JP5815175B2 - マスタシリンダおよびこれを用いたブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は、2系統のブレーキシステム等の2系統の液圧システムに用いられて、プライマリピストンおよびセカンダリピストンにより各系統にそれぞれ液圧を発生するマスタシリンダの技術分野、およびこれを用いたブレーキシステムの技術分野に関するものである。
従来、自動車等の車両のブレーキシステムには2系統の液圧ブレーキシステムが多く提案されている。この2系統の液圧ブレーキシステムには、プライマリピストンおよびセカンダリピストンにより各系統にそれぞれブレーキ液圧を発生するタンデムマスタシリンダが多く用いられている(例えば、特許文献1参照)。
図14は、特許文献1に記載のマスタシリンダを示す縦断面図である。以下の従来例および本発明の実施の形態の各例の説明において、前、後はそれぞれ説明に対応する図で左、右に対応している。その場合、前進方向はピストンの作動方向を示し、また後退方向はピストンの非作動方向を示す。
図14中、1はタンデムマスタシリンダ、2はシリンダ本体、3はプライマリピストン、4はセカンダリピストン、5はプライマリ液圧室、6はセカンダリ液圧室、7はプライマリリターンスプリング、8はセカンダリリターンスプリング、9〜12はカップシール、13は第1ブレーキ液給排孔、14は第2ブレーキ液給排孔、15は第1リザーバタンク接続孔、16は第2リザーバタンク接続孔、17は第1出力口、18は第2出力口、および19はリザーバタンクである。
タンデムマスタシリンダ1の非作動状態では、シリンダ本体2のシリンダ孔内に摺動可能に挿入されたプライマリピストン3およびセカンダリピストン4は図14に示す後退限位置とされる。プライマリピストン3の後退限位置では、第1ブレーキ給排孔13の一部がカップシール10のインナーリップの前端部より後方に位置する。このときは、プライマリ液圧室5が第1ブレーキ給排孔13および第1リザーバタンク接続孔15を介してリザーバタンク19内に連通する。また、セカンダリピストン4の後退限位置では、第2ブレーキ給排孔14の一部がカップシール12のインナーリップの前端部より後方に位置する。このときは、セカンダリ液圧室6が第2ブレーキ給排孔14および第2リザーバタンク接続孔16を介してリザーバタンク19内に連通する。したがって、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6には液圧が発生していない。
ブレーキペダル(不図示)の踏み込みによるブレーキ操作で倍力装置(不図示)が作動する。すると、倍力装置の出力でプライマリピストン3が前進し、第1ブレーキ給排孔13がカップシール10のインナーリップの前端部より前方に移動する。また、プライマリピストン3の前進でセカンダリピストン4が前進し、第2ブレーキ給排孔14がカップシール12のインナーリップの前端部より前方に移動する。これにより、第1ブレーキ給排孔13と第1リザーバタンク接続孔15とが遮断されて、プライマリ液圧室5がリザーバタンク19から遮断される。また、第2ブレーキ給排孔14と第2リザーバタンク接続孔16とが遮断されて、セカンダリ液圧室6がリザーバタンク19から遮断される。
プライマリピストン3およびセカンダリピストン4が前進してブレーキ系のロスストロークが消滅すると、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6に液圧が発生する。そして、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6の液圧は、それぞれ第1出力口17
および第2出力口18を通して図示しないホイールシリンダ等のブレーキシリンダに供給される。これにより、ブレーキシリンダがブレーキ力を発生し、車輪にブレーキがかけられる。
ブレーキペダルが解放されると、倍力装置が非作動となり倍力装置の出力が消滅する。すると、セカンダリリターンスプリング8でセカンダリピストン4が後退するとともにセカンダリリターンスプリング8およびプライマリリターンスプリング7でプライマリピストン3が後退する。第1ブレーキ給排孔13の一部がカップシール10のインナーリップの前端部より後方に位置すると、プライマリ液圧室5が前述と同様にリザーバタンク19内に連通する。また、第2ブレーキ給排孔14の一部がカップシール12のインナーリップの前端部より後方に位置すると、セカンダリ液圧室6が前述と同様にリザーバタンク19内に連通する。すると、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6のブレーキ液がリザーバタンク19内に排出される。ブレーキ力が小さくなる。そして、最終的にタンデムマスタシリンダ1が図14に示す非作動状態となる。したがって、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6の液圧が消滅するとともに、ブレーキシリンダによるブレーキ力も消滅してブレーキが解除される。
特開2009−40346号公報。
ところで、このような特許文献1に記載のタンデムマスタシリンダ1では、プライマリピストン3の必要なストロークを確保する必要があるとともにプライマリ液圧室5を設ける必要があるために、一般に、プライマリピストン3は、ブレーキ液(本発明の作動液に相当)を貯留するリザーバタンク19が取り付けられるボス部20の位置に対して後方に配置されている。このため、リザーバタンク19とプライマリ液圧室5とを連通するための第1リザーバタンク接続孔15がシリンダ本体2に、プライマリピストン3の移動方向に長く延設される。そして、プライマリピストン3移動方向の第1リザーバタンク接続孔15の部分(軸方向孔)は、シリンダ本体2の後端部でボール21を第1リザーバタンク接続孔15のこの軸方向孔に圧入することで液密に閉塞されている。
しかしながら、このように第1リザーバタンク接続孔15の軸方向孔がシリンダ本体2にプライマリピストン3の移動方向に長く延設されると、第1リザーバタンク接続孔15の加工が面倒になるとともに、ボール21の圧入作業が必要となる。しかも、第1リザーバタンク接続孔15の軸方向孔の径とボール21の径との寸法管理が必要となる。また、ボール21を用いることで部品点数が多いばかりでなく、ボール21の圧入作業により作業工数が多くなり、更には、ボール21の精度の高い圧入管理が求められる。したがって、タンデムマスタシリンダ1のコストが高くなるという問題がある。
更に、プライマリピストン3に設けられた第1ブレーキ給排孔13とカップシール10のインナーリップとが摩擦摺動するとともに、セカンダリピストン4に設けられた第2ブレーキ給排孔14とカップシール12のインナーリップとが摩擦摺動するため、2つのカップシール10,12がダメージを受け易いという問題がある。しかも、2つのカップシ
ール9,10に対して液密に摺動するプライマリピストン3の外周面の表面仕上げおよび
2つのカップシール11,12に対して液密に摺動するセカンダリピストン4の外周面の
表面仕上げを、良好なシール性を確保するために高精度に行う必要がある。このため、プライマリピストン3およびセカンダリピストン4の加工が面倒になり、その分コストが高くなってしまう。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、高精度の寸法管理を必要とすることなく加工を簡単にできるとともに作業工数を削減でき、しかも安価に形成できるマスタシリンダ、およびこのマスタシリンダを用いたブレーキシステムを提供することである。
前述の課題を解決するために、本発明に係るマスタシリンダは、シリンダ孔、第1および第2ブレーキ液供給口嵌入穴、前記シリンダ孔の内部と前記第1ブレーキ液供給口嵌入穴とを直接連通する直線状の第1連通孔、および前記シリンダ孔の内部と前記第2ブレーキ液供給口嵌入穴とを直接連通する直線状の第2連通孔を有するシリンダ本体と、前記シリンダ本体のシリンダ孔に摺動可能に挿入されて、作動時にプライマリ液圧室に液圧を発生するプライマリピストンと、前記シリンダ本体のシリンダ孔に摺動可能に挿入されて、作動時にセカンダリ液圧室に液圧を発生するセカンダリピストンと、作動液を貯留するとともに、前記第1ブレーキ液供給口嵌入穴に嵌入されて前記プライマリ液圧室に前記作動液を供給するための第1ブレーキ液供給口および前記第2ブレーキ液供給口嵌入穴に嵌入されて前記セカンダリ液圧室に前記作動液を供給するための第2ブレーキ液供給口を有するリザーバタンクと、前記第1連通孔に配設された第1開閉弁と、前記セカンダリピストンに設けられて、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第1開閉弁を開いて前記プライマリ液圧室と前記リザーバとを前記第1ブレーキ液供給口および前記第1連通孔を介して連通するとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第1開閉弁を閉じて前記プライマリ液圧室と前記リザーバとを遮断する第1開閉弁制御部とを少なくとも備え、前記プライマリピストンの作動時に前記セカンダリピストンが作動して前記第1開閉弁制御部が前記第1開閉弁を閉じることで前記プライマリピストンが前記プライマリ液圧室に液圧を発生するとともに、前記セカンダリピストンが作動することで前記セカンダリ液圧室に液圧を発生することを特徴としている。
また、本発明に係るマスタシリンダは、前記第2連通孔に配設された第2開閉弁と、前記セカンダリピストンに設けられて、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第2開閉弁を開いて前記セカンダリ液圧室と前記リザーバとを前記第2ブレーキ液供給口および前記第2連通孔をを介して連通するとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第2開閉弁を閉じて前記セカンダリ液圧室と前記リザーバとを遮断する第2開閉弁制御部とを備え、前記セカンダリピストンの作動時に前記第2開閉弁制御部が前記第2開閉弁を閉じることで前記セカンダリピストンが前記セカンダリ液圧室に液圧を発生することを特徴としている。
更に、本発明に係るマスタシリンダは、前記第1開閉弁が、前記第1連通孔に前記第1連通孔の長手方向に移動可能に設けられた第1弁体と、前記第1連通孔に前記第1弁体が着離座可能に配設された第1弁座と、前記第1弁体を前記第1弁座から離座する方向に常時付勢する第1リターンスプリングとを有し、前記第1開閉弁制御部は、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第1弁体を前記第1弁座から離座した位置に設定することで前記第1開閉弁を開くとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第1弁体を前記第1リターンスプリングの付勢力に抗して押圧することで前記第1弁座に着座した位置に設定することで前記第1開閉弁を閉じ、前記第2開閉弁が、前記第2連通孔に前記第2連通孔の長手方向に移動可能に設けられた第2弁体と、前記第2連通孔に前記第2弁体が着離座可能に配設された第2弁座と、前記第2弁体を前記第2弁座から離座する方向に常時付勢する第2リターンスプリングとを有し、前記第2開閉弁制御部は、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第2弁体を前記第2弁座から離座した位置に設定することで前記第2開閉弁を開くとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第2弁体を前記第2リターンスプリングの付勢力に抗して押圧することで前記第2弁座に着座した位置に設定す
ることで前記第2開閉弁を閉じることを特徴としている。
更に、本発明に係るマスタシリンダは、前記第1開閉弁制御部が、前記セカンダリピストンに前記セカンダリピストンの円周方向に延設された第1凹溝を有し、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第1弁体は前記第1凹溝に位置して前記第1開閉弁を開くとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第1弁体は前記セカンダリピストンの前記第1凹溝を除く外周面に位置して前記第1開閉弁を閉じ、前記第2開閉弁制御部が、前記セカンダリピストンに前記セカンダリピストンの円周方向に延設された第2凹溝を有し、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第2弁体は前記第2凹溝に位置して前記第2開閉弁を開くとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第2弁体は前記セカンダリピストンの前記第2凹溝を除く外周面に位置して前記第2開閉弁を閉じることを特徴としている。
更に、本発明に係るマスタシリンダは、前記第1開閉弁制御部により作動されて前記第1弁体を開閉制御する第1弁制御部材を有するとともに、前記第2開閉弁制御部により作動されて前記第2弁体を開閉制御する第2弁制御部材を有し、前記第1弁制御部材が、前記第1凹溝および前記セカンダリピストンの外周面に当接する部分球状の第1支持突部を有し、前記第2弁制御部材が、前記第2凹溝および前記セカンダリピストンの外周面に当接する部分球状の第2支持突部を有することを特徴としている。
更に、本発明に係るマスタシリンダは、前記第1弁制御部材が、前記第1凹溝内に進入可能な第1ガイド部を有し、前記第2弁制御部材が、前記第2凹溝内に進入可能な第2ガイド部を有することを特徴としている。
一方、本発明に係るブレーキシステムは、ブレーキ操作部材と、前記ブレーキ操作部材の操作により作動してブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダの液圧により発生するブレーキ力によりブレーキを作動するブレーキシリンダとを備えるブレーキシステムにおいて、前記マスタシリンダが、前述の本発明のいずれか1つのマスタシリンダであることを特徴としている。
このように構成された本発明に係るマスタシリンダによれば、プライマリ液圧室とリザーバタンクとを連通、遮断する第1開閉弁を開閉制御する第1開閉弁制御部がセカンダピストンに設けられる。これにより、リザーバタンクの第1ブレーキ液供給口が嵌入される第1ブレーキ液供給口嵌入穴とシリンダ孔の内部とが直線状の第1連通孔により直接連通させることが可能となる。すなわち、リザーバタンクとプライマリ液圧室とが第1ブレーキ液供給口、第1ブレーキ液供給口嵌入穴、および直線状の第1連通孔を介して連通される。したがって、図14に示す従来の第1リザーバタンク接続孔の軸方向孔を設けなくても済ませることができる。その結果、第1リザーバタンク接続孔の加工作業が簡単になり、作業工数や工具コストを削減することが可能となる。
また、従来の第1リザーバタンク接続孔の軸方向孔が不要となることから、第1リザーバタンク接続孔を塞ぐ従来のボールが不要になるとともに、ボールの圧入作業を不要にできる。したがって、これによっても作業工数および部品点数を削減することができる。しかも、図14に示す従来のような第1リザーバタンク接続孔15の軸方向孔の径とボール21の径との寸法管理が不要となるとともに、ボール21の圧入管理も不要にできる。したがって、マスタシリンダのコストを低減することが可能となる。
更に、図14に示す従来のプラマリ液圧室とリザーバタンクとの連通、遮断を制御するシールおよびセカンダリ液圧室とリザーバタンクとの連通、遮断を制御するシールが設け
られないので、プライマリピストンおよびセカンダリピストンにそれぞれ設けられた第1および第2ブレーキ給排孔とシールとの摩擦摺動をなくすことができる。これにより、これらのシールの摩耗等のダメージの問題を解消することができ、マスタシリンダの作動時におけるプライマリ液圧室およびセカンダリ液圧室の各液密性を良好に保持することが可能となる。しかも、これらのシールが配設される溝およびその溝加工がいずれも不要となるので、その分作業工数を削減でき、マスタシリンダのコストを一層効果的に低減することが可能となる。
更に、シリンダ孔の内周面とプライマリピストンの外周面とのシールはプライマリ液圧室とシリンダ孔の外部とを液密に保持するシールだけを設ければ済むとともに、シリンダ孔の内周面とセカンダリピストンの外周面とのシールはプライマリ液圧室とセカンダリ液圧室とを液密に保持するシールだけを設ければ済むようになる。したがって、各ピストンの表面仕上げを行うにあたり、各シールに対するプライマリピストンの摺動部およびセカンダリピストンの摺動部の各外周面の表面仕上げを従来と同様に高精度に行えばよいので、各ピストンの高精度の表面仕上げを必要とする個所の長さが従来に比して短くて済むようになる。これにより、プライマリピストンおよびセカンダリピストンの加工が簡単になり、その分コストを低減することができる。
こうして、高精度の寸法管理を必要とすることなく、ピストンの加工を簡単にできるとともに作業工数を削減でき、しかも安価に形成できるマスタシリンダを実現することが可能となる。
一方、本発明に係るブレーキシステムによれば、前述の本発明のマスタシリンダを用いているので、プライマリ液圧室およびセカンダリ液圧室の各液密性を良好に保持することができることから、ブレーキをより確実に作動することができ、ブレーキ作動の信頼性を向上することが可能となる。しかも、安価に製造できる本発明のマスタシリンダを用いることで、本発明のブレーキシステム自体のコストも低減することができる。
本発明に係るマスタシリンダの実施形態の第1例を用いたブレーキシステムを模式的に示す図である。 この第1例のタンデムマスタシリンダを示す縦断面図である。 (A)は第1例の第1および第2開閉弁とセカンダリピストンとの関係を示す図、(B)は(A)におけるIIIB−IIIB線に沿う断面図である。 (A)は第1例の第1および第2連通孔を示す部分拡大断面図、(B)は(A)におけるIVB方向から見た部分図である。 (A)は第1例の弁体の正面図、(B)は上面図、(C)は(A)におけるVC−VC線に沿う断面図である。 (A)ないし(E)は、第1例の第1および第2開閉弁の作用を説明する図である。 本発明のタンデムマスタシリンダの実施の形態の第2例を部分的に示す、図3(B)の一部と同様の図である。 本発明のタンデムマスタシリンダの実施の形態の第3例を部分的に示し、(A)は弁体の正面図、(B)は弁体の上面図、(C)は(B)におけるVIIIC−VIIIC線に沿う断面図である。 (A)は第3例の弁部の正面図、(B)は上面図、(C)は(B)におけるIXC−IXC線に沿う断面図、(D)は第3例の軸部の正面図、(E)は(D)におけるIXE−IXE線に沿う断面図である。 (A)および(B)はそれぞれ第3例における弁制御部を示す、図3(A)および(B)と同様の図である(なお、図10(B)は(A)におけるXB−XB線に沿う断面図である。)。 本発明のタンデムマスタシリンダの実施の形態の第4例を部分的に示し、(A)は第4例の弁制御部材の正面図、(B)は弁制御部材の上面図、(C)は(A)におけるXIC−VIC線に沿う断面図である。 (A)および(B)はそれぞれ第4例における弁制御部を示す、図3(A)および(B)と同様の図である。 図2に示すマスタシリンダの変形例を示す、図2と同様の縦断面図である。 特許文献1に記載のマスタシリンダを示す縦断面図である。
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明に係るマスタシリンダの実施形態の第1例を用いたブレーキシステムを模式的に示す図である。なお、前述の従来例の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、それらの詳細な説明は省略する。
図1に示すように、この第1例のブレーキシステム22は2系統のブレーキシステムであり、ブレーキペダル23、負圧倍力装置等の倍力装置24、タンデムマスタシリンダ1、リザーバタンク19、ホイールシリンダ等のブレーキシリンダ25,26,27,28を
備えている。
図2に示すように、この第1例のタンデムマスタシリンダ1は、その作動時にプライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6をリザーバタンク19に対して液密にシールする前述の図14に示す従来例のカップシール10,11,12を備えていない。また、このタンデムマスタシリンダ1は、シリンダ本体2に配設されてプライマリ液圧室5とセカンダリ液圧室6との間を液密にシールするカップシール29を備えている。このカップシール29はXシールであり、プライマリ液圧室5とセカンダリ液圧室6との間を双方向に液密にシールする。そして、セカンダリピストン4がカップシール29を液密にかつ摺動可能に貫通している。すなわち、1本のセカンダリピストン4側に配設された1つのカップシール29により、プライマリ液圧室5とセカンダリ液圧室6とが液密に区画形成されている。
プライマリピストン3は円筒状に形成されて、カップシール9を液密にかつ摺動可能に貫通している。このプライマリピストン3には、図14に示す従来例の第1ブレーキ液給排孔13は設けられていない。一方、セカンダリピストン4は円筒状に形成されて、カップシール29を液密にかつ摺動可能に貫通している。このセカンダリピストン4には、従来例の第2ブレーキ液給排孔14は設けられていない。
更に、セカンダリピストン4の外周面4aの後端部側には第1弁制御部30(本発明の第1開閉弁制御部に相当)が設けられているとともに、セカンダリピストン4の外周面4aの前端部側には第2弁制御部31(本発明の第2開閉弁制御部に相当)が設けられている。その場合、セカンダリピストン4のカップシール29に対する摺動部が第1および第2弁制御部30,31の間に位置している。
図3(A)に示すようにこれらの第1および第2弁制御部30,31はそれぞれ同じ形
状でかつ同じ大きさに形成されている。その場合、第1および第2弁制御部30,31は
それぞれセカンダリピストン4の円周方向に延設された所定長さの円弧状の第1および第2凹溝で形成されている。また、図3(B)に示すように第1および第2弁制御部30,
31は、セカンダリピストン4の前後方向の凹溝の両側壁30a,30b;31a,31b
が互いに逆方向に傾斜した傾斜面とされているとともに、後方側の側壁30a,31aが
それぞれ第1および第2弁体制御カム面30a,31a(側壁30a,31aの面と同じで
あるので同じ符号を用いる)とされている。更に、第1および第2弁制御部30,31の
両側壁30a,30b;31a,31bの間の底面は第1および第2弁制御部材支持面30
c,31cとされている。これらの第1および第2弁制御部30,31の円弧は、セカンダリピストン4の外周面4aの円周方向の円と同心円とされている。なお、第1および第2弁制御部30,31は、セカンダリピストン4の外周面4aに円周方向に全周にわたって
円環状に設けることもできる。
図2に示すように、シリンダ本体2には、リザーバタンク19の第1および第2ブレーキ液供給口19a,19bがそれぞれ嵌入される第1および第2ブレーキ液供給口嵌入穴
2b,2cが配設されている。また、図2および図3に示すように、シリンダ本体2には
、これらの第1および第2ブレーキ液供給口嵌入穴2b,2cとシリンダ孔2aの内部と
をそれぞれ直接連通する第1および第2連通孔32,33が設けられている。これらの第
1および第2連通孔32,33は、ともに同じ形状で同じ大きさに形成されている。すな
わち、図4(A)および(B)に示すように、第1および第2連通孔32,33は、それ
ぞれシリンダ孔2a側が横断面矩形状の第1および第2溝32a,33aとされるととも
にシリンダ本体2の外部側が第1および第2溝32a,33aの幅(シリンダ孔2aの延
設方向の幅)より小さい径の横断面円形状の第1および第2孔32b,33bとされた第
1および第2段部32c,33cを有する直線状の連通孔として形成されている。第1お
よび第2段部32c,33cの各表面は、シリンダ本体2のシリンダ孔2aの長手方向と
直交する方向に円弧状に形成されている。その場合、第1および第2段部32c,33c
の各表面の円弧の径は、いずれもシリンダ孔2aの径と同じに設定されている。つまり、第1および第2段部32c,33cの円弧を形成する円は、それぞれシリンダ孔2aを形
成する円と同じでかつ第1および第2連通孔32,33に向かって所定量偏心した円とさ
れている。
そして、図2および図3に示すように第1および第2連通孔32,33の第1および第
2孔32b,33bは、それぞれ第1および第2ブレーキ液供給口嵌入穴2b,2cと、第1および第2ブレーキ液供給口19a,19bとを介してリザーバタンク19内に常時連
通している。
セカンダリピストン4の前端部および後端部の各外径はシリンダ孔2aの内径より所定値だけ小さく設定されている。これにより、セカンダリピストン4の後端部の外周面4aとシリンダ孔2aの内周面との間に、プライマリ液圧室5と第1連通孔32の第1溝32aとを常時連通する第1ブレーキ液給排通路36が形成されているとともに、セカンダリピストン4の前端部の外周面4aとシリンダ孔2aの内周面との間に、セカンダリ液圧室6と第2連通孔33の第2溝33aとを常時連通する第2ブレーキ液給排通路37が形成されている。
図2、図3(A)および(B)に示すように、第1および第2連通孔32,33には、
それぞれ第1および第2開閉弁34,35が設けられている。これらの第1および第2開
閉弁34,35は、ともに同じ開閉弁で形成されている。第1および第2開閉弁34,35は、それぞれ、第1および第2弁体34a,35a、第1および第2弁座34b,35b、および全体形状が円筒状の第1および第2リターンスプリング34c,35cを有してい
る。なお、第1および第2リターンスプリング34c,35cは、その全体形状が截頭円
錐台形状に形成することもできる。
図5(A)ないし(C)に示すように、第1および第2弁体34a,35aは、それぞ
れ第1および第2連通孔32,33の長手方向に移動可能に設けられる。これらの第1お
よび第2弁体34a,35aは、従来のブレーキ液回路に一般的に用いられている弁体と
同じ材料(ゴム、樹脂、金属等)で形成されている(図示例では、第1および第2弁体3
4a,35aは硬質ゴムで形成されている。)。第1および第2弁体34a,35aは、いずれも中心に位置する円柱状の第1および第2軸部34j,35jと、これらの第1およ
び第2軸部34j,35jにそれぞれ一体に形成された矩形状の第1および第2弁部34
k,35kとを有する。その場合、第1および第2弁部34k,35kの各上面は、いずれも円弧状に形成された第1および第2弁面34m,35mとされている。また、第1およ
び第2弁面34m,35mの円弧の径は第1および第2段部32c,33cの円弧の径と同じに形成されている。そして、第1および第2弁体34a,35aはそれぞれ対応する第
1および第2溝32a,33a内に、第1および第2弁面34m,35mの円弧面が第1および第2段部32c,33cの円弧面と一致する方向にかつ第1および第2弁面34m,35mが第1および第2段部32c,33cの各表面に当接可能に配設される。
図2,図3(A)および(B)に示すように第1および第2弁体34a,35aの第1
および第2軸部34j,35jの各外径は、いずれも第1および第2孔32b,33bの内径より小さく設定されていて第1および第2軸部34j,35jがそれぞれ第1および第
2孔32b,33b内に位置するとき、第1および第2軸部34j,35jの外周面と第1および第2孔32b,33bの内周面との間に所定の間隙が形成される。したがって、第
1および第2軸部34j,35jがそれぞれ第1および第2孔32b,33b内に位置しても、ブレーキ液はこれらの間隙を通して自由に流動可能となっている。また、第1および第2弁部34k,35kの外周形状の大きさは、第1および第2弁部34k,35kが第1および第2溝32a,33a内に位置するとき、第1および第2弁部34k,35kの外周面と、第1および第2弁部34k,35kの外周面に対向する第1および第2溝32a,33aの内周面との間に所定の間隙が形成される大きさに設定されている。したがって、第1および第2弁部34k,35kがそれぞれ第1および第2溝32a,33a内に位置しても、ブレーキ液はこれらの間隙を通して自由に流動可能となっている。
第1および第2弁面34m,35mの円弧面が第1および第2段部32c,33cの各表面に当接するときは、第1および第2溝32a,33aと第1および第2孔32b,33bとの間が遮断され、また、第1および第2弁面34m,35mの円弧面が第1および第2
段部32c,33cの各表面から離間するときは、第1および第2溝32a,33aと第1および第2孔32b,33bとの間が連通される。その場合、図4に網目模様で示すよう
に第1および第2弁面34m,35mの円弧面が第1および第2段部32c,33cの各表面に当接する第1および第2段部32c,33cの領域γにより、それぞれ第1および第
2弁座34b,35bが構成されている。したがって、第1および第2弁部34k,35kがそれぞれ第1および第2弁座34b,35bに着座するときは、第1および第2溝32
a,33aと第1および第2孔32b,33bとの間(つまり、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6とリザーバタンク19との間)が遮断され、また、第1および第2弁部34k,35kがそれぞれ第1および第2弁座34b,35bから離座するときは、第1および第2溝32a,33aと小径の第1および第2孔32b,33bとの間(つまり、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6とリザーバタンク19との間)が連通される。
図2、図3(A)および(B)に示すように、セカンダリピストン4と第1および第2開閉弁34,35との間には、それぞれ第1および第2弁制御部材38,39が配設されている。これらの第1および第2弁制御部材38,39は互いに同じに形成され、それらの
硬さが金属製のセカンダリピストン4より軟らかい材料(ゴム、樹脂、金属等)から球状に形成されている(図示例では、第1および第2弁体34a,35aは硬質ゴムから球状
に形成されている)。そして、第1および第2弁制御部材38,39はそれらの全体が第
1および第2溝32a,33a内に進入可能となっている。その場合、第1および第2弁
制御部材38,39の外周形状の大きさは、第1および第2弁制御部材38,39が第1および第2溝32a,33a内に位置するとき、第1および第2弁制御部材38,39の外周
面と、第1および第2弁制御部材38,39の外周面に対向する第1および第2溝32a,33aの内周面との間に所定の間隙が形成される。したがって、第1および第2弁制御部材38,39がそれぞれ第1および第2溝32a,33a内に位置しても、ブレーキ液はこれらの間隙を通して自由に流動可能となっている。
図3(A)および(B)に示すように、第1および第2開閉弁34,35と第1および
第2弁制御部材38,39とが組み付けられた状態では、第1および第2弁制御部材38,39はそれぞれ第1および第2リターンスプリング34c,35cに当接される。また、
セカンダリピストン4の非作動時には、第1および第2弁制御部材38,39がそれぞれ
第1および第2弁制御部30,31の第1および第2弁制御部材支持面30c,31cに当接される。このとき、第1および第2弁体34a,35aの第1および第2軸部34j,35jの一部がそれぞれ第1および第2孔32b,33b内に進入するようになっている。
そして、この状態では、第1および第2弁体34a,35a、第1および第2リターンス
プリング34c,35c、および第1および第2弁制御部材38,39は、一直線状に配設される。しかも、第1および第2リターンスプリング34c,35cはそれぞれ第1およ
び第2弁体34a,35aの自重で所定量圧縮されており、第1および第2弁体34a,35aは第1および第2弁座34b,35bから所定量離間している。また、第1および第
2弁体34a,35aは、第1および第2弁制御部材38,39から所定量離間している。
その場合、第1および第2弁体34a,35aの第1および第2弁座34b,35bからの離間量a、第1および第2弁体34a,35aの第1および第2弁制御部材38,39からの離間量b、および第1および第2弁制御部30,31の各凹溝の深さcは、c<a+
bでかつc>aとなるように設定されている。このように、各離間量a,b、および深さ
cが設定されることで、セカンダリピストン4の非作動時には第1および第2開閉弁30,31が確実に開くとともに、セカンダリピストン4の作動時には第1および第2開閉弁
30,31が確実に閉じ、更にセカンダリピストン4の作動状態から非作動に戻るときに
はプライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6内が負圧になってリザーバタンク19のブレーキ液による第1および第2弁体34a,35aの押圧力が第1および第2リターン
スプリング34c,35cの反発力より大きくなると第1および第2開閉弁30,31が確実に開くようになる。
次に、このように構成されたタンデムマスタシリンダ1を用いたブレーキシステム22の作用について説明する。
ブレーキペダル23が解放されたブレーキシステム22の非作動状態では、倍力装置24およびタンデムマスタシリンダ1は図2に示す非作動状態となっている。そして、タンデムマスタシリンダ1の非作動状態では、図6(A)に示すように、第1開閉弁34の第1弁体34aがセカンダリピストン4の第1弁制御部30に位置するとともに、第2開閉弁35の第2弁体35aがセカンダリピストン4の第2弁制御部32に位置する。つまり、第1および第2弁制御部材38,39が第1および第2弁制御部30,31の第1および第2弁制御部材支持面30c,31cに当接した位置となっている。したがって、前述の
ように第1および第2開閉弁34,35が開いており、プライマリ液圧室5およびセカン
ダリ液圧室6はいずれもリザーバタンク19内に連通している。すなわち、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6内には、ブレーキ液圧が発生していなく、大気圧となっている。これにより、各ブレーキシリンダ25,26,27,28は非作動状態となってい
て、各車輪29,30,31,32にはブレーキがかけられていない。
ブレーキペダル23が踏み込まれることで前述の従来例と同様に倍力装置24が作動する。そして、倍力装置24の出力でタンデムマスタシリンダ1のプライマリピストン3が前進するとともに、セカンダリピストン4が前進する。セカンダリピストン4の前進により、図6(B)に示すように第1および第2弁制御部材38,39の第1および第2弁制
御部30,31との当接位置が第1および第2弁制御部材支持面30c,31cから第1および第2弁体制御カム面30a,31aに移行する。これにより、セカンダリピストン4
の前進にしたがって、第1および第2弁制御部材38,39が図6(B)に矢印で示すよ
うに上方へ移動する。このとき、第1および第2弁部34k,35kがそれぞれ第1およ
び第2弁座34b,35bから離座しているので、第1および第2弁体34a,35aと第1および第2リターンスプリング34c,35cも第1および第2弁制御部材38,39とともに上方へ移動する。
セカンダリピストン4が更に前進すると、前述の離間量aが深さcより小さく設定されているので、図6(C)に示すように第1および第2弁制御部材38,39が第1および
第2弁体制御カム面30a,31aに当接している状態で、第1および第2弁部34k,35kがそれぞれ第1および第2弁座34b,35bに着座する。これにより、プライマリ
液圧室5およびセカンダリ液圧室6はいずれもリザーバタンク19から遮断される。また、第1および第2弁体34a,35aと第1および第2リターンスプリング34c,35cの上方移動が停止する。セカンダリピストン4が更に前進すると、第1および第2弁制御部材38,39は第1および第2弁体制御カム面30a,31aにより更に強く上方へ押圧されるので第1および第2リターンスプリング34c,35cを収縮させながら上方へ移
動する。これにより、第1および第2リターンスプリング34c,35cの付勢力が増大
するので、第1および第2弁部34k,35kの第1および第2弁座34b,35bへの着座力が増大する。
セカンダリピストン4が更に前進すると、図6(D)に示すように第1および第2弁制御部材38,39は、それぞれ第1および第2弁制御部30,31から脱出して第1および第2弁制御部30,31以外のセカンダリピストン4の外周面4aに当接する。第1およ
び第2弁制御部材38,39のこの状態では、第1および第2弁部34k,35kの第1および第2弁座34b,35bへの着座力が大きくなっているので、プライマリ液圧室5お
よびセカンダリ液圧室6がリザーバタンク19からより確実に遮断される。
そして、前述の深さcが前述の2つの離間量a,bの和より小さくかつ離間量aより大
きく(c<a+bかつc>a)設定されているので、第1および第2弁制御部材38,3
9が第1および第2弁制御部30,31以外のセカンダリピストン4の外周面4aに当接
する位置にあっても、第1および第2弁制御部材38,39と第1および第2弁体34a,35aとの間に所定の間隙δが確保される。
プライマリピストン3およびセカンダリピストン4が更に前進してブレーキ系のロスストロークが消滅すると、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6にブレーキ液圧が発生する。そして、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6のブレーキ液圧は、それぞれ第1出力口17および第2出力口18を通して各ブレーキシリンダ25,26,27,28に伝達される。これにより、各ブレーキシリンダ25,26,27,28がブレーキ力を発生し、各車輪29,30,31,32にブレーキがかけられる。
ブレーキペダル23が解放されると、倍力装置24が非作動となり倍力装置24の出力が消滅する。すると、セカンダリリターンスプリング8でセカンダリピストン4が後退するとともにセカンダリリターンスプリング8およびプライマリリターンスプリング7でプライマリピストン3が後退する。
プライマリピストン3およびセカンダリピストン4の後退により、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6の各ブレーキ液圧がそれぞれ低下する。プライマリピストン3およびセカンダリピストン4の更なる後退により、プライマリ液圧室5内のブレーキ液圧およびセカンダリ液圧室6内のブレーキ液圧がそれぞれ負圧になる。そして、リザーバタ
ンク19のブレーキ液の液圧とプライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6の各液圧と圧力差による第1および第2弁体32a,33aを下方へ押圧する力が第1および第2リ
ターンスプリング34c,35cの付勢力より大きくなると、第1および第2弁制御部材
38,39と第1および第2弁体34a,35aとの間に間隙δが確保されているので、図6(E)に示すように第1および第2弁体34a,35aが下方へ移動してそれぞれ第1
および第2弁座32c,33cから離座する。すると、リザーバタンク19からブレーキ
液がプライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6へ供給される。これにより、プライマリピストン3およびセカンダリピストン4がスムーズにかつ迅速に後退して、各ブレーキシリンダ25,26,27,28のブレーキ力が低減し、各車輪29,30,31,32のブレーキが弱められる。
そして、プライマリピストン3およびセカンダリピストン4が、ともに図2に示す非作動位置となったときには、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6内のブレーキ液圧が消滅しているとともに、各ブレーキシリンダ25,26,27,28によるブレーキ力
も消滅して各車輪31,32,33,34のブレーキが解除される。その場合、第1および
第2弁制御部材38,39はセカンダリピストン4の外周面4aから第1および第2弁体
制御カム面30a,31aを通って図2、図3(a)および(b)に示す第1および第2
弁制御部材支持面30c,31cに当接する位置となる。
この第1例のタンデムマスタシリンダ1によれば、プライマリ液圧室5とリザーバタンク19とを連通、遮断する第1開閉弁34を開閉制御する第1弁制御部30がセカンダピストン4に設けられる。これにより、リザーバタンク19の第1ブレーキ液供給口19aが嵌入される第1ブレーキ液供給口嵌入穴2bとシリンダ孔2aの内部とが直線状の第1連通孔32により直接連通させることが可能となる。したがって、図14に示すプライマリピストン3の移動方向に長く延設される従来の第1リザーバタンク接続孔15の軸方向孔を設けなくても済ませることができる。その結果、第1リザーバタンク接続孔15の加工作業が簡単になり、作業工数や工具コストを削減することが可能となる。
また、従来の第1リザーバタンク接続孔15の軸方向孔が不要となることから、第1リザーバタンク接続孔15を塞ぐボール21が不要になるとともに、ボールの圧入作業を不要にできる。したがって、これによっても作業工数を削減することができるとともに、部品点数を削減することができる。しかも、従来のような第1リザーバタンク接続孔15の軸方向孔の径とボール21の径との寸法管理が不要となるとともに、ボール21の圧入管理も不要にできる。したがって、マスタシリンダのコストを低減することが可能となる。
更に、図14に示す従来のプラマリ液圧室5とリザーバタンク19との連通、遮断を制御するカップシール10およびセカンダリ液圧室6とリザーバタンク19との連通、遮断を制御するカップシール12が設けられないので、プライマリピストン3およびセカンダリピストン4にそれぞれ設けられた第1および第2ブレーキ給排孔とシールとの摩擦摺動をなくすことができる。これにより、これらのカップシール10,12の摩耗等のダメー
ジの問題を解消することができ、タンデムマスタシリンダ1の作動時におけるプライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6の各液密性を良好に保持することが可能となる。しかも、これらの従来のカップシール10,12が配設される溝およびその溝加工がいずれも
不要となるので、その分作業工数を削減でき、タンデムマスタシリンダ1のコストを一層効果的に低減することが可能となる。
更に、シリンダ孔2aの内周面とプライマリピストン3の外周面とのシールはプライマリ液圧室5とシリンダ孔2aの外部とを液密に保持するカップシール9だけを設ければ済むとともに、シリンダ孔2aの内周面とセカンダリピストン4の外周面とのシールはプライマリ液圧室5とセカンダリ液圧室6とを液密に保持するXシールからなるカップシール
29だけを設ければ済むようになる。したがって、プライマリピストン3およびセカンダリピストン4の表面仕上げを行うにあたり、各カップシール9,29に対するプライマリ
ピストン3の摺動部αおよびセカンダリピストン4の摺動部βの各外周面の表面仕上げを従来と同様に高精度に行えばよいので、各ピストンの高精度の表面仕上げを必要とする個所の軸方向長さが従来に比して短くて済むようになる。これにより、プライマリピストン3およびセカンダリピストン4の加工が簡単になり、その分コストを低減することができる。
こうして、高精度の寸法管理を必要とすることなく、ピストンの加工を簡単にできるとともに作業工数を削減でき、しかも安価に形成できるマスタシリンダを実現することが可能となる。
一方、この第1例のブレーキシステム22によれば、前述の第1例のタンデムマスタシリンダ1を用いているので、プライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6の各液密性を良好に保持することができることから、ブレーキをより確実に作動することができ、ブレーキ作動の信頼性を向上することが可能となる。しかも、安価に製造できる第1例のタンデムマスタシリンダ1を用いることで、ブレーキシステム自体のコストも低減することができる。
この第1例のタンデムマスタシリンダ1の他の構成および他の作用効果は、前述の従来例と同じである。
図7は、本発明のタンデムマスタシリンダの実施の形態の第2例を部分的に示す、図3(B)の一部と同様の図である。
前述の第1例のタンデムマスタシリンダ1では、第1および第2弁体34a,35aの
第1および第2弁制御部材38,39からの離間量bが、第1および第2弁体34a,35aの自重で第1および第2第1および第2リターンスプリング34c,35cを撓ませる
ことで設定されている。しかし、このような離間量bの設定方法では、離間量bを安定して確実に設定することは難しい。そこで、この第2例のタンデムマスタシリンダ1では、離間量bが安定して確実に設定可能にされている。
すなわち、図7に示すように、第2例のタンデムマスタシリンダ1では、第1および第2開閉弁30,31が第1および第2弁体34a,35aと第1および第2弁制御部材38,39との間に、それぞれ配設された第1および第2間隔設定部40,41を有している。これらの第1および第2間隔設定部40,41は互いに同じに形成されているる。第1お
よび第2間隔設定部40,41は第1および第2間隔設定部材42,43を有している。
第1間隔設定部材42は、断面形状がU字状の有底円筒状に形成されているとともに、その開口端に円環状のフランジ42aが形成されている。このフランジ42aは、それぞれ第1および第2弁体34a,35aの第1および第2弁部34k,35kに固定されている。また、第1間隔設定部材42の底部は第1間隔設定部材側係止部42bとされており、この底部には貫通孔が設けられている。一方、第2間隔設定部材43は、円板状の第2間隔設定部材側係止部43aと、円板状の弁制御部材当接部43bと、これらの第2間隔設定部材側係止部43aと弁制御部材当接部43bとを連結する連結軸43cとを有する。
連結軸43cが第1間隔設定部材42の底部の貫通孔に摺動可能に貫通されているとともに、第1間隔設定部材側係止部42bと第2間隔設定部材側係止部43aとが互いに、連結軸43cが第1間隔設定部材42の底部の貫通孔から脱出する方向に係合可能とされている。第1間隔設定部材42のフランジ42aと第2間隔設定部材43の弁制御部材当接部43bとの間に第1および第2リターンスプリング34c,35cが縮設されている
。第1および第2リターンスプリング34c,35cの付勢力により、第1間隔設定部材
側係止部42bと第2間隔設定部材側係止部43aとが係合されるようになっている。第2間隔設定部材43の弁制御部材当接部43bは、それぞれ第1および第2弁制御部材38,39に当接可能とされている。
そして、第1および第2開閉弁30,31がシリンダ本体2に組み付けられた状態では
、弁制御部材当接部43bはそれぞれ第1および第2弁制御部材38,39に当接される
。その場合、第1および第2弁制御部材38,39がそれぞれ第1および第2弁制御部材
支持面30c,31cに当接された状態で、図7に示すように第1間隔設定部材側係止部
42bと第2間隔設定部材側係止部43aとが係合されることで、第1および第2弁体34a,35aの第1および第2軸部34j,34kの下面と第2間隔設定部材43の第2間隔設定部材側係止部43aの上面との距離、つまり前述の離間量bが設定される。
この第2例のタンデムマスタシリンダ1によれば、第1および第2弁体34a,35a
と第1および第2弁制御部材38,39との間に第1および第2間隔設定部40,41が設けられることで、離間量bを安定して確実に設定可能となる。なお、第1間隔設定部材42と第2間隔設定部材43との組付けは、例えば第2間隔設定部材43の第2間隔設定部材側係止部43aと連結軸43cとを別体で形成し、連結軸43cを第1間隔設定部材42の貫通孔に貫通させた後、第2間隔設定部材43を連結軸43cに接合して組み付ける方法等適宜の組付け方法で行うことが可能である。
この第2例のタンデムマスタシリンダ1の他の構成および他の作用効果は、前述の第1例のタンデムマスタシリンダ1と同じである。
図8は、本発明のタンデムマスタシリンダの実施の形態の第3例を部分的に示し、図8(A)は弁体の正面図、図8(B)は弁体の上面図、図8(C)は図8(B)におけるVIIIC−VIIIC線に沿う断面図である。また、図9(A)は第3例の弁部の正面図、図9(B)は上面図、図9(C)は図9(B)におけるIXC−IXC線に沿う断面図である。更に、図10(A)および(B)はそれぞれ第3例における弁制御部を示す、図3(A)および(B)と同様の図である。
前述の第1例のタンデムマスタシリンダ1では、第1および第2開閉弁34,35にお
ける第1および第2弁体34a,35aの第1および第2軸34j,35jと第1および第2弁部34k,35kとが一体に形成されている。これに対して、図8(A)ないし(C
)に示すように第3例のタンデムマスタシリンダ1では、第1および第2弁体34a,3
5aの第1および第2軸34j,35jと第1および第2弁部34k,35kとが別体に形成されている。
図9(A)ないし(C)に示すように、第1および第2弁部34k,35kは、第1例
の第1および第2弁部34k,35kと同じように形成されているが、ゴム等の弾性材で
形成されている。この第3例では、第1および第2弁部34k,35kの中心に貫通孔3
4n,35nが形成されている。また、図9(D)および(E)に示すように、第1およ
び第2軸部34j,35jは、例えば金属等の第1および第2弁部34k,35kより硬い材料で形成されているとともに、軸方向に所定の間隔をおいて形成された一対の第1および第2フランジ34o,34p;35o,35pを有する。そして、第1および第2弁部3
4k,35kは、貫通孔34n,35nが第1および第2フランジ34o,34p;35o,
35pの間の第1および第2軸部34j,35jの嵌合させることで、第1および第2フ
ランジ34o,34p;35o,35pの間で液密にかつ摺動可能に設けられる。そして、
図10(A)および(B)に示すように第3例の第1および第2開閉弁34,35も、前
述の第1例と同様にシリンダ本体2に組み付けられる。
この第3例のタンデムマスタシリンダ1によれば、第1および第2弁体34a,35a
の第1および第2弁部34k,35kと第1および第2軸部34j,35jとが別体に形成されるので、第1および第2弁体34a,35aの製造が容易となる。
この第3例のタンデムマスタシリンダ1の他の構成および他の作用効果は、前述の第1例のタンデムマスタシリンダ1と同じである。
図11は、本発明のタンデムマスタシリンダの実施の形態の第4例を部分的に示し、図11(A)は弁制御部材の正面図、図11(B)は弁制御部材の上面図、図11(C)は図11(A)におけるXIC−VIC線に沿う断面図である。また、図12(A)および(B)はそれぞれ第4例における弁制御部を示す、図3(A)および(B)と同様の図である。
前述の第1例のタンデムマスタシリンダ1では、第1および第2弁制御部材38,39
が球状に形成されている。これに対して、この第4例のマスタシリンダ1では第1および第2弁制御部材38,39は球状に形成されていない。すなわち、図11(A)ないし(
C)に示すように第4例の第1および第2弁制御部材38,39は互いに同じに形成され
ていて、それぞれ、第1および第2軸部38a,39aと、第1および第2軸部38a,39aが中心位置となるようにこれらの第1および第2軸部38a,39aに一体に形成さ
れた第1および第2ガイド部38b,39b(本発明の第1および第2ガイド部に相当)
と、第1および第2ガイド部38b,39bの中心部に第1および第2軸部38a,39aと反対側に設けられた部分球状の第1および第2支持突部38c,39cとを有している
第1および第2軸部38a,39aが形成される領域を除く第1および第2ガイド部3
8b,39bの両端部38d,39d;38e,39eにおいて、第1および第2弁体34a,35aに対向する側の面(図11(A)において上面)38f,39f;38g,39gは湾曲面とされている。また、第1および第2ガイド部38b,39bの、セカンダリピス
トン4に対向する側の面(図11(A)において下面)38h,39hは円弧状面とされ
ている。その場合、第1および第2ガイド部38b,39bの厚さは、それらの両端から
第1および第2軸部38a,39aに接近するにしたがって厚くなるように形成されてい
る。これにより、第1および第2ガイド部38b,39bの強度が高められている。
更に、第1および第2支持突部38c,39cは第1および第2ガイド部38b,39bの面38h,39hの全体より、セカンダリピストン4の方(図11(A)において下方
)に突出するように設けられる。第4例の第1および第2弁制御部材38,39も、第1
例の第1および第2弁制御部材38,39と同じ材料で形成することができる。
図12(A)および(B)に示すように第1および第2弁制御部材38,39がそれぞ
れ第1および第2弁制御部30,31に位置するときは、第1および第2支持突部38c,39cがそれぞれ第1および第2弁制御部材支持面30c,31cに当接するようになっ
ている。このとき、第1および第2支持突部38c,39cの球面が第1および第2弁制
御部材支持面30c,31cに当接するため、第1および第2支持突部38c,39cはそれぞれ第1および第2弁制御部材支持面30c,31cに点接触する。これにより、第1
および第2支持突部38c,39cと第1および第2弁制御部材支持面30c,31cとの間の摩擦が抑制され、セカンダリピストン4および第1および第2弁制御部材38,39
の運動がスムーズになり、良好な応答性が得られる。
そして、図12(A)に示すように、第1および第2支持突部38c,39cが円弧状
の第1および第2弁制御部材支持面30c,31cに当接した状態で、第1および第2弁
制御部材38,39が正規姿勢に保持されるときは、第1および第2ガイド部38b,39bの円弧状の面38h,39hは、円弧状の第1および第2弁制御部材支持面30c,31
cと同心円の円弧を形成するようになっている。なお、第1および第2弁制御部材38,
39が正規姿勢は、第1および第2弁制御部材38,39の第1および第2軸部38a,39aの軸方向仮想延長線(不図示)がセカンダリピストン4の横断面の中心に向かうように保持される姿勢(つまり、図12(A)に示す姿勢)である。このような第1および第2弁制御部材38,39の正規姿勢は、第1および第2リターンスプリング34c,35c、第1および第2弁体34a,35aの第1および第2軸部34j,35j、およびシリンダ本体2aの第1および第2孔32b,33bによって保持される。
図12(A)および(B)に示すように、第1および第2弁制御部材38,39が正規
姿勢に保持された状態では、第1および第2ガイド部38b,39bの下端部は第1およ
び第2弁制御部30,31の凹溝内に進入するが、第1および第2弁制御部材支持面30
c,31cに接触しないようにされている。また、第1および第2弁制御部材38,39が正規姿勢に保持された状態では、第1および第2ガイド部38b,39bの上端部の一部
はシリンダ本体2の第1および第2溝32a,33a内に進入するようにされている。こ
のように、第1および第2ガイド部38b,39bが第1および第2弁制御部30,31の凹溝および第1および第2溝32a,33a内に進入することで、組立て時にセカンダリ
ピストン4に対する第1および第2弁制御部材38,39の位置決めがされ、第1および
第2弁制御部材38,39の組付け性が向上されている。更に、第1および第2弁制御部
材38,39はシール性を求められないので、表面仕上げを高精度に行う必要がない。
また、第1および第2弁制御部材38,39がそれぞれ第1および第2弁制御部30,31以外のセカンダリピストン4の外周面4aに位置するときは、第1および第2支持突部38c,39cがそれぞれこの外周面4aに当接するようになっている。その場合、第1
および第2ガイド部38b,39bの下端部はセカンダリピストン4の外周面4aに接触
しないようにされている。なお、第1および第2弁制御部30,31の凹溝の周方向の長
さは、第1例のそれよりも長く形成される。
この第4例のタンデムマスタシリンダ1の他の構成および他の作用効果は、前述の第1例のタンデムマスタシリンダ1と同じである。
なお、本発明は前述の各例に限定されることはなく、種々の設計変更が可能である。例えば、前述の例では、プライマリ液圧室5と第1連通孔32の溝32aとを連通する第1ブレーキ液給排通路36と、セカンダリ液圧室6と第2連通孔33の孔33aとを連通する第2ブレーキ液給排通路37とが設けられているが、これらの第1および第2ブレーキ液給排通路36,37は必ずしも設けられる必要はない。すなわち、第1および第2ブレ
ーキ液給排通路36,37に代えて、例えば図13に示すようにセカンダリピストン4に
プライマリ液圧室5と第1連通孔32の溝32aとを連通する第1ブレーキ液給排孔13およびセカンダリ液圧室6と第2連通孔33の孔33aとを連通する第2ブレーキ液給排孔14をそれぞれ設けることもできる。その場合、第1ブレーキ液給排孔13はセカンダリピストン4の前後方向(移動方向)の後部に設けられるとともに、第2ブレーキ液給排孔14はセカンダリピストン4の前後方向の前部に設けられる。この設計変更の場合のタンデムマスタシリンダ1の他の構成は、前述の例と同じである。
このように構成されたタンデムマスタシリンダ1では、セカンダリピストン4に第1および第2ブレーキ給排孔13,14が設けられても、プラマリ液圧室5とリザーバタンク
19との連通、遮断を制御する図14に示す従来のカップシール10,12が設けられな
いので、これらの第1および第2ブレーキ給排孔13,14とカップシール10,12との摩擦摺動をなくすことができる。これにより、従来のカップシール10,12の摩耗等の
ダメージの問題を解消することができ、タンデムマスタシリンダ1の作動時におけるプライマリ液圧室5およびセカンダリ液圧室6の各液密性を良好に保持することが可能となる。この設計変更の場合のタンデムマスタシリンダ1の他の作用効果は、前述の例と同じで
ある。また、第1および第2ブレーキ液給排通路36,37と、第1および第2ブレーキ
給排孔13,14との両方を設けることもできる。要は、本発明は特許請求の範囲に記載
された技術事項の範囲内で種々の設計変更が可能である。
本発明に係るマスタシリンダおよびブレーキシステムは、それぞれ、2系統のブレーキシステム等の2系統の液圧システムに用いられて、プライマリピストンおよびセカンダリピストンにより各系統にそれぞれ液圧を発生するマスタシリンダおよびブレーキシステムに好適に利用することができる。
1…タンデムマスタシリンダ、2…シリンダ本体、2a…シリンダ孔、2b…第1ブレーキ液供給口嵌入穴、2c…第2ブレーキ液供給口嵌入穴、3…プライマリピストン、4…セカンダリピストン、4a…外周面、5…プライマリ液圧室、6…セカンダリ液圧室、7…プライマリリターンスプリング、8…セカンダリリターンスプリング、9…カップシール、13…第1ブレーキ液給排孔、14…第2ブレーキ液給排孔、15…第1リザーバタンク接続孔、16…第2リザーバタンク接続孔、17…第1出力口、18…第2出力口、19…リザーバタンク、19a…第1ブレーキ液供給口、19b…第2ブレーキ液供給口、22…ブレーキシステム、23…ブレーキペダル、25,26,27,28…ブレーキシ
リンダ、29…カップシール、30…第1弁制御部、30a…第1弁体制御カム面、30c…第1弁制御部材支持面、31…第2弁制御部、31a…第2弁体制御カム面、31c…第2弁制御部材支持面、32…第1連通孔、32a…第1溝、32b…第1孔、32c…第1段部、33…第2連通孔、33a…第2溝、33b…第2孔、33c…第2段部、34…第1開閉弁、34a…第1弁体、34b…第1弁座、34c…第1リターンスプリング、34k…第1弁部、34m…第1弁面、35…第2開閉弁、35a…第2弁体、35b…第2弁座、35c…第2リターンスプリング、35k…第2弁部、35m…第2弁面、36…第1ブレーキ液給排通路、37…第2ブレーキ液給排通路、38…第1弁制御部材、38b…第1ガイド部、38c…第1支持突部、39…第2弁制御部材、39b…第2ガイド部、39c…第2支持突部、40…第1間隔設定部、41…第2間隔設定部、42…第1間隔設定部材、43…第2間隔設定部材

Claims (3)

  1. シリンダ孔、第1および第2ブレーキ液供給口嵌入穴、前記シリンダ孔の内部と前記第1ブレーキ液供給口嵌入穴とを直接連通する直線状の第1連通孔、および前記シリンダ孔の内部と前記第2ブレーキ液供給口嵌入穴とを直接連通する直線状の第2連通孔を有するシリンダ本体と、
    前記シリンダ本体のシリンダ孔に摺動可能に挿入されて、作動時にプライマリ液圧室に液圧を発生するプライマリピストンと、
    前記シリンダ本体のシリンダ孔に摺動可能に挿入されて、作動時にセカンダリ液圧室に液圧を発生するセカンダリピストンと、
    作動液を貯留するとともに、前記第1ブレーキ液供給口嵌入穴に嵌入されて前記プライマリ液圧室に前記作動液を供給するための第1ブレーキ液供給口および前記第2ブレーキ液供給口嵌入穴に嵌入されて前記セカンダリ液圧室に前記作動液を供給するための第2ブレーキ液供給口を有するリザーバタンクと、
    前記第1連通孔に配設された第1開閉弁と、
    前記セカンダリピストンに設けられて、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第1開閉弁を開いて前記プライマリ液圧室と前記リザーバとを前記第1ブレーキ液供給口および前記第1連通孔を介して連通するとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第1開閉弁を閉じて前記プライマリ液圧室と前記リザーバとを遮断する第1開閉弁制御部とを少なくとも備え、
    前記プライマリピストンの作動時に前記セカンダリピストンが作動して前記第1開閉弁制御部が前記第1開閉弁を閉じることで前記プライマリピストンが前記プライマリ液圧室に液圧を発生するとともに、前記セカンダリピストンが作動することで前記セカンダリ液圧室に液圧を発生し、
    前記第2連通孔に配設された第2開閉弁と、
    前記セカンダリピストンに設けられて、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第2開閉弁を開いて前記セカンダリ液圧室と前記リザーバとを前記第2ブレーキ液供給口および前記第2連通孔を介して連通するとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第2開閉弁を閉じて前記セカンダリ液圧室と前記リザーバとを遮断する第2開閉弁制御部とを備え、
    前記セカンダリピストンの作動時に前記第2開閉弁制御部が前記第2開閉弁を閉じることで前記セカンダリピストンが前記セカンダリ液圧室に液圧を発生し、
    前記第1開閉弁は、前記第1連通孔に前記第1連通孔の長手方向に移動可能に設けられた第1弁体と、前記第1連通孔に前記第1弁体が着離座可能に配設された第1弁座と、前記第1弁体を前記第1弁座に着座する方向に常時付勢する第1リターンスプリングとを有し、前記第1開閉弁制御部は、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第1弁体を前記第1弁座から離座した位置に設定することで前記第1開閉弁を開くとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第1弁体を前記第1リターンスプリングの付勢力に抗して押圧することで前記第1弁座に着座した位置に設定することで前記第1開閉弁を閉じ、
    前記第2開閉弁は、前記第2連通孔に前記第2連通孔の長手方向に移動可能に設けられた第2弁体と、前記第2連通孔に前記第2弁体が着離座可能に配設された第2弁座と、前記第2弁体を前記第2弁座に着座する方向に常時付勢する第2リターンスプリングとを有し、前記第2開閉弁制御部は、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第2弁体を前記第2弁座から離座した位置に設定することで前記第2開閉弁を開くとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第2弁体を前記第2リターンスプリングの付勢力に抗して押圧することで前記第2弁座に着座した位置に設定することで前記第2開閉弁を閉じ、
    前記第1開閉弁制御部は、前記セカンダリピストンに前記セカンダリピストンの円周方向に延設された第1凹溝を有し、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第1弁体は前記第1凹溝に位置して前記第1開閉弁を開くとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第1弁体は前記セカンダリピストンの前記第1凹溝を除く外周面に位置して前記第1開閉弁を閉じ、
    前記第2開閉弁制御部は、前記セカンダリピストンに前記セカンダリピストンの円周方向に延設された第2凹溝を有し、前記セカンダリピストンの非作動時に前記第2弁体は前記第2凹溝に位置して前記第2開閉弁を開くとともに、前記セカンダリピストンの作動時に前記第2弁体は前記セカンダリピストンの前記第2凹溝を除く外周面に位置して前記第2開閉弁を閉じ、
    前記第1開閉弁制御部により作動されて前記第1弁体を開閉制御する第1弁制御部材を有するとともに、前記第2開閉弁制御部により作動されて前記第2弁体を開閉制御する第2弁制御部材を有し、
    前記第1弁制御部材は、前記第1凹溝および前記セカンダリピストンの外周面に当接する部分球状の第1支持突部を有し、
    前記第2弁制御部材は、前記第2凹溝および前記セカンダリピストンの外周面に当接する部分球状の第2支持突部を有することを特徴とするマスタシリンダ。
  2. 前記第1弁制御部材は、前記第1凹溝内に進入可能な第1ガイド部を有し、
    前記第2弁制御部材は、前記第2凹溝内に進入可能な第2ガイド部を有することを特徴とする請求項に記載のマスタシリンダ。
  3. ブレーキ操作部材と、前記ブレーキ操作部材の操作により作動してブレーキ液圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダの液圧により発生するブレーキ力によりブレーキを作動するブレーキシリンダとを少なくとも備えるブレーキシステムにおいて、
    前記マスタシリンダは、請求項1又は2に記載のマスタシリンダであることを特徴とするブレーキシステム。

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