JP5827159B2 - 防火防煙区画形成設備 - Google Patents

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Description

本発明は、水幕によって防火防煙区画を形成する防火防煙区画形成設備に関する。
火災発生時には、延焼や煙の拡散を防ぐことが重要である。そして、従来、火災発生時に延焼や煙(煙等の有害物質)の拡散を防ぐための防火防煙区画形成設備の一つとして、火災検知器等で火災の発生を検知するとともに噴出ヘッドから水を噴霧させて水幕(ウォータースクリーン)を形成し、この水幕で防火防煙区画を形成することによって延焼や煙の拡散を防ぐように構成したものが提案、実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
また、この種の防火防煙区画形成設備では、例えば、天井面や側壁面に複数の噴出ヘッドを列状に配置し、各噴出ヘッドから平均粒子径が30〜500μmの微細な水粒子を散布して水幕を形成するように構成されている。
特許第4360536号公報
ここで、上記の防火防煙区画形成設備においては、火災発生時に人が水幕を抜けて容易に避難できるという大きな利点を有している。また、火炎や輻射熱を水幕で遮断し、例えば700℃の熱気流の温度を80℃程度まで低下させることができ、延焼を防止することができる。
一方、上記の防火防煙区画形成設備においては、水幕が、煙を封じ込める効果と、水幕の水粒子で煙粒子(煙、有害物質)を捕捉し、水粒子とともに煙粒子を落下させて空気中から除去する効果を発揮し、例えば、1重の水幕を形成した場合には、設備がない場合と比較して煙量を20%以下に低減できることが確認されている。しかしながら、この種の防火防煙区画形成設備は、火災発生時に延焼を防ぐとともに、煙の拡散を防いで人の避難路を確保するという重要な役割を担っているため、さらなる防煙性能の向上を図ることが強く求められていた。
本発明は、上記事情に鑑み、優れた防火性能に加え、優れた防煙性能を発揮する水幕を形成することを可能にした防火防煙区画形成設備を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の防火防煙区画形成設備は、所定の間隔をあけて列状に配置した複数の噴出ヘッドを備え、前記噴出ヘッドから噴出した水粒子によって形成される水幕によって防火防煙区画を形成する防火防煙区画形成設備であって、少なくとも一部の前記噴出ヘッドが、水粒子を生成し、該水粒子を誘導帯電方式で帯電させて帯電水粒子を生成しつつ噴出する帯電水粒子噴出ヘッドであることを特徴とする。
この発明においては、帯電水粒子噴出ヘッドから帯電水粒子が噴出され、この帯電水粒子を含む水幕を形成することができる。そして、このように形成した水幕で防火防煙区画を形成すると、火災発生時に煙(煙を含む有害物質)が水幕を通過する際に、煙粒子が帯電水粒子に電気的に吸着して捕捉され、この煙粒子を帯電水粒子とともに落下させて空気中から除去することが可能になる。
また、本発明の防火防煙区画形成設備においては、前記噴出ヘッドとして、帯電していない水粒子を噴出して前記水幕を形成する水幕用噴出ヘッドと、前記帯電水粒子噴出ヘッドとを備え、複数の前記水幕用噴出ヘッドでそれぞれ形成された水幕のつなぎ部分に前記帯電水粒子を噴出するように、隣り合う前記水幕用噴出ヘッドの間に前記帯電水粒子噴出ヘッドが配設されていることが望ましい。
この発明においては、複数の水幕用噴出ヘッドから噴出した水粒子で水幕を形成するとともに、隣り合う水幕用噴出ヘッドの間に帯電水粒子噴出ヘッドを配設し、水幕のつなぎ部分(境界部分)に帯電水粒子を噴出して水幕を形成することができる。これにより、より効果的に、煙粒子を帯電水粒子で捕捉して空気中から除去することができ、水幕の防煙性能を高めることが可能になる。
さらに、本発明の防火防煙区画形成設備においては、前記帯電水粒子噴出ヘッドが、加圧供給された水を噴出しつつ前記水粒子を生成する噴出ノズル部と、所定の電圧が印加されて所定の電界を形成し、前記噴出ノズル部で生成した前記水粒子を前記電界によって帯電させて前記帯電水粒子にする誘導電極部と、前記誘導電極部に印加する電圧の基準電位を与える水側電極部とを備えて構成されていることがより望ましい。
この発明においては、帯電水粒子噴出ヘッドの噴出ノズル部で生成した水粒子を誘導電極部によって形成された電界によって帯電させることができ、容易に且つ確実に帯電水粒子を生成して噴出させることができる。
また、帯電水粒子噴出ヘッドを複数備えた場合、基準電位を与える水側電極部を複数の帯電水粒子噴出ヘッドで共通の1つにすることも考えられるが、このように複数の帯電水粒子噴出ヘッドで水側電極部を供用すると、各帯電水粒子噴出ヘッドで生成される帯電水粒子(帯電水粒子群)の帯電効率が低下してしまう。
これに対し、この発明のように、各帯電水粒子噴出ヘッドが水側電極部を備えて構成されていると、確実に所望の比電荷の帯電水粒子を生成することができ、これにより、確実且つ効率的に、煙粒子を帯電水粒子で捕捉して除去することが可能になる。
また、本発明の防火防煙区画形成設備において、前記帯電水粒子噴出ヘッドは、粒径が100〜300μmの前記水粒子を生成するように構成されていることがさらに望ましい。
ここで、帯電水粒子噴出ヘッドで生成する水粒子の粒径が100μmよりも小さいと、この水粒子を帯電させた後の帯電水粒子が蒸発しやすくなり、煙粒子の除去効果が発揮されなくなってしまう。また、生成する水粒子の粒径が300μmよりも大きいと、帯電水粒子噴出ヘッドで水粒子を帯電させて生成し噴出する帯電水粒子の数が少なくなってしまい、やはり、煙粒子の除去効果が十分に発揮されなくなってしまう。
そして、この発明においては、帯電水粒子噴出ヘッドによって粒径が100〜300μmの水粒子を生成することで、ひいては、粒径が300μm以下であってクーロン力の作用によりさらに細かく分裂した様々な粒子径の帯電水粒子が生成されることで、さらに確実且つ効果的に、煙粒子を除去することが可能になる。
また、本発明の防火防煙区画形成設備においては、所定の電圧が印加されて所定の電界を形成し、前記水粒子を前記電界によって帯電させて前記帯電水粒子にするための前記帯電水粒子噴出ヘッドの誘導電極部が電極を絶縁被覆して形成されていることがより望ましい。
この発明においては、水粒子を帯電させるために高電圧が印加される誘導電極部を、電極を絶縁被覆して形成することで、電気的短絡や放電の発生を防止することができる。
さらに、本発明の防火防煙区画形成設備においては、複数の帯電水粒子噴出ヘッドを備え、所定の電圧が印加されて所定の電界を形成し、前記水粒子を前記電界によって帯電させて前記帯電水粒子にするための各帯電水粒子噴出ヘッドの誘導電極部と、前記誘導電極部に所定の電圧を印加するための電源とを繋ぐ複数の電圧印加用ラインにそれぞれ、電流制限手段が設けられていることが望ましい。
この発明においては、複数の帯電水粒子噴出ヘッドを備えた場合に、1つの電源によって複数の帯電水粒子噴出ヘッドの誘導電極部に電圧を印加することが合理的である。そして、この場合には、例えば1つの帯電水粒子噴出ヘッド側で短絡が発生すると、他の帯電水粒子噴出ヘッド側にも短絡の影響が及ぶ。これに対し、この発明のように、複数の帯電水粒子噴出ヘッドの誘導電極部と電源とを繋ぐ複数の電圧印加用ラインにそれぞれ、電流制限手段を設けておくと、1つの帯電水粒子噴出ヘッドで短絡が発生しても、他の帯電水粒子噴出ヘッドに流れる電流が制限され、他の帯電水粒子噴出ヘッドに短絡の影響が及ぶことを防ぐことができる。
また、本発明の防火防煙区画形成設備においては、前記帯電水粒子噴出ヘッドが1〜2L/minの前記帯電水粒子を生成することがより望ましい。
この発明においては、帯電水粒子噴出ヘッドによって1〜2L/minの帯電水粒子を生成することで、ある程度必要な帯電水粒子の給水量(散布水量)を確保しつつ、0.1mC/kg以上の高比電荷の帯電水粒子を安定的に生成することができ、確実且つ効果的に、煙粒子を捕捉して除去することが可能になる。
さらに、本発明の防火防煙区画形成設備においては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス、琺瑯の少なくとも1種の絶縁材で前記電極を絶縁被覆して前記帯電水粒子噴出ヘッドの誘導電極部が形成されていることが望ましい。
この発明においては、水粒子を帯電させるための誘導電極部の電極を絶縁被覆する絶縁材として、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス、琺瑯を用いることにより、絶縁被覆していない電極によって生成した帯電水粒子に対し、同等あるいはそれ以上の比電荷の帯電水粒子を生成することが可能になる。
本発明の防火防煙区画形成設備においては、帯電水粒子噴出ヘッドから帯電水粒子が噴出され、この帯電水粒子を含む水幕を形成することができる。そして、このように形成した水幕で防火防煙区画を形成すると、火災発生時に煙が水幕を通過する際に、煙粒子が帯電水粒子に電気的に吸着して捕捉され、この煙粒子を帯電水粒子とともに落下させて空気中から除去することができる。
これにより、優れた防火性能を発揮することに加え、単に水粒子で水幕を形成した場合と比較して煙粒子をより効果的に捕捉し除去することができ、優れた防煙性能を発揮する水幕を形成することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備を示す図であり、トンネルを上方から見た状態の図である。 図1のX1−X1線矢視図である。 図1のX2−X2線矢視図である。 本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備の帯電水粒子噴出ヘッド示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備の帯電水粒子噴出ヘッド示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備の帯電水粒子噴出ヘッドの電気系統を示す図である。 本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備の帯電水粒子噴出ヘッドの散布量と帯電水粒子の比電荷の関係を示す図である。 本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備において、噴出パターンがフルコーン型の噴出ヘッドを備えた場合の水幕の形成状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備において、噴出パターンがホローコーン型の噴出ヘッドを備えた場合の水幕の形成状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備において、噴出パターンがフラット型の噴出ヘッドを備えた場合の水幕の形成状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備の変更例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備の変更例を示す図である。
以下、図1から図7を参照し、本発明の一実施形態に係る防火防煙区画形成設備について説明する。ここで、本実施形態は、例えば自動車専用の道路トンネルに設けられ、このトンネルで自動車事故などによって火災が発生した際に、延焼や煙(煙等の有害物質)の拡散を防止するための防火防煙区画形成設備に関するものである。なお、本発明の防火防煙区画形成設備は、トンネルに設けることに限定する必要はなく、火災発生時に熱、火炎、煙などを遮断して防火防煙区画を形成することが求められる他の場所に適用してもよい。
はじめに、本実施形態の防火防煙区画形成設備1は、図1及び図2に示すように、トンネル2の軸O1方向(延設方向)に、例えば50m毎など、予め設定した間隔毎の防火防煙区画A〜Eを形成するように構成されている。
そして、この防火防煙区画形成設備1においては、各防火防煙区画A〜Eの境界部のトンネル周方向に複数の噴出ヘッド3を列状に配置して構成されている。また、複数の噴出ヘッド3は、各境界部のトンネルアーチ部(や側壁部)に取り付けられ、トンネル周方向に所定の間隔をあけて列状に配設されている。
さらに、本実施形態の防火防煙区画形成設備1では、図1から図3に示すように、噴出ヘッド3として、単なる水粒子(帯電していない水粒子4a)を噴出して水幕4を形成する水幕用噴出ヘッド5と、水粒子を生成し、この水粒子を誘導帯電方式で帯電させて帯電水粒子6aを生成しつつ噴出して水幕6を形成する帯電水粒子噴出ヘッド7とを備えている。そして、本実施形態では、水幕用噴出ヘッド5と帯電水粒子噴出ヘッド7が下方の路面8側に噴出口を向け、トンネル周方向に交互に配設されている。すなわち、トンネル周方向に隣り合う水幕用噴出ヘッド5の間に帯電水粒子噴出ヘッド7が配設されている。このとき、帯電水粒子噴出ヘッド7は、水幕用噴出ヘッド5で形成される水幕4のつなぎ部分(境界部分)に帯電水粒子6aを噴出し、水幕用噴出ヘッド5から噴出した水粒子4aとともに帯電水粒子6aを含む一連の水幕4、6を形成できるように配設されている。なお、例えば、隣り合う水幕用噴出ヘッド5の間に帯電水粒子噴出ヘッド7を複数配設するようにしてもよい。
また、水幕用噴出ヘッド5と帯電水粒子噴出ヘッド7にはそれぞれ、給水本管10から分岐された分岐管11が接続されている。これにより、水幕用噴出ヘッド5と帯電水粒子噴出ヘッド7がそれぞれ、給水本管10、分岐管11を通じて消火用水(水W)が供給されて水粒子4a、帯電水粒子6aを生成し噴出するように構成されている。さらに、このとき、分岐管11は、制御弁12を介して給水本管10に接続されている。また、給水本管10には、給水ポンプ13が設けられ、制御装置14がこの給水ポンプ13の駆動、制御弁12の開閉を制御し、水源水槽15からの水Wを給水本管10、分岐管11を通じて、各噴出ヘッド3(5、7)に供給する。
また、本実施形態では、水幕用噴出ヘッド5と帯電水粒子噴出ヘッド7の各噴出ヘッド3をトンネル周方向に列状に配設してなるヘッド列を境界部分として、トンネル2の軸O1方向に複数の防火防煙区画A〜Eが形成され、各防火防煙区画A〜Eに火災検出装置16が設置されている。そして、制御装置14は、トンネル2内で火災が発生した時に、火災が発生した区画の両側の区画境界に位置するヘッド列の制御弁12を開制御して各噴出ヘッド3(5、7)からの水Wを噴出させて水幕4、6を形成する。
また、火災発生時の制御装置14の起動は、火災検出装置16からの火災検出信号に基づいた自動起動であってもよいし、火災発生現場に設置している手動起動装置からの起動信号による起動制御であってもよい。なお、このような火災検出装置16としては、トンネル2内の火災の赤外放射を検出する赤外線式火災検出装置、トンネル2内の火災の温度を検出する半導体式温度検出装置あるいは光ファイバー式温度検出装置を用いることができ、さらにこれら各種の火災検出装置16の組み合わせであってもよい。
また、本実施形態のような自動車専用トンネル2では、通常、トンネル2内で発生した火災を抑制消火するため水噴霧設備が設置されている。この水噴霧設備は区画A〜Eのそれぞれに設置した水噴霧ヘッド20を備えており、この水噴霧ヘッド20にポンプ13からの給水本管10を分岐接続している。このため、本実施形態では、防火防煙のための水幕用噴出ヘッド5、帯電水粒子噴出ヘッド7を備えた分岐管11を水噴霧設備の給水本管10に接続して兼用設備としている。
一方、本実施形態の帯電水粒子噴出ヘッド7は、図4及び図5に示すように、噴出ノズル部21と誘導電極部22と水側電極部23とを備えて構成されている。
本実施形態の誘導電極部22は、導電性を有する金属などの部材(電極22a)を絶縁材22bで絶縁被覆して形成したものであり、リング状の電極本体部24と、この電極本体部24に一端を接続した棒状の連結部25とを備えて形成されている。また、誘導電極部22は、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス(アルミナセラミックス)、ガラス琺瑯の少なくとも1種を絶縁材22bに用いて形成されている。
水側電極部23は、導電性を有する金属などの部材(電極23a)を用いて形成され、且つ本実施形態では、円筒状に形成されている。
ここで、誘導電極部22や水側電極部23は、導電性を有する部材22a、23aとして、金属以外に、導電性を有する樹脂、繊維束、ゴムなどを用いて形成されていてもよく、また、これらを組み合わせた複合体を用いて形成されていてもよい。
次に、噴出ノズル部21は、第1流路形成用部材26と第2流路形成用部材27と噴出ノズル29と噴出ノズル取付用部材30とを分離可能に一体に組み付けて形成されている。
第1流路形成用部材26は、例えば塩化ビニル樹脂などの絶縁材(非導電性材)を用い、略円盤状に形成されている。また、その中央に中心軸線O2方向に延びて貫通する断面円形の水流通孔31を備えて形成されている。さらに、第1流路形成用部材26は、一面26a側の中央に、一面26aから中心軸線O2方向外側に突出する円筒状の配管接続部32が設けられ、この配管接続部32の内孔に連通して水流通孔31が配管接続部32の突端に開口形成されている。
さらに、第1流路形成用部材26は、他面26b側の水流通孔31が配管接続部32側よりも大径で形成され、この大径部分が水側電極保持部33とされている。また、第1流路形成用部材26の水流通孔31の水側電極保持部33には、内面から径方向外側に凹み、周方向に延びる環状のシール材取付用凹部34が形成されている。さらに、第1流路形成用部材26には、水流通孔31を挟んで両外周縁側にそれぞれ、一面26aから他面26bに貫通するネジボルト挿通孔35が形成されている。
第2流路形成用部材27は、第1流路形成用部材26と同様に、例えば塩化ビニル樹脂などの絶縁材を用い、略円盤状に形成されるとともに、その中央に中心軸線O3方向に延びて貫通する断面円形の水流通孔31を備えて形成されている。一方、第2流路形成用部材27は、第1流路形成用部材26よりも大径で形成され、第1流路形成用部材26が接する一面27aと反対の他面27b側の中央に、この他面27bから中心軸線O3方向外側に突出する円筒状の噴出ノズル取付部36が設けられている。そして、この噴出ノズル取付部36の内孔に連通して水流通孔31が噴出ノズル取付部36の突端に開口形成されている。また、噴出ノズル取付部36は、外周面に雄ネジ37の螺刻が施されている。
さらに、第2流路形成用部材27は、一面27a側の水流通孔31が噴出ノズル取付部36側よりも大径で形成され、この大径部分が水側電極保持部38とされている。また、第2流路形成用部材27の水側電極保持部38は、第1流路形成用部材26の水側電極保持部33と同径で形成されるとともに、内面から径方向外側に凹み、周方向に延びる環状のシール材取付用凹部39を備えて形成されている。また、第2流路形成用部材27は、一面27aから他面27b側に向けて凹み、中心軸線O3を中心として周方向に延びる環状のシール材取付用凹部40を備えて形成されている。さらに、第2流路形成用部材27には、水流通孔31を挟んで両外周縁側にそれぞれ、一面27aから他面27b側に向けて凹む雌ネジ孔41が形成されている。また、外周縁側に一面27aから他面27bに貫通し、誘導電極部22の連結部25を挿通するための誘導電極挿通孔42が形成されている。
さらに、第2流路形成用部材27には、誘導電極部22を固定支持するための電極固定部45が着脱可能に取り付けて具備されている。本実施形態において、この電極固定部45は、例えば塩化ビニル樹脂などの絶縁材を用いて略L字状に形成され、第2流路形成用部材27の他面27bに一端を接続し、他端を中心軸線O3側に向けて配設されている。また、本実施形態では、3つの電極固定部45が第2流路形成用部材27に取り付けられており、これら電極固定部45は、第2流路形成用部材27の中心軸線O3を中心として周方向に等間隔で配設されている。また、各電極固定部45は、他端に誘導電極部22の電極本体部24を係合させて保持するための係合凹部45aが形成されている。
噴出ノズル29は、略円盤状に形成されるとともに、中央に水Wが流通するとともに先端から霧状に噴出させるためのノズル孔29aが形成されている。また、噴出ノズル29は、後端側に外面から径方向外側に突出し、周方向に延びて環状に繋がるフランジ部29bが設けられている。
ここで、例えば、本実施形態の噴出ノズル29では、図5に示すように、ノズル孔29aに加圧供給された水(消火用水)Wが流通すると、先端側から水Wが旋回しながら噴出する。そして、ノズル孔29aから外側に略棒状を呈するように噴出した水Wが、旋回の運動エネルギーによって徐々にラッパ状に拡がってゆき、水Wの噴出中心軸O4方向のある位置で分裂して水粒子(水粒子群)6bとなる。これにより、噴出ノズル29から水Wが霧状に噴出する。そして、本実施形態では、旋回の運動エネルギーによって水Wが分裂して水粒子6bとなる位置が分裂帯電部Sとされている。
次に、噴出ノズル取付用部材30は、略円筒状に形成され、先端側の内孔の径を噴出ノズル29の外径と略同等にし、後端側の内孔の径を第2流路形成用部材27の噴出ノズル取付部36の外径と略同等にして形成されている。また、噴出ノズル取付用部材30は、後端側の内孔の内面に雌ネジ46の螺刻が施されている。
そして、本実施形態の帯電水粒子噴出ヘッド7を一体に組み付けて形成する際には、まず、第1流路形成用部材26と第2流路形成用部材27のシール材取付用凹部34、39、40にOリング(シール材)47を嵌め込んで取り付けるとともに、円筒状の水側電極部23の一端部側を第2流路形成用部材27の水側電極保持部38に嵌合させる。
次に、第1流路形成用部材26の水側電極保持部33に水側電極部23の他端部側を嵌合させながら、第1流路形成用部材26の他面26bと第2流路形成用部材27の一面27aとが面接触するように、且つ互いの中心軸線O2、O3が同軸上に配されるように、第1流路形成用部材26を取り付ける。そして、このように第1流路形成用部材26と第2流路形成用部材27を配置すると、第1流路形成用部材26のネジボルト挿通孔35と第2流路形成用部材27の雌ネジ孔41が連通する。このネジボルト挿通孔35に挿通しつつネジボルト(不図示)を雌ネジ孔41に螺合させて締結することで、第1流路形成用部材26と第2流路形成用部材27とが分離可能に一体となる。これにより、第1流路形成用部材26の配管接続部32の端面から第2流路形成用部材27の噴出ノズル取付部36の端面に連通する水流通孔(水流通路)31が形成され、この水流通孔31内の所定位置に水側電極部23が配設される。
次に、第2流路形成用部材27の噴出ノズル取付部36の雄ネジ37に、後端側の雌ネジ46を螺合させて噴出ノズル取付用部材30を第2流路形成用部材27の噴出ノズル取付部36に取り付ける。このとき、噴出ノズル取付用部材30の先端面に開口する内孔に噴出ノズル29を嵌め込み、噴出ノズル29のフランジ部29bを挟み込むようにして噴出ノズル取付用部材30を噴出ノズル取付部36に取り付ける。これにより、噴出ノズル29が水流通孔31の先端部分の所定位置に着脱可能に固定して取り付けられる。
次に、3つの電極固定部45を第2流路形成用部材27に取り付ける。このとき、第2流路形成用部材27の誘導電極挿通孔42に連結部25を挿通した状態の誘導電極部22の電極本体部24を、各電極固定部45の他端の係合凹部45aに係合させる。これにより、誘導電極部22が3つの電極固定部45で固定して支持され、このように誘導電極部22を取り付けるとともに、リング状の電極本体部24が噴出ノズル29に対して所定の間隔をあけて配され、且つその中心位置が噴出ノズル29のノズル孔29a、及び水流通孔31と同軸上に配される。
さらに、第1流路形成用部材26の配管接続部32に分岐管11を接続する。また、図6に示すように、水側電極部23にアースケーブルを接続して接地させ、誘導電極部22の連結部25の導電部材(電極22a)に電圧印加ケーブル(電圧印加用ライン)50を接続し、この電圧印加ケーブル50を介して誘導電極部22を電源51に接続する。
そして、上記のように構成した本実施形態の帯電水粒子噴出ヘッド7においては、火災発生時に制御装置14によって制御されて給水ポンプ13が駆動すると、例えば1Mpa程度の圧力で分岐管11から噴出ノズル部21の水流通孔31に水Wが加圧供給され、噴出ノズル29のノズル孔29aから噴出する。
また、水側電極部23がアースケーブルで接地され、誘導電極部22に対し例えば数kV〜数十kV程度の直流(交流またはパルス状)の所定の電圧を印加すると、電極本体部24の周囲に所定の外部電界が形成される。そして、ノズル孔29aから噴出した水Wが分裂帯電部Sで分裂分離して水粒子(水粒子群)6bが生成されるとともに、水粒子6bが電界によって帯電し、帯電水粒子(帯電水粒子群)6aとして噴出する。ちなみに、誘導電極部22に直流電圧を印加した場合には、誘導電極部22の極性に応じて、正電荷と負電荷のいずれか一方の電荷で帯電した帯電水粒子6aが生成される。また、交流、パルス状で電圧を印加すると、交互に切り替わる誘導電極部22の極性に応じ、選択的に正電荷あるいは負電荷で帯電した帯電水粒子6aが生成される。すなわち、適宜選択的に、正に帯電した帯電水粒子6a、負に帯電した帯電水粒子6aを生成することができる。
さらに、このとき、本実施形態の帯電水粒子噴出ヘッド7では、帯電水粒子6aを生成する際に印加する電圧を−20kV〜20kVの範囲にする。この印加電圧は、−20kV〜20kVの範囲の所定の一定電圧としてもよいし、−20kV〜20kVの範囲で変動させてもよい。そして、このように印加電圧を−20kV〜20kVの範囲にすると、コロナ放電が発生することが防止され、安全を確保しながら帯電水粒子6aの生成が行なえる。
また、本実施形態の帯電水粒子噴出ヘッド7では、生成する水粒子6bの粒径が100μmよりも小さいと、この水粒子6bを帯電させて生成した帯電水粒子6aが蒸発しやすくなる。また、生成する水粒子6bの粒径が300μmよりも大きいと、帯電水粒子噴出ヘッド7で水粒子6bを帯電させて生成し噴出する帯電水粒子6aの数が少なくなる。そして、本実施形態の帯電水粒子噴出ヘッド7では、粒径が100〜300μmの水粒子6bを生成するように構成され、給水ポンプ13から1Mpa程度の圧力で水Wを加圧供給すると、粒径が200μm程度の帯電水粒子6aが生成される。
さらに、本実施形態の帯電水粒子噴出ヘッド7では、1〜2L/minの帯電水粒子6aを生成する。ここで、図7は、帯電水粒子噴出ヘッド7による帯電水粒子6aの散布水量(≒帯電水粒子噴出ヘッド7への給水量)と、生成した帯電水粒子6a(水幕6)の比電荷の関係を示している。そして、この図7に示す通り、散布水量を1〜2L/minにすると、ある程度必要な散布水量が確保され、さらに、生成される帯電水粒子6aの比電荷が0.1mC/kg以上となり、この大きな比電荷で確実に帯電水粒子6aを生成できることが確認されている。
また、本実施形態の帯電水粒子噴出ヘッド7においては、誘導電極部22が電極22aを絶縁材22bで絶縁被覆して形成されているため、誘導電極部22に水が接触して短絡や電荷の中和が生じるようなことがなく、安全を確保し、好適に帯電水粒子6aの生成が行なえる。
さらに、表1は、噴出流量(散布水量)を1L/minとし、誘導電極部22で印加する印加電圧を+5kVとし、絶縁被覆を設けずに誘導電極部22を形成したケースと、各種絶縁材22bで絶縁被覆して誘導電極部22を形成したケースで、帯電水粒子6aの比電荷を計測した結果を示している。この結果から、絶縁材22bとしてポリアミド合成樹脂(ナイロン:登録商標)、ポリエチレン樹脂を用いると、絶縁被覆を設けずに形成したケースと比較し、大幅に比電荷が小さくなることが確認された。
これに対し、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、アルミナセラミックス、ガラス琺瑯を絶縁材22bとして用いると、絶縁被覆を設けずに形成したケースと同等、あるいはそれ以上の比電荷で帯電水粒子6aが生成されることが確認された。このことから、本実施形態の帯電水粒子噴出ヘッド7においては、このようなポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、アルミナセラミックス、ガラス琺瑯の少なくとも1種を絶縁材22bとして用いて誘導電極部22を形成することで、短絡や電荷の中和を防止しつつ、好適に帯電水粒子6aの生成が行える。
Figure 0005827159
さらに、本実施形態の防火防煙区画形成設備1においては、図6に示すように、複数の帯電水粒子噴出ヘッド7がそれぞれ、一対の水側電極部23と誘導電極部22を備えて構成されるとともに、各帯電水粒子噴出ヘッド7の誘導電極部22と電源51とを繋ぐ各電圧印加ケーブル50に、電流制限手段52が設けられている。
なお、電流制限手段52は、特に限定を必要とせず、例えば、図6のように電流制限抵抗を用いたり、トランジスタやMOSFETのような3端子の能動素子を用いた電流制限回路で構成したり、定電流ダイオードを用いるなどして適宜構成すればよい。
次に、上記構成からなる本実施形態の防火防煙区画形成設備1では、図1から図3に示すように、例えば、防火防煙区画Cで火災が発生したとすると、制御装置14が、火災が発生した区画Cの両側の境界に設けられた2つのヘッド列の制御弁12を開制御することで、水幕用噴出ヘッド5と帯電水粒子噴出ヘッド7から水Wが噴出し、区画Cの両側に水幕4、6が形成される。これにより、区画Cが水幕4、6で区画され、この水幕4、6によって防火防煙区画が形成される。ちなみに、本実施形態のようなトンネル2で火災が発生した場合には、制御装置14がさらに火災が発生した区画Cの外側の区画A、E側との境界に設けられている2つのヘッド列の制御弁12を開制御して水幕用噴出ヘッド5と帯電水粒子噴出ヘッド7から水Wを噴出させ、区画Cを形成する水幕4、6の外側にも水幕4、6を形成する。
ここで、本実施形態では、例えば、水幕用噴出ヘッド5から噴射される水4aの平均粒子径を500μm以下30μm以上とする。これは、平均粒子径を500μmより大きくすると、噴射量を一定とした場合に水幕4の密度が低下して煙の漏れが多くなるおそれがあり、また、平均粒子径を30μmより小さくすると、火災気流を受けた際に水幕4を維持できなくなるおそれがあることに基づいている。
そして、水幕用噴出ヘッド5から水Wを噴出させて水幕4が形成されると、この水幕4によって、火災が発生した区画Cから他の区画に向かう火災気流の例えば700℃の温度が80℃程度まで低下する。これにより、火炎や輻射熱を水幕4で遮断して延焼が防止される。また、水幕用噴出ヘッド5から水Wを噴出させて形成した水幕4によって、煙を封じ込める効果と煙(煙等の有害物質)を水幕4の水粒子4aで捕捉して落下させ、空気中から除去する効果が得られる。
一方で、本実施形態の防火防煙区画形成設備1においては、帯電水粒子噴出ヘッド7が複数の水幕用噴出ヘッド5によってそれぞれ形成された水幕4のつなぎ部分に帯電水粒子6aを噴出するように配置されている。これにより、制御装置14が分岐管11を接続している制御弁12を開制御すると、水幕用噴出ヘッド5から水粒子4aが噴出するとともに、帯電水粒子噴出ヘッド7から帯電水粒子6aが噴出し、この帯電水粒子6aを含んで水幕4、6が形成されることになる。
そして、このように帯電水粒子6aを含む水幕4、6によって防火防煙区画A〜Eが形成されると、煙が水幕4、6を通過する際に、煙粒子が帯電水粒子6aに電気的に吸着して捕捉され、帯電水粒子6aとともに煙粒子が落下して除去されることになる。これにより、単に水粒子4aで水幕4を形成した場合と比較し、煙粒子が効果的に捕捉されて除去される。
したがって、本実施形態の防火防煙区画形成設備1においては、帯電水粒子噴出ヘッド7から帯電水粒子6aが噴出され、この帯電水粒子6aを含んで水幕4、6を形成することができる。そして、このように形成した水幕4、6で防火防煙区画A〜Eを形成すると、火災発生時に煙が水幕4、6を通過する際、煙粒子が帯電水粒子6aに電気的に吸着して捕捉され、すなわち、帯電水粒子6aと煙粒子との間に働くクーロン力及び/またはグラディエント力の作用によって煙が帯電水粒子6aに捕捉され、この煙粒子を帯電水粒子6aとともに落下させて空気中から除去することができる。なお、空気中を落下中の帯電水粒子6a間には相互に斥力が働くので、帯電水粒子6a同士が会合して粒子径が大きくなったり粒子の数が減少したりすることが抑止される。
よって、本実施形態の防火防煙区画形成設備1によれば、優れた防火性能を発揮することに加え、単に水粒子で水幕を形成した場合と比較して煙粒子をより効果的に捕捉して除去することができ、優れた防煙性能を発揮する水幕4、6を形成することが可能になる。
また、本実施形態の防火防煙区画形成設備1では、複数の水幕用噴出ヘッド5から噴出した水粒子4aで水幕4を形成するとともに、隣り合う水幕用噴出ヘッド5の間に帯電水粒子噴出ヘッド7を配設し、煙が通過しやすくなる水幕4のつなぎ部分(境界部分)に帯電水粒子6aを噴出して水幕4、6を形成することができる。これにより、より効果的に、煙粒子を帯電水粒子6aで捕捉して空気中から除去することができ、水幕4、6の防煙性能を高めることが可能になる。
さらに、本実施形態の防火防煙区画形成設備1においては、帯電水粒子噴出ヘッド7が噴出ノズル部21と誘導電極部22と水側電極部23とを備えて構成されているため、帯電水粒子噴出ヘッド7の噴出ノズル部21で生成した水粒子6bを誘導電極部22によって形成された電界によって帯電させることができ、容易に且つ確実に帯電水粒子6aを生成して噴出させることができる。
また、帯電水粒子噴出ヘッド7を複数備えた場合、基準電位を与える水側電極部23を複数の帯電水粒子噴出ヘッド7で共通の1つにすることも考えられるが、このように複数の帯電水粒子噴出ヘッド7で水側電極部23を供用すると、各帯電水粒子噴出ヘッド7で生成される帯電水粒子6a(帯電水粒子群、水幕6)の帯電効率が低下してしまう。
これに対し、本実施形態のように、各帯電水粒子噴出ヘッド7が水側電極部23を備えて構成されていると、確実に所望の比電荷の帯電水粒子6aを生成することができ、これにより、確実且つ効率的に、煙粒子を帯電水粒子6aで捕捉して除去することが可能になる。
また、帯電水粒子噴出ヘッド7によって粒径が100〜300μmの水粒子6bを生成することで、ひいては、粒径が300μm以下であってクーロン力の作用によりさらに細かく分裂した様々な粒子径の帯電水粒子6aが生成されることで、さらに確実且つ効果的に、煙粒子を除去することが可能になる。
さらに、帯電水粒子噴出ヘッド7で誘導帯電方式によって帯電水粒子6aを生成する際に印加する電圧を−20kV〜20kVの範囲にすることで、コロナ放電が発生することを防止できる。
また、帯電水粒子噴出ヘッド7の誘導電極部22を、電極22aを絶縁被覆して形成することで、電気的短絡や放電の発生を防止することができる。
さらに、水粒子6bを帯電させるための誘導電極部22の電極22aを絶縁被覆する絶縁材22bとして、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス、琺瑯を用いることにより、絶縁被覆していない電極22aによって生成した帯電水粒子6aに対し、同等あるいはそれ以上の比電荷の帯電水粒子6aを生成することが可能になる。
さらに、複数の帯電水粒子噴出ヘッド7を備えた場合に、1つの電源51によって複数の帯電水粒子噴出ヘッド7の誘導電極部22に電圧を印加することが合理的である。そして、この場合には、例えば1つの帯電水粒子噴出ヘッド7側で短絡が発生すると、他の帯電水粒子噴出ヘッド7側にも短絡の影響が及ぶ。これに対し、本実施形態のように、複数の帯電水粒子噴出ヘッド7の誘導電極部22と電源51とを繋ぐ複数の電圧印加用ライン50にそれぞれ、電流制限手段52を設けておくと、1つの帯電水粒子噴出ヘッド7で短絡が発生しても、他の帯電水粒子噴出ヘッド7に流れる電流が制限され、他の帯電水粒子噴出ヘッド7に短絡の影響が及ぶことを防ぐことができる。
また、帯電水粒子噴出ヘッド7によって1〜2L/minの帯電水粒子6aを生成することで、ある程度必要な帯電水粒子6aの給水量(散布水量)を確保しつつ、0.1mC/kg以上の高比電荷の帯電水粒子6aを安定的に生成することができ、確実且つ効果的に、煙粒子を捕捉して除去することが可能になる。
以上、本発明に係る防火防煙区画形成設備の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、複数の水幕用噴出ヘッド5でそれぞれ形成される水幕4のつなぎ部分に帯電水粒子6aを噴出するように、隣り合う水幕用噴出ヘッド5の間に帯電水粒子噴出ヘッド7を配設してヘッド列が形成されているものとした。これに対し、本発明の防火防煙区画形成設備では、水幕4、6によって防火防煙区画A〜Eを形成するための少なくとも一部の噴出ヘッド3が帯電水粒子噴出ヘッド7であればよく、例えば、ヘッド列の全ての噴出ヘッド3を帯電水粒子噴出ヘッド7としたり、帯電水粒子噴出ヘッド7同士が隣り合うように、あるいは水幕用噴出ヘッド5同士が隣り合うようにしてヘッド列を形成するようにしてもよい。
また、帯電水粒子噴出ヘッド7は、帯電水粒子6aを生成して噴出することができればよく、本実施形態の構成に限定する必要はない。これに関連して、水幕用噴出ヘッド5や帯電水粒子噴出ヘッド7は、水粒子4aや帯電水粒子6aの噴出パターン、ひいては水幕4、6の形成パターンが限定されている必要はない。例えば、図8に示すフルコーン型、図9に示すホローコーン型、図10に示すフラット型のいずれの噴出パターンであってもよい。また、噴出ヘッド3は、その噴出中心軸O4を鉛直方向に向けて配設しても、図8から図10に示したように鉛直方向に対して適宜角度θで傾斜させて配設してもよい。さらに、多重の水幕4、6を形成するように、噴出ヘッド3を多重列で配置して防火防煙区画形成設備1を構成するようにしてもよい(図10、図11、図12参照)。
また、図11に示すように、垂れ壁55を設け、噴出パターンの噴出元がこの垂れ壁55と横方向(軸O1方向)に重なるように水幕用噴出ヘッド5や帯電水粒子噴出ヘッド7の噴出ヘッド3を列状に配設するようにしてもよい。この場合には、垂れ壁55で噴出パターンのヘッド付け根部分の隙間をほぼ無い状態にすることができ、この隙間部分が弱点となって火災気流56(熱貫通)や煙57(拡散)が生じることを防止できる。
さらに、図12に示すように、水幕用噴出ヘッド5や帯電水粒子噴出ヘッド7の噴出ヘッド3をヘッド収納凹部58内に収納した形で列状に配設するようにしてもよい。この場合においても、噴出パターンの噴出元がヘッド収納凹部58内に位置するため、噴出パターンのヘッド付け根部分の隙間をほぼ無い状態にすることができ、この隙間部分が弱点となって熱貫通や煙の拡散が生じることを防止できる。
1 防火防煙区画形成設備
2 トンネル
3 噴出ヘッド
4 水幕
4a 水粒子
5 水幕用噴出ヘッド
6 水幕
6a 帯電水粒子
6b 水粒子
7 帯電水粒子噴出ヘッド
8 路面
10 給水本管
11 分岐管
12 制御弁
13 給水ポンプ
14 制御装置
15 水源水槽
16 火災検出装置
20 水噴霧ヘッド
21 噴出ノズル部
22 誘導電極部
22a 電極
22b 絶縁材
23 水側電極部
23a 電極
24 電極本体部
25 連結部
26 第1流路形成用部材
26a 一面
26b 他面
27 第2流路形成用部材
27a 一面
27b 他面
29 噴出ノズル
29a ノズル孔
29b フランジ部
30 噴出ノズル取付用部材
31 水流通孔
32 配管接続部
33 水側電極保持部
34 シール材取付用凹部
35 ネジボルト挿通孔
36 噴出ノズル取付部
37 雄ネジ
38 水側電極保持部
39 シール材取付用凹部
40 シール材取付用凹部
41 雌ネジ孔
42 誘導電極挿通孔
45 電極固定部
45a 係合凹部
46 雌ネジ
47 シール材
50 電圧印加用ライン
51 電源
52 電流制限手段
55 垂れ壁
56 火災気流
57 煙
58 ヘッド収納凹部
A〜E 防火防煙区画(区画)
O1 トンネルの軸
O2 第1流路形成用部材の中心軸線
O3 第2流路形成用部材の中心軸線
O4 噴出中心軸
W 水
θ 噴出中心軸の角度

Claims (7)

  1. 所定の間隔をあけて列状に配置した複数の噴出ヘッドを備え、前記噴出ヘッドから噴出した水粒子によって形成される水幕によって防火防煙区画を形成する防火防煙区画形成設備であって、前記噴出ヘッドは、
    帯電していない水粒子を噴出して前記水幕を形成する水幕用噴出ヘッドと、
    誘導帯電方式で帯電させた帯電水粒子を生成して噴出する帯電水粒子噴出ヘッドと、
    を備え、
    複数の前記水幕用噴出ヘッドでそれぞれ形成された水幕のつなぎ部分に前記帯電水粒子を噴出するように、隣り合う前記水幕用噴出ヘッドの間に前記帯電水粒子噴出ヘッドが配設されていることを特徴とする防火防煙区画形成設備。
  2. 所定の間隔をあけて列状に配置した複数の噴出ヘッドを備え、前記噴出ヘッドから噴出した水粒子によって形成される水幕によって防火防煙区画を形成する防火防煙区画形成設備であって、
    少なくとも一部の前記噴出ヘッドが、誘導帯電方式で帯電させた帯電水粒子を生成して噴出する噴出する帯電水粒子噴出ヘッドであり、
    前記帯電水粒子噴出ヘッドが、1〜2L/minの前記帯電水粒子を生成することを特徴とする防火防煙区画形成設備。
  3. 請求項1または請求項2に記載の防火防煙区画形成設備において、
    前記帯電水粒子噴出ヘッドが
    加圧供給された水を噴出しつつ前記水粒子を生成する噴出ノズル部と、
    所定の電圧が印加されて所定の電界を形成し、前記噴出ノズル部で生成した前記水粒子を前記電界によって帯電させて前記帯電水粒子にする誘導電極部と、
    前記誘導電極部に印加する電圧の基準電位を与える水側電極部と
    を備えて構成されていることを特徴とする防火防煙区画形成設備。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の防火防煙区画形成設備において、
    前記帯電水粒子噴出ヘッドは、粒径が100〜300μmの前記水粒子を生成するように構成されていることを特徴とする防火防煙区画形成設備。
  5. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の防火防煙区画形成設備において、
    所定の電圧が印加されて所定の電界を形成し、前記水粒子を前記電界によって帯電させて前記帯電水粒子にするための前記帯電水粒子噴出ヘッドの誘導電極部が電極を絶縁被覆して形成されていることを特徴とする防火防煙区画形成設備。
  6. 請求項1から請求項のいずれか一項に記載の防火防煙区画形成設備において、
    複数の帯電水粒子噴出ヘッドを備え、
    所定の電圧が印加されて所定の電界を形成し、前記水粒子を前記電界によって帯電させて前記帯電水粒子にするための各帯電水粒子噴出ヘッドの誘導電極部と、前記誘導電極部に所定の電圧を印加するための電源とを繋ぐ複数の電圧印加用ラインにそれぞれ、電流制限手段が設けられていることを特徴とする防火防煙区画形成設備。
  7. 請求項記載の防火防煙区画形成設備において、
    ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂、セラミックス、琺瑯の少なくとも1種の絶縁材で前記電極を絶縁被覆して前記帯電水粒子噴出ヘッドの誘導電極部が形成されていることを特徴とする防火防煙区画形成設備。
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