JP5811967B2 - 排水機能付鋼材 - Google Patents
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Description
例えば、地盤が液状化しないように地盤強度(密度)を増大させる締固め工法(サンドコンパクションパイル工法など)、薬液注入などによる地盤改良工法などが幅広く適用されている。
しかし、同工法では周辺地盤をかなり広い領域にわたって対策する必要があるため用地確保が必要なことや、確実に効果を発揮するためには構造物直下地盤を改良することが肝要である。既設構造物への適用を考えた場合、一旦構造物を撤去し、地盤を改良した後に再び構造物を設置するか、構造物周辺地盤から構造物直下地盤の改良を施す必要がある。しかし、施工スペースの制限や、低騒音・低振動施工が求められるなど適用の制限を受けることが考えられる。さらに、対策工法や地盤の改良範囲によっては多大な工期、工費が必要となり非合理的となることも考えられる。
特許文献1に記載の発明では、矢板本体の長手方向に沿った所定区間に、多数の開口部と該開口部からの地盤の土砂の浸入を防ぐためのフィルターを備えた排水用部材を1条または複数条、少なくとも前記矢板本体の片面に設けたことを特徴とする。
また、特許文献2に記載の発明は、矢板本体に該矢板本体の長手方向に沿った排水路を形成する排水用部材を1条または複数条、該矢板本体の所定区間に設け、該排水用部材に多数の孔(開口部)を穿設し、軸方向に貫通孔を有し該貫通孔内にフィルターを設けてなる栓を、前記排水用部材に穿設した前記各孔に取付けたことを特徴とする。
このような発明では、排水用部材を取り付けた矢板を打設するようにしているため施工時間の短縮が可能であり、効果的かつ経済的である。
前記排水用部材に水を流通可能とする複数の開口部が設けられ、これら開口部に当該開口部から前記排水路への土砂の侵入を防ぐためのフィルターが設けられた排水機能付鋼材であって、
前記排水用部材の横断面における偶角部が曲線状に形成され、
前記排水用部材の下端部に、排水機能付鋼材の施工時に前記フィルターの損傷を防ぐフィルター保護プレートが設けられており、
このフィルター保護プレートの幅は前記排水用部材の幅より狭く、
前記フィルター保護プレートの、前記排水用部材の水平部の端部からの前記偶角部へのはみ出し長さが10mm以下であることを特徴とする。
この先端部材の一部は、前記排水用部材を製造するための横断面コ字形の鋼材の下端部を斜めに切断して形成されるか、または、前記排水用部材とは別の排水用部材を製造するための横断面コ字形の鋼材の下端部を斜めに切断した切断片を接合して形成されていてもよい。
また、先端部材の一部が、排水用部材とは別の排水用部材を製造するための横断面コ字形の鋼材の下端部を斜めに切断した切断片を接合して形成されるので、別の鋼材の一部を先端部材の材料として利用できる。
このように、排水用部材を製造するための鋼材の一部を先端部材の材料として利用できるので、鋼材から簡易な加工で先端部材を製造でき、加工手間とコストの大幅な低減が可能となる。
また、従来のような、複数の鋼板を溶接する場合に比べて、溶接の不備による部材損傷などの抑止にも繋がり信頼性が向上する。
図1および図2は本実施の形態にかかる排水機能付鋼材を示すもので、図1は斜視図、図2(a)は正面図、図2(b)は横断面図、図2(c)は排水機能付鋼材を地盤に設置した状態を模式的に示す図である。
鋼材2はU形鋼矢板であり、ウェブ2aと、ウェブ2aの両側縁からそれぞれ互いに広がるように斜めに延出する一対のフランジ2bと、左右のフランジ2bの先端からウェブ2aと平行に左右に延出する一対のアーム2cと、アーム2cの先端に設けられた継手2dとを備えている。
なお、排水用部材3はウェブ2aの幅方向中央部に固定されている。
すなわち、栓6は、軸部6a、栓離脱防止部6b,6c、およびフィルター防護部材8から構成され、軸部6aに軸方向に貫通する貫通孔6dが形成されている。そして、その貫通孔6dにフィルター防護部材8が設けられ、このフィルター防護部材8の内面側に通水性を有するフィルター7が取り付けられている。フィルター防護部材8は栓6の軸部6aと一体的に設けられているのが望ましく、このフィルター防護部材8には通水性を確保するため、多くの小孔が設けられている。
このフィルター保護プレート10は、図2(a)および図3に示すように、矩形板状のものであり、その上面はフィルター7が設けられた栓6の上面より突出している。これによって、排水機能付鋼材1の施工時に土砂が栓6の上面に干渉するのを防止しており、これによって、フィルター7の損傷を防止している。
フィルター保護プレート10の幅は排水用部材3の幅より狭くなっており、さらに、
フィルター保護プレート10の、排水用部材3の水平部3dの端部からの偶角部3cへのはみ出し長さが10mm以下となっている。なお、水平部3dとは、排水用部材3のウェブ3aのうち、前記偶角部3cの端部を除く平坦部分のことをいう。この水平部3dの端部と偶角部3cの端部とが滑らかに接続されており、フィルター保護プレート10の、水平部3dの端部からの偶角部3cへのはみ出し長さが10mm以下となっている。
また、排水用部材3の上端部には、その上端開口を塞ぐ蓋部材11が取り付けられている(図1参照)。
そして、この斜めの開口に別途用意した矩形の鋼板31を被せて、三角形板9bの傾斜辺に溶接することによって、図4(c)に示すように、傾斜板9aと三角形板9bを有する先端部材9を形成することができる。
すなわち、図5(a)に示す切断片32を、図5(b)に示すように、180度反転したうえで、鋼材30の下端部(図5(b)においては右端部)に近づけ、図5(c)に示すように、鋼材30の下端部に溶接によって接合する。その後、別途用意した矩形の鋼板31を切断片32の傾斜辺に接合することによって、図5(d)に示すように、傾斜板9aと三角形板9bを有する先端部材9を形成することができる。
また、従来のような、複数の鋼板を溶接する場合に比べて、溶接の不備による部材損傷などの抑止にも繋がり信頼性が向上する。
排水区間15においては、多数の開口部5が密に配置されており、流入区間16においては、多数の開口部5が疎に配置されている。
すなわち、排水区間15における単位長さあたり(排水用部材3の長手方向における単位長さあたり)の開口部5の開口面積が、流入区間16における単位長さあたり(排水用部材3の長手方向における単位長さあたり)の開口部6の開口面積より大きくなっている。つまり、排水区間15における単位長さあたりの複数の開口部5の開口面積の総和が、流入区間16における単位長さあたりの複数の開口部6の開口面積の総和より大きくなっている。
したがって、地盤から排水用部材3の排水路4に流入する水が排水路4を通って排水区間15から十分に排水されることになる。
なお、排水区間15および流入区間16のいずれにおいても、開口部5は排水用部材3の長手方向(図2(a)において上下方向)に沿って、かつ横方向に2列平行に配置されている。
排水区間15は、地中部から流入した水が十分に排水されるだけの開口面積が必要であり、その区間を網羅するように単粒度砕石層Sを設置する必要がある。
この時、砕石を設置する費用を考えると、出来る限り単粒度砕石層Sの厚さを薄くする方が材料・施工面で経済性に優れる。それには、できるだけ排水用部材上部に近い排水区間15に面積の大きい開口部を設けることが効果的である。
開口面積を向上させる構造としては、開口部の断面積を大きくする方法や、開口部の長手方向ピッチを狭くする方法、排水用部材3のウェブ3aに加えてフランジ3bにも開口部を設ける方法等がある。また、開口部は円形や楕円形、矩形のものなど開口部の形状は限定されない。
ここで、図3に示すように、通水断面積Acは横断面コ字形の排水用部材3の内側断面積(流路断面積)であり、排水区間15の総開口面積Awは排水区間15に設けられた複数の開口部5の総開口面積である。
流入区間16において、地盤から排水用部材3の排水路4に流入した水は、排水路4を通り排水区間15から排水される。この時、排水区間15の総開口面積Awが、排水路4の通水断面積Acよりも小さいと、流入した水が排水用部材3の外側へ排水されないことになる。これは、地震により地盤の過剰間隙水圧が高まっている状態に時々刻々と地盤から排水用部材3の排水路4へ流入する水が、排水性能に応じた水量に達しないことを示しており、排水効果がフルに発揮されないことが懸念される。
そのため、排水区間15における総開口面積Awは少なくとも通水断面積Acよりも大きいこと(Aw≧Ac)が、期待する排水性能を発揮する上では必要である。
ここで、排水区間15における排水用部材3の投影面積とは、図7に示すように、排水区間15における排水用部材3のウェブ3aの表面積のことをいう。また、ウェブ3aに加えてフランジ3bにも開口部5が形成されている場合、排水区間15におけるフランジ3bの表面積をウェブ3aの表面積に加えた面積のことをいう。
また、フィルター保護プレート10の幅が排水用部材3の幅より狭く、当該フィルター保護プレート10の、排水用部材3の水平部3dの端部からの偶角部3cへのはみ出し長さが10mm以下であるので、フィルター保護プレート10の幅を、フィルター(フィルター7を有する栓6)の設置幅を網羅できる長さを確保してフィルター7を確実に保護できるとともに、ウォータジェットホースHを引き抜く際にウォータジェットホースHがフィルター保護プレート10の端部に接触するのを防止して、ウォータジェットホースHの損傷をさらに防止できる。
また、従来のような、複数の鋼板を溶接する場合に比べて、溶接の不備による部材損傷などの抑止にも繋がり信頼性が向上する。
さらに、排水区間15における開口部5の総開口面積が、排水路4の通水断面積以上であるので、地盤から排水用部材3内に流入し、排水路4を通った水は排水区間15から十分に排水される。
このように、流入区間16から排水用部材3内に流入し、排水路4を通った水を排水区間15から十分に排水できるので、排水効果を十分に発揮できる。
また、鋼材としても、U形鋼矢板に限ることなく、ハット形矢板、鋼管矢板、鋼管杭、H形鋼、さらにはこれら組み合わせた鋼材であってもよい。
2 鋼材
3 排水用部材
3c 偶角部
3d 水平部
4 排水路
5 開口部
7 フィルター
9 先端部材
10 フィルター保護部材
15 排水区間
16 流入区間
Claims (2)
- 鋼材に、横断面コ字形に形成されて前記鋼材との間に排水路を形成する排水部材が前記鋼材の長手方向に沿って設けられ、
前記排水用部材に水を流通可能とする複数の開口部が設けられ、これら開口部に当該開口部から前記排水路への土砂の侵入を防ぐためのフィルターが設けられた排水機能付鋼材であって、
前記排水用部材の横断面における偶角部が曲線状に形成され、
前記排水用部材の下端部に、排水機能付鋼材の施工時に前記フィルターの損傷を防ぐフィルター保護プレートが設けられており、
このフィルター保護プレートの幅は前記排水用部材の幅より狭く、
前記フィルター保護プレートの、前記排水用部材の水平部の端部からの前記偶角部へのはみ出し長さが10mm以下であることを特徴とする排水機能付鋼材。 - 前記排水用部材の下端部に、排水機能付鋼材の施工時に前記排水用部材の排水路への土砂の侵入を防ぐとともに貫入性を増すための先端部材が設けられ、
この先端部材の一部は、前記排水用部材を製造するための横断面コ字形の鋼材の下端部を斜めに切断して形成されるか、または、前記排水用部材とは別の排水用部材を製造するための横断面コ字形の鋼材の下端部を斜めに切断した切断片を接合して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水機能付鋼材。
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