JP5810836B2 - 焼結鉱製造用の改質炭材の製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、当該技術に係る排ガス脱硝設備は建設費が高額で、またアンモニアが高価である為に操業費が高くなる。また、窒素の含有量が少ない無煙炭を使用する手段もあるが、窒素の含有量が少ない無煙炭は、資源枯渇により採掘条件が悪化してきており、その使用は制限をうける。
又、焼結原料の事前処理方法であって、高速攪拌羽根を内臓した混合機を用いて焼結原料を混合造粒する方法が提案されている(特許文献2)。
又、半還元塊成鉱の製造方法であって、高速攪拌羽根を内臓した混合機を用いて鉱石、コークス及び石灰石を核とし、その周囲に、コークスを被覆した高還元性鉱石の製造方法が提案されている(特許文献3)。
又、特許文献2及び特許文献3に記載の発明は、高速攪拌羽根を内臓した混合機を用いて混合造粒するものであるが、鉄鉱石を核に粉鉱石やコークスを被覆するものであり、NOxの発生を抑制するために、炭材を核としCaOやCa(OH)2のようなCa含有物を被覆するには、攪拌羽根の回転速度やその他の運転条件が相違するという問題がある。
そこで、本発明の課題は、Ca含有物が被覆された改質炭材の被覆強度を高めることができる焼結鉱製造用の改質炭材の製造方法を提供することである。
攪拌ミキサー内の攪拌羽根占有率が、0.024以上、0.483以下であることを特徴とする焼結鉱製造用の改質炭材の製造方法。
ただし、攪拌羽根占有率=攪拌羽根による排除容積/容器(パン)の実効容積
攪拌羽根による排除容積=攪拌羽根による原料の排除容積
容器(パン)の実効容積=攪拌ミキサー内で処理されている原料の容積
をいう。
(2)攪拌ミキサー内の攪拌羽根の周速が0.5m/s以上、10m/s以下であることを特徴とする(1)に記載の焼結鉱製造用の改質炭材の製造方法。
(3)前記攪拌ミキサーを用いて製造する改質炭材の含有水分が、外数で12.8質量%以上、19.5質量%以下であることを特徴とする(1)及び(2)のいずれかに記載の焼結鉱製造用の改質炭材の製造方法。
(4)容器(パン)の回転軸と容器(パン)内の攪拌羽根の回転軸が偏芯した攪拌ミキサーを用いて表面被覆炭材を製造する方法であって、
容器(パン)の回転軸の回転方向と、容器(パン)内の攪拌羽根の回転軸の回転方向とが逆であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の焼結鉱製造用の改質炭材の製造方法。
NOx転換率(mol%)
=100×NOx発生量(mol)/燃料窒素入量(mol)・・・・・(1)
また、水分は外数の質量百分率、すなわち、乾燥後の試料質量に対する水分質量の百分率で表す。
コークス燃焼による温度とNOx転換率の関係を図1に示す。焼結で生成するNOxは、炭材中の窒素が酸化したものであり、図1に示されるように、1000℃以下の低温で生成することが確認されている。したがって、NOx生成を抑制するためには、極力、炭材の低温燃焼を避け、高温燃焼させることが重要である。
ここで、炭材とは、コークス、無煙炭その他の焼結鉱製造に用いられる燃料をいう。
これに対し、炭材の表面を高価なCaO−FexO系複合酸化物ではなく、Ca含有物を被覆した場合でも、焼結層内で炭材の周辺には鉄鉱石が存在するので、Ca含有物中のCaは炭材周辺の鉄鉱石と反応し、CaO−FexO系複合酸化物が生成し、NOx発生を抑制すると考えられる。本発明は、上記のような高価な酸化物を用いずに通常の焼結副原料として用いられる石灰系原料を炭材表面の被覆物として用い、被覆物層中のCa含有物により炭材燃焼時のNOx低減を可能とするための炭材表面へのCa含有物被覆方法に関するものである。
本発明では、炭材表面にCa含有物を被覆する方法として、回転軸の周りに羽根を有する攪拌羽根を容器(パン)に内蔵する攪拌ミキサーを用いる。
本発明者は、各種の混合、造粒機の中で、前記攪拌ミキサーが、炭材表面にCa含有物を被覆するものとして、(1)改質炭材の微粉が少ないこと、(2)被覆層の強度が高いことより、優れた造粒機であることの知見を得た。
回転軸の周りに羽根を有する攪拌羽根を容器(パン)に内蔵する攪拌ミキサーの一例としては、アイリッヒミキサー(商品名)がある。該攪拌ミキサーの概観図を図9(A)に示し、平面図を図9(B)に示す。
アイリッヒミキサーでは原料を容器(パン)6ごと回転させる。これに対し偏心位置で逆方向回転する回転軸の周りに羽根を有する攪拌羽根7が、原料への高い剪断力を発生させる。回転する混合パンは傾斜しており、これにより原料に上向きのベクトルが働く。頂点まで運ばれた原料は、スクレーパにより反転し、上下方向のマクロな混合を促進する。またスクレーパは、パン壁や底に留まろうとする原料を絶えず引き剥がし、アジテータ部に送り込み撹拌羽根により粒子を排除し上部に存在する原料を下部に移動させることができる。したがって、原料は攪拌羽根の回転面内の2次元的な動きだけでなく容器高さ方向にも動きが与えられ、3次元的に粒子が移動し、これにより均一混合と造粒が強化される。
まず、従来型パンペレタイザーと比較して攪拌ミキサーによる被覆物の強度を調査した。図3に攪拌ミキサーによる造粒物の落下による被覆層崩壊テスト結果を示す。
粉コークスにCaOを20%被覆させる試験であり、撹拌羽根周速5.8m/s、パン内滞留時間4分、水分15.8%で造粒した。CaOが被覆された改質コークスを製造後すぐに、1mの高さからの落下による粉化を調べた、落下を20回くりかえしても、CaOが被覆された改質コークスの粒径の変化は少なく、改質コークスの被覆層は、製造後のハンドリングによっても、粉化しないものであった。
図4にパンペレタイザーによる造粒物の落下による被覆層崩壊テスト結果を示す。
粉コークスにCaOを20%被覆させる試験であり、万能混練機で3分間混練後に、パンペレタイザーによる3分間の造粒を、水分15.8%で行った。CaOが被覆された改質コークスを製造後すぐに、1mの高さからの落下による粉化を調べた。攪拌ミキサーによる造粒に比較し、1mm〜3mmの改質コークスが少なく、CaOの被覆造粒が不十分である。そして、5〜20回の落下のくりかえしにより改質コークスの−0.5mmの量が増加しており、被覆層が粉化している。
以上より、Caを含有する被覆物を粉コークスに被覆するには、回転軸の周りに羽根を有する攪拌羽根を容器(パン)に内蔵する攪拌ミキサーを用いて製造する方法が優れていることが分かった。
試験に用いた攪拌ミキサーの条件を表1に示す。ここで、攪拌羽根の占有率とは、(羽根の排除容積/処理実効容積)を言う。即ち、円筒形パン内のコークス容積に対する、羽根が排除するコークス容積の割合である。占有率の変更は、羽根が排除するコークス容積(羽根の排除容積)を一定にし、回転パン内の原料の容積(処理実効容積)を変化させることによった。
攪拌羽根の羽根周速を5.8m/s〜19.3m/sの高速にした場合の仕様を表3に示し、その場合の粉コークスの−0.25mmの比率を図5に示す。図5において、羽根周速が9.7m/sを超えると−0.25mmの比率が大きくなり、粉コークスの破砕が生じている。よって、羽根周速は、10.0m/s以下が好ましい。
本発明に係る改質炭材の製造方法で製造した改質コークスを用いて焼結鍋試験装置により、焼結鉱の製造試験を行った。
実施に用いた焼結鍋試験装置の概略図を図7に示す。
この焼結鍋試験装置は、点火炉1、焼結鍋2、風箱3、ブロアー4及び分析計5を備える。
この焼結鍋試験装置では、焼結鍋2に試験体となる改質炭材を装入し、点火炉1で点火して改質炭材を加熱する。同時にブロアー4を起動して、風箱3を介して焼結鍋2で生じた排気ガスを排出し、この排気ガスを分析計5で分析する。
改質炭材は粉コークスと消石灰に水分を添加しながら混練造粒処理して製造した。
混合、造粒した配合原料を焼結鍋試験装置に充填し、点火90秒、風量1.6Nm3/分一定の条件で焼成した。焼成中は、層高の異なる3ヶ所で焼結層内の温度測定と排ガス中のNOxの濃度を測定した。試験に用いた原料配合を表6に示す。以下、表中の%は質量%を意味する。
消石灰は、−0.25mmの粒度のものを用いた。
ηNO=100×NOx/((CO+CO2)・NCOKE/(CLPG+CCOKE+CLS))/10000
・・・・・・・・(2)
ただし、ηNO:NOx転換率(%)、NOx:排ガスNOx(ppm)
CO:排ガスCO(%)、CO2:排ガスCO(%)、
NCOKE:コークス中N(mol)、CLPG:点火ガス中C(mol)、
CCOKE:コークス中C(mol)、CLS:石灰石中C(mol)
実施例1(E1)は、粉コークスにCaOを20%被覆させる試験であり、攪拌羽根の占有率が0.053、撹拌羽根周速が5.8m/s、滞留時間が4分、水分12.6%で造粒して調整した改質コークスをすぐに用いて、焼結鉱を製造した。
実施例2(E2)は、水分を15.8%に変更した以外は、実施例1の条件と同じである。
Claims (4)
- 炭材表面に、石灰系原料由来のCaを含有する被覆物を被覆した表面被覆炭材を、回転軸の周りに羽根を有する攪拌羽根を容器(パン)に内蔵する攪拌ミキサーを用いて製造する方法であって、
攪拌ミキサー内の攪拌羽根占有率が、0.024以上、0.483以下であることを特徴とする焼結鉱製造用の改質炭材の製造方法。
ただし、攪拌羽根占有率=攪拌羽根による排除容積/容器(パン)の実効容積
攪拌羽根による排除容積=攪拌羽根による原料の排除容積
容器(パン)の実効容積=攪拌ミキサー内で処理されている原料の容積
をいう。 - 攪拌ミキサー内の攪拌羽根の周速が0.5m/s以上、10m/s以下であることを特徴とする請求項1に記載の焼結鉱製造用の改質炭材の製造方法。
- 前記攪拌ミキサーを用いて製造する改質炭材の含有水分が、外数で12.8質量%以上、19.5質量%以下であることを特徴とする請求項1及び請求項2のいずれかに記載の焼結鉱製造用の改質炭材の製造方法。
- 容器(パン)の回転軸と容器(パン)内の攪拌羽根の回転軸が偏芯した攪拌ミキサーを用いて表面被覆炭材を製造する方法であって、
容器(パン)の回転軸の回転方向と、容器(パン)内の攪拌羽根の回転軸の回転方向とが逆であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の焼結鉱製造用の改質炭材の製造方法。
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