JP5805460B2 - ゴム製シール部材、およびその製造方法 - Google Patents
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本発明に係るゴム製シール部材は、O−リングやパッキン等の封止部材であり、半導体装置の製造装置等において処理室を気密状態等とするのに用いられる。ここで、ゴム製シール部材は、ゴム材料に各種の充填材が配合されているが、本発明に係るゴム製シール部材では、充填材として有機粒子が配合されており、チタン等の比重が4以上の金属(重金属)や重金属化合物が配合されていない。
本発明のゴム製シール部材を製造するにあたっては、フッ素ゴム組成物をO−リングやパッキンの形態に加硫成形する。その際、フッ素ゴム組成物を加熱/加圧装置により一次加硫(一次加硫工程)を行なった後、大気雰囲気中で二次加硫(二次加硫工程)を行う。
フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴムパッキンに使用可能な材料であれば、限定されず、例えば、以下の材料を用いることができる。まず、フッ素ゴムとしては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(ダイキン工業(株)製のダイエル、デュポンダウエラストマー(株)製のバイトンA等)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(ダイキン工業(株)製のダイエル、デュポンダウエラストマー(株)製のバイトンB等)、テトラフルオロエチレン/プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン/フッ化ビニリデン共重合体及びそれらに二重結合を付したポリマー(旭硝子(株)製のアフラス(200)等)等を単独、あるいは複数混合して用いることができる。これらのフッ素ゴムのうち、フッ化ビニリデン系ゴムをベースフッ素ゴムとすることが好ましい。かかるフッ素ゴムとしては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンの共重合体や、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンの共重合体を挙げることができる。
本形態では、ポリイミド樹脂の粉体あるいはフッ素樹脂の粉体等をフッ素ゴムに充填材として練り込んでフッ素ゴム組成物として用いる。かかる充填材は、ゴム100重量部に対して5重量部から80重量部配合する。充填材の配合量が5重量部未満である場合、充填材を配合した効果が十分得られず、充填材の配合量が80重量部を超えると、ゴムとしての弾性等が低下する。それ故、充填材の配合量は、5重量部から80重量部が好ましい。
かかるフッ素ゴム組成物に対する加硫方法としては、過酸化物加硫やポリオール加硫を採用することが好ましく、過酸化物加硫は、耐スチーム性や耐薬品性に優れているという利点があり、ポリオール加硫は、圧縮永久ひずみが小さく、シール性に優れているなど、機械的特性に優れているという利点がある。
一次加硫工程においては、上記のフッ素ゴム組成物を加熱/加圧装置により一次加硫する。かかる一次加硫は、プレスキュアと称せられ、フッ素ゴム組成物をO−リングやパッキン等の形状に成形しながら加硫を行なう。その際、例えば、短冊状の配合ゴムを金型に入れて加熱/加圧成形しても良く、圧縮成形、押出成形等で予備成形してから加硫成形しても良い。射出成形を行うことも出来る。成形物の形状にも特に制限はなく、Oリング、角リング、甲山、甲丸、ヘルール等の種々の形状のパッキン材に成形することが可能である。金属や樹脂との複合体、例えばフッ素樹脂シート/ゴムの複合体であっても良い。
次に、一次加硫工程により得られたフッ素ゴムパッキンに対して熱風炉等の熱気装置によって大気雰囲気中での二次加硫工程を行い、ゴムパッキンとしての物性および寸法を安定させる。かかる二次加硫は、ポストキュアと称せられ、通常、200℃〜250℃の温度で1〜50時間程度行われる。
なお、上記の二次加硫に加えて、二次加硫工程により得られたゴム製シール部材に対して、熱気装置により300℃以上の温度で、酸素を除去した不活性雰囲気中での三次加硫工程を行ってもよい。三次加硫は、酸素ガスを除外した雰囲気中で行う。大気のように酸素が豊富に存在する雰囲気では、例えば、過酸化物加硫剤は加硫阻害を受け、加硫剤が失効/無効分解するために加硫が滞り、高温域で使用するには物性的に不完全となる。また、低い温度の加硫のみではゴム製シール部材から加硫剤の残渣や、加硫に寄与出来なかったフッ素ゴム成分が放出されるおそれがある。不活性ガス雰囲気としては、大気成分中の酸素ガスを除外した雰囲気であれば良いので、CO2ガス雰囲気、N2ガス雰囲気、Arガス雰囲気等を使用することが出来る。複数のガスを組み合わせて用いても良い。価格や作業環境への影響を考慮すると、大気成分として多く存在するN2ガスが特に好ましい。三次加硫の温度は二次加硫の温度以上であれば良く、好ましくは275℃以上、特に好ましくは300〜325℃とする。三次加硫温度を高目に設定すると三次加硫前フッ素ゴムパッキン中での加硫が促進されることにより加硫剤の残渣を放出し易くなる。これに対して、低目に設定すると三次加硫前後でのフッ素ゴムパッキンの物性変化が小さいため、高温域で使用した場合に物性変化が大きくなってしまう。三次加硫の時間に特に制限は無い。
ゴム製シール部材が使用される温度やゴム製シール部材の材質等に応じて任意に設定することができる。但し、加硫時間が極端に短いと伝熱の問題から加硫の効果がパッキン内部に達しない場合がある。また、加硫時間が長過ぎると、熱分解や解重合によりフッ素ガスの放出が著しくなる為、熱気装置を腐食し易くなり大変に不経済である。それ故、三次加硫の時間は、好ましくは30分間〜40時間、より好ましくは2〜30時間、特に好ましくは3〜20時間である。
実施例では、ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンの共重合体を使用し、加硫方法は有機ペルオキシドを使用した過酸化物加硫である。加硫促進剤は四級アンモニウム化合物、加硫助剤はトリアリルイソシアヌレート、充填材としては、以下の材料を用いた。
実施例1=ポリイミド樹脂の粉体
実施例2=フッ素樹脂の粉体
比較例1=酸化チタンの粉体
比較例2=酸化チタンの粉体、および硫酸バリウムの粉体
比較例3=酸化チタンの粉体、硫酸バリウムの粉体およびカーボンの粉体
上記の条件で製造したゴム製シール部材の分光分析結果を図1に示す。図1に示す分光分析において、縦軸の反射率(%)は、ポリテトラフルオロエチレン製の標準白板の反射率を100%としたときの相対値である。また、分光分析を行う際、検出器は850nmで切り替えた。また、図1において、各例におけるデータは、以下の通りである。
実施例1=実線L1
実施例2=実線L2
比較例1=二点鎖線L3
比較例2=一点鎖線L4
比較例3=点線L5
実施例1=78%
実施例2=26%
比較例1=96%
比較例2=60%
比較例3=5%
以上説明したように、実施例1、2に係るゴム製シール部材は、比較例1、2に係るゴム製シール部材と違って、チタン等の重金属を含んでいない。このため、実施例1、2に係るゴム製シール部材については、半導体製造装置の処理室に用いた際、処理室内を流れるガスが重金属と接触しない。このため、処理室内や処理室内で取り扱われる半導体ウェーハ等が重金属汚染を受けることを防止することができる。
上記実施例では、一次加硫および二次加硫を行い、三次加硫は行わなかったが、窒素ガス雰囲気中300℃の三次加硫工程を行なってゴム製シール部材を製造してもよい。
実施例1等では、ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンの共重合体を使用したが、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンの共重合体を使用し、加硫方法としては、有機ペルオキシドを使用した過酸化物加硫を採用してもよい。この場合、加硫促進剤は四級アンモニウム化合物、加硫助剤はトリアリルイソシアヌレート、充填材はフッ素樹脂粉体またはポリイミド樹脂粉体である。かかる例でも、重金属を含んでいないとともに、740nmから1240nmの波長域での相対反射率が20%以上である。
実施例3では、ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンの共重合体を使用し、加硫方法としては、ビスフェノールAFを使用したポリオール加硫を採用する。この場合、加硫促進助剤は水酸化マグネシウム、受酸剤は酸化カルシウム、充填材はフッ素樹脂粉体またはポリイミド樹脂粉体である。かかる例でも、重金属を含んでいないとともに、740nmから1240nmの波長域での相対反射率が20%以上である。
実施例4で、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデンの共重合体を使用し、加硫方法としては、ビスフェノールAFを使用したポリオール加硫を採用する。この場合、加硫促進助剤は水酸化マグネシウム、受酸剤は酸化カルシウム、充填材はフッ素樹脂粉体またはポリイミド樹脂粉体である。かかる例でも、重金属を含んでいないとともに、740nmから1240nmの波長域での相対反射率が20%以上である。
Claims (4)
- 充填材として有機粒子を含み、比重が4以上の金属および当該金属の化合物が配合されずに、ポリテトラフルオロエチレンからなる標準白板での反射率を100%としたときの740nmから1240nmの波長域での相対反射率が20%以上であることを特徴とするゴム製シール部材。
- 前記有機粒子は、ポリイミド樹脂の粒子、およびフッ素樹脂の粒子のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のゴム製シール部材。
- 前記有機粒子の配合量は、ゴム材料100重量部に対して5重量部から80重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載のゴム製シール部材。
- 充填材として有機粒子を含み、比重が4以上の金属および当該金属の化合物が配合されていないゴム組成物に対して、加硫のための加熱、および加圧を行う一次加硫工程と、
前記一次加硫工程の後、大気雰囲気中で前記ゴム組成物を加熱する二次加硫工程と、
前記二次加硫工程の後、酸素ガスを除去した不活性雰囲気中で前記二次加硫工程より高い温度で前記ゴム組成物を加熱する三次加硫工程と、
を行い、
ポリテトラフルオロエチレンからなる標準白板での反射率を100%としたときの740nmから1240nmの波長域での相対反射率が20%以上のゴム製シール部材を得ることを特徴とするゴム製シール部材の製造方法。
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JP2011180868A JP5805460B2 (ja) | 2011-08-22 | 2011-08-22 | ゴム製シール部材、およびその製造方法 |
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