図1は本発明の一実施例であるパチンコ機10(遊技機)の外観を示す外観斜視図であり、図2は本実施例のパチンコ機10の遊技盤30の構成の概略を示す構成図であり、図3は本実施例のパチンコ機10の制御回路の構成の概略を示すブロック図である。以下、第1種の遊技性と第2種の遊技性とを併せ持ったいわゆる1種2種混合タイプのパチンコ機に本発明を適用した例を説明する。なお、第1種の遊技性は、始動口に遊技球が入球したことを契機として特別図柄の変動表示を開始し、所定の大当り図柄で特別図柄が停止表示すると大当り遊技を開始する遊技性である。また、第2種の遊技性は、始動口に遊技球が入球したことを契機として可変入球装置に設けられた開閉部材(羽根)を開閉して小当り遊技を開始し、小当り遊技において開閉部材が開状態のときに可変入球装置内に入球した遊技球が可変入球装置内に設けられた特定領域(いわゆるV領域)を通過したことを契機として大当り遊技を開始する遊技性である。
[パチンコ機10の全体構成]
実施例のパチンコ機10は、図1に示すように、前面枠11に嵌め込まれたガラス板12(透明板)を介して盤面が視認可能に配置された遊技盤30(図2参照)と、遊技球を貯留する上受け皿14および下受け皿16と、上受け皿14に貯留されている遊技球を遊技盤30へ発射するための発射ハンドル18と、を備える。
前面枠11は、本体枠21に嵌め込まれており、左辺を回動軸として本体枠21に対して回動できるようになっている。本体枠21は、外枠22に嵌め込まれており、左辺を回動軸として外枠22に対して回動できるようになっている。なお、前面枠11と本体枠21は、略長方形状のプラスティック製の枠体として構成されている。また、外枠22は、略長方形状の木製の枠体として構成されており、パチンコホールの島設備の島枠に固定される。
また、前面枠11の左上部と右上部には、遊技の進行に伴って種々の効果音を鳴らしたり遊技者に遊技状態を報知したりするためのスピーカ28a,28bが設けられており、右端部には、前面枠11を本体枠21に対して施錠するための施錠装置29が設けられている。また、前面枠11の左側には、図示しないプリペイドカード式の球貸装置(CRユニット)が設けられている。
上受け皿14は、その上面部に、CRユニットに挿入されたカードの価値残高(有価残高)の範囲内で遊技球の貸し出しを指示するための球貸ボタン24aと、CRユニットに挿入されているカードの返却を指示するための返却ボタン24bとが配設されている。また、上受け皿14は、その上面中央部に、遊技者の操作に応じて各種演出を行うための演出ボタン26が配設されている。
発射ハンドル18は、前面枠11の右下部に設けられており、遊技者がハンドルに触れていることを検知するタッチセンサ18a(図3参照)や遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ18b(図3参照)が設けられている。発射ハンドル18の回転軸には、上受け皿14に貯留されている遊技球を1球ずつ打ち出すための図示しない発射装置が接続されており、発射ハンドル18が回転操作されると、発射装置が備える発射モータ19(図3参照)が回転し、これに伴って発射ハンドル18の操作量に応じた強さの打撃力で遊技球を打ち出す。
[遊技盤30の構成]
遊技盤30は、図2に示すように、外レール31aと内レール31bとによって囲まれる遊技領域31が形成されている。この遊技盤30は、遊技領域31の右部に配置され遊技球の通過を検知するゲートスイッチ32a(図3参照)を有する普通図柄作動ゲート32と、遊技領域31の右下部に配置された図柄表示装置40と、遊技領域31の中央部に配置された演出表示装置34と、演出表示装置34の周囲を囲むように配置されたセンター役物49と、センター役物49の下側に配置され遊技球の入球を検知する第1始動口スイッチ36a(図3参照)を有する第1始動口36と、第1始動口36の右側に配置され遊技球の入球を検知する第2始動口スイッチ38a(図3参照)を有する第2始動口38と、センター役物49の右部に形成され遊技球の入球を検知する第1大入賞口スイッチ44a(図3参照)を有する第1大入賞口44と、遊技領域31の右下部に開閉可能に配置され遊技球の入球を検知する第2大入賞口スイッチ46a(図3参照)を有する第2大入賞口46と、遊技領域31の左下部に配置され遊技球の入球を検知する一般入賞口スイッチ45a(図3参照)を有する一般入賞口45と、いずれの入賞口にも入らなかった遊技球を回収するためのアウト口47と、を備える。また、遊技盤30は、この他に、遊技領域31の左部には風車48が設けられ、上述した各入賞口の周辺には遊技球をガイドしたり弾いたりする図示しない多数の釘が設けられている。
第2始動口38は、普通電動役物として設けられる可変式の入球口であり、左右一対の翼片部38cと、翼片部38cを作動させる第2始動口ソレノイド38b(図3参照)と、を備える。この第2始動口38は、翼片部38cが直立しているときには遊技球の入球の可能性が比較的低い通常状態となり(図2の点線参照)、翼片部38cが左右に開いているときには遊技球の入球の可能性が通常状態よりも高い開放状態となる(図2の実線参照)。なお、本実施例では、翼片部38cが直立した通常状態においては、第2始動口38への遊技球の入球が不可能となるように構成されている。
第1大入賞口44は、特別電動役物として設けられる可変式の入球口であり、翼片部44cと、翼片部44cを作動させる第1大入賞口ソレノイド44b(図3参照)と、を備える。この第1大入賞口44は、通常は翼片部44cによって塞がれて遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態)とされており、小当り遊技(第1特定遊技)中や大当り遊技(第2特定遊技)中に、第1大入賞口ソレノイド44b(図3参照)によって翼片部44cが作動して右側に開くことで、遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態)となる。本実施例では、小当り遊技中の処理として、第1大入賞口44を所定時間(例えば、1.5秒)に亘って開状態とする。また、大当り遊技中の処理として、第1大入賞口44を第1所定時間(例えば5秒)に亘って開放する長開放と、第1所定時間よりも短い第2所定時間(例えば1.5秒)に亘って開放する短開放との2種類の開放態様のうち、後述するように図柄に応じていずれかを選択して開状態とする。なお、本実施例では、第1大入賞口44を開閉する開閉部材を翼片部44cとしたが、板状の開閉板とするなど、第1大入賞口44を開閉できるもの(第1大入賞口44を遊技球が入球可能な状態と入球不能な状態とに変化させるもの)であれば、如何なる部材を用いるものとしても構わない。
ここで、図4,図5は、第1大入賞口44の内部構成の概略を示す構成図である。図示するように、第1大入賞口44の内部は、第1大入賞口スイッチ44aが取り付けられ第1大入賞口44に入球した遊技球を鉛直下方へ流下させる第1流路51と、第1流路51から枝分かれし遊技球の通過を検知する特定領域通過スイッチ52aを有する特定領域52(いわゆるV領域)が形成された第2流路53と、第1流路51と間隔を空けて流路が連通するように第1流路51の鉛直下方に配置され遊技球の通過を検知する非特定領域通過スイッチ54aを有する非特定領域54(いわゆる外れ領域)が形成された第3流路55と、第1流路51と第3流路55との間に設けられ第1流路51を流下する遊技球を特定領域52(第2流路53)か非特定領域54(第3流路55)のいずれかに振り分ける振分装置60とが設けられている。
振分装置60は、電磁力によりプランジャ62を吸引する振分ソレノイド61と、プランジャ62に取り付けられたプランジャヘッド63と、プランジャヘッド63に接続され回転軸64aを中心に回動することによりプランジャヘッド63(プランジャ62)の直線状の動きを円弧状の動きに変換するリンク64と、リンク64に接続されリンク64の円弧状の動きによって第1流路51と第3流路55との間に出入することが可能な可動片65と、プランジャ62が吸引される方向(振分ソレノイド61側)とは反対方向にプランジャヘッド63(プランジャ62)を付勢するスプリング66とを備える。なお、可動片65には、第1流路51から分岐する第2流路52側に傾斜した傾斜面が形成されている。
この振分装置60は、振分ソレノイド61に通電しない非通電状態(非駆動状態)では、図4に示すように、スプリング66の付勢力によりプランジャヘッド63(プランジャ62)を押し出す。プランジャヘッド63が押し出されると、プランジャヘッド63にリンク64を介して接続された可動片65は、第1流路51と第3流路55との間から出た状態となる。このため、非通電状態では、第1流路51と第3流路55との間に可動片65が介在せず、第1大入賞口44に入球した遊技球が第1流路51から第3流路55へ流入することになるから、振分装置60は、遊技球が非特定領域54を通過するよう振り分けることになる(図4の点線矢印参照)。また、振分装置60は、振分ソレノイド61に通電する通電状態(駆動状態)では、図5に示すように、振分ソレノイド61の吸引力によりプランジャヘッド63(プランジャ62)を振分ソレノイド61側に引き込む。プランジャヘッド63が引き込まれると、プランジャヘッド63に接続されたリンク64が回転軸64aを中心に回動して、可動片65が第1流路51と第3流路55との間に入った状態となる。第1流路51と第3流路55との間に介在する可動片65によって第1流路51と第3流路55との連通が遮断されるので、第1大入賞口44に入球して第1流路51を流下した遊技球は可動片65の傾斜面にあたって第2流路53へ流入することになる。このため、通電状態では、第1大入賞口44に入球した遊技球が第1流路51から第2流路53へ流入することになるから、振分装置60は、遊技球が特定領域52を通過するよう振り分けることになる(図5の点線矢印参照)。ここで、本実施例の振分装置60は、遊技球を振り分ける振分態様として、第1大入賞口44に入球した遊技球が比較的低い確率(1/9程度)で特定領域52を通過するよう振り分ける振分態様Aと、第1大入賞口44に入球した遊技球が振分態様Aよりも高い確率(1/3程度)で特定領域52を通過するよう振り分ける振分態様Bとを有している。本実施例では、振分態様Aを小当り遊技中に選択し、振分態様Bを大当り遊技中に選択するものとした。振分態様Aを選択した場合、小当り遊技中の第1大入賞口44の所定の開放時間(1.5秒)のうち1/9程度の時間(約0.17秒)が、振分ソレノイド61を駆動状態とする合計時間となるように振分ソレノイド61を制御する。また、振分態様Bを選択した場合、大当り遊技中の第1大入賞口44の長開放時間(5秒)のうち1/3程度の時間(約1.67秒)が、振分ソレノイド61を駆動状態とする合計時間となり、大当り遊技中の第1大入賞口44の短開放時間(0.5秒)のうち1/3程度の時間(約0.17秒)が、振分ソレノイド61を駆動状態とする合計時間となるように、振分ソレノイド61を制御する。なお、振分ソレノイド61の制御は、一定の周期で駆動状態と非駆動状態とを繰り返してもよい。この一定周期による駆動状態と非駆動状態の切り換えは、第1大入賞口44の状態に関係なく常時行ったり、第1大入賞口44の開放開始タイミング(第1大入賞口44が開状態となるタイミング)を起点として、所定時間が経過または小当り遊技もしくは大当り遊技が終了するまで行ったりすることができる。あるいは、第1大入賞口44が開放されてから所定時間(振分ソレノイド61を駆動状態とする合計時間)が経過するまでは振分ソレノイド61を駆動状態とし、所定時間が経過すると振分ソレノイド61を非駆動状態とするものなどとしてもよい。
第2大入賞口46は、特別電動役物として設けられる可変式の入球口であり、開閉板46cと、開閉板46cを作動させる第2大入賞口ソレノイド46b(図3参照)と、を備える。この第2大入賞口46は、通常は開閉板46cによって塞がれて遊技球を受け入れない閉状態(閉鎖状態)とされており、大当り遊技中に、第2大入賞口ソレノイド46b(図3参照)によって開閉板46cが作動して手前側に開くことで、遊技球を受け入れやすい開状態(開放状態)となる。第2大入賞口46には、遊技球の入球を検知すると共にその入球数をカウントするための第2大入賞口スイッチ46a(図3参照)が取り付けられている。本実施例では、大当り遊技中の処理として、第2大入賞口スイッチ46aが遊技球の入球を10個カウントするか10個カウントする前に所定時間(例えば、25秒)が経過するまでを1ラウンドとして第2大入賞口46を開放し、規定ラウンドまで第2大入賞口46の開放動作を繰り返す。なお、各ラウンドの間には、所定時間(例えば、2秒間)だけ第2大入賞口46を閉状態とする。なお、本実施例では、第2大入賞口46を開閉する開閉部材を開閉板46cとしたが、翼片部とするなど、第2大入賞口46を開閉できるもの(第2大入賞口46を遊技球が入球可能な状態と入球不能な状態とに変化させるもの)であれば、如何なる部材を用いるものとしても構わない。
図柄表示装置40は、図6の構成図に例示するように、普通図柄の変動表示および停止表示が可能な普通図柄表示装置41と、特別図柄の変動表示および停止表示が可能な特別図柄表示装置42と、大当り遊技の規定ラウンド数(最大ラウンド数)を示す図柄を表示するラウンド表示装置43と、を備える。普通図柄表示装置41は、発光ダイオード(LED)を用いて構成された左普通図柄表示部41aおよび右普通図柄表示部41bを備える。図7に、普通図柄表示装置41の表示態様の一例を示す。普通図柄表示装置41は、図示するように、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に消灯した表示態様(図7の上から1段目参照)と、左普通図柄表示部41aが点灯し右普通図柄表示部41bが消灯した表示態様(図7の上から2段目参照)と、左普通図柄表示部41aが消灯し右普通図柄表示部41bが点灯した表示態様(図7の上から3段目参照)と、左普通図柄表示部41aと右普通図柄表示部41bとが共に点灯した表示態様(図7の上から4段目参照)の4通りの表示態様がある。普通図柄表示装置41は、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過するのを検知したときに、4通りの表示態様を順次切り替えることにより普通図柄を変動表示させ、変動表示の実行時間が経過すると、上記表示態様のうちのいずれかの表示態様で普通図柄を停止表示させる。このとき、停止表示された普通図柄の表示態様が特定の表示態様(例えば、図7の上から4段目に示す表示態様)であるときに、当りとして第2始動口38を一定時間(例えば、0.5秒)に亘って開放する。なお、普通図柄の変動表示中に、遊技球が普通図柄作動ゲート32を通過したときには、普通図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている変動表示が順次消化される。
特別図柄表示装置42は、図6に示すように、7セグメント表示器を用いて構成された第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bとを備えており、各セグメントの点灯と消灯との組み合わせにより複数通りの表示態様(最大128通り)を表現している。特別図柄表示装置42は、第1始動口36か第2始動口38かのいずれかの入球が検知されたときに、第1特別図柄表示部42aと第2特別図柄表示部42bのうち対応する特別図柄表示部の表示状態を順次切り替えることにより特別図柄を変動表示させ、変動表示の実行時間が経過すると、表現可能な表示態様のうちのいずれかの表示態様で特別図柄を停止表示させる。このとき、停止表示された特別図柄の表示態様が小当り特別図柄である場合に、小当りとなり、停止表示された特別図柄の表示態様が大当り特別図柄である場合に、大当りとなる。本実施例では、第1特別図柄表示部42aが第1始動口36への遊技球の入球に基づき特別図柄を変動表示させる第1始動口対応表示部となっており、第2特別図柄表示部42bが第2始動口38への遊技球の入球に基づき特別図柄を変動表示させる第2始動口対応表示部となっている。以下、特に、第1特別図柄表示部42aで表示される特別図柄を第1特別図柄(特図1)とも呼び、第2特別図柄表示部42bで表示される特別図柄を第2特別図柄(特図2)とも呼ぶ。図8に、当り時における特別図柄表示装置42の表示態様の一例を示す。図示するように、第1の大当りとなる特別図柄(第1の大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける右上,右下,左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様があり(図8の1段目参照)、第2の大当りとなる特別図柄(第2の大当り図柄)は、第1特別図柄表示部42aにおける上段の横棒セグメントと右下および左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様がある(図8の2段目参照)。また、第1の小当りとなる特別図柄(第1の小当り図柄)は、第2特別図柄表示部42bにおける中段の横棒セグメントと右上および左上の縦棒セグメントが点灯する表示態様があり(図8の3段目参照)、第2の小当りとなる特別図柄(第2の小当り図柄)は、第2特別図柄表示部42bにおける上段の横棒セグメントと左上および左下の縦棒セグメントが点灯する表示態様がある(図8の4段目参照)。このように、第1特別図柄では、大当り図柄は停止表示されるものの小当り図柄は停止表示されず、第2特別図柄では、小当り図柄は停止表示されるものの大当り図柄は停止表示されないものとなっている。なお、大当り時または小当り時における特別図柄の表示態様は、上記態様に限られることはなく、如何なる態様で表示するものとしてもよいし、大当り時または小当り時における特別図柄の表示態様の種類も何種類類用意するものとしてもよい。特別図柄の変動表示中に、遊技球が第1始動口36および第2始動口38のいずれかに入球したときには、それぞれの始動口毎に特別図柄の変動表示を最大4回まで保留し、現在の変動表示が終了したときに、保留されている特別図柄の変動表示が順次消化される。なお、後述するが、第1特別図柄の変動表示の保留数は第1保留図柄35aによって表示され、第2特別図柄の変動表示の保留数は第2保留図柄35bによって表示される。
ここで、第1および第2の大当りでは、いずれも、通常ラウンドでは第2大入賞口46を開放し、通常ラウンド以外の特定ラウンドでは第1大入賞口44を開放する大当り遊技が行われる。大当り遊技は、本実施例では、第1〜第14ラウンドが通常ラウンドとして実行され、最終ラウンドである第15ラウンドが特定ラウンドとして実行される。大当り遊技が終了すると、特定ラウンド中に第1大入賞口44に入球した遊技球が振分装置60の振分を介して特定領域52を通過したことを条件として、所定回数(例えば、100回)の特別図柄の変動表示が行われるまで、特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮されると共に普通図柄が当り図柄で停止表示されたときに第2始動口38の開放時間が延長される電サポあり状態を発生させる。また、第1および第2の小当りは、いずれも、第1大入賞口44を所定時間(例えば1.5秒)に亘って1回だけ開放する小当り遊技が行われる当り態様である。ここで、小当り遊技中に第1大入賞口44に入球した遊技球が振分装置60の振分を介して特定領域52を通過すると、大当りに発展し、上述した大当り遊技が行われる。このように、第1大入賞口44は、小当り遊技中と大当り遊技中に開放され、小当り遊技中に第1大入賞口44に入球した遊技球が特定領域52を通過すると小当り遊技後に大当りに発展し、大当り遊技中(特定ラウンド中)に第1大入賞口44に入球した遊技球が特定領域52を通過すると大当り遊技後に電サポあり状態を発生させるのである。即ち、本実施例では、第1大入賞口44の特定領域52を、小当り経由の大当りを発生させるか否かを決定するための領域(第1特定領域)だけでなく、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させるか否かを決定するための領域(第2特定領域)に兼用している(共通の領域としている)のである。
演出表示装置34は、液晶ディスプレイなどの表示装置として構成されており、表示画面上で演出図柄の変動表示やリーチ演出や予告演出などの様々な演出表示が行われる。本実施例の演出表示装置34は、図9に例示する画面構成に示すように、横方向に並んで配置されキャラクタや数字により構成される左,中,右の3つの演出図柄(疑似特別図柄)34L,34M,34Rと、図示しない背景図柄とを有している。この演出表示装置34は、遊技球が第1始動口36に入球した場合と、遊技球が第2始動口38に入球した場合に、3つの演出図柄34L,34M,34Rを変動表示させる。演出図柄34L,34M,34Rは、変動表示が開始されると、それぞれ上から下に向かって高速でスクロールするように変動表示され、変動表示の実行時間(変動時間)が経過すると、左の演出図柄34L,右の演出図柄34R,中の演出図柄34Mの順に停止表示される。このとき、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致しなかったときにはリーチなしの単純な外れとなり(例えば、「358」)、左の演出図柄34Lと右の演出図柄34Rとが一致したときにはリーチとなる。そして、所定のリーチ演出を伴って中の演出図柄34Mが停止したときに、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rとが一致しなかった場合には、基本的にはリーチありの外れとなるが(例えば、「393」)、中の演出図柄34Mの数字(キャラクタ)が左右の演出図柄34L,34Rの数字(キャラクタ)と1つ違いの数字(キャラクタ)で停止すれば小当りとなる(例えば、「767」)。また、中の演出図柄34Mと左右の演出図柄34L,34Rのすべてが一致した場合には、大当りとなる(例えば、「777」)。この演出表示装置34で表示される演出図柄の当否の結果は、基本的には、上述した特別図柄表示装置42により表示される特別図柄(第1特別図柄,第2特別図柄)の当否の結果と対応する。
また、本実施例では、演出表示装置34の表示画面内に第1保留図柄35aと第2保留図柄35bも表示されている。第1保留図柄35aは、第1特別図柄の変動表示中に第1始動口36に遊技球が入球するごとに左側から順に一つずつ表示され、第1特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入球時とは逆の順に消去される。第2保留図柄35bも、第2特別図柄の変動表示中に第2始動口38に遊技球が入球するごとに左側から順に一つずつ表示され、第2特別図柄の変動表示が開始されるごとに始動入球時とは逆の順に消去される。
こうして構成された実施例のパチンコ機10では、第1始動口36が演出表示装置34(センター役物49)の下側に配置されており、遊技者は遊技球を遊技領域31の左側(演出表示装置34の左側領域)に流下させるように発射ハンドル18を回転操作(所謂左打ち)することにより、遊技球を第1始動口36に入球させることができる。また、普通図柄作動ゲート33が演出表示装置34の右側に、第2始動口38が第1始動口36の右側にそれぞれ配置されており、遊技者は遊技球を遊技領域31の右側(演出表示装置34の右側領域)に流下させるように発射ハンドル18を最大限右回転させる所謂右打ちを行うことにより、遊技球を普通図柄作動ゲート32に通過させることができ、普通図柄が当りとなって第2始動口38が開放すると、遊技者は右打ちを継続することにより、遊技球を第2始動口38に入球させることができる。第2始動口38は電サポあり状態のときに電サポなし状態のときに比べて開放され易くなるため、電サポなし状態では、第1始動口36を狙って左打ちにより遊技を進行させ、電サポあり状態では、普通図柄作動ゲート32および第2始動口38を狙って右打ちにより遊技を進行させることとなる。さらに、第1大入賞口44および第2大入賞口46が遊技領域31の右側に配置されており、小当り遊技や大当り遊技が開始されると、遊技者は右打ちすることにより、遊技球を遊技領域31の右側(演出表示装置34の右側領域)に流下させて、開状態となった第1大入賞口44や第2大入賞口46に入球させることができる。
[制御回路の構成]
次に、実施例のパチンコ機10の制御回路の構成について主として図3を参照しながら説明する。パチンコ機10の制御回路は、図3に示すように、遊技の基本的な進行の制御を司る主制御基板70と、賞球や球貸の払い出しに関する制御を司る払出制御基板80と、遊技の進行に伴って行われる各種演出の全体的な制御を司るサブ制御基板90と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板100などの制御基板により構成されている。これらの制御基板は、各種論理演算や算出演算を実行するCPUや、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM,プログラムの実行に際してデータを一時的に記憶するRAM,各種制御に必要な時間を計るタイマ(システムタイマ),周辺機器との間でデータをやり取りするための周辺機器インターフェース(PIO),CPUが演算を行うためのクロックを出力する発振器,CPUの暴走を監視するウォッチドッグタイマ,定期的に割り込み信号を発生させるCTC(カウンター・タイマー・サーキット)などの種々の周辺LSIがバスにより相互に接続されている。なお、図3では、各制御基板に搭載された各種デバイスのうち主制御基板70のCPU70a,ROM70b,RAM70cのみを図示し、その他については図示を省略した。また、制御回路の一部をなすサブ制御基板90の構成の概略を示すブロック図を図10に示す。
主制御基板70は、遊技の基本的な進行の制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、第1始動口スイッチ36aからの入球信号や第2始動口スイッチ38aからの入球信号が直接に入力されると共に、ゲートスイッチ32aからの通過信号や第1大入賞口スイッチ44aからの入球信号,第2大入賞口スイッチ46aからの入球信号,一般入賞口スイッチ45aからの入球信号,特定領域通過スイッチ52aからの通過信号,非特定領域通過スイッチ54aからの通過信号などが中継端子板72を介して入力されている。主制御基板70からは、図柄表示装置40の表示制御を司る図柄表示基板40aへの制御信号や第2始動口ソレノイド38bへの駆動信号,第1大入賞口ソレノイド44bへの駆動信号,第2大入賞口ソレノイド46bへの駆動信号,振分ソレノイド61への駆動信号などが中継端子板72を介して出力されている。また、主制御基板70は、払出制御基板80やサブ制御基板90,発射制御基板100(払出制御基板80を介して通信)と通信しており、各種指令信号(コマンドや駆動信号など)やデータのやり取りを行っている。
払出制御基板80は、賞球や球貸の払い出しに関する制御を行うために必要な信号として、図3に示すように、前面枠11の開放を検知する枠開放スイッチ81からの検知信号が直接に入力され、球貸ボタン24aや返却ボタン24bからの操作信号が球貸表示基板82,中継端子板83を介して入力され、賞球の払い出しを検知する払出前スイッチ84および払出後スイッチ85からの検知信号が中継端子板87を介して入力されている。払出制御基板80からは、賞球の払い出しを行う払出モータ86への駆動信号などが中継端子板87を介して出力されている。また、払出制御基板80は、主制御基板70や発射制御基板100と通信しており、各種指令信号やデータのやり取りを行っている。
サブ制御基板90は、図10に示すように、CPU90aやROM90b,RAM90cなどを備えており、主制御基板70から各種指令信号を受信してその指令に応じた遊技の演出を行う。サブ制御基板90は、演出表示装置34の制御を行う演出表示制御基板91や各種スピーカ28a,28bを駆動するアンプ基板92、各種LEDランプ93aを駆動したり可動演出役物を動作させるための装飾モータ93bを駆動したりする装飾駆動基板93,演出ボタン26に設けられ演出ボタン26の操作を検知する操作検知スイッチ27からの操作信号を入力する演出ボタン基板94などが接続されている。
発射制御基板100は、タッチセンサ18aからの検知信号や発射停止スイッチ18bからの操作信号,下受け皿16に遊技球が満タン状態となるのを検知する下受け皿満タンスイッチ102からの検知信号などを入力しており、発射モータ19へ駆動用のパルス信号などを出力している。発射制御基板100は、発射ハンドル18が回転操作されてタッチセンサ18aがオンで発射停止スイッチ18bがオフで下受け皿満タンスイッチ102がオフのときに発射モータ19を駆動して遊技球を発射し、タッチセンサ18aがオフか発射停止スイッチ18bがオンか下受け皿満タンスイッチ102がオンかのいずれかが成立したときに発射モータ19の駆動を停止して遊技球の発射を停止する。また、発射制御基板100は、払出制御基板80を介して主制御基板70と通信しており、タッチセンサ18aからの検知信号などの発射ハンドル18の操作状態に関するデータを払出制御基板80を介して主制御基板70に送信する。
[主制御処理]
次に、こうして構成された実施例のパチンコ機10の動作について説明する。図11は、主制御基板70のCPU70aにより実行される主制御処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、パチンコ機10の電源が投入されたときに実行される。主制御処理は、初期化処理などの電源投入に必要な電源投入処理を実行した後(S100)、遊技開始処理(S110)と、普通図柄遊技処理(S120)と、普通図柄当り遊技処理(S130)と、特別図柄遊技処理(S140)と、小当り遊技処理(S150)と、大当り遊技処理(S160)とを繰り返し実行することにより行われる。なお、本実施例では、S110〜S160の処理に要する時間は約4msecとなっているため、これらの処理は約4msecの間隔で繰り返し実行されることになる。主制御基板70は、これらの処理の実行に伴って、各種コマンドを担当する制御基板に送信してコマンドに応じた処理を実行させることにより、パチンコ機10の全体の遊技を進行させている。
[遊技開始処理]
S110の遊技開始処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、各種センサ(ゲートスイッチ32aや第1始動口スイッチ36a,第2始動口スイッチ38a,第1大入賞口スイッチ44a,第2大入賞口スイッチ46a,一般入賞口スイッチ45a,特定領域通過スイッチ52a,非特定領域通過スイッチ54aなど)の状態を検出してRAM70cの所定の状態記憶領域に保存したり、各種判定用情報(後述する大当り判定用乱数や大当り図柄決定用乱数,リーチ用乱数,変動パターン決定用乱数、普通図柄当否判定用乱数など)を更新したりする。続いて、遊技球の入球に関わるスイッチ(第1始動口スイッチ36aや第2始動口スイッチ38a,第1大入賞口スイッチ44a,第2大入賞口スイッチ46a,一般入賞口スイッチ45aなど)により遊技球が検知されたか否かを判定し、検知されたと判定すると、払い出すべき賞球数を演算して賞球情報としてRAM70cの所定の賞球情報記憶領域に保存し、賞球情報が値0でないときには賞球数指定コマンド(賞球情報)を払出制御基板80に送信して遊技開始処理を終了する。払出制御基板80は、賞球数指定コマンドを受信すると、払出モータ86を駆動制御して遊技球を1球ずつ払い出すと共に払出前スイッチ84および払出後スイッチ85により払い出した遊技球が検知される度に賞球情報(未払いの遊技球数)を値1ずつデクリメントする賞球払出処理を実行する。この賞球払出処理は、賞球情報が値0となるまで繰り返し実行されるが、遊技球の入球が検知されて主制御基板70から新たな賞球数指定コマンドを受信すると、その賞球情報も値0となるまで処理が繰り返される。遊技開始処理が終了すると、主制御処理に戻って次のS120の普通図柄遊技処理に進む。
[普通図柄遊技処理]
S120の普通図柄遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、普通図柄の保留が値0でない即ち値1以上あるか否かを判定し、保留が値1以上あるときには保留数を値1だけデクリメントして普通図柄の当否判定を行うと共に当否判定の結果に基づいて停止表示させる普通図柄(図7参照)を決定する。普通図柄の当否判定は、普通図柄作動ゲート32を遊技球が通過することに基づき取得される普通図柄当否判定用乱数と、普通図柄当り判定テーブルを用いて行われるもので、電サポなし状態にあるときには当り確率の低い(例えば、約0.8%)低確率用の普通図柄当り判定テーブルが用いられ、電サポあり状態にあるときには当り確率の高い(例えば、約99.2%)高確率用の普通図柄当り判定テーブルが用いられる。また、当否判定の結果が当りのときには、当り図柄を停止表示させる図柄に決定し、当否判定の結果が外れのときには、外れ図柄のうちのいずれかを停止表示させる図柄に決定する。そして、普通図柄の変動時間を設定して普通図柄の変動表示を開始し、変動時間が経過するのを待つ。変動時間の設定は、電サポなし状態にあるときには長時間(例えば、30秒)に設定され、電サポあり状態にあるときには短時間(例えば、1秒)に短縮される。変動時間が経過すると、決定した図柄で普通図柄を停止表示し、停止表示した図柄が当り図柄のときには、第2始動口38の開放時間を設定し、第2始動口38の開放を開始して普通図柄遊技処理を一旦終了し、停止表示した図柄が外れ図柄のときには、何もせずに普通図柄遊技処理を終了する。第2始動口38の開放時間は、電サポなし状態にあるときには短時間(例えば0.5秒)に設定され、電サポあり状態にあるときには長時間(例えば5秒)に延長される。また、第2始動口38の開放は、上述したように、第2始動口ソレノイド38bを駆動制御することによって、翼片部38cを左右に開くことにより行う。普通図柄遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS130の普通図柄当り遊技処理に進む。このように、電サポあり状態においては、普通図柄の変動時間を短縮する変動時間短縮機能を作動させると共に普通図柄の当否判定の結果が当りとなる確率(普図当り確率)を高くする確率変動機能を作動させ、且つ、第2始動口38の開放時間を延長する開放延長機能を作動させる。このため、本実施例の電サポあり状態を、開放延長機能作動状態、時短状態または普図確変状態ともいう。また、これら3つの機能を同時に作動させる形態のみを例示したが、いずれか1つの機能またはいずれか2つの機能を作動させる形態とすることもできる。
[普通図柄当り遊技処理]
S130の普通図柄当り遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、第2始動口38が開放を開始してからの経過時間(開放経過時間)が普通図柄遊技処理で設定された設定時間に達しているか否か、規定数(例えば、8個)の遊技球が第2始動口38に入球しているか否かを判定する。開放経過時間が設定時間に達しておらず規定数の遊技球が第2始動口38に入球してもいないと判定すると、第2始動口38の開放を維持したまま普通図柄当り遊技処理を一旦終了する。一方、開放経過時間が設定時間に達していると判定したり、開放経過時間が設定時間に達する前であっても既に規定数の遊技球が第2始動口38に入球していると判定すると、第2始動口ソレノイド38bの駆動を停止して、普通図柄当り遊技処理を終了する。普通図柄当り遊技処理を終了すると、主制御処理に戻って次のS140の特別図柄遊技処理に進む。
[特別図柄遊技処理]
S140の特別図柄遊技処理は、図12〜図14に示すフローチャートに従って実行される。特別図柄遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、第1始動口スイッチ36aからの検知信号を入力して第1始動口36に遊技球が入球したか否かを判定する(S200)。第1始動口36に遊技球が入球したと判定すると、現在の第1特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S202)。第1特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第1特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S204)、判定用情報を取得してRAM70cの所定の判定用情報記憶領域に格納し(S206)、第1特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S208)。ここで、S206で取得される判定用情報としては、第1始動口36への遊技球の入球に基づいて行われる当り判定の際に用いられる当り判定用乱数や、当り判定の結果が大当りのときに第1特別図柄表示部42aに停止表示させる大当り図柄を決定するための大当り図柄決定用乱数,第1特別図柄の変動パターンを決定するための変動パターン決定用乱数などの図柄変動遊技の進行に関する情報が例示できる。なお、当り判定は、特別図柄の当否判定に相当するものである。また、第1特別図柄保留発生時コマンドには、保留数を演出表示装置34の表示画面内の第1保留図柄35aで表示するための第1特別図柄の保留数指定コマンドが含まれる。なお、S200で第1始動口36に遊技球が入球していないと判定したり、S202で第1特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S204〜S208の処理をスキップして次のS210の処理に進む。
続いて、第2始動口スイッチ38aからの検知信号を入力して第2特別図柄を変動表示させるための第2始動口38に遊技球が入球したか否かを判定する(S210)。第2始動口38に遊技球が入球したと判定すると、現在の第2特別図柄の保留数がその上限値(本実施例では、値4)よりも少ないか否かを判定する(S212)。第2特別図柄の保留数が上限値よりも少ないと判定したときには、第2特別図柄の保留数を値1だけインクリメントすると共に(S214)、判定用情報を取得してRAM70cの所定の判定用情報記憶領域に格納し(S216)、第2特別図柄保留発生時コマンドをサブ制御基板90に送信する(S218)。ここで、S216で取得される判定用情報としては、第2始動口38への遊技球の入球に基づいて行われる当り判定の際に用いられる当り判定用乱数や、当り判定の結果が小当りのときに第2特別図柄表示部42bに停止表示させる小当り図柄を決定するための小当り図柄決定用乱数,第2特別図柄の変動パターンを決定するための変動パターン決定用乱数などの図柄変動遊技の進行に関する情報が例示できる。また、第2特別図柄保留発生時コマンドには、保留数を演出表示装置34の表示画面内の第2保留図柄35bで表示するための第2特別図柄の保留数指定コマンドが含まれる。なお、S210で第2始動口38に遊技球が入球していないと判定したり、S212で第2特別図柄の保留数が上限値に達していると判定すると、S214〜S218の処理をスキップして次のS220の処理に進む。
次に、大当り遊技および小当り遊技のいずれかが実行中であるか否か(S220)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中であるか否か(S222)、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが停止表示時間中であるか否か(S224)をそれぞれ判定する。大当り遊技および小当り遊技のいずれかが実行中であると判定すると、これで特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS150の小当り遊技処理に進む。一方、大当り遊技および小当り遊技のいずれもが実行中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが変動表示中でなく、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれもが停止表示時間中でないと判定すると、第2特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S226)。第2特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、判定用情報記憶領域(RAM70c)に記憶されている第2特別図柄の判定用情報(当り判定用乱数)のうち最も古い判定用情報を読み出し(S228)、第2特別図柄の変動表示関連処理を実行して(S230)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。
一方、第2特別図柄の保留数が値0と判定すると、第1特別図柄の保留数が値0であるか否かを判定する(S232)。第1特別図柄の保留数が値0でないと判定すると、判定用情報記憶領域(RAM70c)に記憶されている第1特別図柄の判定用情報(当り判定用乱数)のうち最も古い判定用情報を読み出し(S234)、第1特別図柄の変動表示関連処理を実行して(S236)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。第1特別図柄の保留数も値0のときには、これで特別図柄遊技処理を終了する。S226〜S236では、第1特別図柄の保留数と第2特別図柄の保留数がいずれも値0でないときには第2特別図柄の変動表示(保留の消化)が優先して実行される(特図2優先変動)。勿論、第1始動口36や第2始動口38に遊技球が入球した順に特別図柄を変動させるもの(入球順変動)としてもよい。以下、図15の第1特別図柄の変動表示関連処理と図16の第2特別図柄の変動表示関連処理の詳細について説明する。
図15の第1特別図柄の変動表示関連処理では、まず、S234で読み出した当り判定用乱数と当り判定テーブルとを用いて当り判定を行って(S300)、その判定結果が大当りであるか否かを判定する(S302)。ここで、第1特別図柄の当り判定テーブルの一例を図17に示す。第1特別図柄の当り判定テーブルは、図示するように、当り判定用乱数が値0〜599のうち値0,1のときに大当りとした(1/300の大当り確率)。
S302で当り判定の結果が大当りであると判定すると、停止表示させる特別図柄を大当り図柄に設定し(S304)、当り判定の結果が大当りでないと判定すると、外れであるから、停止表示させる特別図柄を外れ図柄に設定する(S310)。なお、大当り図柄は、判定用情報記憶領域(RAM70c)から大当り図柄決定用乱数を読み出すと共に読み出した大当り図柄決定用乱数に基づいて設定することができる。また、外れ図柄は、詳細な説明は省略するが、例えば、大当り図柄決定用乱数と図示しない外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することができる。勿論、大当り図柄決定用乱数とは別に外れ図柄決定用乱数を取得するものとすれば、この外れ図柄決定用乱数と外れ図柄決定用テーブルとを用いて設定することもできる。
ここで、第1特別図柄の大当り図柄の決定には、図18に例示する第1特別図柄の大当り図柄決定テーブルが用いられる。第1特別図柄の大当り図柄決定テーブルでは、図示するように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜127のときに図8の1段目の図柄が選択されて「第1の大当り」となり(約50%の出現確率)、大当り図柄決定用乱数が値128〜255のときに図8の2段目の図柄が選択されて「第2の大当り」となる(約50%の出現確率)。「第1の大当り」では、通常ラウンドである第1〜第14ラウンドで第2大入賞口46を所定時間に亘って開放し(本実施例では25秒開放)、特定ラウンドである第15ラウンドで第1大入賞口44を長開放する(本実施例では5秒開放)。「第2の大当り」では、通常ラウンドである第1〜第14ラウンドで第2大入賞口46を所定時間に亘って開放し(本実施例では25秒開放)、特定ラウンドである第15ラウンドで第1大入賞口44を短開放する(本実施例では1.5秒開放)。また、「第1の大当り」および「第2の大当り」のいずれも、特定ラウンドでの第1大入賞口44の開放中における振分装置60の振分態様は、振分態様B(遊技球が特定領域52を通過する確率が1/3程度)とする。なお、前述したように、特定ラウンド中に遊技球が第1大入賞口44内の特定領域52を通過した場合、大当り遊技後に特別図柄が100回変動するまで電サポあり状態を設定し、遊技球が特定領域52を通過しなかった場合、大当り遊技後に電サポなし状態を設定する。これらのことから、「第1の大当り」は、「第2の大当り」よりも、大当り遊技の終了後に電サポあり状態が発生し易いものとなる。
こうして停止図柄を設定すると、特別図柄の変動パターンテーブルを設定する(S312)。変動パターンテーブルは、当り判定の結果に応じて複数種類のテーブルのいずれかが選択される。即ち、当り判定の結果が大当りの場合には大当り変動パターンテーブルが選択され、当り判定の結果が外れの場合には外れ変動パターンテーブルが選択される。各変動パターンテーブルには、保留数および変動パターン決定用乱数に対応付けて各種の変動パターン(変動時間)が規定されており、特別図柄を変動表示させる際には、これらの変動パターンテーブルを用いて一の変動パターンが選択される。
変動パターンテーブルを設定すると、変動パターン決定用乱数を読み出し(S314)、読み出した変動パターン決定用乱数と設定した変動パターンテーブルとを用いて変動パターンを設定する(S316)。そして、特別図柄の変動表示を開始すると共に(S318)、特別図柄の保留数を値1だけデクリメントし(S320)、図柄変動開始時コマンドをサブ制御基板90に送信して(S322)、変動表示関連処理を終了する。ここでは、第1特別図柄の処理を説明しているから、S318,S320では、第1特別図柄の変動表示を開始すると共に第1特別図柄の保留数を値1だけデクリメントする処理となる。また、S322で送信する図柄変動開始時コマンドには、変動パターンおよびそのパターンにおける変動時間(変動パターン指定コマンド)と停止図柄(特別図柄停止情報指定コマンド)とが含まれている。図柄変動開始時コマンドを受信したサブ制御基板90は、コマンドを解析し、その解析結果に基づいて演出表示装置34の画面上で行う演出内容を決定し、その決定に応じた制御信号(演出コマンド)を演出表示制御基板91に出力して演出表示装置34の制御を行う。
次に、図16の第2特別図柄の変動表示関連処理を説明する。この処理は、大当りに関する処理に代えて、小当りに関する処理を行う点を除いて、第1特別図柄の変動表示関連処理と同じの処理が実行される。このため、第2特別図柄の変動表示関連処理の各処理のうち第1特別図柄の変動表示関連処理と同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は重複するから省略する。第2特別図柄の変動表示関連処理では、まず、S228で読み出した当り判定用乱数と当り判定テーブルとを用いて当り判定を行って(S300)、その判定結果が小当りであるか否かを判定する(S306)。ここで、第2特別図柄の当り判定テーブルの一例を図19に示す。第2特別図柄の当り判定テーブルは、図示するように、当り判定用乱数が値0〜599のうち値0〜595のときに小当りとした(298/300の小当り確率)。
S306で当り判定の結果が小当りであると判定すると、停止表示させる特別図柄を小当り図柄に設定し(S308)、当り判定の結果が大当りでないと判定すると、S310で停止表示させる特別図柄を外れ図柄に設定する。なお、小当り図柄は、判定用情報記憶領域(RAM70c)から小当り図柄決定用乱数を読み出すと共に読み出した小当り図柄決定用乱数に基づいて設定することができる。
ここで、第2特別図柄の小当り図柄の決定には、図20に例示する第2特別図柄の小当り図柄決定テーブルが用いられる。第2特別図柄の小当り図柄決定テーブルでは、図示するように、小当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜203のときに図8の3段目の図柄が選択されて「第1の小当り」となり(約80%の出現確率)、小当り図柄決定用乱数が値204〜255のときに図8の4段目の図柄が選択されて「第2の小当り」となる(約20%の出現確率)。また、「第1の小当り」および「第2の小当り」は、いずれも、小当り遊技での第1大入賞口44の開放中における振分装置60の振分態様は、振分態様A(遊技球が特定領域52を通過する確率が1/9程度)とし、小当り遊技中に遊技球が特定領域52を通過すると大当りが発生する。ここで、「第1の小当りを経由した大当り」は「第1の大当り」と同じ内容であり、「第2の小当りを経由した大当り」は「第2の大当り」と同じ内容である。このため、小当りを経由した大当りにおいても、特定ラウンド中に遊技球が特定領域52を通過したことを条件として、大当り遊技終了後に特別図柄が100回変動するまで電サポあり状態を設定することになる。また、特定ラウンドにおける第1大入賞口44の開放態様は、「第1の小当りを経由した大当り」では長開放となり、「第2の小当りを経由した大当り」では短開放となる。これらのことから、「第1の小当り」は、「第2の小当り」よりも、小当りを経由した大当り遊技の終了後に電サポあり状態が発生し易いものとなる。このように、「第1の小当り」と「第2の小当り」は、小当り遊技中は、第1大入賞口44を同じ開放態様とすると共に振分装置60を同じ振分態様とするから、大当りへの発展確率は同じとなるが、一旦大当りが発生すると、特定ラウンド中の第1大入賞口44の開放態様が異なるから、大当り遊技の終了後の電サポあり状態の発生確率が異なることになる。ここで、第1特別図柄の大当り図柄決定テーブルでは、「第1の大当り」の出現確率と「第2の大当り」の出現確率が同じであるが、第2特別図柄の小当り図柄決定テーブルでは、「第1の小当り」の出現確率が「第2の小当り」の出現確率よりも高くなっている。また、第1特別図柄の大当りが発生する確率は1/300であるのに対し、第2特別図柄の小当りが発生する確率は298/300と高くなっている。このため、小当り遊技中に遊技球が第1大入賞口44に入球する確率や特定領域52を通過する確率(1/9程度)を考慮しても、第1特別図柄の大当りが発生した場合より、第2特別図柄の小当りを経由して大当りが発生した場合の方が、大当り遊技の終了後に電サポあり状態が発生し易いものといえる。これらのことから、第2特別図柄で遊技を進行させる方が、第1特別図柄で遊技を進行させるより、一旦大当りが発生した以降は、電サポあり状態が発生し易く、大当りが連続的に発生し易いものとなるため、遊技者に有利といえる。
こうして停止図柄を設定すると、S312で特別図柄の変動パターンテーブルを設定する。なお、当り判定の結果が小当りの場合には小当り変動パターンテーブルが選択される。次に、S314〜S322で、変動パターン決定用乱数を読み出し、読み出した変動パターン決定用乱数と設定した変動パターンテーブルとを用いて変動パターンを設定して特別図柄の変動表示を開始し、特別図柄の保留数を値1だけデクリメントしてから、図柄変動開始時コマンドをサブ制御基板90に送信して、変動表示関連処理を終了する。ここでは、第2特別図柄の処理を説明しているから、S318,S320では、第2特別図柄の変動表示を開始すると共に第2特別図柄の保留数を値1だけデクリメントする処理となる。
図12〜図14の特別図柄遊技処理に戻って、特別図柄(第1特別図柄または第2特別図柄)の変動表示が開始された後に特別図柄遊技処理が実行されると、S222で第1特別図柄および第2特別図柄のいずれかが変動表示中と判定するため、主制御基板70のCPU70aは、変動時間が経過したか否かを判定する(S238)。変動時間は特別図柄の変動パターンに応じて決定されるから、変動時間が経過したか否かは、特別図柄の変動表示が開始されてからの経過時間と、変動パターンに対応する変動時間とを比較することにより行うことができる。変動時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動時間が経過していると判定すると、変動中の特別図柄の変動表示を停止し(S240)、図柄停止コマンドをサブ制御基板90に送信する(S242)。この図柄停止コマンドを受信したサブ制御基板90(演出表示制御基板91)は、演出表示装置34での図柄変動演出を終了させる。そして、停止表示時間を設定し(S244)、停止表示時間が経過したか否かを判定する(S246)。ここで、停止表示時間は、特別図柄の変動表示を停止してから次に変動表示を開始するまでのインターバルであり、例えば0.6秒に設定される。停止表示時間が経過していないと判定すると、特別図柄遊技処理を一旦終了する。特別図柄の停止表示がなされた後に、特別図柄遊技処理が実行されると、S224で停止表示時間中と判定するため、再びS246で停止表示時間が経過したか否かを判定し、停止表示時間が経過していると判定すると、停止表示している特別図柄が大当り図柄であるか否かを判定する(S248)。
S248で大当り図柄と判定すると、大当り遊技フラグをオンとすると共に(S250)、大当り遊技開始指定コマンドをサブ制御基板90に送信する(S252)。これにより、S160の大当り遊技処理によって大当り遊技が開始されることになる。また、大当り遊技中には変動時間短縮機能や開放延長機能を停止させるために、変動短縮フラグがオンのときには変動短縮フラグをオフとすると共に開放延長フラグをオフとして(S254〜S258)、特別図柄遊技処理を終了し、主制御処理に戻って次のS150の小当り遊技処理を経てS160の大当り遊技処理に進む。
一方、S248で大当り図柄でないと判定すると、停止表示している特別図柄が小当り図柄であるか否かを判定する(S260)。小当り図柄と判定すると、小当り遊技フラグをオンとすると共に(S262)、小当り遊技開始コマンドをサブ制御基板90に送信する(S264)。これにより、S150の小当り遊技処理によって小当り遊技が開始されることになる。一方、S260で小当り図柄でないと判定したときには、外れ図柄と判断し、S262,S264の処理をスキップして、次のS266の処理に進む。
次に、変動短縮フラグがオンであるか否かを判定し(S266)、変動短縮フラグがオンでないときにはそのまま特別図柄遊技処理を一旦終了する。変動短縮フラグがオンのときには変動短縮カウンタを値1だけデクリメントし(S268)、変動短縮カウンタが値0であるか否かを判定する(S270)。ここで、変動短縮カウンタは、変動時間短縮機能(特別図柄および普通図柄の変動短縮)の作動状態を維持する特別図柄の変動回数の上限値を示すものであり、所定値(本実施例では100回)がセットされる。変動短縮カウンタが値0でないときには、電サポあり状態を維持したまま特別図柄遊技処理を一旦終了し、変動短縮カウンタが値0のときには、電サポあり状態を終了させるために、変動短縮フラグをオフとすると共に(S272)、開放延長フラグをオフとし(S274)、遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S276)、特別図柄遊技処理を一旦終了する。これにより、パチンコ機10の遊技状態は、電サポあり状態から電サポなし状態に変更されることになる。なお、遊技状態指定コマンドには、パチンコ機10の現在の遊技状態を示す変動短縮フラグや開放延長フラグの設定状況などが含まれる。遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面などの表示を電サポあり状態用から電サポなし状態用に変更する等の処理を行う。
[小当り遊技処理]
S150の小当り遊技処理は、図21に示すフローチャートに従って実行される。図21の小当り遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、小当り遊技フラグがオンであるか否かを判定する(S350)。小当り遊技がオフであると判定すると、このまま小当り遊技処理を終了する。一方、小当り遊技フラグがオンであると判定すると、第1大入賞口44が開放中であるか否かを判定し(S352)、第1大入賞口44が開放中でない、即ち閉鎖中と判定すると、第1大入賞口44の開放タイミングであるか否かを判定する(S354)。第1大入賞口44の開放タイミングであると判定すると、第1大入賞口44が所定時間(1.5秒間)に亘って開放されるよう第1大入賞口ソレノイド44bを駆動制御すると共に(S356)、振分装置60が振分態様Aに基づいて遊技球を振り分けるよう振分ソレノイド61を駆動制御して(S358)、小当り遊技処理を一旦終了する。これにより、遊技球が第1大入賞口44に入球可能な状態となる。また、振分装置60の可動片65は、振分態様Aに基づいて第1流路51と第3流路55との間への出入りを繰り返すから、可動片65が第1流路51と第3流路55との間に介在した状態で遊技球が第1流路51を流下すると、その遊技球は可動片65の傾斜面にあたって第2流路53へ流入することになる。即ち、第1大入賞口44に入球した遊技球が振分装置60の振分を経て特定領域52を通過することができる。なお、「第1の小当り」および「第2の小当り」のいずれも、第1大入賞口44を所定時間(1.5秒間)に亘って開放し、振分装置60を振分態様Aで駆動するから、「第1の小当り」と「第2の小当り」とにおいて、遊技球が特定領域52を通過する可能性は同じものとなる。
第1大入賞口44を開放した後に小当り遊技処理が実行されると、S352で第1大入賞口44が開放中と判定し、次に、第1大入賞口44の閉鎖タイミングであるか否かを判定する(S360)。閉鎖タイミングは、本実施例では、第1大入賞口44が開放を開始してからの経過時間が所定の開放時間(本実施例では1.5秒)に達したときに到来するものとした。第1大入賞口44の閉鎖タイミングでないと判定すると、第1大入賞口44の開放を維持したまま小当り遊技処理を一旦終了し、第1大入賞口44の閉鎖タイミングと判定すると、第1大入賞口44が閉鎖されるよう第1大入賞口ソレノイド44bを駆動制御し(S362)、小当り遊技フラグをオフとすると共に(S364)、小当り遊技終了コマンドをサブ制御基板90に送信する(S366)。そして、特定領域通過スイッチ52aからの検知信号を入力して、遊技球が特定領域52を通過したか否かを判定する(S368)。遊技球が特定領域52を通過したと判定すると、小当り遊技を経由して大当り遊技を発生させるために、大当り遊技フラグをオンとすると共に(S370)、大当り遊技開始コマンドをサブ制御基板90に送信して(S372)、小当り遊技処理を終了する。なお、上述したように、「第1の小当り」を経由すると「第1の大当り」と同じ内容の大当りが発生し、「第2の小当り」を経由すると「第2の大当り」と同じ内容の大当りが発生する。一方、S368で、遊技球が特定領域52を通過していないと判定すると、S370,S372の処理をスキップし、大当り遊技を発生させることなく、小当り遊技処理を終了する。
[大当り遊技処理]
S150の大当り遊技処理は、図22に示すフローチャートに従って実行される。図22の大当り遊技処理が実行されると、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグがオンであるか否か、即ち大当り遊技中であるか否かを判定する(S400)。大当り遊技フラグがオフであると判定すると、そのまま大当り遊技処理を終了する。一方、大当り遊技フラグがオンであると判定すると、遊技開始タイミングであるか否かを判定し(S402)、遊技開始タイミングであると判定すると、残りラウンド数に値15を設定する(S404)。次に、第2大入賞口46が開放中であるか否かを判定し(S406)、第2大入賞口46が閉鎖中である(開放中でない)と判定すると、残りラウンド数が値2以上であるか否かを判定する(S408)。S408の判定は、本実施例では、全15ラウンドのうち第1〜第14ラウンド、即ち残りラウンド数が値3〜値15を通常ラウンドとしているから、現在のラウンドが通常ラウンドであるか否かを判定するものとなる。残りラウンド数が値2以上、即ち現在のラウンドが通常ラウンドと判定すると、第2大入賞口46の開放タイミングであるか否かを判定する(S410)。この判定は、規定の閉鎖時間(本実施例では、2秒)が経過したか否かを判定することにより行われる。第2大入賞口46の開放タイミングではないと判定すると、そのまま大当り遊技処理を一旦終了する。
S410で第2大入賞口46の開放タイミングであると判定すると、第2大入賞口46が開放されるよう第2大入賞口ソレノイド46bを駆動制御し(S412)、残りラウンド数を値1だけデクリメントして(S414)、大当り遊技処理を一旦終了する。
第2大入賞口46を開放して大当り遊技処理を一旦終了した後は、次に大当り遊技処理を実行したときに、S406で第2大入賞口46が開放中であると判定し、第2大入賞口46の閉鎖タイミングであるか否かを判定する(S416)。この判定は、第2大入賞口46の規定の開放時間(例えば25秒)が経過したか否か、規定の開放時間が経過する前に第2大入賞口46に入球した遊技球の数が規定数(本実施例では、10個)に達したか否かを判定することにより行われる。第2大入賞口46の閉鎖タイミングでないと判定すると、第2大入賞口46の開放を維持したまま大当り遊技処理を一旦終了する。一方、第2大入賞口46の閉鎖タイミングであると判定すると、第2大入賞口46が閉鎖されるよう第2大入賞口ソレノイド46bを駆動制御して(S418)、大当り遊技処理を一旦終了する。
こうしてS406〜S418の処理を繰り返すことにより通常ラウンドによる大当り遊技を実行し、S408で残りラウンド数が値2以上でない、即ち値1以下と判定すると、図23に示す特定ラウンド遊技処理を実行して(S420)、大当り遊技処理を終了する。
図23の特定ラウンド遊技処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、第1大入賞口44が開放中であるか否かを判定する(S430)。第1大入賞口44が開放中でない(閉鎖中である)と判定すると、第1大入賞口44の開放タイミングであるか否かを判定する(S432)。この判定は、規定の閉鎖時間(本実施例では、2秒)が経過したか否かを判定することにより行われる。第1大入賞口44の開放タイミングではないと判定すると、そのまま特定ラウンド遊技処理を一旦終了する。第1大入賞口44の開放タイミングであると判定すると、現在の大当りが「第1の大当り」および「第1の小当りを経由した大当り」のいずれかであるか否かを判定する(S434)。現在の大当りが「第1の大当り」および「第1の小当りを経由した大当り」のいずれかであると判定すると、「長開放」により第1大入賞口44が開放されるよう第1大入賞口ソレノイド44bを駆動制御すると共に(S436)、振分装置60が振分態様Bに基づいて遊技球を振り分けるよう振分ソレノイド61を駆動制御する(S440)。また、現在の大当りが「第1の大当り」および「第1の小当りを経由した大当り」のいずれでもない、即ち、現在の大当りが「第2の大当り」および「第2の小当りを経由した大当り」のいずれかであると判定すると、「短開放」により第1大入賞口44が開放されるよう第1大入賞口ソレノイド44bを駆動制御すると共に(S438)、振分装置60が振分態様Bに基づいて遊技球を振り分けるよう振分ソレノイド61を駆動制御する(S440)。これらにより、遊技球が第1大入賞口44に入球可能な状態となる。また、振分装置60の可動片65は、振分態様Bに基づいて第1流路51と第3流路55との間への出入りを繰り返すから、可動片65が第1流路51と第3流路55との間に介在した状態で遊技球が第1流路51を流下すると、その遊技球は可動片65の傾斜面にあたって第2流路53へ流入することになる。即ち、第1大入賞口44に入球した遊技球が振分装置60の振分を経て特定領域52を通過することができる。こうして第1大入賞口44を開放すると、残りラウンド数を値1だけデクリメントして(S442)、特定ラウンド遊技処理を一旦終了する。
第1大入賞口44を開放して特定ラウンド遊技処理を一旦終了した後は、次に特定ラウンド遊技処理を実行したときに、S430で第1大入賞口44が開放中であると判定し、第1大入賞口44の閉鎖タイミングであるか否かを判定する(S444)。この判定は、規定の開放時間(「長開放」であれば5秒、「短開放」であれば1.5秒)が経過したか、第1大入賞口44に入球した遊技球の数が規定数(本実施例では、10個)に達したかのいずれかの成立を判定することにより行われる。第1大入賞口44の閉鎖タイミングでないと判定すると、第1大入賞口44の開放を維持したまま特定ラウンド遊技処理を一旦終了する。
一方、第1大入賞口44の閉鎖タイミングであると判定すると、第1大入賞口44が閉鎖されるよう第1大入賞口ソレノイド44bを駆動制御し(S446)、特定領域通過スイッチ52aからの検知信号を入力して、遊技球が特定領域52を通過したか否かを判定し(S448)、特定領域52を通過したと判定すると特定領域通過フラグをオンとする(S450)。次に、残りラウンド数が値0であるか否かを判定し(S452)、残りラウンド数が値0でないと判定すると、特定ラウンド遊技処理を一旦終了する。残りラウンド数が値0であると判定すると、図24に示す大当り遊技終了時処理を実行して(S454)、特定ラウンド遊技処理を終了する。
図24の大当り遊技終了時処理では、主制御基板70のCPU70aは、まず、大当り遊技フラグをオンからオフとし(S460)、特定領域通過フラグがオンであるか否かを判定する(S462)。特定領域通過フラグがオンであると判定すると、変動短縮カウンタを100回に設定して(S464)、変動短縮フラグをオンとすると共に(S466)、開放延長フラグをオンとして(S468)、特定領域通過フラグをオンからオフとする(S470)。一方、特定領域通過フラグがオンでないと判定すると、S464〜S470の処理をスキップする。このように、大当り遊技中の特定ラウンドにおいて遊技球が特定領域52を通過したか否かによって、大当り遊技終了後の遊技状態を電サポあり状態か電サポなし状態のいずれかに設定するのである。そして、大当り遊技終了指定コマンドと遊技状態指定コマンドをサブ制御基板90に送信して(S472)、大当り遊技終了時処理を終了する。遊技状態指定コマンドを受信したサブ制御基板90は、例えば、演出表示制御基板91に遊技状態を示す演出コマンドを送信して演出表示装置34の背景画面をそのときの遊技状態に応じた背景に設定する処理等を行う。
以上説明した実施例のパチンコ機10によれば、大当り遊技中の特定ラウンドで、特定領域52を有する第1大入賞口44を開放し、第1大入賞口44に入球した遊技球が特定領域52を通過すると、大当り遊技の終了後に電サポあり状態を発生させるから、1種2種混合タイプのパチンコ機10において、大当り遊技中に遊技球が特定領域52を通過したことを条件として電サポあり状態を発生させるという新たな遊技性を提供することができる。この結果、大当り遊技中に第1大入賞口44に入球した遊技球が特定領域52を通過することへの期待感や緊張感を高めることができるから、遊技興趣を向上させることができる。また、第1特別図柄の大当りよりも、第2特別図柄の小当りを経由した大当りの方が、特定ラウンドで第1大入賞口44を長開放する可能性を高くして遊技球が特定領域52を通過し易くするから、電サポあり状態が一旦発生すると大当りが連続的に発生する可能性を高めることができ、遊技興趣をより一層向上させることができる。さらに、第1大入賞口44の特定領域52を、小当り経由の大当りを発生させるか否かを決定するためと、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させるか否かを決定するためとに兼用するから、特定領域を別々に設けるものに比べて、第1大入賞口44をコンパクトな構成として、遊技盤30にレイアウトし易くすることができる。
実施例のパチンコ機10では、第1特別図柄の当り判定テーブルには小当りを含まないものとしたが、これに限られず、小当りを含んでもよい。この変形例の第1特別図柄の当り判定テーブルは、図示は省略するが、当り判定用乱数が値0〜599のうち値0,1のときに大当りとし(1/300の大当り確率)、値2,3のときに小当りとする(1/300の小当り確率)ものなどとすればよい。また、この変形例の第1特別図柄の小当り図柄決定テーブルを図25に示す。第1特別図柄の小当り図柄決定テーブルでは、図示するように、小当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜154のときに「第1の小当り」となり(約60%の出現確率)、値155〜255のときに「第2の小当り」となる(約40%の出現確率)。この第1特別図柄の小当り図柄決定テーブルでは、実施例の第2特別図柄の小当り図柄決定テーブルと比べて、「第1の小当り」の出現確率が低くなっている。このため、第1特別図柄の小当り経由の大当りは、大当り遊技中に遊技球が特定領域52を通過する可能性が、第2特別図柄の小当り経由の大当りより低くなるから、大当り遊技終了後の電サポあり状態の発生の可能性も、第2特別図柄の小当り経由の大当りより低いものとなる。一方で、実施例の第1特別図柄の大当り図柄決定テーブルと比べて、「第1の大当り」(第1の小当りを経由した大当り)の出現確率が高くなっている。第1特別図柄の小当り確率は1/300であり、さらに小当り遊技中に遊技球が特定領域を通過しないと大当りが発生しないため、第1特別図柄の小当り経由の大当りが発生する確率は低いものとなるが、大当りが発生しさえすれば、大当り遊技中に遊技球が特定領域52を通過する可能性は、第1特別図柄の大当りより高いから、大当り遊技終了後の電サポあり状態の発生の可能性も、第1特別図柄の大当りよりは高いものとなる。このように、第1特別図柄に小当りを含むものとし、その小当り経由の大当り遊技終了後の電サポあり状態の発生可能性を、第1特別図柄の大当りや第2特別図柄の小当り経由の大当りとは異なるものとすることで、大当り遊技終了後の電サポあり状態の発生可能性を多様化することができるから、遊技興趣をさらに向上させることができる。
実施例のパチンコ機10では、第2特別図柄の当り判定テーブルには大当りを含まないものとしたが、これに限られず、大当りを含んでもよい。この変形例の第2特別図柄の当り判定テーブルは、図示は省略するが、当り判定用乱数が値0〜599のうち値0,1のときに大当りとし(1/300の大当り確率)、値2〜597のときに小当りとする(298/300の小当り確率)ものなどとすればよい。また、この変形例の第2特別図柄の大当り図柄決定テーブルを図26に示す。第2特別図柄の大当り図柄決定テーブルでは、図示するように、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜179のときに「第1の大当り」となり(約70%の出現確率)、値180〜255のときに「第2の大当り」となる(約30%の出現確率)。この第2特別図柄の大当り図柄決定テーブルは、実施例の第1特別図柄の大当り図柄決定テーブルと比べて、「第1の大当り」の出現確率が高く、大当り遊技中に遊技球が特定領域52を通過する可能性が、第1特別図柄の大当りより高くなるから、大当り遊技終了後の電サポあり状態の発生の可能性も、第1特別図柄の大当りより高いものとなる。一方で、実施例の第2特別図柄の小当り図柄決定テーブルと比べて、「第1の大当り」(第1の小当りを経由した大当り)の出現確率が低くなっている。このため、第2特別図柄の大当りは、大当り遊技中に遊技球が特定領域52を通過する可能性が、第2特別図柄の小当り経由の大当りより低くなるから、大当り遊技終了後の電サポあり状態の発生の可能性も、第2特別図柄の小当り経由の大当りよりは低いものとなる。このように、第2特別図柄に大当りを含むものとし、その大当り遊技終了後の電サポあり状態の発生可能性を、第1特別図柄の大当りや第2特別図柄の小当り経由の大当りとは異なるものとすることで、大当り遊技終了後の電サポあり状態の発生可能性を多様化することができるから、遊技興趣をさらに向上させることができる。なお、第1特別図柄および第2特別図柄のいずれにも、小当りと大当りを含むものとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、特定ラウンドにおける第1大入賞口44の開放態様を「長開放」か「短開放」のいずれかにすることで、特定領域52への遊技球の通過し易さが異なるものとしたが、これに限られず、第1大入賞口44の開放態様を同じもの(同じ開放時間)として振分装置60の振分態様を変えることで、特定領域52への遊技球の通過し易さが異なるものとしてもよい。この変形例の第1特別図柄の大当り図柄決定テーブルを図27に示し、第2特別図柄の小当り図柄決定テーブルを図28に示す。図27の第1特別図柄の大当り図柄決定テーブルでは、大当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜127のときに「第1の大当り」となり(約50%の出現確率)、値128〜255のときに「第3の大当り」となる(約50%の出現確率)。「第1の大当り」は、実施例と同じ内容であるが、「第3の大当り」では、特定ラウンドにおける第1大入賞口44の開放時間を「第1の大当り」と同じ時間としつつ、振分装置60の振分態様を「第1の大当り」の振分態様B(第1の振分態様)とは異なる振分態様B2(第2の振分態様)とする。この振分態様B2は、実施例の振分態様Aと同様に、遊技球が特定領域52を通過する可能性が1/9程度となっている。このため、「第3の大当り」では、「第1の大当り」に比べて、特定ラウンド中に第1大入賞口44に遊技球が入球する可能性は同等となるものの、第1大入賞口44に入球した遊技球が特定領域52を通過し難いものとなる。一方、図28の第2特別図柄の小当り図柄決定テーブルでは、小当り図柄決定用乱数が値0〜255のうち値0〜203のときに「第1の小当り」となり(約80%の出現確率)、値204〜255のときに「第3の小当り」となる(約20%の出現確率)。「第1の小当り」は、実施例と同じ内容であるが、「第3の小当り」では、小当り経由の大当りが「第3の大当り」と同じ内容となる。このため、「第3の小当り」は、「第1の小当り」に比べて、小当り経由の大当りの特定ラウンドにおいて、第1大入賞口44に入球した遊技球が特定領域52を通過し難いものとなる。
この変形例では、図23の特定ラウンド遊技処理に代えて図29の特定ラウンド遊技処理を実行すればよい。図29の特定ラウンド遊技処理では、図23の特定ラウンド遊技処理と同一の処理には同一のステップ番号を付し、その詳細な説明は重複するから省略する。図29の特定ラウンド遊技処理では、S434で現在の大当りが「第1の大当り」および「第1の小当りを経由した大当り」のいずれかであると判定すると、振分装置60が振分態様Bに基づいて遊技球を振り分けるよう振分ソレノイド61を駆動制御すると共に(S436a)、「長開放」により第1大入賞口44が開放されるよう第1大入賞口ソレノイド44bを駆動制御する(S440a)。また、現在の大当りが「第1の大当り」および「第1の小当りを経由した大当り」のいずれでもない、即ち、現在の大当りが「第3の大当り」および「第3の小当りを経由した大当り」のいずれかであると判定すると、振分装置60が振分態様B2に基づいて遊技球を振り分けるよう振分ソレノイド61を駆動制御すると共に(S438a)、「長開放」により第1大入賞口44が開放されるよう第1大入賞口ソレノイド44bを駆動制御する(S440a)。これにより、「第1の大当り」や「第1の小当りを経由した大当り」の場合は、特定ラウンド中に第1大入賞口44に入球した遊技球が1/3程度の確率で特定領域52を通過し、「第3の大当り」や「第3の小当りを経由した大当り」の場合は、特定ラウンド中に第1大入賞口44に入球した遊技球が1/9程度の確率で特定領域52を通過することになる。この変形例においても、実施例と同様に、1種2種混合タイプのパチンコ機10において、大当り遊技中に遊技球が特定領域52を通過したことを条件として電サポあり状態を発生させるという新たな遊技性を提供することができる。また、第1大入賞口44の開放態様を同じとして振分装置60の振分態様を変えるため、第1特別図柄の大当りよりも、第2特別図柄の小当りを経由した大当りの方が、特定ラウンド中に遊技球が特定領域52を通過する可能性を高くすることができるから、実施例と同様に、電サポあり状態が一旦発生すると大当りが連続的に発生する可能性を高めることができ、遊技興趣をより一層向上させることができる。
実施例のパチンコ機10では、「第2の大当り」および「第2の小当りを経由した大当り」の特定ラウンドにて第1大入賞口44を短開放させる際、その開放時間を「1.5秒」としているが、第1大入賞口44への遊技球の入球が一層困難となる開放時間(例えば1秒未満)とすることで、「第2の大当り」や「第2の小当りを経由した大当り」の場合には、電サポあり状態が実質的に発生しないようにすることもできる。このようにすることで、電サポあり状態の発生有無の観点で、「第2の大当り(第2の小当りを経由した大当り)」よりも「第1の大当り(第1の小当りを経由した大当り)」の方が遊技者にとって有利であることをより明確にすることができる。また、「電サポあり状態」と「第2の小当りを経由した大当り」とが繰り返される状況が過度に続くことを防止することができ、これにより、パチンコ機10の射幸性が著しく高くなることを防止することができる。
実施例のパチンコ機10や変形例では、特定ラウンド中において第1大入賞口44の開放態様か振分装置60の振分態様のいずれかを変えることで特定領域52への遊技球の通過し易さが異なるものとしたが、これに限られず、第1大入賞口44の開放態様と振分装置60の振分態様の両方を変えるものとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、第1大入賞口44の特定領域52を、小当り経由の大当りを発生させるか否かを決定するためだけでなく、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させるか否かを決定するためにも用いるもの(兼用するもの)としたが、これに限られず、小当り経由の大当りを発生させるか否かを決定するための特定領域52と、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させるか否かを決定するための特定領域とを別々に設けるものとしてもよい。この変形例の第1大入賞口144の内部構成を図30,図31に示す。図示するように、変形例の第1大入賞口144の内部は、実施例の第1大入賞口44の構成に加えて、上流側で第1流路51と間隔を空けて流路が連通すると共に下流側で第3流路55と間隔を空けて流路が連通する(第1流路51と第3流路55との間に設けられる)第4流路56と、第4流路56から枝分かれし遊技球の通過を検知する第2特定領域通過スイッチ57aを有する第2特定領域57(いわゆるV領域)が形成された第5流路58と、第4流路56を流下する遊技球を第2特定領域57(第5流路58)か非特定領域54(第3流路55)のいずれかに振り分ける第2振分装置160とが設けられている。第2振分装置160は、振分装置60と同様の構成であるため、各構成要素には下2桁が振分装置60の構成要素の符号と一致する百番台の符号を付し、その説明は省略する。また、変形例の振分装置60は、第1流路51を流下する遊技球を特定領域52(第2流路53)に振り分け可能な点が実施例と同じであるが、特定領域52(第2流路53)に振り分けない場合には、第4流路56に振り分ける点が実施例と異なる。
この変形例では、振分ソレノイド61,161に通電しない非通電状態(非駆動状態)では、図30に示すように、振分装置60の可動片65が第1流路51と第4流路56との間から出た状態となると共に第2振分装置160の可動片165が第4流路56と第3流路55との間から出た状態となるから、第1大入賞口144に入球して第1流路51を流下した遊技球は第4流路56,第3流路55を流れることになる。このため、振分装置60と第2振分装置160とは、非通電状態(非駆動状態)では、第1大入賞口144に入球した遊技球が非特定領域54を通過するよう振り分けることになる(図30の点線矢印参照)。また、振分ソレノイド61に通電すると共に振分ソレノイド161に通電しない第1通電状態(第1駆動状態)では、図示は省略するが、振分装置60の可動片65が第1流路51と第4流路56との間に入った状態となると共に第2振分装置160の可動片165が第4流路56と第3流路55との間から出た状態となるから、第1大入賞口144に入球して第1流路51を流下した遊技球は可動片65の傾斜面によって第2流路53へ流入することになる。このため、振分装置60と第2振分装置160とは、第1通電状態(第1駆動状態)では、実施例の図5と同様に、第1大入賞口144に入球した遊技球が特定領域52を通過するよう振り分けることになる。さらに、振分ソレノイド161に通電すると共に振分ソレノイド61に通電しない第2通電状態(第2駆動状態)では、図31に示すように、振分装置60の可動片65が第1流路51と第4流路56との間から出た状態となると共に振分装置160の可動片165が第4流路56と第3流路55との間に入った状態となるから、第1大入賞口144に入球して第1流路51を流下した遊技球は、第4流路56を流下中に可動片165の傾斜面によって第5流路58へ流入することになる。このため、振分装置60と第2振分装置160とは、第2通電状態(第2駆動状態)では、第1大入賞口144に入球した遊技球が第2特定領域57を通過するよう振り分けることになる(図31の点線矢印参照)。
また、この変形例では、第1大入賞口144に入球した遊技球が特定領域52を通過する確率が1/9程度となるよう非駆動状態と第1駆動状態とを切り替える「振分態様A1」と、第1大入賞口144に入球した遊技球が第2特定領域57を通過する確率が1/3程度となるよう非駆動状態と第2駆動状態とを切り替える「振分態様B1」との2種類の振分態様を有しており、このうちのいずれかの態様で振分装置60,第2振分装置160を駆動制御する。そして、図21の小当り遊技処理では、S358の処理で、振分態様Aに代えて振分態様A1で振分装置60,第2振分装置160を駆動制御することで、第1大入賞口144に入球した遊技球を特定領域52に振分可能とすることができる。また、図23の特定ラウンド遊技処理では、S440の処理で、振分態様Bに代えて振分態様B1で振分装置60,第2振分装置160を駆動制御することで、第1大入賞口144に入球した遊技球を第2特定領域57に振分可能とすることができる。そして、S448,S450の処理では、遊技球が第2特定領域57を通過したと判定したときに特定領域通過フラグをオンとすればよい。このように、小当り経由の大当りを発生させるか否かを決定するための特定領域52と、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させるか否かを決定するための第2特定領域57とを別々に設けたとしても、本実施例と同様の効果を奏するものとすることができる。
実施例のパチンコ機10や変形例では、小当り経由の大当りを発生させるか否かを決定するための特定領域と、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させるか否かを決定するための特定領域とをいずれも第1大入賞口44に設けるものとしたが(実施例では共通の領域とした)、これに限られず、小当り経由の大当りを発生させるか否かを決定するための特定領域52だけを第1大入賞口44に設けておき、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させるか否かを決定するための特定領域を第2大入賞口に設けてもよいし、第1大入賞口44や第2大入賞口46とは別の入賞口に設けてもよい。前者の場合における変形例の第2大入賞口146の内部を含む構成の概略を図32に示す。図示するように、第2大入賞口146内には、遊技球の通過を検知する図示しない特定領域通過スイッチを有する第3特定領域152(いわゆるV領域)と、遊技球の通過を検知する図示しない非特定領域通過スイッチを有する非特定領域154(いわゆる外れ領域)と、遊技球を第3特定領域152に誘導するよう第3特定領域152側に向かってわずかに傾斜した特定領域用誘導部155と、第2大入賞口146のフレームの一部(下端)を構成すると共に遊技球を非特定領域154に誘導するよう非特定領域154側に向かってわずかに傾斜した非特定領域用誘導部156と、第2大入賞口146内に入球した遊技球を平板状の振分板157aで受けて特定領域用誘導部155か非特定領域用誘導部156のいずれかに振り分ける第3振分装置157とが設けられている。第3振分装置157は、振分ソレノイド157bの駆動によって、振分板157aがその一端の回転軸157cを中心として下方に回動可能となっている。
この変形例の第3振分装置157が遊技球を振り分ける様子を図33に示す。図示するように、第3振分装置157は、振分ソレノイド157bが駆動してない非駆動状態では、振分板157aで受けた遊技球を第3特定領域152側(特定領域用誘導部155)に振り分け(図33(a))、振分ソレノイド157bが駆動している駆動状態では、振分板157aが下方に回動することにより振分板157aで受けた遊技球を非特定領域154側(非特定領域用誘導部156)に振り分ける(図33(b))。即ち、第2大入賞口146に入球した遊技球は、第3振分装置157による振分を経て、第3特定領域152か非特定領域154のいずれかを通過することになる。なお、この変形例でも、第2大入賞口146に入球した遊技球が第3特定領域152を通過する確率が1/3程度となるよう「振分態様B3」で振分ソレノイド157bを駆動する。そして、図23の特定ラウンド遊技処理では、第1大入賞口44を第2大入賞口146に読み替え、S440では、振分態様B3で第3振分装置157を駆動すればよい。なお、特定ラウンド中においてのみ第3振分装置157を駆動してもよいし、常時あるいは通常ラウンド中から第3振分装置157を駆動するものの特定ラウンドを開始するまでは第3特定領域152の特定領域通過スイッチをオフ(あるいは第3特定領域152の特定領域通過スイッチからの検出信号を無視)するものとしてもよい。また、第2大入賞口146を、図32,33に示した構成とするものに限られず、図5に示した第1大入賞口44と同様な構成としてもよい。
また、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させるか否かを決定するための特定領域を第1大入賞口44や第2大入賞口46(146)とは別の大入賞口(第3大入賞口)に設ける場合、その第3大入賞口内を、図5に示した第1大入賞口44内と同様な構成としたり、図32に示した第2大入賞口146と同様な構成としたりすればよい。そして、図23の特定ラウンド遊技処理では、第1大入賞口44を第3大入賞口に読み替えるものとし、S440では、第3大入賞口に入球した遊技球を、特定領域かそれ以外の領域に振り分ける振分装置を駆動するものなどとすればよい。即ち、この場合の第3大入賞口は、特定ラウンド専用の入賞口となる。
実施例のパチンコ機10や変形例では、部材(可動片65や振分板157a)を作動させることにより遊技球を振り分けるものとしたが、これに限られず、非作動の部材(固定部材)により遊技球を振り分けるものとしてもよい。例えば、入球した遊技球を受ける受け皿に、特定領域に通じる落下孔と、非特定領域に通じる落下孔とを形成しておき、受け皿で受けた遊技球がいずれかの落下孔に入球することで、遊技球を特定領域か非特定領域に振り分けるものとしてもよい。あるいは、入球した遊技球を受ける凸状部材に2つの傾斜面を設け、一方の傾斜面を特定領域とすると共に他方の傾斜面を非特定領域としておき、凸状部材にあたった遊技球がいずれの斜面を落下するかによって、遊技球を特定領域か非特定領域に振り分けるものとしてもよい。
実施例のパチンコ機10や変形例では、遊技球を特定領域か非特定領域に振り分けるものとしたが、これに限られず、小当り経由の大当りを発生させるか否かを決定するための特定領域か、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させるか否かを決定するための特定領域のいずれかに遊技球を振り分けるものとして、非特定領域に振り分けない(非特定領域を設けない)ものとしてもよい。この場合、図21の小当り遊技処理では、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させるか否かを決定するための特定領域が非特定領域として機能し、図23の特定ラウンド遊技処理では、小当り経由の大当りを発生させるか否かを決定するための特定領域が非特定領域として機能することになる。こうすれば、一方の特定領域への振分確率を高くすれば、他方の特定領域への振分確率が低くなるから、小当り経由の大当りを発生させる確率を高くすれば、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させる確率を低くすることができ、逆に、小当り経由の大当りを発生させる確率を低くすれば、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させる確率を高くすることができる。即ち、小当り経由の大当りを発生させる確率と、大当り遊技終了後の電サポあり状態を発生させる確率とが、いずれも高くなったり、いずれも低くなったりするのを防止することができる。
実施例のパチンコ機10では、小当り遊技中や大当り遊技中の特定ラウンドで第1大入賞口44を開放し、大当り遊技中の通常ラウンドで第2大入賞口46を開放したが、これに限られず、小当り遊技中にも大当り遊技中にも第1大入賞口44を開放して第2大入賞口46を設けない構成としてもよい。この場合、小当り遊技中や大当り遊技の特定ラウンド中においてのみ振分装置60を駆動してもよいし、常時あるいは通常ラウンド中から振分装置60を駆動するものの特定ラウンドを開始するまでは特定領域通過スイッチ52aをオフ(あるいは特定領域通過スイッチ52aからの検出信号を無視する)ものとしてもよい。
実施例のパチンコ機10では、特定ラウンドを1つのラウンド(第15ラウンド)としたが、これに限られず、2以上の複数のラウンドとしてもよい。また、特定ラウンドとしては最終ラウンドを含むものに限られず、どのラウンド(何番目のラウンド)を特定ラウンドに定めてもよい。この場合、図22の大当り遊技処理のS408の処理では、残りラウンド数が値2以上であるか否かの判定に代えて、残りラウンド数が特定ラウンドとして定められたラウンド数であるか否かや現在が特定ラウンド中であるか否かを判定し、いずれかが成立する場合に特定ラウンド遊技処理を実行すればよい。また、最終ラウンドが特定ラウンドではなく通常ラウンドになる場合には、図23の特定ラウンド遊技処理のS452,454の処理を、図22の大当り遊技処理のS418の処理の後に実行するものなどとすればよい。
実施例のパチンコ機10では、振分装置60が2種類の振分態様を有し、小当り遊技中と大当り遊技の特定ラウンド中とにおいて異なる振分態様で振分ソレノイド61を駆動制御するものとしたが、これに限られず、小当り遊技中と大当り遊技の特定ラウンド中とにおいて共通の振分態様で振分ソレノイド61を駆動制御するものとしてもよい。
また、実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を「貸球」や「賞球」として利用し、遊技盤に設けられた各種入賞口(第1始動口、第2始動口、大入賞口等)への遊技球の入球に応じて所定数の賞球を払い出すことによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与する遊技機(パチンコ機)に本発明を適用した例を説明したが、「賞球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入賞口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを主制御部あるいは払出制御部のRAM(遊技価値管理制御部)に記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプの遊技機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。もちろん、遊技価値管理制御部が管理する遊技価値として、遊技の結果得られた遊技価値と、現金等を投入することで得られた遊技価値とを別に管理(別途に表示)してもよいし、一緒に管理(加減算して表示)してもよい(別表示と加減算表示の両方をしてもよい)。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプの遊技機としては、遊技機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入賞口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成された遊技機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、パチンコ機10が「遊技機」に相当し、第1始動口36が「第1始動口」に相当し、第2始動口38が「第2始動口」に相当し、図29の特定ラウンド遊技処理のS448〜S450の処理と図24の大当り遊技終了時処理のS462〜S470の処理を実行する主制御基板70のCPU70aが「容易状態発生手段」に相当し、図13の特別図柄遊技処理のS226〜S236の処理と図15,16の変動表示関連処理のS302〜S322の処理を実行する主制御基板70のCPU70aと図柄表示基板40aと図柄表示装置40とが「識別情報変動表示手段」に相当し、図14の特別図柄遊技処理のS260〜S262の処理と図21の小当り遊技処理とを実行する主制御基板70のCPU70aが「第1特定遊技実行手段」に相当し、図14の特別図柄遊技処理のS248〜S250の処理と図22の大当り遊技処理と図29の特定ラウンド遊技処理(S448〜S450を除く)とを実行する主制御基板70のCPU70aが「第2特定遊技実行手段」に相当し、内部に特定領域52を有する第1大入賞口44が「特定入球装置」に相当する。また、第1大入賞口44を用いて図21の小当り遊技処理を実行し図32の第2大入賞口146を用いて図22の大当り遊技処理を実行する変形例において、第1大入賞口44が「可変入球装置」に相当する。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行われるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。