以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態に係る溶接装置1000の構成を示す斜視図である。なお、溶接装置1000を正面側から見たときの水平面上における左右方向に沿った軸をx軸、水平面上においてx軸に直交し溶接装置1000を正面側から見たときの手前方向から奥行方向(前後方向という。)に沿った軸をy軸、溶接装置1000を正面から見たときの垂直方向に沿った軸をz軸とする。
実施形態に係る溶接装置1000は、図1に示すように、基台テーブル100と、溶接対象となる一方の部品及び他方の部品の種類に対応して用意された各クランパー(後述する。)を装着するための2つのクランパー装着部(第1クランパー装着部200及び第2クランパー装着部300)と、第1クランパー装着部200を取り付けるための第1クランパー装着部取り付けプレート410と、第2クランパー装着部300を取り付けるための第2クランパー装着部取り付けプレート420(図1では目視できない位置にあるため図4参照。)と、第2クランパー装着部取り付けプレート420を垂直面上で移動可能とする垂直駆動機構部500(詳細は図4参照。)と、第2クランパー装着部取り付けプレート420を水平面上で移動可能とする水平駆動機構部600(詳細は図5参照。)と、溶接を行う溶接ロボット700と、溶接を行う際に必要な各種の設定を行うための操作パネル800とを有している。なお、垂直駆動機構部500及び水平駆動機構部600は、図1においては、カバーによって覆われた状態となっている。
溶接ロボット700は、溶接ロボット本体710と、可動自在なアーム720と、当該アーム720の先端部に設けられている溶接ノズル730とを有している。この溶接ロボット700は、市販の溶接ロボットを使用することができるため、詳細な説明は省略する。
図2は、第1クランパー装着部200を説明するために示す図である。第1クランパー装着部200は、部品の種類に応じて用意されているクランパー210(第1クランパー210という。)を着脱自在に装着可能とするものである。図2(a)は第1クランパー210が取り付けられていない状態を示す図であり、図2(b)は第1クランパー210が取り付けられた状態を示す図である。第1クランパー210は、図2(b)に示すように、固定側クランプ片210a及び可動側クランプ片210bを有している。
第1クランパー装着部200は、図2(a)に示すように、2本のガイドレール211L,211Rを有するベースプレート212と、固定側クランプ片210aを装着するための固定側クランプ片装着プレート213と、可動側クランプ片210bを装着するための可動側クランプ片装着プレート214とを有している。
固定側クランプ片装着プレート213は、ベースプレート212に固定されており、可動側クランプ片装着プレート214は、ガイドレール211L,211Rに沿って矢印a−a’方向にスライド可能とっている。ベースプレート212には、可動側クランプ片装着プレート214を矢印a−a’方向にスライドさせるためのエアシリンダー217が取り付けられている。
また、固定側クランプ片装着プレート213は、固定側クランプ片210aの位置を決める位置決めピン215と、固定側クランプ片210aを固定するためのハンドル218とを有している。また、可動側クランプ片装着プレート214は、可動側クランプ片210bの位置を決める位置決めピン216と、可動側クランプ片210bを固定するためのハンドル219を有している。
このように構成された第1クランパー装着部200において、固定側クランプ片装着プレート213に第1クランパー210の固定側クランプ片210aを装着する際は、固定側クランプ片装着プレート213の位置決めピン215を固定側クランプ片210aの裏面に設けられた取り付け孔(図示せず。)に挿入した状態で、ハンドル218を倒す。これによって、固定側クランプ片210aは固定側クランプ片装着プレート213に確実に取り付けられた状態となる(図2(b)参照。)。
また、可動側クランプ片装着プレート214に第1クランパー210の可動側クランプ片210bを装着する際は、可動側クランプ片装着プレート214の位置決めピン216を可動側クランプ片210bの裏面に設けられた取り付け孔(図示せず。)に挿入した状態で、ハンドル219を倒す。これによって、可動側クランプ片210bは可動側クランプ片装着プレート214に確実に取り付けられた状態となる(図2(b)参照。)。
このようにして、固定側クランプ片装着プレート213に固定側クランプ片210aが装着されるとともに可動側クランプ片装着プレート214に可動側クランプ片210bが装着されると、当該第1クランパー210に対応した部品をクランプすることができる。
第1クランパー210に部品を取り付ける際は、固定側クランプ片210aと可動側クランプ片210bとの間に部品(図2においては図示せず。)をセットしたのち、可動側クランプ片210bをエアシリンダー217により矢印a方向にスライドさせることによって、部品をクランプすることができる。また、当該クランプの状態から可動側クランプ片210bをエアシリンダー217により矢印a’方向にスライドさせることによってクランプを解除することができる。
図3は、第2クランパー装着部300を説明するために示す図である。第2クランパー装着部300は、部品の種類に応じて用意されているクランパー310(第2クランパー310という。)を着脱自在に装着可能とするものである。図3(a)は第2クランパー310が取り付けられていない状態を示す図であり、図3(b)は第2クランパー310が取り付けられた状態を示す図である。第2クランパー310は、図3(b)に示すように、固定側クランプ片310a及び可動側クランプ片310bを有している。
第2クランパー装着部300は、図3(a)に示すように、2本のガイドレール311L,311Rを有するベースプレート312と、固定側クランプ片310aを装着するための固定側クランプ片装着プレート313と、可動側クランプ片310bを装着するための可動側クランプ片装着プレート314とを有している。
固定側クランプ片装着プレート313は、ベースプレート312に固定されており、可動側クランプ片装着プレート314は、ガイドレール311L,311Rに沿って矢印b−b’方向にスライド可能とっている。ベースプレート312には、可動側クランプ片装着プレート314を矢印b−b’方向にスライドさせるためのエアシリンダー317が取り付けられている。
また、固定側クランプ片装着プレート313は、固定側クランプ片310aの位置を決める位置決めピン315と、固定側クランプ片310aを固定するためのハンドル318とを有している。また、可動側クランプ片装着プレート314は、可動側クランプ片310bの位置を決める位置決めピン316と、可動側クランプ片310bを固定するためのハンドル319を有している。
このように構成された第2クランパー装着部300において、固定側クランプ片装着プレート313に第2クランパー310の固定側クランプ片310aを装着する際は、固定側クランプ片装着プレート313の位置決めピン315を固定側クランプ片310aの裏面に設けられた取り付け孔(図示せず。)に挿入した状態で、ハンドル318を倒す。これによって、固定側クランプ片310aは固定側クランプ片装着プレート313に確実に取り付けられた状態となる(図3(b)参照。)。
また、可動側クランプ片装着プレート314に第2クランパー装着部300の可動側クランプ片310bを装着する際は、可動側クランプ片装着プレート314の位置決めピン316を可動側クランプ片310bの裏面に設けられた取り付け孔(図示せず。)に挿入した状態で、ハンドル319を倒す。これによって、可動側クランプ片310bは可動側クランプ片装着プレート314に確実に取り付けられた状態となる(図2(b)参照。)。
このようにして、固定側クランプ片装着プレート313に固定側クランプ片310aが装着されるとともに可動側クランプ片装着プレート314に可動側クランプ片310bが装着されると、当該第2クランパー310に対応した部品をクランプすることができる。
第2クランパー310に部品を取り付ける際は、固定側クランプ片310aと可動側クランプ片310bとの間に部品(図3においては図示せず。)をセットしたのち、可動側クランプ片310bをエアシリンダー317により矢印b方向にスライドさせることによって、部品をクランプすることができる。また、当該クランプの状態から可動側クランプ片310bをエアシリンダー317により矢印b’方向にスライドさせることによってクランプを解除することができる。
上記した第1クランパー210及び第2クランパー310は、溶接対象となる部品の種類ごとに用意されているものである。例えば、種類Aの部品に対しては、当該種類Aの部品に対応した第1クランパー210及び第2クランパー310が用意されており、種類Bの部品に対しては、当該種類Bの部品に対応した第1クランパー210及び第2クランパー310が用意されている。
このため、種類Aに対応した第1クランパー210に当該種類Aの一方の部品(第1部品という。)をクランプし、種類Aに対応した第2クランパー310に当該種類Aの他方の部品(第2部品という。)をクランプすると、当該部品を適切な状態でクランプすることができる。
なお、第1部品の溶接部(端部とする。)と第2部品の溶接部(端部とする。)とを接触させた状態(ここでは突き合わせた状態とする。)で、これら第1部品及び第2部品の溶接を行う際には、第1部品と第2部品との溶接部を高精度に位置合わせをした状態とする必要がある。このために、実施形態に係る溶接装置1000においては、第1部品を固定した状態として第2部品の位置調整を行う。
実施形態に係る溶接装置1000においては、第1部品は第1クランパー装着部200側の第1クランパー210でクランプし、第2部品は第2クランパー装着部300側の第2クランパー310でクランプする。そして、第1部品の位置は固定した状態で、第2部品の位置調整を行う。
第2クランパー装着部300は、第2クランパー装着部取り付けプレート420(図4参照。)に取り付けられており、当該第2クランパー装着部取り付けプレート420は、垂直駆動機構部500(詳細は図4参照。)及び水平駆動機構部600(詳細は図5参照。)によって垂直面上及び水平面上での移動が可能となっている。
図4は、垂直駆動機構部500を説明するために示す図である。図4(a)は斜視図であり、図4(b)は側面図である。なお、図4に示す垂直駆動機構部500は、図1において示されている垂直駆動機構部500のカバーを取り外した状態である。
垂直駆動機構部500は、図4に示すように、第2クランパー装着部取り付けプレート420をz軸に沿って上下動させるためのz軸駆動機構部510と、第2クランパー装着部取り付けプレート420を垂直面上で時計方向及び反時計方向に所定範囲内の任意の角度で回転(首振り)させるための回転機構部530(第1回転機構部530という。)とを有している。
z軸駆動機構部510は、図4に示すように、z軸用モーター511と、z軸用モーター511の回転軸に接続され、垂直方向(z軸に沿った方向)に設けられているz軸用ボールネジ512と、z軸用ボールネジ512の両側に設けられている2本のガイドレール513,514と、z軸用ボールネジ512が時計方向又は反時計方向に回転することによってガイドレール513,514上を上下動するz軸スライダー515と、台座部517とを有している。
z軸スライダー515には第2クランパー装着部取り付けプレート420が取り付けられており、この第2クランパー装着部取り付けプレート420には、第2クランパー装着部300のベースプレート312(図3参照。)の背面側が固定される。これにより、z軸スライダー515が上下動することにより第2クランパー装着部取り付けプレート420も上下動し、第2クランパー装着部取り付けプレート420が上下動することによって第2クランパー装着部300が図3の姿勢を保持した状態で上下動する。
第1回転機構部530は、モーター531(第1回転用モーター531という。)と当該第1回転用モーター531の回転力を第2クランパー装着部取り付けプレート420に伝達する動力伝達機構(図示せず。)を有し、第2クランパー装着部取り付けプレート420を垂直面上(xz平面上)において時計方向(矢印c方向)及び反時計方向(矢印c’方向)に所定範囲内の任意の角度で回転可能(首振り可能)とするものである。なお、z軸用モーター511及び第1回転用モーター531は、それぞれサーボモーターを用いるものとする、
図5は、水平駆動機構部600を説明するために示す図である。図5(a)は斜視図であり、図5(b)は図5(a)のA−A線矢視断面図である。なお、図5に示す水平駆動機構部600は、図1において示されている水平駆動機構部600のカバーを取り外した状態である。
水平駆動機構部600は、図5に示すように、第2クランパー装着部300(図5では図示せず。)をy軸に沿った方向に往復動可能とするy軸駆動機構部610と、第2クランパー装着部300をx軸に沿った方向に往復動可能とするx軸駆動機構部650とを有している。なお、x軸駆動機構部650は、第2クランパー装着部300を水平面(xy平面)上で時計方向(矢印で方向及び反時計方向(矢印d’方向)に所定範囲内の任意の角度で回転させる機構を兼ねているが、これについては後述する。
まず、y軸駆動機構部610を説明する。y軸駆動機構部610は、y軸用モーター611と、y軸用モーター611の回転軸に接続され、y軸に沿った方向に設けられているy軸用ボールネジ612と、y軸用ボールネジ612の両側に設けられているガイドレール613,614と、y軸用ボールネジ612が時計方向又は反時計方向に回転することによってガイドレール613,614上を往復動するy軸スライダー615と、これら各構成要素が設置される載置台616を有している。なお、y軸スライダー615にはz軸駆動機構部510の台座部517が固定され、z軸駆動機構部510はy軸スライダー615とともに移動するようになっている。
次に、x軸駆動機構部650を説明する。x軸駆動機構部650は、2つのx軸駆動機構部(第1x軸駆動機構部650A及び第2x軸駆動機構部650B)によって構成されている。
第1x軸駆動機構部650Aは、第1x軸用モーター651と、第1x軸用モーター651の回転軸に接続され、x軸に沿った方向に設けられている第1x軸用ボールネジ652と、第1x軸用ボールネジ652に沿って設けられているガイドレール653と、第1x軸用ボールネジ652が時計方向又は反時計方向に回転することによってガイドレール653上を往復動する第1x軸スライダー654と、第1x軸スライダー654とy軸駆動機構部610の載置台616との間に介在され、載置台616をxy平面上で回転自在に支持する第1載置台支持体655とを有している。
第2x軸駆動機構部650Bも第1x軸駆動機構部650Aとほぼ同様の機構を有している。すなわち、第2x軸駆動機構部650Bは、第2x軸用モーター656と、第2x軸用モーター656の回転軸に接続され、x軸に沿った方向に設けられている第2x軸用ボールネジ657と、第2x軸用ボールネジ657に沿って設けられているガイドレール658と、第2x軸用ボールネジ657が時計方向又は反時計方向に回転することによってガイドレール658上を往復動する第2x軸スライダー659と、第2x軸スライダー659とy軸駆動機構部610の載置台616との間に介在され、載置台616をxy平面上で回転自在に支持する第2載置台支持体660とを有している。
また、第2x軸駆動機構部650Bは、x軸スライダー659と載置台支持体660との間にスペーサー661(図4(b)参照)が介在されている。このように、x軸スライダー659と載置台支持体660との間にスペーサー661が介在されていることにより、第1x軸駆動機構部650Aと第2x軸駆動機構部650Bとは、z軸に沿った方向において段違いとなるが、これは主には設計上の都合によるものであり、必ずしも段違いとする必要はない。なお、y軸用モーター611、第1x軸用モーター651及び第2x軸用モーター656はそれぞれサーボモーターを用いるものとする。
このように構成された水平駆動機構部600は、y軸駆動機構部610のy軸用モーター611を時計方向又は反時計方向に回転させることにより、y軸スライダー615をy軸に沿った方向に往復動させることができる。それによって、y軸スライダー615に固定されたz軸駆動機構部510をy軸に沿った方向に往復動させることができる。z軸駆動機構部510がy軸に沿った方向に往復動すると、第2クランパー装着部取り付けプレート420に取り付けられている第2クランパー装着部300もy軸に沿った方向に往復動する。
また、第1x軸駆動機構部650Aの第1x軸用モーター651及び第2x軸駆動機構部650Bの第2x軸用モーター656の両方を同じ回転方向でかつ同じ回転力で回転駆動させることにより、y軸駆動機構部610の載置台616全体をx軸に沿った方向に往復動させることができ、それによって、y軸スライダー615もx軸に沿った方向に往復動させることができる。y軸スライダー615がx軸に沿った方向に往復動すると、y軸スライダー615に固定されたz軸駆動機構部510をx軸に沿った方向に往復動させることができる。z軸駆動機構部510がx軸に沿った方向に往復動すると、第2クランパー装着部取り付けプレート420に取り付けられている第2クランパー装着部300もx軸に沿った方向に往復動する。
また、第1x軸駆動機構部650Aの第1x軸用モーター651及び第2x軸駆動機構部650Bの第2x軸用モーター656のうちの一方だけを駆動させることにより、y軸駆動機構部610の載置台616をxy平面上で回転させることができる。
例えば、第1x軸駆動機構部650Aの第1x軸用モーター651のみを駆動させて、第1x軸スライダー654を矢印x'方向(図5(a)参照。)に移動させたとすると、y軸駆動機構部610の載置台616は第2x軸駆動機構部650Bの第2載置台支持体660を中心として矢印d方向(図5(a)参照。)に回転する。また、第1x軸スライダー654を矢印x方向(図4(a)参照。)に移動させると、y軸駆動機構部610の載置台616は第2x軸駆動機構部650Bの第2載置台支持体660を中心として矢印d’方向(図5(a)参照。)に回転する。
なお、第2x軸駆動機構部650Bの第2x軸用モーター656のみを駆動させることによっても、y軸駆動機構部610の載置台616を矢印d又は矢印d'方向に回転させることができる。
z軸駆動機構部510が図4に示すような構成を有し、z軸駆動機構部510のz軸スライダー515に第2クランパー装着部取り付けプレート420が取り付けられていることによって、第2クランパー装着部取り付けプレート420は、z軸駆動機構部510によりz軸に沿った往復動が可能となる。また、第2クランパー装着部取り付けプレート420は、第1回転機構部530によって垂直面上(xz平面上)で時計方向(矢印c方向)又は反時計方向(矢印c’方向)に所定範囲内の任意の角度で回転(首振り)可能となる。
これにより、第2クランパー装着部取り付けプレート420に取り付けられている第2クランパー装着部300もz軸に沿った往復動が可能となるとともに、垂直面上(xz平面上)で時計方向又は反時計方向に所定範囲内の任意の角度で回転(首振り)可能となる。
また、y軸駆動機構部610及びx軸駆動機構部650が図5に示すような構成を有し、かつ、z軸駆動機構部510の台座部517がy軸駆動機構部610のy軸スライダー615に固定されていることによって、第2クランパー装着部取り付けプレート420に取り付けられている第2クランパー装着部300は、y軸駆動機構部610によりy軸に沿った往復動が可能となり、x軸駆動機構部650(第1x軸駆動機構部650A及び第2x軸駆動機構部650B)により、x軸に沿った往復動と水平面上(xy平面上)で時計方向(矢印d方向)又は反時計方向(矢印d'方向)への回転(首振り)が可能となる。
これによって、第2クランパー装着部300は、第1クランパー装着部200に対して高精度に位置調整することができ、第2クランパー装着部300の第2クランパー310にクランプされている第2部品を第1部品に対して高精度に位置調整することができる。
図6は、第2クランパー装着部300の位置調整を行った場合の第1部品W1及び第2部品W2の状態を模式的に示す図である。図6に示すように、第2クランパー装着部300を第1クランパー装着部200に対して高精度に位置調整することにより、第2クランパー装着部300側の第2クランパー310にクランプされている第2部品W2を、第1クランパー装着部200側の第1クランパー210にクランプされている第1部品W1に対して高精度に位置調整することができる。それによって、第1部品W1の溶接部P1と第2部品W2の溶接部P2とを高精度に突き合わせた状態とすることができる。
このように、第1部品W1及び第2部品W2の各溶接部P1,P2を高精度に突き合わせた状態とすることによって、各溶接部P1,P2を溶接ロボット700(図1参照。)によって溶接すれば、高精度で高品質な溶接が可能となる。なお、溶接ロボット700は公知のものであり、溶接に関する動作も公知であるので、溶接に関する説明は省略する。
なお、第1部品W1及び第2部品W2をそれぞれ種類Aの部品としたとき、当該種類Aとは異なる種類(例えば種類Bとする。)の一対の部品(例えば、第3部品及び第4部品とする。)を溶接する場合には、当該種類Bの部品に対応して用意された各クランパーを用いる。この場合、第1クランパー装着部200には、種類Bに対応した第1クランパーを装着し、第2クランパー装着部300には、種類Bに対応した第2クランパーを装着する。そして、これら各クランパーに第3部品及び第4部品をそれぞれクランプした状態で、第2クランパー装着部300を位置調整する。これにより、第3部品の溶接部と第4部品の溶接部とを高精度に突き合わせた状態とすることができる。
図7は、実施形態に係る溶接装置1000を制御するための制御装置50の構成を示す図である。制御装置50は、図7に示すように、制御部51と、記憶部(RAM:Random Access Memory)52と、部品の種類A,B,・・・に対応して設けられた動作プログラム53A,53B,・・・とを有している。
制御部51は、部品の種類に対応して選択された動作プログラムに基づいて、垂直駆動機構部500のz軸駆動機構部510(図4参照。)及び第1回転機構部530を駆動するための制御信号を出力する機能と、水平駆動機構部600(図5参照。)のy軸駆動機構部610及びx軸駆動機構部650を駆動するための制御信号を出力する機能と、溶接ロボット700を制御するための溶接ロボット制御信号を出力する機能とを有している。
z軸駆動機構部510を駆動するための制御信号は、具体的には、z軸用モーター511を駆動するための制御信号(z軸用モーター制御信号という。)である。第1回転機構部530を駆動するための制御信号は、第1回転用モーター531を駆動するための制御信号(第1回転用モーター制御信号という。)である。また、y軸駆動機構部610を駆動するための制御信号は、具体的には、y軸用モーター611を駆動するための制御信号(y軸用モーター制御信号という)であり、x軸駆動機構部650を駆動するための制御信号は、具体的には、第1x軸用モーター651を駆動するための制御信号(第1x軸用モーター制御信号という。)及び第2x軸用モーター656を駆動するための制御信号(第2x軸用モーター制御信号という。)である。
動作プログラム53A、53B,・・・は、操作パネル800上からユーザーが任意に選択することができる。具体的には、ユーザーが動作プログラム53A、53B,・・・のうちのいすれかの動作プログラムを選択すると、制御部51は、ユーザーによって選択された動作プログラムに基づいて、z軸駆動機構部510、第1回転用機構部530、y軸駆動機構部610及びx軸駆動機構部650をそれぞれ駆動するための制御信号(z軸用モーター制御信号、第1回転用モーター制御信号、y軸用モーター制御信号、第1x軸用モーター制御信号及び第2x軸用モーター制御信号)及び溶接ロボット制御信号を出力する。
例えば、制御部51からz軸用モーター制御信号が出力されると、z軸スライダー515はz軸に沿って上方向又は下方向に所定量だけ移動する。z軸スライダー515がz軸に沿って上方向又は下方向に所定量だけ移動することによって、第2クランパー装着部300もz軸に沿って上方向又は下方向に所定量だけ移動する。それによって、第2クランパー装着部300に装着されている第2クランパー310もz軸に沿って上方向又は下方向に所定量だけ移動し、当該第2クランパー310にクランプされている第2部品W2(図6参照。)もz軸に沿って上方向又は下方向に所定量だけ移動する。
また、制御部51から第1回転用モーター制御信号が出力されると、第2クランパー装着部300は垂直面上で時計方向又は反時計方向に所定角度だけ回転(首振り)を行う。それによって、第2クランパー装着部300に装着されている第2クランパー310も垂直面(xz平面)上で所定角度だけ回転した状態(首を振った状態)となり、当該第2クランパー310にクランプされている第2部品W2(図6参照。)も垂直面(xz平面)上で所定角度だけ回転した状態(首を振った状態)となる。
また、制御部51からy軸用モーター制御信号が出力されると、y軸スライダー615がy軸に沿って前方向又は後方向に所定量だけ移動する。y軸スライダー615がy軸に沿って前方向又は後方向に所定量だけ移動することによって第2クランパー装着部300もy軸に沿って前方向又は後方向に所定量だけ移動する。それによって、第2クランパー装着部300に装着されている第2クランパー310もy軸に沿って前方向又は後方向に所定量だけ移動し、当該第2クランパー310にクランプされている第2部品W2(図6参照。)もy軸に沿って前方向又は後方向に移動する。
また、制御部51から第1x軸用モーター651及び第2x軸用モーター656を同じ回転力で同じ方向に同時に回転させる制御信号(第1x軸用モーター制御信号及び第2x軸用モーター制御信号)が出力されると、y軸駆動機構部610の載置台616はx軸に沿って左方向又は右方向に所定量だけ移動する。y軸駆動機構部610の載置台616がx軸に沿って左方向又は右方向に所定量だけ移動することによって、第2クランパー装着部300もx軸に沿って左方向又は右方向に所定量だけ移動動する。それによって、第2クランパー装着部300に装着されている第2クランパー310もx軸に沿って左方向又は右方向に所定量だけ移動し、当該第2クランパー310にクランプされている第2部品W2(図6参照。)もx軸に沿って左方向又は右方向に移動する。
また、制御部51から第1x軸用モーター651及び第2x軸用モーター656のうち一方(第1x軸用モーター651とする。)のみを正回転又は逆回転させるための制御信号(第1x軸用モーター制御信号)が出力されると、y軸駆動機構部610の載置台616を載置台支持体660を中心にして水平面(xy平面)上で所定の回転角度だけ回転(首振り)させることができる。
y軸駆動機構部610の載置台616が載置台支持体660を中心にして水平面(xy平面)上で所定の回転角度だけ回転すると、第2クランパー装着部300も水平面(xy平面)上で所定の回転角度だけ回転する。それによって、第2クランパー装着部300に装着されている第2クランパーも水平面(xy平面)上で所定角度だけ首を振った状態となり、当該第2クランパーにクランプされている第2部品W2(図6参照。)も水平面(xy平面)で所定角度だけ首を振った状態となる。
なお、上記した動作を行わせるための駆動源としてのモーター(z軸用モーター511、第1回転用モーター531、y軸用モーター611、第1x軸用モーター651、第2x軸用モーター656)は、それぞれサーボモーターが用いられている。このため、きめ細かな制御が可能となり、第2クランパー装着部300を第1クランパー装着部200に対して高精度に位置調整することができる。これによって、第2クランパー装着部300側の第2クランパー310にクランプされている第2部品W2を、第1クランパー装着部200側の第1クランパー210にクランプされている第1部品W1に対して高精度に位置調整することができる。
また、実際の溶接を開始する前の段階において、まずは、「試しの溶接」を行い、溶接部分の角度や溶接位置などを計測し、設定値に対する誤差の大きさが許容値を超える場合には、誤差が許容範囲に収まるような補正値を与えることも可能である。
この場合、制御部51は入力された補正値に基づいて、z軸駆動機構部510、第1回転機構部530及びy軸駆動機構部610及びx軸駆動機構部650のうちの補正対象となる駆動機構部を制御する。このような補正は、実際の溶接を開始する前の段階だけでなく、実際の溶接を開始して所定数の溶接作業が終了した時点において行うことも可能である。
以上説明したように、実施形態に係る溶接装置1000によれば、それぞれの種類に対応するクランパーを用い、かつ、それぞれの種類に対応して作成されている動作プログラムを用いて、高精度に位置調整を行ったのちに溶接作業を行うようにしているため、溶接された部品(溶接済み部品という。)は、それぞれの溶接部が高精度に溶接されたものとなり、高品質な製品を製造することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記に示すような変形実施も可能となる。
(1)上記実施形態では、第2クランパー装着部300を水平面上で所定の回転角度だけ回転(首振り)させるための機構としては、x軸駆動機構部650に2つのモーター(第1x軸用モーター651及び第2x軸用モーター656)を設け、これらのモーターの少なくとも一方を駆動することによって第2クランパー装着部300を水平面上で所定の回転角度だけ回転(首振り)させる機構としたが、これに限られるものではない。例えば、x軸駆動機構部650は、第2クランパー装着部300を単にx軸方向に往復動させる機構とし、x軸駆動機構部650とは別に、第2クランパー装着部300を水平面上で所定の回転角度だけ回転(首振り)させるための機構としての回転機構部(第2回転機構部とする。)を設けるようにしてもよい。
すなわち、水平駆動機構部600は、第2クランパー装着部300をy軸に沿った方向に往復動可能とするy軸駆動機構部610と、第2クランパー装着部300をx軸に沿った方向に往復動可能とするx軸駆動機構部650と、第2クランパー装着部300を水平面上で所定の回転角度だけ回転(首振り)させるための第2回転機構部とを有する構成とする。この場合、y軸駆動機構部610は、図4に示す構成と同様の構成でよく、x軸駆動機構部650は、図示を省略するが、y軸駆動機構部610をx軸方向に往復動可能とする機構とすればよい。また、第2回転機構部も図示は省略するが、専用のモーター(サーボモーターとする。)を用いて第2クランパー装着部300を水平面上で所定の角度だけ首振り可能とする機構とすればよい。
なお、この場合、制御部51には、第2回転機構部を制御するための機能を設けるようにする。これにより、第2クランパー装着部300を水平面上において所定の回転角度だけ自在に回転(首振り)させることが可能となる。
(2)本発明の溶接装置は、部品の種類ごとのクランパー(第1クランパー210及び第2クランパー310)が当該溶接装置の付属部品として備えられた状態で出荷されるものであってもよく、また、クランパーは別部品の扱いとして、溶接装置のみを出荷するようにしてもよい。なお、クランパーを別部品の扱いとした場合、本発明の溶接装置のクランパー装着部(第1クランパー装着部200及び第2クランパー装着部300)に装着可能なクランパーを部品の種類ごとに用意すればよい。