JP5809470B2 - 玄米由来の植物性ステロール配糖体の製造方法 - Google Patents

玄米由来の植物性ステロール配糖体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、玄米由来のステロール配糖体の製造方法及び玄米由来ステロール配糖体を高濃度に含有する組成物に関する。
発芽玄米は玄米を僅かに発芽状態にした食品で、発芽の過程でガンマアミノ酪酸など種々の生理活性を有する成分を蓄積することが確認されている。本出願人は、発芽玄米から抽出した化学式(1)に示すステロール配糖体が神経障害予防及び改善作用(特許文献1:特開2008−266326号公報)、脂質代謝改善作用(特許文献2:特開2011−57598号公報)、血糖上昇抑制作用(特許文献3:特開2011−57597号公報)、抗欝作用(特許文献4:特開2011−57585号公報)、エネルギー代謝促進(特許文献5:特開2011−57599号公報)など有用な生理効果があることを解明した。
(i)化学式(1)中のXは以下の群から選択され、かつ、Yは5α-cholest-8(14)-en3β-olであるパルミチン酸(16:0)、ステアリン酸(18:0)、2-ヒドロキシ-オクタデカン酸(18:0 (2h))、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2)、又は、リグノセリン酸(24:0)
(ii)化学式(1)中のXは2-ヒドロキシ-オクタデカン酸(18:0 (2h))であり、かつ、Yは以下の群から選択される
Campesterol、Stigmasterol、5α-cholest-8(14)-en-3β-ol、又は、β-Sitosterol
発芽玄米に含有され、化学式(1)であらわされるステロール配糖体又はステロール配糖体画分を本発明では以下ASG又はASG画分と略称する。ASG画分は、発芽玄米の外皮に特に高含有されていることが知られている。このためASGは、発芽玄米を精白する際に得られる米ぬかから極性の低いクロロホルムや極性の高いメタノールなどの有機溶媒を用いてASG画分を抽出し(非特許文献1参照)、吸着クロマトグラフィー、さらには高速液体クロマトグラフィーを用いて単離精製することができる(特許文献4参照)。しかし発芽玄米中のASGの含有量は極微量であり、上記抽出方法を用いても(HPLC操作前)で乾燥物あたり2.7%の含有量のものしか得られていない。またクロロホルムなどの溶媒を使用することが抽出効率をあげるための必須条件であり、クロロホルムを抽出溶媒として使用した場合、そのクロロホルムが抽出物に残存する。ASGの食品用途を考えた場合、抽出溶媒としてクロロホルムは使用できないため、使用可能な有機溶媒を選択する必要があるが、抽出物中ASGの純度はかなり低くなる。ASGの純度を高めることは製品化を行う際に、メリットが多い。例えば、錠剤, 顆粒剤, チュアブル剤, ソフトカプセル剤, ハードカプセル剤などに配合した場合、その配合割合を少なくし、錠剤の小型化や一日あたりの服用量を減らすことができる。さらに溶媒抽出の場合、抽出溶媒中に米ぬかに含有される脂質がASGと同様の挙動を示すため、ASGと脂質の分離がはなはだ困難であり、溶媒抽出だけではASGの純度(含有率)を10%以上に高めることが難しかった。
このような抽出困難な物質の抽出方法として超臨界抽出法が提案されている。
超臨界流体は液体の密度に近く、気体の拡散係数に近いことから、種々の物質に浸透し、目的とする物質を溶解して抽出する能力に優れており、近年、臨界温度が31.1℃, 臨界圧力が7.34MPaである二酸化炭素を溶媒とした抽出方法が実生産レベルにて利用されている。例えば、コーヒー豆からのカフェイン除去などがそうである。
また、抽出に使用した二酸化炭素は回収し再利用することができ、環境の観点からも有機溶剤に比べ、好ましい。
このような超臨界二酸化炭素は目的物質を比較的変質させることなく抽出できる。しかしながら、極性の低い物質の抽出には有効であるが、極性の高い物質の抽出には不向きである。そこで、極性を有する物質を抽出する場合、エントレーナー(溶解補助溶媒) として、極性を有する溶媒、例えば、水, メタノール, エタノール, イソプロパノール, 1-プロパノール, 1-ブタノールなどが使用される場合がある。食品用途原料の抽出での使用を鑑みた場合、水或いはエタノールが望ましいが、粉末化或いは純度を高めるために濃縮, 濃縮乾固或いは減圧乾固する場合、沸点の低いエタノールがより好ましいと言える。
特開2008−266326号公報 特開2011−057598号公報 特開2011−057597号公報 特開2011−057585号公報 特開2011−057599号公報
Jordi Folch et.al. :J.Biol.Chem.,226,497-505, 1957
食用とすることができ、かつ高濃度の植物ステロール配糖体(特にASG含有組成物)をクロロホルムを使用しない製造方法により提供することを課題とする。
本発明は以下の構成である。
(1)植物ステロール配糖体を製造する方法であって、原料である玄米のぬかを二酸化炭素のみを用いた超臨界抽出操作で処理して、抽出残渣を回収する第1段階抽出操作を行い、次いで抽出残渣を再度、二酸化炭素とエタノールを用いた超臨界抽出操作で処理し、抽出物を回収する第2段階抽出操作からなることを特徴とする製造方法。
(2)玄米が発芽玄米であることを特徴とする(1)に記載の製造方法。
(3)第1段階の抽出操作条件が温度32℃〜70℃、圧力10MPa〜40MPaであり、第2段階抽出操作条件が温度32℃〜70℃、圧力10MPa〜40MPaである(1)又は(2)に記載の製造方法。
(4)第2段階の抽出に際し用いる二酸化炭素とエタノール供給重量比が50:1〜5:1である(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
本発明によって玄米のぬかから高濃度の植物ステロール配糖体を得る方法が提供される。特に、発芽玄米のぬかから高濃度のASGを得ることができる。本発明の製法はクロロホルムを使用しない方法であり、したがって植物ステロール配糖体中にクロロホルムが残留する危険がまったくない製法である。また本発明の実施により、脂質の混入量の少ない植物ステロール配糖体の濃度の高い組成物が提供される。
本発明の方法の模式図である。 本発明で得られたASG含有組成物を分析するためのHPLCの溶出溶媒のグラジュエント曲線とHPLCチャートを示す。溶出時間5分直前にASGが溶出される。 本発明で得られたASG含有組成物を分析したHPLCチャートを示す。Peak1、Peak2は脂質に相当し、この2ピークを減らすことでASG純度を改善できることを示す。 比較例の溶媒抽出によって得たASGにクロロホルムが残留していることを示す。
以下本発明の実施形態を更に詳細に説明する。
発芽玄米の米ぬかの製造
乾燥発芽玄米を精米機にかけて米ぬかを回収する。米の精白度が90〜99%になるように精白処理を行うことで得られる米ぬかを使用する。精白度を上げすぎると米の澱粉質がぬかに混入してくる。又精白度を落とすと、米ぬかの回収量が減少し、ASGの収量が低下する。なお発芽玄米はどのような製造方法で生産されたものでも使用できるが、特許第3738025号公報に開示された微量水分供給方法による製法がASG濃度を高めるために好ましい方法である。
第一段階抽出
抽出操作の概要を模式図として図1に示す。
図の1stepの抽出操作をまず実施する。
通常の精米機で精白率95%に精米して発芽玄米ぬかを調製する。ASGを抽出するために米ぬかから、超臨界二酸化炭素抽出装置によって脂質を除去する。一般的に実施されている二酸化炭素の超臨界条件で容易に米ぬかから脂質のみが選択的に除去される。適切な抽出条件は、例えば、抽出時間1〜5時間、抽出圧力10〜50MPaおよび抽出温度32〜70℃である。好ましくは抽出時間1〜3時間、抽出圧力15〜40MPaおよび抽出温度35〜50℃であり、より好ましくは抽出時間2時間、抽出圧力25MPa付近および抽出温度40℃付近である。あらかじめ脱水した発芽玄米ぬかであれば同様に操作を行うことで、第2段階の抽出をより効率的に行うことができる。
第二段階抽出
第一段階が終了した米ぬかは図1に示すstep2によって抽出される。発芽玄米ぬかは、低級アルコール(例えばエタノール)を添加した超臨界二酸化炭素で抽出され、適切な抽出条件として例えば抽出時間0.5〜5時間、抽出圧力10〜50MPaおよび抽出温度32〜70℃の条件で抽出する。好ましくは抽出時間1〜3時間、抽出圧力15〜40MPaおよび抽出温度35〜50℃であり、より好ましくは抽出時間2時間、抽出圧力25MPa付近および抽出温度40℃付近である。この条件で米ぬか中に含有されるASGを抽出する。
得られた抽出液は、減圧乾固させてASG含有組成物とする。この組成物中にASGは10重量%以上含有されている。低級アルコールとしてエタノールを使用することが好ましい。エタノールは安全性の面からも好ましく、食品や医薬品を製造する際に有機溶媒として最適であり、残留することもほとんどなく、他の有機溶媒と比較して安全性も高い。この組成物をカラムクロマトグラフィーや分取型HPLCにかけてさらにASG含有率を高めた組成物を得るための原料とすることもできる。
<ASGの分析・確認方法>
各ステップでの試料中のASG含有量は以下に示す分析方法で測定する。
1)前処理
・発芽玄米ぬか粉末および発芽玄米ぬか抽出残留物粉末の前処理方法
(1) 50mLの蓋付ガラスチューブに試料粉末を約1.0g 秤取する。
(2) 次いで、クロロホルム/メタノール混液 (クロロホルム:メタノール=2:1) を10mL 加え、ボルテックスにて約90秒間、よく懸濁・分散させた後、遠心分離 (室温, 1500rpm, 10分) し、上澄液を回収する。
(3) (2)の操作をさらに2回繰り返し、フィルター濾過 (目開き:0.45μm) をし、その濾液を分析用試料溶液とする。(得られた試料溶液は成分濃度に応じて適宜希釈を行う。希釈液はクロロホルム/メタノール混液 (クロロホルム:メタノール=2:1))
・濃縮乾固品 (ASG抽出物) の前処理方法
(1) 得られた濃縮乾固品を適量秤取し、クロロホルム/メタノール混液 (クロロホルム:メタノール=2:1) を加え、 50mLメスフラスコにてメスアップする。
(2) (1)で得られた溶液は成分濃度に応じて適宜希釈し、分析用試料溶液とする。
・ 分析方法
ア)HPLCによる分析
HPLC分析条件は次のとおり
分析装置:HPLC
移動相A:メタノール:水 = 95:5 (v/v)
移動相B:クロロホルム = 100 (v/v)
ポンプ:Model 582 solvent delivery system
分析カラム:LiChrospher Si60(5μm) HPLC-Cartridge(MERCK)
検出器:荷電化粒子検出器(コロナ ダイオネクス社)
Injection Volume:20μL
カラムオーブン:40℃(FLO社 model 502)
分析時間:40 min
脱泡装置:uniflows Degasys Ultimate DV3003
流速 :1 mL/min
イ)グラジェント条件
以下に示すとおり
(1)0-15 分
移動相A: 1 % → 25 %、移動相B: 99 % → 75 %
(2)15-20分
移動相A: 25 % → 90 %、移動相B: 75 % → 10 %
(3)20-25分
移動相A: 90 %、移動相B: 10 %
(4)25-30分
移動相A: 90 % → 1 %、移動相B: 10 % → 99 %
(5)30-40分
移動相A: 1%、移動相B: 99%
グラジュエントプログラムによる溶出パターンを図2に示す。
なお、抽出に用いる発芽玄米ぬか量, 使用する二酸化炭素量, エタノール量の関係について説明する。
本願明細書に開示した、超臨界抽出実験に用いたぬか量は約12〜40gの範囲であるが、目的とする一定の抽出温度,抽出圧力条件に到達した後の二酸化炭素の供給量が重量を基準にして、第一段階抽出及び第二段階抽出において、約1:1〜約1:450 (ぬか:二酸化炭素の重量比) の範囲にあり、好ましくは約1:100〜約1:300、より好ましくは約1:250 である。
また、第二段階抽出における二酸化炭素とエタノールの抽出供給比は目的とする一定の抽出温度,圧力条件に到達した後、その供給重量比は約50:1〜約5:1、好ましくは約30:1〜10:1、より好ましくは約20:1である。
<実施例1>
予めASG含有量を分析し、含有量の明白な発芽玄米のぬかに対し、予めぬか中に含まれる水分 (約9.5 %) をほぼ除去し水分量を0.5 %以下 (水分除去にはフリーズドライ使用) にしたぬかを約36.5 g 採取し、これを、超臨界抽出装置 (三菱化工機(株)製) の耐圧容器 (抽出槽, 0.5L容器) に移した。次いで抽出溶媒として二酸化炭素を用いて、昇温・昇圧操作を行い、各温度・圧力条件下にて1〜2時間、超臨界二酸化炭素を抽出槽に通して抽出した。抽出液は回収槽に移し、抽出槽に余分な脂質を除去した残留物を得た。
実施例1に示した抽出方法に則り実施した、各温度, 圧力, 時間条件における、抽出前の発芽玄米ぬか中のASG量と抽出後の残渣中ASG量の比および得られた残留物中のHPLCクロマトグラフにおける残渣ASGのピーク面積と極めて量が多い余分な脂質成分ピーク (Peak1およびPeak 2) との面積比を記載したものを表1に示す。
表1のPeak 1 とPeak 2 とは図3 に示すクロマトグラフィー(コロナ検出)パターンの溶出ピークでASGと一緒に抽出され、ASG純度を低下させる原因となる。
ASG最終抽出物の純度を高めるには、第一段階の抽出において、できる限り余分な脂質を除去し、且つ脱脂ぬか中にできる限りASGを残留させることが重要となる。上記表1の結果より、各条件1〜8のうち、残渣中ASGの割合も程良く高く、Peak 1 とPeak 2 の割合も著しく低い値を示した条件1 (40℃, 25 MPa, 2 hr) を最適条件であると判断した。
<実施例2>
実施例1と同様、含有量の明白な発芽玄米のぬかを約40g採取し、これを、超臨界抽出装置 (三菱化工機(株)製)の耐圧容器 (抽出槽, 0.5L容器) に移した。次いで抽出溶媒として二酸化炭素を用いて、昇温・昇圧操作を行い、上記で見出した最適条件である40℃、25MPa,2時間超臨界二酸化炭素を抽出槽に通して抽出した。抽出溶液は回収槽に移し、抽出槽に余分な脂質を除去した残留物を得た。
実施例2に示した抽出方法に則り実施した、40℃, 25 MPa, 2hr条件下における、抽出前の発芽玄米ぬか中のASG量と抽出後の残渣中ASG量の比および得られた残留物中のHPLCクロマトグラフにおける残渣ASGのピーク面積と極めて量が多い余分な脂質成分ピーク (Peak1およびPeak 2) との面積比を記載したものを下表2に示す。実施例1の条件1と比較すると、条件9おいても、ほぼ同等の結果が得られた。
<実施例3>
予めASG含有量を分析し、含有量の明白な発芽玄米のぬかに対し、予めぬか中に含まれる水分 (約9.5%) をほぼ除去し水分量を0.5%以下(水分除去にはフリーズドライ使用)にしたぬかを約36.5g採取し、これを、超臨界抽出装置 (三菱化工機(株)製)の耐圧容器 (抽出槽,0.5L容器)に移した。次いで抽出溶媒として二酸化炭素を用いて、昇温・昇圧操作を行い、各温度・圧力条件に達した後、これにエタノール (99.5%) を3.95〜7.9g/分の流速で供給し、2時間抽出槽に通し(抽出)、次いで別の耐圧回収槽(分離槽)中に抽出液(エタノール抽出液)を回収した。
実施例3に示した抽出方法に則り実施した、各温度, 圧力, 時間条件における、抽出前の発芽玄米ぬか中のASG量と抽出後の残渣中ASG量の比および得られた残留物中のHPLCクロマトグラフにおける残渣ASGのピーク面積と極めて量が多い余分な脂質成分ピーク (Peak1およびPeak 2) との面積比を記載したものを表3に示す。
ASG最終抽出物の純度を高めるには、第二段階の抽出において、残渣ぬか中にできる限り余分な脂質を残し、且つASGを除去することが重要となる。また本来、第一段階抽出を経た残留物を使用して、第二段階抽出の条件検討を実施するのが、最も好ましいが、短時間かつ効率的に最適条件のスクリーニングを行うため、第一段階抽出を行わずに第二段階抽出を実施した。上記表3の結果より、条件10〜14のうち、条件10において残渣中ASG量の割合が最も小さくなり、条件11において最も大きくなることが示された。ピーク面積の割合に関しては、条件11と条件14が著しく大きな値を示した。しかしながら、Peak 1 とPeak 2 は第一段階抽出において、かなり除去されること、および第一段階抽出において見出した最適条件である40℃25MPaと比較すると抽出槽の温度から約20℃上げなければならなくなり、昇温時間に長時間費やすことになる。したがって、作業効率も鑑みた上で、条件10の40℃25 MPa を第二段階抽出における最適条件とした。
<実施例4>
実施例1の条件1および実施例2における条件9の抽出により得られた残留物を約12〜15g採取し、次に抽出溶媒として二酸化炭素を用いて、step1と同様に昇温・昇圧操作を行い、40℃、25MPaに達した後、これにエタノール (99.5%) を3.95g/分の流速で供給し1〜2時間抽出槽に通し(抽出)、次いで別の耐圧回収槽(分離槽)中に抽出液(エタノール抽出液)を回収した。
得られたエタノール抽出液は各々ナスフラスコに移し、エバポレーターにより濃縮乾固し、各々ASG濃縮乾固品を得た。
表4に実施例1〜実施例3で得たASGの抽出純度を示す。
濃縮乾固品A:40℃ 25MPa 1 hr 抽出物 (実施例1の残留物使用)
濃縮乾固品B:40℃ 25MPa 2 hr 抽出物 (実施例2の残留物使用)
濃縮乾固品C:40℃ 25MPa 2 hr 抽出物 (実施例3の残留物使用)
上記表4に示すとおり、いずれの濃縮乾固品においても15%以上の純度を有する濃縮乾固品が得られた。また、予め水分を除去した米ぬかを用いた濃縮乾固品Cでは約30%の純度を有する濃縮乾固品が得られた。
<比較例>
有機溶媒を用いた特許文献に基づく従来方法の抽出例を以下に示す。
[方法]
抽出手順
二段階抽出により抽出する。
第1ステップ
50mLの蓋付ガラスチューブに実施例と同じ発芽玄米のぬか4gを秤量した。次いでヘキサン30mLを加え、室温で15分間攪拌し、遠心分離 (室温、1500G×10分) した後、上澄みのヘキサン層を回収した。これを2回繰り返し、残渣をドラフト内で1時間風乾し十分に乾燥させた。
第2ステップ
第1ステップで得た発芽玄米ぬか4gの残渣を、各々エタノール(99.8%)、エタノールと蒸留水の混合液(エタノール:水=2:1および1:1 、以下エタ水)及びクロロホルムとメタノールの混合液(クロロホルム:メタノール=2:1、以下クロメタ)で抽出する。溶媒を20mL加え室温で15分間攪拌後、遠心分離(室温、1500G×10分)し上澄みを50mLの蓋付ガラスチューブに移した。この操作を3回繰り返し、3回分の抽出液を抽出溶媒でそれぞれ50mLにメスアップした。50mLにメスアップした各抽出液の重量を測定し、1.5mLバイアルに1mL移し、室温で1時間、窒素乾固処理を行った後、24時間凍結乾燥し、濃縮乾固品D〜Gを得た。
表5に実施例と同様に発芽玄米ぬか各条件のASGの純度を示す。
濃縮乾固品D:エタノール抽出物
濃縮乾固品E:エタノール/水 (2:1) 混液抽出物
濃縮乾固品F:エタノール/水 (1:1) 混液抽出物
濃縮乾固品G:クロロホルム/メタノール (2:1) 混液抽出物
上記表5に示すとおり、いずれの濃縮乾固品においてもその純度は5% 以下であった。
クロロホルムを使用すると純度は上昇するが、この場合にはクロロホルムが残留する。
クロロホルムを使用した試料Gは24時間真空凍結乾燥をおこなっても、クロロホルムが残留することを確認した。
<参考例>
クロロホルム残留確認試験
(1)分析用試料の調製
・ヘッドスペース測定用バイアルビンにASG抽出物(濃縮乾固品G)を5.6mg秤量した。
・秤量後、さらに4.5mLの蒸留水をバイアルビンに加えて付属のゴム栓で蓋をした後、アルミのキャップでかしめて密閉した。
・密閉したバイアルビンは超音波洗浄機により内部のASG抽出物を完全に懸濁させ分析に供した。
(2)クロロホルム分析条件
<使用機器>
GC:GC-2010 (GAS CHROMATOGRAPH;SHIMADZU)
MS:GCMS-QP2010 (GAS CHROMATOGRAPH MASS SPECTROMETER;SHIMADZU)
ヘッドスペースサンプラー (HS):TurboMatrix 40 (Parkin Elmer)
<ヘッドスペース条件>
加温60℃ (20 分) → 振とう (10 分) → 平衡化 (1.5 分) → 加圧 (0.5 分) → 注入 (0.30 分)
<GC条件>
カラム:DB-WAX (60 m×0.25 mm, 0.25μm; Agilent Technologies)
カラム昇温条件:40℃ (4 分) → 10℃/分→ 200℃ (5.5 分)
<MS条件>
インターフェース温度:220℃
イオン源温度:210℃
イオン化電圧:70 eV
イオン化電流:300μA
キャリアーガス:He (コンスタントプレッシャー)
測定モード:SIM
モニターイオン:定量イオン (確認イオン)
クロロホルム 83 (85)、p-ブロモフルオロベンゼン 174 (176)
上記条件で比較例Gの試料のクロロホルム残留を確認したGC-MSのチャートを図4に示す。試料G中にはクロロホルムが4.46μg/gの濃度で残留していることを確認した。

Claims (4)

  1. 植物ステロール配糖体を製造する方法であって、原料である玄米のぬかを二酸化炭素のみを用いた超臨界抽出操作で処理して、抽出残渣を回収する第1段階抽出操作を行い、次いで抽出残渣を再度、二酸化炭素とエタノールを用いた超臨界抽出操作で処理し、抽出物を回収する第2段階抽出操作からなることを特徴とする製造方法。
  2. 玄米が発芽玄米であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  3. 第1段階の抽出操作条件が温度32℃〜70℃、圧力10MPa〜40MPaであり、第2段
    階抽出操作条件が温度32℃〜70℃、圧力10MPa〜40MPaである請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 第2段階の抽出に際し用いる二酸化炭素とエタノール供給重量比が50:1〜5:1である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
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