JP5821739B2 - ダイヤフラム装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイヤフラム装置に関するものである。
[従来の技術]
過給機(ターボチャージャ)を備えた内燃機関(エンジン)において、減速時にスロットルバルブが急激に閉弁されると、吸気慣性およびコンプレッサの回転慣性によってスロットルバルブの上流側圧力が一時的に急上昇する。この圧力の上昇は、コンプレッサで過給された過給吸気(エア)がスロットルバルブで跳ね返りにより起こる。これにより、コンプレッサ側に逆流するサージングが発生し、コンプレッサからサージ音(脈動音)を発生させる。
このサージ音が発生するのを抑制するという目的で、スロットルバルブよりも上流側において、コンプレッサの下流側の吸気通路と上流側の吸気通路とを連通するバイパス通路を設け、このバイパス通路の途中にダイヤフラム式のエアバイパスバルブ(ABV)を配設した過給圧制御システムが知られている。
ここで、図6は、従来のエアバイパスバルブを示した図である。
従来のエアバイパスバルブ(ABV)は、軸線方向に往復移動可能な弁体101と、この弁体101を駆動するダイヤフラムアクチュエータ102を備え、減速時、過給されたエアがスロットルバルブで跳ね返りサージ音が発生する状況になった時に、エアバイパスバルブ用電磁負圧制御弁(ABV−VSV)を通電制御して、エアバイパスバルブの弁体101を開き、過給圧をリリーフする過給圧制御システムに組み込まれている。
ダイヤフラムアクチュエータ102は、弁体101を一体移動可能に連結した環状のダイヤフラム103と、このダイヤフラム103に対して、弁体101を閉弁方向に付勢するリターンスプリング104と、ダイヤフラム103の周縁部を挟持するカバー105およびケース106とを備えている。
ダイヤフラム103は、カバー105とケース106との間に形成されるダイヤフラム室を2つの第1、第2圧力室107、108に区画形成している。また、ダイヤフラム103は、弁体101を保持する環状の中間部よりも周縁部側(半径方向外方側)に、弁体101の閉弁時に第1圧力室側に突出する(凸となる)ように湾曲した環状の撓み変形部109を有している。
カバー105には、ABV−VSVを介して、第1圧力室107とコンプレッサの下流側の吸気通路またはスロットルバルブの下流側の吸気通路とを接続する圧力導入管111が形成されている。
ケース106には、第2圧力室108を介して、コンプレッサの下流側の吸気通路と上流側の吸気通路とを連通するバイパス通路112〜114が形成されている。
[従来の技術の不具合]
ところで、ターボチャージャを備えたエンジンにおいては、ターボチャージャのコンプレッサやエンジンの吸気弁の作動に起因する吸気の圧力脈動(吸気脈動の圧力波)が吸気管の吸気通路内を伝播している。
ここで、ターボチャージャの作動時におけるエアバイパスバルブの各第1、第2圧力室107、108の圧力脈動を圧力センサによって測定し、この結果を図7のグラフに示した。
コンプレッサが過給動作を行い、スロットルバルブが開弁している場合には、エアバイパスバルブの各第1、第2圧力室107、108に導入される吸気圧力(単位時間当たりの平均圧力)が同一である。この場合、リターンスプリング104の付勢力(閉弁力)によって、弁体101が弁座115に着座し、閉弁(全閉)状態となる。
このとき、第2圧力室108に導入される吸気の圧力脈動の振幅(圧力変動幅)は、バイパス通路112の流路断面積が広いので、大きくなっている。
ところが、第1圧力室107に導入される吸気の圧力脈動の振幅(圧力変動幅)は、圧力導入管111等の圧力導入流路の流路断面積がバイパス通路112よりも狭く、ABV−VSVを介して第1圧力室107に導入されるため、吸気の圧力脈動がなまされて、第2圧力室108よりも小さくなっている。
したがって、各第1、第2圧力室107、108に導入される平均圧力(吸気通路内の過給圧)が同じであっても、瞬間的に、第1圧力室107の内部圧力が第2圧力室108の内部圧力よりも大きくなる領域が存在する。
そのため、第1圧力室107の内部圧力が第2圧力室108の内部圧力よりも大きい場合には、ダイヤフラム103の撓み変形部109の撓み方向が、図6(b)に示すような上に凸となる方向に対して、図6(c)に示すような下に凸となる方向に反転することがある。このような撓み変形部109の反転現象が繰り返されると、撓み変形部109に亀裂(クラック)が入り、ダイヤフラム103の耐久性を低下させるという問題がある。
そこで、ダイヤフラムの撓み変形部の反転現象を防止するという目的で、2つの第1、第2圧力室を区画形成するダイヤフラムの上下両面に常に同じ方向に圧力がかかるように構成して、ダイヤフラムの撓み変形部が反転することなく、常に同じ方向に撓ませておくことが可能なダイヤフラム式圧縮機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
従来のダイヤフラム式圧縮機は、ダイヤフラムとの間に第2圧力室を形成するハウジングを備えている。このハウジングには、第2圧力室と外部とを連通する開放穴、および第2圧力室から外部へ空気を排出させる時にのみ開く空気放出弁が設けられている。
ところが、従来のダイヤフラム式圧縮機において、第1圧力室の圧力が第2圧力室の圧力よりも大きくなる領域と、第1圧力室の圧力が第2圧力室の圧力よりも小さくなる領域とが交互に繰り返された場合には、ダイヤフラムの撓み変形部の反転現象を無くすことができず、ダイヤフラムの耐久性を低下させるという問題がある。
特開平11−037051号公報
本発明の目的は、ダイヤフラムの撓み変形部の反転現象を確実に防止することで、ダイヤフラムの耐久性を向上させることのできるダイヤフラム装置を提供することにある。
請求項1及び7に記載の発明によれば、吸気通路を形成する吸気管、コンプレッサを有する過給機、バイパス通路の途中に設置されたバイパスバルブ、スロットルバルブおよび経路切替手段を備えている。この経路切替手段が、スロットル開度に応じて負圧導入経路から過給圧導入経路に切り替えると、第1室内に過給圧が導入される。また、経路切替手段が、スロットル開度に応じて過給圧導入経路から負圧導入経路に切り替えると、第1室内に吸気負圧が導入される。
そして、ダイヤフラムが往復移動可能に設置されるハウジングに反転規制部を設けたことにより、第1室内の圧力が第2室内の圧力よりも大きくなった場合でも、ダイヤフラムの撓み変形部が、ダイヤフラム室内において第2室側に突出する(凸となる)ように湾曲する撓み変形を規制することが可能となる。
これによって、第1室内の圧力が第2室内の圧力よりも大きくなった場合でも、ダイヤフラムの撓み変形部の反転現象を確実に防止することができるので、ダイヤフラムの反転圧によるクラックの発生をなくすことができる。これにより、ダイヤフラムの耐久性を向上させることができる。
請求項2及び8に記載の発明によれば、ダイヤフラムの撓み変形部の被係止部は、撓み変形部の撓み形状に対応した形状(撓み変形部の撓み形状に沿った形状)の係止部(反転規制部に設けられる係止部)に接触して係止される。この場合、少なくとも第1室内の圧力が第2室内の圧力よりも大きい時に、ダイヤフラムの撓み変形部の被係止部に反転規制部の係止部が接触するように構成すると、第1室内の圧力が第2室内の圧力よりも大きくなった場合でも、撓み変形部の被係止部が反転規制部の係止部に接触しているので、撓み変形部の反転現象が発生することはない。
請求項3及び9に記載の発明によれば、エア、ガス、液体等の流体が流通可能な貫通孔を反転規制部に設けたことにより、仮にダイヤフラムの撓み変形部と反転規制部とが隙間無く密着していたとしても、第2室内の圧力をダイヤフラムの撓み変形部に容易に作用させることができる。これにより、ダイヤフラムの動作不良を抑制することができる。
請求項4及び10に記載の発明によれば、反転規制部は、ハウジングに対して別体部品で構成されている。そして、ハウジング(とダイヤフラムとの間)に圧入固定される環状の周縁部を反転規制部に設けている。これによって、ダイヤフラムの形状、特に撓み変形部の撓み形状に合わせて容易に反転規制部(反転規制部材)を組み替えることができる。
請求項5及び11に記載の発明によれば、反転規制部は、ハウジングに対して別体部品で構成されている。そして、カバーの第1結合部とケースの第2結合部との間に挟み込まれて固定される環状の周縁部を反転規制部に設けている。これによって、ダイヤフラムの形状、特に撓み変形部の撓み形状に合わせて容易に反転規制部(反転規制部材)を組み替えることができる。
請求項7に記載の発明によれば、バイパスバルブの弁体は、バイパス通路の途中に設置れて、ダイヤフラムと一体移動可能に連結している。
請求項12に記載の発明によれば、バイパスバルブの弁体またはこの弁体を保持する保持部材を往復摺動可能にガイドする筒状の支持部を、反転規制部に設けたことにより、支持部が弁体のガイドになる。これにより、ハウジングの弁座に対する弁体の芯ズレを防止できるので、バイパスバルブの閉弁動作時に、ハウジングの弁座にダイヤフラムに連結した弁体が確実に着座することができる。
エンジン制御システムの概略構成を示した模式図である(実施例1)。 エンジン制御システムの概略構成を示した模式図である(実施例1)。 エアバイパスバルブを示した断面図である(実施例1)。 エアバイパスバルブを示した断面図である(実施例1)。 ダイヤフラム式圧縮機を示した断面図である(実施例2)。 (a)はエアバイパスバルブを示した断面図で、(b)、(c)はダイヤフラムの撓み変形部の撓み状態を示した拡大図である(従来例)。 2つの第1、第2圧力室の各圧力波形を示したタイミングチャートである(従来例)。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
[実施例1の構成]
図1ないし図4は、本発明のダイヤフラム装置を適用したエアバイパスバルブを備えた過給圧制御システム(実施例1)を示したものである。
本実施例の内燃機関の制御装置(エンジン制御システム)は、複数の気筒を有する内燃機関(エンジン)の排気ガス(排気)の圧力を利用して、エアクリーナ(図示せず)を通過した吸入空気(吸気)を過給(圧縮)するターボチャージャを有する過給システム(内燃機関の過給装置)を備え、ターボチャージャの過給圧を制御する過給圧制御システム(内燃機関の過給圧制御装置)として使用される。
エンジンは、エアクリーナ(内燃機関のエアクリーナ)で濾過された清浄な空気とインジェクタ(内燃機関の燃料噴射弁)より噴射された燃料との混合気を燃焼室内で燃焼させて得られる熱エネルギーにより出力を発生するものである。
エンジンには、内部に吸気通路が形成される吸気管、および内部に排気通路が形成される排気管が接続されている。
本実施例の過給圧制御システムは、ターボチャージャのコンプレッサの下流側とコンプレッサの上流側とを連通するバイパス配管、このバイパス配管の途中に設置されたエアバイパスバルブ(以下ABV)、このABVの開閉動作を制御するエアバイパスバルブ用電磁負圧制御弁(以下ABV−VSV)、およびこのABV−VSVを通電制御するエンジン制御モジュール(電子制御装置:以下ECM)等を備えている。
ABVは、バイパス配管内に形成されるバイパス流路(後述する)を開閉する弁体(バルブ)1と、このバルブ1を駆動するダイヤフラムアクチュエータ(以下アクチュエータ)2とを備えている。
アクチュエータ2は、バルブ1を往復移動可能に収容するハウジング(カバー3、バルブボディ4)と、このバルブボディ4に一体的に形成されたバルブシート5と、カバー3とバルブボディ4との間に形成されるダイヤフラム室内に往復移動可能に設置されたダイヤフラム6と、このダイヤフラム6の撓み変形部(可撓部)7の撓み変形を規制するアタッチメント8と、ダイヤフラム6をその移動方向の一方側(バルブ1を閉じる側)に付勢するリターンスプリング9とを備えている。
ダイヤフラム6は、可撓性の薄膜状弾性部材(仕切り部材)であって、カバー3とバルブボディ4との間に形成されるダイヤフラム室を、図示上下2つの上下室(以下第1、第2圧力室)11、12に気密的に区画形成している。
なお、本実施例の過給圧制御システムの詳細は、後述する。
吸気管は、エアクリーナの下流側に設置されたコンプレッサ、このコンプレッサの下流側に設置されたインタークーラ13、エンジンの燃焼室内に供給するエアの流量を調整する電子スロットル、およびこの電子スロットルの下流側に接続されるインテークマニホールド等により構成されて、エンジンの各気筒毎の吸気ポートに接続されている。
排気管は、ターボチャージャのタービン、排気浄化装置(三元触媒等)およびマフラー等により構成されて、エンジンの各気筒毎の排気ポートに接続されている。
ターボチャージャは、吸気通路の途中に設けられたコンプレッサと、排気通路の途中に設けられたタービンとを備え、吸気通路を流れる吸気をコンプレッサで圧縮し、圧縮されたエアをエンジンの各気筒毎の燃焼室へ送り込むターボ過給機である。
このターボチャージャは、タービンのホイール(タービンホイール)14が排気ガスにより回転駆動されると、ホイール14と一体回転可能に連結したシャフト15およびコンプレッサのインペラ(コンプレッサインペラ)16が回転し、このインペラ16が吸気を圧縮する。
タービンは、ホイール14およびタービンハウジング17を備えている。このホイール14は、円周方向に複数のタービンブレード(翼)を有し、エンジンの排気圧力により回転駆動される。
タービンハウジング17には、エキゾーストマニホールドの集合部から流入した排気ガスを、ホイール14より迂回(バイパス)させる排気バイパス流路(ウェイストゲート流路)18が形成されている。また、タービンハウジング17には、ウェイストゲート流路18を流れる排気ガスの流量を開閉動作により制御するウェイストゲートバルブ(図示せず)が搭載されている。
コンプレッサは、インペラ16およびコンプレッサハウジング19を備えている。このインペラ16は、円周方向に複数のインペラブレード(翼)を有し、シャフト15を介して、ホイール14に連結して回転駆動(直結駆動)される。
ここで、エアクリーナとコンプレッサハウジング19の入口端とを接続する吸気管内には、コンプレッサの上流側の吸気通路(インペラ16よりも上流側に設けられる吸気通路)21が形成されている。
また、コンプレッサハウジング19の出口端とインタークーラ13の入口端とを接続する吸気管内には、コンプレッサの下流側の吸気通路(インペラ16よりも下流側に設けられる吸気通路)22が形成されている。
インタークーラ13は、コンプレッサのインペラ16で過給された過給吸気(過給エア)を冷却媒体である冷却水(または冷却風)と熱交換させて冷却するクーラコア23を有している。
インタークーラ13の出口端は、クーラコア23を通過したエアが流れる吸気通路24を介して、電子スロットルのスロットルボディ25に接続している。
電子スロットルは、吸気管の一部を構成するスロットルボディ25、このスロットルボディ25の内部に回転可能に収容されて、吸気の流量を調整するスロットルバルブ26、このスロットルバルブ26を開閉動作させる電動アクチュエータ(図示せず)、およびスロットルバルブ26の開度(スロットル開度)を検出するスロットル開度センサ(図示せず)を備えている。
電動アクチュエータは、電力の供給を受けるとスロットルバルブ26を駆動する動力(トルク)を発生するモータ、およびこのモータの回転を減速してシャフトに伝達する減速機構等により構成される。
なお、モータは、ECMによって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
インテークマニホールドは、スロットルボディ25の出口端より流入した吸気(エア)の圧力変動を低減するサージタンク27、このサージタンク27の複数(各気筒毎)の吸気出口にそれぞれ接続する複数(各気筒毎)の吸気分岐管28等を有している。
サージタンク27は、エアを一旦貯蔵すると共に、エンジンの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに接続する複数の吸気分岐管28にエアを分配供給するためのサージタンク室を有している。
吸気分岐管28は、エンジンの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに独立して接続され、サージタンク室より気筒数分だけ分岐している。各吸気分岐管28の内部には、各気筒毎の吸気ポートへエアを導くための吸気分岐流路が形成されている。
次に、本実施例の過給圧制御システムの詳細を図1ないし図4に基づいて説明する。
過給圧制御システムは、バイパス配管、ABV、ABV−VSVおよびECM等によって構成されている。
バイパス配管は、吸気管の分岐部と合流部とを連通する連通部(連通管)である。
吸気管の分岐部には、吸気通路22で開口した分岐ポート31が形成されている。
吸気管の合流部には、吸気通路21で開口した合流ポート32が形成されている。
バイパス配管の内部には、コンプレッサのインペラ16によって過給された過給エアの一部を、分岐ポート31からABVを経由して合流ポート32へ導くためのバイパス流路33が形成されている。
ABVは、バイパス流路33と連通するバイパス流路(流路孔)34〜36を開閉するバルブ1と、このバルブ1を駆動するアクチュエータ2とを備えている。
アクチュエータ2は、カバー3、バルブボディ4、バルブシート5、ダイヤフラム6、アタッチメント8およびリターンスプリング9を備えている。
カバー3は、第1〜第3圧力導入管を介して、吸気管の吸気通路22およびサージタンク27(または各吸気分岐管28)と連通している。
第1圧力導入管は、吸気管の第1分岐部とABV−VSVの第1入口ポートとを連通する第1連通部(連通管)である。
第1分岐部には、分岐ポート31よりも下流側の吸気通路22で開口した第1分岐ポート37が形成されている。
第2圧力導入管は、吸気管の第2分岐部とABV−VSVの第2入口ポートとを連通する第2連通部(連通管)である。
第2分岐部には、サージタンク27(または各吸気分岐管28)で開口した第2分岐ポート38が形成されている。
第1圧力導入管の内部には、過給エアの一部を、第1分岐ポート37から第1入口ポートへ導くための第1圧力導入路41が形成されている。
第2圧力導入管の内部には、スロットルバルブ26を全閉することで得られる吸気負圧を、第2分岐ポート38から第2入口ポートへ導くための第2圧力導入路42が形成されている。
第3圧力導入管は、ABV−VSVの出口ポートとABVの第1圧力室11とを連通する第3連通部(連通管)である。
第3圧力導入管の内部には、エアを出口ポートから第1圧力室11へ導くための第3圧力導入路43が形成されている。
なお、ABVの詳細は、後述する。
ABV−VSVは、ABV制御用の電磁三方切替弁(バキューム・スイッチング・バルブ)である。このABV−VSVは、コンプレッサの下流側の吸気通路22とABVの第1圧力室11とを連通する過給圧導入経路(第1、第3圧力導入路41、43)と、スロットルバルブ26の下流側のサージタンク27とABVの第1圧力室11とを連通する負圧導入経路(第2、第3圧力導入路42、43)とを切り替える経路切替手段を構成している。
ABV−VSVは、ハウジング(バルブボディ)に一体的に形成された2つの第1、第2バルブシート44、45と、2つの第1、第2入口ポートを選択的に開閉するバルブ(弁体)46と、このバルブ46をその移動方向の一方側へ付勢するスプリング47と、バルブ46を駆動する電磁アクチュエータとを備えている。
第1バルブシート44の内部には、第1入口ポートが形成されている。また、第1バルブシート44の開口周縁には、バルブ46が着座可能な第1弁座が設けられている。
第2バルブシート45の内部には、第2入口ポートが形成されている。また、第2バルブシート45の開口周縁には、バルブ46が着座可能な第2弁座が設けられている。
電磁アクチュエータは、通電されると磁力を発生するコイル48を有するソレノイド等により構成されている。
ここで、ABV−VSVのバルブ46は、ソレノイドのコイル48への通電が停止(OFF)されている時、スプリング47の付勢力によって、第2弁座に着座する。これにより、第1バルブシート44の先端で開口した第1入口ポートが開放(全開)され、第2バルブシート45の先端で開口した第2入口ポートが閉鎖(全閉)される。よって、過給圧導入経路(第1制御モード)となるので、ABVは閉弁状態となる。
また、バルブ46は、ソレノイドのコイル48が通電(ON)されると、第2バルブシート側から第1バルブシート側へ移動して第1弁座に着座する。これにより、第1入口ポートが閉鎖(全閉)され、第2入口ポートが開放(全開)される。よって、負圧導入経路(第2制御モード)となるので、ABVは開弁状態となる。
ここで、ABV−VSVのコイル48は、ECMによって電子制御される電磁三方弁駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
ECMには、制御処理や演算処理を行うCPU、制御プログラムまたは制御ロジックや各種データを保存する記憶装置(RAM、ROM等のメモリ)、タイマー等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。このECMは、エアフロメータ、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、EGRVセンサ、吸気温センサ、冷却水温センサおよび排気ガスセンサ(空燃比センサ、酸素濃度センサ)等の各種センサからのセンサ出力信号が、A/D変換回路によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
ECMのマイクロコンピュータは、スロットル開度センサより出力される電気信号(スロットル開度信号)に基づいて、スロットルバルブ26のバルブ開度に相当するスロットル開度を計測(算出)し、この算出したスロットル開度に基づいてABV−VSVのコイル48への通電制御(減速時過給圧制御)を実施する。
これは、スロットルバルブ26を閉じる減速時に、過給されたエアがスロットルバルブ26で跳ね返り、サージ音が発生するのを抑制するため、ABV−VSVのコイル48をONしてABVを開弁し、過給圧をリリーフする過給圧制御である。
また、マイクロコンピュータは、冷却水温センサより出力される電気信号(冷却水温信号)に基づいて、エンジンを循環するエンジン冷却水の温度(冷却水温)を計測(算出)し、この算出した冷却水温に基づいてABV−VSVのコイル48への通電制御(低水温時過給圧制御)を実施する。
これは、エンジンが冷機状態(低水温時)で、且つアイドル時に、過給圧によるアイドル回転速度の異常な上昇を抑制するため、ABV−VSVのコイル48をONしてABVを開弁し、過給圧をリリーフする過給圧制御である。
次に、本実施例のABVの詳細を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
ABVは、ダイヤフラム一体型のバルブ1と、カバー3との間にダイヤフラム室を形成するバルブボディ4と、このバルブボディ4の内部に設けられるバルブシート5と、バルブ1を一体移動可能に連結したダイヤフラム6と、このダイヤフラム6に一体的に設けられた撓み変形部7と、この撓み変形部7の反転現象を規制するアタッチメント8と、ダイヤフラム6に対して、バルブ1を閉弁方向に付勢するリターンスプリング9とを備えている。
バルブ1は、例えば金属または合成ゴムまたは合成樹脂によって円環板形状に一体的に形成されている。このバルブ1は、バルブシート5の弁座49に対して着座、離脱して流路孔(弁孔)35を閉鎖、開放する弁体(ABVの弁体)である。バルブ1は、このバルブ1を保持するバルブホルダー(保持部材)51と共に、リベット52等を用いてダイヤフラム6と一体移動可能に連結している。
バルブホルダー51は、バルブ1のダイヤフラム側面に密着した円環部、およびバルブ1の周囲を円周方向に取り囲む円筒部を有している。円筒部の外周面は、アタッチメント8と往復摺動可能となっている。
カバー3は、例えば金属または合成樹脂によって有底(天)円筒状に一体的に形成されている。このカバー3には、第3圧力導入路43に連通する圧力導入路53を有する圧力導入管54が一体的に形成されている。
カバー3の天井部には、リターンスプリング9の一端を保持するスプリング座55が設けられている。カバー3の開口側には、半径方向の外方側へ拡がる結合フランジ(第1結合部)56が一体的に形成されている。
結合フランジ56の外周部には、バルブボディ4の開口端部の周囲を円周方向に取り囲む円筒状の突条部(凸部)57が設けられている。
カバー3には、バルブ1の全開時に全開ストッパとしての機能を有する段差部58が設けられている。段差部58は、バルブ1およびダイヤフラム6の軸線方向の動作範囲を規制する規制面として利用されている。これにより、バルブ1が全開した際にダイヤフラム6の軸線方向の他方側(開弁方向)への動作が規制される。
バルブボディ4は、例えば金属または合成樹脂によって所定の形状に一体的に形成されている。このバルブボディ4には、バルブシート5、円管状の入口パイプ61および円管状の出口パイプ62が一体的に形成されている。
入口パイプ61は、バルブシート5よりも上流側に設けられている。この入口パイプ61の上流端で開口した入口ポートは、バイパス配管を介して、吸気通路22で開口した分岐ポート31と連通している。また、入口パイプ61内には、流路孔35の形成方向(図示上下方向)に対して垂直な方向(図示左右方向)に延びる流路孔34が形成されている。
出口パイプ62は、バルブシート5の下流側に連続して設けられている。この出口パイプ62の下流端で開口した出口ポートは、吸気通路21で開口した合流ポート32と連通している。また、出口パイプ62内には、流路孔35の形成方向(図示上下方向)に対して垂直な方向(図示左右方向)に延びる流路孔36が形成されている。
ここで、出口パイプ62の先端部は、吸気管の合流部に向けて突出している。出口パイプ62には、吸気管の合流部に差し込まれて保持される円筒状の嵌合部63が設けられている。この嵌合部63の外周には、吸気管の合流部に設けられる嵌合穴との間の隙間を密閉するためのOリング64を装着する円環状のリング溝が形成されている。
バルブボディ4は、結合フランジ56との間に、ダイヤフラム6の外周端部およびアタッチメント8の外周端部を挟み込んで気密的に保持する結合フランジ(第2結合部)65を有している。
バルブボディ4は、吸気管の合流部の取付面に結合される取付フランジ66を有している。この取付フランジ66には、図示しない締結ボルトが貫通する挿通孔が形成されている。この挿通孔の内部には、締結ボルトが挿通可能な補強用の金属カラー67が嵌め込まれている。
バルブシート5は、バルブボディ4の底部および出口パイプ62に一体的に形成されている。このバルブシート5の内部には、第2圧力室12と流路孔36とを連通する流路孔35が形成されている。バルブシート5の開口周縁には、バルブ1のシール面が密着して着座可能な円環状の弁座(シール部)49が設けられている。そして、弁座49は、バルブ1およびダイヤフラム6の軸線方向の動作範囲を規制する規制面として利用されている。これにより、バルブ1のシール面が弁座49に着座した際にダイヤフラム6の軸線方向の一方側(閉弁方向)への動作が規制される。
流路孔35は、第2圧力室12に臨むように開口している。これにより、流路孔35は、第2圧力室12を介して流路孔34と連通している。また、流路孔35は、流路孔36と直接連通している。
ダイヤフラム6は、例えば金属または合成ゴムまたは合成樹脂によって円環板形状に一体的に形成されている。このダイヤフラム6は、リターンスプリング9の荷重を受け止めるスプリングシート71と共に、リベット52等を用いてバルブ1およびバルブホルダー51と連結されている。
スプリングシート71には、リターンスプリング9の他端を保持する円環板状のスプリング座72が設けられている。また、スプリングシート71の外周部には、バルブ1の開弁時に、カバー3の段差部58に係止される鍔部73が設けられている。鍔部73には、第1圧力室11内のエアの流動を容易にするための複数の貫通孔74が形成されている。
ダイヤフラム6は、バルブ1が弁座49に着座している時、特に第1圧力室11の内部圧力が第2圧力室12の内部圧力以下の時に、第1圧力室11側に突出する(凸となる)ように所定の曲率で湾曲した撓み変形部7を備えている。この撓み変形部7には、アタッチメント8に接触して係止される被係止部75が設けられている。
ダイヤフラム6は、撓み変形部7よりも外周側に円環状の周縁部76を有している。この周縁部76は、2つの結合フランジ56、65間に挟み込まれて固定される。この周縁部76の最外周部には、2つの結合フランジ56、65間の隙間をシールするシール部(肉厚部)77が設けられている。
ダイヤフラム6は、撓み変形部7よりも内周側に円環状の中央部(平板部)を有している。中央部は、バルブホルダー51とスプリング座72との間に挟み込まれて保持されている。
アタッチメント8は、ハウジング(カバー3、バルブボディ4)に対して別体部品で構成された反転規制部材であって、例えば金属または合成樹脂によって円環板形状に一体的に形成されている。このアタッチメント8は、第1圧力室11の内部圧力が第2圧力室12の内部圧力よりも大きい時に、撓み変形部7が、第2圧力室12側に突出する(凸となる)ように湾曲する撓み変形を規制する反転規制部である。
アタッチメント8は、撓み変形部7の撓み形状に対応した湾曲形状の係止部81を備えている。この係止部81は、被係止部75を係止する。また、係止部81には、エアが板厚方向に流通可能な貫通孔が形成されている。なお、貫通孔の代わりに、メッシュまたは格子またはスリットまたは小穴を係止部81に設けても良い。
アタッチメント8は、係止部81よりも外周側に円環状の周縁部82を有している。この周縁部82は、周縁部76と共に、2つの結合フランジ56、65間に挟み込まれて固定される。また、アタッチメント8の周縁部82は、結合フランジ65と周縁部76との間に圧入固定されている。
アタッチメント8は、係止部81よりも外周側で周縁部82から分岐するように円筒状の係合部83を有している。この係合部83は、バルブボディ4の開口部の内周面に係合するように円周方向に連続して設けられている。
アタッチメント8は、係止部81よりも内周側に円筒状の支持部(バルブガイド)84を有している。このアタッチメント8の内部には、バルブ1およびバルブホルダー51がその軸線方向に移動可能な貫通孔85が形成されている。
バルブガイド84は、バルブ1およびバルブホルダー51を、その軸線方向に往復摺動可能にガイドしている。これにより、バルブ1は、初期位置である弁座49より離脱してリフトする開弁動作時、および所定の開弁位置から弁座49側に移動する閉弁動作時に、バルブホルダー51の側面がバルブガイド84と摺動することにより、流路孔35および弁座49の中心軸線(軸芯)上を往復移動することになる。
[実施例1の作用]
次に、本実施例の過給圧制御システムの作動を図1ないし図4に基づいて簡単に説明する。
ECMは、エンジン回転速度、スロットル開度およびエンジン冷却水温の状態により、ABV−VSVの電磁アクチュエータのコイル48をON/OFF制御するように構成されている。
ABV−VSVのコイル48への通電が停止(OFF)している場合、バルブ46はリターンスプリング47の付勢力(スプリング力)によって第2バルブシート45の第2弁座に押し付けられて、バルブ46が第2弁座に着座している。このとき、ABV−VSVの第1入口ポートが開放され、第2入口ポートが閉鎖される。これにより、第1入口ポートと出口ポートとが連通状態となる。
したがって、コンプレッサのインペラ16で過給された過給エアは、図1に示したように、第1分岐ポート37から第1圧力導入路41→ABV−VSV→第3圧力導入路43→圧力導入路53を経由して、ABVの第1圧力室11へ導かれている。
また、エアは、分岐ポート31からバイパス流路33、流路孔34を経由してABVの第2圧力室12へ導かれている。
すなわち、ABV−VSVのコイル48をOFFしている間は、第1圧力室11内に過給圧(大気圧よりも高い正圧)が導入され、また、第2圧力室12内には常に過給圧が導入されており、第1圧力室11内の圧力と第2圧力室12内の圧力との間には、圧力差が無い状態となる。
これにより、2つの第1、第2圧力室11、12を気密的に仕切るダイヤフラム6の図示上面および図示下面に共に同一の過給圧がかかる。このため、ABVのバルブ1は、図3に示したように、ダイヤフラム6等と共に、スプリング9の付勢力(スプリング力)によって弁座49に押し付けられて、バルブ1のシート面が弁座49に着座している。このとき、ABVは、流路孔34および第2圧力室12と流路孔35、36との連通状態、つまり流路孔34および第2圧力室12から流路孔35、36へのエアの流通が遮断される。つまりABVは、閉弁状態となる。
一方、ECMは、エンジンの減速時、例えばスロットルバルブ26が急激に閉じられた時に、ABV−VSVの電磁アクチュエータのコイル48を所定時間が経過する間、オン(ON)するように構成されている。
また、ECMは、エンジン冷却水温が所定値以下(エンジン冷機状態)で、且つエンジン回転速度が所定値以下の時(アイドル運転時)に、ABV−VSVの電磁アクチュエータのコイル48をオン(ON)するように構成されている。
ABV−VSVのコイル48へ駆動信号が印加されて、コイル48に電流が流れると、バルブ46を第1バルブシート44の第1弁座側に引き寄せる力である磁気吸引力(磁力)が発生する。
そして、磁力によってバルブ46が第1弁座に向かって移動すると、バルブ46が第2バルブシート45の第2弁座から離脱(離座)して第1バルブシート44の第1弁座に着座する。このとき、ABV−VSVの第1入口ポートが閉鎖され、第2入口ポートが開放される。これにより、第2入口ポートと出口ポートとが連通状態となる。
このとき、スロットルバルブ26は閉じられているので、スロットルバルブ26の下流側の吸気圧力は、大気圧よりも低い負圧となっている。したがって、スロットルバルブ26の下流側のエア(負圧エア)は、図2に示したように、第2分岐ポート38から第2圧力導入路42→ABV−VSV→第3圧力導入路43→圧力導入路53を経由して、ABVの第1圧力室11へ導かれている。
一方、上述したように、過給エアは、常時、分岐ポート31からバイパス流路33、流路孔34を経由してABVの第2圧力室12へ導かれている。
すなわち、ABV−VSVのコイル48をONした場合には、第1圧力室11内に吸気負圧が導入され、また、第2圧力室12内に過給圧が導入される。これにより、第1圧力室11内の圧力よりも、第2圧力室12内の圧力が大きい状態となる。
これにより、ダイヤフラム6の図示上面に吸気負圧(インテークマニホールド内と同等の圧力)がかかり、ダイヤフラム6の図示下面に吸気負圧よりも大きい過給圧がかかる。このため、ABVのバルブ1は、図4に示したように、第2圧力室12にかかる過給圧がリターンスプリング9を押し縮め、ダイヤフラム6等と共に図示上方に移動し、バルブ1のシート面が弁座49から離脱(離座)する。このとき、ABVは、流路孔34および第2圧力室12と流路孔35、36との連通状態、つまり流路孔34および第2圧力室12から流路孔35、36へのエアの流通が許可される。つまりABVは、開弁状態となり、過給圧が、コンプレッサの上流側の吸気通路21にリリーフされる。
したがって、減速時においては、過給エアがスロットルバルブ26で跳ね返りサージ音が発生するのを抑制することができる。あるいは低水温時においては、過給圧によるアイドル回転速度の異常な上昇を抑制することができる。
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の過給圧制御システムにおいては、スロットルバルブ26を閉弁する減速直後およびアイドル運転時は、スロットルバルブ26の閉弁によりスロットルバルブ26の下流は負圧となるので、ABVの第1圧力室11に負圧が導かれ、ABVのバルブ1が開弁される。これにより、インペラ16の下流側とスロットルバルブ26の上流側の吸気通路22内の過給エアは、バイパス流路33、流路孔34、第2圧力室12、流路孔35、36を経由してコンプレッサの上流側の吸気通路21に戻される。
ここで、ABV−VSVのコイル48をOFFしている間は、第1圧力室11内に過給圧(大気圧よりも高い正圧)が導入され、また、第2圧力室12内には常に過給圧が導入されており、第1圧力室11内の圧力と第2圧力室12内の圧力との間には、圧力差が無い状態となっている。
しかし、ターボチャージャを備えたエンジンにおいては、ターボチャージャのコンプレッサやエンジンの吸気弁の作動に起因する吸気の圧力脈動(吸気脈動の圧力波)が吸気管の吸気通路内を伝播している。
そして、吸気脈動の圧力波は、ABV−VSVを介することにより、なまされて第1圧力室11内の圧力が第2圧力室12内の圧力よりも大きくなる領域が存在する。
そのため、ダイヤフラム6の撓み変形部7に反転現象が発生することがある。
すなわち、第1圧力室11内の圧力が第2圧力室12内の圧力よりも大きい場合には、ダイヤフラム6の撓み変形部7の撓み方向が、図6(b)に示すような上に凸となる方向に対して、図6(c)に示すような下に凸となる方向に反転することがある。このような撓み変形部7の反転現象が繰り返されると、撓み変形部7にクラックが入り、ダイヤフラムバルブとしてのABVの耐久性を低下させるという問題がある。
そこで、ダイヤフラム6の撓み変形部7の反転現象を防止するという目的で、本実施例のABVにおいては、カバー3の結合フランジ56とバルブボディ4の結合フランジ65との間に、撓み変形部7の撓み形状に対応した形状のアタッチメント8の周縁部82を挟み込んで固定している。
ここで、撓み変形部7には、常時、アタッチメント8の係止部81に接触して係止される被係止部75が設けられている。
これによって、第1圧力室11内の圧力が第2圧力室12内の圧力よりも大きくなった場合でも、ダイヤフラム6の撓み変形部7が、ダイヤフラム室内において第2圧力室12側に突出する(凸となる)ように湾曲する撓み変形を規制することが可能となる。
したがって、ダイヤフラム6の撓み変形部7の反転現象を確実に防止することができるので、ダイヤフラム6の反転圧によるクラックの発生をなくすことができる。これにより、ダイヤフラムバルブとしてのABVの耐久性を向上させることができる。
また、本実施例のABVにおいては、アタッチメント8を、カバー3およびバルブボディ4に対して別体部品で構成し、且つアタッチメント8の周縁部82を、カバー3の結合フランジ56とバルブボディ4の結合フランジ65との間に挟み込んで固定している。また、アタッチメント8の周縁部82は、結合フランジ65とダイヤフラム6の周縁部76との間に圧入固定されている。これによって、ダイヤフラム6の形状、特に撓み変形部7の撓み形状に合わせて容易にアタッチメント8を組み替えることができる。
また、本実施例のアタッチメント8には、バルブ1およびバルブホルダー51を、往復摺動可能にガイドする円筒状のバルブガイド84が一体的に設けられている。これにより、バルブシート5の弁座49に対するバルブ1の芯ズレを防止できるので、ABVの閉弁動作時に、弁座49にバルブ1が確実に着座することができる。したがって、ABVの閉弁時に、過給エアが洩れるのを防止することができる。
[実施例2]
図5は、本発明のダイヤフラム装置を適用したダイヤフラム式圧縮機(実施例2)を示したものである。
本実施例のダイヤフラム式圧縮機は、内部にダイヤフラム室を形成するハウジング(第1〜第3ハウジング201〜203)と、ダイヤフラム室を2つの第1、第2室204、205に区画形成するダイヤフラム206と、ダイヤフラム206の撓み変形部207の撓み変形を規制するアタッチメント208と、ダイヤフラム206と一体移動可能に連結したロッド209と、このロッド209を介して、ダイヤフラム206をその軸線方向に往復移動させるカムシャフト210とを備えている。
ダイヤフラム206の中央部は、固定具211、212によって挟み込まれている。ダイヤフラム206の周端部は、第1ハウジング201と第2ハウジング202とによって挟み込まれて保持されている。ダイヤフラム206の撓み変形部207は、ダイヤフラム206の図示下側の第1室204内の圧力が、ダイヤフラム206の図示上側の第2室205内の圧力以下の時に、第1室204側に突出する(凸となる)ように所定の曲率で湾曲した可撓部(弛み部)である。
第1室204は、第2ハウジング202とダイヤフラム206との間に形成される空間部である。
第2室205は、第1ハウジング201とダイヤフラム206との間に形成される吸入・圧縮室である。
第1ハウジング201の第2室205に臨む部分には、吸入用チェックバルブ213と吐出用チェックバルブ214が形成されている。また、吸入用チェックバルブ213は、吸入口215と連通しており、また、吐出用チェックバルブ214は、吐出口216と連通している。
第1室204に臨む第2ハウジング202には、第1室204と外部とを連通させる複数の連通孔217が形成されている。
これらの連通孔217には、第1室204内の空気が外部に排出される時にのみ開弁する空気放出弁218が形成されている。
アタッチメント208は、ハウジング(第1ハウジング201、第2ハウジング202)に対して別体部品で構成されている。このアタッチメント208の外周部には、ハウジング(第1ハウジング201)の内周に圧入固定される環状の周縁部219が設けられている。また、アタッチメント208には、撓み変形部207の撓み形状に対応した形状の係止部220が設けられている。この係止部220には、空気が流通可能な複数の貫通孔が形成されている。
撓み変形部207には、係止部220に接触して係止される被係止部221が設けられている。
ロッド209の軸方向の一端は、第2ハウジング202の中央部に設置された筒状のブッシュ222の摺動孔を通って、第1ハウジング201と第2ハウジング202との間に形成されるダイヤフラム室に突き出して、ダイヤフラム206に連結されている。
ロッド209の軸方向の他端と第2ハウジング202との間には、ロッド209をカムシャフト210のカム部223へ押し当てる側に付勢するコイルスプリング224が設置されている。
第3ハウジング203の中心軸孔には、カムシャフト210が挿入されている。カムシャフト210の一端は、ベアリングにより支持され、第3ハウジング203より外部へ突出してモータ、エンジン等の駆動装置に結合されている。また、カムシャフト210の他端は、ベアリングにより支持されている。
カムシャフト210のカム部223は、回転運動をロッド209の往復運動に転換するカム形状に形成されている。
なお、第3ハウジング203の内部には、オイルまたはグリース等の潤滑剤が満たされており、カム部223とロッド209との間の潤滑を行っている。
以上のように、本実施例のアクチュエータにおいては、ダイヤフラム206の撓み変形部207の撓み方向が図示下方のため、第1ハウジング201側にアタッチメント208を取り付けている。これにより、実施例1と同様な効果を達成することができる。
[変形例]
本実施例では、本発明のダイヤフラム装置を、アクチュエータ2を備えたダイヤフラムバルブとしてABVまたはダイヤフラム式圧縮機に適用しているが、本発明のダイヤフラム装置を、ダイヤフラムアクチュエータを備えたその他のダイヤフラムバルブに適用しても良い。
なお、過給機として、ターボチャージャを用いたが、スーパーチャージャや、電動コンプレッサを用いても良い。
また、ダイヤフラム室に導入する流体としては、エア(吸気)だけでなく、蒸発燃料、気相冷媒、水蒸気やガス等の気体、あるいは水、燃料、オイルや液相冷媒等の液体、あるいは気液二相状態の流体を使用することができる。
1 バルブ(弁体)
2 アクチュエータ(ダイヤフラムアクチュエータ)
3 カバー(ハウジング)
4 バルブボディ(ハウジング)
5 バルブシート(ハウジング)
6 ダイヤフラム
7 撓み変形部
8 アタッチメント(反転規制部)
11 第1圧力室(第1室)
12 第2圧力室(第2室)

Claims (12)

  1. (a)内部にダイヤフラム室(11、12、204、205)が形成されたハウジング(3、4、5、201、202)と、
    (b)前記ダイヤフラム室(11、12、204、205)内に往復移動可能に設置されて、前記ダイヤフラム室(11、12、204、205)を2つの第1、第2室(11、12、204、205)に区画形成するダイヤフラム(6、206)と
    を備えたダイヤフラム装置において、
    エアクリーナを通過した吸気が流れる吸気通路(21、22)を形成する吸気管と、
    前記吸気通路(21、22)の途中に設置されたコンプレッサ(16)を有する過給機と、
    前記コンプレッサ(16)の下流側と上流側とを連通するバイパス通路(33)と、
    このバイパス通路(33)の途中に設置されたバイパスバルブと、
    前記コンプレッサ(16)の下流側に設置されて、吸気の流量を調整するスロットルバルブ(26)と、
    前記コンプレッサ(16)の下流側と前記第1室(11)とを連通する過給圧導入経路(41、43)と、
    前記スロットルバルブ(26)の下流側と前記第1室(11)とを連通する負圧導入経路(42、43)と、
    前記スロットルバルブ(26)の開度に応じて前記過給圧導入経路(41、43)と前記負圧導入経路(42、43)とを切り替える経路切替手段(44〜47)と
    を備え、
    前記ダイヤフラム(6、206)は、前記第1室(11、204)内の圧力が前記第2室(12、205)内の圧力以下の時に、前記第1室(11、204)側に突出するように湾曲した撓み変形部(7、207)を有し、
    前記ハウジング(3、4、5、201、202)は、前記第1室(11、204)内の圧力が前記第2室(12、205)内の圧力よりも大きい時に、前記撓み変形部(7、207)が前記第2室(12、205)側に突出するように湾曲する撓み変形を規制する反転規制部(8、208)を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
  2. 請求項1に記載のダイヤフラム装置において、
    前記反転規制部(8、208)は、前記撓み変形部(7、207)の撓み形状に対応した形状の係止部(81、220)を有し、
    前記撓み変形部(7、207)は、前記係止部(81、220)に接触して係止される被係止部(75、221)を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のダイヤフラム装置において、
    前記反転規制部(8、208)は、流体が流通可能な貫通孔を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載のダイヤフラム装置において、
    前記反転規制部(8、208)は、前記ハウジング(3、4、201、202)に対して別体部品で構成されて、前記ハウジング(3、4、201、202)に圧入固定される環状の周縁部(82、219)を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載のダイヤフラム装置において、
    前記ハウジングは、前記ダイヤフラム(6)との間に前記第1室(11)を形成するカバー(3)、および前記ダイヤフラム(6)との間に前記第2室(12)を形成するケース(4、5)を有し、
    前記カバー(3)は、前記ダイヤフラム(6)の周囲を周方向に取り囲む環状の第1結合部(56)を有し、
    前記ケース(4、5)は、前記第1結合部(56)に対向して配置されて、前記第1結合部(56)に着脱自在に結合される環状の第2結合部(65)を有し、
    前記反転規制部(8)は、前記ハウジング(3、4、5)に対して別体部品で構成されて、前記第1結合部(56)と前記第2結合部(65)との間に挟み込まれて固定される環状の周縁部(82)を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載のダイヤフラム装置において、
    前記ダイヤフラム(206)と一体移動可能に連結したロッド(209)と、
    このロッド(209)を介して前記ダイヤフラム(206)を往復移動させるカムシャフト(210)と
    を備えていることを特徴とするダイヤフラム装置。
  7. (a)内部にダイヤフラム室(11、12)が形成されたハウジング(3、4、5)と、
    (b)前記ダイヤフラム室(11、12)内に往復移動可能に設置されて、前記ダイヤフラム室(11、12)を2つの第1、第2室(11、12)に区画形成するダイヤフラム(6)と
    を備えたダイヤフラム装置において、
    エアクリーナを通過した吸気が流れる吸気通路(21、22)を形成する吸気管と、
    前記吸気通路(21、22)の途中に設置されたコンプレッサ(16)を有する過給機と、
    前記コンプレッサ(16)の下流側と上流側とを連通するバイパス通路(33)と、
    このバイパス通路(33)の途中に設置されたバイパスバルブと、
    前記コンプレッサ(16)の下流側に設置されて、吸気の流量を調整するスロットルバルブ(26)と、
    前記コンプレッサ(16)の下流側と前記第1室(11)とを連通する過給圧導入経路(41、43)と、
    前記スロットルバルブ(26)の下流側と前記第1室(11)とを連通する負圧導入経路(42、43)と、
    前記スロットルバルブ(26)の開度に応じて前記過給圧導入経路(41、43)と前記負圧導入経路(42、43)とを切り替える経路切替手段(44〜47)と
    を備え、
    前記ダイヤフラム(6)は、前記第1室(11)内の圧力が前記第2室(12)内の圧力以下の時に、前記第1室(11)側に突出するように湾曲した撓み変形部(7)を有し、
    前記ハウジング(3、4、5)は、前記第1室(11)内の圧力が前記第2室(12)内の圧力よりも大きい時に、前記撓み変形部(7)が前記第2室(12)側に突出するように湾曲する撓み変形を規制する反転規制部(8)を有し、
    前記バイパスバルブは、前記ダイヤフラム(6)と一体移動可能に連結した弁体(1)を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
  8. 請求項7に記載のダイヤフラム装置において、
    前記反転規制部(8)は、前記撓み変形部(7)の撓み形状に対応した形状の係止部(81)を有し、
    前記撓み変形部(7)は、前記係止部(81)に接触して係止される被係止部(75)を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
  9. 請求項7または請求項8に記載のダイヤフラム装置において、
    前記反転規制部(8)は、流体が流通可能な貫通孔を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
  10. 請求項7ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載のダイヤフラム装置において、
    前記反転規制部(8)は、前記ハウジング(3、4)に対して別体部品で構成されて、前記ハウジング(3、4)に圧入固定される環状の周縁部(82)を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
  11. 請求項7ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載のダイヤフラム装置において、 前記ハウジングは、前記ダイヤフラム(6)との間に前記第1室(11)を形成するカバー(3)、および前記ダイヤフラム(6)との間に前記第2室(12)を形成するケース(4、5)を有し、
    前記カバー(3)は、前記ダイヤフラム(6)の周囲を周方向に取り囲む環状の第1結合部(56)を有し、
    前記ケース(4、5)は、前記第1結合部(56)に対向して配置されて、前記第1結合部(56)に着脱自在に結合される環状の第2結合部(65)を有し、
    前記反転規制部(8)は、前記ハウジング(3、4、5)に対して別体部品で構成されて、前記第1結合部(56)と前記第2結合部(65)との間に挟み込まれて固定される環状の周縁部(82)を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
  12. 請求項7ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載のダイヤフラム装置において、 前記反転規制部(8)は、前記弁体(1)またはこの弁体(1)を保持する保持部材(51)を、往復摺動可能にガイドする筒状の支持部(84)を有していることを特徴とするダイヤフラム装置。
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