以下、本発明にかかる実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、実施形態における太陽電池評価装置の構成を示す図である。第1実施形態における太陽電池評価装置Saは、ライトソーキングが必要な評価対象の太陽電池SMを所定の評価項目で評価する装置であって、例えば、図1に示すように、評価光照射部1と、LS光照射部2と、検出部3と、演算制御部4aと、入力部5と、出力部6と、インターフェース部(IF部)7と、記憶部8と、照射光学系9とを備える。
評価光照射部1は、演算制御部4aの制御に従い、前記所定の評価項目で評価を行うための評価光を照射する装置である。本実施形態では、前記所定の評価項目が太陽電池の分光感度であるので、評価光は、照射光エネルギーの分かる単色光であって、さらに、その単色光の波長が可変である必要がある。前記単色光の可変波長帯域は、前記太陽電池SMが感度を有する波長域を含む。このため、評価光照射部1は、演算制御部4aの制御に従って、単色光の波長を選択(可変)する機能、前記単色光の放射光強度を調整する機能、および、前記単色光を点灯および消灯する機能等の諸機能を備える装置である。このような分光感度で評価するための評価光照射部1は、例えば、図1に示すように、評価光光源駆動制御部11と、評価光光源部12と、モノクロメータ14と、放射照度検知部17と、光学系13、15と、分岐光カプラ部16と、増幅部18とを備える。
評価光光源部12は、モノクロメータ14から射出される単色光の波長を含む、所定の波長帯域の光を放射する光源装置であり、例えば、キセノンランプ等の白色ランプである。キセノンランプは、輝度および色温度が高く、そして、紫外から可視を介して赤外までの広帯域に亘る連続スペクトルで光を放射するため、分光感度の測定に好適である。評価光光源駆動制御部11は、演算制御部4aの制御に従って、例えば評価光光源部12で放射される前記光の放射(点灯)および停止(消灯)の駆動制御や前記光の放射光強度の調整制御等の、評価光光源部12を駆動および制御する装置である。
光学系13および光学系15は、その用途に応じて光を集中、または、コリメート(平行光化)させるためのレンズ等の光学素子である。評価光光源駆動制御部11の制御に従って評価光光源部12から放射された光は、光学系13を介してモノクロメータ14へ入射される。
モノクロメータ14は、演算制御部4aの制御に従い、評価光光源部12から光学系13を介して入射された光を、演算制御部4aの指示(選択)に応じた所定の波長で単色光化して射出する装置である。モノクロメータ14は、例えば、評価光光源部12から放射された前記所定の波長帯域の光を空間的に分散させ、それをスリット等で狭い範囲の波長のみを取り出す分光器である。このようなモノクロメータ14は、例えば、入射スリット、第1反射鏡、回折格子、第2反射鏡および出射スリットを備え、入射スリットを介して入射された入射光束を第1反射鏡で回折格子へ反射し、回折格子で回折された入射光束の回折光を第2反射鏡で出射スリットへ反射する装置である。モノクロメータ14は、このような構成によって、回折格子等を回転させてスリットの位置に到達する光の波長を選択させ、所望の範囲の波長のみを取り出すこと(単色光化)ができる。モノクロメータ14は、前記所望する範囲の波長を取り出すように演算制御部4aによって制御される。モノクロメータ14から射出された評価光としての単色光は、光学系15を介して分岐光カプラ部16へ入射される。
分岐光カプラ部16は、入射光を2つの光に分配して射出する光部品である。分岐光カプラ部16に入射された単色光は、分岐光カプラ部16で分配され、その一方は、放射照度検知部17に入射され、その他方は、照射光学系9を介して、評価対象の太陽電池SMへ入射される。
放射照度検知部17は、分岐光カプラ部16によって分配された単色光(モノクロメータ14から射出された単色光)の放射照度(分光放射照度ではない)を測定する装置(基準検知器)であり、その測定結果を増幅部18へ出力する。増幅部18は、放射照度検知部17で測定された放射照度を所定の増幅率で増幅して演算制御部4aへ出力する。
ライトソーキング光照射部(LS光照射部)2は、演算制御部4aの制御に従い、ライトソーキングのためのライトソーキング光(LS光)を照射する装置である。LS光における放射光強度および波長帯は、評価対象の太陽電池SMにおけるライトソーキングに関する特性に応じて適宜に選択される。このため、LS光照射部2は、演算制御部4aの制御に従って、LS光の放射光強度を調整する機能、および、前記LS光を点灯および消灯する機能等の諸機能を備える装置である。このような分光感度で評価するための評価光照射部1は、例えば、図1に示すように、光学系21と、ライトソーキング光光源部(LS光光源部)22と、ライトソーキング光光源駆動制御部(LS光光源駆動制御部)23とを備える。
LS光光源部22は、ライトソーキングのための所定の波長帯域の光を放射する光源装置であり、評価対象の太陽電池SMに応じて適宜に選択される。例えば、前記太陽電池SMが太陽光による発電を目的する太陽電池である場合では、LS光光源部22は、JIS C 8912(1998年)に規格されているような、相対分光照度および放射照度がともに自然太陽光(例えば1000W/m2でAM1.5等の太陽光)に近似した白色光を放射するいわゆるソーラシミュレータであることが好ましい。また例えば、前記太陽電池SMが室内光による発電を目的する太陽電池である場合では、LS光光源部22は、例えば10W/m2で電球、蛍光灯、白色LEDおよびタングステンランプ等の室内照明に用いられる光源装置であることが好ましい。このようにLS光光源部22は、前記太陽電池SMが発電のために受光する光に近似した相対分光照度および放射照度を持つ光を放射する光源装置であることが好ましい。
LS光光源駆動制御部23は、演算制御部4aの制御に従って、例えばLS光の放射(点灯)および停止(消灯)の駆動制御やLS光の放射光強度の調整制御等の、LS光光源部22を駆動および制御する装置である。光学系21は、その用途に応じて光を集中、または、コリメート(平行光化)させるためのレンズ等の光学素子である。LS光光源駆動制御部23の制御に従ってLS光光源部22から放射されたLS光は、光学系21を介して照射光学系9へ入射される。
照射光学系9は、評価光照射部1から放射された評価光(本実施形態では単色光)を評価対象の太陽電池SMへ照射し、また、LS光照射部2から放射されたLS光を前記太陽電池SMへ照射する光学系である。
評価光は、前記太陽電池SMに略均一な照度分布で照射されることが好ましく、このため、照射光学系9は、評価光照射部1から放射された評価光を略均一な照度分布で照射するための光学系91を備えている。そして、前記太陽電池SMにおけるLS光が照射されたLS光照射領域内に、評価光も照射される必要がある一方、評価光照射部1の光軸とLS光照射部2の光軸とが本実施形態では直交しているため、照射光学系9は、LS光照射部2の光路を曲げる光学素子92をさらに備えている。この光学素子92には、例えば、本実施形態では、前記太陽電池SMの法線方向に沿って評価光およびLS光を照射するために、ハーフミラー92が用いられている。
このような構成の照射光学系9では、LS光照射部2から放射されたLS光は、ハーフミラー92に入射され、ハーフミラー92で反射してその進行方向(光路)が90度折り曲げられたLS光は、前記太陽電池SMに照射され、そして、評価光照射部1から放射された評価光は、光学系91を介してハーフミラー92に入射され、ハーフミラー92を透過した評価光は、前記LS光のLS光照射領域内で前記太陽電池SMに照射される。
なお、本実施形態では、照射光学系9は、上述したように、前記太陽電池SMの法線方向に沿って評価光およびLS光を照射するために、ハーフミラー92を備えて構成されたが、例えば、前記太陽電池SMの法線を含む前記太陽電池SMの垂直面内で、評価光照射部1の光軸とLS光照射部2の光軸とが前記太陽電池SMの表面上で交差(例えばV字で交差)するように、評価光照射部1とLS光照射部2と配置される場合には、ハーフミラー92を省略することができる。
検出部3は、評価項目に応じた評価対象の太陽電池SMの出力を検出する装置である。本実施形態では、前記所定の評価項目が太陽電池の分光感度であるので、検出部3は、前記太陽電池SMの電圧および電流が分かる装置である。より具体的には、検出部3は、演算制御部4aの制御に従った所定の電圧値の電圧Vbを前記太陽電池SMに印加して前記太陽電池SMの出力電流Iを測定することができるとともに、前記所定の電圧値を変えることができる、いわゆるソースメータである。検出部3は、その検出した前記太陽電池SMの出力を演算制御部4aへ出力する。
演算制御部4aは、各部を当該機能に応じてそれぞれ制御することによって太陽電池評価装置Sa全体の動作を司るとともに、前記太陽電池SMの評価を求める装置である。演算制御部4aは、例えば、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等の記憶素子およびこれらの周辺回路とを備えて構成されるマイクロコンピュータ等である。
演算制御部4aには、演算制御プログラムが実行されることによって、制御部41、照射制御部42aおよび評価部43が機能的に構成される。
制御部41は、検出部2、入力部5、出力部6、IF部7および記憶部8等の各部を当該機能に応じてそれぞれ制御することによってこれら各部の動作を司るものである。
照射制御部42aは、評価光照射部1およびLS光照射部2を制御するものである。照射制御部42aは、本実施形態では、評価光照射部1に対し、評価光としての単色光の波長の選択、放射光強度および点消灯を後述のように制御し、そして、LS光照射部2に対し、LS光の放射光強度および点消灯を後述のように制御する。前記LS光の点消灯の制御に関し、照射制御部42aは、予め設定された所定の条件を満たすまで、前記太陽電池SMにLS光を照射するように、LS光照射部2を制御する。より具体的には、本実施形態では、照射制御部42aは、LS光の照射開始(点灯開始)からの経過時間が、予め設定された、前記太陽電池SMまたは前記太陽電池SMと同種の太陽電池が光の照射開始から定常状態となるまでの設定時間となった場合に、前記予め設定された所定の条件を満たすと判定する。前記設定時間は、ライトソーキングの実施時間(ライトソーキング時間、LS時間)であり、本実施形態では、後述するように、評価前に実測される実測時間である。なお、前記設定時間は、他の測定装置を用いることによって評価対象の前記太陽電池SMまたはこの太陽電池SMと同種の太陽電池について予め実測し、本機Sの記憶部8に入力部5を介して記憶されてもよい。また、前記設定時間は、同種の複数の太陽電池に対してそれぞれ測定し、それらの平均値を求める平均処理等の統計処理された値であることが好ましい。
同種の太陽電池とは、同じ組成および構造を持つものである。好ましくは、同種の太陽電池は、同じ組成および構造を持ち、かつ、同じ製造条件で製造されたものである。
評価部43は、評価光照射部1によって評価光を前記太陽電池SMに照射することで得られた検出部3の検出結果に基づいて所定の評価項目で前記太陽電池SMを評価するものである。より具体的には、本実施形態では、評価部43は、評価光照射部1によって単色光を前記太陽電池SMに照射することで検出部3で得られた前記太陽電池SMの出力電流、放射照度検知部17で得られた前記単色光の放射照度および予め記憶された前記太陽電池SMにおける単色光の照射領域面積に基づいて前記太陽電池SMの分光感度を求める。
入力部5は、外部からコマンド(命令)やデータ等を太陽電池評価装置Saに入力するための装置であり、例えばタッチパネルやキーボード等である。出力部6は、入力部5から入力されたコマンドやデータおよび演算制御部4aの演算結果等を出力するための装置であり、例えばLCD(液晶ディスプレイ)や有機ELディスプレイ等の表示装置や、例えばプリンタ等の印刷装置である。IF部7は、本太陽電池評価装置Saと外部の他の装置との間で互いにデータを交換するための通信インターフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)規格に対応した装置やRS232C規格に対応した装置である。記憶部8は、例えばハードディスク装置やCD−Rドライブ装置等の外部記憶装置であり、例えば、検出部3の検出結果や演算制御部4aの演算結果等を記憶するものである。
これら太陽電池評価装置Saの演算制御部4a、入力部5、出力部6、IF部7および記憶部8は、例えば、マイクロプロセッサ、メモリおよび周辺機器を備えるパーソナルコンピュータによって構成可能である。
次に、本実施形態の動作について説明する。図2は、第1実施形態における太陽電池評価装置の動作を示すフローチャート図である。図3は、実施形態の太陽電池評価装置における測定タイミングを説明するための図である。
図2において、まず、評価対象の太陽電池SMが太陽電池評価装置Saにおける図略の試料台等の所定の位置に配置(セット)される(S11)。そして、オペレータ(ユーザ)が入力部5を介して太陽電池評価装置Saに評価開始の指示を与える。評価開始の指示を受け付けた演算制御部4aは、前記太陽電池SMの評価を開始する。
そして、第1に、演算制御部4aは、前記設定時間としての前記太陽電池SMにおけるLS時間を決定する。より具体的には、このLS時間を決定するために、演算制御部4aの照射制御部42aは、LS光照射部2を制御することによって前記太陽電池SMにLS光を照射するとともに、計時を開始する(S12)。そして、照射制御部42aは、前記太陽電池SMの出力を検出部3によって検出する(S13)。すなわち、照射制御部42aの制御に従ってLS光光源駆動制御部23は、LS光光源部22を駆動し、LS光光源部22に所定の光強度でLS光を放射させるとともに、ライトソーキング時間を求めるために計時を開始する。LS光光源部22から放射されたLSは、光学系21および光学系9のハーフミラー92を介して前記太陽電池SMに照射される。前記太陽電池SMにLS光が入射されると、前記太陽電池SMは、光起電力効果によって光エネルギーを直接電力へ変換し、電流を出力し、その出力電流の電流値Iは、検出部3によって測定され(その電圧値Vbは検出部3によって設定される)、検出部3は、その測定結果の電流値Iを演算制御部4aへ出力する。これによって前記太陽電池SMの出力電流が測定される。
次に、照射制御部42aは、検出部3から入力された測定結果の電流値Iに基づいて前記太陽電池SMが定常状態になっているか否か(安定したか否か)を判定する(S14)。この判定は、所定の単位時間変化に対する太陽電池の出力電流の変化が無いまたは所定の範囲内であるか否かによって判断され、所定の単位時間変化に対する太陽電池の出力電流の変化が無いまたは所定の範囲内である場合では、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定され、それ以外の場合では、前記太陽電池SMが過渡状態である(安定していない)と判定される。
より具体的には、検出部3が所定のサンプリング間隔で前記太陽電池SMの出力電流をサンプリング(検出)している場合に、前記所定の単位時間は、このサンプリング間隔とされる。そして、照射制御部42aは、今回jのサンプリング(検出)によって検出部3で得られた前記太陽電池SMの出力電流Ijから前回j−1のサンプリング(検出)によって検出部3で得られた前記太陽電池SMの出力電流Ij−1を減算し、その減算結果の絶対値(=|Ij−Ij−1|)が予め設定された所定の閾値Th1以下であるか否かを判断する(|Ij−Ij−1|≦Th1?)。この判断の結果、前記減算結果の絶対値が前記所定の閾値以下である場合(|Ij−Ij−1|≦Th1)には、照射制御部42aは、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定され、前記減算結果の絶対値が前記所定の閾値を超えている場合(|Ij−Ij−1|>Th1)には、照射制御部42aは、前記太陽電池SMが過渡状態である(安定していない)と判定される。また例えば、JIS C 8991によれば、温度が40〜60℃の範囲で、43kWh・m−2以上の積算照射量を1つの区間として、2つの連続する区間の測定値が(Pmax−Pmin)/Paverag<2%を満足する場合に、安定したと見なされる。なお、積算照射量は、LS光光源部22から放射されるLS光の放射照度、前記太陽電池SMにおけるLS光の照射領域面積およびサンプリング回数(1つの区間におけるLS光の照射時間)に基づいて求められ、前記太陽電池SMの出力電力Pは、検出部3の印加電圧Vbおよび検出部3で得られた前記太陽電池SMの出力電流Iに基づいて求められる。
なお、処理S14の判定は、上述した、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定される条件を、複数回(例えば3回や5回等)、満たした場合に、初めて、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判断してもよい。
処理S14における判定の結果、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定された場合(Yes)には、照射制御部42aは、前記計時を終了し、LS光照射部2を制御することによってLS光の放射を停止し、次の処理S15を実行する。一方、前記処理S14の判定の結果、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定されない場合(No)には、照射制御部42aは、処理を上述の処理S13に戻し、実行する。すなわち、次のサンプリングが行われる。
例えば、図3に示すように、LS光の照射を開始した時点T10から、評価対象の太陽電池SMは、電流を出力し始め、LS光の照射の継続に伴って出力電流は、徐々に大きくなる。この過渡状態では、処理S14における判定の結果は、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定されないので、処理は、処理S13に戻され、処理S13および処理S14が繰り返される。このため、過渡状態では、LS光の照射が継続される。LS光の照射が継続されると、前記太陽電池SMの出力電流は、図3に示すように、やがて飽和して略一定となり、経過時間に対する出力電流を表す図3の曲線における今回jの点での接線の傾きが略ゼロとなる。この時点T11では、処理S14における判定の結果は、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定されるので、LS光の照射が停止されるともに計時が終了され、次の処理S15が実行される。
処理S15において、照射制御部42aは、処理S12で計時を始めてから処理S14で計時を終了するまでの時間を、ライトソーキングを実施する実施時間である前記設定時間とする。これによって、前記太陽電池SMがライトソーキングの開始から安定するまでの待ち時間が評価前の実測によって決定される。
そして、第2に、演算制御部4aは、所定の評価項目の評価を行う。本実施形態では、前記所定の評価項目が太陽電池の分光感度であるので、演算制御部4aは、太陽電池の分光感度を測定する。より具体的には、処理S15の次に、照射制御部42aは、評価光照射部1を制御することによって評価光照射部1から放射されるべき単色光の波長を設定する(S16)。最初の測定では、単色光の波長は、測定波長範囲における測定開始の場合の波長λ0(例えば300nm等)に設定され、次回以降の測定では、単色光の波長は、所定の波長間隔Δλ(例えば5nm等)で順次に設定される(λn=λ0+n×Δλ)。なお、本実施形態では、分光感度における各波長の感度は、短波長側から長波長側へ順次に測定されるが、逆に、長波長側から短波長側へ順次に測定されてもよく、また例えば、測定波超範囲でランダム(無作為)の順番で測定されてもよい。
次に、照射制御部42aは、LS光照射部2を制御することによって前記太陽電池SMにLS光を照射するとともに、計時を開始する(S17)。前記太陽電池SMには、上述の動作と同様の動作によってLS光が照射される。
次に、照射制御部42aは、処理S15で設定した設定時間だけ時間待ち(Wait)を行う(S18)。この間、LS光照射部2は、前記太陽電池SMにLS光を照射し続け、ライトソーキングが行われる。
設定時間が経過すると、照射制御部42aは、LS光照射部2を制御することによってLS光の放射を停止する(S19)。これによってライトソーキングが終了する。
次に、照射制御部42aは、評価光照射部1を制御することによって前記太陽電池SMに処理S16で設定した波長の単色光を照射する。そして、単色光が照射されると、放射照度検知部17は、単色光の放射照度を測定し、その測定結果を増幅部18を介して演算制御部4aに出力し、検出部3は、前記太陽電池SMの出力(本実施形態では出力電流I)を測定し、この測定結果を演算制御部4aに出力する(S20)。
より具体的には、照射制御部42aの制御に従って評価光光源駆動制御部11は、評価光光源部12を駆動し、評価光光源部12に前記所定の波長帯域の前記光を放射させる。評価光光源部12から放射された前記所定の波長帯域の前記光は、光学系13を介してモノクロメータ14に入射される。モノクロメータ14は、この入射された前記所定の波長帯域の前記光から、照射制御部42aの制御に従って処理S16で設定された波長λkの光(単色光)を抽出し、この所望の波長λkの単色光を射出する。これによって前記所定の波長帯域の前記光は、モノクロメータ14によって単色光化される。このモノクロメータ14から射出された波長λkの単色光は、光学系15を介して分岐光カプラ部16に入射される。分岐光カプラ部16は、この入射された単色光を2つに分配し、その一方を放射照度検知部17に入射させ、その他方を評価光照射部1から放射させる。分岐光カプラ部16から単色光が入射されると、放射照度検知部17は、単色光を検出し、その検出結果を増幅部18へ出力する。増幅部18は、予め設定された増幅率で放射照度検知部17の出力を増幅し、波長λkの単色光の放射照度として演算制御部4aへ出力する。評価光照射部1から放射された単色光は、照射光学系9に入射され、照射光学系9の光学系91およびハーフミラー92を介して、前記太陽電池SMにおける処理S17ないし処理S19でLS光が照射されていたLS光照射領域内に、照射される。波長λkの単色光が入射されると、前記太陽電池SMは、光起電力効果によって光エネルギーを直接電力へ変換し、その出力電流は、検出部3によって測定される。ここで、前記太陽電池SMには、演算制御部4aの制御に従って設定された電圧値Vbの電圧が印加される。検出部3は、この測定結果を演算制御部4aに出力する。これによって波長λkの分光感度を求めるためのデータが測定される。
次に、照射制御部42aは、分光感度を求めるために、予め設定された全ての波長について測定を終了したか否かを判定する(S21)。この処理S21における判定の結果、全ての波長について測定を終了している場合(Yes)には、次の処理S22が実行される。一方、処理S21における判定の結果、全ての波長について測定を終了していない場合(No)には、次の波長λk+1のデータを取得するために、処理が処理S16に戻される。
例えば、図3に示すように、処理S17によってLS光の照射を開始した時点T12から、評価対象の太陽電池SMは、電流を出力し始め、LS光の照射の継続に伴って出力電流は、徐々に大きくなる(過渡状態)。処理S18の設定時間だけ時間待ちした時点T13では、ライトソーキングにより、評価対象の太陽電池SMは、定常状態となり、その出力電流は、略一定となる。そして、処理S19によってLS光の照射が終了され、処理S20によって波長λkの分光感度を求めるためのデータが測定される。そして、処理S21で処理が処理S16に戻され、図3に示すように、時点T14で処理S17によってLS光の照射が開始され、同様な動作が繰り返される。このように本実施形態では、測定波長範囲における各波長ごとにライトソーキングが行われ、波長λkの分光感度を求めるためのデータが測定される。
そして、処理S22では、評価部43は、処理S16ないし処理S21を実行することによって取得された検出部3の検出結果に基づいて前記太陽電池SMを評価する。本実施形態では、評価部43は、各波長λkの各データのそれぞれについて、評価光照射部1によって単色光を前記太陽電池SMに照射することで検出部3で得られた前記太陽電池SMの出力電流、放射照度検知部17で得られた、単位面積当たりの前記単色光の放射照度および予め記憶された前記太陽電池SMにおける単色光の照射領域面積に基づいて前記太陽電池SMにおける各波長λkの分光感度を求め、これらを前記太陽電池SMの分光感度とする。
そして、評価部43は、各波長λkの各データおよび前記太陽電池SMの分光感度を出力部6に出力し、必要に応じてこれらをIF部7へ出力し、また必要に応じてこれらを記憶部8へ出力して記憶させる。
本実施形態の太陽電池評価装置Saは、ライトソーキングの必要な評価対象の太陽電池SMの評価、本実施形態では、各波長λkの分光感度を求めるためのデータの測定を行うごとに、予め設定された所定の条件を満たすか否かが判定され、前記所定の条件を満たすまで、前記太陽電池SMにLS光を照射するので、ライトソーキングの必要な前記太陽電池SMをより高い信頼性で評価することができる。そして、このような構成の太陽電池評価装置Saは、照射制御部42が予め設定された所定の条件を満たすか否かの判定を自動的に行うので、機械任せにすることができ、前記太陽電池SMをより少ない手間で評価することができる。
また、本実施形態の太陽電池評価装置Saは、予め設定された光の照射開始から定常状態となるまでの前記設定時間、評価対象の太陽電池SMにLS光を照射するので、より確実に前記太陽電池SMが定常状態となった状態で評価光による検出結果を得られるから、より高い信頼性で評価することができる。
そして、本実施形態の太陽電池評価装置Saでは、各波長ごとにライトソーキングを行うので、確実に定常状態でのデータが得られるから、より高い信頼性で評価することができる。
また、本実施形態の太陽電池評価装置Saは、評価対象の太陽電池SMごとに定常状態となるまでの時間のバラツキがある場合でも、前記設定時間を評価前に実測するので、このようなバラツキに対処することができ、より高い信頼性で評価することができる。
次に、別の実施形態について説明する。
(第2実施形態)
上述の第1実施形態の太陽電池評価装置Saは、LS光の照射開始から定常状態となるまでのLS時間を実測し、各評価(測定)の際には、前記LS時間でライトソーキングを行ったが、第2実施形態の太陽電池評価装置Sbは、定常状態の電流値を実測し、各評価(測定)の際には、ライトソーキングの開始から前記定常状態の電流値となるまでライトソーキングを行うものである。
このため、第2実施形態の太陽電池評価装置Sbは、第1実施形態の太陽電池評価装置Saにおける演算制御部4aに代え、演算制御部4bを用いる点を除き、第1実施形態の太陽電池評価装置Saと同様である。すなわち、第2実施形態の太陽電池評価装置Sbは、評価光照射部1と、LS光照射部2と、検出部3と、演算制御部4bと、入力部5と、出力部6と、IF部7と、記憶部8と、照射光学系9とを備え、これら第2実施形態の太陽電池評価装置Sbにおける評価光照射部1、LS光照射部2、検出部3、入力部5、出力部6、IF部7、記憶部8および照射光学系9は、それぞれ、第1実施形態の太陽電池評価装置Saにおける評価光照射部1、LS光照射部2、検出部3、入力部5、出力部6、IF部7、記憶部8および照射光学系9と同様であり、その説明を省略する。なお、図1には、第2実施形態の太陽電池評価装置Sbにおいて、第1実施形態の太陽電池評価装置Saと異なる構成の符号が括弧書きで示されている。
演算制御部4bは、第1実施形態の演算制御部4aと同様に、各部を当該機能に応じてそれぞれ制御することによって太陽電池評価装置Sb全体の動作を司るとともに、前記太陽電池SMの評価を求める装置である。演算制御部4bには、演算制御プログラムが実行されることによって、制御部41、照射制御部42bおよび評価部43が機能的に構成される。これら第2実施形態の演算制御部4bにおける制御部41おとび評価部43は、それぞれ、第1実施形態の演算制御部4aにおける制御部41おとび評価部43と同様であるので、その説明を省略する。
照射制御部42bは、評価光照射部1およびLS光照射部2を制御するものである。照射制御部42bは、本実施形態では、評価光照射部1に対し、評価光としての単色光の波長の選択、放射光強度および点消灯を後述のように制御し、そして、LS光照射部2に対し、LS光の放射光強度および点消灯を後述のように制御する。前記LS光の点消灯の制御に関し、照射制御部42bは、予め設定された所定の条件を満たすまで、前記太陽電池SMにLS光を照射するように、LS光照射部2を制御する。より具体的には、本実施形態では、照射制御部42bは、検出部3によって検出された前記太陽電池SMの出力が、予め設定された、前記太陽電池SMまたは前記太陽電池SMと同種の太陽電池における定常状態での、設定出力値となった場合に、前記予め設定された所定の条件を満たすと判定する。
なお、好ましくは、照射制御部42bは、検出部3によって検出された前記太陽電池SMの出力が、所定の範囲内で、予め設定された前記設定出力値となった場合に、前記予め設定された所定の条件を満たすと判定する。そして、前記所定の範囲は、外部から入力部5によって入力されてもよい。例えば、JIS C 8991を参考に、出力短絡電流が(その最大値(max)−その最小値(min))/その平均値(avg)<2%の2%とされてよい。このような構成では、前記所定の範囲を外部から入力されるので、評価に求められる信頼性に応じて適宜に前記所定の範囲を変えることができる。あるいは、前記所定の範囲は、検出部3の電流レンジ、測定系のインピーダンスおよび太陽電池評価装置Sbの仕様によって規定された測定精度等から自動的に決定されてもよい。
また、前記設定出力値は、他の測定装置を用いることによって評価対象の前記太陽電池SMまたはこの太陽電池SMと同種の太陽電池について予め実測し、本機Sbの記憶部8に入力部5を介して記憶されてもよい。また、前記設定出力値は、同種の複数の太陽電池に対してそれぞれ測定し、それらの平均値を求める平均処理等の統計処理された値であることが好ましい。
次に、本実施形態の動作について説明する。図4は、第2実施形態における太陽電池評価装置の動作を示すフローチャート図である。
図4において、まず、図2に示すS11と同様に、評価対象の太陽電池SMが太陽電池評価装置Sbにおける図略の試料台等の所定の位置に配置(セット)される(S31)。そして、オペレータ(ユーザ)が入力部5を介して太陽電池評価装置Sbに評価開始の指示を与える。評価開始の指示を受け付けた演算制御部4bは、前記太陽電池SMの評価を開始する。
そして、第1に、演算制御部4bは、前記設定出力値としての前記太陽電池SMにおける定常状態の出力値を決定する。より具体的には、この前記定常状態の出力値を決定するために、演算制御部4bの照射制御部42bは、LS光照射部2を制御することによって前記太陽電池SMにLS光を照射する(S32)。そして、照射制御部42bは、前記太陽電池SMの出力を検出部3によって検出する(S33)。すなわち、照射制御部42bの制御に従ってLS光光源駆動制御部23は、LS光光源部22を駆動し、LS光光源部22に所定の光強度でLS光を放射させる。これによって前記太陽電池SMにはLS光が照射され、前記太陽電池SMの出力電流の電流値Iは、検出部3によって測定され(その電圧値Vbは検出部3によって設定される)、検出部3は、その測定結果の電流値Iを演算制御部4bへ出力する。これによって前記太陽電池SMの出力電流が測定される。
次に、演算制御部4bの照射制御部42bは、図2に示すS14と同様に、検出部3から入力された測定結果の電流値Iに基づいて前記太陽電池SMが定常状態になっているか否か(安定したか否か)を判定する(S34)。
処理S34の判定の結果、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定されない場合(No)には、照射制御部42bは、処理を上述の処理S33に戻し、実行する。すなわち、次のサンプリングが行われる。一方、前記処理S34における判定の結果、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定された場合(Yes)には、次の処理S35を実行する。
例えば、図3に示すように、LS光の照射を開始した時点T10から、評価対象の太陽電池SMは、電流を出力し始め、LS光の照射の継続に伴って出力電流は、徐々に大きくなる。この過渡状態では、処理S34における判定の結果は、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定されないので、処理は、処理S33に戻され、処理S33および処理S34が繰り返される。このため、過渡状態では、LS光の照射が継続される。LS光の照射が継続されると、前記太陽電池SMの出力電流は、図3に示すように、やがて飽和して略一定となり、経過時間に対する出力電流を表す図3の曲線における今回jの点での接線の傾きが略ゼロとなる。この時点T11では、処理S34における判定の結果は、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定されるので、処理は、次の処理S35が実行される。
処理S35において、照射制御部42bは、検出部3の出力の出力値をサンプリングし、この出力値を前記太陽電池SMの定常状態の出力値とし、これを設定出力値Isetとする。これによって、前記太陽電池SMがライトソーキングの開始から安定し、前記定常状態での出力値が評価前の実測によって決定される。そして、照射制御部42bは、LS光照射部2を制御することによってLS光の放射を停止する。なお、この処理S35において、処理S34で前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定した場合における検出部3の出力の出力値を設定出力値Isetとしてもよい。すなわち、処理S35における上述のサンプリングが省略され、処理S34でLS光の放射が停止されてもよい。
そして、第2に、演算制御部4bは、所定の評価項目の評価を行う。本実施形態では、前記所定の評価項目が太陽電池の分光感度であるので、演算制御部4bは、太陽電池の分光感度を測定する。より具体的には、前記処理S35の次に、照射制御部42bは、図2に示す処理S16と同様に、評価光照射部1を制御することによって評価光照射部1から放射されるべき単色光の波長を設定する(S36)。
次に、照射制御部42bは、LS光照射部2を制御することによって前記太陽電池SMにLS光を照射する(S37)。そして、照射制御部42bは、前記太陽電池SMの出力を検出部3によって検出する(S38)。上述の動作と同様の動作によって、前記太陽電池SMには、LS光が照射され、前記太陽電池SMの出力電流の電流値Iが検出部3から演算制御部4bへ出力され、前記太陽電池SMの出力電流が測定される。
次に、照射制御部42bは、前記処理S35で設定された設定出力値Isetを用いることによって、検出部3から入力された測定結果の電流値Iに基づいて前記太陽電池SMが定常状態になっているか否か(安定したか否か)を判定する(S39)。この判定は、検出部3から入力された測定結果の電流値Iが略設定出力値Isetと一致した場合には、前記太陽電池SMが定常状態になっていると判定され、一致しない場合には、前記太陽電池SMが定常状態になっていると判定されない。例えば、照射制御部42bは、前記設定出力値Isetから、今回jのサンプリング(検出)によって検出部3で得られた前記太陽電池SMの出力電流Ijを減算し、その減算結果の絶対値(=|Iset−Ij|)が予め設定された所定の閾値Th2以下であるか否かを判断する(|Iset−Ij|≦Th2?)。この判断の結果、前記減算結果の絶対値が前記所定の閾値以下である場合(|Iset−Ij|≦Th2)には、照射制御部42bは、前記太陽電池SMが定常状態になっている(安定した)と判定され、前記減算結果の絶対値が前記所定の閾値を超えている場合(|Iset−Ij|>Th2)には、照射制御部42bは、前記太陽電池SMが過渡状態である(安定していない)と判定される。
この処理S39の判定の結果、前記太陽電池SMが定常状態になっていると判定されない場合(前記太陽電池SMが過渡状態である(安定していない)と判定される場合)(No)には、照射制御部42bは、処理を処理S38に戻す。すなわち、LS光照射部2は、前記太陽電池SMにLS光を照射し続け、ライトソーキングが行われる。
一方、前記処理S39の判定の結果、前記太陽電池SMが定常状態になっていると判定される場合(Yes)には、照射制御部42bは、図2に示す処理S19と同様に、LS光照射部2を制御することによってLS光の放射を停止する(S40)。これによってライトソーキングが終了する。
次に、図2に示す処理S20と同様に、照射制御部42bは、評価光照射部1を制御することによって前記太陽電池SMに処理S36で設定した波長λkの単色光を照射する。そして、単色光が照射されると、放射照度検知部17は、単色光の放射照度を測定し、その測定結果を増幅部18を介して演算制御部4bに出力し、検出部3は、前記太陽電池SMの出力(本実施形態では出力電流I)を測定し、この測定結果を演算制御部4bに出力する(S41)。これによって波長λkの分光感度を求めるためのデータが測定される。
次に、照射制御部42bは、図2に示す処理S21と同様に、分光感度を求めるために、予め設定された全ての波長について測定を終了したか否かを判定する(S42)。この処理S42における判定の結果、全ての波長について測定を終了している場合(Yes)には、次の処理S43が実行される。一方、処理S42における判定の結果、全ての波長について測定を終了していない場合(No)には、次の波長λk+1のデータを取得するために、処理が処理S36に戻される。
例えば、図3に示すように、処理S37によってLS光の照射を開始した時点T12から、評価対象の太陽電池SMは、電流を出力し始め、LS光の照射の継続に伴って出力電流は、徐々に大きくなる(過渡状態)。そして、時点T13では、ライトソーキングにより、評価対象の太陽電池SMは、定常状態となり、その出力電流は、略設定出力値Isetとなる。そして、処理S39の判定を介して、処理S40によってLS光の照射が終了され、処理S41によって波長λkの分光感度を求めるためのデータが測定される。そして、処理S42で処理が処理S36に戻され、図3に示すように、時点T14で処理S37によってLS光の照射が開始され、同様な動作が繰り返される。このように本実施形態では、測定波長範囲における各波長ごとにライトソーキングが行われ、波長λkの分光感度を求めるためのデータが測定される。
そして、処理S43では、評価部43は、処理S36ないし処理S42を実行することによって取得された検出部3の検出結果に基づいて前記太陽電池SMを評価する。本実施形態では、評価部43は、各波長λkの各データのそれぞれについて、評価光照射部1によって単色光を前記太陽電池SMに照射することで検出部3で得られた前記太陽電池SMの出力電流、放射照度検知部17で得られた、単位面積当たりの前記単色光の放射照度および予め記憶された前記太陽電池SMにおける単色光の照射領域面積に基づいて前記太陽電池SMにおける各波長λkの分光感度を求め、これらを前記太陽電池SMの分光感度とする。
そして、評価部43は、各波長λkの各データおよび前記太陽電池SMの分光感度を出力部6に出力し、必要に応じてこれらをIF部7へ出力し、また必要に応じてこれらを記憶部8へ出力して記憶させる。
本実施形態の太陽電池評価装置Sbは、第1実施形態の太陽電池評価装置Saと同様に、ライトソーキングの必要な前記太陽電池SMをより高い信頼性で評価することができ、前記太陽電池SMをより少ない手間で評価することができる。
また、本実施形態の太陽電池評価装置Sbは、予め設定された光の照射開始から、定常状態で出力される前記設定出力値まで、評価対象の太陽電池SMにLS光を照射するので、より確実に前記太陽電池SMが定常状態となった状態で評価光による検出結果を得られるから、より高い信頼性で評価することができる。
そして、本実施形態の太陽電池評価装置Sbでは、各波長ごとにライトソーキングを行うので、確実に定常状態でのデータが得られるから、より高い信頼性で評価することができる。
また、本実施形態の太陽電池評価装置Sbは、評価対象の太陽電池SMごとに定常状態の出力値にバラツキがある場合でも、前記設定出力値を評価前に実測するので、このようなバラツキに対処することができ、より高い信頼性で評価することができる。
なお、ライトソーキングの効果は、図6に示すように、直ちに消失するものではないので、ライトソーキング光の照射停止後、第1および第2太陽電池評価装置Sa、Sbの各仕様によって許容される各誤差の範囲内で、複数回測定することも可能である。このため、上述の第1および第2実施形態において、1回のライトソーキング後に、複数回、評価光を前記太陽電池SWに照射し、検出部3から各評価光に対する検出結果を得るように、第1および第2太陽電池評価装置Sa、Sbが構成されてもよい。
前記1回のライトソーキングで測定される回数は、例えば、ライトソーキング効果の維持時間を予め実測することで、その維持時間および太陽電池評価装置Sa、Sbに仕様によって許容される精度等に基づいて予め設定される。ライトソーキング効果の維持期間の測定は、例えば、ライトソーキング後に単色光またはライトソーキングに使用したエネルギーより十分小さいエネルギーの白色光で前記太陽電池SMに照射し、その出力電流を連続的に測定することによって行われる。ライトソーキング効果の維持期間中では、出力電流は、一定しているが、ライトソーキング効果が薄れるに従って出力電流が変化し、完全にその効果がなくなった時点ではその出力電流で安定する。この出力電圧が変化するまでの時間を計測することで、ライトソーキング効果の維持時間を測定することができる。
例えば、第1および第2実施形態の太陽電池評価装置Sa、Sbにおいて、照射制御部42a、42bは、1回のライトソーキング後(例えば図5に示す時点T20から時点T21までのライトソーキング後)に、複数の波長(例えば上記図5に示すD1、D2、D3、D4、D5、D6の6個の波長)に対して、評価光を前記太陽電池SMに照射するように、評価光照射部1を制御し、評価部43、43は、1回のライトソーキング後に、複数の波長に対して、評価光照射部1、1によって前記評価光を前記太陽電池SMに照射することで検出部3、3によって得られた前記太陽電池SMの出力電流に基づいて前記太陽電池SMの分光感度を求める。
より具体的には、第1実施形態の太陽電池評価装置Saでは、照射制御部42aは、1回のライトソーキング後に、複数の波長の個数だけ、処理S16ないし処理S20が繰り返され、処理S22では、評価部43は、上述と同様の処理を実行する。また、第2実施形態の太陽電池評価装置Sbでは、照射制御部42bは、1回のライトソーキング後に、複数の波長の個数だけ、処理S36ないし処理S41が繰り返され、処理S43では、評価部43は、上述と同様の処理を実行する。
このように構成することによって、第1および第2太陽電池評価装置Sa、Sbは、波長ごとにライトソーキングを行う場合に比較して、分光感度の測定時間をより短くすることができる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。