JP5804668B2 - 面内圧縮強度評価装置及び方法 - Google Patents
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Description
管支持板5には、多数の伝熱管7が貫通するための貫通孔が形成されている。管支持板5は、伝熱管7の振動防止や相互間の間隔保持のために使用される。つまり、管支持板5を多数の伝熱管7が貫通しているため、伝熱管7の相互間の間隔が保持できるとともに、伝熱管7の振動防止を図り、更に、地震などにより横荷重(水平方向に作用する荷重)が作用したときに、この横荷重を管支持板5が支えるようになっている。
また、管支持板5の中央部分(図ではクロスハッチングを施した部分)には、伝熱管7を貫通させるための多数の(例えば、数千個)の貫通孔100(図11参照)が形成されている。例えば、図11に示すように、貫通孔100の形状は六角形状をしており、この六角形状を形成する六つの辺101,102,103,104,105,106のうち、一つおきの辺102,104,106には、貫通孔100の中心に向かって突出する突出部100a,100b,100cが形成されている。なお、図11には、4つの貫通孔100のみが示されているが、実際には、管支持板5には、このような貫通孔100が、碁盤の目状に縦横方向に整列した状態で配置されている。このような各貫通孔100を伝熱管7が貫通している状態において、伝熱管7の外周面と貫通孔100の内周面との間には隙間が設けられており、この空間が二次冷却水や蒸気の流通路とされる。貫通孔100は、伝熱管7を支持する機能の他、内筒4内を上昇流通する二次冷却水や蒸気を流通させる流路としての機能を果たしている。
このように供試体を用いて面内圧縮強度の評価を行うことで、実機において、横荷重がかかったときに、管支持板5にどのような変形が生じ、また、最も損傷を受ける管支持板内部における位置を推定することが可能となる。
本発明は、蒸気発生器の内部に配置され、伝熱管が貫通する多数の貫通孔が形成された管支持板の面内圧縮強度を評価する面内圧縮強度評価装置であって、実際に使用される前記管支持板と略同じ構造を有する供試体を作成し、該供試体に形成された前記貫通孔の各々に所定長さの伝熱管を挿入した状態で荷重を与えて面内圧縮強度評価を行ったときの荷重と該供試体の変位量とに関する評価結果が第1情報として格納されている記憶部と、前記供試体の構造モデルを作成し、前記面内圧縮強度評価と同じ条件で面内圧縮強度評価をシミュレーションすることにより、荷重と構造モデルの変位量とに関する評価結果である第2情報を得る第1解析部と、前記第1解析部によって得られた第2情報が前記記憶部に格納されている前記第1情報に近づくように、面内圧縮強度に影響を与える構造モデルの要素因子を調整するための調整部と、前記第2情報が前記第1情報に最も近づいたとき、又は、第2情報と第1情報との差が許容範囲内となったときの前記要素因子が維持された状態で、前記構造モデルを前記蒸気発生器に実際に適用される前記管支持板の構造形状に展開し、展開した構造モデルを用いて面内圧縮強度評価を行う第2解析部とを具備する面内圧縮強度評価装置を提供する。
また、第1の解析部により、供試体の構造モデルが作成され、この供試体の構造モデルを用いた面内圧縮強度評価が実際と同じ条件でシミュレーションされ、荷重と構造モデルの変位量とに関する評価結果である第2情報が取得される。第1情報と第2情報とが得られると、調整部により、第2情報が第1情報に近づくように、構造モデルの要素因子が調整される。このとき調整される要素因子は、面内圧縮強度に影響を与える要素因子である。そして、第2解析部により、第2情報が第1情報に最も近づいたときの要素因子が引き継がれたまま供試体の構造モデルが展開されて実機レベルの構造モデルが作成され、この構造モデルを用いて面内圧縮強度評価が行われる。
また、従来は異方性を考慮するために供試体を少なくとも2つ用意する必要があったが、本発明では、実際の管支持体の面内圧縮強度評価の特性を把握するために供試体を作成すればよいので、供試体は一つで足りる。従って、供試体の作成に要する費用や労力を軽減することができる。更に、シミュレーションであれば、様々な条件(角度や大きさ等)で荷重を与えることができ、バリエーション豊富な評価を行うことができる。
上記面内圧縮強度に影響を与える構造モデルの要素因子とは、例えば、構造モデルの材料因子及び構造モデルの変形を規定するための変形要素因子が挙げられる。材料因子としては、例えば、材料硬化則等が挙げられる。また、変形要素因子は、3次元モデル(x,y,z)を2次元モデル(x,y)で簡易的に評価するために用いられる要素であり、例えば、平面応力要素、平面ひずみ要素等が挙げられる。平面応力要素は、z軸方向の応力をゼロ、つまり、構造モデルがz軸方向に自由に変形することを規定する要素である。平面ひずみ要素は、z軸方向のひずみをゼロ、つまり、構造モデルがz軸方向に変形しないことを規定する要素である。例えば、平面応力要素は、z軸方向の厚みが薄い場合に適用され、平面ひずみ要素は、z軸方向に十分な厚みがある場合に適用される。
本発明の一実施形態に係る面内圧縮強度評価装置は、原子力発電所で使用される蒸気発生器の内部に配置され、伝熱管が貫通する多数の貫通孔が形成された管支持板の面内圧縮強度を評価する装置である。蒸気発生器の構造並びに本実施形態に係る内面圧縮強度評価装置が評価の対象とする管支持板は、図9及び図10に示した構造をしており、これらの説明については、上述の通りである。即ち、管支持板5は、図10及び図11に示されるように、その中央部分に、伝熱管7を貫通させるための多数の貫通孔100が形成されている。管支持板は、図9に示される蒸気発生器1の内部に水平状態で配置されるものであり、伝熱管7が貫通孔100を鉛直方向に貫通する。貫通孔100の形状は、例えば、図11に示すように、六角形状をしている。また、伝熱管7が貫通孔100を貫通した状態で、伝熱管7の外周面と貫通孔100の内周面との間には隙間が設けられており、この空間が二次冷却水や蒸気の流通路とされる。
まず、シミュレーションに先駆けて行われる面内圧縮強度評価では、蒸気発生器1に実際に使用される管支持板5と略同じ構造を有する供試体が作成される。図3に供試体の概略構成を示す。図3に示すように、供試体60は、四角形とされており、多数の貫通孔100が外枠部40で挟まれた構成とされている。外枠部40は、四辺のうちの対向する二辺(図3ではX方向に沿う二辺)にのみ設けられている。
なお、本実施形態では、図4に示すような構造の載荷治具を用い、供試体60の上面部から荷重を与え、この荷重を基底に配置されたウェッジ50で受けるような構造としたが、面内圧縮強度評価に用いられる載荷治具の構造はこの限りでなく、供試体60に荷重を与え、荷重と変位量との関係が得られるような試験が可能な治具であれば足りる。
具体的には、第1解析部22は、入力装置14(図1参照)から入力される情報に基づいて、上述した実際の面内圧縮強度評価に使用された供試体の構造モデルを作成するためのプログラムを有しており、このプログラムを実行することで、供試体の構造モデルを作成する。
入力装置14から入力される情報としては、例えば、形状因子、材料因子、境界条件、変形要素因子等が挙げられる。形状因子としては、例えば、モデル全体の大きさ、貫通孔の形状、配列等が挙げられる。材料因子としては、例えば、ヤング率や材料硬化則等が挙げられる。境界条件としては、例えば、ウェッジ50の位置や、供試体60の端部の拘束条件等が挙げられる。また、変形要素因子は、構造モデルの変形を規定するための変形要素因子であり、3次元モデル(x,y,z)を2次元モデル(x,y)で簡易的に評価するために用いられる要素である。具体的には、平面応力要素、平面ひずみ要素等が挙げられる。平面応力要素は、z軸方向の応力をゼロ、つまり、構造モデルがz軸方向に自由に変形することを規定する要素である。平面ひずみ要素は、z軸方向のひずみをゼロ、つまり、構造モデルがz軸方向に変形しないことを規定する要素である。例えば、平面応力要素は、z軸方向の厚みが薄い場合に適用され、平面ひずみ要素は、z軸方向に十分な厚みがある場合に適用される。
具体的には、調整部23は、まず、記憶部21に格納されている第1情報と第1解析部22によって得られた第2情報との差分を算出し、この差分の最大値が予め設定されている許容範囲内であるか否かを判定する。
まず、面内圧縮強度評価装置における面内圧縮強度評価に先立って、供試体60を用いた実際の面内圧縮強度評価が行われ(ステップSA1)、このときに得られた荷重と供試体の変位量とが対応付けられた第1情報が記憶部21に格納される(ステップSA2)。
面内圧縮強度評価装置10における面内圧縮強度評価では、第1解析部22によって供試体60の構造モデルが作成され、この供試体60の構造モデルを用いて面内圧縮強度評価を実際と同じ条件でシミュレーションされ、荷重と構造モデルの変位量とが対応付けられた第2情報が取得される(ステップSA3)。
5 管支持板
7 伝熱管
10 面内圧縮強度評価装置
11 CPU
12 主記憶装置
13 補助記憶装置
14 入力装置
15 表示装置
16 通信装置
21 記憶部
22 第1解析部
23 調整部
24 第2解析部
40 外枠体
50 ウェッジ
60 供試体
100 貫通孔
Claims (2)
- 蒸気発生器の内部に配置され、伝熱管が貫通する多数の貫通孔が形成された管支持板の面内圧縮強度を評価する面内圧縮強度評価装置であって、
実際に使用される前記管支持板と略同じ構造を有する供試体を作成し、該供試体に形成された前記貫通孔の各々に所定長さの伝熱管を挿入した状態で荷重を与えて面内圧縮強度評価を行ったときの荷重と該供試体の変位量とに関する評価結果が第1情報として格納されている記憶部と、
前記供試体の構造モデルを作成し、前記面内圧縮強度評価と同じ条件で面内圧縮強度評価をシミュレーションすることにより、荷重と構造モデルの変位量とに関する評価結果である第2情報を得る第1解析部と、
前記第1解析部によって得られた第2情報が前記記憶部に格納されている前記第1情報に近づくように、面内圧縮強度に影響を与える構造モデルの要素因子を調整するための調整部と、
前記第2情報が前記第1情報に最も近づいたとき、又は、第2情報と第1情報との差が許容範囲内となったときの前記要素因子が維持された状態で、前記構造モデルを前記蒸気発生器に実際に適用される前記管支持板の構造形状に展開し、展開した構造モデルを用いて面内圧縮強度評価を行う第2解析部と
を具備し、
前記第2解析部は、前記管支持板の外周に所定の間隔をあけて配置されたウェッジに対して、正弦波状または余弦波状に分布する荷重を与えることにより、面内圧縮強度評価を行う面内圧縮強度評価装置。 - 蒸気発生器の内部に配置され、伝熱管が貫通する多数の貫通孔が形成された管支持板の面内圧縮強度を評価する面内圧縮強度評価方法であって、
実際に使用される前記管支持板と略同じ構造を有する供試体を作成し、該供試体に形成された前記貫通孔の各々に所定長さの伝熱管を挿入した状態で荷重を与えて面内圧縮強度評価を行い、荷重と該供試体の変位量とに関する評価結果を第1情報として得る第1工程と、
前記供試体の構造モデルを作成し、前記面内圧縮強度評価と同じ条件で面内圧縮強度評価をシミュレーションすることにより、荷重と構造モデルの変位量とに関する評価結果である第2情報を得る第2工程と、
前記第2情報が前記第1情報に近づくように、面内圧縮強度に影響を与える構造モデルの要素因子を調整する第3工程と、
前記第2情報が前記第1情報に最も近づいたとき、又は、第2情報と第1情報との差が許容範囲内となったときの前記要素因子が維持された状態で、前記構造モデルを前記蒸気発生器に実際に適用される前記管支持板の構造形状に展開し、展開した構造モデルを用いて面内圧縮強度評価を行う第4工程と
を含み、
前記第4工程は、前記管支持板の外周に所定の間隔をあけて配置されたウェッジに対して、正弦波状または余弦波状に分布する荷重を与えることにより、面内圧縮強度評価を行う面内圧縮強度評価方法。
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