JP5808955B2 - 電気化学キャパシタ - Google Patents

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Description

本発明は、充放電可能な蓄電素子を封入した電気化学キャパシタに関する。
携帯電話やノートパソコンやビデオカメラやデジタルカメラ等の電子機器には、メモリバックアップ等の用途に適した電源として、充放電可能な蓄電素子を封入した電気化学キャパシタ(例えば、電気二重層キャパシタ)が用いられている。
下記特許文献1〜3に開示されているように、この電気化学キャパシタは、凹部を有するケースと、ケースの上面に設けられたリッド溶接用のリングと、凹部を水密及び気密に閉塞するようにリングに溶接されたリッドと、リッドによって閉塞された凹部内に封入された充放電可能な蓄電素子及び電解液と、ケースの下面(実装面)に設けられた正極端子及び負極端子と、正極端子と蓄電素子の正極とを電気的に接続するための正極配線と、負極端子と蓄電素子の負極とを電気的に接続するための負極配線とを備えている。
ケースは一般にセラミックスやガラスをその材料とすることから、リング及びリッドの材料には該ケースと熱膨張係数が近似した材料であるコバール(Fe−Ni−Co合金)や42アロイ(Fe−Ni合金)が選択されている。また、コバールや42アロイをリング及びリッドの材料として選択した場合、該リング及びリッドの少なくとも電解液が接触し得る面には、電解液に対する耐蝕性を高めるためのニッケル膜が形成されている。
ところで、リング及びリッドに形成されたニッケル膜は電解液に対して完全な耐蝕性を有する訳ではなく、電気化学キャパシタを充電及び放電を繰り返しながら長時間使用すると、該ニッケル膜から電解液中にニッケルイオンが溶出する。また、この溶出に伴ってニッケル膜が腐食して穴が空くと、リッドの材料であるコバールまたは42アロイに電解液が接触して電解液中に金属イオン(コバールの場合は鉄イオンとニッケルイオンとコバルトイオン、42アロイの場合は鉄イオンとニッケルイオン)が溶出する。
鉄、ニッケル及びコバルトの標準酸化還元電位(イオン化傾向)は鉄>コバルト>ニッケルであるため、電解液中に鉄イオンとニッケルイオンとコバルトイオンが共存すると、または、電解液中に鉄イオンとニッケルイオンが共存すると、ニッケルイオンが還元されて金属として析出する。また、電気化学キャパシタは充電及び放電を繰り返されることから、ニッケルイオンが金属として析出する場所は蓄電素子のセパレータ内に集中し、析出したニッケル(金属)が正極と負極とのショートを引き起こす恐れがある。
リング及びリッドに形成されたニッケル膜から電解液中にニッケルイオンが溶出することを防止するには、該ニッケル膜の表面に金膜等の貴金属膜を形成しておくことが望ましいが、リッドにおいて貴金属膜を形成すべき表面積がリングのそれよりも格段広いため、リッドのニッケル膜の表面に貴金属膜を形成するとリッド自体の部品単価、ひいては電気化学キャパシタの単価が極めて高くなる。実存する製品を見ても、貴金属膜はリングのニッケル膜の表面に形成されているのみであり、リッドのニッケル膜の表面には形成されていない。
特開2006−054266号公報 特開2006−303381号公報 特開2010−186691号公報
本発明の目的は、電気化学キャパシタを充電及び放電を繰り返しながら長時間使用しても、蓄電素子のセパレータ内にニッケル(金属)が析出して正極と負極とがショートを生じることを回避できる電気化学キャパシタを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、凹部を有するケースと、前記ケースの上面に設けられたリングと、前記凹部を水密及び気密に閉塞するように前記リングに溶接されたリッドと、前記リッドによって閉塞された前記凹部内に封入された充放電可能な蓄電素子及び電解液とを備え、前記リッドの少なくとも電解液が接触し得る面にニッケル膜が形成された電気化学キャパシタにおいて、前記蓄電素子は、正極と、負極と、正極と負極との間に介装されたセパレータとを有しており、前記負極と前記セパレータとの間、または、前記正極と前記セパレータとの間には、前記ニッケル膜から電解液中にニッケルイオンが溶出することを抑制するための抑制剤が介装されている、ことをその特徴とする。
本発明によれば、電気化学キャパシタを充電及び放電を繰り返しながら長時間使用しても、蓄電素子のセパレータ内にニッケル(金属)が析出して正極と負極とがショートを生じることを確実に回避できる。
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
図1は、本発明を適用した電気化学キャパシタ(組立後の電気化学キャパシタ)の縦断面図である。 図2は、図1に示した電気化学キャパシタによって得られる効果を検証した結果を示す図である。
《電気化学キャパシタの構造》
先ず、図1を引用して、本発明を適用した電気化学キャパシタ(組立後の電気化学キャパシタ)の構造について説明する。同図に示した電気化学キャパシタ10は、ケース11、リッド12、蓄電素子13、正極端子14、負極端子15、正極配線16、及び負極配線17を備えている。
〈ケースの構成〉
ケース11は、所定の長さ、幅及び高さを有する直方体形状を成している。また、ケース11には、該ケース11の上面における開口輪郭が矩形で所定の深さを有する凹部11aが形成されている。このケース11の材料は、セラミックスやガラス等の絶縁体である。また、ケース11には、正極端子14と負極端子15と正極配線16と負極配線17が設けられている他、リッド溶接用のリング18と正極用の集電膜19が設けられている。
正極端子14は、ケース11の長さ方向の一側面の下部中央から下面に及ぶ断面L字形を成すように、且つ、所定の幅及び厚さを有するように形成されている。負極端子15は、ケース11の長さ方向の他側面の下部中央から下面に及ぶ断面L字形を成すように、且つ、正極端子14と略同じ幅及び厚さを有するように形成されている。これら正極端子14及び負極端子15の材料は、金等の導電体である。
図示を省略したが、ケース11の材料等を原因として、該ケース11の側面及び下面に正極端子14及び負極端子15を直接形成しても十分な密着力が得られない場合には、該密着力を高めるための密着補助層(例えば、ケース11側から順にタングステン膜とニッケル膜とが並ぶもの)を予めケース11の側面及び下面の端子形成位置に形成しておくと良い。
正極配線16は、正極端子14の側面部分から内側に伸びる部分16aと、該部分16aの端から集電膜19に伸びる部分16bとを連続して有するように形成されており、正極端子14と集電膜19は該正極配線16を介して電気的に接続されている。負極配線17は、負極端子15の側面部分から上側に伸びる部分17aと、該部分17aの端からリング18に伸びる部分とを連続して有するように形成されており、負極端子15とリング18は該負極配線17を介して電気的に接続されている。これら正極配線16及び負極配線17の材料は、タングステン等の導電体である。
図示を省略したが、正極配線16の材料等を原因として、部分16bと集電膜19とに十分な導通性が得られない場合には、該導通性を高めるための導通補助層(例えば、部分16bの上端側から順にニッケル膜と金膜が並ぶもの)を予め部分16bの上端に形成しておくと良い。
リング18は、その上面視輪郭がケース11の上面視輪郭よりも僅かに小さく、且つ、所定の厚さを有する矩形状を成しており、内孔18aの開口輪郭は凹部11aの開口輪郭と略一致している。このリング18の材料は、ケース11と熱膨張係数が近似した材料であるコバール(Fe−Ni−Co合金)や42アロイ(Fe−Ni合金)である。また、リング18の表面(少なくとも電解液が接触し得る上面及び内周面)には、ニッケル膜(図示省略)が所定の厚さで形成されており、該ニッケル膜の表面には、金膜や白金膜や銀膜やパラジウム膜等の貴金属膜(図示省略)が所定の厚さで形成されている。
このリング18は、内孔18aの開口輪郭が凹部11aの開口輪郭と略合致するようにその下面をケース11の上面に接合材(例えば、Au−Cu合金等のロウ材)を介して接合されている。内孔18aの開口輪郭が凹部11aの開口輪郭と略一致しているため、該内孔18aは凹部11aの上部として利用されている(以下、リング18の内孔18aを含めてケース11の凹部11aと称する)。
図示を省略したが、ケース11の材料等を原因として、該ケース11の上面にリング18の下面を接合材を用いて直接接合しても十分な接合力が得られない場合には、該接合力を高めるための接合補助層(例えば、ケース11の上面側から順にタングステン膜とニッケル膜とが順に並ぶもの)を予めケース11の上面のリング接合位置に形成しておくと良い。
集電膜19は、その上面視輪郭が後記正極13aの下面視輪郭と略一致した矩形になるように、且つ、所定の厚さを有するように、ケース11の凹部11aの底面の中央に形成されている。この集電膜19の材料は、アルミニウム等の導電体である。
図示を省略したが、集電膜19の上面視輪郭は、後記正極13aの下面視輪郭よりも小さくても大きくても良い。また、集電膜19の上面視輪郭は矩形に限らず、矩形の4つの角に丸みがある形状や楕円または楕円に近い形状等であっても良い。
〈リッドの構成〉
リッド12は、その上面視輪郭がリング18の上面視輪郭と略一致し、且つ、所定の厚さを有する矩形状を成している。このリッド12の材料は、ケース11と熱膨張係数が近似した材料であるコバール(Fe−Ni−Co合金)や42アロイ(Fe−Ni合金)である。また、リッド12の表面(少なくとも電解液が接触し得る下面)には、ニッケル膜(図示省略)が所定の厚さで形成されている。
図1から分かるように、リッド12は、ケース11の第1凹部11aの内側に蓄電素子13を配置した後に、シーム溶接やレーザ溶接によってその下面の外周部分をリング18の上面に溶接されており、該溶接によってリング18に電気的に接続されている。
〈蓄電素子の構成〉
蓄電素子13は、正極13aと、負極13bと、正極13aと負極13bとの間に介装されたセパレータ13cと、負極13bとセパレータ13cとの間、または、正極13aとセパレータ13cとの間に介装された抑制剤13dとから構成されている。
正極13a及び負極13bは、各々の上面視輪郭がケース11の凹部11aの開口輪郭よりも小さく、且つ、所定の厚さを有する矩形状を成している。これら正極13a及び負極13bの材料は、活性炭やPAS(ポリアセン系半導体)や黒鉛(グラファイト)や難黒鉛化炭素(ハードカーボン)等の活物質である。これら正極13a及び負極13bの材料は同じでも良く、異なっていても良い。
セパレータ13cは、その上面視輪郭がケース11の凹部11aの上面輪郭よりも僅かに小さく、且つ、所定の厚さを有する矩形状を成している。このセパレータ13cは、ガラス繊維シートやセルロース繊維シートやプラチック繊維シート等のイオン透過性多孔質シートから成る。
抑制剤13dは、リッド12に形成されたニッケル膜から電解液中にニッケルイオンが溶出することを抑制するためのものあって、負極13bとセパレータ13cとの間、または、正極13aとセパレータ13cとの間に、略均一な分布状態で介装されている。この抑制剤13dは、ニッケル化合物の粉末であって、該粉末は、フッ化ニッケル(NiF2)の粉末と、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)の粉末と、炭酸ニッケル(NiCO3)の粉末と、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)の粉末のうちの少なくとも1種である。また、抑制剤13d(ニッケル化合物の粉末)のd50(メディアン径)は好ましくは2〜50μmの範囲内にあり、その単位面積当たりの質量は好ましくは0.3〜1.5μg/mm2の範囲内にある。
電気化学キャパシタに使用されるセパレータ13cの一般的な平均孔径は1μm以下であるため、抑制剤13d(ニッケル化合物の粉末)によってセパレータ13cに目詰まりを生じることは無い。また、抑制剤13d(ニッケル化合物の粉末)の単位面積当たりの質量が小さく、且つ、分布が略均一であるため、抑制剤13d(ニッケル化合物の粉末)によってセパレータ13cのイオン透過機能に支障を生じることは無い。
図1から分かるように、蓄電素子13の正極13aの下面は導電性接着層20によって集電膜19の上面に接着されており、集電膜19と正極13aは該導電性接着層20を介して電気的に接続されている。また、蓄電素子13の負極13bの上面は導電性接着層21によってリッド12の下面に接着されており、リッド12と負極13bは該導電性接着層21を介して電気的に接続されている。各導電性接着層20及び21は導電性接着剤の硬化物であり、該導電性接着剤には、導電性粒子を含有した熱硬化性接着剤、例えば、炭素粒子(カーボンブラック)や黒鉛粒子(グラファイト粒子)等を含有したエポキシ系接着剤等が用いられている。
また、電解液は、リッド12によって閉塞されたケース11の凹部11aの内側に蓄電素子13と一緒に封入されている。この電解液は溶媒に電解質が溶解したものであり、溶媒と電解質の好ましい組み合わせは後記《効果の検証》に記した通りである。
〈電気化学キャパシタの好ましい組立方法〉
図1に示した電気化学キャパシタ10を組み立てるときには、先ず、リッド12を上下反転させ、該リッド12の上面に導電性接着剤を所定厚さで塗布し、該導電性接着剤に負極13bの下面を相対的に押し当てて密着させ、その後に負極13bを乾燥させると共に導電性接着剤を硬化させる。そして、負極13bの上面に所定量の電解液を注液する。
これと前後して、ケース11の集電膜19の上面に導電性接着剤を所定厚さで塗布し、該導電性接着剤に正極13aの下面を相対的に押し当てて密着させ、その後に電極13aを乾燥させると共に導電性接着剤を硬化させる。そして、正極13aの上面に所定量の電解液を注液し、その後に正極13aの上面にセパレータ13cを載置する。
負極13bとセパレータ13cとの間に抑制剤13dを介装させるときには、負極13bの上面に電解液を注液する前に、該負極13bの上面に粉末状の抑制剤13dを略均一な分布状態で散布する。また、正極13aとセパレータ13cとの間に抑制剤13dを介装させるときには、正極13aの上面に電解液を注液する前に、該正極13aの上面に粉末状の抑制剤13dを略均一な分布状態で散布する。
続いて、前記リッド12を上下反転させて該リッド12の下面の外周部分をリング18の上面に重ねると共に負極13bの下面をセパレートシート13cの上面に重ね、その後にリッド12の下面の外周部分をシーム溶接またはレーザ溶接によってリング18の上面に溶接する。
《電気化学キャパシタによって得られる効果》
次に、前記電気化学キャパシタ10によって得られる効果について説明する。
組立直後の電気化学キャパシタ10にあっては、負極13bとセパレータ13cとの間、または、正極13aとセパレータ13cとの間に介装された抑制剤13d(ニッケル化合物の粉末)が電解液に接触するが、ニッケル化合物は電解液に対して溶解度が低い物質であるためにカチオン(Ni2+)とアニオンに乖離し難い。
一方、[背景技術]でも述べたように、リッド12に形成されたニッケル膜は電解液に対して完全な耐蝕性を有する訳ではなく、電気化学キャパシタ10を充電及び放電を繰り返しながら長時間使用すると、該ニッケル膜から電解液中にニッケルイオンが溶出しようとする。
しかしながら、電解液中にはニッケル化合物から成る抑制剤13dが既に存在し、該抑制剤13dをニッケルイオンの析出物として考えると電解液においてニッケルイオンは飽和状態或いはこれに近い状態になっているとみなせるため、リッド12に形成されたニッケル膜から電解液中にニッケルイオンが溶出することが抑制される。
要するに、リッド12に形成されたニッケル膜が電解液中に溶けない方向に化学平衡が移動することからニッケル膜の溶出が抑制され、該抑制作用によってニッケル膜が腐食して穴が空く現象、並びに、リッド12の材料であるコバールまたは42アロイに電解液に接触する現象が抑止されるため、蓄電素子13のセパレータ13c内にニッケル(金属)が析出することも抑止される。
このように、前記電気化学キャパシタ10によれば、充電及び放電を繰り返しながら長時間使用しても、蓄電素子13のセパレータ13c内にニッケル(金属)が析出して正極13aと負極13bとがショートを生じることを確実に回避できる。
《効果の検証》
図2は前記効果の検証結果を示すもので、該検証では、先に述べた電気化学キャパシタ10の構造に準じて、
・ケース11 :アルミナ(底面厚さ400μm、側面厚さ300μm)
・リッド12 :コバール(厚さ150μm)+ニッケル膜(厚さ10μm)
・正極13a :活性炭(厚さ200μm)
・負極13b :活性炭(厚さ200μm)
・抑制剤13d:d50が50μmで単位面積当たりの質量は0.3μg/mm2
を共通とし、
・電解液の溶媒が下記S1〜S5の何れか1つで電解質が下記E1〜E5の何れか1つ( 溶媒に対する濃度は1モル/リットル)であり、抑制剤13dが下記R1である電気化 学キャパシタ:検証例1〜25を参照
・電解液の溶媒が下記S1で電解質が下記E1〜E5の何れか1つ(溶媒に対する濃度は 1モル/リットル)であり、抑制剤13dが下記R2である電気化学キャパシタ:検証 例26〜30を参照
・電解液の溶媒が下記S1で電解質が下記E1〜E5の何れか1つ(溶媒に対する濃度は 1モル/リットル)であり、抑制剤13dが下記R3である電気化学キャパシタ:検証 例31〜35を参照
・電解液の溶媒が下記S1で電解質が下記E1〜E5の何れか1つ(溶媒に対する濃度は 1モル/リットル)であり、抑制剤13dが下記R4である電気化学キャパシタ:検証 例36〜40を参照
をそれぞれ10個ずつ用意した。
また、比較のために、
・電解液の溶媒が下記S1で電解質が下記E1〜E5の何れか1つ(溶媒に対する濃度は 1モル/リットル)であり、抑制剤13dを有しない電気化学キャパシタ:比較例1〜 5を参照
をそれぞれ10個ずつ用意した。

・溶媒
・S1:プロピレンカーボネート
・S2:プロピレンカーボネート+スルホラン(混合溶媒)
・S3:プロピレンカーボネート+エチルイソプロピルスルホン(混合溶媒)
・S4:プロピレンカーボネート+スルホラン+プロピオン酸メチル(混合溶媒)
・S5:スルホラン+エチルメチルスルホン(混合溶媒)
・電解質
・E1:5−アゾニアスピロ[4,4]ノナン・BF4
・E2:TEMA・BF4
・E3:TEA・BF4
・E4:1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム・BF4
・E5:1−エチル−3−ジメチルイミダゾリウム・BF4
・抑制剤13d
・R1:フッ化ニッケル(NiF2
・R2:水酸化ニッケル(Ni(OH)2
・R3:炭酸ニッケル(NiCO3
・R4:塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)
そして、用意した各電気化学キャパシタ10に対し、70℃雰囲気中で電圧3.3Vを2000時間印加し続けるフロート試験を実施し、その後に各電気化学キャパシタ10から蓄電素子13を取り出して正極13aと負極13bとの間の内部抵抗をLCRメータ(測定周波数1kHz)で測定し、正極13aと負極13bとがショートしているか以下を確認した。
〈検証結果に関する考察〉
検証例1〜25のショート数が全て0/10であることから、溶媒の種類と電解質の種類に拘わらず、抑制剤13dであるR1が前記効果を発揮する上で有効であることが理解できる。また、検証例26〜40のショート数が全て0/10であることから、抑制剤13dをR2、R3またはR4に置換した場合でも、電解質の種類に拘わらず、抑制剤13dであるR2、R3またはR4が前記効果を発揮する上で有効であることが理解できる。さらに、検証例1〜25の結果からすれば、検証例26〜40の溶媒をS2、S3、S4またはS5に置換した場合でも、同様の検証結果が得られると推測できる。
10…電気化学キャパシタ、11…ケース、11a…凹部、12…リッド、13…蓄電素子、13a…正極、13b…負極、13c…セパレータ、13d…抑制剤、18…リング。

Claims (3)

  1. 凹部を有するケースと、前記ケースの上面に設けられたリングと、前記凹部を水密及び気密に閉塞するように前記リングに溶接されたリッドと、前記リッドによって閉塞された前記凹部内に封入された充放電可能な蓄電素子及び電解液とを備え、前記リッドの少なくとも電解液が接触し得る面にニッケル膜が形成された電気化学キャパシタにおいて、
    前記蓄電素子は、正極と、負極と、正極と負極との間に介装されたセパレータとを有しており、
    前記負極と前記セパレータとの間、または、前記正極と前記セパレータとの間には、前記ニッケル膜から電解液中にニッケルイオンが溶出することを抑制するための抑制剤が介装されており、
    前記抑制剤は、ニッケル化合物の粉末である
    ことを特徴とする電気化学キャパシタ。
  2. 前記ニッケル化合物の粉末は、フッ化ニッケル(NiF2)の粉末と、炭酸ニッケル(NiCO3)の粉末と、塩化ニッケル(NiCl2・6H2O)の粉末のうちの少なくとも1種である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電気化学キャパシタ。
  3. 前記介装された抑制剤としてのNi化合物の一部が前記電解液中に遊離して存在している請求項1又は2記載の電気化学キャパシタ
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