JP5818103B2 - コネクタ - Google Patents

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Description

本発明は、雌雄の端子同士自身を互いにロックして接続状態に維持する形式のコネクタに関する。
この種のコネクタの一例として下記特許文献1に記載のものが知られている。このものは、相手の雄端子が挿入接続される接続部を設けた雌端子と、この雌端子が後方から挿入されてランスにより抜け止めして収容されるキャビティを有する雌ハウジングとが備えられ、雌端子の接続部内には、雄端子に設けられた係止孔に係止可能な係止突部を備えたロック片が弾性撓み可能に設けられるととともに、雌ハウジングには、ロック片をロック解除方向に撓み変位させることが可能な解除部材が装着された構造である。
そして、このコネクタが相手の機器側コネクタに嵌合されると、雌ハウジングに収容された雌端子の接続部内に、相手の雄端子がロック片を撓み変位させつつ挿入され、所定量挿入されたところでロック片の復動変位を伴い係止突部が係止孔に嵌ってロックされ、すなわち雌雄の端子が接続状態に維持される。一方、両端子の接続を解除するには、解除部材でロック片を押圧してロックを解除し、引き続いて雌ハウジングを後方に引っ張ることで両端子の接続を解除するようになっている。しかるにこの従来構造では、ロック片によるロック解除をする部分において、解除部材を後付けする必要があって構造が複雑化し、また解除操作も面倒であるといった問題点が残る。
そこで改良策として、ロック片の両側縁にフォロワ部を設ける一方、キャビティの対向した両側壁に同フォロワ部が係合するカム部を形成し、雌雄の端子がロックされた状態から雌ハウジングを後方へ移動させると、フォロワ部がカム部に係合することによるカム作用によってロック片がロック解除方向に弾性変位し、もって雌雄の端子間のロックが解除されるようにしたものが提案された。
特開平4−14775号公報
しかしながら上記改良策のものは、雌雄の端子が接続状態にある場合に、雌端子がキャビティ内でがたつきがある状態で収容されていると、雌ハウジングを引っ張ったときに雌端子がキャビティ内でローリングする可能性があり、そうするとロック片が捻れた形態となって、一方のフォロワ部しかカム部と係合しない片利きとなり、ロックが確実に外れないおそれがある。
これを回避するには、キャビティ内にがた詰め部を設けて雌端子のがたつきを防ぐことが考えられるが、がた詰め部を設けるということは、雌端子をキャビティ内に挿入する際の抵抗すなわち端子挿入力が挿入行程の終盤に向けて次第に大きくなる現象を呈するため、特に雌端子が正規位置まで挿入されてランスにより係止されたタイミングが解り辛いという問題がなお残り、さらなる改良が切望されていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、雌端子のキャビティ内でのがた詰め手段を設けてもなお、雌端子が正規位置に挿入されてランスにより係止された事態を明確に認識できるようにするところにある。
本発明は、相手の雄端子が挿入接続される接続部を有する雌端子と、この雌端子が後方から挿入されて収容されるキャビティを有するコネクタハウジングと、前記キャビティ内に設けられ前記雌端子が正規位置まで挿入された場合に同雌端子に係止して抜け止めする弾性変位可能なランスと、前記雌端子の前記接続部内に設けられ前記雄端子が所定量挿入されたところで同雄端子に弾性的に係止してロックするロック片と、このロック片の両側縁に設けられたフォロワ部と、前記キャビティの対向した両側壁に形成され、前記雌雄の端子がロックされた状態から前記コネクタハウジングが後方へ移動することに伴い前記フォロワ部と係合して前記ロック片をロック解除方向に弾性変位させるカム部と、前記カム部の後方に形成され前記雌端子の挿入行程において前記フォロワ部と係合して前記ロック片の弾性変位を伴い前記フォロワ部を弾性接触させて摺動させる弾接付勢部と、が設けられ、かつこの弾接付勢部には、前記ランスが復動変位して前記雌端子に係止する手前の挿入行程と対応する所定領域において、前記ロック片の変位量を一定に維持する変位量維持部が形成されているところに特徴を有する。
雌端子がランスを弾性変位させつつキャビティ内に挿入され、正規位置まで挿入されたところでランスの復動変位を伴って雌端子に係止することで抜け止めされて収容される。この間、雌端子に設けられたロック片のフォロワ部が、キャビティの両側壁に形成された弾接付勢部と係合し、ロック片の復動変位を伴ってフォロワ部が弾接付勢部に弾性的に押し付けられた状態にある。この状態から当該コネクタが相手側に嵌合されると、相手の雄端子が対応する雌端子の接続部内にロック片を弾性変位させつつ挿入され、所定量挿入されたところでロック片が復動変位して雄端子に係止することでロックされ、すなわち雌雄の端子が接続状態に維持される。
雌雄の端子の接続を解除する場合は、コネクタハウジングを所定以上の力で後方に引っ張り、雌端子をキャビティ内で相対的に前進させる。このとき、ロック片の両フォロワ部がそれぞれ弾接付勢部に弾性的に押し付けられていることから、雌端子がキャビティ内でがたつくこと、例えばローリングする余地がない。したがってコネクタハウジングを引いた際に、ロック片の両フォロワ部が共に対応したカム部と係合することでロック片が正規にロック解除方向に弾性変位され、両端子間のロックが解除されて引き続きコネクタハウジングともども雌端子が相手の雄端子から解離される。
一方、カム部の手前に弾接付勢部を設けたことにより、雌端子をキャビティ内の正規位置まで挿入する間に、ランスとロック片の両方を弾性変位させることに伴う端子挿入力が必要となるが、本発明では、同弾接付勢部に対し、ランスが復動変位して雌端子に係止する手前の挿入行程と対応する所定領域において、ロック片の変位量を一定に維持する変位量維持部が形成されている。
係る構成に伴う雌端子の端子挿入力を考察すると、まずランスの抵抗に伴う端子挿入力は、雌端子がランスに当たったのち同ランスを弾性変位させて通過する間に挿入力が次第に増加し、ピークを過ぎて漸減したのち低い一定値に維持され、ランスが復動して雌端子に係止したところで挿入力は0となる。一方、ロック片の抵抗に伴う端子挿入力は、ランスが弾性変位を始めたのちフォロワ部が弾接付勢部に当たったときから挿入力が次第に増加し、変位量維持部の手前に到ったところでピークを迎え、変位量維持部に移行することに伴い漸減して、上記したランスが雌端子に係止するまで低い値に維持される。
したがって、ランス並びにロック片が弾性変位することに伴うトータルの雌端子の端子挿入力は、雌端子がランスに当たったときから次第に増加し、ランスに乗り上げて少し進んだ辺りでピークを迎え、そののち比較的急激に減少することに続いて極めてゆっくりと減少し、ランスが復動して雌端子に係止したところで大きく落ちる現象を示す。
すなわち、雌端子がキャビティ内に挿入される行程において、正規位置に挿入されてランスにより係止される場合、一定の低い端子挿入力からさらに急激に挿入力が落ちる現象を呈し、これによりランスが復動変位して雌端子に係止したときの節度感を明確に得ることができ、ひいては正規位置で係止された事態を明確に認識することができる。
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記弾接付勢部は、先下がりのテーパ部の下端に水平姿勢で前方に延出したストレート部を連設した形状であり、このストレート部が前記変位量維持部とされている。
ランスにより係止される手前の所定領域では、ロック片のフォロワ部が弾接付勢部のストレート部を摺接することによって、端子挿入力が一定の低い値に維持される。
(2)前記端子がファストン端子であって、前記雌端子の前記接続部が扁平な筒形に形成されている一方、前記雄端子には前記接続部内に緊密に挿入されるバスバーが突出形成されており、前記雌端子の前記接続部における底面側には前記ロック片が前縁から折り返された形態で弾性撓み可能に設けられ、同ロック片の先端側の表面に前記雄端子の前記バスバーに開口された係止孔に嵌合する係止突部が設けられているとともに、前記ロック片の先端側の両側縁には前記フォロワ部が張り出し形成され、前記両フォロワ部は前記接続部の両側壁を貫通して前記キャビティの前記両側壁に向けて突出している。
ファストン端子では、雌端子の接続部に雄端子のバスバーが圧入されて同接続部が膨らみ変形する傾向にあるため、雌端子の接続部はキャビティ内においてクリアランスを持って収容されるのが一般的であるが、同ファストン型の雌端子についてもキャビティ内でがたつきなく収容でき、その上、同雌端子がキャビティ内に正規位置まで挿入されてランスにより係止された事態を明確に認識することができる。
本発明のコネクタによれば、雌端子のキャビティ内でのがた詰めを図ってもなお、雌端子が正規位置に挿入されてランスにより係止された事態を明確に認識することができる。
本発明の一実施形態に係る雌ハウジングの正面図 同平面図 同右側面図 同縦断面図 雌端子の正面図 同平面図 同右側面図 雌端子のキャビティへの挿入動作を示す断面図 雌端子がランスとの係合を開始したときの断面図 雌端子のロック片がガイド部との係合を開始した状態の断面図 雌端子がランスにより係止される手前にある状態の断面図 雌端子がランスにより係止された状態の断面図 雌端子と雄端子とが接続状態にロックされたときの断面図 ロック解除された状態の断面図 雌端子の端子挿入力を示すグラフ 同端子挿入力の特性を比較するためのグラフ
<実施形態>
本発明の一実施形態を図1ないし図16によって説明する。この実施形態では、車両のヘッドランプ用のコネクタを例示しており、ランプソケットから引き出された電線の端末に設けられた雌コネクタと、コントロールボックスから引き出された電線の端末に設けられた雄コネクタとが嵌合接続されるようになっており、各コネクタに装備される雌雄の端子には、ファストン端子が用いられている。
雄コネクタは、先端にバスバー11を設けた3本のファストン型の雄端子10(図13参照)が、合成樹脂製の雄側のコネクタハウジング(雄ハウジング)に収容され、詳しくは図示しないが、各雄端子10のバスバー11が、雄ハウジングの前面(嵌合端面)から所定の配置で前方に突出している。
雌コネクタは、3本のファストン型の雌端子20が、合成樹脂製の雌側のコネクタハウジング40(雌ハウジング40)内に収容された構造である。
雌端子20は、図5ないし図7に示すように、前後方向に長い基板21の前端部に、上記した相手の雄端子10のバスバー11と接続される接続部25が形成される一方、同基板21の後方に、電線Wの端末が圧着されるバレル部22が設けられている。
詳細には、上記した基板21は前端側が幅狭部21Aとされ、図5に示すように、幅狭部21Aの左右の側縁から、上方、外方さらに上方へとクランク状に曲げられた側板26が立ち上がり形成され、両側板26の上縁から所定間隔を開けて互いに向き合うように上板27が直角曲げされ、さらに両上板27の対向縁から挟持片28が下向きに直角曲げされて形成されることにより、接続部25が形成されている。
この接続部25における幅広領域の下部側がバスバー11の圧入部29となっており、そのため圧入部29の間口はバスバー11の横幅にほぼ匹敵し、また挟持片28の下縁と、圧入部29の両側部に残った底面との間隔が、バスバー11の厚さよりも少し小さい寸法に設定されている。
接続部25の底面を構成する基板21の幅狭部21Aには、後記するランス45が嵌るランス孔30が形成されている。
バレル部22は、電線(被覆電線)Wにおける芯線Waの端末がかしめられるワイヤバレル23と、被覆Wbの端末がかしめられるインシュレーションバレル24とが縦に並んで配された構造であって、上記した基板21の後縁に、直交した姿勢で連設されている。
先に雌端子20と雄端子10とのロック構造について説明する。図13に示すように、雄端子10に設けられたバスバー11の先端寄りの位置には、係止孔12が開口されている。
雌端子20側では接続部25内にロック片35が設けられている。このロック片35は、基板21の先端縁から突出形成された舌片が、後方に向けてやや先上がりの姿勢に折り返されることで形成されており、同ロック片35の先端は、図7に示すように、接続部25内の奥行のほぼ中央部で、かつ圧入部29内に入り込んだ位置まで延出している。このロック片35の先端部の表面には、上記した雄端子10のバスバー11に開口された係止孔12に嵌って係止する係止突部36が形成されている。
雌ハウジング40は、図1ないし図4に示すように、やや厚肉で短寸の角筒形に形成されており、その3辺においてそれぞれ、上記した雌端子20を収容するキャビティ41が形成されている。キャビティ41は、雌端子20が後方から略緊密に挿入可能な前後方向に延びた形状に形成され、各キャビティ41の底壁がそれぞれ、当該雌ハウジング40の中空部43に面した配置で形成されている。
キャビティ41の前面壁41Aには、相手の雄端子10のバスバー11が挿入可能な端子挿入口42が、当該キャビティ41に正規挿入された雌端子20の接続部25における圧入部29の前方に対応するようにして形成されている。
キャビティ41の底壁には、雌端子20に係止して抜け止めするランス45が設けられている。ランス45は前方に延びた片持ち状に形成され、その先端の上面にランス孔30に嵌る突起46が形成され、先端側が上下方向に弾性撓み可能となっている。ランス45の前方は溝状となって開口され、係止解除のための治具の挿入溝47として利用できる。
キャビティ41の天井面には、雌端子20の接続部25における左右の上板27の対向端縁の間の隙間に進入可能な、誤挿入防止用のリブ48が形成されている。また、キャビティ41の後端部は、後面に開口していることに加えて、雌端子20のバレル部22を収容しかつ電線Wを導出可能に正面視で左側面に開口するように形成されている(導出口49)。
雌端子20は雌ハウジング40における対応するキャビティ41に後方から挿入され、図9に示すように、ロック片35の折り返し部35Aが突起46に当たったのちはランス45を弾性撓みさせつつ押し込まれ、接続部25の先端面が前面壁41Aの少し手前に達する正規位置まで押し込まれると、図12に示すように、ランス45が復動変位しつつ突起46がランス孔30に嵌り込み、これにより雌端子20が後方へ抜け止めされた状態でキャビティ41内に収容されるようになっている。
なお、雄コネクタ側では、3個の雄端子10の各バスバー11が、雄ハウジングの前面(嵌合端面)から、雌ハウジング40における3個のキャビティ41と対応した配列で突出している。
次に、雌端子20と雄端子10間のロックを解除する部分の構造について説明する。雌端子20の接続部25に設けられたロック片35には、その先端部の左右両側縁に張り出し片37が面一に形成されており、各張り出し片37の張り出し端部が、接続部25の側板26に開口された窓孔26Aを通して、圧入部29の左右の側面よりもさらに外方に突出しており、この突出した張り出し端部がフォロワ部38とされている。このフォロワ部38は自然状態では、図8に示すように、ロック片35と同じに先上がりの斜め姿勢を採るようになっており、同フォロワ部38の基端部(同図の左端部)は、円弧状に曲げられて誘い部38Aが形成されている。
キャビティ41の左右の側壁には、上記したロック片35の先端に設けられた左右のフォロワ部38が摺接可能なガイド部50が、段差状に形成されている。
図8において、ガイド部50のうちフォロワ部38と係合して実質的に機能する領域は、後側から順次に連なって形成された第1テーパ部51と、ストレート部52と、第2テーパ部53である。第1テーパ部51は前方に向けて例えば傾斜角が15度の下り勾配に形成され、同第1テーパ部51の下端からストレート部52が水平姿勢で前方に延出形成され、同ストレート部52の前端から、第2テーパ部53が前方に向けて例えば傾斜角が20度の下り勾配に形成されている。
なお、第1テーパ部51の後方には、その上端から水平に延出したのちさらに上方に開いた後方逃がし部54Aが、また第2テーパ部53の前方には、その下端から水平に延出した前方逃がし部54Bが、それぞれ形成されている。
第2テーパ部53が本発明にいうロック解除用のカム部に相当する。また第1テーパ部51とストレート部52とが本発明の弾接付勢部に相当し、さらにストレート部52が変位量維持部に相当する。
上記した第1テーパ部51、ストレート部52及び第2テーパ部53について、詳細な形成位置とフォロワ部38との係合タイミングとを、ランス45の位置並びにランス45の動作と対応させて説明する。
第1テーパ部51は、奥行方向についてはランス45の基端部付近に対応して形成されており、図9に示すように、雌端子20におけるロック片35の折り返し部35Aがランス45の突起46に当たったタイミングでは、フォロワ部38が第1テーパ部51に当たる少し手前に位置している。この状態からランス45を弾性撓みさせつつ所定距離前方に押し込まれたところで、フォロワ部38が第1テーパ部51に当接するようになっている(図10)。
雌端子20の押し込みが進んで、図11に示すように、ランス45の突起46がランス孔30の前縁付近に移動したら、フォロワ部38が第1テーパ部51からストレート部52に移る。フォロワ部38がストレート部52に沿って摺接する間に、ランス45が復動して突起46がランス孔30に嵌った状態となる(図12)。このとき、フォロワ部38は第2テーパ部53に対する係合直前の位置にある。この状態から雌端子20が前進すると、フォロワ部38は第2テーパ部53に対して前方に摺接する設定となっている。
本実施形態は上記のような構造であって、続いてその作用を説明する。
雌コネクタは、以下のようにして組み付けられる。3本の電線Wが準備され、それぞれ皮剥きして芯線Waを露出させる端末処理が施される。各電線Wにおける芯線Waの端末が雌端子20のワイヤバレル23に、被覆Wbの端末がインシュレーションバレル24にそれぞれかしめ圧着され、すなわち各電線Wの端末に雌端子20が接続される。電線Wは、雌端子20の後端から直角をなして引き出された形態となる。
電線Wの端末に接続された雌端子20は、図8の矢線に示すように、雌ハウジング40に形成された対応するキャビティ41内に後方から挿入される。挿入が進むと、図9に示すように、雌端子20の接続部25に設けられたロック片35の折り返し部35Aがランス45の突起46に一旦当たり、そのときロック片35の先端部に設けられた左右のフォロワ部38は、キャビティ41の左右の側壁に形成されたガイド部50における第1テーパ部51の少し手前に留まっている。
続いて雌端子20が押し込まれると、図10に示すように、ロック片35の折り返し部35Aが突起46に乗り上げてランス45を弾性撓みさせつつ前進し、途中でフォロワ部38が第1テーパ部51に当たってそれに沿って摺接することで、ロック片35が併せて弾性撓みしつつ前進する。図11に示すように、突起46がランス孔30の前縁付近に至るまで前進すると、フォロワ部38が第1テーパ部51からストレート部52に移り、それ以降フォロワ部38がストレート部52を摺接することで、ロック片35はランス45ともども所定量弾性撓みした状態に維持されつつ前進する。
ランス孔30がランス45の突起46と対応する位置まで雌端子20が押し込まれると、図12に示すように、ランス45が復動しつつ突起46がランス孔30の前端側に嵌り、前縁に係止することで雌端子20が抜け止めされて収容される。このとき、ロック片35のフォロワ部38は、ストレート部52と対応しており、ロック片35が弾性撓み状態に維持されたまま、その復元弾力によりフォロワ部38がストレート部52に押し付けられた状態にある。なお、雌端子20のバレル部22はキャビティ41の後端部内に収まり、電線Wが左側壁の導出口49から外部に導出される。
3個の雌端子20が雌ハウジング40の対応するキャビティ41内に抜け止めされて収容されることで、雌コネクタの組み付けが完了する。
上記のように組み付けが完了した雌コネクタが、相手の雄コネクタと嵌合される。両コネクタが嵌合されると、雄ハウジングから突出された雄端子10のバスバー11が、雌ハウジング40の対応するキャビティ41の端子挿入口42に挿入され、引き続いて同キャビティ41内に抜け止めされて収容されている雌端子20の接続部25の圧入部29内に前方から圧入される。バスバー11は、ロック片35の先端に突設された係止突部36に当たってその上を通過することで、ロック片35の先端側を下方に弾性撓みさせつつ押し込まれ、雌雄のコネクタが正規に嵌合されたところで、バスバー11の係止孔12がロック片35の係止突部36の位置に到り、図13に示すように、ロック片35が復動しつつ係止突部36が係止孔12の前側に嵌って前縁に係止することで、両端子20,10が解離不能状態にロックされる。
このとき、雄端子10のバスバー11は、雌端子20の接続部25における圧入部29に圧入され、主に上板27の先端の挟持片28と、圧入部29の底面の両側部との間で弾性的に挟持されることで、雌雄の端子20,10同士が電気的に接続され、かつこの接続状態にロックされることになる。このときロック片35は、そのフォロワ部38がストレート部52に当たり、当該雌端子20がランス45により抜け止めされてキャビティ41内に収容されたときと同様に、若干弾性撓みした状態に維持されている。
メンテナンス等を行うに際して、雌雄のコネクタの嵌合を外しつつ雌雄の端子20,10の接続を解除する場合には、図13に示す状態から、雌ハウジング40を同図の矢線に示すように、所定以上の力で後方に引くと、雌端子20が雄端子10と結合されてロックされていることから、雌端子20がキャビティ41内を前進するようになる。これに伴い、ロック片35のフォロワ部38がストレート部52から第2テーパ部53に移って同第2テーパ部53に沿って摺接する。
それに伴い、フォロワ部38が押し下げられ、すなわちロック片35の先端側がさらに下方に弾性撓みし、フォロワ部38が第2テーパ部53の下端付近まで進んだところで、図14に示すように、ロック片35の突起46がバスバー11の係止孔12の下方に抜け、雌雄の端子20,10間のロックが解除される。そのため引き続いて雌ハウジング40を後方に引っ張ると、雌端子20が雌ハウジング40ともども後方に移動して相手の雄端子10と解離されることになる。
上記のように、雌雄のコネクタの嵌合を外す前の雌雄の端子20,10が接続状態にロックされている場合では、雌端子20の接続部25に設けられたロック片35の左右のフォロワ部38が、それぞれキャビティ41の左右の側壁に設けられたガイド部50におけるストレート部52に弾性的に押し付けられているために、雌端子20がキャビティ41内でがたつくこと、例えばローリングする余地はない。したがって雌ハウジング40を引いた際に、ロック片35の両フォロワ部38がともに対応する第2テーパ部53と係合することにより正規に弾性撓みし、ロック片35の係止突部36が相手のバスバー11の係止孔12から確実に抜けることで、雌雄の端子20,10間の接続の解除並びに引き続く両端子20,10の解離が正確にかつスムーズに行われる。
雌端子20をキャビティ41から外す場合は、治具挿入溝47に治具を入れてランス45を強制的に撓ませることで雌端子20に対する係止を解除し、電線Wともども雌端子20を後方に引き抜けばよい。
ここで、雌端子20が雌ハウジング40の対応するキャビティ41内に挿入される際の端子挿入力について改めて考察すると、図15に示すようになる。
ランス45の抵抗に伴う端子挿入力は、同図の特性線Xaに示すように、ロック片35の折り返し部35Aがランス45の突起46に当たったとき(タイミングTa)から挿入力が次第に増加し、折り返し部35Aが突起46に乗り上げたところ(タイミングTc)でピーク値を迎え、漸減したのち低い一定値に維持され、ランス45が復動して突起46がランス孔30に落ち込んだところ(タイミングTf)で挿入力は0となる。
一方、ロック片35のフォロワ部38がガイド部50と係合することに伴う端子挿入力は、同図の特性線Xbにように、ランス45が撓み始めたのちフォロワ部38が第1テーパ部51に当たったとき(タイミングTb)から挿入力が次第に増加し、第1テーパ部51の終端に到ったところ(タイミングTe)でピークを迎え、ストレート部52に移行することに伴い漸減して、上記したランス45がランス孔30に係止するとき(タイミングTf)まで低い値に維持される。
なお、雌雄の端子20,10の接続を解除するべく、上記のタイミングTfから雌端子20がさらに相対的に前進すると、フォロワ部38が第2テーパ部53を摺接してロック片35をさらに弾性撓みさせることから、端子挿入力は急勾配で増加する。
したがって、ランス45並びにロック片35が弾性撓みすることに伴うトータルの端子挿入力は、ランス45のみによる挿入力(特性線Xa)と、ロック片35のみによる挿入力(特性線Xb)の合力から、図15の特性線Xのようになる。
端的には、トータルの端子挿入力は、ロック片35の折り返し部35Aがランス45の突起46に当たったとき(タイミングTa)から次第に増加し、折り返し部35Aが突起46に乗り上げてさらに少し進んだ辺り(タイミングTd)でピークを迎え、そののち比較的急激に減少することに続いて極めてゆっくりと減少し、ランス45が復動して突起46がランス孔30に落ち込んだところ(タイミングTf)で、大きく落ちる現象を示す。なお、接続解除時を示すタイミングTf以降では、急激に増大する。
上記した特性線Xの特徴的なところは、ランス45の突起46がランス孔30に落ち込む手前の比較的長いストロークの間では、端子挿入力が比較的低い値でほぼ一定であり、ランス45により係止されたときには、その一定値から急激に落ちるところにある。そして、この端子挿入力をほぼ一定値に抑えるための手段として、ロック片35のフォロワ部38が係合するガイド部50の一部にストレート部52を設け、ランス45の突起46がランス孔30に落ち込む手前の領域の間では、フォロワ部38がストレート部52を摺接することで端子挿入力を抑えているのである。
この特徴を作業者側から見ると、雌端子20をキャビティ41に挿入した際、初めは大きな挿入抵抗を受けるもののピークを過ぎたのちはほぼ一定の低い挿入抵抗を受けることが続き、ランス45により係止されたときには一定の低い抵抗状態からさらに急激に抵抗が減ることから、雌端子20がランス45で係止されたことが感触として解りやすいと言える。
ここで比較例として、がた詰め手段を構成するに当たってストレート部52を設けないもの、本実施形態に照らすと、第1テーパ部51とストレート部52とに亘る領域を、1本の緩やかなテーパ部で形成したものを例に取ると、端子挿入力は図16の特性線Yに示すようになる。
比較例のものでは、雌端子20がランス45に当たった時点から押し込むと、初めの間は、ロック片35のフォロワ部38とがた詰め用のテーパ部との間が開いていて、雌端子20が持ち上げられつつランス45を撓ませて通過するために、挿入力は比較的小さく、途中(タイミングTx)でロック片35のフォロワ部38がテーパ部に当たって同テーパ部に沿って摺接するときは、雌端子20は上方への逃げが規制されるためにランス45による抵抗が増加することに加えて、ロック片35を次第に撓ませることになるために、トータルした端子挿入力が次第に増大し、ランス45が落ち込んで係止されたところ(タイミングTf)で、ランス45の抵抗が無くなった分挿入力が少し落ちるといった現象を呈する。
すなわち、比較例(特性線Y)のものでは、ランス45により係止されたときには、端子挿入力が次第に増加している途中で僅かに落ちるだけであるから、作業者の感触としては極めて解り難い。
それに対して本実施形態では、上記に詳述したように、ランス45により係止されたときには一定の低い端子挿入力からさらに急激に挿入力が落ちる現象を呈することで、ランス45が落ち込んで係止したときの節度感を明確に得ることができる。
以上のように本実施形態によれば、雌雄のコネクタの嵌合を外す前の雌雄の端子20,10が接続状態にロックされている場合では、雌端子20の接続部25に設けられたロック片35の左右のフォロワ部38が、それぞれキャビティ41の左右の側壁に設けられたストレート部52に弾性的に押し付けられているために、雌端子20がキャビティ41内でがたつくこと、例えばローリングする余地はない。したがって雌ハウジング40を引いた際に、ロック片35の両フォロワ部38がともに対応する第2テーパ部53と係合することにより正規に弾性撓みし、ロック片35の係止突部36が相手のバスバー11の係止孔12から確実に抜けることで、雌雄の端子20,10間の接続の解除並びに引き続く両端子20,10の解離が正確にかつスムーズに行われる。
それに加え、ロック片35のフォロワ部38が係合するガイド部50の一部にストレート部52を設け、ランス45の突起46がランス孔30に落ち込む手前の所定領域の間では、フォロワ部38がストレート部52を摺接することで端子挿入力を抑える構造としている。
そのため、雌端子20がキャビティ41内に挿入される行程において、正規位置に至ってランス45により係止されたときには、一定の低い端子挿入力からさらに急激に挿入力が落ちる現象を呈することで、ランス45が落ち込んで係止したときの節度感を明確に得ることができ、ひいては雌端子20が正規位置で係止された事態を明確に認識することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)弾接付勢部を構成する第1テーパ部とストレート部について、第1テーパ部の傾斜角度は、上記実施形態に例示した角度以外に任意に設定できる。また、第1テーパ部とストレート部との長さの比率も任意に設定できる。
(2)上記実施形態では、雌端子が、電線を90度屈曲した方向に引き出して接続した形式のものを例示したが、電線を真直に引き出して接続した形式のものであってもよい。
(3)端子としては、上記実施形態に例示したファストン端子に限らず、雌端子と雄端子とが対向方向に嵌合して接続される他の形式の端子であってもよい。
(4)本発明は、上記実施形態に例示したヘッドランプ用コネクタに限らず、他の用途のコネクタについても広く適用することができる。
10…雄端子
11…バスバー
12…係止孔
20…雌端子
21…基板
25…接続部
26…側板
26A…窓孔
30…ランス孔
35…ロック片
36…係止突部
38…フォロワ部
40…雌ハウジング(コネクタハウジング)
41…キャビティ
45…ランス
46…突起
50…ガイド部
51…第1テーパ部(弾接付勢部)
52…ストレート部(弾接付勢部/変位量維持部)
53…第2テーパ部(カム部)

Claims (3)

  1. 相手の雄端子が挿入接続される接続部を有する雌端子と、
    この雌端子が後方から挿入されて収容されるキャビティを有するコネクタハウジングと、
    前記キャビティ内に設けられ前記雌端子が正規位置まで挿入された場合に同雌端子に係止して抜け止めする弾性変位可能なランスと、
    前記雌端子の前記接続部内に設けられ前記雄端子が所定量挿入されたところで同雄端子に弾性的に係止してロックするロック片と、
    このロック片の両側縁に設けられたフォロワ部と、
    前記キャビティの対向した両側壁に形成され、前記雌雄の端子がロックされた状態から前記コネクタハウジングが後方へ移動することに伴い前記フォロワ部と係合して前記ロック片をロック解除方向に弾性変位させるカム部と、
    前記カム部の後方に形成され前記雌端子の挿入行程において前記フォロワ部と係合して前記ロック片の弾性変位を伴い前記フォロワ部を弾性接触させて摺動させる弾接付勢部と、が設けられ、
    かつこの弾接付勢部には、前記ランスが復動変位して前記雌端子に係止する手前の挿入行程と対応する所定領域において、前記ロック片の変位量を一定に維持する変位量維持部が形成されていることを特徴とするコネクタ。
  2. 前記弾接付勢部は、先下がりのテーパ部の下端に水平姿勢で前方に延出したストレート部を連設した形状であり、このストレート部が前記変位量維持部とされていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
  3. 前記端子がファストン端子であって、前記雌端子の前記接続部が扁平な筒形に形成されている一方、前記雄端子には前記接続部内に緊密に挿入されるバスバーが突出形成されており、
    前記雌端子の前記接続部における底面側には前記ロック片が前縁から折り返された形態で弾性撓み可能に設けられ、同ロック片の先端側の表面に前記雄端子の前記バスバーに開口された係止孔に嵌合する係止突部が設けられているとともに、
    前記ロック片の先端側の両側縁には前記フォロワ部が張り出し形成され、前記両フォロワ部は前記接続部の両側壁を貫通して前記キャビティの前記両側壁に向けて突出していることを特徴とする請求項1または請求項2記載のコネクタ。
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