JP5818290B2 - 硫酸サルブタモールを含有する組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、特に定量噴霧式吸入器(MDI)を使用した加圧エアロゾル容器からの硫酸サルブタモールの送達に好適な医薬組成物に関する。
MDIは、最も重要な種類の吸入式薬物送達システムであり、当業者には周知である。MDIは、薬物が溶解、懸濁、又は分散した液化噴射剤を使用して、噴霧毎に正確な量の薬物を患者の気道へ必要に応じて送達するように設計されている。MDIの設計及び操作は、多くの標準的な教科書及び特許文献に記載されている。MDIはいずれも、製剤を保持する加圧容器と、ノズルと、作動するとノズルを介して一定量の薬物を分与することができるバルブアセンブリとを含んでいる。これらの構成要素はいずれも、マウスピースを具備したハウジング内に典型的には配置されている。製剤は、薬物が溶解、懸濁、又は分散した噴射剤を含むことになり、極性賦形剤、界面活性剤、及び防腐剤など他の物質を含む場合がある。
MDIにおいて噴射剤が十分に機能するためには、噴射剤が多くの特性を有している必要がある。このような特性としては、適切な沸点及び蒸気圧が挙げられ、これにより噴射剤は室温にて密閉容器中で液化できるが、周囲温度が低くても霧状の製剤として薬物を送達するようにMDIを作動させた際に十分に高い圧力を生じることができる。さらに、噴射剤は、急性及び慢性毒性が低く、心臓感作に対する許容限界が高いのがよい。噴射剤は、薬物、容器、ならびにMDI装置の金属及び非金属部品との接触に対して化学的安定性が高く、MDI装置中のどのようなエラストマー材料からも低分子量物質を抽出する傾向が低いのがよい。噴射剤はまた、使用する薬剤の送達を再現可能にすべく、薬物を均質な溶液、安定した懸濁液、又は安定した分散液中に十分な期間維持できるのがよい。薬物が噴射剤中に懸濁している場合、液体中に薬物粒子が急速に沈降又は浮揚するのを避けるために、液体噴射剤の密度は固形薬物の密度と同様であることが望ましい。最後に、噴射剤は使用する患者にとって燃焼の危険性が少ないのがよい。とりわけ、気道中の空気と混ざった場合に、不燃性であるか又は可燃性の低い混合物を形成するのがよい。
ジクロロジフルオロメタン(R−12)は特性の組み合わせが好適であり、しばしばトリクロロフルオロメタン(R−11)と混合されて、長年に渡って最も広く使用されたMDI噴射剤であった。ジクロロジフルオロメタン及びトリクロロフルオロメタンなどの完全に又は部分的にハロゲン化されたクロロフルオロカーボン(CFC)が地球の保護オゾン層を破壊しているという国際的な懸念により、クロロフルオロカーボンの製造及び使用を厳しく制限し最終的には完全に廃止すべきことを規定したモントリオール議定書と言われる協定を多くの国々が締結した。冷却用の使用ではジクロロジフルオロメタン及びトリクロロフルオロメタンは1990年代に廃止されたが、モントリオール議定書における必須使用に係る例外の結果としてMDI分野では依然わずかな量使用されている。
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R−134a)は、R−12に代わる代替冷媒及びMDI噴射剤として導入された。1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(R−227ea)もMDI分野においてジクロロテトラフルオロエタン(R−114)に代わる代替物として導入され、この用途には場合によってはR−134aと混合される。
R−134a及びR−227eaのオゾン層破壊係数(ODP)は低いが、これらの地球温暖化係数(GWP)はそれぞれ1430及び3220であり、特にこれらが大気中へ放出される場合の散布的な使用に関しては、現在では規制団体によっては高すぎると考えられている。
最近特に注目された工業分野の一つは、R−134aの使用が欧州Fガス規制の結果取締管理下に入った自動車用空調分野である。産業界では、自動車用空調及び他の用途における、地球温暖化計数(GWP)及びオゾン層破壊係数(ODP)が低い多数のR−134a代替物を開発している。これら代替物の多くは、ヒドロフルオロプロペン、特に2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(R−1234yf)及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(R−1234ze)などのテトラフルオロプロペンを含む。
提案されているR−134aの代替物はGWPは低いが、成分の多く、例えばフルオロプロペンのいくつか、の毒物学上の性状は明らかでなく、仮に使用したとしても長期にわたってMDI分野での使用が許容されそうなものではない。
R−134a及びR−227eaには別の問題もある。喘息などの呼吸器疾患を治療するための医薬活性物質のほとんどは、R−134a及びR−227eaのいずれにもあまり溶解しない傾向があり、噴射剤中の懸濁液として扱われなければならない。薬物懸濁液は、ノズルの詰まり、凝集、及び沈降分離など多くの問題を起こし、後者の問題のため、確実に薬物を噴射剤に均一に分配させるため、使用前にMDIを十分に振とうすることが不可欠である。更に、よくあることではあるが医薬活性物質が噴射剤中で再懸濁後に速やかに沈降する場合には、送達される用量に確実に有効濃度の医薬活性物質を含ませるために、振とう後すぐに噴射剤/薬物組成物をMDIから送達しなければならない。
溶解性の低い薬物の問題は、薬物の溶解を助けて溶液を形成させるか又は懸濁した薬物粒子の濡れ性を向上してより良好に分散しかつより安定した懸濁液を生じさせる極性賦形剤を組成物中に含ませることによって対処されてきた。好ましい極性賦形剤はエタノールである。しかしながら、多量のエタノールを使用すると、液滴の大きさが肺の細気管支通路の深部への浸透ができないほど過度に大きな粗いスプレーになる傾向がある場合がある。さらに、高濃度のエタノールは、特に若年使用者で、口や喉に対する刺激が許容できない場合がある。明らかに、許容可能な製剤を製造するために必要とされるエタノール量を低減することが有利である。エタノールの使用を完全に回避できればさらによい。
界面活性剤はより安定した懸濁液を製造するのにも役立つ場合があるので、噴射剤に不溶であるかまたは難溶である薬物を含む製剤のいくつかには界面活性剤も含まれてきた。しかしながら界面活性剤は好まれず、界面活性剤を使用せずに安定した懸濁液を形成することも有益となる。
R−134a及びR−227eaと比べてGWPが低く、可燃性及び毒性が許容でき、硫酸サルブタモールと共に安定した懸濁液を形成し、刺激性が低いMDIエアロゾル製剤が必要とされている。
本発明の第1の態様によれば、界面活性剤を含まない医薬組成物であって、
硫酸サルブタモールからなる薬物成分、及び
1,1−ジフルオロエタン(R−152a)から実質的になる噴射剤成分、
から実質的になる医薬組成物が提供される。
本発明の第1の態様の医薬組成物は薬物成分及び噴射剤成分から実質的になる、好ましくは完全になる。「から実質的になる」という語は、医薬組成物の少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも98重量%、特に少なくとも99重量%が、記載の2種類の成分からなることを意味する。
特に好ましい一実施形態では、本発明の第1の態様の医薬組成物はまたエタノールなどの極性賦形剤を含まない。極性賦形剤は、定量噴霧式吸入器(MDI)を使用して送達される呼吸器疾患を治療するための医薬組成物において一般的に使用されている。当該賦形剤は、溶媒、共溶媒、キャリア溶媒、及びアジュバントとも呼ばれる。賦形剤が含まれると、噴射剤に界面活性剤若しくは薬物を溶解する働き及び/又は格納されている容器から医薬組成物がノズルの出口へ進むと医薬組成物が接触する定量噴霧式吸入器の表面に薬物粒子が沈着するのを抑制する働きをすることができる。賦形剤は、薬物が適切な極性賦形剤と混合される2段階充填工程において充填剤としても使用される。最も一般的に使用される極性賦形剤はエタノールである。
本発明者らは、硫酸サルブタモールに関しては、噴射剤としてR−152aを使用すると、界面活性剤及び極性賦形剤の必要性が低減され、かつ界面活性剤及び極性賦形剤のいずれも含まない組成物であって定量噴霧式吸入器(MDI)などの薬剤送達装置から送達された場合に良好な性能を発揮する組成物を調製することができることを見出した。
薬物の大部分は、噴射剤中に分散されるか又は懸濁されることになる。懸濁した薬物粒子は、好ましくは、直径が100ミクロン未満である。
本発明の第1の態様の医薬組成物は、典型的には、R−152a含有噴射剤を99.0〜99.99重量%及び硫酸サルブタモールを0.01〜1.0重量%含む。好ましい組成物は、R−152a含有噴射剤を99.5〜99.95重量%及び硫酸サルブタモールを0.05〜0.5重量%含む。特に好ましい組成物は、R−152a含有噴射剤を99.8〜99.93重量%及び硫酸サルブタモールを0.07〜0.2重量%含む。パーセントはすべて医薬組成物の全重量に対するものである。
本発明の医薬組成物における薬物成分は硫酸サルブタモールからなる。本明細書では「からなる」及び「からなっている」という語により、追加の成分の存在を除外することが意図される。したがって、本発明の医薬組成物における薬物成分は硫酸サルブタモールから完全になるので、医薬組成物における唯一の薬物は硫酸サルブタモールである。
本発明の医薬組成物における噴射剤成分は1,1−ジフルオロエタン(R−152a)から実質的になる。したがって、噴射剤成分がR−152aに加えて少量の噴射剤化合物を含む可能性があることを排除するものではない。例えば、噴射剤成分が、R−227ea、R−134a、ジフルオロメタン(R−32)、プロパン、ブタン、イソブタン、ジメチルエーテルなどから選択される追加のヒドロフルオロカーボン又は炭化水素噴射剤化合物の1種以上をさらに含んでもよい。追加の噴射剤化合物が含まれる場合、R−152aが噴射剤成分の少なくとも90重量%、例えば、90〜99重量%を占めることになる。好ましくは、R−152aが噴射剤成分の少なくとも95重量%、例えば、95〜99重量%、より好ましくは少なくとも99重量%を占めることになる。特に好ましい実施形態では、噴射剤成分は完全にR−152aであるので、本発明の医薬組成物はR−152aを唯一の噴射剤として含む。
上の記載から明らかであるが、本発明の好ましい実施形態では、
硫酸サルブタモールからなる薬物成分と、
1,1−ジフルオロエタン(R−152a)からなる噴射剤成分と、
からなる医薬組成物が提供される。
本発明の医薬組成物は、例えば、定量噴霧式吸入器(MDI)を用いた、加圧エアロゾル容器からの硫酸サルブタモールの送達に特に使用される。この用途には、医薬組成物は加圧エアロゾル容器に収容され、R−152a噴射剤は薬剤を微細なエアロゾルスプレーとして送達すべく機能する。
本発明の医薬組成物は、バルブ潤滑剤などの加圧MDI用の製剤で従来使用される種類の他の添加剤を1種以上含んでもよい。他の添加剤が医薬組成物に含まれる場合、当該添加剤は、通常、当技術分野において慣例的な量で使用される。
本発明の医薬組成物は、通常、薬剤送達装置と共に使用されることになる加圧容器又はキャニスタに格納される。このように格納されると医薬組成物は通常液体である。好ましい実施形態では、加圧容器は定量噴霧式吸入器(MDI)用に設計される。
したがって、本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の医薬組成物を保持する加圧容器を提供する。第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様の医薬組成物を保持する加圧容器を有する薬剤送達装置、特に定量噴霧式吸入器を提供する。
特に好ましい実施形態では、本発明は、
硫酸サルブタモールからなる薬物成分と、
1,1−ジフルオロエタン(R−152a)からなる噴射剤成分と、
からなる医薬組成物を保持する加圧容器を提供する。
別の特に好ましい実施形態では、本発明は、
硫酸サルブタモールからなる薬物成分と、
1,1−ジフルオロエタン(R−152a)からなる噴射剤成分と、
からなる医薬組成物を保持する加圧容器を有する薬剤送達装置、特に定量噴霧式吸入器を提供する。
上の特に好ましい実施形態では、薬物成分及び噴射剤成分の典型的及び好ましい割合は上記の通りである。
本発明の医薬組成物は、呼吸器疾患、特に喘息を患うか又は患う可能性のある患者を治療するための医薬に使用される。
したがって、本発明は、呼吸器疾患、特に喘息を患うか又は患う可能性のある患者の治療方法であって、治療又は予防に有効な量の上記医薬組成物を患者に投与することを含む方法も提供する。医薬組成物は、好ましくは、MDIを使用して患者に送達される。
本発明の医薬組成物は、適切な混合容器中で硫酸サルブタモールとR−152a含有噴射剤とを必要な割合で混合するという簡単な配合操作によって調製することができる。混合は、当技術分野において一般的である撹拌によって促進することができる。好都合には、混合を補助するためR−152a含有噴射剤は液化されている。医薬組成物が別の混合容器で調製される場合は、医薬組成物はその後、薬剤送達装置、特にMDI、の一部分として使用される加圧容器などの加圧保存容器に移してもよい。
好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、MDIなどの薬剤送達装置を使用して組成物が最終的にエアロゾルスプレーとして放出されるエアロゾルキャニスタ又はバイアルなどの加圧容器の閉ざされた空間内で調製される。この方法では、秤量した硫酸サルブタモールを開放容器へ導入する。次いで、バルブを容器に加締め、そして所望によりまずバルブを通じて容器を真空にした後、加圧下でバルブを通じて容器へ噴射剤を液形態で導入する。
容器に所望の成分が入ったら、例えば激しく振とうするか又は超音波浴を使用して、混合物全体を処理して噴射剤に薬物を分散させることができる。適切なキャニスタは、プラスチック、金属、又はガラス製であってもよい。
したがって、第4の態様では、本発明は、
硫酸サルブタモールからなる薬物成分と、
1,1−ジフルオロエタン(R−152a)から実質的になる噴射剤成分と、
から実質的になる医薬組成物の製造方法であって、
薬剤送達装置を使用して薬物成分が最終的にエアロゾルスプレーとして放出されることになる開放容器に、秤量した薬物成分を導入する工程と、
容器にバルブ装置を装着する工程と、
加圧下でバルブを通して容器に噴射剤成分を液形態で導入する工程と、
を含む、方法を提供する。
導入工程後、好ましくは混合工程を行って噴射剤成分に薬物成分を混合する。混合工程は、医薬組成物中に薬物成分を適切に分散させるのを助ける。
上の方法に使用する好ましい医薬組成物は、上記と同様のものである。
容器には、複数回分の用量に提供するのに十分な医薬組成物が充填されてもよい。MDIで使用される加圧エアロゾルキャニスタは、典型的には50〜150回分の個別用量を含む。
噴射剤中に懸濁した薬物を含む医薬組成物に関しては、懸濁した薬物粒子がキャニスタの内面及び薬物送達装置のバルブに沈着するという問題が起こる場合がある。この問題により、キャニスタ内部にフッ素ポリマーコーティングのような特殊な裏打ち又はコーティングを設けることや、特殊高分子材料からバルブを作製することが必要となる場合がある。しかしながら、噴射剤としてR−152aを使用することによって、この問題は硫酸サルブタモールに関しては回避することができる。
本発明をここで下記の実施例により説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
例1
R−134a又はR−152aのいずれかを含む定量噴霧式吸入器(MDI)における硫酸サルブタモールのインビトロエアロゾル化性能を調査すべく多数の実験を行った。
薬物のみを含む硫酸サルブタモール含有製剤をR−134a及びR−152aの両方において調製した。硫酸サルブタモールの名目用量は100μgであった。薬物を標準的なアルミニウム19mL缶(C128、Presspart、Blackburn、UK)へ直接秤量した。次いで、缶に50μLバルブ(Bespak、Kings Lynn、UK)を加締めた。最後に、手動のPamasol加締め機/充填機(Pamasol、Switzerland)を使用して噴射剤をバルブを介して缶に充填した。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、エアロゾル化試験後の薬物含有量を測定した(下記参照)。HPLC機器は、ポンプと、カラムオーブンと、UV検出器に接続したカラム(いずれもAgilent 1200、Wokingham、Berkshire、UK)とで構成した。Hypersil BDS C18カラム(Fisher、Loughborough、UK、5μm、内径250×4.6mm)を試料のハイスループット分析に使用した。クロマトグラフィー条件を下記表1に示す。
Figure 0005818290
製剤のインビトロエアロゾル化性能は、真空ポンプ(GE Motors、NJ、USA)に接続したNext Generation Impactor(NGI、Copley Scientific、Nottingham、UK)を使用して試験した。粒子が反発しないように、試験前にNGIシステムのカップを1%v/vシリコーン油(ヘキサン溶液)でコーティングした。各実験について、薬局方のガイドラインに従って、缶を3回作動させて30L.分−1でNGIへ放出した。エアロゾル化の後、NGI装置を分解し、アクチュエータとNGIの各部とを容量が既知であるHPLC移動相へ洗い流した。NGIの各部に沈着した薬物の質量をHPLCにより測定した。この手順を缶に対して3回繰り返した後、微粒子量(FPD)及び放出量の微粒子画分(FPFED)を測定した。
R−134a又はR−152a噴射剤のいずれかを使用したMDIからのエアロゾル化後の塩酸サルブタモールのインビトロエアロゾル化性能を表2にまとめ、図1に示す。これらのデータは、硫酸サルブタモールの放出量は、R−134aよりもむしろR−152aと共に製剤化した場合に有意(p<0.05)に大きかったことを示す。さらに、硫酸サルブタモール/R−152a製剤の空気動力学的質量中央径(MMAD)は、R−134aを用いた薬物の製剤よりも小さかった。これらのデータは、薬物の分散効率はR−134aよりもR−152aにおいて良好であったことを示す。
Figure 0005818290
例2
R−152a噴射剤及びR−134a噴射剤における硫酸サルブタモールの懸濁安定性を、Turbiscan MA 2000(Formulaction SA、フランス)を使用して調べた。
Turbiscan機器は、平底の円筒形セルに沿って上下に動く検出ヘッドからなる(図2)。検出ヘッドは、パルス近赤外光源(L=850nm)及び2つの同期検波器からなる。透過検波器は試料を横切る光を受光する(入射光から180°で)一方で、後方散乱検波器は試料によって後方に散乱した光を受光する(入射光から45°で)。検出ヘッドは試料の全長(約65mm)を走査して、それぞれ40mmの透過及び後方散乱データを収集する(1走査当たり透過及び後方散乱データを1625回収集)。統合型マイクロプロセッサソフトウェアが、データ収集、アナログ・デジタル変換、データ保存、モーター制御、及びコンピュータ・ダイアログを処理する。
秤量した硫酸サルブタモールを14mLの耐圧性の透明なガラス製エアロゾル瓶に導入した。次いで、瓶に連続バルブ(Bespak、Kings Lynn、UK)を加締めた後、手動のPamasol加締め機/充填機(Pamasol、Switzerland)を使用してR−152a又はR−134aのいずれかをバルブを介してガラス瓶に充填した。調製した各製剤の全重量は10gであり、製剤中の硫酸サルブタモール及び噴射剤の量は下記表3に示す。最後に、懸濁液中での薬物の分散を補助すべく瓶をそれぞれ20分間超音波処理した。
Figure 0005818290
Turbiscan機器を使用した分析に先立ち、硫酸サルブタモール/噴射剤製剤を含む透明ガラス瓶を激しく振とうして製剤中に薬物を十分に分散させた。次いでガラス瓶をTurbiscanのヘッドにロードした。試料の分析を5分間にわたって行い、どの時点で硫酸サルブタモールの沈降が起こったかを測定した。
R−152aを噴射剤として使用すると、硫酸サルブタモールが沈降するのに2分かかった。これに対して、R−134aを噴射剤として使用すると、硫酸サルブタモールが沈降するのに30秒かからなかった。R−152a噴射剤を用いたより長い沈降時間は非常に有利である、というのも振とう後に噴射剤全体にわたる薬物の適切な分散をより長時間維持できるからである。そして、これにより、MDIを操作して薬剤を放出する際に薬物が噴射剤中に適切に分散されていることがより確実になり、したがって肺へ薬剤が適切に送達されることがより確実になる。
R−152aにおける硫酸サルブタモールのより良好な懸濁性能も、密度が0.9g/cmであるR−152aは密度が1.22g/cmであるR−134aよりも遥かに低密度であることを考えれば、全く予想外である。
30L.min−1でのHFA134a及び152aを含むMDIからNGIへのエアロゾル化後の硫酸サルブタモールのステージ毎の沈着。

Claims (15)

  1. 界面活性剤を含まない医薬組成物であって、該医薬組成物の少なくとも95重量%が、
    (a)硫酸サルブタモールからなる薬物成分と、
    (b)噴射剤成分であって、該噴射剤成分の少なくとも95重量%が1,1−ジフルオロエタン(R−152a)からなる噴射剤成分と、
    らなる、医薬組成物。
  2. 極性賦形剤を含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. エタノールを含まない、請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 前記噴射剤成分が完全にR−152aからなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  5. 完全に成分(a)及び(b)からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物を含む、密封容器。
  7. 定量噴霧式吸入器(MDI)と共に使用するための加圧容器である、請求項6に記載の密封容器。
  8. 請求項7に記載の加圧容器を装着した、定量噴霧式吸入器(MDI)。
  9. 硫酸サルブタモールからなる薬物成分と、噴射剤成分であって、該噴射剤成分の少なくとも95重量%が1,1−ジフルオロエタン(R−152a)からなる噴射剤成分の、呼吸器疾患を患うか又は患う可能性のある患者の治療のための界面活性剤を含まない医薬組成物の製造における使用であって、前記医薬組成物の少なくとも95重量%が前記2つの成分からなる、使用
  10. 前記呼吸器疾患が喘息である、請求項9に記載の使用。
  11. 前記医薬組成物が定量噴霧式吸入器(MDI)を使用して患者に送達されるように適合されてなる、請求項9又は10に記載の使用。
  12. 呼吸器疾患を患うか又は患う可能性のある患者の治療に用いるための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  13. 前記呼吸器疾患が喘息である、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 前記医薬組成物が定量噴霧式吸入器(MDI)を使用して患者に送達されるように適合されてなる、請求項12又は13に記載の医薬組成物。
  15. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬組成物の製造方法であって、
    薬剤送達装置を使用して前記薬物成分が最終的にエアロゾルスプレーとして放出されることになる開放容器に、秤量した前記薬物成分を導入する工程と、
    前記容器にバルブ装置を装着する工程と、
    加圧下で前記バルブを通して前記容器に前記噴射剤成分を液形態で導入する工程と、を含む、方法。
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