JP5817573B2 - 切削加工機、及びこれを用いた切削工具再生加工方法 - Google Patents
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また、切削加工機に工具保持手段を設け、予め複数の切削工具を工具保持手段にセットする方法では、複数の切削工具や工具保持手段が必要になり設備コストが増大する。
主軸は、切削工具またはワークの一方を軸中心に回転可能に保持する。
固定台は、ワークまたは切削工具の他方を主軸に対向させるように固定して保持する。
相対移動手段は、主軸と固定台とを相対的に接近又は離間するように移動させる。
工具電極は、切削工具の3次元形状の刃先に対応する形状に形成される。工具電極は、切削工具がワークの切削を停止したとき、切削工具が主軸または固定台に保持された状態のまま切削工具の刃先と対向し、切削工具の刃先を電解により再生加工可能である。
加工液供給手段は、工具電極が切削工具を再生加工可能な位置に移動したとき、界面活性剤を含む電解質を加工油に混入した加工液を切削工具の刃先と工具電極との間に供給する。
電解加工電源は、工具電極に電圧を印加する。
そこで、この場合、工具電極は、複数の分割電極からなることが好ましい。そして、切削工具がワークを切削するとき、複数の分割電極を切削工具およびワークとの干渉を回避する退避位置に移動させ、且つ、切削工具がワークの切削を停止したとき、複数の分割電極を切削工具の刃先と対向する集結位置に移動させる電極移動手段を備えることが好ましい。
そこで、この場合、切削加工機は、主軸の回転を停止したとき切削工具が所定の回転位置で停止するように主軸の制動を制御する停止位置制御手段を備えることが好ましい。
この切削工具再生加工方法は、(1)切削工具によるワークの切削加工を停止する段階、(2)切削工具が主軸または固定台に保持された状態のまま、切削工具の3次元形状の刃先に対応する形状に形成された工具電極が切削工具の刃先と対向する段階、(3)加工液供給手段が切削工具の刃先と工具電極との間に加工液を供給しつつ電解加工電源が工具電極に電圧を印加し、切削工具の刃先を電解により再生加工する段階、を含む。
これにより、上記の切削加工機と同様の効果を奏する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態の切削加工機について、図1〜図6を参照して説明する。
図1〜図3に示すように、第1実施形態の切削加工機11は、ボール盤、フライス盤、竪型マシニングセンタ等の「固定されたワークを、回転する切削工具すなわち回転工具が切削する」タイプの切削加工機がベースとなっている。切削加工機11は、機械本体20の上部に主軸21および主軸駆動手段22等を備え、機械本体20の下部にワーク台26を備えている。また、機械本体20の高さ方向の中間部に電極台23を備えている。
ワーク台26は、特許請求の範囲に記載の「固定台」に相当し、ワーク61を主軸21に対向させるように固定して保持する。主軸駆動手段22によって主軸21が昇降することにより、主軸21とワーク台26とは、相対的に接近又は離間する。
また、分割電極51、52は、後述するドリル3の逃げ面32に対向する逃げ面用電極面511、521を有している。分割電極53は、後述するドリル3のシンニング33に対向するシンニング用電極面531を有している。逃げ面用電極面511、521およびシンニング用電極面531は、3次元的な立体形状に形成されている。
ここで図6に示すように、加工液の導電率は、電解質の比率がαを上回ると、言い換えれば油の比率が(1−α)を下回ると急激に増加する。この現象は、「油の比率がある閾値以上では油の高分子によってイオンの通り道が塞がれるが、油の比率がその閾値未満では油の高分子の隙間をイオンが自由に通過できる」という浸透理論によって説明される。
したがって、加工液4の電解質の比率をαより大きくなるように設定すればよい。
初期設定段階では、主軸21のチャック部にドリル3を取り付ける。続いて、主軸21が停止した時のドリル3の回転位置が工具電極50のセット位置に合致するように微調整し、このときの主軸21の回転位置を停止位置制御手段29に記憶させる。また、鋼等の材質のワーク61をワーク台26上の受け治具等に固定する。
工具電極50の分割電極51、52、53は、電極移動手段25によって、図1に示す退避位置に配置されている。
1つのワーク61の加工が完了したら、主軸駆動手段22は、ドリル3がワーク61から離れる高さまで主軸21を上昇させる。そして、加工済みのワーク61を作業者、又は図示しない自動搬送装置によって受け治具から取り外し、次のワーク61をセットする。
(1)ドリル3によるワーク61の切削加工を停止する段階、
(2)ドリル3が主軸21に保持された状態のまま工具電極50がドリル3の刃先と対向する段階、
(3)加工液供給手段24がドリル3の刃先と工具電極50との間に加工液4を供給しつつ電解加工電源45が工具電極50に電圧を印加し、ドリル3の刃先を電解により再生加工する段階。
上記(2)の段階では、電極移動手段25は、分割電極51、52、53を図1、図2に示す退避位置から、図3に示す集結位置に移動させる。詳しくは、図4に示すように、分割電極51、52は、逃げ面用電極面511、521がドリル3の逃げ面32に接近するように水平方向に移動する。また、分割電極53は、シンニング用電極面531がドリル3のシンニング33に接近するように垂直方向に移動する。
また、停止位置制御手段29により、ドリル3が常に一定の回転位置で停止するように主軸21用モータの制動を制御するため、回転工具への適用が容易となる。
また、切削工具であるドリル3について、本実施形態では、逃げ面32およびシンニング33以外の絶縁コーティングされている部分は、電解加工されないため、電解再生加工により切れ刃31をより鋭利にすることができる。
次に、本発明の第2実施形態の切削加工機について、図7、図8を参照して説明する。
図7に示すように、第2実施形態の切削加工機12は、「回転するワークを非回転工具が切削する」旋盤がベースとなっている。切削加工機12は、ベッド70上の紙面左側に主軸台72を備え、紙面右側に刃物台76等を備えている。
主軸台72には、水平方向の軸線を中心に回転する主軸71が設けられる。主軸71には、通常、円筒状のワーク62がチャックされる。
また、刃物台76の上方には、チップ刃物8の刃先に加工液4を供給するための加工液供給手段74が設けられている。
ワーク62の切削加工時には刃物台76を紙面左方向に前進させ、加工液4をチップ刃物8の刃先に供給しつつ、回転するワーク62の側面または端面に切れ刃81を接触させてワーク62を切削する。
工具電極55は、電解加工電源45の負極に接続され、チップ刃物8は、電解加工電源45の正極に接続される。ここで、電解加工電源45および加工液4は、第1実施形態のものと実質的に同一であり、同様に作用する。したがって、チップ刃物8の刃先と工具電極55との間に加工液供給手段74から加工液4が供給されたとき、加工液4中の電解質がプラスイオンとマイナスイオンとに電離し、逃げ面82が電解再生加工される。
また、第1実施形態と異なり、チップ刃物8は、被加工部となる逃げ面82が単純形状であるため、非分割の工具電極55を用いた再生加工が可能である。さらに、チップ刃物8は非回転工具であるため、第1実施形態のような停止位置制御手段を必要としない。
(ア)上記第1実施形態において、複数の分割電極の個数は3個に限らない。例えば、4枚刃のエンドミル用の工具電極を、水平方向の4個、及びシンニング用の1個の計5個の分割電極から構成してもよい。
電極移動手段による複数の分割電極の移動方向は、水平方向または垂直方向に限らず、斜め方向であってもよい。また、スライド移動のみでなく回転移動を伴ってもよい。
(イ)上記第1実施形態において、切削加工中の送り動作は、ワーク台26を上昇させることによって行ってもよい。
(エ)本発明の切削工具再生加工方法は、例えば複数のチップ刃物を取り付けたミーリングカッターやサイドカッターにも適用することができる。一般にスローアウェイチップの単価は安価であるが、特に複数使用する場合には、再生加工によって長期間使用することでコスト低減効果が大きくなる。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
21、71・・・主軸、
22・・・主軸駆動手段(相対移動手段)、 77・・・送り部(相対移動手段)、
24、74・・・加工液供給手段、
26・・・ワーク台(固定台)、 76・・・刃物台(固定台)、
3 ・・・ドリル(切削工具)、 8 ・・・チップ刃物(切削工具)、
4 ・・・加工液、
45・・・電解加工電源、
50、55・・・工具電極、
61、62・・・ワーク。
Claims (4)
- ワーク(61、62)を切削する切削工具(3、8)と、
前記切削工具または前記ワークの一方を軸中心に回転可能に保持する主軸(21、71)と、
前記ワークまたは前記切削工具の他方を前記主軸に対向させるように固定して保持する固定台(26、76)と、
前記主軸と前記固定台とを相対的に接近又は離間するように移動させる相対移動手段(22、77)と、
前記切削工具の3次元形状の刃先に対応する形状に形成され、前記切削工具が前記ワークの切削を停止したとき、前記切削工具が前記主軸または前記固定台に保持された状態のまま前記切削工具の刃先と対向し、前記切削工具の刃先を電解により再生加工可能な工具電極(50、55)と、
前記工具電極が前記切削工具を再生加工可能な位置に移動したとき、界面活性剤を含む電解質を加工油に混入した加工液(4)を前記切削工具の刃先と前記工具電極との間に供給する加工液供給手段(24、74)と、
前記工具電極に電圧を印加する電解加工電源(45)と、
を備えることを特徴とする切削加工機(11、12)。 - 前記工具電極(50)は、複数の分割電極(51、52、53)からなり、
前記切削工具が前記ワークを切削するとき、前記複数の分割電極を前記切削工具および前記ワークとの干渉を回避する退避位置に移動させ、且つ、前記切削工具が前記ワークの切削を停止したとき、前記複数の分割電極を前記切削工具の刃先と対向する集結位置に移動させる電極移動手段(25)を備えることを特徴とする請求項1に記載の切削加工機(11)。 - 前記切削工具は、前記主軸に保持されて回転する回転工具であり、
前記主軸の回転を停止したとき前記切削工具が一定の回転位置で停止するように前記主軸の制動を制御する停止位置制御手段(29)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の切削加工機。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の切削加工機を用いた切削工具再生加工方法であって、
前記切削工具による前記ワークの切削加工を停止する段階と、
前記切削工具が前記主軸または前記固定台に保持された状態のまま、前記切削工具の3次元形状の刃先に対応する形状に形成された前記工具電極が前記切削工具の刃先と対向する段階と、
前記加工液供給手段が前記切削工具の刃先と前記工具電極との間に前記加工液を供給しつつ前記電解加工電源が前記工具電極に電圧を印加し、前記切削工具の刃先を電解により再生加工する段階と、
を含むことを特徴とする切削工具再生加工方法。
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