はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明群を手段n(n=1,2,3…)として区分して示し、それらを必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、本実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
(手段1)「変動表示装置を有する遊技機において、
上記変動表示装置の中心を囲繞するように複数の電気音響変換器が配されると共に、
これら電気音響変換器より出力される音声出力の伝達関数が音声出力用コントローラによって制御されるようになされたことを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、変動表示装置の中心を囲繞するように複数の電気音響変換器(音波放出器)が配されているので、これら電気音響変換器より出力される音声出力の伝達関数を音声出力用コントローラによって制御すれば、複数の電気音響変換器からの音声出力の合成音(音像)を、複数の電気音響変換器で囲まれる二次元平面内で自由に動かすことができる。したがって伝達関数を遊技情報で制御すれば、遊技情報が音の情報に変換された上で出力されることになり、音によって多くの情報を遊技者に伝達できる。
(手段2)「手段1において、上記伝達関数のうち上記音声出力のレベルと位相の何れか一方又は双方を制御することで、上記複数の電気音響変換器からの音声出力によって形成される音像が二次元的に制御されるようになされたことを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、例えば音声出力のレベル(振幅)を適宜制御することで、複数の音声出力の合成音である音像の位置を、複数の電気音響変換器で囲まれる二次元平面内で任意に可変できる。
音声出力のレベルの代わりに出力位相を制御することもで同様に音像の位置を可変できるし、音声出力のレベルと位相の双方を制御しても音像の位置を二次元的に動かすことができる。要は音声出力の伝達関数を制御することで音像の位置を二次元的に可変できるようになる。
(手段3)「手段1において、遊技の状態に応じて上記伝達関数が制御されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、遊技の状態に応じて音声出力の伝達関数が制御される。具体的には音声出力のうちそのレベルや位相が遊技の状態によってコントロールされる。複数の音声出力のうちレベルなどを同期して制御することで、複数の音声出力の合成音である音像は二次元的に動く。これによって、遊技の状態に対応して音像を可変できるようになり、遊技にマッチした音像が得られる。
(手段4)「手段3において、上記遊技の状態とは、遊技の開始および停止又は入賞の種類であることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、少なくとも遊技の開始と停止および入賞の種類に応じて音声出力の伝達関数が制御される。複数の音声出力の伝達関数が同時に制御されるものであるから、これによって音像を二次元的に制御できる。
(手段5)「手段1において、上記変動表示装置が図柄を取り付けた複数の回胴で構成されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、変動表示装置として、その周囲に図柄列が配された回胴を使用したものであるときは、複数の回胴の開始と停止および入賞の種類に応じて音声出力の伝達関数が制御される。
この伝達関数の制御によって、複数の回胴の回転方向に向かって音像が変化したり、回胴停止操作がなされることによって残りの回胴の回転に対応させて音像を変化させることができる。つまり、遊技の情報を音の情報として変換できる。
(手段6)「手段5において、上記回胴の回転開始又は停止、および回胴に施された図柄の整列ラインによって決まる入賞の種類に応じて、上記電気音響変換器への音声出力状態が制御されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、回胴の回転状態に応じて音像の位置が制御されると共に、入賞の内容によって図柄の整列ラインが異なるので、この整列ラインに応じて複数の電気音響変換器に対する音声出力状態が制御される。例えば、上側の横のラインに入賞図柄が揃ったときには、上部入賞ラインに対応するように、回胴露出窓の上側に位置する電気音響変換器群を制御することで、効果音は中央寄りよりもむしろその上側を音像が移動するように聞こえる。このように複数の電気音響変換器を入賞の内容などに応じて制御することで、入賞の内容や、種類に応じた音像制御が可能になる。
(手段7)「手段1において、上記電気音響変換器は3つであることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、変動表示装置の中心を囲繞するように電気音響変換器が3つ配される。3つの配置の仕方は任意であって、通常は三角形(例えば正三角形)の頂点に電気音響変換器がそれぞれ位置するように配置する。そうすると、この3つの電気音響変換器で構成される二次元平面内に対して、それぞれより出力される音声出力の合成音による音像を任意に動かすことができる。音像の移動を考慮するならば、変動表示装置の上側に2頂点が位置するように配置するのが好ましい。
(手段8)「手段1において、上記電気音響変換器は4つ以上使用されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、変動表示装置の中心を囲繞するように電気音響変換器が4つ以上配される。4つの電気音響変換器を使用する場合、これら4つの配置の仕方は任意であるが、最も好適なのは変動表示装置から余り離れない上下左右の位置である。このような配置位置は、遊技者の目線の位置であって、これはほぼ変動表示装置の位置となるからである。
この4つの電気音響変換器で構成される二次元平面内を、それぞれより出力される音声出力の合成音による音像を任意に動かすことができるので、遊技の状態にマッチした音像制御が可能になる。特に、変動表示装置として回胴を使用する場合、回胴は通常3個使用されるものであるから、3個の回胴の同時回転、一部回転に応じて音像を制御することが可能になるからである。
(手段9)「手段8において、4つの電気音響変換器が使用され、
これら4つの電気音響変換器は上記変動表示装置を挟むように上下に一対ずつ配置されると共に、
上記変動表示装置の中心を通り、かつ当該変動表示装置の表示部に対して水平な水平線にそれぞれ平行するように、上記4つの電気音響変換器が配置されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、変動表示装置の中心を通り、しかもこの変動表示装置の表示部に対して平行な水平線を想定したとき、想定したこの水平線と平行するように一対の電気音響変換器が変動表示装置の上下に配置される。こうすることで、変動表示装置を中心とした二次元平面内での音像をバランスよく出力させることができる。水平線に平行するように上下一対の電気音響変換器が配置されるので、4つの電気音響変換器は矩形状または台形状に配置されることになる。
(手段10)「手段8において、4個の電気音響変換器が使用され、
これら4個の電気音響変換器は上記変動表示装置を挟むように左右に一対ずつ配置されると共に、
上記変動表示装置の中心を通り、かつ当該変動表示装置の表示部に対して水平な水平線と交叉する鉛直線に対して平行するように、上記4つの電気音響変換器が配置されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、変動表示装置の中心を通り、しかもこの変動表示装置の表示部に対して平行な水平線と交わる鉛直線を想定したとき、想定した鉛直線に対して平行するように一対の電気音響変換器が変動表示装置の左右に配置される。こうすることで、変動表示装置を中心とした二次元平面内での音像をバランスよく出力させることができる。鉛直線と平行するように左右一対の電気音響変換器が配置されるので、4つの電気音響変換器は矩形状または台形状に配置されることになる。
(手段11)「手段9または手段10において、上記変動表示装置を挟むようにその上下に一対ずつ配置される4つの電気音響変換器であって、
上方に配置された一対の上記電気音響変換器は上記変動表示装置の上端よりも上方に位置し、上記変動表示装置の下方に配置された一対の上記電気音響変換器は上記変動表示装置の下端よりも下方に位置することを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、変動表示装置の上端および下端のそれぞれ上方および下方にバランスよく4つの電気音響変換器が配置されるので、音像の二次元平面の拡幅を図ることができ、ダイナミックな音像を作り出すことができる。
(手段12)「手段9または手段10において、上記変動表示装置を挟むようにその上下に一対ずつ配置される4つの電気音響変換器であって、
上記変動表示装置の左側に配置された一対の上記電気音響変換器は、上記変動表示装置の左端よりもさらに左方に位置し、
上記変動表示装置の右側に配置された一対の上記電気音響変換器は、上記変動表示装置の右端よりもさらに右方に位置することを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、変動表示装置の左右両側にバランスよく4つの電気音響変換器が配置されるので、音像の二次元平面の拡幅を図ることができ、ダイナミックな音像を作り出すことができる。
(手段13)「手段9において、上記4つの電気音響変換器は上記変動表示装置を挟むと共に、遊技機本体のほぼ四隅近傍に位置するように配置されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、変動表示装置を挟んで、遊技機本体の四隅近傍にバランスよく4つの電気音響変換器が配置されるので、音像の二次元平面の広がりを最大限に設定でき、これによってダイナミックな音像を作り出すことができる。
(手段14)「手段9において、上記4つの電気音響変換器は上記変動表示装置を挟むと共に、遊技機の前面扉のほぼ四隅近傍に位置するように配置されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、遊技機のうち特に前面扉に4つの電気音響変換器が配されると共に、変動表示装置を挟んで、前面扉の四隅近傍にバランスよく4つの電気音響変換器が配置されるので、遊技者と対峙する前面扉から効果音が出力されるようになり、しかも前面扉の四隅に電気音響変換器が配置される関係で、音像の二次元平面の広がりを最大限に設定でき、これによってダイナミックな音像を作り出すことができる。
(手段15)「手段7,手段8、手段9または手段10において、上記電気音響変換器は相互にそれぞれ所定間隔以上離間して配置されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、複数の電気音響変換器の相互の配置間隔を、それぞれ所定間隔以上離間するように配置することで、効果音による音像を二次元的に動かすことができるから、遊技の状態に応じた音像の制御(移動)が可能になり、遊技者の興趣を一層そそることができる。
(手段16)「手段15において、上記所定間隔とは、少なくとも20cm以上であることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、電気音響変換器同士を20cm以上離間させたので、効果音による音像の二次元的な動きをより顕著に感得させることができるようになる。
(手段17)「手段1において、上記電気音響変換器は指向性を有することを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、電気音響変換器が指向性を有するので、複数の音声出力の伝達関数を同時に制御することで、結果的に電気音響変換器の指向性を変えることができ、その結果として複数の音声出力による合成音の音像位置を二次元平面内で任意に可変することができる。
(手段18)「手段17において、上記電気音響変換器はスピーカであることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、音波放出機能を有する電気音響変換器として指向性を有するスピーカが使用されているので、遊技機が設置されているホールの中でも、十分な出力音量を確保できる。したがって他の遊技機から放音される効果音にマスキングされることなく、遊戯中の効果音を聴取できる。
(手段19)「手段18において、上記スピーカは中高音用のスピーカであることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、中高音用のスピーカを使用することで、より鮮明に遊戯中の効果音を楽しむことができる。
(手段20)「手段8において、上記電気音響変換器は5つであることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、3つ又は4つの電気音響変換器による音像の制御に加えて、さらに電気音響変換器を1つ追加して、トータル5つの電気音響変換器を使用することで、さらに迫力のある音響演出が可能になる。
(手段21)「手段20において、5つ目の電気音響変換器は上記遊技機本体の底部に配置されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、遊技機本体の底部に追加した電気音響変換器を配置することで、遊技者の足下側からも効果音を響かせることができ、臨場感溢れる音響空間を実現できる。
(手段22)「手段21において、上記電気音響変換器は低音用スピーカであることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、遊技機本体の底部に追加した電気音響変換器として低音用スピーカを用いることで、遊技者の足下側から響く効果音は低音専用であるため、臨場感溢れる音響空間を実現できる。電気音響変換器は重低音用スピーカであってもよい。
(手段23)「手段22において、上記低音用スピーカは、バスレフ型スピーカであることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、低音用のスピーカとしてバスレフ型のスピーカを使用することで、ホール内でも低音環境を実現でき、迫力のある音響空間を実現できる。
(手段24)「手段1において、上記遊技機は、
複数の電気音響変換器に対応した音データをそれぞれ格納した音データ格納手段と、
当該音データと、上記複数の電気音響変換器との間に設けられた音声出力制御用のコントローラと、
上記遊技の状態に応じて上記音データ格納手段の読み出し状態を制御する制御部とで構成され、
上記制御部からの制御信号に基づいて、上記音声データ格納手段からの音データによって形成される音声出力の伝達関数が制御されて上記複数の電気音響変換器によって形成される音像が二次元的に制御されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、例えば変動表示装置として回胴を使用した変動表示装置の場合、回胴の回転状態又は入賞の種類に応じた状態信号が制御部に供給されるので、この状態信号を解読することで、複数の電気音響変換器に対する音声出力の伝達関数が制御される。状態信号によって電気音響変換器に対する音声出力の伝達関数(具体的には音声出力のレベル若しくは位相またはその双方)を可変できるので、これら複数の電気音響変換器によって形成される音像を二次元的に制御することできる。
(手段25)「手段24において、上記電気音響変換器は3個以上使用されると共に、上記変動表示装置の中心を囲繞するように上記複数の電気音響変換器が配されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、変動表示装置の中心を囲繞するように電気音響変換器が3つ以上配置される。電気音響変換器を例えば4つ使用するときの好適な配置例としては、変動表示装置から余り離れない上下左右の位置である。これは遊技者と対峙する遊技機の中心は、ほぼ変動表示装置の位置となるからである。
これら4つの電気音響変換器で構成される二次元平面内に対して、それぞれより出力される音声出力の合成音による音像を任意に動かすことができるので、遊技の状態にマッチした音像制御が可能になる。特に、変動表示装置として回胴を使用する場合、回胴は通常3個使用されるものであるから、3個の回胴の同時回転、一部回転に応じて音像を制御することが可能になるからである。
(手段26)「手段24において、上記音データは効果音用の音データであることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、効果音を発生させるための音データが音データ格納手段に格納されているので、遊技の状態に応じて複数の電気音響変換器用の音データの大きさなどをそれぞれ同期してコントロールすれば、複数の電気音響変換器から出力される音像(効果音による音像)を所望のごとく制御できる。
(手段27)「手段24において、上記音データ格納手段には、遊技の状態に応じて選択される特定の出力音量特性に対応した音量レベルからなる音データが上記電気音響変換器ごとに格納されていることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、遊技の状態によって異なった出力音量特性が選択されると共に、この出力音量特性に則った音量レベルを持った音データが、電気音響変換器ごとに予め格納されているので、出力音量特性が決定すれば、時間と共にその音量レベルが変化する音データを読み出すだけで、その遊技の状態に応じた音像を二次元的に動かすことができる。これによって、音声出力制御系における伝達関数の制御を構成簡単に実現できる。
(手段28)「手段24において、上記音データ格納手段には、遊技の状態に応じて選択される音データが格納され、読み出されたこの音データの位相または出力音量レベルと位相の双方を上記遊技の状態に応じて可変することで、効果音による音像が二次元的に制御されることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、音声データ格納手段より読み出された音データの出力音量レベルを遊技の状態に応じて制御する以外にも、音像を二次元的に制御できる。出力音量レベルの他に、音声出力の位相を制御することでも音量出力の伝達関数を制御できるため、この位相制御によっても音像を二次元的に変化させることができるし、出力音量レベルとその位相の双方を同期して制御することでも音像を二次元的に制御できる。
(手段29)「手段24において、上記電気音響変換器は指向性を有するスピーカであることを特徴とする遊技機。」
この遊技機によれば、電気音響変換器(音波放出器)として指向性を有するスピーカが使用されるので、騒音レベルが大きいホール内であっても、十分な音量の効果音を得ることができる。
(手段30)「手段1から手段29の何れかにおいて、遊技機はパチンコ機である。」ここに、パチンコ機はその基本構成として操作ハンドルを備えると共に、この操作ハンドルの操作に応じて遊技球を所定の遊技領域に発射させ、遊技球が遊技領域内の所定の位置に配置された作動口に入賞することを必要条件として変動表示装置における図柄の変動表示が開始するようになされたものであり、また特別遊技状態発生中には、遊技領域内の所定の位置に配置された入賞口が所定の態様で開放されることによって遊技球を入賞可能として、その入賞個数に応じた有価価値が付与されるようになされた遊技機である。有価価値は景品球として還元することもできれば、磁気カードなどのカード状記録媒体を利用して有価価値に相当する有価情報を書き込むことでもよい。
パチンコ機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態との2種類の遊技態様が存在する。
(手段31)「手段1から手段29の何れかにおいて、遊技機はスロットマシンである。」ここに、スロットマシンはその基本構成として、遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する変動表示装置を備えており、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して図柄の変動が開始されると共に、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは所定時間経過することにより図柄の変動が停止されるようになされ、停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を備えた遊技機である。
上述した遊技機には、少なくとも多数個の遊技媒体を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技媒体を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技態様が存在する。この種遊技機において使用される遊技媒体はコイン、メダル等がその代表例として挙げられる。
(手段32)「手段1から手段29の何れかにおいて、遊技機はパチンコ機とスロットマシンとを融合させた遊技機である。」
このような遊技機(複合機)はその基本構成として、遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の識別情報からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する変動表示装置を備えており、さらに操作レバーなどの始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始されると共に、ストップボタンなどの停止用操作手段の操作に起因して、或いは所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段を備え、遊技媒体として遊技球を使用するとともに、識別情報の変動開始に際しては所定数の遊技球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの遊技球が払い出されるように構成された遊技機である。
上述した遊技機には、少なくとも多数個の遊技球を取得できる遊技者に有利な状態である特別遊技状態(大当たり状態)と、遊技球を消費する遊技者に不利な状態である通常遊技状態の2種類の遊技態様が存在する。
次に、本発明の実施例について説明する。この発明に係る実施例は変動表示装置として図柄が取り付けられた回胴を使用した場合である。ここに、変動表示装置とは、遊技状態に応じてその遊技状態を識別させるための複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する装置を総称する。
図1は本発明に係る遊技機の実施形態であるスロットマシン10の前面扉を閉じた状態の斜視図、図2はスロットマシン10の前面扉を開いた状態の斜視図、図3はその平面図、図4はこのスロットマシン10に設けられた5つ目の電気音響変換器の断面図である。また図5はスロットマシン10の他の例を示す図1と同様な斜視図であり、図6はスロットマシン10の電気的接続を例示するブロック図である。
この実施例として適用したスロットマシン10は、図2に示すように前面扉12がその左側を回動軸として本体11に回動自在に取り付けられ、前面扉12を閉じると、図1のように施錠装置20により前面扉12が施錠される。
図1に示すように前面扉12には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする上下左右にそれぞれ設けられた4つのスピーカ14(14A〜14D)と、機種名などが表示された上段プレート15と、左回胴Lと中回胴Mと右回胴Rをそれぞれ透視できる遊技パネル30と、略中段付近にて各種ボタン51,53〜56,61〜63やスタートレバー52やメダル投入口57が設けられた操作部50と、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16と、メダル払出口17から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿18とが装着されている。
スロットマシン10の本体内部には、図2に示すように電源ボックス85や、図6に示すように制御装置を構成する主制御基板Cが装着されている。電源ボックス85は本体11の天板近くに取り付け固定されている。
図1に示す遊技パネル30は、左回胴L、中回胴M、右回胴Rの停止中または回転中の様子を透視できるように、外部に露出した露出窓31L,31M,31Rと、露出窓31Lの左側に配置された5つのベットランプ32,33,33,34,34と、この露出窓31(31L,31M,31R)の下側に配設された3つの表示部(クレジット枚数表示部35、ゲーム数表示部36および払出枚数表示部37)とを備えている。
露出窓31L,31M,31Rは、それぞれ停止中の左回胴L、中回胴M、右回胴Rにつき、それぞれ縦に3つの図柄(後述する)を露出可能な大きさに形成されている。このため、各回胴L,M,Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄を視認できる。そして、図1にて一点鎖線で表示した上段、中段、下段の水平ラインおよび一対の対角ラインの合計5本のラインが、ベットされるメダル数に応じて適宜有効化される。露出窓31L、31M、31Rは1つにまとめて、共通の露出窓とすることもできる。
なお、図柄の整列ラインのうち有効化されたラインは入賞ライン(有効ライン)であり、予め定められた賞を付与する組合せが有効ラインに揃うと「入賞」となる。因みに停止した左回胴Lの3つの図柄のうち有効ライン上の図柄に「チェリー」があると「入賞」となる。
左回胴L、中回胴M、右回胴Rは同様のユニットにより構成されているため、ここでは左回胴Lを例に挙げて図7および図8に基づいて説明する。図7は左回胴Lの組立斜視図、図8は左回胴Lに巻かれたシール47の展開図である。左回胴Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材40の外周面に、図8に示すような21個の図柄(識別要素)が等間隔ごとに描かれたシール47が巻かれたものであり、円筒骨格部材40のボス部41が円盤状のボス補強板42を介して左回胴用ステッピングモータ71Lの駆動軸に取り付けられている。
左回胴用ステッピングモータ71Lは、本体11(図2参照)の内部に垂設されたモータプレート43にねじ43aで固定されており、このモータプレート43には発光素子と受光素子とが一対となった回胴インデックスセンサ(回転位置検出センサ)44が設置されている。回胴インデックスセンサ44を構成するこれら一対のフォトセンサ(図示はしない)は、所定の間隔を保持してセンサ筐体内に配される。
左回胴Lと一体化されたボス補強板42には、半径方向に延び出したセンサカットバン45の基端部45bがねじ45cで固定されている。このセンサカットバン45の先端部45aは、略90°屈曲されて回胴インデックスフォトセンサ44の両素子の間隙を通過できるように位置合わせがなされている。そして、左回胴Lが1回転するごとにセンサカットバン45の先端部45aの通過を回胴インデックスフォトセンサ44が検出し、検出の都度主制御基板Cに検出信号を出力するため、主制御基板Cはこの検出信号に基づいて左回胴Lの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。なお、各回胴に巻かれたシール47は、それぞれに描かれた図柄の順序や発生頻度が異なったものが使用される。
ステッピングモータ71Lは、504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)により左回胴Lが1周するように設定されており、この励磁パルスによって回転位置が制御される。すなわち、左回胴Lが1周すると21図柄が順々に露出窓31Lから露出するため、ある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、回胴インデックスセンサ44の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が露出窓31Lから露出しているかを認識したり、任意の図柄を露出窓31Lから露出させたりする制御を行うことができる。
図9はステッピングモータ71Lの動作原理を示す接続図である。ステッピングモータ71Lとしてこの実施例では、1−2相励磁方式を採用したハイブリッド(HB)型の2相ステッピングモータを使用した場合である。ステッピングモータはハイブリッド型や2相に限らず、4相あるいは5相のステッピングモータなど、種々のステッピングモータを使用することができる。
ハイブリッド型のステッピングモータ71Lは周知のように中央に配置されたロータ(回転子)60と、このロータ60の周囲に配された第1〜第4ポール601〜604から構成される。
ロータ60は、N極に着磁された手前側ロータ60aと、S極に着磁された奥側ロータ60bとで構成され、手前側ロータ60aの周囲に設けられた歯(小歯)と歯の間に、奥側ロータ60bの周囲に設けられた歯が位置するように1/2ピッチだけ相対的にずらされた状態で回転軸に取り付けられている。そして、手前側ロータ60aと奥側ロータ60bとの間には筒状磁石(図示はしない)が取着されている。
第1と第3ポール601,602には図10に示すように、励磁コイルL0とL2がバイファイラ巻きされ、励磁コイルL0の巻き終わり端と励磁コイルL2の巻き始め端とが結線されて、ここに所定の直流電源+B(例えば+24ボルト)が印加される。同じく、第2と第4ポール602,604にも、励磁コイルL1とL3がバイファイラ巻きされ、励磁コイルL1の巻き終わり端と励磁コイルL3の巻き始め端とが結線されて、ここに上述した直流電源+Bが印加される。
ここで、上述したように第1の励磁コイルL0に励磁信号を印加して、第1ポール60
1をS極に励磁すると共に、第3ポール603をN極に例示する相をA相とし、これとは逆に第3の励磁コイルL2に励磁信号を印加して、第1ポール601をN極に励磁すると
共に、第3ポール603をS極に励磁する相をA−相とし、さらに第2の励磁コイルL1
に励磁信号を印加して、第2ポール602をS極に励磁すると共に、第4ポール604をN極に励磁する相をB相とし、第4の励磁コイルL3に励磁信号を印加して、第2ポール
602をN極に励磁すると共に、第4ポール604をS極に励磁する相をB−相と称する。
そして、1相励磁駆動方式の場合には、A相、B相、A−相およびB−相に対して順次励磁信号を印加することでロータ60を時計方向(又は反時計方向)に回転駆動することができる。
つまり、例えばまずA相に通電すると、S極になった第1ポール601の突起と手前側ロータ60aの歯、N極になった第3ポール603の突起と奥側ロータ60bの歯とがそれぞれ吸引力により向き合い、次にB相に通電すると、S極になった第2ポール602の突起と手前側ロータ60aの歯、N極になった第4ポール604の突起と奥側ロータ60bの歯とがそれぞれ吸引力により向き合い、次にA−相に通電すると、N極になった第1ポール601の突起と奥側ロータ60bの歯、S極になった第3ポール603の突起と手前側ロータ60aの歯とがそれぞれ吸引力により向き合い、次にB−相に通電すると、N極になった第2ポール602の突起と奥側ロータ60bの歯、S極になった第4ポール604の突起と手前側ロータ60aの歯とがそれぞれ吸引力により向き合う。この順序で励磁することにより、ロータ60は図9において時計方向に回転する(1相励磁駆動)。
これに対して、この実施例では、1相励磁と2相励磁とを交互に行う1−2相励磁駆動が採用されている。1−2相励磁駆動では以下の(a)〜(h)の励磁シーケンス(励磁順序)に従って励磁が行われる。
すなわち、1相のみの励磁が1相励磁であり、2相を同時に例示するのが2相励磁であるから、図10にも示すように1−2相励磁駆動は、
(a)A相に通電し(1相励磁)、
(b)A相とB相の両方に通電し(2相励磁)、以下同様に
(c)B相に通電し、
(d)B相とA−相の両方に通電し、
(e)A−相に通電し、
(f)A−相とB−相の両方に通電し、
(g)B−相に通電し、
(h)B−相とA相の両方に通電し、その後(a)に戻るような駆動方式である。
この1−2相励磁駆動を採用することにより、1ステップあたりの角度変化は、1相励磁駆動の1ステップあたり約0.714°となる。
ステッピングモータ71L、71M、71Rに対する駆動信号(駆動信号用データ)は、励磁データ(図12参照)としてモータドライバー712に与えられる。この励磁データは図6に示すRAM76に格納されており、後述する回胴制御処理ルーチン内で、タイマ割り込み処理によってMPU72からの指令に基づいて入出力処理回路(入出力ポート)80に、適切な励磁データが出力されることになる。この励磁データによってステッピングモータ71L、71M、71Rに対する励磁相が定まり、その励磁相に対して励磁信号(電流)が通電される。
回転開始時つまり初期励磁時に上述の励磁順が狂ったり、励磁間隔が短かったり、励磁間隔が極端に不揃いであったりすると、場合によっては脱調したり、回転が不安定になったりする。ここに、励磁間隔とは、後述する入出力ポート80における出力ポートへのデータ書き込み間隔であって、これは入出力ポート80における出力ポートからの励磁データの出力間隔を意味する。
図1を参照して更に説明する。図1に示すように1枚ベットランプ32は、中段水平ラインの左横に配設され、2枚ベットランプ33,33は上段水平ラインおよび下段水平ラインの左横に配設され、3枚ベットランプ34,34は一対の対角ラインの左横に配設されている。
クレジット枚数表示部35は、後述するクレジット機能が有効なときにスロットマシン内部に貯留されている枚数を表示するものであり、ゲーム数表示部36は、例えばビッグボーナス時にあと何回JAC(ジャック)インできるかとかJACゲーム時にあと何回JAC図柄成立が残っているかといった回数を表示するものである。払出枚数表示部37は、有効ライン上に同じ図柄が揃って入賞したときに払い出された枚数を表示するものである。
操作部50は、上述したように前面部に設けられたクレジットボタン51、スタートレバー52、左回胴用ストップボタン53、中回胴用ストップボタン54、右回胴用ストップボタン55および返却ボタン56と、水平段部に設けられたメダル投入口57、1枚ベットボタン61、2枚ベットボタン62およびマックスベットボタン63とを備えている。
クレジットボタン51は、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後押しボタン操作が行われるごとにオンオフが切り替わるトグル式に構成されている。
クレジットボタン51がオフ状態のときには、クレジット枚数表示部35の表示が消え、メダル投入口57から投入されたメダルや入賞したときに払い出されるメダルはメダル払出口17からメダル受け皿18へ払い出される。
クレジットボタン51がオン状態のときには、クレジット枚数表示部35に数字(オンからオフになったときには「0」)が表示され、クレジット機能が有効となる。
ここで、クレジット機能とは、メダル投入口57から投入された枚数がマックスベット数(ここでは3枚)を越えたときにその越えた枚数分をスロットマシン内部に貯留する機能であり、貯留枚数は上述したクレジット枚数表示部35に表示される。クレジット枚数表示部35に1枚以上表示されているときにクレジットボタン51を押してオフ状態にすると、表示されていた枚数分のメダルがメダル払出口17からメダル受け皿18へ払い出され、メダルが払い出されるごとにクレジット枚数表示部35の数値が1ずつディクリメントされ、その数値がゼロになったあと表示が消える。
スタートレバー52は、遊技者がゲームを開始するときに手で押して操作するレバーであり、手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルがベットされているときにこのスタートレバー52が操作されると、スタートスイッチ52a(図6参照)がオンされてスタート指令が発生し、このスタート指令によって各回胴L,M,Rが一斉に回転し始める。
左回胴用ストップボタン53、中回胴用ストップボタン54、右回胴用ストップボタン55は、それぞれ回転中の左回胴L、中回胴M、右回胴Rを停止させるときに遊技者が指で押すためのボタンであり、各ボタン53,54,55が押されるとそれに連動して左回胴用ストップスイッチ53a、中回胴用ストップスイッチ54a、右回胴用ストップスイッチ55a(図6参照)がオンされて停止指令が発生する。各ストップボタン53,54,55は、各回胴L、M、Rが等速回転している間、図示しないランプにより点灯表示され、回転が停止すると消灯する。
返却ボタン56は、メダル投入口57に投入されたメダルが詰まったときに押されるボタンであり、このボタンが押されると詰まったメダルがメダル払出口17から返却される。
メダル投入口57は、メダルを投入するための入口であり、投入されたメダルは図2に示すように内部に設けられたホッパ86へ通じる貯留用通路91か、メダル払出口17へ通じる払出用通路92のいずれかへ導かれる。貯留用通路91と払出用通路92の切替はメダル通路切替ソレノイド66によって行われる。
各ベットボタン61,62,63は、ゲームスタート前にそのゲームでベットするメダル枚数を決めるためのボタンである。メダルをベットする手順は次のようになる。
クレジットボタン51がオフ状態のとき(クレジット枚数表示部35が消灯しているとき)か、クレジットボタン51がオン状態で貯留枚数もベット枚数もゼロのとき(クレジット枚数表示部35に「0」が表示されているとき)に、メダル投入口57からメダルが投入されるとベットされる。
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口57に投入されると、1枚ベットランプ32が点灯し、そしてこれに対応する中段水平のラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口57に投入されると、更に2枚ベットランプ33,33が点灯すると共に、これに対応する上段水平および下段水平のラインを含む合計3本のラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口57に投入されると、更に3枚ベットランプ34,34が点灯し、そしてこれに対応する一対の対角ラインを含む合計5本のラインのそれぞれが有効ラインとなる。
4枚以上のメダルがメダル投入口57に投入されると、クレジットボタン51がオフのときつまりクレジット機能が有効でないときには、メダル払出口17からメダル受け皿18へメダルが返却されるが、クレジットボタン51がオンのときつまりクレジット機能が有効なときには、有効ラインはそのままで投入されたメダルの枚数分だけスロットマシン内部に貯留され、クレジット枚数表示部35に貯留枚数が表示される。このクレジット枚数は上限枚数が決められており(例えば50枚)、それを越える枚数のメダルが投入されたときにはメダル払出口17からメダル受け皿18へ返却される。
メダルが3枚以上貯留されているときに、1枚ベットボタン61が押されるとクレジット枚数表示部35に表示されている数値が1つディクリメントされると共に、1枚ベットランプ32が点灯して中段水平のラインが有効ラインとなり、2枚ベットボタン62が押されるとクレジット枚数表示部35に表示されている数値が2つディクリメントされると共に、1枚ベットランプ32および2枚ベットランプ33,33が点灯して合計3本のラインが有効化され、マックスベットボタン63が押されるとクレジット枚数表示部35に表示されている数値が3つディクリメントされると共に、全ベットランプ32,33,33,34,34が点灯して合計5本の有効ラインが有効化される。
一方、メダルが2枚貯留されているときに、1枚ベットボタン61や2枚ベットボタン62が押されると先ほどと同様に動作するが、マックスベットボタン63が押されると2枚ベットボタン62が押されたときと同じように動作し、メダルが1枚だけ貯留されているときに、1枚ベットボタン61が押されると先ほどと同様に動作するが、2枚ベットボタン62やマックスベットボタン63が押されると1枚ベットボタン61が押されたときと同じように動作する。
図2に示すように電源ボックス85は、電源スイッチ81を始めとして、リセットスイッチ82や設定キー挿入孔83などを備えている。電源スイッチ81は、これがオンされるとMPU72を始めとする各部に電源を供給する。リセットスイッチ82は、オンされた状態で電源スイッチ81がオンされるとRAM76の内容がリセットされ、単にオンされるとエラー状態がリセットされる。
設定キー挿入孔83は、図示しない設定キー(ホール管理者などが所持している)を挿入することにより設定キースイッチ83a(図6参照)がオン状態となり、スロットマシン10の設定状態(当選確率設定処理)を「設定1」から「設定6」まで変更できる。
ホッパ86は、メダルを貯留する補助タンク87と、補助タンク87内のメダルを払出用通路92に通じる開口93を介してメダル払出口17へ払い出す払出装置88とから構成されている。この払出装置88は、ホッパ駆動モータ65(図6参照)によって図示しないメダル送出用回転板を回転させながらメダルを開口93へ送り出す。
遊技を効果的に演出するため、この発明では遊技の状態を音の状態に変換する処理が施される。そのため、この発明では複数の音波放出機能を有する電気音響変換器を用い、これら複数の電気音響変換器によって形成される音像が、遊技の状態に応じて二次元的に制御される。
図1〜図3に示すように遊技機本体11には複数の電気音響変換器が配される。実施例では電気音響変換器として指向性を有する中高音用のスピーカが使用される。指向性が必要なのは、複数の電気音響変換器(スピーカ)からの音声出力を合成したときの合成音(音像)が遊技の状態によって移動(可変)できるようにするためである。
スピーカは複数個使用される。具体的には3個以上使用され、変動表示装置である回胴の露出窓31(31L、31R、31M)を一体と考えたとき、回胴露出窓31の中心を囲繞するように配置される。以下に説明する例は4個のスピーカを使用した場合である。
図1に示すように、遊技機本体11の正面側であって、前面扉12の上下左右の4個所に音像形成用の4つのスピーカ14(14A〜14D)が配される。この実施例では前面扉12であって、しかも回胴露出窓31(31L、31M、31R)を挟むようにその上下左右端部近傍に4つのスピーカ14A〜14Dが配される。
さらに実施例では、前面扉12の内扉側であって、しかも回胴露出窓31の上端よりも上側であり、左端よりもさらに左方の位置、したがって図1の例では上段プレート15の左右両側に位置する場所に一対のスピーカ14Aと14Bが配される。
また回胴露出窓31の下端よりも下側であり、その右端よりもさらに右方の位置、したがって図1の例では操作部50となされた領域のうちスタートレバー52やストップボタン53,54,55が配された領域の左右両端部に一対のスピーカ14Cと14Dがそれぞれ配される。
上下左右にそれぞれ配される4つのスピーカ14A〜14Dにあって、上下左右の間隔HhおよびHvは、図3に示すようにそれぞれ所定間隔以上離間させる必要がある。これは4つのスピーカ14A〜14Dによって形成される効果音による音像が二次元的に移動したように聴感できるようにするためである。
これは、指向性を有する4つのスピーカ14A〜14Dによって形成される音像はそれぞれの取り付け間隔HhおよびHvがある程度以上離れていないと、聴感上効果的な音像移動が実現できないことが諸種の実験によって判明したためである。諸種の実験によると、20cm以上離間させれば音像の二次元的な変位を確認できた。
図3のように、上段プレート15の左右両側にスピーカ14Aと14Bを配置することで、両者を水平方向(=Hh)に対して20cm以上離間させることができ、また操作部50の左右両端部にスピーカ14Cと14Dを配置することで、両者を20cm以上離すことができ、しかもこの配置とすると縦方向(=Hv)に対しても20cm以上離すことができる。もちろん、遊技機本体11の大きさによって制限されるものの、上側と下側のスピーカの間隔を上例以上に十分離すことも可能であり、例えば図5のようにメダル受け皿18を構成する部分に、20cm以上離して、一対のスピーカ14C、14Dを配置することもできる。したがって極端な例では、前面扉12あるいは遊技機本体11の四隅近傍にそれぞれ4つのスピーカ14A〜14Dを配置してもよい。
4つのスピーカ14A〜14Dは中高音用のスピーカが使用される。これはスロットマシン10が設置されるホール内での騒音を考慮したためである。ホール内での騒音のレベルは以外と大きいので、遊戯中の効果音を聞き取りやすくするため、上述したように指向性を有する中高音用のスピーカが使用される。もちろん、全帯域用のスピーカを使用することもできる。
図1に示す実施例では、これら4つのスピーカ14A〜14Dの他に、もう1つの電気音響変換器が取り付けられている。この電気音響変換器は低音用であって、図2および図3R>3にそれぞれ示すように、本体11の底部に取り付け固定される。
この例では、バスレフ型のスピーカが使用される。そのため、図4に示すようにキャビネット96内にダクト(空孔部)98が設けられ、その上部に低音用のスピーカ14Eが取り付けられたもので、この例では図2に示すように本体底部に設けられたホッパ86の横にキャビネット96が取り付け固定されている。低音用のスピーカ14Eとしては、重低音用のスピーカを含むものとする。
上述したように、4つのスピーカ14A〜14Dは遊技者が最も注視する回胴露出窓31を中心に配置したので、回胴の動きや入賞の内容に応じて効果音の音像が二次元的に制御されているのを遊技者が体得でき、これによって遊技に対する興趣が一層増大する。
電気音響変換器として中高音用スピーカを使用することによって、遊技機が設置されているホールの中でも、十分な出力音量を確保できる。したがって他の遊技機から放音される効果音にマスキングされることなく、遊戯中の効果音を聴取できる。
上述した複数のスピーカ14A〜14Eを使用して音像を二次元的に制御する例は後述する。
変動表示装置である回胴L、M、Rを囲繞するように配置されるスピーカ14、特に音像形成用の4個のスピーカ14A〜14Dの配置およびそれによる効果を整理すると以下のようになる。
第1に、4個のスピーカ14A〜14Dは変動表示装置の表示部である回胴L、M、Rの露出窓31L、31M、31Rの中心を通り、しかもこれら回胴L、M、Rと平行な水平線と、この水平線と交わる鉛直線とをそれぞれ想定したとき、想定した水平線または鉛直線に平行するように4つのスピーカ14A〜14Dが配置される。つまり、4つのスピーカ14A〜14Dは矩形状または台形状に配置される。水平線と鉛直線のそれぞれに平行するように4つのスピーカ14A〜14Dを配置したときの配置形状は矩形となる。こうすることで、回胴L、M、Rを中心とした二次元平面内での音像をバランスよく出力させることができる。
第2に、回胴L、M、Rを挟むようにその上下に一対ずつ配置される4つのスピーカ14A〜14Dであって、上方に配置された一対のスピーカ14A、14Bは回胴L、M、Rの上端よりも上方に配置し、回胴L、M、Rの下方に配置された一対のスピーカ14C、14Dは回胴L、M、Rの下端よりも下方に配置できる。
こうすることで、回胴L、M、Rの上方および下方にバランスよく4つのスピーカ14A〜14Dが配置されるので、音像の二次元平面の拡幅を図ることができ、ダイナミックな音像を作り出すことができる。
第3に、回胴L、M、Rの左側に配置された一対のスピーカ14A、14Cは左側よりもさらに左方に位置し、回胴L、M、Rの右側に配置された一対のスピーカ14B、14Dはその右側よりもさらに右方に位置させることができる。
こうすれれば、回胴L、M、Rの左右両側にバランスよく4つのスピーカ14A〜14Dが配置されるので、音像の二次元平面の拡幅を図ることができ、ダイナミックな音像を作り出すことができる。
第4に、4つのスピーカ14A〜14Dは上述したように遊技機本体11の四隅近傍にそれぞれ配置することもできれば、前面扉12の四隅近傍にそれぞれ配置することもできる。こうすることで、音像の二次元平面の広がりを最大限に設定でき、これによってダイナミックな音像を作り出すことができる。
さて、図6に示すように主制御基板Cは、演算処理手段であるMPU72を中心とするマイクロコンピュータとして構成されており、また上述した電源ボックス85の他に、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路78や、処理プログラムを記憶するROM74、一時的にデータを記憶する作業用のRAM76、入出力ポート(入出力ポート)80などが内部バス79を介してこのMPU72に接続されている。
主制御基板Cには、回胴インデックスフォトセンサ44からの検出信号、リセットスイッチ82からのリセット信号、設定キースイッチ83aからのオンオフ信号、ベットボタン61,62,63に連動する各ベットスイッチ61a,62a,63aからのベット信号、クレジットボタン51に連動するクレジットスイッチ51aからのオンオフ信号、スタートレバー52に連動するスタートスイッチ52aからのスタート指令信号、左、中、右回胴用ストップボタン53,54,55に連動する左、中、右回胴用ストップスイッチ53a,54a,55aからの停止指令信号、ホッパ86から払い出されるメダルを検出する払出センサ64からの検出信号、左回胴L,中回胴M,右回胴Rを駆動する左、中、右回胴用ステッピングモータ71L,71M,71Rからの位置検出信号などが入出力ポート80を介して入力される。
主制御基板Cからは、上部ランプ13や1枚〜3枚ベットランプ32,33,34への点灯信号、クレジット枚数表示部35やゲーム数表示部36や払出枚数表示部37への表示信号、払出装置88に払出動作を行わせるホッパ駆動モータ65への駆動信号、左回胴L、中回胴M、右回胴Rを駆動する左、中、右回胴用ステッピングモータ71L,71M,71Rへの駆動信号(駆動データ)、メダル投入口57に投入されたメダルをホッパ86へ導くかメダル払出口17へ導くかを制御するメダル通路切替ソレノイド66への駆動信号、複数のスピーカ14(14A〜14E)から発生する効果音などを制御する音声出力制御用コマンド信号(遊技の状態に関連した状態信号)、液晶ディスプレイ15の表示内容を制御する表示制御用コマンド信号などが入出力ポート80を介して出力される。
主制御基板Cにはクレジット枚数をカウントするクレジットカウンタなどの各種カウンタを備えている。
上述したMPU72は、このMPU72によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM74と、このROM74内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM76の他に、図示はしないが周知のように割り込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路が内蔵されている。
ROM52とRAM76によってメインメモリが構成され、図22以降に示される各種のフローチャートに示される処理を実行するためのプログラムは、制御プログラムの一部として上述したROM74に記憶されている。
RAM76内は、機能的には複数の作業エリア(メモリエリア)が確保されている。周知のようにMPU72内に設けられたプログラムカウンタの値を保存するためのスタックメモリ(スタックメモリ用のエリア)(図示はしない)の他に、この例では停電フラグを記憶するメモリ76a、スタックポインタを保存するスタックポインタ保存用メモリ76b、RAM76に保存されているデータのチェックサムに関連した補正値を保存するチェックサム補正値用メモリ76c、さらには復電時に使用される復電コマンドバッファ76dや復電コマンドカウンタ76eなどのメモリエリアが確保されている。
RAM76には後述するように電源ボックス85内に設けられた電源基板850からバックアップ電圧が供給され、スロットマシン10の電源が切断された後でもデータが消失しないようになされている。
RAM76内にセットされたスタックポインタ保存用メモリ76bは、スロットマシン10の電源切断時にMPU72内のスタックポインタの値を退避させて保存しておくためのメモリである。スタックポインタの値は停電処理の初期において、スタックポインタ保存用メモリ76bにセーブされる(図24ステップS33参照)。復電処理の始めにスタックポインタに対する復帰処理が行われ、スタックポインタ保存用メモリ76bに保存されている値がMPU72内のスタックポインタに取り込まれる。スタックポインタの内容はバックアップされているRAM76内に設けられたスタックメモリ内に退避させて保存されている。
RAM76内のチェックサム補正値メモリ76cは、停電処理時にRAM76内のデータから算出したチェックサムを、「0(ゼロ)」とするための補正値を記憶させておくメモリである。
復電コマンドバッファ76dは、電源復旧時(停電の復旧時又は電源再投入時)に主制御基板Cからサブ制御基板Sに送信される復電処理用のコマンド(復電コマンド)を一時的に記憶するバッファである。復電コマンドは図25に示す復電処理の実行をサブ制御基板Sに知らせるためのコマンドとして使用される。復電コマンドはRAM76に記憶されている一般のコマンドに優先してサブ制御基板Sに送信される。
復電コマンドカウンタ76eは、復電コマンドバッファ76dに記憶されている復電コマンドのバイト数を記憶するカウンタである。復電コマンドは2バイト構成であって、他のコマンド(スピーカ駆動用コマンドなど)と同じくバイト単位でサブ制御基板Sに送信される。
入出力ポート80には、サブ制御基板SなどのI/O装置の他に、ホール管理装置(図示はしない)などに情報を送信できる外部集中端子板89や、電源基板850に設けられた停電監視回路850bなどが接続されている。
電源基板850には主制御基板Cを始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部850aや、上述した停電監視回路850bなどが搭載されている。
停電監視回路850bは電源の切断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ81による電源切断時に停電信号851を生成するためのものである。そのため停電監視回路850bは、電源部850aから出力されるこの例では直流24ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば22ボルト未満まで低下したとき電源が切断されたものと判断して停電信号851が出力されるように構成されている。停電信号851はMPU72と入出力ポート80のそれぞれに供給され、MPU72ではこの停電信号851を認識することで、後述する停電時処理が実行される。
電源部850aからは出力電圧が22ボルト未満まで低下した場合でも、主制御基板Cなどの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されており、この安定化電圧が出力されている時間としては、主制御基板Cによる停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
スロットマシン10の回胴駆動モータとして上述したステッピングモータ71(71L、71M、71R)を使用する場合にあっては、図11に示すような駆動特性が要求される。
この駆動特性は、スタートボタン52(スタート用操作レバーでもよい)が操作されてからステッピングモータ71が回転を始め、一定の定速回転に至るまでの加速期間Taと、定速回転期間Tbと、ストップボタン53〜55の操作に関連して所定のすべり(図柄調整用として使用されるすべり)を含めた停止期間Tcに分けられる。
加速期間Taをいくらにしなければならないかという規制はないのに対して、ストップボタン53〜55が操作されていないときは、加速期間Taに定速期間Tbを加えた時間は30秒以上でなければならないという規制がある。停止期間Tcもストップボタン53〜55を操作してから最大約190msec以内に駆動モータに対する励磁相を固定するこ
とが要求されている。
加速期間Taにあっては、できるだけ早く定速回転状態に移行させる必要があり、そのためにはステッピングモータ71に対する励磁相への割り込み(励磁相である1相励磁から2相励磁への切り替えおよび2相励磁から1相励磁への切り替えを言う)を早めればよいが、そうすると上述したように脱調や回転の不安定性を助長することにもなりかねない。したがって脱調や回転の不安定性をもたらさないで最短の加速処理を実現する最適な割り込み処理を行う必要がある。
割り込み処理によって励磁信号を励磁コイルに印加するに当たり、励磁相への適切な割り込みタイミングを設定する必要があり、そのためには特にモータ加速時、少なくともロータ60の回転揺れが抑えられるまでの間、励磁信号を印加する初期励磁相に対する励磁状態をホールドする。
基本的には、初期励磁(初速ゼロのときの励磁)の状態をある程度まで維持しないと脱調や回転の不安定性が解消しにくいことを考慮する。これは、初期励磁によって発生する吸引力によって、ロータ60の歯がポール601〜604の歯側に吸引されるときに発生するロータ60の回転揺れ(往復動を伴った微少振動)の収束程度に係ってくる。回胴L、M、Rのイナーシャーなどによっても相違するが、実験によれば、30msecで1往復
(サイクル)する揺れが5〜6往復位繰り返してからロータ60が停止したので、回転揺れをなくしながら加速処理を行うには、少なくとも初期励磁をしてから150〜180msecの時間が、同一励磁相によって固定(ホールド)する時間として必要になることが判
明した。
ここで、上述したMPU72に対する最小のタイマ割り込み時間が1.49msecに設
定されているときで、回転揺れが停止するまでに要する時間が180msec程度であると
きには、この時間を超えた最小の安定時間が初期励磁相を固定する時間として設定されることになる。この実施例では、この最小安定時間つまり初期励磁保持時間として、1.49msec×130割り込み=193.7msecに設定した。これよりも短い時間つまり、回転揺れが停止するまでに要する時間にほぼ等しい時間である1.49msec×121割り
込み=180.29msecを初期励磁保持時間として選ぶことも可能である。
130割り込みの期間は連続して励磁されるように、入出力ポート80からは図12に示す励磁信号用の励磁データ(この例では励磁順2に示す励磁データ09H)(Hはヘキサデシマル表示)がモータドライバ712に出力される。
加速期間Taのうちで、初期励磁を行う加速期間を第1の加速期間とし、定速回転に至るまでの加速期間を第2の加速期間とすれば、第2の加速期間でロータ60を急速に加速する。この例では、図13に示すように第2の加速期間は第1の加速期間より短く設定されている。
加速期間Taとして317.37msec程度に設定したときには、83割り込みに相当
する123.67msecが第2の加速期間に選定され、この第2の加速期間で所定の回転
数となるように励磁相への割り込み処理が実行される。そのため、第2の加速期間では励磁信号の励磁相への割り込み処理が頻繁に行われる。
また、初期励磁の励磁相を1相励磁とするか、2相励磁とするかが問題となる。ロータ60つまり回胴L、M、Rの回転がゼロである初期励磁は、高トルクでこのロータ60を回転させる必要があるから、初期励磁の励磁相は1相励磁よりもさらに高トルクが得られる2相励磁がより好ましいことになる。これは以下に示すような理由による。
まずステッピングモータとして1−2相励磁方式を採用したハイブリッド(HB)型の2相ステッピングモータでは、加速時の初期励磁相としては、1相励磁の他に2相励磁が考えられる。1相励磁は特定の励磁相のみを駆動するもので、この1相励磁によって初速時の回転トルクを得る。これに対して2相励磁は特定の2つの励磁相を同時に駆動するもので、2相励磁によって初速時の回転トルクを得る。
回胴の大きさやイナーシャーなどによっても相違するが、通常のスロットマシンの場合には、1相励磁でも回胴を初速ゼロから加速させることは可能である。しかし、1相励磁の場合にはそれだけ発生する回転トルクも小さいので、十分な初速が得られない場合があるし、スムーズな回転を期待し得ない場合もある。十分な初速が得られないときは脱調し易くなり、また遊技者の観点からすると、加速時間Taはできるだけ短い方が遊技者の興趣を逸らせない点で好ましいと言える。
回胴L、M、Rにブレーキをかけてから実際に回胴が停止するまでには、所定のステップ角分だけ滑って停止するので、このように多少ずれた角度で停止しているとき、このずれ分を含めて回胴を回転させるときはこの角度ずれ分を吸収しつつ加速処理を行う必要があるので、できるだけ初期励磁での電磁的吸引力が大きい方が好ましい。
2相励磁の場合には、1相励磁よりも吸引力が大きいので、発生する回転トルクもその分だけ大きくなり、これは結果的に加速から定速回転に至るまでの加速時間を1相励磁の場合より短縮できることになる。また、回胴を停止させたときのすべりが発生していても、発生する吸引力が大きいのでこの回転角度ずれに伴う回転揺れを素早く吸収できる。したがってこれらのことを総合的に勘案すると、初期励磁は1相励磁より2相励磁の方が好ましいことになる。
初期励磁を2相励磁に設定した場合で、しかも第2の加速期間内で所定の回転数まで短時間に到達させるための割り込み処理としては、図13に示すような割り込み例が好適である。
図13において、第1の加速期間は初期励磁期間であり、この実施例では上述のように2相励磁を行う。2相励磁は例えば図12の励磁順のうち、最も早い励磁順2を選ぶことができる。勿論、回転停止時の励磁相によっては、異なる励磁順(励磁順4、励磁順6または励磁順8)となることがある。1.49msecごとの割り込みタイミングに同期して
励磁信号を印加してからは130割り込み分(193.7msec)、この励磁状態を保持
する。
第2の加速期間では、1−2相励磁を交互に繰り返すが、励磁相への割り込みタイミング、換言すれば相励磁の保持期間として、図13のように1相励磁の励磁保持期間と2相励磁の励磁保持期間とが細かく制御される。この実施例では、第2の加速期間に突入すると、2相励磁に続く1相励磁(図12では励磁順3)が8割り込み分行われ、したがって8割り込み分の相励磁保持が行われ、その次の2相励磁は7割り込み分だけ(励磁順4)行われるように、割り込みが漸次短くなるように設定して励磁時間を短縮すると共に、最後には最小の割り込み間隔で励磁相が順次切り替わる通常の1−2相励磁に遷移できるような割り込みに設定されている。
したがって図13のように、第2の加速期間の最後の励磁相が2相励磁であって、これが1割り込みであるときには、次の定速回転期間の最初の励磁相は1相励磁であって、しかも最小の割り込み間隔である1割り込みとなる。このように第2の加速期間での割り込み処理タイミングを、定速回転に近づくにつれ順次短くすることで、高速な加速処理を短時間で実現することができると共に、定速回転へのスムーズな移行が可能になる。
図13に示す第2の加速期間は、全体の加速期間Taがほぼ317.37msecに設定
されているときの例であるので、全体の加速期間Taがこれとは異なる値に設定されているときには、その値に応じて第2の加速期間が選定され、それに応じて図13に示す割り込み処理とは異なった割り込み処理が行われることは言うまでもない。
回胴L、M、Rのブレーキ処理は次のようになる。ストップボタンが操作されてからは、すべり処理(1〜4図柄分の回転処理)を含め、図14に示す所定時間ts(=190msec)以内に回胴L、M、Rを停止させなければならない。
すべり処理後のブレーキ処理のときには、1−2相励磁から4相励磁に切り替える。4相励磁によって回転が乱調せずにスムーズに回胴L、M、Rを停止させることができる。
1−2相励磁から4相励磁に切り替えるタイミング(割り込みタイミング)は、2相励磁の直後である。これはステッピングモータ71L、71M、71Rは1相励磁よりも2相励磁のときの方が回転位置が特定し易いため、2相励磁の直後に停止処理を行った方が停止位置精度を高めることができるからである。
上述した回胴駆動モータであるステッピングモータ71を駆動するための駆動信号の生成処理は、図6に示したMPU72に対して定期的に発行されるタイマ割り込み処理ルーチン内で行われる場合がある。駆動信号としてはRAM76内にストアされた励磁順に則った励磁データ(図12参照)が利用され、この励磁順にしたがってモータドライバ712に、対応する励磁データが供給される。
そのため、RAM76にストアされた励磁データはタイマ割り込みが発生する都度、RAM76から読み出され、そして入出力ポート80の出力ポートに書き込まれる。この入出力ポート80に書き込まれた励磁データは即座にモータドライバ712に供給され、これによって対応する励磁コイルL0〜L3への通電処理がなされる。
ところで、上述したように本体の前面扉12に設けられたスピーカ14は遊技の状態に同期させて、これより効果音を出力して遊技者にホール内臨場感が高まるように演出している。従来では回胴の回転開始時と停止時および入賞時に効果音を出力している。つまり、効果音を出力すると言っても、回転開始時や停止時のときのように事象が発生したときに単発的に効果音をスピーカから発するだけであるから、顧客は事象の発生を音によって認識するだけであり、音の演出としては不十分と言える。遊技の情報を音の情報として変換するような音の演出は行われていない。
例えば、回胴の回転や停止に応じて、あるいは入賞の種類(内容)に応じて回胴回転方向や、入賞ラインに対応させて効果音による音像(合成音像)を移動させることができれば、遊技の状態(遊技情報)を音の情報としても感得することができるようになり、これによって遊技者の興趣を一層惹起させることができるからである。
この発明では上述したように少なくとも3つ以上、好ましくは4つの電気音響変換器(スピーカ)14A〜14Dを用いて音像の二次元的な制御を実現したものである。さらに好適な例は、4つのスピーカ14A〜14Dに加えて、低音用のスピーカを使用することである。
図15は、この二次元的な音像の制御を実現する音声出力制御系の一例を示すもので、図6の例ではサブ制御基板S内にこの音声出力制御系が設けられている。サブ制御基板Sは、上述したように上部ランプ13やLCD15を制御するための制御基板としても機能するものであるから、このサブ制御基板S内には入出力ポート80を介して入力した遊技の状態を示す状態信号を解読して所定の制御処理を実行するためのMPUからなる制御部102を始めとして、上部ランプ13とLCD15を制御したり、状態信号を解読して音データの読み出しなどを行ったりするための制御プログラムなどがストアされているROM(あるいはフラッシュメモリ)103、ワーキング用のRAM104などが内部バス105を介して上述したMPU102と相互に接続されている。
音声出力制御系は音データ(効果音となる音源)を格納した音データ格納手段であるメモリ手段112と、このメモリ手段112に格納された音データ(圧縮データ)をアナログ変換してこれを音声出力信号(効果音信号)として出力する音声出力用コントローラ110とが設けられている。
音声出力用コントローラ110は、音声データを伸長するためのデータ伸長部110A、伸長した音データに対して所定の周波数特性を付与するフィルタ部110Bおよび伸長された複数の音データに対する4つのD/A変換部110Cさらには、必要に応じて設けられた低音用のスピーカ14Eに対する音声合成部などの信号処理部(図示はしない)によって構成される。
メモリ手段112からどのスピーカ14A〜14Dに対応した音データを選択するかなどを指示するためのメモリ手段112に対する読み出し制御信号は、主制御基板C内のMPU72から入出力ポート80経由で供給された遊技の状態信号に基づいて制御部110A内で生成されることになる。
音声出力用コントローラ110より得られた各音声出力信号はそれぞれアンプ114A〜114Eを経由して対応するスピーカ14A〜14Eに供給されて、効果音が遊技者に向けて放音される。
この発明では遊技の状態に応じて音声出力の伝達関数を制御するものであるが、この伝達関数の要素は音声出力を構成する出力レベル(振幅)、位相、周波数などである。実施例では制御すべき音声出力の伝達関数として音声出力の出力レベル(出力音量レベル)を例示する。
続いて、メモリ手段112に格納された音データについて説明する。
この実施例では、複数のスピーカ14A〜14E(実際にはスピーカ14A〜14D)にそれぞれ供給するためそれぞれのスピーカ14A〜14Dに対応させて複数の音データが用意されている。スピーカ14E用の音データは、スピーカ14Aそのものを使用するか、あるいはスピーカ14A〜14Dの音データを合成したものが使用される。
それぞれのスピーカ14A〜14Dに対応する音データは遊技の状態に応じてそれぞれ異なった効果音を選択できるように複数の音データ群で構成される。例えば、有効ラインでも整列した図柄によってベットするメダルの枚数が相違するので、入賞の種類に応じて効果音を選択したり、ビックボーナスBBやレギュラーボーナスRBに応じて効果音を選択できるようになされている。
第5のスピーカ14Eに対する音データは、上述したようにメモリ手段112に専用の格納エリアを設けておくこともできれば、専用データではなく、第1から第4のスピーカ14A〜14Dの各音データを合成して作成してもよい。この場合に、上述した音声合成部が使用される。本例では、スピーカ14E用の音データとしてスピーカ14A用の音データが使用されるが、その出力レベルは一定である。
音データは特定の音声出力パターンに則った時間と共に変化する音量レベルを持ったデジタル圧縮データである。特定の音声出力パターンとは、効果音による音像が回胴L、M、Rや入賞の内容に応じて二次元的に動くように、音量レベルがパターン化されたもので、予め出力すべき音量レベルの異なる音データが読み出しクロックによって順次選択できるようにストアされている。詳細は後述する。
制御部110Aには少なくとも、入出力ポート80経由で遊技の状態信号が入力する。ここに、状態信号とは、スタートレバー52が押された、どのストップボタン53〜55が押された、どの有効ラインで入賞したなどをそれぞれ表す信号である。
制御部110Aでは、この状態信号を解読することで、まず回胴L、M、Rを回転させるための信号なのか、停止させるための信号なのかなどを判別したり、どの効果音を選択するか、どの音声出力パターンをもつ音データを音データ群より選択するかなどを、それぞれ判別する機能を有する。
D/A変換部110Cでは、メモリ手段112より読み出されたそれぞれのスピーカ14に関連した音データがアナログ信号に変換される。この例では音データは8ビット構成であるので、255段階に亘って出力音量を調整できる。
低音用を除く4つのスピーカ14A〜14Dを使用する場合には、その音声出力制御系は図16のように構成される。その構成は図15に示した低音用スピーカ14Eが省かれただけであるので、その詳細は割愛する。
5つのスピーカ14A〜14Eから再生される効果音は通常同一種類の効果音であるが、相互に関連性のない効果音を同期して、あるいは非同期に出力させることもできる。
続いて、音声出力パターンについて図17以下を参照して説明する。音声出力パターンはどのように音像を動かすかによって相違する。音像の動かし方は上述したように入賞パターンなどに依存する。
図17はスタートレバー52を操作して全ての回胴L、M、Rが回転しているときの音像制御例である。音像を二次元的に動かすときは、音声出力の伝達関数を制御すればよく、基本的には上述したように回胴露出窓31を挟んで配置された4つのスピーカ14A〜14Dの出力音量を調整することによって実現する。低音用のスピーカ14Eはスピーカ14Aの出力音量と同じようにその音量が調整される。
図3において上側から下側に向かうように回胴L、M、Rが回転するときには、音像もこの回転方向と同じ向きに動くように各スピーカ14A〜14Dに供給されるアナログ音声信号が制御される。
この場合には上下に配された一対のスピーカ14Aと14Cおよびスピーカ14Bと14Dがペアとなってその音量が図17A〜図17Dのように制御される。例えば上側のスピーカ14Aに供給するアナログ音声信号に基づく出力音量(出力レベル若しくは音圧レベル)が図17A直線Laで示すように、所定時間をかけて最大音量から最小音量まで漸次制御される。これに対して下側に位置するスピーカ14Cは図17C直線Lcで示すような漸次増大するようにその音量が制御される。
その結果、最初はスピーカ14Aの音量が最大となるから、スピーカ14A側に音像が定位し、最後はスピーカ14Cの音量が最大となるからスピーカ14C側にその音像が定位する。その間は両スピーカ14A、14Cからの音が合成され、しかも出力音量のアンバランスによって、音量は上のスピーカ14A側から下のスピーカ14C側へ次第に移るので、それに伴って音像もまた上側から次第に下側に移動するように聞こえる。つまり、スピーカ14Aがフェードアウト状態となるように制御され、スピーカ14Cがフェードイン状態となるように制御されるから、音像も上から下へと二次元的に移動する。この音量制御を所定周期で繰り返すことで、音像も回胴回転に同期してあたかも回転しているように制御できる。
他方のスピーカ14Bと14Dについても同じように制御される結果、左右のスピーカ14Aと14Bおよび14Cと14Dの音量制御を図17のように同期させれば、放音される効果音が合成される結果、あたかも中央の回胴M付近を上から下に向かって回転しているように聴取できる。
音量を周期的に可変するときの出力音量特性は、図17のように直線La〜Ldでもよければ、鎖線図示あるいは破線図示のような特性曲線であってもよい。実施例は直線的に変化する出力音量特性である。効果音はスタートレバー52の操作に同期して出力され、ストップボタン53〜55の操作に同期して停止する。
低音用スピーカ14Eに対しては図17E直線Leに示すように、スピーカ14Aのと同じ出力音量特性となされている。もちろん、音声合成部を用いて出力音量特性直線La〜Ldの音声出力を任意に組み合わせてもよければ、全ての出力音量特性直線La〜Ldの音声出力を使用して、図17Eの2点鎖線図示のような平坦な出力音量特性とすることも可能である。
4つのスピーカ14A〜14Dの全てを駆動すると、上述したようにほぼ中央の回胴M付近を音像が移動するので、中央の回胴Mのみが回転しているときに使用する効果音の場合もこれら4つのスピーカ14A〜14Dの全てが使用されることになる。
左回胴Lのみが回転しているときは、図18A,Bに示すように、左側に設置された一対のスピーカ14Aと14Cのみが駆動される。これによって効果音は本体11の左側寄りから聞こえるようになり、しかもその出力音量特性を図18のようにすることで、その音像を二次元的に動かすことができるため、あたかも左回胴Lに同期して音像が回転しているように聴取できる。
したがって、右回胴Rのみが回転しているときは、図19A,Bに示すように、右側に設置された一対のスピーカ14Bと14Dのみが駆動される。これによって効果音は本体11の右側寄りから聞こえるようになり、しかもその出力音量特性を図19のようにすることで、その音像を二次元的に動かすことができるため、あたかも右回胴Rに同期して音像が回転しているように聴取できる。
図20は整列した図柄が入賞ライン(有効ライン)に揃ったときの音像制御例を示す。入賞ラインは図1に示すように、上段、中段および下段の3つの水平ラインと、斜め2つの対角ラインの合計5つのパターンがある。
上側ラインが入賞ラインであるときには、回胴露出窓31の上側に設置された一対のスピーカ14Aと14Bのみが駆動される。そのとき、例えば音像が左から右側に向かって移動するように制御する場合には、図20A直線La、Lbとなるように一対の出力音量が制御される。こうすると、音像は回胴露出窓31の上部周辺に定位したり、上部付近を移動(右に向かって回転)するので、あたかも上側の入賞ラインに対応したような効果音を生成できる。
これに対して、下側ラインが入賞ラインであるときには、回胴露出窓31の下側に設置された一対のスピーカ14Cと14Dのみが駆動される。そのとき、例えば音像が左から右側に向かって移動するように制御する場合には、図20B直線Lc、Ldとなるように一対の出力音量が制御される。こうすると、音像は回胴露出窓31の下部周辺に定位したり、下側付近を移動(右に向かって回転)するので、あたかも下側の入賞ラインに対応したような効果音を生成できる。
したがって、中央ラインが入賞ラインであるときには、回胴露出窓31の上下に設置された4つのスピーカ14A〜14Dの全てが駆動される。こうすると、音像は回胴露出窓31のほぼ中央周辺に定位したり、中央付近を左から移動(右に向かって回転)するので、あたかも中央の入賞ラインに対応したような効果音を生成できる。
以上のような音像制御を考慮すると、対角ラインが入賞ラインであるときには、図21に出力音量を制御すればよい。図21は右下がりの対角ラインの場合であって、左上から右下に音像が制御される例である。
まず、繰り返し周期の始めは音像が左上に定位し、繰り返し周期の終わりは音像が右下に定位するようにするため、スピーカ14Aと14Dには図21直線La、Ldのような出力音量特性となるような音データが使用される。これに対して、残りのスピーカ14Bと14Cとは図21の曲線Lb、Lcのように繰り返し周期の中間部が凸となるような山形の出力音量特性となるような音データが使用される。
このような出力音量特性とすることによって、4つのスピーカ14A〜14Dから放音される効果音を合成すると、その出力合成音量は左上から右下に向かって徐々に大きくなるように聞こえるから、音像を斜め方向に動かすことができる。したがってこの制御を周期的に繰り返すことで斜め方向に音像が回転するように聴取できる。
音像を右回りあるいは左回りに回転させることもできる。右回りに回転させるときは、スピーカ14A→14B→14D→14Cのようにその出力音量を制御すればよい。したがってこれら4つのスピーカ14A〜14Dの出力音量特性の組み合わせによって、音像の二次元的な動きを自在に演出できる。
以上説明した出力音量の制御はあくまでも一例であって、種々の変形が可能である。出力音量を直線的に制御するのではなく、スロットマシン10が設置されるホールに合わせて折れ線的に制御して音量の強弱を織り込んだりすることが可能である。
図15に示す実施例では、図17以下に示す出力音量特性となるような音データそのものがメモリ手段112に格納され、このメモリ手段112から音量レベルの異なる音データそのものを時間の経過と共に順次読み出してスピーカ14A〜14Eを駆動すれば、直ちに図17以下に示すような出力音量が得られるように説明した。このように音量レベルそのものと、必要な出力パターンを予めメモリ手段112に格納しておく場合の他に、同一の音量レベルを有する音声データを格納しておき、図17に示すような出力音量特性および出力パターンとなるように音声出力用コントローラ110側でその都度生成することもできる。また音データとして個々のスピーカに対応させて格納するのではなく、1つの効果音には1つの音データのみを格納し、これを複数のスピーカ14で共通に使用するデータの共用構成とすることもできる。この場合には音声出力用コントローラ110に、それぞれのスピーカ14A〜14Dに対し所望の出力音量特性を付与する音量調整部を設ければよい。
また、上述した実施例では、音声出力の伝達関数としてその音量レベル(振幅)を制御することで任意の音像を生成するようにしたが、この他の伝達関数例えば位相を異ならせることでも音像を移動させることが可能である。音量レベルと、音データの読み出し位相を同期させて、あるいは非同期に調整することでも、音像を可変できる。
スピーカ14を3個使用するときは、回胴露出窓31の中心を囲繞するように三角形状に配置すればよい。この場合には、例えば上側に2つの頂点がくるように正三角形(逆三角形)にスピーカ14を配置することになる。遊技者は回胴露出窓31でも、特にその中央部から上部面が目線の対峙位置となることが多いからである。
続いて、上述したMPU72内に搭載された代表的な処理プログラムの処理内容について説明する。
[停電フラグの生成処理]
停電フラグは停電が発生したとき(電源スイッチ81をオフしたときの電源切断を含むものとする)、停電フラグが生成される。停電すると停電監視回路850bからMPU72のNMI(Non Maskable Interrupt)端子へ停電信号851が出力される。停電信号851を受信するとMPU72は停電フラグをセットして図22に示す停電時の割り込み処理(NMI割り込み処理)を実行する。
停電フラグがセットされると、タイマ割り込み処理(図23参照)の中で停電時処理が実行され、遊技中であれば遊技制御の中断処理が実行される。停電フラグは電源の再投入による復電処理(図25参照)によってリセットされる。
図24に示す停電時処理では、補正値を含めてRAM76のデータより算出したチェックサムを「0」にした状態で制御を終了する。停電復旧時を含めて電源再投入時の処理として、RAM76のチェックサムを調べ、補正値を考慮したその値が「0」であるか否かによって、RAM76のデータが正常にバックアップされているかどうかを判断する。そのため、停電処理時にはチェックサム補正値メモリ76cの値を一旦「0」にリセット(クリア)した状態で、RAM76のチェックサムを算出する。算出したチェックサムの2の補数が、チェックサム補正値としてチェックサム補正値メモリ76cに記憶される。この補正値を含めることでRAM76のチェックサムは「0」になる。
[NMI割り込み処理]
図22はNMI割り込み処理の一例を示すフローチャートである。停電の発生などによって停電監視回路850bでは停電信号851が生成される。停電信号851をNMI端子を介して主制御基板Cが受信すると、主制御基板CではNMI割り込み処理が実行される。
NMI割り込み処理では、まずMPU72内に設けられたAレジスタ(アキュームレータ)とFレジスタ(フラグレジスタ)内のデータをRAM76内に設けられたスタックエリアに退避する(ステップS1)。次に、停電フラグがセットされたのち(ステップS2)、スタックエリアに退避したデータを再びAレジスタとFレジスタに復帰させる(ステップS3)。この復帰処理でNMI割り込み処理が終了する。
AレジスタおよびFレジスタの何れの内容も破壊しないで、停電フラグのセット処理が可能な場合には、スタックエリアへの退避および復帰処理(ステップS1およびS3)は省くことができる。
[タイマ割り込み処理]
図23は主制御基板Cで定期的に実行されるタイマ割り込み処理のフローチャートで、この例では1.49msecごとにタイマ割り込みが発生する。タイマ割り込み処理は、M
PU72に対する先行割り込み処理と、それ以外の処理(その他の割り込み処理)に分かれ、先行割り込み処理が終了してからその他の割り込み処理が実行される。
先行割り込み処理として図23の処理群の場合では、レジスタの退避処理(ステップS11)、停電フラグ状態判別処理(ステップS12)、ウオッチドッグタイマ処理(ステップS14)および割り込み終了宣言処理(ステップS15)の4つの割り込み処理を挙げる。
したがってこの図23に示すタイマ割り込み処理では、まずメイン処理(図25のステップS61)で使用しているMPU72内の全レジスタ(この例ではAF,BC,DE,HL,IXおよびIYの各レジスタ)の値をRAM76のスタックエリアに退避させる(ステップS11)。
その後停電フラグがセットされているか否かを確認し(ステップS12)、停電フラグがセットされているときには図24に示す停電時処理が実行され(ステップS13)、セットされていないときにはスキップされる。
停電時処理若しくは停電時処理がスキップされた後は、以下のような複数のタイマ割り込み処理(その他のタイマ割り込み処理)が順次実行される。次に示す(処理1)および(処理2)は先行タイマ割り込み処理に属する。
(処理1)誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化(クリア)するウオッチドッグタイマのクリア処理(ステップS14)。ウオッチドッグタイマのクリア処理時間は、ほぼ一定である。
(処理2)自分自身であるMPU72自身に対して割り込み許可を出す割り込み終了宣言処理(ステップS15)。この割り込み終了宣言処理もほぼ一定な処理時間で済む。
以上のような先行タイマ割り込み処理が終了すると、その他のタイマ割り込み処理が実行される。その他のタイマ割り込み処理でも、上述した理由から特に回胴駆動モータであるステッピングモータ71に対する励磁データ生成処理(回胴モータ制御処理)が先行して実行される。つまり、
(処理3)左、中および右の各回胴L、M、Rを回転させるためにそれぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ71L〜71Rを駆動するステッピングモータ制御処理(ステップS16)。このモータ制御処理は、対応する駆動信号(励磁データ)を出力する処理に他ならないから、その処理時間(駆動信号生成処理と出力処理)はほぼ一定である。
回胴駆動モータ生成制御処理以外の、その他のタイマ割り込み処理の具体例を以下に示す。
(処理4)入出力ポート80に接続された各種スイッチ(82,83aなど)の状態を読み込むスイッチ状態読み込み処理(ステップS17)。このスイッチ状態読み込み処理も、遊技の状態によってあまり変化しないので、ほぼ一定な処理時間となる。
(処理5)入出力ポート80に接続された各種センサ(64など)の状態を監視するセンサ監視処理(ステップS18)。センスするセンサの種類は固定されているので、このセンサ監視処理もその処理時間はほぼ一定である。
(処理6)各カウンタやタイマの値を減算するタイマ減算処理(ステップS19)。カウンタの値やタイマの値によっては減算処理時間が相違するので、この処理時間は一定ではなく不定と言える。
(処理7)1枚ベット、2枚ベットあるいは3枚ベットしたときのベット数や、そのときの払い出し枚数をカウントするカウンタ処理(ステップS20)。ベットする態様や、払い出し枚数などが入賞の態様によって相違するから、その処理時間も当然相違する。
(処理8)サブ制御基板Sへコマンドなどを送信するコマンド出力処理(ステップS21)。音声出力や表示するための各種のコマンドは、遊技の態様によって相違するので、このコマンド処理も一定ではない。
(処理9)クレジット枚数表示部35,ゲーム数表示部36および払い出し枚数表示部37にそれぞれ表示されるセグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理(ステップ22)。クレジット枚数やゲーム数の表示さらには払い出し枚数の表示などは、何れも遊技の態様あるいは入賞状態によって相違するから、この処理もまたその処理時間は不定であると言える。
(処理10)セグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを各表示部35〜37に供給して該当する数字、記号などを表示するセグメントデータ表示処理(ステップ23)。どのような数字や記号などを表示するかによってセグメントデータの生成および出力が相違するので、この場合の処理時間は不定となる。
(処理11)入出力ポート80から出力データを対応するI/O装置に出力するポート出力処理(ステップ24)。ポート出力処理も、対象となるI/O装置の数などによって相違することから、厳密にはその処理時間は一定ではない。
これら(処理1)から(処理11)までのタイマ割り込み処理を実行した後はスタックエリアに退避した各レジスタ(AF,BC,DE,HL,IX,IYの各レジスタ)の値をそれぞれMPU72内の対応するレジスタに復帰させる(ステップS25)。その後次回のタイマ割り込みを許可する割り込み許可処理(ステップS26)を行って、この一連のタイマ割り込み処理を終了する。
上述したタイマ割り込み処理のうち先行タイマ割り込み処理を、中央処理装置であるMPU72の初期処理として最初に実行し、この先行タイマ割り込み処理の直後に、回胴駆動モータに対する制御処理を行なえば、MPU72の初期処理を妨げることなく、一定時間間隔で回胴駆動モータに対する駆動信号を出力させることができる。
なお、図23では先行タイマ割り込み処理として、レジスタの退避処理(ステップS11)、停電フラグ状態判別処理(ステップ12)、ウオッチドッグタイマ処理(ステップS14)および割り込み終了宣言処理(ステップS15)の4つのタイマ割り込み処理を挙げたが、その数に拘泥することはない。MPU72に対するこれらの処理のうち、少なくとも1以上、実際には2以上のタイマ割り込み処理が含まれれば、その処理を先行タイマ割り込み処理として取り扱うことができる。
また、回胴駆動モータに対する上述した駆動信号生成および出力処理(処理3)は、複数の先行タイマ割り込み処理の最初(ステップS11の前)でも、各先行タイマ割り込み処理の途中の段階(例えばステップS11の後、ステップ14の前又は後)で処理することもできる。
これは、先行タイマ割り込み処理は何れもほぼ一定なMPU72に対する初期処理であるので、最初の先行タイマ割り込み処理よりも先んじて、あるいは各先行タイマ割り込み処理の途中に、この回胴駆動モータ制御処理(処理3)を介在させても、駆動信号の出力間隔を一定にすることには変わりがないからである。
そのため、先行タイマ割り込み処理以外の処理であって、その何れかの処理時間がほぼ一定となるタイマ割り込み処理が存在する場合には、処理時間がほぼ一定となるタイマ割り込み処理が終了した直後に、回胴駆動モータ制御処理を実行しても差し支えない。
例えば、その他のタイマ割り込み処理の範疇として説明した、上述したスイッチ状態読み込み処理(処理4)や、センサ監視処理(処理5)などは、何れもその処理時間がほぼ一定であるため、これらのタイマ割り込み処理(処理4)や(処理5)の後に、回胴駆動モータ制御処理を行うこともできる。
[停電時処理]
図24は主制御基板Cで実行される停電時処理の一例を示すフローチャートである。停電時処理は上述したようにタイマ割り込み処理の中で実行される。
この停電時処理は、上述したタイマ割り込み処理のうち、特にレジスタ退避処理の直後にされるので、その他の割り込み処理を中断することなく実行できる。そのため、復電コマンドなどの送信処理中、スイッチの状態(オンオフ)の読み込み途中、カウンタの内容を更新中のように、それぞれの処理の途中に割り込んでこの停電時処理が実行されることはないので、換言すればイレギュラーなタイミングで停電時処理が実行されないので、イレギュラーなタイミングに実行されることをも考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がなくなる。これによって、停電時処理用の処理プログラムを簡略化してプログラム容量を削減できる。復電処理も同様である。
また、後述するステップS32やS42として示すように、停電時処理の実行後にタイマ割り込み処理に復帰(リターン)することもあるが、レジスタ退避処理(図23参照)の直後に停電時処理が実行されるので、この停電時処理の中で上述したレジスタ退避処理やその復帰処理を行う必要がない。その分、停電時処理用の処理プログラムが簡略化されて、プログラム容量を削減できる。
図24に戻って停電時処理を説明する。停電時処理では通常のコマンドを取り扱うコマンドカウンタ(図示はしない)の値が奇数かどうか、つまりコマンド送信が終了しているか否かを確認する(ステップS31)。送信の途中であればリターン命令を実行して停電時処理を中止する(ステップS32)。
コマンドデータは1バイト単位で送信されるから、1つのコマンド送信は2回のタイマ割り込みで完了する。ステップS31のようにコマンドをバッファリングするときに使用されるコマンドカウンタの値が奇数であるときには、コマンドデータのうち2バイト目のコマンドデータの送信が完了していないことであるから、この場合にはタイマ割り込み処理へのリターン命令が出され、停電時処理は実行しない(ステップS32)。
未送信となっているこの2バイト目のコマンドデータは、リターン命令後に実行される次のタイマ割り込み処理中に発生するコマンド出力処理の中で送信処理されるから(図23R>3のステップS21)、その次のタイマ割り込み処理タイミングになると、このコマ
ンドの送信処理は完了していることになる。
このように停電時処理の始めで、コマンドの送信が完了しているか否かを判断し、送信が未完であるときには送信処理を優先し、単位コマンドの送信処理が終了してから停電時処理を実行すれば、コマンドの送信途中で停電時処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムや復電処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果停電時処理プログラムを簡略化してプログラムメモリ(ROM74)の小容量化を図れる実益を有する。
単位コマンドの送信を完了するには2回のタイマ割り込み処理の実行が必要なので、少なくとも3回以上タイマ割り込み処理を実行でき、しかも後述する図24の処理(ステップS31〜S38)を実行するに十分な時間の間は、制御系の駆動電圧として使用される安定化電圧(5ボルト)の出力が保持されるように、電源基板850に設けられた電源部850aが構成されているものとする。
これによって、主制御基板Cはコマンドの送信途中に停電が発生しても、停電時処理を正常に実行することができる。因みに、実施例では、タイマ割り込み周期が1.49msecであるので、停電が発生してから(1.49msec×3回=4.47msec)+α以上、
例えば30msecの間、駆動電圧が出力され続けるようになっている。
さて、図24のステップS31に示すように、コマンドの送信が完了していれば、ステップS33以降の中断処理が実行される。まず、MPU72のスタックポインタの値をRAM76内のスタックポインタ保存用メモリ76bにセーブし、チェックサム補正値用のメモリ76cの値をクリア(=0)にすると共に、入出力ポート80における出力ポートの出力状態をクリアして、全てのアクチュエータ(図6には示されていない)をオフ状態にする(ステップS33,S34,S35)。
その後、RAM76の全ての値を加算してチェックサムを算出する(ステップS36)。算出したチェックサムより2の補数を求めて、これをチェックサム補正値として新たにチェックサム補正値用メモリ76cに書き込む(ステップS37)。この算出処理によって得られた補正値を使用することで、RAM76のチェックサムはゼロになる。RAM76のチェックサムをゼロにすることで、それ以後のRAM76への書き込みが禁止される(ステップS38)。
その後、停電信号851を入出力ポート80から読み込んで、停電信号851の状態(オンかオフか)を確認する(ステップS39)。この状態確認は制御系の駆動電圧が安定化電圧(5ボルト)以下になるまで繰り返され、その間は無限ループ処理となる(ステップS39)。
停電信号851の状態をチェックした結果、停電信号851が出力(オン)されていなければ、つまり停電信号851がオフの状態になっているときは、停電状態が復旧したことになるので(ステップS39)、RAM76への書き込みを許可すると共に、停電フラグをリセットした後に、リターン命令を実行して図23に示すタイマ割り込み処理に復帰することになる(ステップS40,S41,S42)。
この停電時処理では、第1に、MPU72に設けられた複数のレジスタからの退避処理を行わないので、リターン命令を実行するときもこれらレジスタへの復帰処理は不要である。これによって上述したように停電時処理プログラムの小容量化を達成できる。
第2に、この停電時処理はサブルーチン構成で、コール命令により実行されるから、タイマ割り込み処理への復帰はリターン命令を実行するだけでよく、復帰処理が簡素化される。
第3に、リターン命令の実行によってタイマ割り込み処理に遷移して、このタイマ割り込み処理が実行されると、実行後の状態が入出力ポート80の出力ポートに再出力されるので、ステップS35に示すように停電時処理によって全ての出力ポートをクリアしても、リターン命令を実行するだけでクリアした出力ポートの出力状態を元の状態に復帰させることができる。
第4に、停電信号851の状態チェックは停電時処理の実行中のみならず、その実行後でも停電信号851が出力されなくなるまで行っているので、例えばノイズなどに起因して停電フラグが誤ってセットされてしまったような場合でも、制御を無限ループに突入させることなく、正常に復帰させることができる。
ステップS39に示す停電信号851の再確認処理はRAM76のチェックサムを算出した後であればどのタイミングに行ってもよい。これはRAM76のチェックサム算出処理は比較的長い処理時間を要するので、このチェックサム算出処理後であれば、停電信号851の再確認処理は何時でも可能になるからである。したがって停電信号851の再確認処理はステップS37の処理の前や後に行ってもよい。ステップS37の処理の前後に停電信号851の再確認処理を行うときには、この再確認処理は1回だけ実行されることになり、RAM76への書き込み禁止処理(ステップS38)の後は、判断処理を行わない無限ループ構成となる。
[メイン処理]
図25は電源投入後に実行される主制御基板Cでのメイン処理を示すフローチャートである。
電源スイッチをオンしたり、停電の復旧によって電源が再投入されると、このメイン処理が実行される。まず、スタックポインタの値をMPU72内に設定すると共に、割り込み処理を許可する割り込みモードに設定する(ステップS51,52)。次に、MPU72内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などの初期化処理が行われる(ステップS53)。
これらの初期化処理が終了すると、次に停電フラグのセット、リセット状態およびリセットスイッチ82のオンオフ状態がそれぞれ確認される(ステップS54,S55)。ここに、停電フラグがセットされているときは、電源が切断されときに停電時処理が実行されたこと、換言すればRAM76にデータがバックアップされた状態にあることを意味する。リセットスイッチ82がオン状態にあるときは、操作者(ホール管理者など)の操作によってRAM76に書き込まれ、あるいはバックアップされたデータが全てクリア(=0)されたことを示している。
よって、ステップS54およびS55のように停電フラグがセットされ、しかもリセットスイッチ82がオフされた状態にあるときには、最早RAM76のデータクリア処理が不要になるため、この場合にはRAMクリア処理をスキップしてステップS57以降の処理に遷移する。
これに対して、同じくステップS54,S55のように停電フラグがリセットされているか、あるいはリセットスイッチ82がオン状態にあるときには、RAM76に対するクリア処理が実行されて、RAM76に書き込まれたデータが全てクリアされる(ステップS56)。
ステップS57において設定キースイッチ83aのオンオフ状態が確認され、オン状態にあればRAM76がクリアされると共に、設定キースイッチ83aの操作位置に対応した6段階確率設定処理が実行される(ステップS58,S59)。確率設定処理によって、遊技の当選確率が6段階に切り替えられる。設定キースイッチ83aがオフ状態にあるときには、そのままステップS60以降の処理に遷移する。
ステップS60では停電フラグのオンオフ状態が再度確認される。ステップS56あるいはステップS58でRAM76に対するクリア処理が実行された結果、RAM76内のバックアップデータがクリアされているときには、停電フラグはリセットされているので、この停電フラグのリセット状態が確認されると通常遊技の各処理(メイン処理)が実行される(ステップS60,S61)。
これで、スロットマシン10の遊技モードがメイン処理として繰り返し実行される。
ステップS60において、停電フラグがセットされた状態にあるときには、復電処理に移行する。停電フラグがセットされた状態にあるということは、図25の処理からも明らかなように、ステップS54−S55−S57−S60のような処理経路を経由したことになるので、この場合にはステップS56や、S58あるいはS59などのサブルーチン処理が全く実行されることなく、ステップS60まで到達したことになる。そのためRAM76のデータは全く書き替えられていないことになるから、復電処理ではRAM76のデータなどが正常であるかどうかなどの確認処理が必要になる。
そのためにまず、RAM76のチェックサムの値を調べ(ステップS62)、その値が正常、つまりチェックサム補正値を加味したチェックサムの値がゼロであれば、RAM76に対するバックアップ処理は正常と見なして復電処理(ステップS63〜S67)を実行する。これは、上述したように停電時処理においてRAM76にバックアップデータを書き込むとき、RAM76のチェックサムの値がゼロになるようにその補正値が設定されているからである。
ステップS62において、チェックサムの値が異常である、つまりチェックサムの値がゼロではなかったときには、RAM76のバックアップ処理中にデータが破壊された可能性が高い。そのため、このような場合には割り込み処理を禁止し(ステップS68)、入出力ポート80内の全ての出力ポートをクリアすることで、入出力ポート80に接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御すると共に、エラー表示を行って、ホール管理者などにバックアップエラーの発生を知らせる(ステップS69,S70)。
続いて、復電処理について説明する。
この復電処理ではまずスタックポインタ保存用メモリ76bの値をMPU72のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が切断される前の状態に復帰させる(ステップS63)。次に、復電処理時に使用するコマンド(復電コマンド)をRAM76に用意されている復帰コマンドバッファ76dに書き込み、書き込んだコマンドのデータ数がバイト単位で復電コマンドカウンタ76eに書き込まれる(ステップS64)。
復電コマンドバッファ76dへの復電コマンドの書き込みに当たっては、その下位アドレス(先頭+1のアドレス)に復電コマンドのうち最初に送信する復電コマンドの1バイト分が書き込まれ、その上位アドレス(先頭アドレス)に後に送信する残りの1バイト分の復電コマンドが書き込まれる。これは、復電コマンドの送信順(バイト単位)は復電コマンドカウンタ76eの値に基づいて定められているからである。復電コマンドをサブ制御基板Sに送信することで、復電処理の実行をサブ制御基板Sに知らせることができる。
この復電処理の後は、図25に示すように遊技状態として打ち止めおよび自動精算設定保存処理を行い、その後スイッチ状態の初期化処理を行う(ステップS65,S66)。その後に停電フラグをリセットしてリターン命令RETを実行することで、復電処理が終了する(ステップS67)。
リターン命令の実行によってMPU72のプログラムカウンタの値は、スタックエリアに記憶されているプログラムカウンタの値(停電時処理を行うためのステップS13)を1だけインクリメントした値になるので、図23に示すように今度は停電時処理の次の処理であるウオッチドッグタイマ処理(ステップS14)が実行されることになる。
[回胴駆動モータ制御処理]
図26および図27を参照して説明する。
図23に示すタイマ割り込み処理で、ステップS11,S14およびS15に示すようなMPU72に対する先行タイマ割り込み処理が終了すると、次には回胴駆動モータに対する制御処理(その他のタイマ割り込み処理)に遷移する。
この回胴駆動モータ制御処理もサブルーチン構成であって、図26に示すように初期化処理が終了すると(ステップS81)、本来のモータ制御処理ルーチン(ステップS100)において、主として駆動モータであるステッピングモータ71に対する回転制御のための駆動信号(具体的には後述する励磁データであるので、以下は励磁データという)の生成処理が行われ、生成された励磁データは一時的にRAM76に保存される。生成処理時間はほぼ一定であって、モータ制御処理ルーチンでは励磁データの生成処理の他に、図柄のオフセット処理や、図柄番号の更新処理が行われる。
回転制御のための励磁データ生成処理(RAM76からの励磁データ取得処理)などはそれぞれの回胴L、M、Rに対して順次実行される。1つの回胴、例えば回胴Lに対する励磁データ生成処理などはRAM76の作業用エリアに設けられた回胴L用の回転制御データ(後述する)を使用して行われ、その生成処理などが終了すると、次の回胴例えば回胴Mに対しての励磁データ生成処理などに遷移するため、ソフト的に回胴M用の作業用エリアへの遷移処理(アドレス変更処理)を行った後、メインのモータ制御処理ルーチンに戻るようになされている(ステップS82,S83,S100)。
3つの回胴L、M、Rの全てに対する回転制御処理、つまり励磁データ生成処理などが終了したときには(ステップS83)、RAM76に保存されていたデータのうち、各回胴L、M、Rに対する励磁データが入出力ポート80に出力される(ステップS84)。
入出力ポート80への出力は、入出力ポート80の対応する出力ポートへのデータ書き込み処理であるから、モータドライバ712には励磁データの入出力ポート80への書き込みと同時に供給されたことになる。その結果、ステッピングモータ71は即座に励磁データによって指定された励磁相への通電処理が行われてロータ60に対する励磁処理がなされることになる。
つまり、図23に示すタイマ割り込み処理内でのステッピングモータ(回胴モータ)71に対する制御処理(ステップS16)は、他のタイマ割り込み処理の結果を待たずに入出力ポート80への出力処理が実行されるから、モータ加速中を含めて定速回転中や停止でもほぼ一定周期(タイマ割り込み周期)で励磁データを常に出力することができる。
このようなタイマ割り込み処理を行うことで、ステッピングモータ71に対する安定した励磁処理が実現されるため、脱調や回転の不安定性を排除できる。モータ加速初期に励磁期間が短かったり、励磁期間の長さが不揃いであったりすると脱調を起こし易いからであり、また定速回転中でも励磁期間の長短が頻繁に発生すると、不安定な回転となり易いからである。
図27は上述したモータ制御処理ルーチンS100の具体的な処理例である。このモータ制御処理では、少なくともウエイトタイマ、加速カウンタおよび励磁順ポインタ(何れもRAM76を利用したソフトウエア処理)が使用される。
ここに、1つのタイマ割り込み期間を単位励磁時間Tとしたときウエイトタイマによって、同一の励磁モードでの励磁時間(タイマ割り込み数)が設定される。図13にその一例を示した。第1の加速期間では2相励磁モード(加速順序1)が130単位、つまり130割り込み分だけ連続して実行される。そのときのトータル励磁時間は、130×1.49msecとなる。タイマ割り込みは1.49msecごとに行われるからである。
したがって、例えば第2の加速期間にあって、加速順序2では1相励磁モードが8単位(=8割り込み=8励磁時間)に亘って連続して実行されることになる。
加速カウンタは、図13において加速順序を指定するためのものである。図13の場合、加速処理は25ステップの励磁パターン(加速順序1〜25)で構成されている。特定の加速位置を指定するには、図13のように「0」から「24」までのカウンタ値を指定すればよいので、加速カウンタの初期値は本来「24」あるいは「0」であるが、後述するようにこの実施例でのソフトウエアの構成では、加速カウンタに設定される初期値は「25」となされている。
図13の各データはテーブル化されてROM74に保存されているので、図13のデータを励磁時間および加速カウンタテーブルと呼称する場合もある。
励磁順ポインタは図12に示すステッピングモータ71に対する励磁相を決めるときに使用されるポインタである。1−2相励磁のステッピングモータ71を使用した場合、1相励磁と2相励磁を交互に行うが、そのときの相励磁パターンは図12のように8パターンとなる。どの相励磁のときにどの励磁データを出力励磁データとして取得し、これをRAM76に一時的に保存するかが、この励磁順ポインタの値(0〜7)によって指定される。
回転開始時の励磁順ポインタの値は、後述するように直前にモータを停止させたときに使用した励磁相が、どのパターンに属する励磁相を使用したかによって相違する。回転中は順次励磁順ポインタの値を更新しながら使用する。
続いて、スタートボタン52およびストップボタン53〜55の操作に関連させてモータ制御処理を図27を参照して説明する。以下の説明はあくまでも1つの回胴を制御するためのステッピングモータ71に対する処理例である。
[その1.スタートボタン52の操作前の処理]
スタートボタン52を操作する前でのウエイトタイマの初期値はゼロであり、加速カウンタの値もゼロである。そのため、モータ制御処理がコールされると、まずウエイトタイマの値がゼロであるので(ステップS101)、ステップS111に遷移して加速カウンタの値をチェックする。加速カウンタの値もゼロであるので、この場合にはステップS112において出力励磁データはゼロに設定されて保存される。その後図23のタイマ割り込み処理ルーチンにリターンする。出力励磁データがゼロであるので、スタートボタン52の操作前のモードでは、ステッピングモータ71は回転停止状態となっている。
[その2.スタートボタン52が操作されたときの処理]
スタートボタン52の操作は、図25に示す処理ステップS61での通常遊技の各処理内で検出される。スタートボタン52が操作されたことが検出されるとこの処理ステップS61内で加速カウンタの値が「25」に設定される。
スタートボタン52が操作されてもウエイトタイマの値は依然としてゼロであるから、この場合にもステップS101を経てステップS111に遷移して、加速カウンタの値を判別する。加速カウンタの値は「25」にセットされているので、この場合にはステップS121で減算処理が実行される。その結果、加速カウンタの値はゼロでなくなるので(ステップS122)、ステップS131で減算後の加速カウンタの値に対応した励磁時間の値(図13参照)を取得し、取得した励磁時間の値がウエイトタイマにセットされる。
ステップS121での減算処理は、1だけデクリメントする処理であるから、減算後の加速カウンタの値は「24」となり、この場合には図13のテーブルからも明らかなように、加速カウンタの値「24」に対応した励磁時間(130割り込み)の値(=130)がウエイトタイマにセットされる。これで、第1の加速期間に相当する連続相励磁時間(=130×1.49msec)がセットされたことになる。
ウエイトタイマへのセット処理が終了すると、励磁順ポインタを「1」だけインクリメントする更新処理が実行される(ステップS132)。そして、更新処理された励磁順ポインタの値(この例では、「5」)に対応した励磁データを図12に示すテーブルより取得し、その励磁データ(06H)が回胴L用の出力励磁データとしてRAM76に保存される(ステップS134)。保存された励磁データはその他の回胴駆動用ステッピングモータに対する励磁データを取得した後、図26に示すように入出力ポート80に同時に出力される。
その後、図柄オフセットの値が更新されると共に、ステップS135以下に示す回胴インディックスセンサ44(図7参照)による回胴の1回転検出処理などが行われる。このうち、ステップS144およびS145は回胴異常処理であって、励磁データを印加したにも拘わらず回胴が正常に回転しないようなときの処理であり、またステップS151〜S154まではステッピングモータ71に対する回転停止処理(ブレーキ処理)である。
これらの処理は後述するとして、モータ加速処理が正常であれば上述のステップS144からステップ154までがスキップされて図23に示すタイマ割り込みルーチンにリターンする。
したがって加速カウンタにカウンタ値「25」がセットされ、3つの回胴L、M、Rのそれぞれに対するステッピングモータ71L、71M、71Rに対してモータ始動用の励磁データがそれぞれ供給されることでそれぞれのロータが始動する。次のタイマ割り込み時間になると、再びモータ制御処理ルーチンS100がコールされる。このときの処理を次に説明する。
この場合にはウエイトタイマの値は「130」であるから(ステップS101)、このときはウエイトタイマの値を1だけ減算する減算処理を実行してタイマ割り込みルーチンにリターンする(ステップS102)。その結果、加速カウンタや励磁順ポインタの値は前のタイマ割り込み時と同じ値を保持する。つまり、同じ励磁相(この例では2相励磁)によるモータ加速処理が継続される。
この同じ励磁相を使用したモータ加速処理がトータル130割り込み分連続して行われて、タイマ割り込みの都度ウエイトタイマは減算処理される。その結果、130割り込みが行われたときウエイトタイマの値はゼロになる(ステップS101)。
一方、加速カウンタの値はこの第1の加速期間中全く変化しないので、ウエイトタイマの値がゼロになることで、今度はステップS111を介してステップS121に遷移し、加速カウンタが始めて減算処理される。1だけ減算された加速カウンタの値「23」に対応した励磁時間(8割り込み)を図13のテーブルより取得し、取得したこの励磁時間の値(=8)がウエイトタイマにセットされる(ステップS122,S131)。
同時に、励磁順ポインタの値がインクリメントされて「6」となり、この励磁順ポインタの値「6」に対応した励磁データ「02H」(1相励磁)が出力励磁データとしてRAM76に格納される(ステップS132,S134)。その後、他の回胴M、Rについても同様な出力励磁データの取得処理がなされ、全ての回胴L、M、Rに対して出力励磁データの取得処理が終了した段階で、これら出力励磁データが入出力ポート80にそれぞれ出力されて、第2の加速期間処理が開始される。したがって、第2の加速期間の最初は1相励磁が8割り込み分だけ連続して行われる。
第2の加速期間の処理での最初は加速順序2に相当する処理である(図13参照)。この加速順序2における加速処理で、タイマ割り込みが8割り込み分終了すると(ステップS101,S102)、加速カウンタの値が更に減算されるから(ステップS121)、今度は励磁順ポインタの値が「7」となる励磁データ「03H」が図12のテーブルより読み出されるので、7割り込み分だけの連続加速処理が2相励磁によって行われる。
このように加速カウンタを順次減算処理しながら、励磁順ポインタによって指定された励磁データを順次読み出して、第2の加速期間中における加速処理が実行されるので、遂にはステップS121における加速カウンタの値が「0」になる。加速カウンタの値が「0」になると、この値がステップS122でチェックされるので、ステップS123に遷移して、今度は加速カウンタの値を「1」にする処理が実行される。
その後、ステップS131に遷移して、ステップS121で減算したときの加速カウンタの値「0」に対応した励磁時間(1割り込み分)に相当する値(=1)がウエイトタイマにセットされる。その後、励磁順ポインタが更新されてこの例では「0」のポインタに該当する励磁データ「01H」が図12のテーブルより読み出されて、これが出力励磁データとしてセットされる(ステップS132,S134)。したがって、ステップS121での加速カウンタの値が「0」になると1回のタイマ割り込み分だけ励磁される。
ステップS121で加速カウンタの値が「0」にされても、ステップS123の処理で「1」加えられる。そのため、次のタイマ割り込み処理において、励磁順である加速順序25(図13)の次の処理ステップとしては、ステップS111を経由してステップS121に遷移して再度加速カウンタの減算処理がなされる。それによって加速カウンタの値は再び「0」になるから、ステップS131では図13の加速順序25に相当する励磁時間(=1)がウエイトタイマにセットされることになる。また、励磁順ポインタはステップS132の処理で「2」に更新される結果、励磁相が2相励磁に変わると共に1割り込み分だけの励磁処理となる。
つまり、加速順序25の次からは、ステップS121,S123において加速カウンタの「0」、「1」の加減算処理が交互に繰り返されることになり、しかも常に1割り込みによる励磁となるから、ステッピングモータ71は1相励磁と2相励磁を交互に繰り返す回転モードとなる。これは定速処理に他ならず、換言すれば、加速順序25まで励磁処理が進むと、それ以降は定速回転モードに遷移することになる。
[その3.ストップボタンが押されたときの処理]
さて、この定速回転モード中にユーザが任意のストップボタン53〜55を押して、回胴を止める操作を行うと、以下のような処理によって回胴の回転が停止する。
回転停止処理の前に、図柄オフセットと図柄番号の説明を行う。図27に示すように加速カウンタの処理系で、励磁順ポインタが更新されると、これと同時に図柄オフセットの値が更新されると共に、回胴インディックスセンサ44(図7参照)による回胴Lの回転検出処理が行われる(ステップS136,S137)。回胴インディックスセンサ44が回胴Lの一周(1回転)を検出すると、図柄オフセットカウンタおよび図柄番号のカウンタが何れもゼロにリセットされる(ステップS137)。
図柄番号は図8に示す図柄の番号を連番で示すものであり、トータル21個の図柄が用意されているので、図柄番号は「0」〜「20」の値をとる。図柄オフセットは1つの図柄を回胴Lの回転方向に24等分した値であるから、「0」〜「23」の値をとる。図柄オフセットの値が「24」になると、図柄番号が更新されると共に、図柄オフセットの値は0にリセットされる(ステップS141,S142)。
さて、ブレーキをかけたとしても、ロータ60のすべりがあるので3〜4相分滑って停止する。また上述したように、モータ始動時の励磁相としては2相励磁であるのが好ましく、ブレーキは2相励磁直後、つまり1相励磁のタイミングに開始されるように、ストップボタン53〜55の操作タイミングに拘わらず、モータ停止時期(回胴停止時期)を把握しておく必要がある。
そこで、ステップS142において図柄番号の更新処理や図柄オフセットをリセットした後の処理として、ステップS151のような回胴停止時期を判別する処理ステップが置かれる。このステップS151では現在の出力中の励磁相が2相励磁であり、図柄オフセット値が所定オフセット値を超えない範囲となっているかをそれぞれ判別する。
ここで、現在の励磁相が2相励磁であるかどうかは、励磁順ポインタの値を参照すればよく、所定のオフセット値を超えたかどうかは図柄オフセット値を参照すればよい。図柄オフセット値を考慮するのは、図柄オフセット値が大きくなればなるほど、隣接する回胴の停止時における図柄位置の相対的ずれが大きくなることを意味する。人間の識別力を考慮すると4オフセット以上になると、図柄のずれがはっきり認識できるようになるので、図柄オフセット値が4以下のときに回胴停止処理を実行する必要があるからである。
したがってこの条件を満たさないときには図23のタイマ割り込み処理ルーチンに戻るが、ステップS151の回胴停止条件を満たしているときで、しかもストップボタン53〜55の何れかのボタンが押されたときには停止図柄がセットされると共に、セットされた停止図柄(図柄番号)と現在の図柄番号との比較が行われる(ステップS152)。そして両者の図柄が一致したときで、ステップS151の条件を満たすとき、ブレーキ処理に遷移する(ステップS153)。停止図柄とは、スタートボタン52が操作されたとき抽選された役に対応する図柄を言う。
このブレーキ処理ではブレーキ用励磁データの設定処理が行われる。この例では4相が同時励磁されるように設定される。さらに、ウエイトタイマにブレーキ時間を設定する。この例では、159割り込み分(=236.91msec)がブレーキ時間に選ばれている
ので、ウエイトタイマには「159」がセットされる。これに加えて加速カウンタをリセット(=0)する。
ウエイトタイマを上述した値(=159)にセットすると、ステップS101,S102の処理が159割り込み分行われ、その間はブレーキ用の励磁データが連続して出力されて、ロータ60が完全に停止する。
ステップS153の後は、次回回転時に使用する励磁順ポインタに対する調整処理が行われる(ステップ154)。励磁順ポインタの調整処理はロータ60のすべりを考慮する。上述したようにブレーキ処理時、ロータ60は3〜4相分程度滑ってから停止するのが殆どであるので、例えば図12に示す励磁順ポインタ「0」でブレーキをかけたときには、励磁順ポインタ「4」の位置でロータ60が停止しているものと推定して、この例では励磁相の調整分として「4つの励磁相」分だけ進める。その結果ステップS132における更新後の励磁順ポインタの値は「5」となる。
[再加速処理および異常処理]
すでに説明したように、モータ加速期間では加速カウンタの加減算に応じて図柄オフセットの値が更新され、そして定速回転中はタイマ割り込みがなされるたびに図柄オフセットが更新される(ステップS135)。そして、更新後の値が「24」になると、図柄番号が更新されると同時に、図柄オフセットの値がリセットされる(ステップS141,S142)。また図柄番号が更新された後はその値がその最大値「21」を超えないで、しかも図柄オフセットが最大値である「24」を超えるまでは、ステップS141−S143−S151の処理ステップをそれぞれ経由して、図柄番号の更新と図柄オフセットの更新およびリセット処理が続く。さらに回胴Lが1回転するごとに図柄番号と図柄オフセットがそれぞれリセットされるようになっている(ステップS136,S137)。
この処理がなされることで、図柄番号を基準にどの図柄が露出窓を通過しているかが判り、さらに図柄オフセットの値によってその図柄のどの位置が露出窓31Lに位置しているかを判定することができる。
スタートボタン52によってステッピングモータ71が正常に加速し、定速回転に至る正常回転の場合には上述したような状況が再現される。しかし、正常に加速されずに正常回転に至らない場合や、故意に回胴を押さえて回転を止めたりすると、以下のような異常回転処理となる。
まず、加速処理は回胴が1回転するまでに終了するので、通常の場合には加速処理が行われると、何れ回胴の1回転目が回胴インディックスセンサ44によって検出されるはずである。しかし、加速処理が異常であると、ステップS136によって回胴1回転目が検出されない状態でも、図柄番号の更新処理が進んでしまう(ステップS141,142)。
図7よりも明らかなように図柄番号は21番まであるから、ゼロを基準にすると「0」から「20」までであるが、このような異常状態になると、図柄番号がさらに更新されてその値が最大値「21」になっても(ステップS141,S142)、次の励磁相切り替えタイミングになると、ステップS121においてカウンタ加減算処理が行われてしまう。そうすると、図柄オフセットの値は今まで通りに更新処理される(ステップS122,S135)。
その場合にはステップS141を経て、ステップS143において図柄番号の値がチェックされる。図柄番号は「0」から「20」までであるので、その更新最大値「21」を超えたときには異常回転状態とみなすことができる。その場合でもステッピングモータ71の動作上のばらつきを考慮して、この例では4オフセット以上図柄オフセットが進んだとき(ステップS144)、始めて異常回転状態と判断して異常処理が行われる(ステップS145)。この場合には再加速設定処理が行われ、加速カウンタにはその初期値である「25」がセットされ、次のタイマ割り込み期間から再びステップS111に戻って再加速処理が行われる。
ステッピングモータ71には動作上のばらつきがあり、理想的には1回転=504パルスとなるが、場合によっては503パルスあるいは505パルスで1回転することも考えられるので、ステップS144では余裕をもって4オフセット分を異常検出値に設定してある。
また、回胴が何らかの原因で回転しなかったとき、例えば回胴の回転を故意に押さえてしまっているようなときには、上述したと同じようにステップS136で回胴インディックスセンサ44によって回胴の1回転が検出されないまま、図柄番号のみが更新され続けることになる。その結果、図柄番号の更新値が最大値「21」となった次の割り込みによって加速カウンタで加減算処理が行われると、図柄オフセットが更新されると共に(ステップS121,S135)、図柄オフセットの値が最大値「24」以下であるときには(ステップS141)、ステップS143に遷移する。このステップ143で図柄番号が最大値「21」まで更新されていることがチェックされるため、図柄番号が最大値「21」となっているときは異常状態とみなすと共に、更新された図柄が回転して図柄オフセットが4オフセット以上ずれたときには(ステップS144)、ステップ145に遷移して上述したと同じ異常処理が実行される。この異常処理はリセットスイッチ82が操作されるまで繰り返される。
このステップS145における異常処理の回数が規定回数(例えば3回)を超えたときには、この異常状態を報知する処理(ホール内に設けられた異常ランプに対する点滅処理、ホール管理者へのブザー報知処理など)を講じることもできる。
駆動モータとして、上述した実施例では1−2相励磁方式を採用した2相ステッピングモータを使用した場合であるが、この他に3−4相励磁方式を採用した4相ステッピングモータあるいは4−5相励磁方式を採用した5相のステッピングモータなどを利用することもできる。
この発明による遊技機によれば、上述したように変動表示装置の回りに配置された複数の電気音響変換器を用いて、これら複数の電気音響変換器からの再生音の合成音である音像を二次元的に動かすことができる。
その結果、遊技の開始や停止状態に応じて、あるいは遊技入賞の種類に応じて効果音が二次元的に動くので、遊技の状態が音の状態の変化としても感得することができ、これによって遊技状態にマッチした効果音による演出を実現でき、遊技者の興趣を一層そそることができる。
この発明は上述した実施例の遊技機に何等限定されるものではなく、この発明の技術的範囲に属する限り、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
また、上述した実施例のうち、変動表示装置として回胴を使用する場合、回胴の個数は2個以上であればよく、回胴を含む変動表示装置も縦型、横型を問わない。回胴の回転方向も同一方向に揃える必要はなく、互いに逆回転するような回胴を有する遊技機にもこの発明を適用できる。いわゆるAタイプのスロットマシンに限らず、Bタイプ、Cタイプ、AタイプとCタイプの複合タイプ、BタイプとCタイプの複合タイプなど、どのようなスロットマシンにこの発明を適用してもよく、さらにはスロットマシンとパチンコ機とを複合した複合機にこの発明を適用してもよく、何れの場合であっても上述した実施例と同様の作用効果を奏することは明らかである。