JP5821401B2 - 光インプリント用感光性樹脂組成物、硬化物、レジスト基板及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

光インプリント用感光性樹脂組成物、硬化物、レジスト基板及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光インプリント用感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を露光することにより得られる硬化物、レジスト基板及び半導体装置の製造方法に関する。さらに詳しくは、重合性反応基を1つ以上有する化合物との相溶性又は重合性反応基を1つ以上有する化合物に対する溶解性が高く、光に対する感度が高い光重合開始剤を含有する、解像度及び深部硬化性に優れる感光性樹脂組成物であって、テンプレートの凹部への充填性が高い一方、露光後の硬化物はテンプレートからの剥離性に優れると共に基板との密着性に優れ、硬化物の凹凸形状の湾曲や欠けが極めて少なく、硬化収縮率が低く、かつドライエッチング耐性に優れた光インプリント用感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を露光することにより得られる硬化物、並びにレジスト基板及び半導体装置の製造方法に関する。
インプリントは数十nm〜数百μmの凹凸形状を形成する際に用いられる技術の一つである。
その中でも、光を用いて凹凸形状を転写形成する方法は光インプリントと言われ、露光装置や電子線描画装置といった高価なプロセス装置を用いることなく微細な凹凸形状が低コストで作製できることから、近年注目を集めている。光インプリントは、基板表面に塗布又は滴下した光硬化性樹脂組成物に微細な凹凸形状を有する型部材(一般的に、テンプレート、スタンパ、モールドなどと呼ばれる。)を接触させ、凹凸形状の凹部に感光性樹脂組成物を充填させた後、充填された樹脂組成物を光で硬化させ、硬化した樹脂からテンプレートを離型し、微細形状を等倍転写する凹凸形成技術であり、凹凸形状がnm(ナノメートル)サイズの場合を特に光ナノインプリントという。
光インプリントでは、テンプレートの凹部内への感光性樹脂組成物の充填性を高くする必要があり、且つ、テンプレートからの離型性に優れ、基板との密着性を良くする必要があることが知られており、特に凹凸形状がnm(ナノメートル)サイズの場合には、これらに関して高い性能が要求される。インプリント工程における硬化樹脂と基板との密着性の向上については、種々検討されている。例えば、シランカップリング剤を感光性樹脂組成物に含有させることによって、基板密着性を向上する方法が知られている(特許文献1及び2参照)。また、インプリント工程における硬化樹脂と基板との密着に関するトラブルは、硬化樹脂とテンプレートとの剥離力(離型性)とも密接に関わっている。離型性向上に関して、離型剤としてフッ素系材料やシリコン系材料を用いることが報告されている(特許文献3及び4参照)。これらの方法は添加剤としての改良方法であるため、適用範囲は広いが、塗布装置への付着や硬化膜のエッチング時の装置の汚染等、用途によってはフッ素原子やケイ素原子を用いることができない場合がある。
このように、テンプレートの凹部内への感光性樹脂組成物の充填性を高くし、且つ、テンプレートからの離型性に優れ、基板との密着性を良くすることは容易なことではなく、高解像度をいかにして達成し得るか、現在も検討がなされている。ここで、高感度及び高解像度等を達成し得る感光性樹脂組成物を得る方法として、光重合開始剤としてオキシムエステル化合物を用いることが提案されている(特許文献5〜9参照)。
特開2007−84625号公報 特開2008−105414号公報 特開2007−1250号公報 特開2005−84561号公報 特許第3860170号明細書 特開2006−36750号公報 特許第3992725号明細書 特開2010−37542号公報 韓国公開特許第2009−0046108号公報
特許文献5〜9に記載の光重合開始剤では、重合性反応基を1つ以上有する化合物との相溶性又は重合性反応基を1つ以上有する化合物に対する溶解性が不十分であり、使用条件に制限がある。また、これらの光重合開始剤では、光に対する感度にはまだ改善の余地がある。そのため、従来の課題を解決し得る新規構造の光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物を提供すること自体が有意義なことであり、当該技術分野に求められていることでもある。
よって、本発明の課題は、重合性反応基を1つ以上有する化合物との相溶性又は重合性反応基を1つ以上有する化合物に対する溶解性が高く、光に対する感度が高い光重合開始剤を含有する、解像度及び深部硬化性に優れる感光性樹脂組成物であって、テンプレートの凹部への充填性が高い一方、露光後の硬化物はテンプレートからの剥離性に優れると共に基板との密着性に優れ、硬化物の凹凸形状の湾曲や欠けが極めて少なく、硬化収縮率が低く、かつドライエッチング耐性に優れた光インプリント用感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物を露光することにより得られる硬化物、並びにレジスト基板及び半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明者は、前記課題を達成するために鋭意研究を重ねた結果、後述する一般式(I)で表される特定構造の光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物であれば、前記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[8]に関する。
[1](A)下記一般式(I)で表される光重合開始剤及び
(B)重合性反応基を1つ以上有する化合物
を含有し、25℃における粘度が25cPs以下である光インプリント用感光性樹脂組成物。
(式中、R1〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルケニル基、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカノイル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケノイル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成原子数3〜14のヘテロ環基を示す。R3は、R4又はR5と一緒になって環を形成していてもよい。R4は、R5と一緒になって環を形成していてもよい。
また、Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜14のヘテロアリール基を示す。
Wは、単結合又は酸素原子を示す。Zは、単結合、酸素原子又は>NR3’(R3’は、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を示すか、又はR3’はR3とつながって、窒素原子と共に環を形成している。)を示す。
nは、1〜10の整数を示す。nが2〜10の整数の場合、複数のR4及びR5は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
[2]上記[1]に記載の光インプリント用感光性樹脂組成物であって、該感光性樹脂組成物を1.5μlの純水接触角が112°±5°の基板上に40±5pl(ピコリットル)の液滴として滴下して、1気圧及び25℃にて1分放置した場合の該液滴の直径の変化が15%以内である、光インプリント用感光性樹脂組成物。
[3]前記一般式(I)において、Zが酸素原子であり、R3が炭素数1〜18のアルコキシ基で置換された、炭素数1〜20のアルキル基である、上記[1]又は[2]に記載の光インプリント用感光性樹脂組成物。
[4]さらに(C)成分として界面活性剤を含有する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の光インプリント用感光性樹脂組成物。
[5]前記(B)成分が(メタ)アクリロイル基を有する化合物である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の光インプリント用感光性樹脂組成物。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の光インプリント用感光性樹脂組成物を露光することにより得られる硬化物。
[7]下記工程(1)〜(4)をこの順に有する、レジスト基板の製造方法。
(1)基板上又は基板に積層した密着層上に、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の感光性樹脂組成物をインクジェット方式によって付着させる工程。
(2)前記工程(1)によって付着した感光性樹脂組成物の上から、前記基板又は基板に積層した密着層上に対して、凹凸形状を表面に有するテンプレートを接触させ、前記凹凸形状内に感光性樹脂組成物を充填させる工程。
(3)露光により前記感光性樹脂組成物を硬化させ、基板上又は基板に積層した密着層上に、レジスト凹凸形状を形成する工程。
(4)レジスト凹凸形状が形成された基板からテンプレートを剥離する工程。
[8]下記工程(5)〜(7)をこの順に有する、半導体装置の製造方法。
(5)上記[7]に記載の製造方法で得たレジスト基板において、レジスト凹凸形状の凹部を基板が露出するまでドライエッチング加工する工程。
(6)前記工程(5)にて現れた基板の露出部分をさらにドライエッチング加工し、基板自体に凹部を形成する工程。
(7)基板上のレジストを除去する工程、又は、基板に密着層が積層している場合には該密着層とレジストとを共に除去する工程。
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物は、重合性反応基を1つ以上有する化合物との相溶性又は重合性反応基を1つ以上有する化合物に対する溶解性が高く、光に対する感度が高い光重合開始剤を含有する、解像度及び深部硬化性に優れる感光性樹脂組成物である。そして、テンプレートの凹部への充填性が高い一方、露光後の硬化物はテンプレートからの剥離性に優れると共に基板との密着性に優れ、硬化物の凹凸形状の湾曲や欠けが極めて少なく、硬化収縮率が低く、かつドライエッチング耐性に優れている。また、低粘度(25cPs以下)であるため、インクジェットによる塗布が可能である。
実施例6にて得た、ライン線幅24nmのレジストパターンのSEM写真である。 実施例6にて得た、ライン線幅32nmのレジストパターンのSEM写真である。
[光インプリント用感光性樹脂組成物]
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物は、(A)下記一般式(I)で表される光重合開始剤及び(B)重合性反応基を1つ以上有する化合物を含有し、25℃における粘度が25cPs以下である光インプリント用感光性樹脂組成物。
(式中、R1〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルケニル基、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカノイル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケノイル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成原子数3〜14のヘテロ環基を示す。R3は、R4又はR5と一緒になって環を形成していてもよい。R4は、R5と一緒になって環を形成していてもよい。
また、Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜14のヘテロアリール基を示す。
Wは、単結合又は酸素原子を示す。Zは、単結合、酸素原子又は>NR3’(R3’は、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を示すか、又はR3’はR3とつながって、窒素原子と共に環を形成している。)を示す。
nは、1〜10の整数を示す。nが2〜10の整数の場合、複数のR4及びR5は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
〔(A)光重合開始剤〕
本発明で使用する(A)成分の光重合開始剤は、前記一般式(I)で表されるものである。
一般式(I)で表される光重合開始剤の中でも、本発明の効果の観点から、Zが酸素原子(O)であり、R3が炭素数1〜18のアルコキシ基で置換された、炭素数1〜20のアルキル基であるものが好ましい。また、同様の観点から、下記一般式(I−a)で表される光重合開始剤(W:単結合、Z:酸素原子の場合に相当する。)及び下記一般式(I−b)で表される光重合開始剤(nが1の場合に相当する。)が好ましい。
上記式中、R1〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルケニル基、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカノイル基、炭素数2〜20のアルケノイル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成原子数3〜14のヘテロ環基を示す。なお、一般式(I−a)においては、R3は、R4又はR5と一緒になって環を形成していてもよく、また、R4は、R5と一緒になって環を形成していてもよい。
また、Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜14のヘテロアリール基を示す。
一般式(I−b)中のWは、単結合又は酸素原子を示す。また、一般式(I−b)中のZは、単結合、酸素原子又は>NR3’(R3’は、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を示すか、又はR3’はR3とつながって、窒素原子と共に環を形成している。)を示す。
一般式(I−a)中のnは、1〜10の整数を示す。nが2〜10の整数の場合、複数のR4及びR5は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
(一般式(I)、(I−a)及び(I−b)中の各基について)
nとしては、後述する重合性反応基を1つ以上有する化合物との相溶性(以下、単に相溶性と称することがある。)又は重合性反応基を1つ以上有する化合への溶解性(以下、単に溶解性と称することがある。)の観点及び製造容易性の観点から、2〜8の整数が好ましく、2〜4の整数がより好ましく、2がさらに好ましい。
1〜R11がそれぞれ独立して示すハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
1〜R11がそれぞれ独立して示す炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−エチル−n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。
1〜R11がそれぞれ独立して示す炭素数2〜20のアルケニル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばビニル基、アリル基、7−オクテニル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましい。
1〜R11がそれぞれ独立して示す環形成原子数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、環形成原子数3〜6のシクロアルキル基が好ましい。
1〜R11がそれぞれ独立して示す炭素数4〜20のシクロアルケニル基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数4〜10のシクロアルケニル基が好ましく、炭素数4〜6のシクロアルケニル基がより好ましい。
1〜R11がそれぞれ独立して示す炭素数1〜20のアルコキシ基としては、アルキル基部位が、前記した炭素数1〜20のアルキル基であるものが挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基がより好ましい。
1〜R11がそれぞれ独立して示す炭素数2〜20のアルケニルオキシ基としては、アルケニル基部位が、前記した炭素数2〜20のアルケニル基であるものが挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数2〜10のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素数2〜6のアルケニルオキシ基がより好ましい。
1〜R11がそれぞれ独立して示す炭素数1〜20のアルカノイル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばメタノイル基、エタノイル基、n−プロパノイル基、イソプロパノイル基、n−ブタノイル基、t−ブタノイル基、n−ヘキサノイル基、n−オクタノイル基、n−デカノイル基、n−ドデカノイル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数1〜10のアルカノイル基が好ましく、炭素数1〜5のアルカノイル基がより好ましい。
1〜R11がそれぞれ独立して示す炭素数2〜20のアルケノイル基としては、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、例えばエテノイル基、n−プロペノイル基、イソプロペノイル基、n−ブテノイル基、t−ブテノイル基、n−ヘキセノイル基、n−オクテノイル基、n−デセノイル基、n−ドデセノイル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、炭素数2〜10のアルケノイル基が好ましく、炭素数2〜6のアルケノイル基がより好ましい。
1〜R11がそれぞれ独立して示す環形成炭素数6〜14のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基が挙げられる。
1〜R11がそれぞれ独立して示す環形成原子数3〜14のヘテロ環基としては、例えば2−フラニル基、2−チオフェニル基、2−ピリジニル基、下記式(A)で表される基(以下、置換基(A)と称する。)
等の環形成原子数5〜14の不飽和ヘテロ環基;2−テトラヒドロフリル基、3−テトラヒドロフリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、2,2,6,6−トリメチルピペリジン−4−イル基
等の環形成原子数3〜10の飽和ヘテロ環基が挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、環形成原子数5〜6の不飽和ヘテロ環基、環形成原子数3〜6の飽和ヘテロ環基が好ましい。
また、前記した「R3とR4又はR5が一緒になって環を形成する」というのは、n=2、Wが単結合及びZが酸素原子である場合を例に挙げると下記式で説明され、右側に例示した環が具体例として挙げられる。
4とR5が一緒になって形成する環としては、例えば、シクロペンチル環、シクロオクチル環等の環形成炭素数3〜10(好ましくは3〜6)の環が挙げられる。
なお、R1〜R11がそれぞれ独立して示す、前記アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルカノイル基、アルケノイル基、アリール基及びヘテロ環基は、置換基を有していてもよい。
1〜R11がそれぞれ独立して示すアルキル基、アルケニル基の置換基としては、ヒドロキシル基;カルボキシル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルコキシ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜18(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6)のアルケニルオキシ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜18(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6)のアルケニルチオ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキルチオ基;炭素数5〜18(好ましくは5〜10)のシクロアルケニル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜18(好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6)のシクロアルキル基;フェノキシ基等の環形成炭素数6〜10のアリールオキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;酸素原子(=O);硫黄原子(=S);シアノ基;ニトロ基;トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等の環形成炭素数6〜14(好ましくは6〜10)のアリール基;−COR12;−OCOR13;−NR1415;−NHCOR16;−NHCOOR17;−CONR1819;−COOR20;−SO3NR2122;−SO323;エポキシ基やテトラヒドロフラニル基等の環形成原子数3〜6の環状エーテル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、フリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、前記置換基(A)等の飽和もしくは不飽和の環形成原子数3〜10(好ましくは3〜6)のヘテロ環基等が挙げられる。
上記一般式中、R12〜R23は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、環形成炭素数6〜14のアリール基を示す。該アルキル基、アリール基としては、R1〜R11の場合と同じものが挙げられる。
1〜R11がそれぞれ独立して示すアルコキシ基、アルケニルオキシ基、アルカノイル基、アルケノイル基の置換基としては、ヒドロキシル基;カルボキシル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルコキシ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜18(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6)のアルケニルオキシ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜18(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6)のアルケニルチオ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキルチオ基;炭素数5〜18(好ましくは5〜10)のシクロアルケニル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜18(好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6)のシクロアルキル基;フェノキシ基等の環形成炭素数6〜10のアリールオキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;酸素原子(=O);硫黄原子(=S);シアノ基;ニトロ基;トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等の環形成炭素数6〜14(好ましくは6〜10)のアリール基;−COR12;−OCOR13;−NR1415;−NHCOR16;−NHCOOR17;−CONR1819;−COOR20;−SO3NR2122;−SO323;エポキシ基やテトラヒドロフラニル基等の環形成原子数3〜6の環状エーテル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、フリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、前記置換基(A)等の飽和もしくは不飽和の環形成原子数3〜10(好ましくは3〜6)のヘテロ環基等が挙げられる(式中、R12〜R23は、前記定義の通りである。)。
1〜R11がそれぞれ独立して示すシクロアルキル基、シクロアルケニル基の置換基としては、ヒドロキシル基;カルボキシル基;メチル基、エチル基等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルコキシ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜18(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6)のアルケニルオキシ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜18(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6)のアルケニルチオ基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜18(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6)の直鎖又は分岐状のアルケニル基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキルチオ基;炭素数5〜18(好ましくは5〜10)のシクロアルケニル基;フェノキシ基等の環形成炭素数6〜10のアリールオキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;酸素原子(=O);硫黄原子(=S);シアノ基;ニトロ基;トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基等の環形成炭素数6〜14(好ましくは6〜10)のアリール基;−COR12;−OCOR13;−NR1415;−NHCOR16;−NHCOOR17;−CONR1819;−COOR20;−SO3NR2122;−SO323;エポキシ基やテトラヒドロフラニル基等の環形成原子数3〜6の環状エーテル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、フリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、前記置換基(A)等の飽和もしくは不飽和の環形成原子数3〜10(好ましくは3〜6)のヘテロ環基等が挙げられる(式中、R12〜R23は、前記定義の通りである。)。
1〜R11がそれぞれ独立して示すアリール基、ヘテロ環基の置換基としては、ヒドロキシル基;カルボキシル基;メチル基、エチル基等の直鎖又は分岐状の炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルコキシ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜18(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6)のアルケニルオキシ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜18(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6)のアルケニルチオ基;直鎖状又は分岐鎖状の炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキルチオ基;ビニル基、アリル基等の直鎖状又は分岐鎖状の炭素数2〜18(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜6)のアルケニル基;炭素数5〜18(好ましくは5〜10)のシクロアルケニル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜18(好ましくは3〜10、より好ましくは3〜6)のシクロアルキル基;フェノキシ基等の環形成炭素数6〜10のアリールオキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;トリメチルシリル基等のトリアルキルシリル基;トリメトキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;−COR12;−OCOR13;−NR1415;−NHCOR16;−NHCOOR17;−CONR1819;−COOR20;−SO3NR2122;−SO323;エポキシ基やテトラヒドロフラニル基等の環形成原子数3〜6の環状エーテル基、2−チエニル基、2−ピリジル基、フリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、モルホリノ基、前記置換基(A)等の飽和もしくは不飽和の環形成原子数3〜10(好ましくは3〜6)のヘテロ環基等が挙げられる(式中、R12〜R23は、前記定義の通りである。)。
また、Arが示す環形成炭素数6〜14のアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基、クリセニル基、フェナントレニル基、アズレニル基、アセナフチレニル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、環形成炭素数6〜10のアリール基が好ましく、フェニル基がさらに好ましい。Arが示す環形成原子数5〜14のヘテロアリール基としては、例えば2−フラニル基、2−チオフェニル基、2−ピリジニル基等が挙げられる。これらの中でも、相溶性又は溶解性の観点及び製造容易性の観点から、環形成原子数5〜6のへテロアリール基が好ましく、2−フラニル基、2−チオフェニル基がより好ましい。
これらのアリール基及びヘテロアリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記したR1〜R11がそれぞれ独立して示すアリール基の置換基と同じものが挙げられ、それらの中でも、炭素数1〜18(好ましくは1〜10、より好ましくは1〜5)のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
なお、該置換基がアルキル基又はアルケニル基である場合、Arと共に縮合環を形成していてもよく、例えばフルオレン環、インデン環等を形成していてもよい。
Zが表す>NR3’中のR3’は、前述の通り、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を示すか、又はR3’はR3とつながって、窒素原子と共に環を形成している。
該炭素数1〜20のアルキル基としては、R1〜R11の場合と同じものが挙げられ、好ましいものも同じものが挙げられ、メチル基が特に好ましい。
また、R3’はR3とつながって、窒素原子と共に形成する環の具体例としては、モルホリン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペコリン環、ピペラジン環などが挙げられる。これらの中でも、モルホリン環が好ましい。
WとZの組み合わせとしては、Wが単結合の場合、Zは酸素原子又は>Nr3’が好ましく、Wが酸素原子の場合、Zは単結合又は酸素原子が好ましい。
さらに、一般式(I−a)において、本発明の効果の観点から、(a)R1、R2及びR3が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、nが2であり、複数のR4及びR5が、それぞれ独立に、水素原子又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、Arが、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基である光重合開始剤、(b)R1、R2及びR3が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、nが2であり、複数のR4及びR5が、それぞれ独立に、水素原子又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、Arが、置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜14のヘテロアリール基である光重合開始剤、(c)R1及びR2が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、R3が置換もしくは無置換の炭素数3〜18のシクロアルキル基であり、nが2であり、複数のR4及びR5が、それぞれ独立に、水素原子又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基である光重合開始剤、(d)R1及びR2が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、R3が環形成原子数3〜6の環状エーテル基で置換された炭素数1〜20のアルキル基であり、nが2であり、複数のR4及びR5が、それぞれ独立に、水素原子又は置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基である光重合開始剤も好ましい。さらに、感光性樹脂組成物における光重合開始剤の含有量の低減の観点から、上記(a)及び(b)の場合は、分子量が515以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましく、上記(c)及び(d)の場合は、分子量が550以下であることが好ましい。
さらに、本発明の効果の観点、及び光重合開始剤の分解物による重合物の汚染や装置の汚染を低減する観点から、上記の好ましい光重合開始剤において、R4〜R11がそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましい。なお、各基の好ましいものは、前記した通りである。
以下に、光重合開始剤(I−a)の具体例を示すが、特にこれらに制限されるものではない。
さらに、一般式(I−b)において、本発明の効果の観点から、(e)R1及びR3が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、Wが酸素原子であり、Zが単結合又は酸素原子であり、Arが、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基である光重合開始剤、(f)R1及びR3が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、R2が、−OCOR13(R13は、前記定義の通りである。)又は−COOR20(R20は、炭素数1〜20のアルキル基又は環形成炭素数6〜14のアリール基を示す。)で表されるエステル基を有する炭素数1〜20のアルキル基であり、Wが酸素原子であり、Zが単結合又は酸素原子であり、Arが、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基である光重合開始剤、(g)R1及びR3が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、Wが単結合であり、Zが>NR3’(R3’は、前記定義のとおりである。)であり、Arが、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基である光重合開始剤、(h)R1及びR3が、それぞれ独立に、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、R2が、−OCOR13(R13は、前記定義の通りである。)又は−COOR20(R20は、炭素数1〜20のアルキル基又は環形成炭素数6〜14のアリール基を示す。)で表されるエステル基を有する炭素数1〜20のアルキル基であり、Wが単結合であり、Zが>NR3’(R3’は、前記定義のとおりである。)であり、Arが、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基である光重合開始剤、(i)R1が、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基であり、R3が水素原子であり、Wが単結合であり、Zが酸素原子であり、Arが、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基である光重合開始剤も好ましい。
なお、上記(g)の光重合開始剤においては、>NR3’中のR3’はR3とつながって、窒素原子と共に環を形成しているのも好ましく、モルホリン環を形成しているのがより好ましい。
さらに、本発明の効果の観点、及び光重合開始剤の分解物による重合物の汚染や装置の汚染を低減する観点から、上記の好ましい光重合開始剤において、R4〜R11がそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましい。なお、各基の好ましいものは、前記した通りである。
以下に、光重合開始剤(I−b)の具体例を示すが、特にこれらに制限されるものではない。
なお、(A)成分として使用する光重合開始剤としては、前述の通り一般式(I−a)においてn=2であることが好ましく、具体的には下記一般式(I−a1)で表される光重合開始剤が好ましい。
上記式(I−a1)中、R1〜R3、R6〜R11及びArは、前記定義の通りである。R4’及びR5’は、それぞれR4及びR5の定義と同じであり、好ましいものも同じである。
((A)光重合開始剤の製造方法)
(A)成分の光重合開始剤(I)の製造方法に特に制限は無いが、例えば、以下の光重合開始剤(I−a)の製造方法や光重合開始剤(I−b)の製造方法によって容易に製造することができる。
〔1.光重合開始剤(I−a)の製造方法〕
光重合開始剤(I−a)の製造方法に特に制限は無いが、例えば、下記工程1〜工程4によって、容易に製造することができる。
(工程1)
工程1としては、例えば、前記カルバゾール誘導体(1)とZ(CR45nCOOR3(Zは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を示す。また、R3、R4及びR5は、前記定義の通りである。)で表されるハロゲン化物とを、塩基の存在下に反応させる工程が挙げられる。該工程により、下記一般式(3a)で表されるカルボニルアルキル基導入体が得られる。
(式中、R3〜R11は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
前記塩基としては、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。反応温度は、通常、好ましくは0〜200℃であり、反応時間は通常、好ましくは2〜100時間である。
なお、一般式(I−a)においてn=2の光重合開始剤を製造する場合、工程1は、以下の工程であると製造が容易であり、好ましい。
下記一般式(1)
(式中、R6〜R11は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるカルバゾール誘導体[以下、カルバゾール誘導体(1)と称する。]と、下記一般式(2a)
(式中、R3、R4’及びR5’は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるアクリレート誘導体[以下、アクリレート誘導体(2a)と称する。]とを塩基の存在下に反応させることにより、下記一般式(3a’)
(式中、R3、R4’、R5’及びR6〜R11は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるカルボニルアルキル基導入体[以下、カルボニルアルキル基導入体(3a’)と称する。]を得る工程。
以下、n=2の光重合開始剤を製造する場合に好ましいとするこの工程1について、詳細に説明する。
工程1で使用するアクリレート誘導体(2a)の使用量に特に制限は無いが、カルバゾール誘導体(1)1モルに対して、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.8〜1.2モルであり、未反応物を低減する観点から、ほぼ等量で反応させることがさらに好ましい。
工程1は、塩基の存在下に実施する。該塩基としては、Michael付加反応に使用し得る塩基であればよく、有機塩基、無機塩基のいずれも用いることができる。有機塩基としては、例えばピリジン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等が挙げられる。無機塩基としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩が好ましく、アルカリ金属炭酸塩がより好ましく、炭酸カリウムがさらに好ましい。
該塩基の使用量に特に制限は無いが、反応効率及び製造コストの観点から、カルバゾール誘導体(1)1モルに対して、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.8〜1.2モルであり、ほぼ等量で使用することがさらに好ましい。
工程1は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。該溶媒としては、カルバゾール誘導体(1)、アクリレート誘導体(2a)及び塩基を溶解し得る溶媒を適宜選択すればよい。具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチスルホキシド(DMSO)、塩化メチレン等が挙げられる。
工程1の反応温度に特に制限は無いが、通常、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは15〜30℃で実施する。反応時間は、カルバゾール誘導体(1)、アクリレート誘導体(2a)及び塩基の種類や使用量並びに反応温度等によっても異なるが、通常、2時間〜48時間程度である。
工程1の実施形態に特に制限は無く、例えばカルバゾール誘導体(1)、アクリレート誘導体(2a)及び塩基を全て溶媒中に添加し、好ましくは前記温度で攪拌することにより、カルボニルアルキル基導入体(3a’)を得ることができる。
反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、カルボニルアルキル基導入体(3a)や(3a’)を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、カルボニルアルキル基導入体(3a)や(3a’)の純度を高めることもできる。
以下、前記工程1で得られるカルボニルアルキル基導入体(3a)又は(3a’)を用いた工程2〜4について説明するが、便宜上、n=2に相当するカルボニルアルキル基導入体(3a’)については省略して記載する。
(工程2)
工程2は、工程1で得られたカルボニルアルキル基導入体(3a)と下記一般式(4)、(5)
(式中、Xは、ハロゲン原子又は−OC(=O)Arを示し、X’は、ハロゲン原子又は−OC(=O)R2を示す。Ar及びR2は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表される2つのアシル化剤[以下、それぞれアシル化剤(4)、アシル化剤(5)と称する。]とをルイス酸の存在下に反応させることにより、下記一般式(6a)
(式中、R2〜R11及びArは、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるジケトン体[以下、ジケトン体(6a)と称する。]を得る工程である。
上記式中、X、X’がそれぞれ独立に示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
工程2において、カルボニルアルキル基導入体(3a)と、アシル化剤(4)及び(5)との反応は、目的とするジケトン体(6a)の収率の観点から、カルボニルアルキル基導入体(3a)とアシル化剤(4)とを反応させた後、次いでアシル化剤(5)を反応させることが好ましい。
アシル化剤(4)及び(5)の使用量は、カルボニルアルキル基導入体(3a)にそれぞれのアシル基を1つずつ導入する観点から、カルボニルアルキル基導入体(3a)1モルに対して、それぞれ好ましくは0.8〜1.3モル、より好ましくは1〜1.3モルであり、未反応物を低減する観点から、ほぼ等量で反応させることがさらに好ましい。特に、カルボニルアルキル基導入体(3a)とアシル化剤(4)とを反応させた後、次いでアシル化剤(5)を反応させる場合には、アシル化剤(5)の使用量は、前記範囲を超えても何ら問題ないが、あまり過剰であってもそれに見合う収率が得られるわけではなく、いたずらに生産コストがかさむことになり得る。
工程2は、ルイス酸の存在下に実施する。ルイス酸としては、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体が好ましい。ルイス酸の使用量は、ジケトン体(6a)の収率の観点から、アシル化剤(4)又は(5)1モルに対して、通常、好ましくは0.8〜2.5モル、より好ましくは1〜2モルである。
工程2は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。該溶媒としては、通常のFriedel−Craftsアシル化反応に使用し得る溶媒であれば特に制限は無い。具体的には、ジクロロメタン、ニトロベンゼン、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。
工程2の反応温度は、反応開始時は−50〜5℃(好ましくは−10〜5℃)とし、反応が進行するにしたがって、徐々に室温(15〜25℃程度)へ戻すことが好ましい。反応時間は、カルボニルアルキル基導入体(3a)、アシル化剤(4)及び(5)の種類及び使用量、並びに反応温度によっても異なるが、通常、好ましくは1〜30時間である。なお、アシル化剤(4)及び(5)の両方がハロゲン化アシル又は酸無水物である場合、カルボニルアルキル基導入体(3a)とアシル化剤(4)とを反応させた後、生成物を単離することなく引き続きアシル化剤(5)と反応させることもできる。その場合、カルボニルアルキル基導入体(3a)とアシル化剤(4)との反応時間は、30分〜5時間程度(好ましくは30分〜3時間)とし、一方、カルボニルアルキル基導入体(3a)とアシル化剤(5)との反応時間を、30分〜24時間程度(好ましくは30分〜18時間)と長めに設けて十分に反応させることが好ましい。
収率の観点から、工程2の好ましい実施形態を以下に2通り説明する。
[1]氷浴で冷却しながらカルボニルアルキル基導入体(3a)及びアシル化剤(4)を適宜溶媒中で混合し、その混合溶液へルイス酸をゆっくり(好ましくは5分〜1時間、より好ましくは10分〜40分かけて)添加し、添加終了後、室温へ戻して一定時間(30分〜5時間程度)攪拌を続ける。好ましくは、抽出及び洗浄等の通常の有機化合物の分離手段を行うことによって、一旦、生成物を分離取得する。
こうして得られた生成物を適宜溶媒に溶解し、氷浴で冷却しながらアシル化剤(5)を添加し、そこへルイス酸をゆっくり(好ましくは5分〜1時間、より好ましくは10分〜40分かけて)添加し、添加終了後、室温へ戻して一定時間(30分〜24時間程度)攪拌を続けることにより、ジケトン体(6a)を得ることができる。
[2]氷浴で冷却しながらカルボニルアルキル基導入体(3a)を適宜溶媒と混合してから、ルイス酸をゆっくり(好ましくは5分〜1時間、より好ましくは10分〜40分かけて)添加し、得られた混合溶液へアシル化剤(4)をゆっくり(好ましくは5分〜1時間、より好ましくは10分〜40分かけて)添加した後、室温へ戻して一定時間(30分〜5時間程度)攪拌を続ける。再び氷浴で冷却しながらルイス酸をゆっくり(好ましくは5分〜1時間、より好ましくは10分〜40分かけて)添加し、得られた混合溶液へアシル化剤(5)をゆっくり(好ましくは5分〜1時間、より好ましくは10分〜40分かけて)添加した後、室温へ戻して一定時間以上(好ましくは30分〜24時間程度)攪拌を続けることにより、ジケトン体(6a)を得ることができる。
なお、反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、ジケトン体(6a)を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、ジケトン体(6a)の純度を高めることもできる。
(工程3)
工程3は、工程2で得られたジケトン体(6a)とヒドロキシルアミンを反応させることにより、下記一般式(7a)
(式中、R2〜R11及びArは、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるオキシム体[以下、オキシム体(7a)と称する。]を得る工程である。
工程3においては、ヒドロキシルアミン供給源としては、特に制限されるものではないが、塩化ヒドロキシルアミンが好ましい。該塩化ヒドロキシルアミンは、例えば水中で酢酸ナトリウム、等と反応させることにより、ヒドロキシルアミンの水溶液を得ることができる。
ヒドロキシルアミン(塩化ヒドロキシルアミン)の使用量は、ジケトン体(6a)1モルに対して、好ましくは0.8〜2モル、より好ましくは1〜1.5モル、さらに好ましくは1〜1.3モルであり、未反応物を低減する観点から、ほぼ等量で反応させることがさらに好ましい。
工程3は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましく、該水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド(DMF)等が好ましい。
工程3の反応温度に特に制限は無いが、オキシム体(7a)の収率の観点からは、通常、好ましくは40〜160℃、より好ましくは50〜140℃、さらに好ましくは70〜110℃である。反応時間は、ジケトン体(6a)の種類及び使用量、並びに反応温度によっても異なるが、通常、好ましくは2〜20時間、より好ましくは4〜12時間である。
工程3の実施形態に特に制限は無く、例えば、塩化ヒドロキシルアミンと酢酸ナトリウムを水中で混合してヒドロキシルアミンの水溶液を得ておき、そこへジケトン体(6a)及び溶媒を添加して、好ましくは前記温度範囲で攪拌することにより、オキシム体(7a)を得ることができる。
反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、オキシム体(7a)を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、オキシム体(7a)の純度を高めることもできる。
(工程4)
工程4は、工程3で得られたオキシム体(7a)と下記一般式(8)
(式中、Yは、ハロゲン原子又は−OC(=O)R1を示す。R1は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるエステル化剤[以下、エステル化剤(8)と称する。]とを反応させることにより、下記一般式(I−a)
(式中、R1〜R11及びArは、前記定義の通りである。)
で表される光重合開始剤[以下、光重合開始剤(I−a)と称する。]を得る工程である。
上記式中、Yが示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
工程4で使用するエステル化剤(8)の使用量に特に制限は無いが、オキシム体(7a)1モルに対して、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.8〜1.2モルであり、未反応物を低減する観点から、ほぼ等量で反応させることがさらに好ましい。
工程4は、反応を促進するために、塩基の存在下に実施してもよい。塩基としては、有機塩基や無機塩基が挙げられる。有機塩基としては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ピリジン等の含窒素複素環式芳香族化合物等が挙げられる。無機塩基としては、例えば炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、有機塩基が好ましく、アミン類、含窒素複素環式芳香族化合物がより好ましく、反応効率及び製造コストの観点から、トリエチルアミン、ピリジンがさらに好ましい。
塩基を使用する場合、その使用量は、光重合開始剤(I−a)の収率及び製造コストの観点から、オキシム体(7a)1モルに対して、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1.5〜3モルである。
工程4は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、t−ブチルメチルエーテル、エチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類が好ましく挙げられる。
工程4の反応温度は、反応開始時は−50〜5℃(好ましくは−10〜5℃)とし、反応が進行するにしたがって、徐々に室温(15〜25℃程度)へ戻すことが好ましい。反応時間は、オキシム体(7a)、エステル化剤(8)の種類及び使用量、並びに反応温度によっても異なるが、通常、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜5時間である。
工程4の実施形態に特に制限は無く、例えばオキシム体(7a)及びエステル化剤(8)を適宜溶媒中で混合し、そこへ塩基を滴下し、滴下終了後、反応液の温度を徐々に室温へ戻して攪拌を続けることにより、光重合開始剤(I−a)を得ることができる。
反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、光重合開始剤(I−a)を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、光重合開始剤(I−a)の純度を高めることもできる。
こうして得られる光重合開始剤(I−a)は、カルバゾール骨格中の窒素原子に、エステル基を含有する特殊な置換基が付いている。そのため、感光性樹脂組成物中の重合性反応基を1つ以上有する化合物(特に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)との相溶性又は重合性反応基を1つ以上有する化合物への溶解性が高くなっているものと推測する。そのため、感光性樹脂組成物の光に対する感度や、解像度及び深部硬化性が高くなると考えられる。さらに、該組成物は基板との密着性が良好である一方、硬化後にはテンプレートからの剥離性に優れる。
なお、該光重合開始剤(I−a)は、露光時の光により発生する分解物による重合物の汚染や装置の汚染が無い。
〔2.光重合開始剤(I−b)の製造方法〕
光重合開始剤(I−b)の製造方法に特に制限は無いが、例えば、下記工程1〜工程4によって、容易に製造することができる。
(工程1)
工程1は、W及びZによって製造方法が異なるため、以下に場合分けして説明する。
<Wが単結合であり、Zが>NR3’である場合>
下記一般式(1)
(式中、R6〜R11は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるカルバゾール誘導体[以下、カルバゾール誘導体(1)と称する。]と、下記一般式(2b)
(式中、R3、R3’、R4及びR5は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるアクリルアミド誘導体[以下、アクリルアミド誘導体(2b)と称する。]とを塩基の存在下に反応させることにより、下記一般式(3b)
(式中、R3、R3’、R4〜R11は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるアミド基導入体[以下、アミド基導入体(3b)と称する。]を得る工程である。
工程1で使用するアクリルアミド誘導体(2b)の使用量に特に制限は無いが、カルバゾール誘導体(1)1モルに対して、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.8〜1.2モルであり、未反応物を低減する観点から、ほぼ等量で反応させることがさらに好ましい。
工程1は、塩基の存在下に実施する。該塩基としては、Michael付加反応に使用し得る塩基を用いることができ、特に制限は無く、有機塩基、無機塩基のいずれも用いることができる。有機塩基としては、例えばピリジン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等が挙げられ、求核性の低い塩基が好ましく、DBU、DBNがより好ましい。無機塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩が好ましく、アルカリ金属炭酸塩がより好ましく、炭酸カリウムがさらに好ましい。
該塩基の使用量に特に制限は無いが、反応効率及び製造コストの観点から、カルバゾール誘導体(1)1モルに対して、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.8〜1.2モルであり、ほぼ等量で使用することがさらに好ましい。
工程1は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。該溶媒としては、カルバゾール誘導体(1)、アクリルアミド誘導体(2b)及び塩基を溶解し得る溶媒を適宜選択すればよい。具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチスルホキシド(DMSO)、塩化メチレン等が挙げられる。
工程1の反応温度に特に制限は無いが、通常、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは15〜30℃で実施する。反応圧力に特に制限は無いが、1気圧、つまり常圧下に実施することが好ましい。反応時間は、カルバゾール誘導体(1)、アクリルアミド誘導体(2b)及び塩基の種類や使用量並びに反応温度や反応圧力等によっても異なるが、通常、好ましくは2時間〜48時間程度である。
工程1の実施形態に特に制限は無く、例えばカルバゾール誘導体(1)、アクリルアミド誘導体(2b)及び塩基を全て溶媒中に添加し、好ましくは前記温度で攪拌することにより、アミド基導入体(3b)を製造することができる。
反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、アミド基導入体(3b)を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、アミド基導入体(3b)の純度を高めることもできる。
−別法−
アミド基導入体(3b)の製造には、次の方法を採用することもできる。
前記カルバゾール誘導体(1)と下記一般式(2b’)
(式中、R4及びR5は前記定義の通りである。R24は、炭素数1〜5のアルキル基を示す。)
で表されるカルボン酸基導入剤[以下、カルボン酸基導入剤(2b’)と称する。]とを塩基の存在下に反応(第1反応)させて得られる下記一般式
(式中、R4〜R11は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるカルボン酸基含有カルバゾール誘導体を、例えば塩化チオニルの存在下にHNR33’(R3及びR3’は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)で表されるアミンと反応(第2反応)させることにより、アミド基導入体(3b)を得る方法である。該アミド基導入体(3b)としては、市販品を用いることもできる。
なお、R24が示す炭素数1〜5のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
前記第1反応で使用する塩基としては特に制限は無く、有機塩基、無機塩基のいずれも用いることができる。有機塩基としては、例えばピリジン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)等が挙げられ、求核性の低い塩基が好ましく、DBU、DBNがより好ましい。無機塩基としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、塩基としては、無機塩基が好ましく、アルカリ金属水酸化物がより好ましい。
該塩基の使用量に特に制限は無いが、反応効率及び製造コストの観点から、カルバゾール誘導体(1)1モルに対して、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.8〜1.2モルであり、ほぼ等量で使用することがさらに好ましい。
第1反応は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、カルバゾール誘導体(1)、カルボン酸基導入剤(2b’)及び前記塩基を溶解し得る溶媒を適宜選択すればよい。具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチスルホキシド(DMSO)、塩化メチレン等が挙げられ、DMFが好ましい。
第1反応の反応温度に特に制限は無いが、通常、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは15〜30℃で実施する。第1反応の反応圧力に特に制限は無いが、1気圧、つまり常圧下に実施することが好ましい。反応時間は、カルバゾール誘導体(1)及び塩基の種類や使用量、及びカルボン酸基導入剤(2b’)の使用量並びに反応温度及び反応圧力等によっても異なるが、通常、好ましくは2時間〜48時間程度である。
第1反応の実施形態に特に制限は無く、例えばカルバゾール誘導体(1)、カルボン酸基導入剤(2b’)及び塩基を全て溶媒中に添加し、好ましくは前記温度で攪拌することにより、カルボン酸基含有カルバゾール誘導体を製造することができる。
第1反応終了後、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、前記カルボン酸基含有カルバゾール誘導体を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、該カルボン酸基含有カルバゾール誘導体の純度を高めることもできる。
第2反応で使用する塩化チオニルの使用量は、第1反応で使用するカルバゾール誘導体(1)1モルに対して、好ましくは1〜10モル程度使用すればよく、より好ましくは2〜5モル程度である。
第2反応で使用するHNR33’で表されるアミンの使用量は、第1反応で使用するカルバゾール誘導体(1)1モルに対して、好ましくは1〜10モル程度使用すればよく、より好ましくは2〜7モル程度である。
第2反応は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、前記カルボン酸基含有カルバゾール誘導体、前記アミンを溶解し得る溶媒であれば特に制限は無い。例えば、ジクロロメタン、ニトロベンゼン、アセトン、アセトニトリル等が挙げられ、アセトニトリルが好ましい。
第2反応の反応温度に特に制限は無いが、通常、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは15〜30℃で実施する。第2反応の反応圧力に特に制限は無いが、1気圧、つまり常圧下に実施することが好ましい。反応時間は、前記カルボン酸基含有カルバゾール誘導体、前記アミン及び塩基の種類や使用量並びに反応温度及び反応圧力等によっても異なるが、通常、好ましくは1時間〜10時間程度である。
第2反応の実施形態に特に制限は無いが、例えば前記カルボン酸基含有カルバゾール誘導体と前記アミンとを溶媒中に添加し、そこへ塩化チオニルを滴下し、滴下終了後、好ましくは前記温度で攪拌することにより、アミド基導入体(3b)を製造することができる。
反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、アミド基導入体(3b)を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、アミド基導入体(3b)の純度を高めることもできる。
<Wが酸素原子であり、Zが単結合である場合>
前記カルバゾール誘導体(1)と炭酸エチレンを塩基の存在下に反応(第1反応)させて得られる、下記一般式
(式中、R6〜R11は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるヒドロキシル基含有カルバゾール誘導体を、塩基の存在下にR3COY(R3は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。また、Yは、ハロゲン原子を示す。)で表されるアシルハライドと反応(第2反応)させることにより、下記一般式(3b’)
(式中、R3〜R11は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるエステル基導入体[以下、エステル基導入体(3b’)と称する。]を得る方法が好ましい。
前記第1反応で使用する炭酸エチレンの使用量は、カルバゾール誘導体(1)1モルに対して、好ましくは0.7〜15モル、より好ましくは1〜10モルである。
第1反応で使用する塩基としては、有機塩基が好ましく、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ピリジン等の含窒素複素環式芳香族化合物等が挙げられる。これらの中でも、アミン類が好ましく、トリエチルアミンがより好ましい。該塩基の使用量に特に制限は無いが、反応効率及び製造コストの観点から、カルバゾール誘導体(1)1モルに対して、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.8〜1.2モルであり、ほぼ等量で使用することがさらに好ましい。
第1反応は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、カルバゾール誘導体(1)や炭酸エチレン、並びに前記塩基を溶解し得る溶媒を適宜選択すればよい。具体的には、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチスルホキシド(DMSO)、塩化メチレン等が挙げられ、DMFが好ましい。
第1反応の反応温度に特に制限は無いが、通常、好ましくは60〜130℃、より好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは90〜110℃で実施する。第1反応の反応圧力に特に制限は無いが、1気圧、つまり常圧下に実施することが好ましい。反応時間は、カルバゾール誘導体(1)及び塩基の種類や使用量、炭酸エチレンの使用量、並びに反応温度及び反応圧力等によっても異なるが、通常、好ましくは1時間〜10時間程度である。
第1反応の実施形態に特に制限は無く、例えばカルバゾール誘導体(1)、炭酸エチレン及び塩基を全て溶媒中に添加し、好ましくは前記温度で攪拌することにより、前記ヒドロキシル基含有カルバゾール誘導体を製造することができる。
第1反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、前記ヒドロキシル基含有カルバゾール誘導体を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、該ヒドロキシル基含有カルバゾール誘導体の純度を高めることもできる。
第2反応で使用するR3COYで表されるアシルハライドとしては、アシルクロリド、アシルヨージド等が挙げられ、アシルクロリドが好ましい。
該アシルハライドの使用量は、第1反応で使用するカルバゾール誘導体(1)1モルに対して、好ましくは0.7〜3モル程度、より好ましくは1〜2モルであり、ほぼ等量で使用することがさらに好ましい。
第2反応で使用する塩基としては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアミン類が好ましい。塩基の使用量は、前記アシルハライド1モルに対して、好ましくは0.7〜3モル程度、より好ましくは1〜2モルであり、ほぼ等量で使用することがさらに好ましい。
第2反応は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、通常のアシル化反応に使用し得る溶媒を使用でき、反応を阻害しない限り特に制限は無い。具体的には、ジクロロメタン、ニトロベンゼン、アセトン、アセトニトリル等が挙げられ、アセトニトリルが好ましい。
第2反応の反応温度に特に制限は無いが、通常、好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜40℃、さらに好ましくは15〜30℃で実施する。第2反応の反応圧力に特に制限は無いが、1気圧、つまり常圧下に実施することが好ましい。反応時間は、前記ヒドロキシル基含有カルバゾール誘導体、前記アシルハライド及び塩基の種類や使用量並びに反応温度及び反応圧力等によっても異なるが、通常、好ましくは1時間〜10時間程度である。
第2反応の実施形態に特に制限は無いが、例えば前記ヒドロキシル基含有カルバゾール誘導体と前記アシルハライドと塩基とを全て溶媒中に添加し、好ましくは前記温度で攪拌することにより、エステル基導入体(3b’)を製造することができる。
反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、エステル基導入体(3b’)を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、エステル基導入体(3b’)の純度を高めることもできる。
(工程2)
工程2は、工程1で得られたアミド基導入体(3b)又はエステル基導入体(3b’)[以下、便宜上、これらをまとめて、官能基導入体(3b)と称する。]と、下記一般式(4)、(5)
(式中、Xは、ハロゲン原子又は−OC(=O)Arを示し、X’は、ハロゲン原子又は−OC(=O)R2を示す。Ar及びR2は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表される2つのアシル化剤[以下、それぞれアシル化剤(4)、アシル化剤(5)と称する。]とをルイス酸の存在下に反応させることにより、下記一般式(6b)
(式中、R2〜R11、Ar、W及びZは、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるジケトン体[以下、ジケトン体(6b)と称する。]を得る工程である。
上記式中、X、X’がそれぞれ独立に示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
工程2において、官能基導入体(3b)と、アシル化剤(4)及び(5)との反応は、目的とするジケトン体(6b)の収率の観点から、官能基導入体(3b)とアシル化剤(4)とを反応させた後、次いでアシル化剤(5)を反応させることが好ましい。
アシル化剤(4)及び(5)の使用量は、官能基導入体(3b)にそれぞれのアシル基を1つずつ導入する観点から、官能基導入体(3b)1モルに対して、それぞれ好ましくは0.8〜1.3モル、より好ましくは1〜1.3モルであり、未反応物を低減する観点から、ほぼ等量で反応させることがさらに好ましい。特に、官能基導入体(3b)とアシル化剤(4)とを反応させた後、次いでアシル化剤(5)を反応させる場合には、アシル化剤(5)の使用量は、前記範囲を超えても何ら問題ないが、あまり過剰であってもそれに見合う収率が得られるわけではなく、いたずらに生産コストがかさむことになり得る。
工程2は、ルイス酸の存在下に実施する。ルイス酸としては、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体が好ましい。ルイス酸の使用量は、ジケトン体(6b)の収率の観点から、アシル化剤(4)又は(5)1モルに対して、通常、好ましくは0.8〜2.5モル、より好ましくは1〜2モルである。
工程2は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。該溶媒としては、通常のFriedel−Craftsアシル化反応に使用し得る溶媒であれば特に制限は無い。具体的には、ジクロロメタン、ニトロベンゼン、アセトン、アセトニトリル等が挙げられる。
工程2の反応温度は、反応開始時は−50〜5℃(好ましくは−10〜5℃)とし、反応が進行するにしたがって、徐々に室温(15〜25℃程度)へ戻すことが好ましい。反応時間は、官能基導入体(3b)、アシル化剤(4)及び(5)の種類及び使用量、並びに反応温度によっても異なるが、通常、好ましくは1〜30時間である。なお、アシル化剤(4)及び(5)の両方がハロゲン化アシル又は酸無水物である場合、官能基導入体(3b)とアシル化剤(4)とを反応させた後、生成物を単離することなく引き続きアシル化剤(5)と反応させることもできる。その場合、官能基導入体(3b)とアシル化剤(4)との反応時間は、30分〜5時間程度(好ましくは30分〜3時間)とし、一方、官能基導入体(3b)とアシル化剤(5)との反応時間を、30分〜24時間程度(好ましくは30分〜18時間)と長めに設けて十分に反応させることが好ましい。
収率の観点から、工程2の好ましい実施形態の1つを説明する。例えば、氷浴で冷却しながら官能基導入体(3b)を適宜溶媒と混合し、その混合溶液へルイス酸をゆっくり(好ましくは5分〜1時間、より好ましくは10分〜40分かけて)添加し、添加終了後、アシル化剤(4)をゆっくり(好ましくは5分〜1時間、より好ましくは10分〜40分かけて)添加し、室温へ戻して一定時間(30分〜5時間程度)攪拌を続ける。再び、氷浴で冷却しながらアシル化剤(5)を添加し、そこへルイス酸をゆっくり(好ましくは5分〜1時間、より好ましくは10分〜40分かけて)添加し、添加終了後、室温へ戻して一定時間(30分〜24時間程度)攪拌を続けることにより、ジケトン体(6b)を得ることができる。
反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、ジケトン体(6b)を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、ジケトン体(6b)の純度を高めることもできる。
(工程3)
工程3は、工程2で得られたジケトン体(6b)とヒドロキシルアミンを反応させることにより、下記一般式(7b)
(式中、R2〜R11、Ar、W及びZは、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるオキシム体[以下、オキシム体(7b)と称する。]を得る工程である。
工程3においては、ヒドロキシルアミン供給源としては、特に制限されるものではないが、塩化ヒドロキシルアミンが好ましい。該塩化ヒドロキシルアミンは、例えば水中で酢酸ナトリウム、等と反応させることにより、ヒドロキシルアミンの水溶液を得ることができる。
ヒドロキシルアミン(塩化ヒドロキシルアミン)の使用量は、ジケトン体(6b)1モルに対して、好ましくは0.8〜2モル、より好ましくは1〜1.5モル、さらに好ましくは1〜1.3モルであり、未反応物を低減する観点から、ほぼ等量で反応させることがさらに好ましい。
工程3は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、水溶性有機溶媒が好ましく、該水溶性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド(DMF)等が好ましい。
工程3の反応温度に特に制限は無いが、オキシム体(7b)の収率の観点からは、通常、好ましくは40〜160℃、より好ましくは50〜140℃、さらに好ましくは70〜110℃である。反応時間は、ジケトン体(6b)の種類及び使用量、並びに反応温度によっても異なるが、通常、好ましくは0.5〜20時間、より好ましくは1〜12時間である。
工程3の実施形態に特に制限は無く、例えば、塩化ヒドロキシルアミンと酢酸ナトリウムを水中で混合してヒドロキシルアミンの水溶液を得ておき、そこへジケトン体(6b)及び溶媒を添加して、好ましくは前記温度範囲で攪拌することにより、オキシム体(7b)を得ることができる。
反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、オキシム体(7b)を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、オキシム体(7b)の純度を高めることもできる。
(工程4)
工程4は、工程3で得られたオキシム体(7b)と下記一般式(8)
(式中、Yは、ハロゲン原子又は−OC(=O)R1を示す。R1は、前記定義の通りであり、好ましいものも同じである。)
で表されるエステル化剤[以下、エステル化剤(8)と称する。]とを反応させることにより、下記一般式(I−b)
(式中、R1〜R11、Ar、W及びZは、前記定義の通りである。)
で表される光重合開始剤[以下、光重合開始剤(I−b)と称する。]を得る工程である。
上記式中、Yが示すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
工程4で使用するエステル化剤(8)の使用量に特に制限は無いが、オキシム体(7b)1モルに対して、好ましくは0.5〜2モル、より好ましくは0.8〜1.2モルであり、未反応物を低減する観点から、ほぼ等量で反応させることがさらに好ましい。
工程4は、反応を促進するために、塩基の存在下に実施してもよい。塩基としては、有機塩基や無機塩基が挙げられる。有機塩基としては、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン類;ピリジン等の含窒素複素環式芳香族化合物等が挙げられる。無機塩基としては、例えば炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属水酸化物等が挙げられる。これらの中でも、有機塩基が好ましく、アミン類、含窒素複素環式芳香族化合物がより好ましく、反応効率及び製造コストの観点から、トリエチルアミン、ピリジンがさらに好ましい。
工程4にて塩基を使用する場合、その使用量は、光重合開始剤(I−b)の収率及び製造コストの観点から、オキシム体(7b)1モルに対して、好ましくは1〜5モル、より好ましくは1.5〜3モルである。
工程4は、溶媒の存在下に実施することが好ましい。溶媒としては、t−ブチルメチルエーテル、エチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類が好ましく挙げられる。
工程4の反応温度は、反応開始時は−50〜5℃(好ましくは−10〜5℃)とし、反応が進行するにしたがって、徐々に室温(15〜25℃程度)へ戻すことが好ましい。反応時間は、オキシム体(7b)、エステル化剤(8)の種類及び使用量、並びに反応温度によっても異なるが、通常、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜5時間である。
工程4の実施形態に特に制限は無く、例えばオキシム体(7b)及びエステル化剤(8)を適宜溶媒中で混合し、そこへ塩基を滴下し、滴下終了後、反応液の温度を徐々に室温へ戻して攪拌を続けることにより、光重合開始剤(I−b)を得ることができる。
反応終了後、得られた反応混合液から、抽出等の通常の有機化合物の分離手段によって、光重合開始剤(I−b)を得ることができる。適宜、蒸留、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の、通常の有機化合物の精製手段によって精製することにより、光重合開始剤(I−b)の純度を高めることもできる。
こうして得られる光重合開始剤(I−b)は、カルバゾール骨格中の窒素原子に、エステル基又はアミド結合(若しくは環を形成したアミド結合)を含有する特殊な置換基が付いている。そのため、感光性樹脂組成物中の重合性反応基を1つ以上有する化合物(特に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)との相溶性又は重合性反応基を1つ以上有する化合物への溶解性が高くなっているものと推測する。そのため、感光性樹脂組成物の光に対する感度や、解像度及び深部硬化性が高くなると考えられる。さらに、該組成物は基板との密着性が良好である一方、硬化後にはテンプレートからの剥離性に優れる。
なお、該光重合開始剤(I−b)は、露光時の光により発生する分解物による重合物の汚染や装置の汚染が無い。
〔(B)重合性反応基を1つ以上有する化合物〕
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物は、前記(A)成分と共に、(B)成分として重合性反応基を1つ以上有する化合物を含有する。重合性反応基を1つ以上有する化合物としては、エチレン性不飽和結合基を1つ以上有する化合物、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、スチレン系化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を1つ以上有する化合物がより好ましい。該エチレン性不飽和結合基としては、(メタ)アクリロイル基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましい。なお、エチレン性不飽和結合基を1つ以上有する化合物において、エチレン性不飽和結合基は6つ以下であることが好ましく、5つ以下であることがより好ましい。
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物は、(B)成分として少なくとも1種以上を含み、(B)成分を2種以上用いる場合には、架橋剤や反応性希釈剤として機能し得るものを含んでいてもよい。言うまでも無く、いずれも重合性反応基を1つ以上有する化合物である。
重合性反応基を1つ有する化合物としては、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシアダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルフタレート、2−アクリロイルオキシ2−ヒドロキシエチルフタレート、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルフタレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールアクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸ダイマー、脂肪族エポキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−フェニルエチル(メタ)アクリレート、3−フェニルプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、9−アントリルメチル(メタ)アクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下、「EO」と称する。)変性クレゾール(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールベンゾエート(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性フェノキシアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、EO変性コハク酸(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、EO変性トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ウレタンモノ(メタ)アクリレート、p−イソプロペニルフェノール、4−ビニルピリジン、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−シクロヘキシルマレイミド、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、ビニルカプロラクタム、ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、イミドアクリレート、ビニルオキサゾリン、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられるが、特にこれらに制限されるものではない。
重合性反応基を1つ有する化合物としては、ドライエッチング耐性の観点から、少なくとも芳香族環又は脂環式骨格を有する(メタ)アクリル酸エステル(好ましくはフェノキシエチルアクリレート、9−アントリルメチル(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート)を含むことが好ましい。
重合性反応基を1つ有する化合物のうち、粘度の低い化合物(例えば、粘度(25℃)5mPs以下。)は、反応性希釈剤として機能し得る。反応性希釈剤としては、ベンジルアクリレートが好ましい。感光性樹脂組成物の粘度が高い場合に、反応性希釈剤を含有させることによって粘度を低く調整することができる。
また、重合性反応基を2つ有する化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル化イソシアヌレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンチルジアクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジアクリレート、EO変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレングリコールアクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ヘキサヒドロフタル酸ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレンオキシド(以下、「PO」と称する。)変性ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコール、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性フタル酸ジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、シリコーンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルエチレン尿素、ジビニルプロピレン尿素、N,N−メチレンビスアクリルアミドが挙げられるが、特にこれらに制限されるものではない。
重合性反応基を2つ以上有する化合物は架橋剤として機能し得るものであり、ドライエッチング耐性の改善に貢献する。架橋剤としては、エチレングリコールジアクリレートが好ましい。
さらに、重合性反応基を3つ以上有する化合物としては、例えばプロパン−1,2,3−トリオールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、EO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、PO変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、特にこれらに制限されるものではない。
(B)成分の分子量(高分子の場合には粘度平均分子量)としては、感光性樹脂組成物の粘度の観点から、好ましくは3,000以下、より好ましくは2,000以下、さらに好ましくは1,000以下、特に好ましくは500以下である。
(B)成分としては、感光性樹脂組成物を光インプリント用とする観点から、25℃における蒸気圧が、好ましくは5Torr(約666Pa)以下、より好ましくは1Torr(約133Pa)以下、さらに好ましくは0.1Torr(約13.3Pa)以下、特に好ましくは0.01Torr(約1.3Pa)以下のものを用いる。
蒸気圧の測定方法には特に制限はなく、公知の方法を採用すればよい。例えば、静止法、沸点法、アイソテニスコープ法、気体流通法、示差熱量測定(DSC)法、絶対法などが挙げられる。そのほか、蒸気圧が物性データベースに記載されているものもある。
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物においては、(B)成分として2種以上を含有し、その中に架橋剤や反応性希釈剤として機能し得るものを有することが好ましい。好ましい使用比率としては、架橋剤が0〜80質量%(より好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜30質量%)、反応性希釈剤が0〜80質量%(より好ましくは1〜50質量%、さらに好ましくは5〜45質量%)である。なお、残部はレジスト用メインモノマーと言われることもある。前記範囲で架橋剤や反応性希釈剤を含有することにより、光インプリント用感光性樹脂組成物のドライエッチング耐性が一層優れたものとなる。
〔(C)界面活性剤〕
本発明の感光性樹脂組成物には、感光性樹脂組成物の基板又は基板に積層した密着層に対する濡れ性、テンプレートの凹凸への充填性、光硬化した樹脂組成物の基板又は基板に積層した密着層に対する密着性、光硬化した樹脂組成物とテンプレートとの剥離力(離型性)などをさらに向上する目的で、さらに(C)成分として界面活性剤を含有させてもよい。
界面活性剤としては公知のものを用いることができるが、光硬化した樹脂組成物の中で塩になり異物化しないようにする観点から、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテ−ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、メチルパーフルオロオクタノエート、メチルトリフルオロアセテート、エチルペンタフルオロプロピオネート、エチルパーフルオロブチレート、メチルペンタフルオロベンゾエート、メチル2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルアセテート、メチルノナデカフルオロデカノエート、商品名フロラードFC−430、FC−431(住友スリーエム株式会社製)、商品名サーフロン「S−382」(旭硝子株式会社製)、EFTOP「EF−122A、122B、122C、EF−121、EF−126、EF−127、MF−100」(株式会社トーケムプロダクツ製)、商品名PF−636、PF−6320、PF−656、PF−6520(いずれもOMNOVA社)、商品名フタージェントFT250、FT251、DFX18(いずれも株式会社ネオス製)、商品名ユニダインDS−401、DS−403、DS−451(いずれもダイキン工業株式会社製)、商品名メガフアック171、172、173、178K、178A、(いずれもDIC株式会社製)、商品名SI−10シリーズ(竹本油脂株式会社製)、メガファックペインタッド31(DIC株式会社製)、KP−341(信越化学工業株式会社製)、FZ−2191(東レ・ダウコーニング株式会社製)、商品名X−70−090、X−70−091、X−70−092、X−70−093、(いずれも信越化学工業株式会社製)、商品名メガフアックR−08、XRB−4(いずれもDIC株式会社製)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘンエイコサフルオロデシル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12−ヘンエイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル変性シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
これらのうち、硬化樹脂とテンプレートとの剥離力(離型性)向上の観点から、フッ素系及び/又はシリコーン系の界面活性剤が好ましい。なお、光硬化後の樹脂組成物中に未反応物として残るのを避けるため、使用する(B)成分と同様の重合性反応基を含んでいるものを用いるのがよい。
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、前記光重合開始剤(I)以外の光重合開始剤や、後述するその他の成分を含有してもよい。こうして得られる感光性樹脂組成物は、光インプリント用途に有用である。
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物において、(A)成分としての前記光重合開始剤(I)の含有量は、感度及び解像度などの観点から、光インプリント用感光性樹脂組成物全量に対して、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは2〜15質量%、特に好ましくは2.5〜10質量%である。
また、本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物が、前記光重合開始剤(I)以外の光重合開始剤を含有する場合、前記光重合開始剤(I)以外の光重合開始剤の含有量は、本発明の効果を著しく阻害しない限り特に制限は無いが、光重合開始剤(I)100質量部に対して、好ましくは100質量部以下、より好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。
(その他の成分)
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物には、さらに必要に応じて、増感剤;離型剤;無機充填剤;導電性化合物;密着促進剤;酸化防止剤;凝集防止剤;重合停止剤;連鎖移動剤;レベリング剤;可塑剤;消泡剤;シランカップリング剤等を含有させてもよい。いずれも公知のものを用いることができる。
(光インプリント用感光性樹脂組成物の物性・特性)
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物は、25℃における粘度が25cPs以下であり、好ましくは3〜20cPsであり、より好ましくは3〜15cPsであるため、非常に粘度が低く、インクジェット方式でのピコリットルオーダーでの塗布が可能である。なお、本発明において、感光性樹脂組成物の粘度は、レオメータ「AR-G2」(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用いて、円盤プレート上に光インプリント用感光性樹脂組成物を滴下し、直径40mmの標準スチールコーンをせん断速度10〜1000(1/s)へ変化させたときの、25℃、1000(1/s)のときの値である。
また、本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物を1.5μlの純水接触角が112°±5°の基板上に40±5pl(ピコリットル)の液滴として滴下して、1気圧及び25℃にて1分放置した場合の該液滴の直径(基板と接している面の円の直径)の変化が好ましくは15%以内であり、より好ましくは10%以内、さらに好ましくは7%以内、特に好ましくは5%以内である。つまり、組成物からの揮発物が極めて少ない又は実質的に無いものであり、実質的に一般的な溶媒(重合反応を起こさない有機溶剤)を含有しないものであると言える。そのため、インクジェット方式でピコリットルオーダーでの液滴を塗布しても、組成変化が極めて小さいか又は実質的に無く、光インプリント用感光性樹脂組成物として、特にインクジェット方式を採用して塗布する場合の光インプリント用感光性樹脂組成物として適している。
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物は、後述するように、レジスト基板を製造する際に使用するテンプレートの凹部への充填性が高い。つまり、テンプレートの凹部の細部にまできれいに素早く充填される。さらに、露光後の硬化物は通常使用されるテンプレート(例えば石英テンプレートなど)からの剥離性が高く、かつ基板密着性に優れており、同時に、強度が高くて湾曲や欠けが極めて少ないため、露光後の硬化物は、テンプレートの凹部を極めて高い精度で再現しており、解像度に優れている。本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物を用いると、凹部もしくは凸部の横幅が50nm以下(約20〜40nm程度)の凹凸形状(パターンと称することもある。)を鮮明に形成することができる。
また、本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物及びその硬化物はドライエッチング耐性が高いため、レジスト凹凸形状のアスペクト比(凸部の横幅に対する凸部の高さの比率)が小さくてもよいというメリットがある。
[レジスト基板及び半導体装置の製造方法]
本発明において、「レジスト」とは光硬化した感光性樹脂組成物を意味し、「レジスト基板」とは基板上又は基板に積層した密着層上に感光性樹脂組成物が光硬化してなる凹凸形状(レジスト凹凸形状)が形成されたものを意味する。
レジスト基板及び半導体装置の製造方法に特に制限はなく、公知の方法を採用できる。例えば、下記工程(1)〜(4)をこの順に有するレジスト基板の製造方法、そして、さらに下記工程(5)〜(7)、さらには工程(8)をこの順に有する半導体装置の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)基板上又は基板に積層した密着層上に、本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物をインクジェット方式によって付着させる工程。
(2)前記工程(1)によって付着した感光性樹脂組成物の上から、前記基板又は基板に積層した密着層上に対して、凹凸形状を表面に有するテンプレートを接触させ、前記凹凸形状内に感光性樹脂組成物を充填させる工程。
(3)露光により前記感光性樹脂組成物を硬化させ、基板上又は基板に積層した密着層上に、レジスト凹凸形状を形成する工程。
(4)レジスト凹凸形状が形成された基板からテンプレートを剥離する工程。
(5)上記工程(1)〜(4)に記載の製造方法で得たレジスト基板において、レジスト凹凸形状の凹部を基板が露出するまでドライエッチング加工する工程。
(6)前記工程(5)にて現れた基板の露出部分をさらにドライエッチング加工し、基板自体に凹部を形成する工程。
(7)基板上のレジストを除去する工程、又は、基板に密着層が積層している場合には該密着層とレジストとを共に除去する工程。
(8)基板が多層からなる場合にその層の一部を除去する工程。
以下、各工程について順に説明する。
−工程(1)−
工程(1)で使用する基板は、用途によって適宜公知のものから選択すればよく、その材料としては、例えば、石英(SiO2);ニッケル、銅、クロム、鉄、モリブデンなどの金属、あるいはこれらの酸化物、窒化物、酸窒化物、ケイ素化物;光学フィルム;ソーダガラス、ホウ珪酸ガラス、青板ガラスなどのガラス;シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、アモルファスシリコン、ガリウム砒素、窒化ガリウムなどの半導体;ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリイミドなどの樹脂(フィルム);酸化インジウムスズ(ITO)などの導電性基板;絶縁性基材;これらの組合せからなる複合材料などが挙げられるが、特にこれらに制限されるものではない。また、工程(1)で使用する基板としては、これらを多層に積層したものを用いてもよい。
基板上には、密着層が積層されていてもよい。該密着層は、基板と感光性樹脂組成物との密着性を向上し得るものであれば特に制限はないが、例えば、ヘキサメチルジシラザンのようなジシラザン;シランカップリング剤;酸無水物;燐酸エステルなどのような密着剤で処理したものや、石英(SiO2);シリコン、酸化シリコン;銅、クロム、鉄、モリブデンなどの金属、あるいはこれらの酸化物、窒化物、酸窒化物、ケイ素化物などからなるものが挙げられる。特に、樹脂組成物の重合性反応基と反応し得る官能基を1つ以上有するものからなることが好ましい。なお、かかる重合性反応基と反応し得る官能基を有する化合物としては、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、スチレン化合物が好ましく、これらの中でもエチレン性不飽和結合基を1つ以上有する化合物がより好ましく、(メタ)アクリロイル基を有するものがさらに好ましく、特に(メタ)アクリロイルオキシ基を有するものが好ましい。重合性反応基と反応し得る官能基を有する化合物としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、特開2009−503139号公報に開示のβ−CEA(UCB Chemical)、Ebecryl3605(UCB Chemical)、Isorad501(Schenectady International,inc)、ライトエステルP−2M(共栄社化学株式会社製)からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよいし、重合したものを用いてもよい。また、密着層は多層に積層されていてもよい。なお、密着層の膜厚は、密着性能や工程(5)におけるドライエッチングの容易さの観点から、20nm以下が好ましく、より好ましくは10nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。
工程(1)では、前記基板上又は基板に積層した密着層上に、本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物をインクジェット方式によって付着させる。なお、インクジェット方式ではなく、スピンコート、ディップコート、エナーナイフコート、カーテンコート、ワイヤーバーコート、グラビアコートなどの方式によっても塗布することができるが、テンプレートの凹部への充填性の観点などから、インクジェット方式が好ましい。インクジェットの方式は特に限定されず、偏向制御型、発散型、サーマルインクジェット方式、ピエゾインクジェット方式、静電吸引方式、静電変位方式、音響エネルギー方式、熱変位方式、バルブ型、ERFインクジェット、放電方式などが挙げられるが、この中でも特にピエゾインクジェット方式が多様なインクに対応可能であり、微小なインク滴を吐出することができる点で好ましい。
−工程(2)−
工程(2)では、凹凸形状を有するテンプレートを、凹凸形状を有する表面側を感光性樹脂組成物に接触させ、感光性樹脂組成物をテンプレートの凹部へ充填させる。
テンプレートの材料としては、例えばシリコン、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、青板ガラス、ソーダガラス、BK−7などを用いることができ、さらに樹脂フィルムや、陽極酸化法により形成されたポーラスアルミナなどを用いてもよい。
該テンプレートは、テンプレートと感光性樹脂組成物との剥離性を高めるため、離型処理を行なったもの(離型層を設けたもの)であってもよい。例えば、ジシラザンやシリコーン系、シランカップリング剤によって処理されたテンプレートなどが挙げられる。具体的には、ヘキサメチルジシラザン、オプツールDSX(ダイキン工業)、Novec EGC−1720(住友スリーエム)、デュラサーフ HD−1100(ハーベス)、デュラサーフ HD−2100(ハーベス)、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン(Gelest)などが挙げられる。
−工程(3)−
工程(3)では、テンプレート側から露光することによって、感光性樹脂組成物を硬化させる。
露光に用いられる光は特に限定されず、例えば、高エネルギー電離放射線、真空紫外線、近紫外線、遠紫外線、可視光線、赤外線などの領域の波長の光または放射線が挙げられる。高エネルギー電離放射線源としては、例えば、コッククロフト型加速器、ハンデグラーフ型加速器、リニヤーアクセレーター、ベータトロン、サイクロトロン等の加速器によって加速された電子線が工業的に最も便利且つ経済的に使用されるが、その他に放射性同位元素や原子炉等から放射されるγ線、X線、α線、中性子線、陽子線等の放射線が使用できる。
放射線には、例えばマイクロ波、EUVが含まれる。また、半導体レーザー光、あるいは248nmのKrFエキシマレーザー光や193nmArFエキシマレーザーなどの半導体の微細加工で用いられているレーザー光も本発明に好適に用いることができる。これらの光は、モノクロ光を用いてもよいし、複数の波長の異なる光(ミックス光)でもよい。
これらの中でも近紫外線、遠紫外線が露光に用いる光として特に好ましく、光源としては、例えば発光ダイオード(LED)、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、炭素アークランプ、太陽ランプなどが好ましい。
露光に際しては、露光時間の短縮及び副反応の抑制、未反応化合物の残留抑制の観点から、照度を好ましくは1〜140mW/cm2とする。また、積算光量は、好ましくは5〜1,000mJ/cm2、より好ましくは10〜600mJ/cm2、さらに好ましくは15〜300mJ/cm2である。
なお、露光後、熱を加えることによってさらに硬化させる工程(工程(3’))を設けてもよい。加熱温度は、好ましくは80〜280℃、より好ましくは100〜250℃、さらに好ましくは130〜250℃である。加熱時間は、好ましくは1〜60分、より好ましくは10〜40分である。
本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物は、硬化収縮率が低く、感度が高いため、本工程によって、テンプレートの凹凸が鮮明に再現される。
−工程(4)−
工程(4)は離型工程であり、テンプレートを真上に引き上げて剥離する。レジスト凹凸形状を形成した本発明の光インプリント用感光性樹脂組成物の硬化物は、テンプレートからの剥離性に優れており、基板との密着性に優れ、かつ強度が高いため、テンプレートへ付着して残ることがなく、レジスト凹凸形状が湾曲したり欠けたりするのが抑制される。
−工程(5),(6)−
工程(5)は、前記工程(1)〜(4)に記載の製造方法で得たレジスト基板において、レジスト凹凸形状の凹部を基板が露出するまでドライエッチング加工する工程であり、工程(6)は、前記工程(5)にて現れた基板の露出部分をさらにドライエッチング加工し、基板自体に凹部を形成する工程である。
ドライエッチング加工は、通常、ドライエッチング装置を用いて行なう。イオンエッチング(IE)モード、ICPエッチングモード、反応性イオンエッチング(RIE)モード、プラズマエッチング(PE)モードのいずれを用いてもよい。
エッチャントガスとしては、エッチングする膜に適したものを使用すればよい。エッチャントガスとしては、例えばレジスト用や密着層用には、酸素、塩素+酸素、四フッ化炭素+三フッ化メタン;a−Si/n+やs−Si用には、四フッ化炭素(又は塩素)+酸素、四フッ化炭素(又は六フッ化硫黄)+塩化水素(又は塩素);a−SiNx用には、四フッ化炭素+酸素;a−SiOx用には、四フッ化炭素+酸素、三フッ化メタン+酸素;Ta用には、四フッ化炭素(六フッ化硫黄)+酸素;MoTa/MoW用には、四フッ化炭素+酸素;Cr用には、塩素+酸素、四フッ化炭素+三フッ化メタン;Al用には、三塩化硼素+塩素、臭化水素、臭化水素+塩素、ヨウ化水素;石英用には四フッ化炭素+三フッ化メタンなどが挙げられる。
−工程(7),(8)−
工程(7)では、基板上のレジストを除去する工程、又は、基板に密着層が積層している場合には該密着層とレジストとを共に除去する。
レジストや密着層を除去する方法としては、剥離液を用いたウェット剥離方法、減圧下での酸素ガスのプラズマ放電により酸化させてガス状にして取り除く方法、オゾンと紫外線によって酸化させてガス状にして取り除く方法などが挙げられる。剥離液としては、アンモニア過酸化水素水、硫酸過酸化水素水、塩酸過酸化水素水、水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などの水溶液系剥離液;モノエタノールアミンなどのアミンと、ジメチルスルホキシドやN−メチルピロリドンとの混合物などの有機溶剤系剥離液を使用することができる。
工程(8)では、基板が多層からなる場合にその層の一部を除去する。「その層の一部」とは、例えば2層からなる場合は上の層を指し、3層以上からなる場合は最下層以外の層を指す。基板が多層からなる場合にその層の一部を除去する方法としては、剥離液を用いたウェット剥離方法などが挙げられる。剥離液としては水酸化ナトリウム水溶液や(熱)燐酸、フッ酸液やフッ化アンモニウム液、「硝酸第2セリウムアンモニウム+過塩素酸水溶液」などを使用することができる。
以上のようにして、テンプレートの凹凸形状が転写された半導体装置に有用な基板が製造される。
半導体装置の製造においては、以上の工程に制限されるものではなく、さらにその他の公知の半導体装置の製造工程を有していてもよい。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
<合成例1>
(工程1)
カルバゾール6.8g(40mmol)とエチルアクリレート4.0g(40mmol)及び炭酸カリウム5.5g(40mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)に懸濁させ、室温で24時間攪拌した。反応終了後、水を添加してからさらに30分攪拌し、その後、酢酸エチルで抽出、水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去、乾燥することにより、淡黄色液体の上記化合物(i)9.6g(収率93%)を得た。該化合物(i)の1H−NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,ppm)δ:1.15(t,3H)、2.835(t,2H)、4.08(q,2H)、4.64(t,3H)、7.215−7.254(m,2H)、7.45−7.47(m,4H)、8.08(d,2H)
(工程2)
化合物(i)2.7g(10mmol)をジクロロメタン10mlに溶解させ、氷浴で冷却しながら塩化アルミニウム2.7g(20mmol)を20分かけて添加した。得られた混合溶液へベンゾイルクロリド1.4g(11mmol)を20分かけて滴下した。その後、徐々に室温に戻してから、1時間攪拌した。再び氷浴で冷却しながら、塩化アルミニウム2.7g(20mmol)を20分かけて添加し、そこへアセチルクロリド1.2g(15mmol)を20分かけて滴下した。その後、徐々に室温に戻し一晩攪拌した。反応終了後、氷水に反応溶液を投入し、酢酸エチルで抽出した後、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥してから溶媒を留去した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ジクロロメタン→ノルマルヘキサン:酢酸エチル=2:1)により生成物を単離し、淡黄色固体の化合物(ii)2.8g(収率70%)を得た。該化合物(ii)の1H−NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,ppm)δ:1.16(t,3H)、2.725(s,3H)、2.91(t,2H)、4.08(q,2H)、4.73(t,2H)、7.525−7.86(m,5H)、8.10(dd,2H)、8.18(dd,1H)、8.20(dd,1H)、8.625(d,1H)、8.725(d,1H)
(工程3)
塩化ヒドロキシルアミン0.12g(1.7mmol)及び酢酸ナトリウム0.17g(2.0mmol)を水1.4mlに溶解させ、そこへ化合物(ii)0.60g(1.58mmol)及びエタノール11mlを添加し、7時間還流させた。
反応終了後、反応溶液の溶媒を留去し、得られた固体を水で洗浄した後、THFに溶解させ、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去することにより、淡黄色液体の化合物(iii)0.60g(収率89%)を得た。該化合物(iii)の1H−NMR測定結果を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,ppm)δ:1.16(t,3H)、2.41(s,3H)、2.89(t,2H)、4.09(q,2H)、4.69(t,2H)、7.475−7.63(m,5H)、7.85(dd,1H)、8.045(dd,2H)、8.07(dd,1H)、8.325(d,1H)、8.60(d,1H)
(工程4)
化合物(iii)0.60g(1.4mmol)をt−ブチルメチルエーテル7mlに溶解させ、アセチルクロリド0.11g(1.4mmol)添加し、氷浴で冷却しながらトリエチルアミン0.28ml(2.0mmol)を滴下した。徐々に室温に戻しながら3時間攪拌した。反応終了後、氷水に反応混合液を投入し、酢酸エチルで抽出した後、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥してから溶媒を留去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ジクロロメタン→ノルマルヘキサン:酢酸エチル=2:1)により生成物を単離し、淡黄色固体の化合物(iv)0.30g(収率70%)を得た。該化合物(iv)の物性を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,ppm)δ:1.16(t,3H)、2.23(s,3H)、2.51(s,3H)、2.90(t,2H)、4.09(q,2H)、4.71(t,2H)、7.51−7.62(m,5H)、7.75(dd,2H)、7.99(dd,1H)、8.09(dd,1H)、8.46(d,1H)、8.59(d,1H)
UVスペクトル(移動層;アセトニトリル):λmax=260nm、292nm、333nm
熱分解温度(窒素ガス雰囲気下、1.5mgのサンプルを昇温速度10℃/分で加熱し、5%質量減少した時の温度):224.5℃
分子量:470.52
<合成例2>
合成例1の工程1において、エチルアクリレート(40mmol)の代わりにイソブチルアクリレート(40mmol)を用い、工程2において、ベンゾイルクロリド(11mmol)の代わりに2−メチルベンゾイルクロリド(11mmol)を用いたこと以外は実施例1と同様に操作を行い、下記の淡黄色固体の化合物(v)を得た。該化合物(v)の物性を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,ppm)δ:0.81(d,6H)、1.805(m,1H)、2.29(s,3H)、2.35(s,3H)、2.50(s,3H)、2.90(t,2H)、3.81(d,2H)、4.70(t,2H)、7.28−7.53(m,6H)、7.97(dd,1H)、8.10(dd,1H)、8.42(d,1H)、8.51(d,1H)
UVスペクトル(移動層;アセトニトリル):λmax=260nm、295.5nm、334nm
熱分解温度(窒素ガス雰囲気下、1.5mgのサンプルを昇温速度10℃/分で加熱し、5%質量減少した時の温度):236℃
分子量:512.6
<合成例3>
合成例1の工程1において、エチルアクリレート(40mmol)の代わりに2−メトキシエチルアクリレート(40mmol)を用い、工程2において、ベンゾイルクロリド(11mmol)の代わりに2−メチルベンゾイルクロリド(11mmol)を用いたこと以外は実施例1と同様に操作を行い、下記の淡黄色固体の化合物(vi)を得た。該化合物(vi)の物性を以下に示す。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,ppm)δ:2.29(s,3H)、2.35(s,3H)、2.50(s,3H)、2.95(t,2H)、3.32(s,3H)、3.50(t,2H)、4.19(t,2H)、4.70(t,2H)、7.30−7.54(m,6H)、7.97(dd,1H)、8.10(dd,1H)、8.42(d,1H)、8.51(d,1H)
UVスペクトル(移動層;アセトニトリル):λmax=258.5nm、296nm、334.5nm
熱分解温度(窒素ガス雰囲気下、1.5mgのサンプルを昇温速度10℃/分で加熱し、5%質量減少した時の温度):243℃
分子量:514.5
<合成例4>
(工程1)
カルバゾール5.0g(30mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)6mlに溶解させ、炭酸エチレン13.2g(150mmol)とジアザビシクロウンデセン(DBU)5.5ml(037mmol)を添加し、100℃で3時間加熱還流した。冷却後、水を投入し、酢酸エチルで抽出した後、水洗してから溶媒を留去した。
次に、得られた濃縮物をアセトニトリル15mlで希釈し、そこへアセチルクロライド2g(23mmol)及びトリエチルアミン4ml(29mmol)を添加し、室温で3時間攪拌した。反応終了後、水を投入し、酢酸エチルで抽出した後、水で洗浄してから硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を留去することにより、淡黄色液体の上記化合物(vii)6.0g(収率80%)を得た。
(工程2)
化合物(vii)2.5g(9.9mmol)をジクロロメタン10mlに溶解させ、氷浴で冷却しながら塩化アルミニウム1.5gを20分かけて添加した。その後、ベンゾイルクロリド1.4g(10.0mmol)を滴下し、徐々に室温に戻してから1時間攪拌した。
再び氷浴で冷却しながら塩化アルミニウム1.5gを20分かけて添加、そこへアセチルクロリド0.93g(11.8mmol)を添加し、徐々に室温に戻してから一時間攪拌した。
反応終了後、氷水に反応溶液を投入し、酢酸エチルで抽出した後、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥してから溶媒を留去した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ジクロロメタン→ノルマルヘキサン:酢酸エチル=2:1)により化合物を単離し、淡黄色固体の化合物(viii)2.8g(収率70%)を得た。
(工程3)
塩化ヒドロキシルアミン0.38g(5.4mmol)、酢酸ナトリウム0.54g(6.4mmol)を水4.5mlに溶解させ、そこへ前記化合物(viii)2.0g(5.0mmol)及びエタノール35mlを添加し、2時間還流させた。
反応終了後、反応溶液の溶媒を留去し、得られた固体を水で洗浄した後、THFに溶解させ、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去することにより、淡黄色液体の化合物(ix)1.8g(収率89%)を得た。
(工程4)
化合物(ix)0.8g(2.0mmol)をt−ブチルメチルエーテル10mlに溶解させ、アセチルクロライド0.16g(2.0mmol)を添加し、氷浴で冷却しながらトリエチルアミン0.4ml(2.9mmol)を滴下した。徐々に室温に戻しながら3時間攪拌した。
反応終了後、氷水に反応溶液を投入し、酢酸エチルで抽出した後、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥してから溶媒を留去した。
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;ジクロロメタン→ノルマルヘキサン:酢酸エチル=2:1)により化合物を単離し、下記物性の淡黄色固体の化合物(x)0.6g(収率70%)を得た。
(化合物(x)の諸物性)
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,ppm)δ:1.93(s,3H)、2.50(s,3H)、2.85(s,3H)、4.31(t,2H)、4.40(t,2H)、7.50−7.62(m,5H)、7.75(dd,2H)、7.99(dd,1H)、8.09(dd,1H)、8.46(d,1H)、8.59(d,1H)
UVスペクトル(移動層;アセトニトリル):λmax=260nm、296nm、334nm
熱分解温度(窒素ガス雰囲気下、1.5mgのサンプルを昇温速度10℃/分で加熱し、5%質量減少した時の温度):225℃
分子量:456.49
<合成例5>
(工程1)
9−カルバゾール−9−プロピオン酸0.96g(40mmol)をアセトニトリル10mlで溶解した後、モルホリン18g(210mmol)を添加した。得られた混合液へ塩化チオニル14g(120mmol)を滴下し、室温で3時間攪拌した。
反応終了後、水を添加してから30分攪拌した。その後、酢酸エチルで抽出し、水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥してから溶媒を留去することにより、淡黄色液体の化合物(xi)10g(収率81%)を得た。
(工程2〜4)
上記化学反応式のとおり、合成例5の工程2〜4では、合成例4の工程2〜4において、工程2で化合物(vii)の代わりに化合物(xi)を用いたこと以外は同様の操作を採用することにより、下記物性の淡黄色固体の化合物(xii)を得た。
(化合物(xii)の諸物性)
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,ppm)δ:2.50(s,3H)、2.80(t,2H)2.85(s,3H)、2.90(br,2H)、3.00(br,2H)、3.35(br,2H)、3.46(br,2H)4.72(t,2H)、7.51−7.62(m,5H)、7.75(dd,2H)、7.99(dd,1H)、8.09(dd,1H)、8.46(d,1H)、8.59(d,1H)
UVスペクトル(移動層;アセトニトリル):λmax=260nm、292nm、335nm
熱分解温度(窒素ガス雰囲気下、1.5mgのサンプルを昇温速度10℃/分で加熱し、5%質量減少した時の温度):234℃
分子量:511.57
<実施例1〜3、5、参考例1、比較例1及び2>相溶性(溶解性)試験
重合性反応基を1つ以上有する化合物としてジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート((B)重合性反応基を1つ以上有する化合物)と、合成例1〜5で得た光重合開始剤(化合物(iv)〜(vi)、(x)及び(xii))、下記光重合開始剤「IRGACURE OXE02」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、比較試験例1用。以下、「OXE02」と略称することがある。)又は下記光重合開始剤「N−1919」((株)ADEKA製、比較試験例2用)とを混合し2分間攪拌した。ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレートと光重合開始剤との混合比率は、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート100質量%に対し、光重合開始剤5.6質量%である。
ここで、目視により得られた混合物中の固体の有無を確認し、重合性反応基を1つ以上有する化合物(特に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物)との相溶性(溶解性)の指標とした。結果を表1に示す。
表1より、本発明で使用する光重合開始剤(I)は、重合性反応基を1つ以上有する化合物、特に(メタ)アクリレートとの相溶性が高く、無溶剤の感光性樹脂組成物を調製することが可能である。一方、比較例1及び2で用いた光重合開始剤では、(メタ)アクリレートに対する相溶性又は溶解性が不十分であり、使用条件に制限があることがわかった。
また、以下の方法によって、粘度、感度、揮発性、硬化収縮率及びエッチング耐性を評価した。
(粘度)
レオメータ「AR-G2」(ティー・エイ・インスツルメント社製)にて、円盤プレート上に光インプリント用感光性樹脂組成物を滴下し、直径40mmの標準スチールコーンをせん断速度10〜1000(1/s)へ変化させ25℃、1000(1/s)のときの値を計測値とした。
(感度)
基板上に光インプリント用感光性樹脂を0.3μL滴下、その上から5mm角のKBrを被せ窒素雰囲気の下、KBr側から20mW/cm2の照度でUV露光を行った。赤外分光装置で810cm-1のピーク減少量を経時的に記録し、アクリルモノマーのC=C結合の消失がどの程度進行しているか(反応率)を確認し、反応率80%の時の露光量を感度とした。
(揮発性)
光インプリント用感光性樹脂組成物を、インクジェット装置を用いて基板上に40±5pl(ピコリットル)の液滴として滴下して、1気圧及び25℃にて1分放置した場合の該液滴の直径の変化を調査した。基板は1.5μlの純水接触角が112°±5°のものを使用した。液滴の直径変化は、撮影された画像を元に計算したものを使用した。
(硬化収縮率)
原子間力顕微鏡(AFM)にて、転写によって得られた線幅32nmのレジストラインパターンの高さ(h1)と使用したテンプレートのスペース深さ(h0)を計測し、{(h0―h1)/h0}×100(%)の式から硬化収縮率を求めた。
(エッチング耐性)
各例に従ってレジスト膜を形成した後、ICPタイプのドライエッチング装置(エッチャントガス:酸素と塩素の混合ガス)を用いてエッチングした。エッチング前後のレジスト膜厚から単位時間あたりのレジスト膜減り量(エッチングレート[nm/sec])を算出し、ZEP520Aのエッチングレートを1とした場合の相対値を求め、エッチング耐性の指標にした。なお、ZEP520AはEB(電子線直接病画)用ポジレジストであり、エッチング耐性の高いポジレジストとして一般的に知られている。相対値が1より小さい場合はZEP520A以上にエッチング耐性が高いと言える。
<実施例6>50nm以下の線幅のレジストパターンの形成
ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート(架橋剤)及びベンジルアクリレート(反応性希釈剤)の3種からなる重合性反応基を1つ以上有する化合物と、合成例1で得た光重合開始剤(化合物(iv))とを混合し、光インプリント用感光性樹脂組成物を得た。3種の重合性反応基を1つ以上有する化合物と光重合開始剤との混合比率は、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ベンジルアクリレート、光重合開始剤(化合物(iv))の順に、41.4質量%、18.3質量%、34.7質量%、5.6質量%である。
得られた感光性樹脂組成物を各々、信越化学工業株式会社製の密着層(3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、商品名:KBM−5103)を積層した酸窒化クロム/石英基板上に塗布した。次に、ライン及びスペース線幅24nm又は32nmの凹凸を有するテンプレートの凹凸面を接触させた。テンプレート側から、照度20mW/cm2及び積算光量100mJ/cm2で紫外線照射(露光)してレジストパターンを形成し、テンプレートを剥離した。
次に、ICPタイプのドライエッチング装置(エッチャントガス:酸素と塩素の混合ガス)を用いて、基板が露出するまで凹部をドライエッチングし、さらにそのまま基板部位までドライエッチングした。ついで、硫酸過酸化水素水剥離液)によってレジスト及び密着層を剥離し、次いで硝酸第2セリウムアンモニウム+過塩素酸水溶液にて石英基板上の酸窒化クロムを剥離洗浄し、凹凸形状が転写された基板(半導体装置)を得た。粘度、感度、揮発性、硬化収縮率及びエッチング耐性の評価結果を表2に示す。
なお、上記方法により得られたレジストパターンのSEM写真を図1及び図2に示す。24nm及び32nmの線幅の微細なレジストパターンが鮮明に形成されていることがわかる。このことは、当該感光性樹脂組成物が、感光性樹脂組成物中の重合性反応基を1つ以上有する化合物との相溶性又は重合性反応基を1つ以上有する化合物に対する溶解性が高く、光に対する感度が高い光重合開始剤を含有する、解像度及び深部硬化性に優れる感光性樹脂組成物であって、テンプレートの凹部への充填性が高い一方、露光後の硬化物はテンプレートからの剥離性に優れると共に基板との密着性に優れ、硬化物の凹凸形状の湾曲や欠けが極めて少なく、硬化収縮率が低く、かつドライエッチング耐性に優れている感光性樹脂組成物であることを示す。
<実施例7、8、10、参考例2、比較例3及び4>
実施例6において、合成例1で得た光重合開始剤(化合物(iv))の代わりに、表2に記載の光重合開始剤を用いたこと以外は同様に操作を行なった。粘度、感度、揮発性、硬化収縮率及びエッチング耐性の評価結果を表2に示す。
表2より、前記一般式(I)で表される光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物は低粘度であり、感度が高く、揮発性及び硬化収縮率は低く、エッチング耐性は高くなった。
一方、従来の光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物では、本発明の感光性樹脂組成物に比べて感度が乏しかった。
本発明の感光性樹脂組成物は、重合性反応基を1つ以上有する化合物との相溶性又は重合性反応基を1つ以上有する化合物に対する溶解性が高く、光に対する感度が高い光重合開始剤を含有する、解像度及び深部硬化性に優れる感光性樹脂組成物であって、テンプレートの凹部への充填性が高い一方、露光後の硬化物はテンプレートからの剥離性に優れると共に基板との密着性に優れ、硬化物の凹凸形状の湾曲や欠けが極めて少なく、硬化収縮率が低く、かつドライエッチング耐性に優れている感光性樹脂組成物である。そのため、光インプリント用の感光性樹脂組成物として有効に利用可能である。

Claims (8)

  1. (A)下記一般式(I)で表される光重合開始剤及び
    (B)重合性反応基を1つ以上有する化合物
    を含有し、25℃における粘度が25cPs以下である光インプリント用感光性樹脂組成物。
    (式中、R〜R11は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換もしくは無置換の環形成原子数3〜10のシクロアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルケニル基、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケニルオキシ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルカノイル基、置換もしくは無置換の炭素数2〜20のアルケノイル基、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成原子数3〜14のヘテロ環基を示す。Rは、R又はRと一緒になって環を形成していてもよい。Rは、Rと一緒になって環を形成していてもよい。
    また、Arは、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜14のアリール基又は置換もしくは無置換の環形成原子数5〜14のヘテロアリール基を示す。
    Wは、単結合又は酸素原子を示す。Zは、単結合、酸素原子又は>NR3’(R3’は、置換もしくは無置換の炭素数1〜20のアルキル基を示すか、又はR3’はRとつながって、窒素原子と共に環を形成している。)を示す。
    nは、を示す。)
  2. 請求項1に記載の光インプリント用感光性樹脂組成物であって、該感光性樹脂組成物を1.5μlの純水接触角が112°±5°の基板上に40±5pl(ピコリットル)の液滴として滴下して、1気圧及び25℃にて1分放置した場合の該液滴の直径の変化が15%以内である、光インプリント用感光性樹脂組成物。
  3. 前記一般式(I)において、Zが酸素原子であり、Rが炭素数1〜18のアルコキシ基で置換された、炭素数1〜20のアルキル基である、請求項1又は2に記載の光インプリント用感光性樹脂組成物。
  4. さらに(C)成分として界面活性剤を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の光インプリント用感光性樹脂組成物。
  5. 前記(B)成分が(メタ)アクリロイル基を有する化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の光インプリント用感光性樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の光インプリント用感光性樹脂組成物を露光することにより得られる硬化物。
  7. 下記工程(1)〜(4)をこの順に有する、レジスト基板の製造方法。
    (1)基板上又は基板に積層した密着層上に、請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物をインクジェット方式によって付着させる工程。
    (2)前記工程(1)によって付着した感光性樹脂組成物の上から、前記基板又は基板に積層した密着層上に対して、凹凸形状を表面に有するテンプレートを接触させ、前記凹凸形状内に感光性樹脂組成物を充填させる工程。
    (3)露光により前記感光性樹脂組成物を硬化させ、基板上又は基板に積層した密着層上に、レジスト凹凸形状を形成する工程。
    (4)レジスト凹凸形状が形成された基板からテンプレートを剥離する工程。
  8. 下記工程(5)〜(7)をこの順に有する、半導体装置の製造方法。
    (5)請求項7に記載の製造方法で得たレジスト基板において、レジスト凹凸形状の凹部を基板が露出するまでドライエッチング加工する工程。
    (6)前記工程(5)にて現れた基板の露出部分をさらにドライエッチング加工し、基板自体に凹部を形成する工程。
    (7)基板上のレジストを除去する工程、又は、基板に密着層が積層している場合には該密着層とレジストとを共に除去する工程。
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