JP5806969B2 - グリース組成物の均一化装置および均一化方法 - Google Patents

グリース組成物の均一化装置および均一化方法 Download PDF

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Description

本発明は、グリース組成物の均一化装置および均一化方法に関し、特に生産効率に優れ、さらに品質に優れるグリース組成物を得ることができるグリース組成物の均一化装置および均一化方法に関する。
従来、増ちょう剤原料および基油を反応釜等において反応させることで得られたグリース組成物は、該組成物中に存在する増ちょう剤が比較的大きな粒子を形成していることから、この増ちょう剤粒子をコロイドミル、ホモジナイザー、ロールミル等の装置により微細化する均一化処理が2次処理工程として行われる。特にロールミルによる均一化処理は、コロイドミルや、ホモジナイザーによる均一化処理に比べ、せん断力に優れ、粒子を充分に微細化することができることが知られており、例えば、音響性能に優れるグリース組成物を得る際に用いられている。特許文献1には音響性能に優れるグリース組成物を得ることを目的とし、グリース組成物をロールミルで処理するに際し、ロール間のクリアランスを5μm未満として増ちょう剤を処理するグリース組成物の製造方法が開示されている。
ロールミルによる均一化処理では、ロールミルに供給されたグリース組成物が、回転するロールとロールの間に滞留し、徐々にロール間のクリアランスに侵入することで、ロール間のズリ力によるせん断力が加えられ、増ちょう剤粒子が微細化される。また、ロール同士の相対的な回転速度の差により、順次取出側のロールへグリース組成物を移行させることができる。例えば、3本ロールミルの場合、後ロール、中ロールおよび前ロールを有し、後ロールと中ロールの間にグリース組成物を供給し、該ロール間での処理の後、中ロールおよび前ロール間の処理を経て、前ロール表面に移行したグリース組成物をかき取ることで、処理後のグリース組成物が得られる。
特開2004−323541号公報
しかしながら、ロールミルに供給されたグリース組成物中に存在する増ちょう剤粒子には異なる粒子径や、組成を有するものが含まれることから、それぞれの増ちょう剤粒子はロール間のクリアランスに対する侵入性が異なる。よって、従来のロールミルによる均一化処理では、クリアランスに対する侵入性に優れる増ちょう剤粒子が優先的にクリアランスに侵入することとなり、滞留しているグリース組成物中の侵入性に優れる増ちょう剤粒子は少なくなり、逆に滞留しているグリース組成物中の侵入性に劣る増ちょう剤粒子の割合が高くなっていく。すなわち、滞留しているグリース組成物中には侵入性に劣る増ちょう剤粒子が選択的に滞留することとなる。この結果、ロールミルによる均一化処理工程の初期に得られるグリース組成物と末期に得られるグリース組成物では、その品質に違いが生じるという問題がある。
これらの現象は、増ちょう剤粒子が凝集したものと考えられる粘性の非常に高い物質(侵入性に劣る増ちょう剤粒子)がロール間に滞留し、粘性の非常に高い物質の粘性抵抗によりロールミル間のクリアランスが広くなり、均一化処理の充分でない増ちょう剤粒子が、クリアランス間を通過し、前ロールからかきとられるグリース組成物中に混入し始めることにより起こる。この均一化処理の充分でない増ちょう剤粒子が混入したグリースでは、音響特性などが低下する。よって、製品の均一性、音響特性の維持などの観点から該現象が生じる前にロール処理工程を中止せざる得なくなり、多くの割合のグリースが均一化処理工程終了後に後ロールと中ロールに残存するため歩留りが悪く、つまり生産効率が低くなる、そしてロール処理の初期と末期のグリースの増ちょう剤量、ちょう度などの品質差を生じる、また、ロール処理後グリースを更に均質化する工程が別途必要となるなどの問題がある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、生産効率に優れ、さらに品質に優れるグリース組成物を得ることができるグリース組成物の均一化装置および均一化方法を提供することを目的とする。本発明は、特に均一化処理の難しいジウレア系増ちょう剤に対しても効果がみられるものであり、発明者が鋭意検討した結果、見出したものである。
本発明のグリース組成物の均一化装置は、ロールミルを備えたグリース組成物の均一化装置であって、ロールミルに供給後ロール間に滞留するグリース組成物中を回転速度100min−1以上で回転しながら、ロール軸方向に20mm/秒以上の速度で移動することで攪拌する攪拌翼を備えたグリース組成物の均一化装置である。
前記ロールミルが、3本ロールミルであることが好ましい。
前記攪拌翼の回転速度が100〜700min−1であることが好ましい。
前記攪拌翼のロール軸方向への移動速度が20〜500mm/秒であることが好ましい。
また、本発明のグリース組成物の均一化方法は、ロールミルを用いたグリース組成物の均一化方法であって、ロールミルに供給後ロール間に滞留するグリース組成物を、回転速度100min−1以上で回転しながら、ロール軸方向に20mm/秒以上の速度で移動する攪拌翼により攪拌する工程を有するグリース組成物の均一化方法である。
前記ロールミルが、3本ロールミルであることが好ましい。
前記攪拌翼の回転速度が100〜700min−1であることが好ましい。
前記攪拌翼のロール軸方向への移動速度が20〜500mm/秒であることが好ましい。
本発明のグリース組成物の均一化装置および均一化方法によれば、ロールミルに供給後、ロール間で滞留するグリース組成物を攪拌することで、回転するロール間のクリアランスに侵入する増ちょう剤の凝集粒子サイズなどによる選択性が少なくなり、ロール間のクリアランスへの侵入性に劣る増ちょう剤粒子がロール間に滞留し続けることを防ぐことができ、その結果、均一化処理工程の初期から末期において安定した品質のグリース組成物を得ることができる、さらに均一化処理工程で生じる残渣量を抑えることで生産効率に優れるグリース組成物の均一化装置および均一化方法を提供することができる。
本発明の一実施形態を示す概略図である。 本発明に係る攪拌翼の一形態を示す概略図である。
本発明のグリース組成物の均一化装置は、ロールミルを用いたグリース組成物の均一化装置であって、ロールミルに供給後ロール間で滞留するグリース組成物を、ロールミル上で攪拌する攪拌翼を備えることを特徴とする。
以下、添付図面を参照し、本発明のグリース組成物の均一化装置を詳細に説明する。
図1は、本発明のグリース組成物の均一化装置を示す概略図である。図1に示されるように、本発明のグリース組成物の均一化装置は、グリース組成物の供給管1、ロールミル3ならびに後ロール4および中ロール5の間に滞留するグリース組成物2を攪拌する攪拌翼とからなる。
ロールミルに供給されるグリース組成物としては、カルシウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん、カルシウムコンプレックス石けん、アルミニウムコンプレックス石けん、リチウムコンプレックス石けん、バリウム石けんなどの金属せっけん系グリース組成物や、ジウレア、トリウレア、テトラウレアなどのウレア系グリース組成物、ナトリウムテレフタラメート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの有機系グリース組成物、有機ベントナイト、シリカゲルなどの無機系グリース組成物が挙げられる。なかでも、増ちょう剤の均一分散処理が難しいウレア系化合物、ポリテトラフルオロエチレン、有機ベントナイト、シリカゲルを増ちょう剤成分とするグリース組成物に本発明を適用することが、本発明の効果をより発揮できるという点から好ましい。
さらに、ジウレア系化合物を増ちょう剤成分とするジウレア系グリース組成物であって、増ちょう剤原料であるアミン中のシクロヘキシルアミンの含有量が50モル%以上である場合、該グリース組成物の均一化処理では、残渣が残る傾向が強いことから、本発明を適用することで、残渣量を抑え、生産効率に優れた均一化処理とすることができる点から好ましい。また、このようなグリース組成物には酸化亜鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、グラファイト(黒鉛)、窒化ホウ素、四フッ化エチレンポリマー(PTFE)、フッ化グラファイト、フラーレン(C60)、カーボンナノチューブ、バリウム石けんなどの固体潤滑剤を添加剤として適宜添加することができるが、これらの添加剤についても均一に分散することができる点から好ましい。
前記グリース組成物の供給管としては、特に限定されず、グリース組成物の物性等に応じてその径や供給量等を適宜選択することができる。この供給管は、増ちょう剤原料および基油を反応釜において反応させて得られたグリース組成物をロールミルに供給するためのものであり、ロールミルの供給側の端に位置する後ロール4とそれに隣接する中ロール5との間にグリース組成物を供給するように設置されている。供給されたグリース組成物は、ロール軸方向の左右両端に設けられた堰板に挟まれた回転するロール間に滞留するが、ロール間のせん断力により徐々にクリアランスに侵入していくことで減少していくので、減少量と相当量のグリースを適宜追加し、回転するロール間に滞留するグリース量を一定に保つように再供給することが好ましい。なお、後述する攪拌を行うには、適度な量のグリース組成物の滞留が必要なため、グリース組成物の滞留量が、滞留できる溝の深さの20%以上となるように再供給することが好ましい。
滞留量の判定は目視により行うこともできるが、滞留量を判定するセンサーを設け、このセンサーによる再供給の指示に基づいて再供給を行う供給管とすることができる。
なお、3本ロールミルに供給するグリース組成物は予め高圧ホモジナイザー、コロイドミル、ホモミキサー、媒体分散装置で予備分散を行ったものを用いても良い。
前記ロールミルとしては、特に限定されず、複数のロールを有するロールミルとすることができ、グリース組成物の物性等に応じて適宜選択することができる。例えば、図1に示す、3本ロールミルや、5本ロールミルなどが挙げられ、特に、洗浄などの作業性、メンテナンス、装置コストにおいて優れるという点から3本ロールミルとすることが好ましい。図1に示す3本ロールミル3では、後ロール4および中ロール5は互いに隣接して配設され、さらに中ロールに隣接し、中ロールと逆方向に回転する前ロール6が配設されており、それぞれのロールは軸回りに回転可能に軸支され、モータ等の駆動源により、互いに逆方向に回転する。さらに、これらのロールは後ロール、中ロール、前ロールの順に相対的な回転速度が遅く設定されており、均一化処理されたグリース組成物は前ロールに移行する構成となっていることが好ましい。また、後ロールと中ロール、中ロールと前ロール間に圧力をかけた状態で、ロール表面の軸方向の位置によらず同一のクリアランスを保つことができ、ロール表面の軸方向の位置によらず均一化処理されたグリース組成物が得られることから各ロールにクラウニング処理が施されたロールミルとすることが好ましい。
また、前記ロールミルで処理されたグリースの取出側の端のロールにはスクレーパーなどが設けられており、このスクレーパーで取出側ロールに付着したグリース組成物をかき取ることで均一化処理後のグリース組成物を得ることができる。
本願発明のグリース組成物の均一化装置は、後ロール4と中ロール5との間のクリアランスの上部に滞留するグリース組成物2をロールミル上で攪拌する攪拌翼が設けられ、この攪拌翼によりロール間で滞留するグリース組成物を攪拌することにより、均一化処理工程の初期から末期を通して得られるグリース組成物の品質を安定させることができ、さらに、均一化処理工程終了後の残渣量を減少させること、つまり生産効率を向上させることができる。
前記攪拌翼を、ロール間に滞留するグリース組成物中を所定の回転速度で回転しながら、ロール軸方向に所定の速度で往復移動する攪拌翼とすることで、滞留するグリース組成物全体を効率よく攪拌することができる。なお、攪拌翼の数は特に限定されず、ロールミルの大きさやグリース組成物の物性等に応じて適宜設計することができる。また、ロール軸方向への移動はロール軸方向に垂直な運動を伴う移動とすることもできる。
具体的な攪拌翼の構成としては、例えば図1および図2に示すように、駆動部9、攪拌軸10および攪拌羽根11からなる攪拌機8を攪拌翼とし、攪拌機8がロール軸方向に設けられたガイド溝13を自動で往復移動可能に設置されたアクチュエーター12に設置され、攪拌機の攪拌軸10および攪拌羽根11が駆動部9の動力により攪拌軸を中心に回転するために攪拌羽根がロール間で滞留するグリース組成物中で回転し、さらにアクチュエーター12がガイド溝13を往復移動することで回転する攪拌羽根がグリース組成物中をロール軸方向に往復移動する構成とすることができる。
前記攪拌翼の形状としては、特に限定されず、グリース組成物の物性等に応じて適宜選択することができる。例えば、板状の攪拌翼や、攪拌軸に複数の攪拌羽根を有する攪拌翼が挙げられ、特に、攪拌効率がよい点から攪拌軸に複数の攪拌羽根を有する攪拌翼とすることが好ましく、さらに、図2に示すように、駆動部、攪拌軸および攪拌羽根からなる攪拌機を攪拌翼とすることが攪拌翼の回転を自動化でき、さらに攪拌翼の回転速度の調整が容易となる点から好ましい。
前記攪拌翼の回転速度の下限は100min−1以上である。回転速度の下限を100min−1以上とすることで、ロール間に滞留するグリース中に含まれる増ちょう剤の凝集物がロールの回転によるせん断によりふるい分けられ、増ちょう剤の凝集サイズの違いによるクリアランスへの選択的な侵入が生じる時間と、撹拌羽の撹拌により増ちょう剤の凝集物を分散させ増ちょう剤の凝集サイズの違いによるクリアランスへの選択的な侵入を防止する時間のバランスをとることができる。そして、より効率的に凝集粒子を均一に分散させるという点から150min−1以上とすることが好ましい。一方、回転速度の上限は、撹拌羽、撹拌軸、撹拌モータに負荷されるグリースの粘性抵抗などによる機械的強度の制限、グリースの飛散などの点から700min−1以下とすることが好ましく、さらには、撹拌グリースの飛散防止、運転時の撹拌羽などへの応力緩和、撹拌モータ駆動にかかる節電、という点から600min−1以下とすることがより好ましい。
前記攪拌翼の移動速度の下限は20mm/秒以上である。移動速度の下限を20mm/秒以上とすることで、ロール間に滞留するグリース中に含まれる増ちょう剤の凝集物がロールの回転によるせん断によりふるい分けられ、増ちょう剤の凝集サイズの違いによるクリアランスへの選択的な侵入が生じる時間と、撹拌羽の撹拌により増ちょう剤の凝集物を分散させ増ちょう剤の凝集サイズの違いによるクリアランスへの選択的な侵入を防止する時間のバランスをとることができる。そして、より効率的に凝集粒子を均一に分散させるという点から50mm/秒以上とすることが好ましい。一方、移動速度の上限は、撹拌羽、撹拌軸、撹拌モータ、アクチュエーターに負荷されるグリースの粘性抵抗などによる機械的強度の制限などから500mm/秒以下とすることが好ましく、撹拌によるグリースの飛散、運転時の撹拌羽など撹拌翼への応力緩和、アクチュエータモータ駆動にかかる節電という点から300mm/秒以下とすることがより好ましい。
本発明のグリース組成物の均一化方法は、ロールミルにグリース組成物を供給する供給工程、回転する後ロールおよび中ロールの間に滞留するグリース組成物を攪拌する工程、ロールミルにより増ちょう剤粒子を微細化する均一化処理工程、および前ロールに付着したグリース組成物をかき取る工程を有する。
以下、添付図面を参照し、本発明のグリース組成物の均一化方法を詳細に説明する。
(1)供給工程
増ちょう剤原料および基油を反応釜において反応させて得られたグリース組成物が供給管1から、ロールミル3の回転している後ロール4および中ロール5の間に供給される。このとき、グリース組成物の物性等に応じて供給量などを適宜選択することができる。ロールミルに供給されたグリース組成物は、回転するロール間に滞留するが、回転速度が異なるロール間のせん断力により徐々にクリアランスに侵入していくことで減少していくので、減少分と相当量のグリースを適宜追加し、回転するロール間に滞留するグリース量を一定量に保つように供給することが好ましい。なお、後述する攪拌工程を行うには、適度なグリース組成物の滞留量が必要なため、グリース組成物の滞留量が、滞留できる溝の深さの20%以上となるように再供給する工程とすることが好ましい。
滞留量の判定工程としては目視により行うこともできるが、センサーによる判定工程とすることもできる。
なお、3本ロールミルに供給するグリース組成物は予め高圧ホモジナイザー、コロイドミル、ホモミキサー、媒体分散装置で予備分散を行ったものを用いても良い。
前記ロールミルとしては、特に限定されず、複数のロールを有するロールミルとすることができ、グリース組成物の物性等に応じて適宜選択することができる。例えば、図1に示す3本ロールミルや、5本ロールミルなどが挙げられる。特に、洗浄などの作業性において優れるという点から3本ロールミルとすることが好ましい。また、後ロールと中ロール、中ロールと前ロール間に圧力をかけた状態で、ロール表面の軸方向の位置によらず同一のクリアランスを保つことができ、ロール表面の軸方向の位置によらず均一化処理されたグリース組成物が得られることから各ロールにクラウニング処理が施されたロールミルとすることが好ましい。
(2)攪拌工程
次に、供給工程により後ロール4と中ロール5の間に供給されたグリース組成物2において、ロール間への侵入性に劣る増ちょう剤粒子が滞留し続けることを防ぐために、滞留するグリース組成物2を攪拌翼により攪拌する。
前記滞留するグリース組成物を攪拌する工程を、ロール間に滞留するグリース組成物を、所定の回転速度で回転しながら、ロール軸方向に所定の速度で移動する攪拌翼により攪拌する工程とすることで、滞留するグリース組成物全体を効率よく攪拌することができる。
具体的な滞留するグリース組成物を攪拌する工程としては、例えば図1に示すように、攪拌機8がロール軸方向に設けられたガイド溝13を自動で往復移動可能に設置されたアクチュエーター12に固定され、前記攪拌機の攪拌軸10および攪拌羽根11が駆動部9の動力により攪拌軸を中心に回転するために攪拌羽根がロール間で滞留するグリース組成物中で回転しながらアクチュエーター12がガイド溝を自動で往復移動することで回転する攪拌羽根がグリース組成物中をロール軸方向に往復移動する工程とすることができる。
滞留するグリース組成物を攪拌する工程により、供給されたグリース組成物を攪拌し、グリース組成物中のロール間のクリアランスに対する侵入性に優れる増ちょう剤粒子や侵入性に劣る増ちょう剤粒子を均一に存在させることで、侵入性に優れる増ちょう剤粒子が優先的にクリアランスに侵入し、侵入性に劣る増ちょう剤粒子がグリース組成物中に滞留し続けることを防ぐことができる。この結果、均一化処理工程の初期から末期に得られるグリース組成物の品質を安定させることができ、さらに、均一化処理工程終了後の残渣量を減少させること、つまり生産効率を向上させることができる。
前記攪拌翼の回転速度の下限は100min−1以上である。回転速度の下限を100min−1以上とすることで、ロール間に滞留するグリース中に含まれる増ちょう剤の凝集物がロールの回転によるせん断によりふるい分けられ、増ちょう剤の凝集サイズの違いによるクリアランスへの選択的な侵入が生じる時間と、撹拌羽の撹拌により増ちょう剤の凝集物を分散させ増ちょう剤の凝集サイズの違いによるクリアランスへの選択的な侵入を防止する時間のバランスをとることができる。そして、より効率的に凝集粒子を均一に分散させるという点から150min−1以上とすることが好ましい。一方、回転速度の上限は、撹拌羽、撹拌軸、撹拌モータに負荷されるグリースの粘性抵抗などによる機械的強度の制限、グリースの飛散などの点から700min−1以下とすることが好ましく、さらには、撹拌グリースの飛散防止、運転時の撹拌羽などへの応力緩和、撹拌モータ駆動にかかる節電、という点から600min−1以下とすることがより好ましい。
前記攪拌翼の移動速度の下限は20mm/秒以上である。移動速度の下限を20mm/秒以上とすることで、ロール間に滞留するグリース中に含まれる増ちょう剤の凝集物がロールの回転によるせん断によりふるい分けられ、増ちょう剤の凝集サイズの違いによるクリアランスへの選択的な侵入が生じる時間と、撹拌羽の撹拌により増ちょう剤の凝集物を分散させ増ちょう剤の凝集サイズの違いによるクリアランスへの選択的な侵入を防止する時間のバランスをとることができる。そして、より効率的に凝集粒子を均一に分散させるという点から50mm/秒以上とすることが好ましい。一方、移動速度の上限は、撹拌羽、撹拌軸、撹拌モータ、アクチュエーターに負荷されるグリースの粘性抵抗などによる機械的強度の制限などから500mm/秒以下とすることが好ましく、撹拌によるグリースの飛散、運転時の撹拌羽など撹拌翼への応力緩和、アクチュエータモータ駆動にかかる節電という点から300mm/秒以下とすることがより好ましい。
(3)均一化処理工程
攪拌工程により攪拌されたグリース組成物は、後ロール4と中ロール5の間に形成されたクリアランスを通過し、さらに中ロール5と前ロール6の間に形成されたクリアランスを通過することで増ちょう剤粒子が微細化される。グリース組成物2は攪拌工程により攪拌されることで、クリアランスへの侵入性に優れる増ちょう剤粒子と侵入性に劣る増ちょう剤粒子とが均一に処理される結果、従来と比較して均一化処理工程の初期から末期を通して得られるグリース組成物の品質を安定させることができ、さらに、均一化処理工程終了後の残渣量を減少させること、つまり生産効率を向上させることができる。
ここで、ロール間のクリアランスは、それぞれのロールの軸箱部から、隣接するロールへの付加応力、たとえば図1に示す3本ロールミルの場合は後ロール4および前ロール6から中ロール5の方向へ負荷応力を加えた状態で運転することができる。この負荷圧力の値は特に限定されることは無く通常0〜70kgf/cm2程度であり、目的とする増ちょう剤の粒子サイズが得られる最低圧力とすればよい。また、分散させたい増ちょう剤の種類によっては静止時の圧力は負荷せず、一定のクリアランスを設けてから運転することも可能である。
(4)かき取り工程
均一化処理工程により均一化処理されたグリース組成物は、後ロール4と中ロール5の間に形成されたクリアランスおよび中ロール5と前ロール6の間に形成されたクリアランスを通過し、前ロール6の表面に移行する。前ロール6の表面に移行したグリース組成物はスクレーパー7によりかき取られ、均一化処理されたグリース組成物を回収する。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明は、何らこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例では、以下の原料を使用し試験用混合物を調製した。
増ちょう剤
MDI:ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート
CHA:シクロヘキシルアミン
PDA:パラドデシルアニリン
合成増ちょう剤成分1:ステアリン酸リチウム
合成増ちょう剤成分2:90質量%のステアリン酸リチウムと10質量%の12−ヒドロキシステアリン酸リチウムとの混合物
合成増ちょう剤成分3:ベントナイト
基油
ADE:アルキルジフェニルエーテル油
実施例1〜13および比較例1〜13
表1および2に示す配合で試験用混合物を調製し、表1および2に示す条件で、ロールミルに供給後ロール間に滞留する試験用混合物を、ロールミル上で攪拌翼による攪拌を行いながら3本ロールミルによる均一化処理を行った。ここで、実施例1〜10および比較例1〜10の各試験用混合物は、増ちょう剤原料を基油中で反応させてジウレア化合物とし、冷却することで調製した。また、実施例11〜13および比較例11〜13の各試験用混合物は、予め合成された増ちょう剤成分を基油中に分散させることで調製した。
均一化処理は、以下の3本ロールミルおよび攪拌翼を用いて行った。
3本ロールミル:井上製作所製のS−7×16(ロール直径7インチ)
攪拌翼
アクチュエーター:SMC社製のLEFS25B−400(ボールネジタイプ)
撹拌モータ:新東科学株式会社製のスリーワンモータ600G
攪拌羽根:羽長22mm、3枚羽(ステンレス製)
均一化処理は試験用混合物10kgを用いて行い、均一化処理されたグリース組成物が一定量得られるごとに、以下の方法により、混和ちょう度、増ちょう剤量および粒子サイズを計測し、生産効率性および品質安定性を評価した。
<混和ちょう度の測定>
JIS K2220 7に準拠し、25℃の環境下で、ちょう度計に取り付けた円錐をグリース組成物に落下させ、5秒間かけて進入した深さ(mm)を測定し、測定された値を10倍したものを混和ちょう度とした。結果を表3および4に示す。
<増ちょう剤量の測定>
グリース組成物をメンブランフィルター(ミリポア社製のHAWP04700)により濾過することで基油と増ちょう剤に分離し、各質量を測定することで、グリース組成物中の増ちょう剤の含有量(質量%)を算出した。結果を表3および4に示す。
<粒子サイズの測定>
グリース組成物を光学顕微鏡(オリンパス社製)により倍率100倍で、5視野観察し、グリース組成物中の増ちょう剤粒子の最大粒子径を測定した。測定された最大粒子径が10μm以下の場合は「○」とし、10μmを超えた場合は「×」とした。なお、最大粒子径が10μmを超えた場合は均一化処理を中止し、以降の評価は行わなかった。結果を表3および4に示す。
Figure 0005806969
Figure 0005806969
Figure 0005806969
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表3の結果より、ロールミルに供給後ロール間に滞留するグリース組成物を、所定の条件下で攪拌しながら均一化処理を行うことで、均一化処理工程の初期から末期まで安定した品質のグリース組成物が、優れた生産効率(回収率95質量%以上)で得られることがわかる。一方、表4の結果より、所定の条件下で攪拌を行わない場合は、均一化処理の初期と末期で得られるグリース組成物の混和ちょう度、増ちょう剤量または粒子サイズが安定しておらず、安定した品質のグリース組成物が得られないことがわかる。
1 供給管
2 グリース組成物
3 ロールミル
4 後ロール
5 中ロール
6 前ロール
7 スクレーパー
8 攪拌機
9 駆動部
10 攪拌軸
11 攪拌羽根
12 アクチュエーター
13 ガイド溝

Claims (8)

  1. ロールミルを備えたグリース組成物の均一化装置であって、
    ロールミルに供給後ロール間に滞留するグリース組成物中を回転速度100min−1以上で回転しながら、ロール軸方向に20mm/秒以上の速度で移動することで攪拌する攪拌翼を備えたグリース組成物の均一化装置。
  2. 前記ロールミルが、3本ロールミルである請求項1記載の均一化装置。
  3. 前記攪拌翼の回転速度が100〜700min−1である請求項1または2記載の均一化装置。
  4. 前記攪拌翼のロール軸方向への移動速度が20〜500mm/秒である請求項1〜3のいずれか1項に記載の均一化装置。
  5. ロールミルを用いたグリース組成物の均一化方法であって、
    ロールミルに供給後ロール間に滞留するグリース組成物を、回転速度100min−1以上で回転しながら、ロール軸方向に20mm/秒以上の速度で移動する攪拌翼により攪拌する工程を有するグリース組成物の均一化方法。
  6. 前記ロールミルが、3本ロールミルである請求項5記載の均一化方法。
  7. 前記攪拌翼の回転速度が100〜700min−1である請求項5または6記載の均一化方法。
  8. 前記攪拌翼のロール軸方向への移動速度が20〜500mm/秒である請求項5〜7のいずれか1項に記載の均一化方法。
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