JP5815391B2 - ダンパ装置のシール構造 - Google Patents

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本発明はダンパ装置のシール構造に関する。
工作機械では、加工空間をカバーで覆い、切粉・クーラント(切削油)が周囲に飛散することを防止している。その際、加工物の出し入れ等のため、スライドドアを設置する場合がある。工作機械のスライドドアは、使用状況によっては、1日1000回以上の高い頻度で開閉する場合がある。また、生産効率を上げるため、速い速度で開閉される場合もある。そのため、スライドドアの開閉による衝撃で、ドアやカバー、及びカバーに設置された数値制御装置等の機器が破損しないよう、ドア開閉時の衝撃を吸収し、同時にドアを開閉端まで引き込む機構(ソフトクローザ)を取り付ける場合がある。ソフトクローザは、例えば、ダンパとカム機構等により構成され、スライドドアに取り付けられたピンを把持して、バネによりスライドドアを引き込む構造を備える。
特許文献1には、液体収容室に外部から液体が流入した場合、液体収容室内の液体を排出し、ダンパ特性を維持する構造が開示されている。特許文献2〜4には、作動油の封止用パッキンへの異物到達を防止する構造のダンパが開示されている。また、特許文献5には、外側シール部材により内側シール部材に液体が到達することを防止する構造が開示されている。
特開2009−270585号公報 実開平3−115232号公報 実開平7−1345号公報 特開2010−7765号公報 実用新案登録第3157500号公報
工作機械では、クーラントがスライドドアのガイド部やその周辺に飛散する場合があるため、ソフトクローザを工作機械に導入する場合、クーラントに対する耐久性が必要となる。特に、通常のショックアブソーバやオイルダンパを用いた場合、ロッドとパッキンの隙間から内部にクーラントが浸入し、ダンパの動作不良を起こしてしまう。
特許文献1に開示される技術は、ダンパの液体収容室内に外部の液体が過度に混入した場合に液体収容室から外部に排出するものであり、クーラントの液体収容室内への浸入を防止するものではない。また、特許文献2〜5に開示される技術は、外側シール部材と内側シール部材とを備えることによりクーラントがダンパの液体収容室に浸入することを防止するものであり、構造が複雑であり問題である。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、ドア開閉時の衝撃を吸収し、同時にドアを開閉端まで引き込む機構(ソフトクローザ)において、該機構の内部にピストンを押すロッドとパッキンの隙間からクーラントが浸入することを防止できるダンパ装置のシール構造を提供することを課題とする。
本願の請求項1に係る発明は、ダンパ本体内部に設けられた圧縮室内部の流体を加圧し該流体を流体充填部に流出させながら衝撃を吸収する抵抗となるピストンを押し込むロッドを有する流体を用いたダンパ装置のシール構造であって、前記ダンパ本体のロッドの出入り部に設けられた前記ロッドをガイドするロッドガイドと、前記流体を前記ダンパ本体内部に封止するパッキンと、前記ロッドガイドと前記パッキンとの間に設けられた空間部と、を備え、前記空間部は前記ロッドのストローク以上の距離を有し、前記ロッドにおいて、引き出し側のストローク端から、押し込み側のストローク端まで動作する時に、前記ダンパ本体のロッドの出入り部側に配置されたロッドガイドと接し摺動する部分と、前記ダンパ本体内部の流体を封止するパッキンと接し摺動する部分との間に異径部を設けたことを特徴とする流体を用いたダンパ装置のシール構造である
求項に係る発明は、前記異径部は、前記ロッド出入り部側の径と前記パッキン側の径に差異を設けたことを特徴とする請求項に記載のダンパ装置のシール構造である。
請求項に係る発明は、前記異径部はロッドに設けられた凸部または凹部の少なくとも一方であることを特徴とする請求項に記載のダンパ装置のシール構造である。
請求項に係る発明は、前記空間部と前記ダンパ本体外部を繋ぐドレイン孔を有することを特徴とする請求項1乃至の何れか1つに記載のダンパ装置のシール構造である。
請求項に係る発明は、前記ダンパ装置は工作機械に設けられたスライドドアの衝撃を吸収する装置であることを特徴とする、請求項1乃至の何れか1つに記載のダンパ装置のシール構造である。
本発明により、ドア開閉時の衝撃を吸収し、同時にドアを開閉端まで引き込む機構(ソフトクローザ)において、該機構の内部にピストンを押すロッドとパッキンの隙間からクーラントが浸入することを防止できるダンパ装置のシール構造を提供できる。
工作機械の機械外観図である。 衝撃吸収・ドア引き込み機構(ソフトクローザ)を備えたスライドドアを説明する図である。 図2の衝撃吸収・引き込み機構を説明する図である。 図2のスライドドアの正面図である。 図2に示されるスライドドアの衝撃吸収・ドア引き込み機構を拡大して説明する図である(スライドドア開状態)。 衝撃吸収・引き込み機構の衝撃吸収前の状態を説明する図である。 衝撃吸収・引き込み機構の衝撃吸収中の状態を説明する図である。 本発明に係るシール構造を備えたダンパの内部構成を説明する図である。 段付きのロッドを備えた本発明の実施形態を説明する図である。 凸部を有するロッドを備えた本発明の実施形態を説明する図である。 凹部を有するロッドを備えた本発明の実施形態を説明する図である。 ドレイン孔を有する構造を備えた本発明の実施形態を説明する図である。 本発明のシール構造を備えたダンパにおいてロッドが引き出された状態を説明する図である。 本発明のシール構造を備えたダンパにおいてロッドが押し込まれた状態を説明する図である。
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。なお、同一の構成あるいは類似する構成については同一の符号を用いて説明する。
図1は工作機械の機械外観図である。工作機械1においては、一般的に加工空間が機械本体カバーである板金カバー2で覆われ、ワークの交換作業、加工の段取り作業、あるいは機械の保守点検作業などの目的で、その板金カバー2の前面に開口部5が設けられ、前記開口部を開閉するためのスライドドア10が取付けられている。板金カバー2の前面に取付けられたスライドドア10の近傍には、工作機械1を制御したり操作したりするための制御装置、その制御装置の表示装置4や操作盤3をはじめ、各種周辺機器が配置される場合が多い。取手7はオペレータやロボット(図示せず)がスライドドア10を開閉する際に握持する部材である。何の対策も講じない場合、開口部5を閉鎖するためスライドドア10を閉める際には、スライドドアの一側端面6が板金カバー2の開口部端面に衝突するため、衝撃が発生する。そこで、工作機械1には、スライドドア10の開閉の際に周辺機器類に加わる衝撃を吸収し、同時にドアを開閉端まで引き込むための機構(ソフトクローザ)取付けられている。
図2は衝撃吸収・ドア引き込み機構(ソフトクローザ)をスライドドアに適用した例を慨略的に説明する図である。戸枠8の上部に衝撃吸収・ドア引き込み機構14が取付けられ、スライドドア10の上部にスライドドアに固定されたピン12(以下、「ピン12」という)が取付けられている。ピン12はスライドドア10が閉じる方向にスライドドア10と共に移動し、スライドドア10により戸枠8の開口部5が完全に閉鎖されるまでのいずれかの位置で、衝撃吸収・ドア引き込み機構14により捕捉される被捕捉部材である。
図3は図2の衝撃吸収・引き込み機構を説明する図である。衝撃吸収・ドア引き込み機構14は、スライドドア10が取付けられる戸枠8の上部に付けられる。戸枠8に固定された支持部材36にボルト26a,26b,26cにより3箇所で固定されてガイドプレート34が取付けられている。ガイドプレート34にはガイド溝32(図5〜図7参照)が設けられている。カム16は、ピン12を捕捉する凹部形状を有するとともに、ガイドプレート34に設けられたガイド溝32に沿って移動する2つのピン(第1のピン29,第2のピン30)を有する。ダンパ20は戸枠8の上部に固定されたベースプレート22に取付けられている。ダンパ20のロッド18は、第1のピン29を回転中心としてカム16を回転可能に支持している。なお、ガイドプレート34とベースプレート22とを一体に形成される構造としてもよい。
引っ張りバネ24の引っ張りバネカム側端24aはカム16に設けられた突起(図示せず)などに引っ掛けられて連結され、引っ張りバネベースプレート側端24bはベースプレート22に設けられた突起(図示せず)に引っ掛けられて連結されている。カム16は引っ張りバネ24により反時計周りに付勢されている。
図4はスライドドアの衝撃吸収・ドア引き込み機構を説明する図である。戸枠8の箇所に取付けられたスライドドア10に被捕捉部材であるピン12が所定位置に固定されている。なお、所定位置については後述して説明する。一方、戸枠8には衝撃吸収・ドア引き込み機構14が固定されている。図4中のスライドドアの開閉方向で、図面右方向にスライドドア10が移動すると開口部5を閉鎖し(閉扉)、図面左方向にスライドドア10が移動すると開口部5を開放する(開扉)。ピン12と衝撃吸収・ドア引き込み機構14とでスライドドアの衝撃吸収機構が構成される。
図5は図4に示されるスライドドアの衝撃吸収・ドア引き込み機構を拡大して説明する図である。図6はスライドドア10が開いた状態(開扉状態)を示している。スライドドア10の衝撃吸収機構を構成するため、スライドドア10の所定位置にピン12が固定されている。衝撃吸収・ドア引き込み機構14(図2,図4参照)は戸枠8の上部に固定されている。衝撃吸収・ドア引き込み機構14は、ガイドプレート34、ベースプレート22、ダンパ20、カム16、引っ張りバネ24を有する。
カム16には第1のピン29と第2のピン30が設けられている。戸枠8には支持部材36が取付けられており、ボルト26a,26b,26cによりガイドプレート34が支持部材36に固定される。ガイドプレート34にガイド溝32が設けられ、スライドドア10の開閉動作に応じて第1のピン29と第2のピン30が該ガイド溝32に沿って移動する。ガイド溝32はスライドドア10の移動方向に延びる直線部32aと該直線部32aの一端に接続される曲がり部32bからなる。曲がり部32bの曲がり方向は開口部5の方向を向いている。
ベースプレート22には、カム16を回転可能に支持するロッド18を有するダンパ20が固定されている。ロッドの一端が第1のピン29を相対回転可能に支持することによって、カム16はロッド18によって回転可能に支持されている。引っ張りバネ24は、カム16を紙面内で反時計方向に付勢するための弾性部材であり、その一端(引っ張りバネカム側端24a)がカム16に連結され、他端(引っ張りバネベースプレート側端24b)がベースプレート22に連結されている。スライドドア10が開扉状態のとき、カム16の第2のピン30はガイド溝32の曲がり部32bに位置する。カム16は引っ張りバネ24によって第1のピン29を回転中心とする反時計回りの回転力が付与されている状態にある。これによって、カム16はガイド溝32の曲がり部32bにロックされた状態となり、衝撃吸収機構が予期せず、ドア閉じの位置に移動することを防止できる。
ピン12がスライドドア10に固定される所定位置を説明する。符号38はガイド溝32の直線部32aの中心線であり、かつ、ダンパ20のロッド18の軸の中心線である。ピン12のスライドドア10に固定される位置は、符号38で示される中心線上にある。ピン12の中心線38の水平方向の位置は、ピン12と衝撃吸収・ドア引き込み機構14とが衝突し、衝撃吸収・ドア引き込み機構14が動作しスライドドア10を閉める際の衝撃を吸収する適宜の位置を選択すればよい。
図6は図4に示されるスライドドアの衝撃吸収・ドア引き込み機構作動開始状態を説明する図である。図6のスライドドア10の位置から紙面右方向にスライドドア10が移動し、スライドドア10に固定されたピン12がカム16に噛み込まれ始める。ピン12によりカム16が紙面右方向に押されカム16は紙面右方向に移動開始する。
カム16の第1のピン29はガイド溝32の直線部32aにより水平方向の移動のみ可能なように拘束され、第2のピン30はガイド溝32の曲がり部32bによりその移動が拘束されている。したがって、カム16が紙面右方向に移動開始すると、カム16の第2のピン30はガイド溝32の曲がり部32bに沿って移動開始することとなり、一方、第1のピン29はガイド溝32の直線部32aにより水平方向のみ移動が可能なように拘束されていることから、引っ張りバネ24の引っ張り力に抗してカム16には第1のピン29を回転中心とする紙面内時計回り方向の回転トルクが発生する。
カム16はダンパ20のロッド18に対して第1のピン29を回転中心として回転自在に連結されており、カム16が紙面右方向に移動開始すると、カム16はロッド18をダンパ20内への押し込みを開始する。スライドドア10が高速で移動し、ピン12がカム16に衝突することで発生する衝撃力がダンパ20により吸収される。
図7は図4に示されるスライドドアの衝撃吸収・ドア引き込み機構のドア引き込み状態を説明する図である。図6に示されるスライドドア10の位置から更に紙面右方向に移動し、スライドドア10により開口部5を閉鎖した状態となる。このとき、ピン12とカム16の間に作用する力の作用点と第1のピン29と第2のピン30とは符号38で示される中心線上に並んだ状態となる。
ピン12によりカム16は紙面右方向に移動する。これによって、カム16の第1のピン29はガイド溝32の直線部32aに沿って紙面右方向に移動し、第2のピン30はガイド溝32の曲がり部32bから直線部32aに沿って移動する。ピン12に押されたカム16はダンパ20のロッド18を押し込む。ロッド18がダンパ20内に押し込まれる過程でピン12のカム16に衝突した際の衝撃力が吸収される。
<ダンパの内部構成>
次に、上述した衝撃吸収・ドア引き込み機構14に備わったダンパ20の内部構成について説明する。
図8は本発明に係るシール構造を備えたダンパの内部を説明する図である。図8はロッド18がダンパケース60に押し込まれた状態を図示している。
ダンパ20は、ダンパケース60とピストン67を備えている。ダンパケース60は、円筒形状に形成され、一方端部は端壁によって閉塞されている。他端部には、後述するピストン67を押すロッド18を挿通するための貫通孔が貫通形成されている。かかるダンパケース60内には、一端側内部空間に作動流体を充填する流体室70が設けられている。この流体室70内は、軸方向に貫通孔71を設けたピストン67を軸方向で往復移動自在に配置して、流体充填部72と圧縮室73に区画されている。圧縮室73には、作動流体として非圧縮性流体であるシリコンオイル等の合成油や鉱物油が封入されている。また、ダンパケース60の貫通孔が形成された側の内周面の径は、後述するロッドガイド保持部材63、アキュムレータ64、第2ロッドガイド65、パッキン66を配設できるように、流体室70が設けられる部位の内周面の径より大きく形成されている。
ピストン67は軸方向に貫通孔71を有する円柱状に形成されている。ピストン67は圧縮室73内に配置された押しバネ68によって流体充填部72側に付勢されている。ピストン67の圧力室側には、その中心部にばね座が一体に突設されている。ピストン67の流体充填部72側には、ロッド18が配設されている。ロッド18は、ダンパケース60の貫通孔から外部に突出している。ピストン67とロッド18とは離接できる個別部品として構成され、ロッド18の一端部はピストン67の貫通孔71を塞ぐことができる形状を有する。ロッド18はダンパケース60内に対する収縮動作又は伸張動作を行うように軸方向移動自在となっている。この軸方向移動により、ロッド18は、流体室70に対して出没しながらピストン67を往復連動移動させる。ロッド18の収縮動作では、ロッド18が紙面の右方向に移動し、ピストン67を紙面の右方向に押す。そして、ロッド18の伸張動作によってロッド18が紙面の左方向に移動すると、ピストン67は押しバネ68によって、紙面の左方向に押し戻される。このとき、ロッド18とピストン67とは離間する。これによって、ピストン67の貫通孔71を介して、流体が流体充填部72から圧縮室73に移動する。
ダンパケース60の貫通孔側の端部にはロッド18が貫通する貫通孔を設けたダンパキャップ61が取り付けられている。ダンパキャップ61のダンパケース60への取り付けはねじ込みなどの適宜の固定手段を用いて行う。ロッドガイド保持部材63は、ダンパケース60の貫通孔側の内周に嵌合される嵌合部63a,ロッドガイド保持部材63の内周面との間に空間を形成するために縮径された外周面縮径部63b,および縮径部の外周面に適宜箇所に設けられた外周面鍔部63cを有した中空円筒状に形成され、ダンパケース60の貫通口側の内周に嵌合されている。ロッドガイド保持部材63の中空円筒状の内周面とロッド18の外周面との間には隙間空間が設けられている。ダンパキャップ61ない内部空間と前記隙間空間とは連通されており、空気の満たされた空間69を形成している。
ロッド18の軸方向移動は、第1ロッドガイド62、第2ロッドガイド65によってガイドされる。第1ロッドガイド62は、中空円筒形状に形成され、ダンパキャップ61の貫通孔の内周に取り付けられている。第2ロッドガイド65は中空円筒状に形成され、ダンパケース60の貫通孔側の内周に嵌装されている。第2ロッドガイド65の軸方向のピストン67側の一端には、鍔状に周回状のフランジが形成されている。第1ロッドガイド62と第2ロッドガイド65のそれぞれの軸心部は、挿通孔が軸方向に貫通形成され、内周側でロッド18を挿通ガイドする。
第1ロッドガイド62とパッキン66とは、ダンパケース60の長手方向(ロッド18の軸方向)に、ドアの開閉によってロッド18が移動する距離(ストローク)以上離して設けられる空気が満たされた空間69を設けることで、ロッド18の外周面で外部に露出する部分が流体充填部72に進入しない構造とすることができる(図13,図14参照)。
ロッドガイド保持部材63の嵌合部63aの外周面とダンパケース60の内周面との間には、独立気泡のゴム等からなるアキュムレータ64が収容保持されている。アキュムレータ64は、第2ロッドガイド65に形成された連通路74を介して流体充填部72に連通して容積変化を吸収する。
第2ロッドガイドのロッドガイド保持部材63の側には、パッキン66が設けられている。パッキン66は、ロッドガイド保持部材63と第2ロッドガイド65の間に位置決めされている。パッキン66は例えば周回状のUパッキンからなり、ロッド18およびロッドガイド保持部材63間に密に配置されている。パッキン66は、流体室70の流体充填部72からの流体の流出を抑制すると共に外部からのクーラントやゴミなどが流体室70の流体充填部72への流入を防止している。
次に、ダンパ20の流体充填部72へのクーラントの流入をより確実に防止できるロッドの形状を説明する。
(段付き部を備えたロッド)
図9は段付きのロッドを備えた本発明の実施形態を説明する図である。図8で説明したダンパ20に用いられるロッド18を、段付き部を備えたロッドとすることができる。ロッド18以外の構成は図8と同様であるので説明を略する。ロッド18は、軸方向の所定位置で段付き部75が形成されるように径を異ならせる。図9では、第1ロッドガイド62と接する部分であって、ロッド18の軸方向の左側(衝撃吸収機構のカムに接続される側)の径を流体充填部72の側の径(ダンパ20のパッキン66の内部に進入する部分の径)より小さくした例が図示されている。この構成によって、クーラントがロッド18の外周面を伝ってダンパ20のパッキン66の内部に浸入することをより確実に防止できる。
(凸部を備えたロッド)
図10は凸部を有するロッドを備えた本発明の実施形態を説明する図である。図10に示されるダンパ20に用いられるロッド18には、ロッド18の外周面の所定箇所に周回状に鍔状の凸部76が形成される。この構成によって、クーラントがロッド18の外周面を伝ってダンパ20のパッキン66の内部に浸入することをより確実に防止できる。
(凹部を備えたロッド)
図11は凹部を有するロッドを備えた本発明の実施形態を説明する図である。図11に示されるダンパ20に用いられるロッド18に、ロッドの外周面の所定箇所に周回状に溝部を形成する凹部77が形成される。この構成によって、クーラントがロッド18の外周面を伝ってダンパ20のパッキン66の内部に浸入することをより確実に防止できる。
さらに、図12に示されるようにダンパ20のダンパケース60にドレイン孔78を設けることによって、ダンパ20の内部に溜まったクーラントがドレイン孔78からダンパ20の外部に排出されることから、クーラントがパッキン66を経由して流体室70に浸入することを防止できる。なお、図示省略するが、ドレイン孔78に向かってロッドガイド保持部材63の内周面を傾斜させて形成することによって、よりスムーズにクーラントをドレイン孔78からダンパ20の外部に排出することができる。
<ダンパの動作>
次に、図13と図14を用いてダンパ20の動作を説明する。図13は本発明のシール構造を備えたダンパにおいてロッドが引き出された状態を説明する図である。図14は本発明のシール構造を備えたダンパにおいてロッドが押し込まれた状態を説明する図である。ここでは、図9に示される段付き部75を有するロッドと図12に示されるドレイン孔78を備えたダンパ20を用いて説明する。
ダンパ20は、ロッド18がダンパケース60内へ収縮すると、ロッド18が流体充填部72内に没入しながらピストン67を圧縮室73側へ軸方向連動移動させる。ピストン67が移動すると、流体がダンパケース60の内周面とピストン67の外周面との隙間を介して流体充填部72側へ移動し、所定のダンパ効果を発揮することができる。
一方、ロッド18がダンパケース60に対して伸張方向へ引き出されると、ピストン67は、押しバネ68の付勢力によってロッド18の移動方向に移動する。このとき、ロッド18とピストン67とは離間する。これによって、ピストン67の貫通孔71を介して、流体が流体充填部72から圧縮室73に移動する。かかる動作の際には、パッキン66がダンパケース60内を外部から区画してクーラント等の異物の浸入を抑制することができる。また、ロッド18の軸方向移動の際には、流体室70内へ没入したロッド18に、その没入ストロークの範囲に流体膜が形成される。その後は、ロッド18が油膜形成状態で流体室70外に突出する。
このとき、ダンパケース60のロッド18の出入り口部に設けられた第1ロッドガイド62と流体室70の内部の流体を封止するパッキン66との間に、ロッド18の移動距離(ダンパストローク)以上の距離を有するように空気の満たされた空間69を形成する。ロッド18の符号80より紙面左側の部分は、第1ロッドガイド62で支持される部分を除きダンパ20の外部に露出する部分である。また、符号82より紙面右側の部分は、パッキン66の内周面を除き、流体室70に進入する部分である。図13,図14に示されるように、ロッド18の軸方向において、第1ロッドガイドで支持される部分(ダンパ20の外部に露出する部分)と、パッキン66の内部に進入する部分(流体室70)とが、重ならないため、ロッド18がダンパ20の内部に収縮しても、第1ロッドガイドで支持されるロッド18の部分が、パッキン66の内周面および流体室70に進入にしない構造とすることにより、ロッド18の周面に付着するクーラントなどの異物が流体室70に浸入するのを防止できる。
1 工作機械
2 板金カバー
3 操作盤
4 表示装置
5 開口部
6 スライドドアの一側端面
7 取手
8 戸枠
10 スライドドア
12 スライドドアに固定されたピン
14 衝撃吸収・ドア引き込み機構
16 カム
18 ロッド

20 ダンパ
22 ベースプレート
24 引っ張りバネ
24a 引っ張りバネカム側端
24b 引っ張りバネベースプレート側端
26a,26b,26c ボルト

29 第1のピン
30 第2のピン
32 ガイド溝
32a 直線部
32b 曲がり部
34 ガイドプレート
36 支持部材
38 中心線

60 ダンパケース
61 ダンパキャップ
62 第1ロッドガイド
63 ロッドガイド保持部材
63a 嵌合部
63b 外周面縮径部
63c 外周面鍔部
64 アキュムレータ
65 第2ロッドガイド
66 パッキン
67 ピストン
68 押しバネ
69 空気の満たされた空間
70 流体室
71 貫通孔
72 流体充填部
73 圧縮室
74 連通路
75 段付き部
76 凸部
77 凹部
78 ドレイン孔

Claims (5)

  1. ダンパ本体内部に設けられた圧縮室内部の流体を加圧し該流体を流体充填部に流出させながら衝撃を吸収する抵抗となるピストンを押し込むロッドを有する流体を用いたダンパ装置のシール構造であって、
    前記ダンパ本体のロッドの出入り部に設けられた前記ロッドをガイドするロッドガイドと、
    前記流体を前記ダンパ本体内部に封止するパッキンと、
    前記ロッドガイドと前記パッキンとの間に設けられた空間部と、
    を備え、
    前記空間部は前記ロッドのストローク以上の距離を有し、前記ロッドにおいて、引き出し側のストローク端から、押し込み側のストローク端まで動作する時に、前記ダンパ本体のロッドの出入り部側に配置されたロッドガイドと接し摺動する部分と、前記ダンパ本体内部の流体を封止するパッキンと接し摺動する部分との間に異径部を設けたことを特徴とする流体を用いたダンパ装置のシール構造。
  2. 前記異径部は、前記ロッド出入り部側の径と前記パッキン側の径に差異を設けたことを特徴とする請求項1に記載のダンパ装置のシール構造。
  3. 前記異径部はロッドに設けられた凸部または凹部の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載のダンパ装置のシール構造。
  4. 前記空間部と前記ダンパ本体の外部を繋ぐドレイン孔を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載のダンパ装置のシール構造。
  5. 前記ダンパ装置は工作機械に設けられたスライドドアの衝撃を吸収する装置であることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1つに記載のダンパ装置のシール構造。
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