第1の実施の形態.
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の基本構成を示す側断面図である。図1に示す画像形成装置1は、例えばタンデム型のカラープリンタと称されるものであり、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の画像を形成する画像形成ユニット11a,11b,11c,11dを有している。画像形成ユニット11a〜11dは、後述する媒体16の搬送路に沿って(ここでは、図中右から左に)一列に配列されている。
画像形成ユニット11a,11b,11c,11dは、それぞれ、図中時計回りに回転する静電潜像担持体としての感光体ドラム13a,13b,13c,13dを有している。感光体ドラム13a,13b,13c,13dのそれぞれの外周に沿って、感光体ドラム13a〜13dの表面を一様に帯電させる帯電ローラ32a,32b,32c,32dと、感光体ドラム13の表面に形成された潜像をトナー(現像剤)により現像する現像剤担持体としての現像ローラ31a,31b,31c,31dとが配設されている。
また、現像ローラ31a,31b,31c,31dに当接するように、現像ローラ31a〜31dにトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ33a,33b,33c,33dと、現像ローラ31a〜31dの表面に形成されるトナー層の厚さを規制する(薄膜化する)現像剤層形成部材としての現像ブレード34a,34b,34c,34dとが配設されている。
画像形成ユニット11a〜11dは、また、それぞれの色(ブラック、シアン、マゼンタおよびイエロー)のトナー(現像剤)を貯蔵した現像剤貯蔵部としてのトナー貯蔵容器30a,30b,30c,30dを有している。
画像形成ユニット11a,11b,11c,11dの上方には、それぞれの感光体ドラム13a,13b,13c,13dに対して一定の間隙をあけて、露光ヘッド14a,14b,14c,14dが対向設置されている。露光ヘッド14a〜14dは、例えば、LED(発光ダイオード)アレイとして構成されている。
画像形成装置1の下部には、印刷用紙等の媒体16を収容する媒体トレイ15が着脱可能に装着されている。媒体トレイ15の上方には、媒体トレイ15内に収容された媒体16を1枚ずつ分離して搬送路に送り出すフィードローラ(給紙機構)17が配置されている。また、フィードローラ17により送り出された媒体16の搬送路に沿って、媒体16を画像形成ユニット11a〜11dに向けて搬送する搬送ローラ対(搬送機構)18が配置されている。
画像形成ユニット11a〜11dの下方には、画像形成ユニット11a〜11dで形成されたトナー像を媒体16に転写させるための転写ベルト19が配置されている。また、各画像形成ユニット11a〜11dの感光体ドラム13a〜13dとの間で転写ベルト19を挟み込むように、転写部材としての転写ローラ12a,12b,12c,12dが配置されている。
転写ベルト19は、駆動ローラ191とテンションローラ192とに架け渡されており、駆動ローラ191の回転によって走行する。転写ベルト19は、搬送ローラ対18により搬送された媒体16を静電気力により吸着して保持し、画像形成ユニット11a〜11dに沿って搬送する。
媒体16の搬送路に沿って画像形成ユニット11a〜11dの下流側には、媒体16に転写されたトナー像を定着させる定着部としての定着ユニット20が配置されている。
定着ユニット20は、ヒータを内蔵する定着ローラ201と、定着ローラ201に対向配置された張架ローラ202と、これらに張架された定着ベルト203と、定着ベルト203を介して定着ローラ201に圧接された加圧ローラ204とを有している。定着ローラ201と加圧ローラ204とのニップ部で媒体16を加圧・加熱することにより、トナー像を媒体16に定着する。
なお、定着ユニット20は、このような定着ベルトを有するタイプに限定されるものではなく、定着ローラと加圧ローラとにより媒体を加圧・加熱するものであってもよい。
定着ユニット20のさらに下流側には、トナー像の定着が完了した媒体16を、スタッカ部23に排出する排出機構としての排出ローラ対21,22が設けられている。
なお、上述した画像形成ユニット11a〜11dおよび媒体トレイ15は、画像形成装置1に対して着脱可能である。そのため、画像形成装置1のうち、画像形成ユニット11a〜11dおよび媒体トレイ15以外の部分を、画像形成装置1の本体(装置本体)1Aと称する。
次に、画像形成ユニット11a〜11dの構成について説明する。画像形成ユニット11a〜11dは、トナーの種類を除いて共通の構成を有するため、「画像形成ユニット11」として説明する。画像形成ユニット11の構成要素(現像ローラ31a〜31d等)についても、符号a,b,c,dを省略して説明する。
図2は、画像形成ユニット11の構成を示す側断面図である。図2に示すように、画像形成ユニット11は、着脱可能なトナー貯蔵容器(現像剤貯蔵部)30を有している。画像形成ユニット11のうち、トナー貯蔵容器30以外の部分を、画像形成ユニット本体10と称する。
トナー貯蔵容器30は、現像剤としてのトナー35を貯蔵する容器であり、その内部には、トナー35を撹拌する撹拌部材41を有している。撹拌部材41は、例えばクランクバーにより構成されており、符号41rで示す方向(時計回り方向)に回転することにより、トナー貯蔵容器30内に貯蔵されたトナー35を撹拌する。
トナー貯蔵容器30は、トナー供給口38と、これを開閉する図示しないシャッタとを有している。トナー貯蔵容器30を画像形成ユニット本体10に装着すると、シャッタがトナー供給口38を開放し、画像形成ユニット本体10へのトナー35の供給が可能になる。
画像形成ユニット11の画像形成ユニット本体10には、トナー貯蔵容器30から補給されたトナー35を収容する現像剤収容部としてのトナーホッパ37を有している。トナーホッパ37の上部は、カバー36で覆われている。カバー36には、トナー貯蔵容器30のトナーをトナーホッパ37に補給するための開口部である補給口42が設けられている。補給口42は、トナー貯蔵容器30のトナー供給口38に対向する位置に形成されている。
なお、感光体ドラム13、現像ローラ31および供給ローラ33は、互いに平行な回転軸を有している。画像形成ユニット11(およびそのトナーホッパ37)は、感光体ドラム13、現像ローラ31および供給ローラ33の各回転軸の方向に長い形状を有している。
図3は、画像形成ユニット本体10の構成を示す斜視図であり、その一部を切り欠いて示す図である。上述した補給口42は、画像形成ユニット11の長手方向中央部に形成されている。補給口42の内側には、トナー35をトナーホッパ37内に落下させる補給部材43が設けられている。
図4は、補給部材43と補給口42とを示す断面図である。補給部材43は、上述した現像ローラ31の回転軸と平行な方向を軸方向とする略円柱状の部材であり、回転軸43aを中心として回転可能に設けられている。補給部材43の外周には、周方向に複数(ここでは3つ)の凹部431が形成されている。隣り合う凹部431の間に、羽根部432が形成されている。
補給部材43の外周と補給口42との隙間ΔT1,ΔT2は、例えば1mm以下の微小な隙間に設定される。従って、補給部材43が回転していないときには、トナー貯蔵容器30のトナーは補給口42を通過しない。一方、補給部材43が回転軸43aを中心に回転すると、羽根部432(凹部431)の作用により、トナー貯蔵容器30のトナーは補給口42を通ってトナーホッパ37に落下する。
図2に戻り、トナーホッパ37の内部において、補給部材43の下方には、トナー35をトナーホッパ37の長手方向(すなわち現像ローラ31の軸方向)に搬送する搬送部材44が配置されている。
なお、本明細書において、「下方」とは、鉛直方向の真下のみを指すのではなく、例えば斜め下も含む。すなわち、搬送部材44が補給部材43の下方に配置されているという記載は、補給部材43から落下したトナー35が搬送部材44に到達しうるような位置関係を言う。同様に、「上方」とは、鉛直方向の真上のみを指すのではなく、例えば斜め上も含む。
図5は、搬送部材44の構成を示す斜視図である。搬送部材44は、シャフト(軸部)440の周囲に螺旋部441,442を形成したものである。螺旋部441,442は、シャフト440の軸方向中心を挟んで両側に形成されており、螺旋方向(巻き方向)が互いに逆である。搬送部材44は、後述するモータ62(図10)によって回転し、螺旋部441,442によりトナー35を軸方向に搬送する。螺旋部441,442は、トナー35を、搬送部材44の軸方向中央から両端に向けて搬送するような螺旋方向を有している。
搬送部材44の螺旋部441,442の間には、シャフト440と平行に延在する突起部443が形成されている。また、螺旋部441,442の軸方向両側にも、シャフト440と平行に延在する突起部444,445が形成されている。突起部443,444,445は、トナー35を搬送部材44の回転方向(周方向)に送り出す作用を有する。
図2に戻り、搬送部材44の外周に沿って、搬送部材44により搬送されるトナー35を、トナーホッパ37の長手方向(すなわち現像ローラ31の軸方向)に案内する案内部材50が配置されている。案内部材50は、搬送部材44の底部に対向する位置でトナーホッパ37の壁部Wにつながっており、搬送部材44の側部に対向する位置まで円弧を描くように延びている。
案内部材50とトナーホッパ37の壁部Wとの間には、開口56が形成されている。この開口56は、補給口42に対向している。案内部材50の内側の領域(すなわち、案内部材50と壁部Wとの間の領域)には、補給口42から補給部材43によって供給されたトナー35が落下する。この案内部材50の内側の領域は、補給口42から補給されたトナー35が搬送部材44によって搬送される領域(搬送領域)である。
図6および図7は、画像形成ユニット本体10を、それぞれ図3に矢印Aおよび矢印Bで示す方向から見た図である。図6に示すように、案内部材50は、搬送部材44と平行に、すなわち画像形成ユニット11の長手方向(現像ローラ31の軸方向)に延在している。
また、図7に示すように、案内部材50の長手方向の中央部と両端部に、排出口501,502,503が形成されている。排出口501,502,503は、上述した搬送部材44の突起部443,444,445(図5)に対応している。すなわち、搬送部材44の突起部443,444,445により回転方向に送り出されたトナー35が、案内部材50の排出口501,502,503を通過して、後述する残量検知部材45に向かって移動する。
図7において、案内部材50の長さ(両端の排出口502,503を含まない、長手方向寸法)W2は、搬送部材44の螺旋部441,442が形成された領域(図6に示す螺旋部形成領域44S)の長さW1よりも短い。また、搬送部材44の螺旋部形成領域44Sの長手方向両端は、案内部材50の長手方向両端から突出している。さらに、排出口501は、案内部材50の長手方向の略中央(より具体的には、案内部材50の長手方向中心に対して±W2×20%の範囲内)に位置している。
このように構成することで、図8に模式的に示すように、案内部材50の排出口501,502,503から排出されたトナー35が、矢印44C,44Dで示すように、均一に規制部材51(後述)上に堆積する。
図2に戻り、搬送部材44の図中左側で、且つ下方には、トナーホッパ37内のトナー35の残量を検知するための残量検知手段としての残量検知部材45が配置されている。
図9は、残量検知部材45の構成を示す斜視図である。残量検知部材45は、トナーホッパ37の長手方向(現像ローラ31の軸方向)に延在するシャフト450と、このシャフト450の長手方向に沿って取り付けられた板状の羽根部452とを有している。
残量検知部材45のシャフト450の一端には、残量検知部材45を回転させるための回転部材53が配置されている。回転部材53は、後述するモータ62(図9)によって回転駆動される。回転部材53は、残量検知部材45の羽根部452の端部近傍を回転方向に付勢する突起部531を有している。回転部材53が回転し、突起351が羽根部452を回転方向に付勢することにより、残量検知部材45が回転する。
また、残量検知部材45のシャフト450の他端は、トナーホッパ37の壁部を貫通して外側に突出している(図3参照)。シャフト450の当該他端には、被検出体としての反射板451が取り付けられている。反射板451は、シャフト450の回転中心に対して、羽根部452と同じ側に偏心した位置に取り付けられている。
残量検知部材45のシャフト450、羽根部452および反射板451を合わせた全体の重心は、シャフト450の回転中心に対して、羽根部452の先端寄りの位置にある。従って、残量検知部材45は、外力を受けていない状態では、自重により、羽根部452が真下を向く(すなわち、反射板451が下死点に位置する)回転位置にある。
また、残量検知部材45の反射板451には、画像形成ユニット本体10の壁部に取り付けられた残量検知センサ52(図6)が対向している。残量検知センサ52は、発光素子から出射した光の反射光を受光素子で検知する、いわゆる反射センサである。反射板451が所定の回転位置にあるときに、残量検知センサ52が反射板451からの反射光を受光し、これにより、残量検知部材45の回転位置が検出される。
図2に戻り、残量検知部材45の下方には、残量検知部材45の外周に沿うように、突起状の規制部材51が形成されている。規制部材51は、残量検知部材45の底部から側部にかけて、角度90度以上の円弧を描くように延在している。また、規制部材51と残量検知部材45の外周との間には、一定の距離の隙間が形成されている。この規制部材51上にトナー35が堆積し、一時的に保持される。
規制部材51上の領域は、残量検知部材45によってトナー35が撹拌され、後述する方法でトナー残量の検知が行われる領域(検知領域)である。図8を参照して説明したように、案内部材50の排出口501,502,503から排出されたトナー35は、規制部材51上に均一に堆積する。
また、トナーホッパ37内において、供給ローラ33の上側の近傍には、撹拌部材46,47が設けられている。撹拌部材46,47は、例えば、互いに平行に設けられたクランクバーで構成され、同じ方向(矢印46r,47r)に回転することによりトナー35を撹拌する。撹拌部材46,47は、供給ローラ33の近傍のトナー35の凝集を崩すことにより、トナー供給が円滑に行われるようにする作用を有する。
撹拌部材46,47と残量検知部材45とは、上述した規制部材51により隔てられている。これにより、規制部材51上の検知領域に供給されたトナー35には、撹拌部材46,47の回転の影響が及ばないようにしている。そのため、規制部材51上のトナー35は、残量検知部材45の回転のみによって撹拌されることとなる。
図2に戻り、クリーニングブレード39は、感光体ドラム13の表面に当接するように配置された弾性部材である。クリーニングブレード39は、感光体ドラム13上に付着した廃トナーを掻き落す。クリーニングブレード39の下側には、クリーニングブレード39によって掻き落とされた廃トナーを画像形成ユニット11の外部に排出する廃トナー搬送部材40が設けられている。
図10は、各画像形成ユニット11においてトナー補給動作を制御する制御系を示す。制御部60は、各画像形成ユニット11の現像ローラ31、残量検知部材45および搬送部材44を回転させるモータ62と、撹拌部材41および補給部材43を回転させるモータ63とを駆動制御する。
制御部60には、残量検知センサ52からの検知信号が入力される。また、制御部60には、後述する時間情報(閾値)を記憶したメモリ部61が接続されている。制御部60は、後述するように、残量検知センサ52の検知信号に基づき、メモリ部61に記憶された時間情報を参照して、トナーホッパ37内のトナー35の残量が基準量以上か否かを判断する。
次に、本実施の形態における画像形成装置1の全体動作について、図1および図2を参照して説明する。例えばパーソナルコンピュータなどの外部装置(ホスト装置)から印刷命令を受信すると、画像形成動作が開始される。まず、フィードローラ17が回転し、媒体トレイ15から媒体16を一枚ずつ繰り出して、さらに、搬送ローラ対18が回転して、媒体16を転写ベルト19に搬送する。転写ベルト19は、媒体16を静電気力により吸着して、画像形成ユニット11a,11b,11c,11dに沿って搬送する。
図2に示す各画像形成ユニット11では、制御部60が、画像形成動作の開始と同時に、モータ62(図10)を駆動する。これにより、現像ローラ31が矢印31rで示す方向に回転する。また、現像ローラ31からの回転伝達により、感光体ドラム13および供給ローラ33が、それぞれ矢印13r,33rで示す方向に回転する。
同時に、モータ62(図10)の駆動により、撹拌部材46,47も、それぞれ矢印46r,47rで示す方向に回転し、供給ローラ33の周囲のトナー35を撹拌する。
これにより、撹拌部材46,47によって撹拌されたトナー35が、供給ローラ33から現像ローラ31に供給される。現像ローラ31に供給されたトナーは、現像ブレード34によって厚さを規制されてトナー薄層を形成し、摩擦により帯電される。
一方、矢印13rで示す方向に回転する感光体ドラム13の表面は、帯電ローラ32によって一様に帯電されたのち、露光ヘッド14により画像情報に応じて露光される。感光体ドラム13の表面は、露光部分の電位が0V付近まで低下する一方で、非露光部分の電位は低下せず、これにより感光体ドラム13の表面に静電潜像が形成される。感光体ドラム13上の静電潜像には、現像ローラ31上のトナーが付着して、トナー像となる。
感光体ドラム13上のトナー像は、転写ベルト19および転写ローラ12によって媒体16に転写される。また、トナー像が媒体16に転写されたのち、クリーニングブレード39が、感光体ドラム13の表面に残留した廃トナーを掻き落とす。廃トナーは、廃トナー搬送部材40によって画像形成ユニット11の外部に排出される。
トナー像が転写された媒体16は定着ユニット20に搬送されて、熱および圧力により媒体16にトナー像が定着される。そののち、媒体16は、排出ローラ対21,22によって、スタッカ部23に排出される。これにより、媒体16への画像形成が完了する。
図11(A)および(B)は、トナーホッパ37内のトナー35の残量が少ない場合(A)と多い場合(B)の補給部材43、搬送部材44および残量検知部材45の作用を説明するための図であり、図3に矢印Cで示す方向から見た断面図に相当する。図12(A)および(B)は、搬送部材44および残量検知部材45の作用を説明するための図であり、図3に矢印Dで示す方向から見た断面図に相当する。
画像形成ユニット11が画像形成を行っている間は、残量検知部材45が、モータ62により一定速度で回転する回転部材53の突起部531(図12(A))によって付勢されて、矢印45rで示す方向に回転している。
トナー35の残量が少ない状態では、残量検知部材45は、回転範囲の頂点(上死点)を通過すると、回転部材53の突起部531から離れて、自重により落下して最下点(下死点)に到達する。すなわち、回転部材53の突起部531が下死点に到達するよりも前に、残量検知部材45が下死点に到達する。残量検知部材45の反射板451の下死点に対応する位置には、上述した残量検知センサ52が配置されている。制御部60は、残量検知センサ52の検知信号に基づき、残量検知部材45の下死点での滞在時間を計測する。
メモリ部61には、予め設定された設定時間(閾値)Tsが格納されている。制御部60は、残量検知センサ52の検知信号に基づいて計測した残量検知部材45の下死点での滞在時間と、設定時間Tsとを比較する。残量検知部材45の下死点での滞在時間が、設定時間Tsよりも長い場合には、トナー35の残量が基準量よりも少ないと判断する。
そして、残量検知部材45の下死点での滞在時間が設定時間Tsよりも長い場合(すなわち、トナー35の残量が基準量よりも少ない場合)には、制御部60は、モータ63を駆動して、撹拌部材41および補給部材43を回転させる。
図11(B)に示すように、トナー貯蔵容器30内の撹拌部材41は、矢印41rで示す方向に回転し、トナー35を撹拌する。同時に、補給口42内の補給部材43も、矢印43rで示す方向に回転し、補給口42からトナー35をトナーホッパ37に落下させる。
トナーホッパ37内に補給されたトナー35は、案内部材50の内側の領域(搬送領域)に落下する。この領域では、搬送部材44が矢印44rで示す方向に回転し、螺旋部441,442により、トナー35を搬送部材44の長手方向両端に向けて(図7に矢印44A,44Bで示す方向に)搬送する。
図7に示すように、搬送部材44の中央に位置するトナー35は、搬送部材44の中央の突起部443により回転方向に付勢され、案内部材50の中央の排出口501を通って矢印44Cで示す方向(残量検知部材45側)に送り出される。また、搬送部材44の両端まで搬送されたトナー35は、搬送部材44の両端の突起部444,445により回転方向に付勢され、案内部材50の両端の排出口502,503を通って矢印44Dで示す方向(残量検知部材45側)に送り出される。
案内部材50の排出口501,502,503から送り出されたトナー35は、図11(B)および図12(B)に符号35Bで示すように、規制部材51上に堆積し、残量検知部材45によって撹拌されることにより、残量検知部材45の長手方向(すなわちトナーホッパ37の長手方向)に均一に堆積する。図11(B)では、トナー35の流れを、矢印35Cとして示している。
残量検知部材45が回転している間、制御部60は、継続的に、残量検知センサ52の検知信号に基づき残量検知部材45の下死点での滞在時間を計測し、設定時間Tsとの比較を行う。
図12(B)に示すように、トナー35の残量が増加すると、残量検知部材45が規制部材51上に堆積したトナー35から受ける抵抗が大きくなる。トナー35の残量が一定量(基準量)を超えると、残量検知部材45は自重落下せずに、回転部材53の突起部531に付勢されながら一定速度で回転するようになる。そのため、残量検知部材45は、下死点には突起部531とほぼ同時に到達することとなり、下死点における滞在時間は設定時間Tsよりも短くなる。
残量検知部材45の下死点での滞在時間が設定時間Tsよりも短くなった場合(すなわち、トナー35の残量が基準量に達した場合)には、制御部60は、モータ63を停止して、撹拌部材41および補給部材43の回転を停止する。すなわち、トナーホッパ37へのトナーの補給を停止する。
図13は、トナー補給動作を示すタイミングチャートである。図13に示すように、制御部60は、現像ローラ31、残量検知部材45および搬送部材44を互いに同期させて回転させる。すなわち、制御部60は、各媒体16への画像形成動作の開始時に、現像ローラ31、残量検知部材45および搬送部材44の回転を開始し、当該画像形成動作の終了時に、現像ローラ31、残量検知部材45および搬送部材44の回転を停止する。
制御部60は、また、上述したトナー35の残量の検知結果に基づき、補給部材43および撹拌部材41を同期して回転させる。すなわち、トナー35の残量が基準量よりも少ない場合には、補給部材43および撹拌部材41の回転を開始し、トナー35の残量が基準量に達した場合には、補給部材43および撹拌部材41の回転を停止する。
同期して駆動される現像ローラ31、残量検知部材45および搬送部材44(グループS1)は、共通の駆動源(ここではモータ62)により駆動することができる。同様に、同期して駆動される補給部材43および撹拌部材41(グループS2)は、共通の駆動源(ここではモータ63)により駆動することができる。
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、トナーホッパ37内におけるトナー35の残量が基準量よりも少ない場合にのみ、トナー貯蔵容器30からトナーホッパ37にトナー35を供給する。そのため、トナーホッパ37内にトナー35が長期間に亘って停留する(すなわち、長期間に亘って撹拌部材46,47に撹拌される)ことによるトナーの劣化を抑制することができる。その結果、トナーの劣化による画像品位の低下を防止し、長期間に亘って良好な画像品位を維持することができる。
また、補給口42からトナーホッパ37に補給されたトナー35を、搬送部材44が、トナーホッパ37の長手方向に搬送し、さらに残量検知部材45により撹拌して均一化するため、トナーホッパ37の長手方向(すなわち残量検知部材45の長手方向)におけるトナー分布に偏りがなくなる。
また、案内部材50の排出口501,502,503から、残量検知部材45の周囲の検知領域(規制部材51上の領域)にトナー35が均等に送り出されるため、残量検知部材45の長手方向にトナー35を均一に堆積させることができ、トナー35の残量を正確に検知することができる。
また、残量検知部材45と撹拌部材46,47とが、規制部材51によって隔てられているため、撹拌部材46,47による撹拌の影響を排除して、トナー35の残量を正確に検知することができる。
また、残量検知部材45の周囲の検知領域のトナー35は、撹拌部材46,47の周囲のトナー35が消費されるまで規制部材51上で保持されるため、トナー35が撹拌部材46,47に長期間に亘って撹拌されることを防止することができる。これにより、トナー35の劣化をより確実に防止することができる。
第2の実施の形態
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では、トナー補給動作の制御系および動作タイミングが、第1の実施の形態と異なる。図14は、第2の実施の形態においてトナー補給動作を制御する制御系を示す。図15は、第2の実施の形態におけるトナー補給動作を示すタイミングチャートである。
第2の実施の形態では、図14に示すように、現像ローラ31および残量検知部材45が、互いに同期して駆動されるグループS1を構成している。また、撹拌部材41、補給部材43および搬送部材44が、互いに同期して駆動されるグループS2を構成している。
また、図15に示すように、制御部60は、各媒体16への画像形成動作の開始時に、現像ローラ31および残量検知部材45の回転を開始し、当該画像形成動作の終了時に、現像ローラ31および残量検知部材45の回転を停止する。
制御部60は、また、第1の実施の形態で説明したトナー35の残量の検知結果に基づき、撹拌部材41、補給部材43および搬送部材44を同期して動作させる。すなわち、トナー35の残量が基準量よりも少ない場合には、撹拌部材41、補給部材43および搬送部材44の回転を開始する。また、トナー35の残量が基準量に達した場合には、撹拌部材41、補給部材43および搬送部材44の回転を停止する。
同期して駆動される現像ローラ31および残量検知部材45(グループS1)は、共通の駆動源(ここではモータ62)で駆動することができる。また、同期して駆動される撹拌部材41、補給部材43および搬送部材44(グループS2)は、共通の駆動源(ここではモータ63)で駆動することができる。
上述した第1の実施の形態では、現像ローラ31と搬送部材44とが同期して駆動されるため、補給部材43の停止後も搬送部材44は回転を続ける。そのため、補給部材43の停止後、案内部材50の内側の搬送領域内のトナー35は、排出口501〜503からほぼ全て送り出される。従って、その後に補給部材43により補給されたトナー35は、まず搬送部材44によって長手方向中央部から両端部まで搬送され、その後、排出口502,503から残量検知部材45側に送り出される。そのため、補給されたトナー35が、残量検知部材45の周囲の検知領域に到達するまでに時間がかかる。
これに対し、この第2の実施の形態では、補給部材43と搬送部材44の駆動タイミングを同期させているため、補給部材43が停止すると搬送部材44も停止する。そのため、補給部材43の停止後は、案内部材50の内側の搬送領域内にトナー35が停留する。従ってその後に補給部材43が駆動されると、補給部材43の駆動開始とほぼ同時に排出口502,503からトナー35が残量検知部材45側に送り出される。その結果、補給されたトナー35が、短い時間で残量検知部材45の周囲の検知領域に到達する。
そのため、この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態で説明した効果に加えて、例えば、搬送部材44や残量検知部材45の大きさが小さい場合、あるいはトナー35の粘性が(周辺環境や製造ばらつきにより)高い場合など、トナー35の撹拌による均一化に比較的時間がかかる場合であっても、残量検知部材45の撹拌をより早く開始することで、トナー35を均一に堆積させるのに要する時間を短縮することができる。すなわち、良好な画像品位の維持に資することができる。
変形例.
上記の第1および第2の実施の形態では、図2に示したように、補給口42および補給部材43は、現像ローラ31よりも上方に設置されている。しかしながら、例えば図16に示すように、補給口42および補給部材43を、現像ローラ31に対して略水平位置に配置してもよい。
図16に示した構成例においても、補給口42からトナーホッパ37に補給されたトナー35は、案内部材50の内側の搬送領域で搬送部材44によって搬送され、残量検知部材45の周囲の検知領域に到達する。トナー35の残量検知は、第1の実施の形態で説明したように行われる。
また、トナーホッパ37内では、トナー35が撹拌部材46,47によって撹拌され、供給ローラ33によって現像ローラ31に供給され、感光体ドラム13上の静電潜像の現像に用いられる。なお、残量検知部材45と撹拌部材46,47とを隔てる規制部材51(図2参照)を設けてもよい。
第3の実施の形態.
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図17は、画像形成ユニット11の構成を示す側断面図である。図18は、画像形成ユニット本体10の構成を示す斜視図であり、一部を切り欠いて示している。図19および図20は、画像形成ユニット本体10を、それぞれ図18に矢印Aおよび矢印Bで示す方向から見た図である。
上述した第1の実施の形態では、案内部材50は一定の高さを有し、中央部と両端部に排出口501,502,503を有していた(図7参照)。これに対し、この第3の実施の形態では、図18および図20に示すように、案内部材50は、長手方向における中央部で高さが高く、端部に向かって高さが徐々に低くなる形状を有している。
すなわち、第3の実施の形態における案内部材50は、その高さの低い部分をトナー35が乗り越えるように構成されている。なお、第3の実施の形態における案内部材50には、第1の実施の形態で説明した中央の排出口501(図7)は設けられていない。
また、上述した第1の実施の形態では、搬送部材44の軸方向両端に突起部444,445が設けられていたが(図5参照)、この第3の実施の形態では、図19に示すように、搬送部材44の螺旋部441,442が軸方向両端まで続いている。
また、上述した第1の実施の形態では、補給部材43によって供給されたトナー35のほぼ全てが案内部材50の内側の領域(搬送領域)に落下するように構成されていた(図2参照)。これに対し、この第3の実施の形態では、図17に示すように、補給部材43によって供給されたトナー35の一部が、案内部材50の内側の領域(搬送領域)に落下し、他の一部が、残量検知部材45の周囲の領域(検知領域)に落下するように構成されている。
そのため、案内部材50は、補給部材43のほぼ真下に配置されている。また、搬送部材44は、補給部材43の直下から水平方向にシフトした位置に配置されている。案内部材50とトナーホッパ37の上面58とにより開口57が形成され、この開口57が補給部材43に向かって開口している。
上述したように、案内部材50は中央部から端部に向かって高さが低くなる傾斜を有している。そのため、補給部材43によって補給されたトナー35のうち、案内部材50の内側の搬送領域に落下し、搬送部材44によって長手方向両端に搬送されたトナー35は、案内部材50の高さの低い部分を乗り越えて、残量検知部材45の周囲の検知領域(規制部材51上の領域)に落下する。
また、補給部材43から補給されたトナー35のうち、案内部材50の内側の搬送領域に落下しなかったトナー35は、残量検知部材45の周囲の検知領域の長手方向中央部に落下する。案内部材50の傾斜は、このようにして残量検知部材45の周囲(規制部材51上)の検知領域に堆積するトナー35が、残量検知部材45の長手方向に亘って均一に堆積するような角度に設定されている。
図21(A)および(B)は、トナーホッパ37内のトナーの残量が少ない場合(A)と多い場合(B)の補給部材43、搬送部材44および残量検知部材45の作用を説明するための図であり、図18に矢印Cで示す方向から見た断面図に相当する。図22(A)および(B)は、搬送部材44および残量検知部材45の作用を説明するための図であり、図18に矢印Dで示す方向から見た断面図に相当する。
残量検知部材45による残量検知方法は、第1の実施の形態で説明したとおりである。図21(A)および図22(A)に示すように、トナー35の残量が基準量よりも少ない場合(残量検知部材45の下死点での滞在時間が設定時間Tsよりも長い場合)には、制御部60が、モータ63(図10)を駆動して撹拌部材41および補給部材43を回転させる。
図22(B)および図22(B)に示すように、補給部材43によりトナーホッパ37内に補給されたトナー35の一部は、案内部材50の内側の搬送領域に落下する。この領域では、搬送部材44が矢印44rで示す方向に回転し、螺旋部441,442により、搬送部材44の軸方向両端に向けてトナー35を搬送する。搬送部材44によって長手方向両端に向けて搬送されたトナー35は、案内部材50の高さの低い部分を乗り越えて、残量検知部材45の周囲の検知領域に落下する。このときのトナー35の一連の流れの方向を、図21(B)に矢印35Cで示す。
また、補給部材43によりトナーホッパ37内に補給されたトナー35のうち、案内部材50の内側の搬送領域に落下しなかったトナー35は、残量検知部材45の周囲(規制部材51上)の検知領域の長手方向中央部に落下する。
これにより、残量検知部材45の周囲の検知領域には、長手方向に亘って均一にトナー35が堆積する。また、残量検知部材45がトナー35を撹拌することにより、トナー35をさらに均一に堆積させることができる。
トナー35の残量が一定量(基準量)を超えると、制御部60が、撹拌部材41、補給部材43、搬送部材44の回転を停止し、トナー35の補給動作を完了する。
この第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様、トナーホッパ37内のトナー35の残量が基準量よりも少ない場合に、トナー貯蔵容器30からトナーホッパ37にトナー35が供給される。そのため、トナーホッパ37内にトナー35が長期間に亘って停留することを防止し、トナーの劣化と、これに伴う画像品位の低下を防止する。これにより、長期間に亘って良好な画像品位を維持することができる。
加えて、案内部材50が、中央から端部にかけて高さが低くなる形状を有しているため、補給部材43から残量検知部材45の周囲の検知領域に落下するトナーと、搬送部材44により搬送されて案内部材50の高さの低い部分を乗り越えて残量検知部材45の周囲の検知領域に搬送されるトナーとを、トナーホッパ37の長手方向に均一に堆積させることができる。従って、トナー残量の検知精度を向上することができる。
また、第1の実施の形態と同様、残量検知部材45と撹拌部材46,47が規制部材51により隔てられているため、撹拌部材46,47による撹拌の影響を排除して、トナー35の残量を正確に検知することができる。また、残量検知部材45の周囲の領域のトナー35は、撹拌部材46,47の周囲のトナー35が消費されるまで規制部材51上で保持されるため、トナー35が撹拌部材46,47に長期間に亘って撹拌されることを防止することができる。これにより、トナー35の劣化をより確実に防止することができる。
第4の実施の形態.
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態は、搬送部材54の形状が、上述した第3の実施の形態と異なるものである。
図23は、第4の実施の形態における搬送部材54の形状を示す斜視図である。上述した第3の実施の形態の搬送部材44(図19)は、軸方向の中央部から端部にかけて、螺旋部441,442が延在する形状を有していた。これに対し、この第4の実施の形態の搬送部材54は、図23に示すように、螺旋部541,542に加えて、軸方向に延在する突起部543,544をそれぞれ複数有している。
突起部543,544は、搬送部材54の軸方向の中央域には形成されておらず、両端から所定範囲の領域に形成されている。また、突起部544は、螺旋部541に連続して形成され、突起部545は、螺旋部542に連続して形成されている。
案内部材50(図20参照)は、第3の実施の形態で説明したように、中央部から端部にかけて高さが低くなる形状を有している。搬送部材54が搬送したトナー35は、案内部材50を乗り越えて残量検知部材45の周囲の領域(規制部材51上の領域)に落下する。このとき、搬送部材54は、軸方向に延在する突起部543,544を有しているため、搬送部材55の回転により、回転方向の力をトナー35に与える。これにより、トナー35が案内部材50を乗り越え易くなる。
第4の実施の形態の搬送部材54は、トナー35の流動性が低い場合に、特に効果を発揮する。すなわち、トナー35の流動性が低い場合には、搬送部材54によって半径方向に飛ばされるトナー35の量が減少するため、トナー35を搬送部材54の軸方向に均一に堆積させることが難しくなる。これに対し、第4の実施の形態の搬送部材54は、その突起部543,544によってトナー35に半径方向の力を与えるため、トナー35が案内部材50を乗り越え易くなる。そのため、トナー35の流動性が低い場合であっても、トナー35を均一に堆積させることができる。
上記の各実施の形態は、適宜変形が可能である。例えば、図16に示した第1および第2の実施の形態の変形例は、第3、第4の実施の形態に適用することも可能である。
また、上述した各実施の形態では、画像形成装置としてのカラープリンタに用いる画像形成ユニットについて説明したが、本発明は、例えば、複写機、LEDプリンタ、レーザービームプリンタ、ファクシミリ、MFP(Multifunction Periphral)等にも適用することができる。