JP5817781B2 - 平型ケーブル - Google Patents
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Description
具体的には、平型ケーブルは、常温(例えば23℃)の場合、シャフトの内壁などに接触しないように設置されている。このとき、シャフト内の温度が例えば0℃以下まで低下すると、絶縁層やシースが常温のときよりも硬くなるため、平型ケーブルのループ径が増加する。ループ径の増加により下垂ループ部は大きく湾曲して、平型ケーブルがシャフトの内壁側に大きく膨らんでしまう。この結果、平型ケーブルは、シャフトの内壁に接触し、ケージの昇降に追従する際に表面が損傷することになる。
一方、シャフト内の温度が例えば30℃以上に上昇すると、絶縁層やシースが常温のときよりも柔らかくなるため、平型ケーブルのループ径が減少する。ループ径の減少により下垂ループ部の湾曲が小さくなって略V字形状に近付くことで、平型ケーブルはケージに近接してしまう。この結果、平型ケーブルは、ケージの外壁に接触し、ケージの昇降に追従する際に表面が損傷することになる。
導体の外周上に絶縁層を備える絶縁線心が複数撚り合わされて形成されるユニットと、並列に配置される複数の前記ユニットの外周を一括して被覆するように形成されるシースとを備え、ケーブル重量密度が2.0g/cm3以上である平型ケーブルが提供される。
前記絶縁層は、0.1mm以上0.3mm以下の厚さを有する、第1の態様の平型ケーブルが提供される。
前記絶縁層が熱可塑性樹脂から形成される、第1又は第2の態様の平型ケーブルが提供される。
本発明の一実施形態の説明に先立ち、本発明者が得た知見について説明をする。
具体的には、図3に示すように、従来の平型ケーブル100は、導体111の外周上に絶縁層112を備える絶縁線心110が12本撚り合わせて形成されるユニット120と、並列に配置された5本のユニット120の外周を一括して被覆するように形成されるシース130とを備えている。
シース130は、絶縁層112と同様に例えばPVCにより形成される。シース130の厚さは、ユニット120の外径によって決定される。ユニット120の外径は、撚り合わされる絶縁線心110の外径によって決定される。そして、絶縁線心110の外径は、導体111の外径が一定である場合、絶縁層112の厚さによって決定される。つまり、導体111の外径が一定である場合、シース130の厚さは絶縁層112の厚さに基づいて決定される。このため、シース130は、絶縁層112の厚さに対応して所定の厚さを有することとなり、シース130の厚さは絶縁層112の厚さが増加するのに伴って増加する。なお、シース130の厚さは、図3に示すように、シース130における最薄部の厚さL3´とする。
以下、本発明の一実施形態について説明をする。
まず、本発明の一実施形態に係る平型ケーブルについて図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る平型ケーブル1の断面図である。
これにより、平型ケーブル1では、平型ケーブル1に占める絶縁層12およびシース30の割合が小さく、平型ケーブル1に占める導体11の割合が相対的に大きい。この結果、平型ケーブル1では、ループ径を変動させる絶縁層12などの割合が小さいため、温度変化によるループ径の変動量が小さくなる。これに対して、ケーブル重量密度が2.0g/cm3未満であると、平型ケーブル1に占める絶縁層12及びシース30の割合が増加し、平型ケーブル1に占める導体11の割合が低下する。この結果、温度変化によるループ径の変動が大きい。なお、ケーブル重量密度は、上述したように、単位長さ当たりの平型ケーブルの体積(V)に対する単位長さ当たりの平型ケーブルの重量(W)の割合(W/V)を示す。
具体的には、例えば後述する実施例1に示すように、平型ケーブル1では、ケーブル重量密度が2.0g/cm3以上となるように構成されることで、−10℃から40℃におけるループ径の変動量が100mmである。これに対して、後述する比較例1に示すように、従来の平型ケーブル100では、ケーブル重量密度が2.0g/cm3未満であるため、ループ径の変動量が220mmである。なお、−10℃から40℃におけるループ径の変動量は、ループ径測定方法(JIS C 3662−2に準拠)により得られる。
次に、上述の平型ケーブル1をエレベータへ適用する場合について、図2を参照しながら説明をする。図2は、本発明の一実施形態に係る平型ケーブルの温度変化による変動を説明する図である。
シャフト200内の温度が低下して平型ケーブル1の温度が低下する場合、平型ケーブル1では、絶縁層12およびシース30が硬くなることで、下垂ループ部1aにおけるループ径が増加する。しかしながら、平型ケーブル1は、ループ径の変動量が小さく抑制されており、温度の低下によるループ径の増加が小さい。このため、平型ケーブル1は、図2中の一点鎖線1´に示すように、シャフト200の内壁側に膨らむものの、内壁との接触は抑制されることになる。
一方、シャフト200内の温度が上昇して平型ケーブル1の温度が上昇する場合、平型ケーブル1では、絶縁層12およびシース30が柔らかくなることで、下垂ループ部1aにおけるループ径が減少する。しかしながら、平型ケーブル1は、ループ径の変動量が小さく抑制されており、温度の上昇によるループ径の減少が小さい。このため、平型ケーブル1は、図2中の点線1´´に示すように、ケージ300側に近接するものの、ケージ300とは接触しにくい。
具体的には、シャフト200内の温度が低下すると、平型ケーブル100では、絶縁層112およびシース130が硬くなることで可撓性が大きく低下する。これにより、平型ケーブル100では、下垂ループ部100aにおけるループ径が大きく増加する。そして、図4中の一点鎖線100´に示すように、下垂ループ部100aがシャフト200の内壁側へと膨らみ、平型ケーブル100はシャフト200の内壁と接触することで損傷する。
一方、シャフト200内の温度が上昇すると、平型ケーブル100では、絶縁層112およびシース130が柔らかくなることで可撓性が大きく向上する。これにより、平型ケーブル100では、下垂ループ部100aにおけるループ径が大きく減少する。そして、図4中の点線100´´に示すように、下垂ループ部100aが略V字形状となり、平型ケーブル100はケージ300に近接して接触することで損傷することになる。
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
実施例1では、まず、銅素線を撚り合わせた集合撚り導体(断面積0.75mm2)の外周上に、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)を押出被覆して、厚さ0.2mmの絶縁層を備える絶縁線心を形成した。得られた絶縁線心の12本を撚り合わせて、ユニットを形成した。続いて、形成された5本のユニットを並列に配置し、中央の3本のユニットからなるユニット群の両側に補強線を並列に配置した。そして、並列に配置されたユニットなどを一括して被覆するように、ポリ塩化ビニルを押出被覆して、厚さ1.5mmのシースを形成し、実施例1の平型ケーブルを製造した。実施例1の平型ケーブルは、外径9.3mm×48mm、1km当たりの重量970kg、体積447cm3、ケーブル重量密度2.17g/cm3であった。
上記で製造された実施例1および比較例1の平型ケーブルについて、温度変化によるループ径の変動量を評価した。本実施例では、静的可撓性試験方法(JIS C 3662−2に準拠)により、可撓性の温度依存性として、−10℃から40℃におけるループ径の変動量を測定した。具体的には、−10℃及び40℃における下垂ループ部の略U字状のループ径をそれぞれ測定し、そのループ径の差をループ径の変動量とした。
実施例1の平型ケーブル(ケーブル重量密度2.17g/cm3)では、―10℃におけるループ径が520mmであり、40℃におけるループ径が420mmであった。この結果から、−10℃から40℃での温度変化によるループ径の変動量が100mmであることが確認された。具体的には、実施例1の平型ケーブルでは、図5に示すように、ループ径が温度変化により変動した。図5は、温度変化によるループ径の変動を示す図であり、横軸は温度(℃)を示し、縦軸はループ径(mm)を示す。図5中、実線が実施例1のループ径の変動を示し、点線が比較例1のループ径の変動を示す。
10 絶縁線心
11 導体
12 絶縁層
20 ユニット
30 シース
Claims (3)
- 導体の外周上に絶縁層を備える絶縁線心が複数撚り合わされて形成されるユニットと、
並列に配置される複数の前記ユニットの外周を一括して被覆するように形成されるシースとを備え、
ケーブル重量密度が2.0g/cm3以上である
ことを特徴とする平型ケーブル。 - 前記絶縁層は、0.1mm以上0.3mm以下の厚さを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の平型ケーブル。 - 前記絶縁層が熱可塑性樹脂から形成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の平型ケーブル。
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