した場合、紫外線硬化樹脂の供給条件(温度、湿度、気圧、ディスペンサでの供給速度等)、硬化前観察カメラ17で撮影された動画(紫外線硬化樹脂の供給開始から紫外線硬化樹脂を供給が停止されるまで動画)のうちの少なくともいずれかの情報を、制御装置5(たとえばFAパソコン23)に設けられているメモリに、電子ファイルとして記憶するように構成されている。
この記憶された情報は、適宜取り出すことができる。たとえば、FAパソコン23の画面で見ることができるとともに、FAパソコン23の端子(LA端子やUSB端子等)を介して、外部の機器に転送することができるようになっている。記憶した情報は、欠陥の発生を防止するための資料として活用されるであろう。
なお、上記供給条件や動画の記憶は、総ての凸部W2を形成するときにおいてなされるのであるが、上記記憶を、欠陥が発生したもののみに対してするようにしてもよい。
また、欠陥が発生した場合、凸部W2の番地をFAパソコン23のメモリに記憶してもよい。たとえば、図6に示すマスター型M2生成するときに、上から3行目であって、左から4つ目の凸部W2aを生成するときに、供給された硬化前の紫外線硬化樹脂で欠陥の発生が検知された場合、番地(3、4)をメモリに記憶してもよい。なお、図6で示す参照符号E1,E2はアイマークである。
硬化後観察カメラ19は、凸部W2を構成する硬化し終えた紫外線硬化樹脂を観察するカメラである。硬化後観察カメラ19で凸部W2の欠陥を検知した場合、硬化前観察カメラ17の場合と同様にして、紫外線硬化樹脂の硬化条件(温度、湿度、気圧、紫外線の強度等)、紫外線硬化樹脂が硬化完了したときの静止画のうちの少なくともいずれかの情報を、制御装置5に設けられているメモリに、電子ファイルとして記憶するように構成されている。
硬化した紫外線硬化樹脂(凸部W2)に欠陥が発生している場合、この欠陥が発生した1つの凸部W2のみを除去することは容易ではないので、欠陥のある凸部W2の番地をFAパソコン23のメモリに記憶するように構成されている。
なお、インクジェット等のマーキング装置(図示せず)を別途設け、このマーキング装置により、欠陥が発生した凸部W2にマーキングをするようにしてもよい。
さらに、硬化後観察カメラ19で欠陥の発生を検知した場合、ガラス基板W1をマスター型製造装置1(基板保持部9)から一旦取り外し、欠陥が発生した1つの凸部W2を手動もしくは別の装置を用いて除去し、この除去後にガラス基板W1を再びマスター型製造装置1に設置し、凸部W2の形成を継続してもよい。また、総ての凸部W2の成型が終了した後、メモリに記録した欠陥部の情報を基に、別の装置を用いて欠陥部を自動的に除去し、再びマスター型製造装置1に設置し、欠陥部の情報を基に、除去した部分だけの成型を行ってもよい。
硬化状況観察カメラ21は、凸部W2を構成する紫外線硬化樹脂が硬化するときの状況を観察するカメラである。
硬化状況観察カメラ21で凸部W2の欠陥を検知した場合、硬化前観察カメラ17等の場合と同様にして、紫外線硬化樹脂の硬化条件(温度、湿度、気圧、紫外線の強度等)、紫外線硬化樹脂の硬化開始から紫外線硬化樹脂の硬化が終えるまでの動画のうちの少なくともいずれかの情報を、制御装置5に設けられているメモリに、電子ファイルとして記憶するように構成されている。
硬化状況観察カメラ21で凸部W2の欠陥を検知した場合、硬化後観察カメラ19で凸部W2の欠陥を検知した場合と同様にして、欠陥のある凸部の番地をFAパソコン23のメモリに記憶する等の処理がなされるように構成されている。
紫外線発生部13は、基板保持部9に保持されているガラス基板W1を間にした金型(型保持部7で保持されている金型)M1の反対側に設けられている。紫外線発生部13は、制御装置5の制御の下、型保持部7に保持されている金型M1の移動に同期して水平方向で移動位置決め自在になっている。
詳しく説明すると、型保持部7で保持されている金型M1の上に、基板保持部9で保持されているガラス基板W1が位置し、基板保持部9で保持されているガラス基板W1の上に紫外線発生部13が位置している。また、ガラス基板W1の厚さ方向が上下方向になっており、ガラス基板W1の下面は水平方向に展開しており、この下面に各凸部W2が形成されるようになっている。そして、上方向で金型M1とガラス基板W1とを見ると、型保持部7で保持されている金型M1と紫外線発生部13との位置は、紫外線発生部13が金型M1に同期して移動することで、お互いがほぼ一致している。
また、マスター型製造装置本体部3は、ベース体25を備えており、型保持部7は、ベース体25の上側でベース体25に設けられている。
ベース体25の水平方向の一方の端部(図1の左端部)には、第1の支柱27が立設されており、ベース体25の水平方向の他方の端部(図1の右端部)には、第2の支柱29が立設されている。各支柱の上端部は、連結体30によりお互いが一体的に連結されている。
基板保持部9の水平方向の一方の端部が第1の支柱27に係合し、基板保持部9の水平方向の他方の端部が第2の支柱29に係合して、型保持部7の上部で基板保持部9が上下方向に移動するように構成されている。
また、マスター型製造装置本体部3には、基板保持部9を移動(駆動)するために、第1のアクチュエータ(たとえば、サーボモータ)31と第2のアクチュエータ(たとえば、サーボモータ)33とが設けられている。
第1のサーボモータ31は、基板保持部9と第1の支柱27との係合部側(図1の左側)で、たとえばボールネジ(図示せず)を介して、基板保持部9を駆動するようになっている。第2のサーボモータ33は、基板保持部9と第2の支柱29との係合部側(図1の右側)で、たとえばボールネジ(図示せず)を介して、基板保持部9を駆動するようになっている。
各サーボモータ31,33を同期して駆動することで、基板保持部9で保持されているガラス基板W1の面(下面や上面)が水平方向に展開している状態を保ちつつ、基板保持部9が上下動するようになっている。
また、マスター型製造装置1には、アライメントカメラ35が設けられている。アライメントカメラ35は、ガラス基板(基板保持部9で保持されているガラス基板)W1に対する金型(型保持部7で保持されている金型)M1の位置(X軸方向、Y軸方向での位置)を検出するためのカメラである。
そして、制御装置5の制御の下、アライメントカメラ35の検出結果に応じて、基板保持部9で保持されているガラス基板W1に対する金型(型保持部7で保持されている金型)M1の位置決めをするように構成されている。
ここで、マスター型製造装置に1についてさらに詳しく説明する。
マスター型製造装置本体部3は、前述したようにベース体25を備えている。ベース体25の上面は平面になっており、この平面の中央部に型保持部7を構成するXYステージ37が設けられている。XYステージ37は、XY基台39とこのXY基台39の上側に設けられたXY移動体41とを備えて構成されている。XY移動体41は、平面状の上面を備えている。また、XY移動体41は、図示しないサーボモータ等のアクチュエータにより、制御装置5の制御の下、X軸方向とY軸方向とで、XY基台39に対して移動位置決め自在になっている。XY基台39は、ベース体25に一体的に設けられている。
XY移動体41の上面には、金型支持体43とロードセル44と金型設置体45とが設けられている。金型支持体43は、XY移動体41に一体的に設けられている。金型設置体45は、Z軸方向で移動自在なように金型支持体43に支持されている。ロードセル44は、XY移動体41と金型支持体43との間に設けられており、基板保持部9で保持されたガラス基板W1が下降して型保持部7で保持されている金型M1を押圧するときの押圧力を測定することができるようになっている。
金型設置体45の上側には、金型M1が着脱自在に設置(保持)されるようになっている。金型M1は、たとえば円柱状に形成されており、上面の中央に凹部M3が設けられている。
なお、図1では、XYステージ37の構成を簡略して説明してある。すなわち、XY移動体41がXY基台39に対してX軸方向とY軸方向とに移動位置決め自在としている。しかし、実際には、XYステージ37は、たとえば、XY基台39と、XY基台39に対してY軸方向のみで移動位置決め自在な中間体と、この中間体に対してX軸方向のみで移動位置決め自在なXY移動体41とを備えて構成されている。
なお、上記中間体は、図9で示すY軸サーボモータ85で駆動し、XY移動体41は、図9で示すX軸サーボモータ83で駆動するようになっている。また、図9で示すX,Y軸エンコーダ87,89でフィードバック制御されて、XY移動体41が移動位置決めされるようになっている。
さらに、XYステージ37では、XY移動体41がXY基台39に対して、X軸方向およびY軸方向でのみで移動位置決めされるようになっているが、XY移動体41がXY基台39に対し、θ軸(Z軸と平行な軸)まわりで、回動位置決め自在になっていてもよい。
アライメントカメラ35と硬化後観察カメラ19とは、カメラ支持体47を介して、たとえば、XY移動体41に一体的に設けられている。アライメントカメラ35と硬化後観察カメラ19とは、基板保持部9に保持されているガラス基板W1の下側でガラス基板W1から離れている。そして、型保持部7で保持されている金型M1と同時に、X軸方向、Y軸方向で移動位置決めされるようになっている。
アライメントカメラ35は、基板保持部9に保持されているガラス基板W1に設けられているアイマークE1やアイマークE2(図6参照)を撮影することで、型保持部7で保持されている金型M1に対するガラス基板(基板保持部9に保持されているガラス基板)W1の位置を検出するようになっている。なお、アイマークを用いることなく、ガラス基板W1に設けられた円形状の凸部W2を撮影することで、型保持部7で保持されている金型M1に対する基板保持部9に保持されているガラス基板W1の位置を検出するようにしてもよい。この場合、ガラス基板W1の縁に対する凸部W2に位置は、目標値に対してずれることがあるが、複数の凸部W2間のピッチ等の相対的な位置関係は、正確なものになる。
なお、図1で示すマスター型製造装置本体部3では、硬化後観察カメラ19とアライメントカメラ35とが設けられているが、1つのカメラを兼用し硬化後観察カメラおよびアライメントカメラとして使用してもよい。
基板保持部9は、Z軸移動体49と基板支持体51とバックアップガラス53と備えて構成されている。
Z軸移動体49は、たとえば矩形な平板状に形成されており、厚さ方向がZ軸方向と一致するようにして、第1の支柱27と第2の支柱29との間で、型保持部7から離れて型保持部7の上方に設けられている。また、Z軸移動体49は、リニアガイドベアリング57を介して各支柱27,29に支持されており、Z軸方向で移動自在になっている。
Z軸移動体49のX軸方向の一方の側(図1の左側)には、第1のZ軸サーボモータ31等のアクチュエータが設けられており、Z軸移動体49を駆動するようになっている。Z軸移動体49のX軸方向の他方の側(図1の右側)には、第2のZ軸サーボモータ33等のアクチュエータが設けられており、Z軸移動体49を駆動するようになっている。
さらに、制御装置5の制御の下、第1のZ軸サーボモータ31と第2のZ軸サーボモータ33とが同期して駆動することで、Z軸移動体49の上下面が水平方向に展開している状態を保ったまま、Z軸方向で移動位置決めされるようになっている。
基板支持体51は、たとえば筒状に形成されており、軸方向の一端部がZ軸移動体49の下面に設置され、Z軸移動体49に一体的に設けられている。基板支持体51の軸方向の他端部側(下端部側)には、バックアップガラス53が一体的に設けられている。
バックアップガラス53は、たとえば円板状に形成されており、厚さ方向がZ軸方向になっており、基板支持体51の下端部を塞いでいる。また、バックアップガラス53の平面状の下面で、たとえば真空吸着でガラス基板W1を着脱自在に保持することができるようになっている。
基板支持体51の下面であってバックアップガラス53の上側には、UVステージ(XYステージ37と同様に構成されているステージ)55が設けられている。
UVステージ55は、UV基台63とこのUV基台63の下側に設けられたUV移動体65とを備えて構成されている。UV移動体65は、図9で示すサーボモータ91,93等のアクチュエータにより、また、図9で示すUV軸エンコーダ95,97の位置検出結果を用いて、制御装置5によりフィードバック制御され、X軸方向とY軸方向とで、UV基台63に対して移動位置決め自在になっている。UV基台63は、Z軸移動体49に一体的に設けられている。
UV移動体65には、紫外線発生部13と硬化状況観察カメラ21とが設けられている。紫外線発生部13は、たとえばLED素子(図示せず)を用いて紫外線を発生するようになっている。紫外線発生部13が発した紫外線が、バックアップガラス53とガラス基板W1とを通り、凸部W2を構成する紫外線硬化樹脂を硬化するようになっている。硬化状況観察カメラ21は、紫外線発生部13の近傍に設けられており、バックアップガラス53とガラス基板W1とを通して、紫外線硬化樹脂を撮影するようになっている。
金型洗浄部15やディスペンサ11や硬化前観察カメラ17は、たとえば、ベース体25で支持されており、Z軸方向や水平方向で、ベース体25に対して移動位置決め自在になっている。
詳しく説明すると、ディスペンサ11と硬化前観察カメラ17とは、ディスペンサ支持体67に一体的に設けられている。ディスペンサ支持体67は、図示しないガイド機構を介してベース体25に支持されており、制御装置5の制御の下、図示しないサーボモータ等のアクチュエータでZ軸方向や水平方向で移動位置決め自在になっている。
そして、ディスペンサ11と硬化前観察カメラ17とは、常態では、図7(a)で示すように、金型洗浄部15等との干渉を避けるために、型保持部7で保持されている金型M1から離れている。一方、金型M1の凹部M3に硬化前の紫外線硬化樹脂を供給するときには、図7(b)で示すように、ディスペンサ11の吐出口と硬化前観察カメラ17とが、金型M1の凹部M3のほぼ真上に位置するようになっている。
金型洗浄部15も、図示しないガイド機構を介してベース体25に支持されており、制御装置5の制御の下、図示しないサーボモータ等のアクチュエータでZ軸方向や水平方向で移動位置決め自在になっている。そして、金型洗浄部15も、常態では、図8(a)で示すように、ディスペンサ11等との干渉を避けるために、型保持部7で保持されている金型M1から離れている。一方、金型洗浄部15で金型M1を洗浄するときには、図8(b)で示すように、金型洗浄部15が金型M1の上方に位置して、金型M1の凹部M3等を洗浄するようになっている。
ここで、金型洗浄部15の構成について詳しく説明する。
図8で示すように、金型洗浄部15は、箱状の筐体69を備えている。筐体69の下壁の中央には、金型挿入孔77が設けられており、筐体69の上壁の中央には、導入孔71が設けられており、筐体69の側壁には、排出孔73が設けられている。また、筐体69の下壁の下面には、金型挿入孔77を囲むようにしてOリング75等のシール部材が設けられている。
そして、図8(b)で示すように、金型M1を洗浄する場合には、金型M1の上側部位(下側部位よりも小径の上側部位)を、金型挿入孔77内に挿入して、金型M1の上側部位を筐体69の内部に位置させる。このとき、Oリング75により、金型M1と筐体69との係合部がシールされている。
続いて、導入孔71から洗浄剤を金型M1の凹部M3等に吹き付けて、凹部M3等を洗浄するようになっている。洗浄に使用された洗浄剤は、排出孔73から回収される。
次に、制御装置5等について図9を参照しつつ説明する。
制御装置5は、操作盤79と電装盤81とを備えて構成されている。操作盤79と電装盤81とは信号線等を介してお互いが接続されており、マスター型製造装置本体部3と制御装置5は信号線等を介してお互いが接続されている。
マスター型製造装置本体部3には、すでに理解されるように、各カメラ17,19,21,35とディスペンサ11とロードセル44と紫外線発生部13と金型洗浄部15とZ軸サーボモータ31,33とXY軸サーボモータ83,85とXY軸エンコーダ87,89とUV軸サーボモータ91,93とUV軸エンコーダ95,97とが設けられている。
また、マスター型製造装置本体部3には、ディスペンサコントローラ99とロードセルコンディショナ101とが設けられている。そして、ディスペンサ11は、ディスペンサコントローラ99を介して操作盤79に接続されており、ロードセル44はロードセルコンディショナ101を介して操作盤79に接続されている。
操作盤79には、PLC(プログラマブルコントローラ)103とFAパソコン23と画像処理コントローラ105とZ軸ドライバ107とタッチパネル109と操作ボタン111とが設けられている。各カメラ17,19,21,35は、画像処理コントローラ105を介してPLC103に接続されており、Z軸サーボモータ31,33は、Z軸ドライバ107を介してPLC103に接続されている。
なお、FAパソコン23に直接的に接続されているカメラ113は、マスター型製造装置1の全体を撮影するカメラである。
電装盤81には、PLC115とX,Y軸ドライバ117とU,V軸ドライバ119とが設けられている。X,Y軸サーボモータ83,85は、X,Y軸ドライバ117を介してPLC115に接続されており、U,V軸サーボモータ91,93は、U,V軸ドライバ119を介してPLC115に接続されている。
次に、マスター型製造装置1の動作について説明する。
マスター型製造装置1では、制御装置5の制御の下、金型M1とガラス基板W1とが離れているときに金型M1の移動位置決めする(図2(a)参照)。
続いて、金型M1の凹部M3に紫外線硬化樹脂を供給する(図2(b)参照)。
続いて、金型M1型とガラス基板W1とを接触させ、金型M1でガラス基板W1を押圧し、金型M1の凹部M3内(金型M1の凹部M3とガラス基板W1とで形成された閉空間内)に存在する紫外線硬化樹脂に紫外線発生部13が発する紫外線を照射して、紫外線硬化樹脂を硬化する(図2(c)参照)。
続いて、金型M1からガラス基板W1を離す(離反)と、ガラス基板W1に1つの凸部W2が形成される(図3(a)参照)。
この後、金型M1の移動位置決めから上記硬化・離反までの各動作を複数回繰り返して(図3(b)参照)、平板状のガラス基板W1の面に硬化した紫外線硬化樹脂で構成された複数の凸部W2を設けマスター型M2を製造する(図3(c)参照)。
マスター型製造装置1の動作について、図10〜図12を参照しつつさらに詳しく説明する。
まず、初期状態として、Z軸移動体49が上昇しており、金型M1が金型保持部7に設置され保持されており、ガラス基板W1がガラス基板保持部9に設置され保持されており、ディスペンサ11が図7(a)で示す位置に退避しており、金型洗浄部15が図8(a)で示す位置に退避しており、XY移動体41とUV移動体65とが初期位置に位置しており、金型M1が洗浄済みになっており、紫外線発生部13が紫外線を発生しておらず、FAパソコン23のメモリの所定領域Nに「0」が記憶されているものとする(S1、図2(a)参照)。
上記初期状態において、制御装置5の制御の下、ディスペンサ11と硬化前観察カメラ17とを、図7(b)で示す滴下位置に移動し(S3)、硬化前の紫外線硬化樹脂を金型M1の凹部M3に滴下して供給する(S5、図2(b)参照)。
続いて、硬化前観察カメラ17で紫外線硬化樹脂での気泡等の発生の有無を観察し(S7)、気泡等の欠陥が検出された場合には、ディスペンサ11と硬化前観察カメラ17とを、図7(a)で示す退避位置に移動し(S9)、金型洗浄部15を図8(b)で示す洗浄位置に移動し(S11)、金型M1を洗浄し(S13)、金型洗浄部15を図8(a)で示す退避位置に移動し(S15)、ステップS3に戻る。
一方、硬化前観察カメラ17で気泡等の欠陥が検出されない場合(S7)には、ディスペンサ11と硬化前観察カメラ17とを、図7(a)で示す退避位置に移動し(S17)、XY移動体41とUV移動体65とを移動位置決めする(S19)。
続いて、Z軸移動体49を所定の距離だけ高速移動(下降)し(S21)、Z軸移動体49を低速移動(下降)する(S23)。
Z軸移動体49を低速移動している状態で、ロードセル44の検出荷重が所定の値になったか否かの判断をする(S25)。ロードセル44の検出荷重が所定の値に達しない場合には、ステップS23に戻り、ロードセル44の検出荷重が所定の値に達した場合には、Z軸移動体49を停止し(S27)、紫外線発生部13で紫外線を所定の時間だけ発し、紫外線硬化樹脂を硬化させる(S29、図2(c))。
上記硬化の状況を硬化状況観察カメラ21で撮影し(S31)、硬化時に気泡等の欠陥の発生が検知された場合には、この欠陥の発生している凸部W2の番地をFAパソコン23のメモリに記憶する(S33)。
一方、硬化状況が良好である場合には、Z軸移動体49を上昇する(S35、図3(a))。これにより、ガラス基板W1の下面に1つの凸部W2が形成される。
続いて、上記形成された凸部W2を撮影するために、硬化後観察カメラ19(XY移動体41)を移動位置決めする(S37)。
続いて、硬化後観察カメラ19で、凸部W2の気泡等の欠陥が存在するか否かを観察する(S39)。観察の結果、気泡等の欠陥の発生が検知された場合には、この欠陥の発生している凸部W2の番地をFAパソコン23のメモリに記憶する(S41)。
観察の結果、気泡等の欠陥の発生が検知されない場合(S39)には、金型洗浄部15を図8(b)で示す洗浄位置に移動し(S43)、金型M1を洗浄し(S45)、金型洗浄部15を図8(a)で示す退避位置に移動する(S47)。
続いて、FAパソコン23のメモリの所定の領域Nの記憶されている値に「1」を加える(S49)。
所定の領域Nの値が所定の数(ガラス基板W1の形成すべき凸部W2の個数)に達した場合には動作を終了し、達していない場合には、ステップS3に戻る。
マスター型製造装置1によれば、凸部W2が形成される面積の大きい面が下方を向くようにしてガラス基板W1を設置し、面積の小さい凹部M3が上方を向くように金型M1を設置しておいて、ガラス基板W1に凸部W2を設けるので、面積の大きいガラス基板W1の下面に塵(ダスト)が付着等することがなく、また、面積の小さい金型M1の凹部M3への塵等が舞い降りる機会が減少する。そして、マスター型M2を製造するときにおけるマスター型M2への微細な塵等の混入を防ぎ、不良の発生を抑制することができる。
また、マスター型製造装置1によれば、型洗浄部15で金型M1を洗浄することができるので、凸部W2への塵等の混入を防ぐことができ、凸部W2での不良の発生を未然に防止することができる。
また、金型M1に1つの凹部M3しか設けられていないので、ガラス基板W1に形成される凸部W2の個体差が無くなり、金型M1の製造コストを低減することができるとともに、型洗浄部15の構成を簡素化して、金型M1の洗浄を的確に行うことができる。
また、マスター型製造装置1によれば、金型M1の凹部M3に供給された硬化前の紫外線硬化樹脂を観察する硬化前観察カメラ17を備えているので、硬化前の紫外線硬化樹脂での不具合の発生を検出することができ、マスター型M2の凸部W2での不良の発生を未然に防止して、マスター型M2の凸部W2での不良の発生を無くすことができる。
また、マスター型製造装置1によれば、紫外線硬化樹脂での欠陥の発生を硬化前観察カメラ17が検知した場合、型洗浄部15を用いて紫外線硬化樹脂を洗浄し金型M1から除去するようになっているので、欠陥のある硬化した凸部W2が生成されることを未然に防止することができる。また、硬化前の紫外線硬化樹脂に欠陥が発生した場合であっても、オペレータがマスター型製造装置1を停止して硬化前の紫外線硬化樹脂の除去作業をする必要が無く、マスター型製造装置1を継続して稼動することができる。
また、マスター型製造装置1によれば、硬化後観察カメラ19を備えているので、硬化した紫外線硬化樹脂での欠陥の発生を検知することができ、マスター型M2における、欠陥のある凸部W2を把握することができる。
また、マスター型製造装置1によれば、硬化状況観察カメラ21を備えているので、硬化した紫外線硬化樹脂での欠陥の発生を、紫外線硬化樹脂が硬化する段階で検知することができ、欠陥の発生条件等を的確に把握することができる。
なお、硬化状況観察カメラ21で、紫外線硬化樹脂の硬化時間を測定し、この測定結果に応じて、ステップS29における紫外線の発生時間が最小限になるようなコントロールをしてもよい。
また、マスター型製造装置1によれば、基板保持部9に保持されているガラス基板W1が上下方向で移動し、ガラス基板W1より小さな金型M1を保持する型保持部7が水平方向で移動するように構成されているので、装置が大型化することが抑制される。
すなわち、XY移動体41の大きさ(X軸、Y軸方向の寸法)を小さくすることができるので、XY基台39の大きさ(X軸、Y軸方向の寸法)やベース体25の大きさ(X軸、Y軸方向の寸法)も小さくすることでき、装置の大きさ(X軸、Y軸方向の寸法)を図13で示す装置300よりに小さくすることができる。
また、マスター型製造装置1によれば、型保持部7やXY移動体41の質量が小さいので、型保持部7に保持されている金型M1の移動位置決め(たとえば繰り返し精度が0.1μm程度で、絶対位置決め精度が0.2μm程度の位置決め)を早く正確にすることができる。そして、マスター型M2における凸部W2のピッチを正確なものにすることができる。これにより、図5で示す上型M8における凹部M7のピッチと、下型M9における凹部M7のピッチとの誤差をほぼ無くすことができ、正確な形状の多レンズ成型体W3を得ることができる。さらには、多レンズ成型体W3を各凸部W4,W5毎に分割したときに、分割された凸レンズ(両凸レンズ)における一方の凸部W4の中心と他方の凸部W5の中心との位置ずれを無くすことができる。
また、マスター型製造装置1によれば、紫外線発生部13が型保持部7に保持されている金型M1と同期して移動しガラス基板W1の凸部W2に紫外線を照射するので、紫外線を効率良く凸部W2に照射して凸部W2を早く硬化させることができる。
また、マスター型製造装置1によれば、ベース体25の両端部側に設けられた一対のサーボモータ31,33で基板保持部9を上下方向に駆動するので、基板保持部9が両端部で支えられて移動することになり、基板保持部9をバランス良く、正確に移動させることができる。
また、マスター型製造装置1によれば、アライメントカメラ35の検出結果に応じて、基板保持部9で保持されているガラス基板W1に対する、型保持部7に保持されている金型M1の位置決めをするので、基板W1に対する金型M1の位置を正確なものにすることができ、ガラス基板W1に設けられる各凸部W2のピッチ誤差をほぼ無くすことができる。
なお、上記説明では、1つの金型M1に1つの凹部M3が形成されているが、1つの金型M1に2つ以上の複数の凹部M3が形成されていてもよい。