JP5822071B2 - 板状多孔品の成形方法及び成形装置 - Google Patents
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Description
例えば、燃料電池の、セパレータを含む複数のセル構成部材間に配置され、セパレータに隣接するガス流路を形成するための、ガス流路形成部材として、板状多孔品が用いられている。図6に示されるように、この燃料電池は、複数種類のセル構成部材が積層されることによって、セル(単セル)10が構成され、なおかつ、セル10が複数枚積層された燃料電池スタック11を構成することで、必要な電圧が確保されるものである。セル11の構造例としては、図7に示されるように、膜電極接合体12(Membrane Electrode Assembly:以下、「MEA」という。)がセルの厚み方向の中心部に配置され、その両面に、ガス拡散層14(アノード側/カソード側のガス拡散層14A、14C)、ガス流路形成部材16(アノード側/カソード側のガス流路形成部材16A、16C)、セパレータ18が夫々配置された構造となっている。なお、MEA12とガス拡散層14とが一体となった形態を、膜電極ガス拡散層接合体(MEGA:Membrane Electrode &Gas Diffusion Layer Assembly)と称することもある。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、成形型のコストを増大させること無く、又、製品にしわ、破断、局所的な板厚の減少等の不具合が生じることなく、効率的に板状多孔品を成形することにある。
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
このようにして成形した板状多孔品は、板状素材の平面が残る部分と、その平面の表裏両面に同一の突出量で突出する突出部とで、3階層をなすものとなる。しかも、このような3階層構造を成形することで、板状素材がロール型に対して連続的に送り込まれて成形が進み、開口部が連続的に形成されて行く際に、板状素材の開口部成形箇所には、均等に引張力が加わることとなる。なお、本項により得られる板状多孔品は、3階層を構成する板状素材の平面が残る部分が、必ずしも面状である必要はなく、例えば線状(断面視で点状)であっても良い。
本項に記載の板状多孔品の成形方法は、せん断加工を施す際に用いるロール型を、外周端に凸部及び凹部が一定のピッチで交互に形成された、複数の円盤状型部材を、軸部材に挿通し積層して構成するものである。
本項に記載の板状多孔品の成形方法は、円盤状型部材と軸部材との円周方向の位置決めを行うためのキーと、円盤状型部材の外周端に形成された凸部及び凹部との位置関係を、隣接する円盤状型部材同士で表裏反転するように積層することで、凸部及び凹部が基準直径の円筒面の軸方向に交互に配置されるように構成したものである。これにより、ロール型は、一種類の円盤状方部材のみによって、基準直径の円筒面と該円筒面に対する高低差が同一となる凸部及び凹部を備え、該凸部及び凹部は、基準直径の円筒面の、円周方向に一定のピッチで交互に、かつ、軸方向に一定の幅で交互に配置される態様となる。
本項に記載の板状多孔品の成形方法は、円盤状型部材の間にスペーサーを配置することで、ロール型の基準直径の円筒面の、軸方向に一定の幅で交互に形成される凸部及び凹部に、スペーサーの厚み分の間隔を持たせるものである。これにより、ロール型に対向する型若しくはダイとの間で、前記板状素材に必要な形状の凸部及び凹部を成形するに適した、クリアランスを確保するものである。
本項に記載の板状多孔品の成形方法は、ロール型に板状素材を連続的に送り込み、板状素材Wに対してゴムダイにて圧力を付与することで、ロール型の凸部及び凹部の形状に倣うように、板状素材及びゴムダイを変形させる。そして、板状素材の表裏両側に、板状素材の平面からの突出量が表裏両側で同一となる突出部を突出させ、かつ、該表裏両側の突出部の境界部分をせん断することにより、板状素材の平面と交差する方向の開口を成形するものである。
本項に記載の燃料電池ガス流路形成部材の成形方法は、燃料電池のセパレータを含む複数のセル構成部材間に配置されセパレータに隣接するガス流路を形成するための、上記特徴を有するガス流路形成部材を成形する際に、上記(1)から(5)のいずれか1項記載の板状多孔品の成形方法にて得られる所定の作用を奏するものである。
このロール型により成形される板状多孔品は、板状素材の平面が残る部分と、その平面の表裏両面に同一の突出量で突出する突出部とで、3階層をなすものとなる。しかも、このような3階層構造は、板状素材がロール型に対して連続的に送り込まれて成形が進み、開口部が連続的に形成されて行く際に、板状素材の開口部成形箇所には、均等に引張力が加わることとなる。なお、本項により成形される板状多孔品は、3階層を構成する板状素材の平面が残る部分が、必ずしも面状である必要はなく、例えば線状(断面視で点状)であっても良い。
本項に記載の板状多孔品の成形装置は、外周端に凸部及び凹部が一定のピッチで交互に形成された複数の円盤状型部材を、軸部材に挿通し積層することにより、ロール型が構成されるものである。
本項に記載の板状多孔品の成形装置は、円盤状型部材と軸部材との円周方向の位置決めを行うためのキーと、円盤状型部材の外周端に形成された凸部及び凹部との位置関係を、隣接する円盤状型部材同士で表裏反転するように積層することで、凸部及び凹部が基準直径の円筒面の軸方向に交互に配置されるように構成したものである。これにより、ロール型は、一種類の円盤状方部材のみによって、基準直径の円筒面と該円筒面に対する高低差が同一となる凸部及び凹部を備え、該凸部及び凹部は、基準直径の円筒面の、円周方向に一定のピッチで交互に、かつ、軸方向に一定の幅で交互に配置される態様となる。
本項に記載の板状多孔品の成形装置は、円盤状型部材の間にスペーサーが配置されることで、ロール型の基準直径の円筒面の、軸方向に一定の幅で交互に形成される凸部及び凹部に、スペーサーの厚み分の間隔を持たせるものである。これにより、ロール型に対向する型若しくはダイとの間で、前記板状素材に必要な形状の凸部及び凹部を成形するに適した、クリアランスを確保するものである。
本項に記載の板状多孔品の成形装置は、ロール型の凸部及び凹部の形状に倣うように、ロール型に連続的に送り込まれた板状素材及びゴムダイを変形させる。そして、板状素材の表裏両側に、板状素材の平面からの突出量が表裏両側で同一となる突出部を突出させ、かつ、該表裏両側の突出部の境界部分をせん断することにより、板状素材の平面と交差する方向の開口を成形するものである。
この上型23は、図4に示される円盤状型部材26を、複数、軸部材28(図3(a))に挿通し積層することにより構成されるものである。又、円盤状型部材26の外周端には、凸部26H及び凹部26Lが、一定のピッチで交互に形成されている。そして、基準直径D26Mの円筒面26Mと、基準直径の円筒面26Mに対する高低差yが同一となる、凸部23H(直径:D26M+y)及び凹部23L(直径D26M−y)を備えることで、上型23のロール表面は、3階層をなすものである。
従って、複数の円盤状型部材26を、軸部材28に挿通する際に、隣接する円盤状型部材26同士で表裏反転するように積層することで、図3(b)に拡大図示されるように、凸部23H及び凹部23Lは、基準直径D26Mの円筒面の、円周方向に一定のピッチで交互に、かつ、軸方向に一定の幅で交互に配置される態様となる。なお、符号θ1、θ2は、凸部26H又は凹部26Lと、基準直径D26Mの円筒面26Mとをつなぐ傾斜面の傾斜角度を表しており、各々、適切な角度に設定されている。
なお、下型22についても金型を用いる場合には、この下型22も上型23と同様の構成をなし、上型23に対応する3階層のロール表面を有するものを用いることとなる。一方、下型22にゴムダイを用いる場合には、そのロール表面は単に円筒面であっても良く、又、上型23に対応する3階層のロール表面を有するものであっても良い。
この場合には、板状素材Wと共に帯状のゴムダイ24を連続的に送り込み、かつ、板状素材Wに対して平坦なゴムダイ24にて圧力Pを付与する。その結果、下型22の凸部22H及び凹部22Lに倣って板状素材W及びゴムダイ24が変形し、板状多孔品20の所定の形状を成形するものとなる。
すなわち、本発明の実施の形態では、板状素材Wに対しせん断加工を施す際に、ロール型21(21’)を用いることで、板状多孔品20の連続成形を行うものである。このロール型21を構成する上型23(下型22)は、図4に示される、基準直径D26Mの円筒面26Mと、この円筒面26Mに対する高低差yが同一となる凸部26H(23H)及び凹部26L(23L)を備えている。そして、凸部26H及び凹部26Lは、基準直径D26Mの円筒面26Mの、円周方向に一定のピッチで交互に、かつ、軸方向に一定の幅で交互に配置される態様で構成されている。従って、ロール型21を構成する上型23(下型22)は、基準直径D26Mの円筒面26Mと、この円筒面26Mに対する高低差が同一の凸部26H及び凹部26Lとで、ロール表面が3階層をなすものとなる。
このような3階層構造を成形することで、図2(b)に示されるように、板状素材Wがロール型21(21’)に対して連続的に送り込まれ、図中の矢印Aで示される方向に成形が進み、開口部Opが連続的に形成されて行く際に、変形後の板状素材Wの台形状の開口上部と下部とで、変形量が均一となる。そして、板状素材Wの、次の瞬間の開口部Op成形箇所(点線枠Bで示される)には、均等に引張力Fが加わることとなる。その結果、しわ、破断、局所的な板厚の減少等の不具合が生じることもなく、高品質の製品を得ることが可能となる。
又、ロール型21に板状素材Wを連続的に送り込み、図5に示されるように、下型22の凸部22H及び凹部22Lの形状に倣うように、板状素材W及びゴムダイ24を変形させることとしても、板状素材Wの表裏両側に、板状素材の平面からの突出量が表裏両側で同一となる突出部(平坦面20a、20b)を突出させ、かつ、表裏両側の突出部(平坦面20a、20b)の境界部分をせん断することにより、板状素材の平面と交差する方向の開口Opを成形することが可能となる。
又、本発明の実施の形態によれば、板状多孔品20のごときガス流路形成部材を成形する際に、上記の板状多孔品20の成形方法にて得られる、所定の作用を奏するものとなる。
Claims (11)
- 板状素材に対し、ロール型を用いて部分的にせん断加工を施し、前記板状素材の平面と交差する方向の開口を多数成形する板状多孔品の成形方法であって、
前記せん断加工を施す際に用いるロール型を、基準直径の円筒面と、該円筒面に対する高低差が同一となる凸部及び凹部とを備え、該凸部及び凹部が、前記基準直径の円筒面の、円周方向に一定のピッチで交互に、かつ、軸方向に一定の幅で交互に配置される態様で構成し、
該ロール型を用いて、前記板状素材の表裏両側に、前記板状素材の平面からの突出量が表裏両側で同一となる突出部を突出させ、かつ、該表裏両側の突出部の境界部分をせん断することにより、前記板状素材の平面と交差する方向の開口を成形することを特徴とする板状多孔品の成形方法。 - 前記せん断加工を施す際に用いる前記ロール型を、外周端に前記凸部及び凹部が一定のピッチで交互に形成された、複数の円盤状型部材を、軸部材に挿通し積層して構成することを特徴とする請求項1記載の板状多孔品の成形方法。
- 前記複数の円盤状型部材を、前記軸部材に挿通し積層する際に、隣接する前記円盤状型部材同士で表裏反転する態様とすることで、前記凸部及び凹部が前記基準直径の円筒面の軸方向に交互に配置されることとなるように、
前記円盤状型部材と前記軸部材との円周方向の位置決めを行うためのキーと、前記円盤状型部材の外周端に形成された前記凸部及び凹部との位置関係を定めて、前記円盤状型部材を構成することを特徴とする請求項2記載の板状多孔品の成形方法。 - 前記円盤状型部材の間に、スペーサーを配置することを特徴とする請求項2又は3記載の板状多孔品の成形方法。
- 前記ロール型と、ゴムダイとを組合せて、前記せん断加工を行うことを特徴とする1から4のいずれか1項記載の板状多孔品の成形方法。
- 燃料電池のセパレータを含む複数のセル構成部材間に配置され前記セパレータに隣接するガス流路を成形するための、ガス流路形成部材の成形方法であって、
前記1から5のいずれか1項記載の板状多孔品の成形方法により、
板状素材の表裏両側に、前記板状素材の平面からの突出量が表裏両側で同一となるように突出して、セル状態で隣接するセル構成部材と接触する接触面を形成し、かつ、該接触面を構成する表裏両側の突出部の境界部分をせん断することにより、前記板状素材の平面と交差する方向の開口を成形すると共に、表側の接触面と裏側の接触面とを、ガス流路の巨視的なガス流れ方向に対し平行又は交差する連結面によって連結し、なおかつ、該連結面を、各々、ガス流路の巨視的なガス流れ方向又はそれと直交する方向に隣接する同士の位相が一致する態様へと加工することを特徴とする成形方法。 - 板状素材に対し、部分的にせん断加工を施し、前記板状素材の平面と交差する方向の開口を多数成形してなる板状多孔品の成形装置であって、
ロール型を含み、該ロール型は、基準直径の円筒面と該円筒面に対する高低差が同一となる凸部及び凹部を備え、該凸部及び凹部は、前記基準直径の円筒面の、円周方向に一定のピッチで交互に、かつ、軸方向に一定の幅で交互に配置されていることを特徴とする板状多孔品の成形装置。 - 前記ロール型は、外周端に前記凸部及び凹部が一定のピッチで交互に形成された、複数の円盤状型部材が、軸部材に挿通され積層されてなることを特徴とする請求項7記載の板状多孔品の成形装置。
- 前記複数の円盤状型部材を、前記軸部材に挿通し積層する際に、隣接する前記円盤状型部材同士で表裏反転する態様とすることで、前記凸部及び凹部が前記基準直径の円筒面の軸方向に交互に配置されることとなるように、
前記円盤状型部材と前記軸部材との円周方向の位置決めを行うためのキーと、前記円盤状型部材の外周端に形成された前記凸部及び凹部との位置関係を定めて、前記円盤状型部材が構成されていることを特徴とする請求項8記載の板状多孔品の成形装置。 - 前記円盤状型部材の間に、スペーサーが配置されていることを特徴とする請求項8又は9記載の板状多孔品の成形装置。
- 前記ロールと組合せて用いるゴムダイを含むことを特徴とする7から10のいずれか1項記載の板状多孔品の成形装置。
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