JP5812893B2 - モルタルゲート及びモルタルゲートの製造方法 - Google Patents
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また、河川に通じる水路などに設置した水門設備の水門を開閉する扉体として、モルタル製の扉体を使用することが特許文献3に開示されている。
さらに、水門設備の水門を開閉する扉体に関連するものではないが、所定の形状のコンクリート製またはモルタル製の構造材を成形するために、有機合成繊維や炭素繊維などによって形成された不織布または織布若しくは合成樹脂製袋体を使用することが特許文献4及び特許文献5に開示されている。
一方、特許文献4及び特許文献5には、有機合成繊維や炭素繊維などによって形成された不織布または織布若しくは合成樹脂製袋体を使用して、モルタル製やコンクリート製の構造材を成形することが開示されているが、特許文献4及び特許文献5に開示されたモルタル製やコンクリート製の構造物は、一般的な構造物や建築物に使用されるものであり、従来の水門設備の水門を開閉する扉体として使用するためには、水門特有の問題点として止水性能を阻害する要因となるモルタルやコンクリートの製作途中に発生する乾燥収縮による微細クラックを起因とする凍結融解などを阻止する必要があるなど、改善する余地が残されている。
また、本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、従来の水門設備の水門を開閉する扉体として、さらに改良したモルタルゲートの製造方法を提供することを解決しようとする第2の課題とするものである。
また、請求項2のモルタルゲートに係る発明は、板状に成形したモルタルを剛性枠と炭素繊維シートで被覆して形成して、モルタルの乾燥収縮による微細クラックを覆うと共に凍結融解を防止するようにして、炭素繊維シートは、モルタルと接触する接触面の一部に網目状に形成された細孔を備えており、炭素繊維シートを、細孔に塗布した接着剤を介して前記モルタルに接着させたことを特徴とする。
また、請求項1に記載した発明によれば、炭素繊維シートは、モルタルと接触する接触面の一部に複数の突起を備えており、炭素繊維シートを、複数の突起を介してモルタルに付着させたので、モルタルと炭素繊維シートとの付着力を向上させて、さらに簡単に補強することが可能なモルタルゲートを提供することができる。
また、請求項2に記載した発明によれば、炭素繊維シートは、モルタルと接触する接触面の一部に網目状に形成された細孔を備えており、炭素繊維シートを、細孔に塗布した接着剤を介してモルタルに接着させたので、モルタルと炭素繊維シートとの接着力を向上させて、さらに簡単に補強することが可能なモルタルゲートを提供することができる。
図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態に係るモルタルゲート1は、水門設備における水門を開閉する扉体として使用する部材であり、板状に成形したモルタル6を剛性枠2と炭素繊維シート3で被覆して形成して、モルタル6の乾燥収縮による微細クラックを覆うと共に凍結融解を防止するようにしたことを特徴とするものである。なお、本発明の実施の形態に係るモルタルゲート1では、図1に示すように、平板の形状に成形したモルタルゲート1について説明する。
以下、本発明の実施の形態に係るモルタルゲート1について説明する。
この袋状の炭素繊維シート3は、図3〜図6に示すように、剛性枠2の形状に合わせて、ほぼ長方形の袋状に形成されている。この袋状の炭素繊維シート3の上面(モルタルゲート1を製造する際にモルタル6に接触する上側の接触面)は、剛性枠2の内側端部の矩形状の形状に合わせてほぼコ字形状に切り抜かれて、開口部5が形成されている。
本発明の実施の形態に係るモルタルゲート1を製造する方法は、矩形状の剛性枠2の内側に袋状の炭素繊維シート3を敷設し、次に、袋状の炭素繊維シート3内に未硬化状態のモルタル6を充填し、その後、未硬化状態のモルタル6を硬化させて、硬化して板状に成形されたモルタル6を剛性枠2と袋状の炭素繊維シート3で被覆するように成形することを特徴とする。
次に、剛性枠2の内側に袋状の炭素繊維シート3を敷設する。この場合、図5に示すように、袋状の炭素繊維シート3に予め開口部5を形成しておいてもよいが、剛性枠2の内側に袋状の炭素繊維シート3を敷設した後に、袋状の炭素繊維シート3の上面を、剛性枠2の内側端部に合わせてほぼコ字状に切り抜いて開口部5を形成することもできる。
そして、袋状の炭素繊維シート3内に未硬化状態のモルタル6を充填した後は、図3及び図5に示すように、未硬化状態のモルタル6が硬化するまで被覆シート部4(炭素繊維シート3の一部を構成する)を開いたままにしておく。
そして、図4及び図6に示すように、袋状の炭素繊維シート3内に充填した未硬化状態のモルタル6が硬化した後に、硬化したモルタル6の上面に接着剤を塗布して、接着剤を塗布したモルタル6の上面を被覆シート部4(袋状の炭素繊維シート3の一部を構成する)で被覆して、この被覆シート4をモルタル6の上面に接着する。
なお、被覆シート部4に接着剤を塗布して、接着剤を塗布した被覆シート部4を硬化したモルタル6の上面に接着することもできる。
以上の各工程により、図1に示すようなモルタルゲート1の製造が完了する。
この本発明の他の実施の形態では、袋状の炭素繊維シート3の開口部5から未硬化状態のモルタル6を充填する工程までは、図2に示す本発明の実施の形態と同様であるが、袋状の炭素繊維シート3の下面(モルタルゲート1を製造する際にモルタル6に接触する下側の接触面)に複数の細孔8が網目状に形成されているので、袋状の炭素繊維シート3内に充填した未硬化状態のモルタル6が硬化した後の炭素繊維シート3とモルタル6との接着工程が異なる。
その後、モルタルゲート1を裏返しにして、炭素繊維シート3の各細孔8に接着剤を塗布する。このようにして、硬化したモルタル6の下面に炭素繊維シート3の下面を接着剤を介して接着する。
以上の工程により、図7に示す本発明の他の実施の形態に係る袋状の炭素繊維シート3を利用して、図1に示すようなモルタルゲート1を製造することができる。
また、本発明の実施の形態に係るモルタルゲート1は、工場で製造することができるが、現場に資材を搬入して、現場で製造することもできる。
また、モルタルは、EPSモルタルを使用して、モルタルゲートの重量をさらに軽減することができる。この場合、EPSモルタルの細骨材として、発泡スチロール(EPS:Expanded Polystyrene)を遠赤外線で減容処理を施した後、粉砕した発泡スチロールを細骨材として使用することができる。そして、細骨材として使用する発泡スチロールは、産業廃棄物として、その処理が社会問題化しているが、発泡スチロールの廃棄物をEPSモルタルの細骨材として再利用することによって、環境負荷をさらに低減することが可能となる。
Claims (7)
- 板状に成形したモルタルを剛性枠と炭素繊維シートで被覆して形成して、モルタルの乾燥収縮による微細クラックを覆うと共に凍結融解を防止するようにして、
炭素繊維シートは、モルタルと接触する接触面の一部に複数の突起を備えており、炭素繊維シートを、複数の突起を介して前記モルタルに付着させたことを特徴とするモルタルゲート。 - 板状に成形したモルタルを剛性枠と炭素繊維シートで被覆して形成して、モルタルの乾燥収縮による微細クラックを覆うと共に凍結融解を防止するようにして、
炭素繊維シートは、モルタルと接触する接触面の一部に網目状に形成された細孔を備えており、炭素繊維シートを、細孔に塗布した接着剤を介して前記モルタルに接着させたことを特徴とするモルタルゲート。 - 前記モルタルゲートは水門設備の水門を開閉する扉体として利用されることを特徴とする請求項1または2に記載のモルタルゲート。
- 矩形状の剛性枠の内側に袋状の炭素繊維シートを敷設し、次に、袋状の炭素繊維シート内に未硬化状態のモルタルを充填し、その後、未硬化状態のモルタルを硬化させて、硬化して板状に成形されたモルタルを剛性枠と袋状の炭素繊維シートで被覆するように成形することを特徴とするモルタルゲートの製造方法。
- 炭素繊維シートに開口部を形成して、この開口部から未硬化状態のモルタルを炭素繊維シート内に充填して、未硬化状態のモルタルが硬化した後に、開口部を炭素繊維シートで閉鎖して、開口部を閉鎖した炭素繊維シートを、接着剤を介して硬化したモルタルに接着させることを特徴とする請求項4に記載のモルタルゲートの製造方法。
- 炭素繊維シートは、モルタルと接触する接触面の一部に複数の突起を備えており、これらの複数の突起を未硬化状態のモルタルに埋設させて、未硬化状態のモルタルが硬化した後に、炭素繊維シートを、複数の突起を介して硬化したモルタルに付着させることを特徴とする請求項4または5に記載のモルタルゲートの製造方法。
- 炭素繊維シートは、モルタルと接触する接触面の一部に網目状に形成された細孔を備えており、未硬化状態のモルタルが硬化した後に、細孔に接着剤を塗布して、炭素繊維シートを、接着剤を介して硬化したモルタルに接着させることを特徴とする請求項4または5に記載のモルタルゲートの製造方法。
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