JP5802910B2 - Dnaを素子としたバイオセンサー - Google Patents
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Description
(1)以下の(A)及び(B)の工程を含むことを特徴とする、被検試料中のヒ素(As)化合物、カドミウム(Cd)化合物及び鉛(Pb)化合物から選択される重金属化合物を水系で検出又は定量する方法。
(A)前記の重金属化合物に特異的に結合する、GFPで標識されている、ArsRタンパク質又はCadCタンパク質であるセンサータンパク質と、該センサータンパク質によって特異的に認識される配列を含む、支持体に固相化された核酸とを、被検試料の存在下、前記センサータンパク質がArsRタンパク質のときは50mM以上のリン酸緩衝液(pH7.4)中で、前記センサータンパク質がCadCタンパク質のときは40mM以上の塩化ナトリウム溶液中でそれぞれ反応させる工程;
(B)固相化された核酸に結合した前記センサータンパク質を検出又は測定する工程;
(2)センサータンパク質が、検出可能なマーカータンパク質との融合タンパク質であることを特徴とする上記(1)記載の方法。
(3)センサータンパク質と核酸との結合が、重金属化合物により阻害されることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の方法。
(4)あらかじめ5価のヒ素(As(V))化合物を還元処理して3価のヒ素(As(III))化合物に変換することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか記載の方法。
(5)ヒ素(As)化合物、カドミウム(Cd)化合物及び鉛(Pb)化合物から選択される重金属化合物に特異的に結合する、GFPで標識されている、ArsRタンパク質又はCadCタンパク質であるセンサータンパク質と、該センサータンパク質によって特異的に認識される配列を含む、支持体に固相化された核酸と、前記センサータンパク質がArsRタンパク質のときは50mM以上のリン酸緩衝液(pH7.4)、前記センサータンパク質がCadCタンパク質のときは40mM以上の塩化ナトリウム溶液とを備えたことを特徴とする、被検試料中の重金属化合物の検出又は定量用キット。
蛍光標識センサータンパク質とDNAの相互作用を利用した有害金属バイオセンサーの開発を試みた。図1に示すように、ArsRタンパク質やCadCタンパク質などのセンサータンパク質は、大腸菌(E.coli)や黄色ブドウ球菌(S.aureus)における有害金属耐性オペロンの転写活性を制御する働きを担っている。これらのタンパク質は、有害金属イオンの非存在下ではプロモーターDNAと結合し、センサータンパク質−プロモーターDNA複合体を形成する。以上のようなセンサータンパク質の性質を利用して、ヒ素、鉛及びカドミウム化合物検出のためのバイオセンサーを開発した。図2にバイオセンサーの原理を示す。
ヒ素化合物のバイオセンサーの構成要素を図3に示す。大腸菌においてヒ素の細胞外排出ポンプをコードするarsB及びarsC遺伝子と、ArsRセンサータンパク質をコードするarsR遺伝子はarsR−arsB−arsCの順でオペロンを形成し、その転写活性はArsRタンパク質により制御される。ヒ素化合物バイオセンサーには、ArsR−GFP融合タンパク質と、arsR遺伝子上流のArsRタンパク質結合サイト(オペレーター配列)を中心とした50塩基対からなるプロモーター領域DNA(Pars−DNA)を選択した。プロモーター領域DNAについては、表1に示すParsR−50−S−3−B(配列番号1にParsR−50−Sの配列を示す)とParsR−50−A(配列番号2)を等量混合し、プロモーター配列下流の3’末端にビオチンが標識された二本鎖DNA(Pars−ビオチンと表記)を形成させた。次に、Pars−ビオチンを濃度が25pmol/100μLとなるよう調製し固定化に用いた。
(1)菌株(大腸菌株)
遺伝子クローニングにはJM109、DH5α(TaKaRa社製)を用いた。また、組換えタンパク質生産には、pAcGFP1プラスミドDNAのAcgfp1遺伝子の上流に大腸菌K12のarsR遺伝子をAcgfp1遺伝子と同じ読み枠で挿入した、BL21(DE3)pLysS(Novagen社)をそれぞれ用いた。また、形質転換株の培養はLB培地を用い、必要に応じてアンピシリン(Amp)、クロラムフェニコール(Cm)をそれぞれ終濃度50μg/mL、34μg/mLとなるように加えた。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)には、Pfx50 DNA Polymerase(Invitrogen社製)を用いた。大腸菌K12のarsR、黄色ブドウ球菌NCTC50581の内在性プラスミドDNAであるpI258にコードされるcadC、pAcGFP1プラスミドDNA(Clontech社製)にコードされるAcgfp1をそれぞれ増幅した。
亜ヒ酸はsodium metaarsenite 98%(As(III))(Sigma社製)を、2価鉛は酢酸鉛(II)三水和物特級(和光純薬社製)をそれぞれ用いた。
PCRで増幅したDNA断片のクローニングの際にはpGEM−TベクタープラスミドDNA(Promega社製)を、組み換えタンパク質生産のための発現ユニットの作製の際にはpET−3aプラスミドDNA(Novagen社製)をそれぞれ用いた。
組換えタンパク質の発現用BL21(DE3)pLysS形質転換株を、AmpとCmを添加した培地(Amp+Cm+LB)5mLで、37℃、一晩培養し、得られた一晩培養液を0.5mLのAmp+Cm+LBに植菌した。これを37℃で約12時間、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加せずに培養した。培養後、集菌し50mMのトリス−塩酸緩衝液(Tris−HCl、pH7.4)で2回の洗菌を行った後に、4mLの細胞破砕用緩衝液(15%グリセロールを含むTris−HCl)に再懸濁し−80℃で1回の凍結融解を行った。超音波破砕を行った後、15000rpmで15分間、遠心分離し、得られた上清を組み換えタンパク質粗抽出液とした。このタンパク質粗抽出液は−80℃で凍結保存し、試験時に融解し使用した。マイクロプレートを利用した亜ヒ酸(As(III))の検出時には上述のTris−HClの代わりに10mMのリン酸緩衝液(PBS、pH6.0)を用いた。また、超音波破砕時には2mLの細胞破砕用緩衝液(15%グリセロールを含むPBS)に細胞を懸濁させた。
プロモーターDNAと組み換えタンパク質と金属イオンを表3に示す組成で混合し、氷上で3時間(ArsR−GFPを用いた試験)あるいは1時間(CadC−GFPを用いた試験)のインキュベートを行った。反応液に表4のネーティブ−PAGE用サンプル緩衝液5μLを加えて計25μLとした。その後、ネーティブ−PAGEにより反応液中のDNAとタンパク質を展開したゲルに暗条件下LED光源ビジレイズ(AE−6935B、ATTO社製)により青色光を照射しGFP融合タンパク質を可視化した。
110μLのDNA固定化用緩衝液(0.05%Tween20を含むトリス緩衝液−生理食塩水(TBS))に30pmolのPars−DNAを溶解させた溶液をマイクロプレート(Reacti-Bind Streptavidin Coated High Binding Capacity (HBC) Black 96-Well Plates、Pierce社製)に添加し、2時間室温でインキュベートすることにより、ウェル表面にPars−DNAを固定化した。200μLのDNA固定化用緩衝液で2回洗浄を行った後、200μLのTBSで1回洗浄を行った。タンパク質粗抽出液と亜ヒ酸溶液を表5に示す組成で混合し、氷上で2時間インキュベートを行った。その後、混合液をプレートに添加し室温で1時間インキュベートを行った。上清を除き、200μLの洗浄用緩衝液(0.05%Tween20を含む10mMPBS、pH6.0)で3回の洗浄を行い、最終的に150μLの50mMTris−HCL(pH7.9)を添加し、10分後にFluorescent Microplate Reader MTP-601Lab(コロナ−日立ハイテクノロジーズ社製)にて蛍光強度を測定した。この際のバンドパスフィルターとして励起光側は492nm、検出器側は530nmのものを用いた。
(1)ArsR−GFP融合タンパク質の作製
まず、pAcGFP1プラスミドDNAのAcgfp1遺伝子の上流に大腸菌K12のarsR遺伝子をAcgfp1遺伝子と同じ読み枠で挿入した、pAcGFParsRを鋳型にしてPCRを行い、arsRとAcgfp1を含むDNAフラグメント、arsRgfpを増幅した。この際に用いたプライマーはarsR遺伝子の5’末端とAcgfp1遺伝子の3’末端に相補的な20塩基からなり、更にその5’側にはそれぞれNdeIサイトを付加した。arsRgfpをpGEM−TベクタープラスミドDNAに挿入しクローニングすることでpGEMarsRgfpを得た(図4)。pGEMarsRgfpをNdeI消化することでプラスミドDNAより切り出されたarsRgfpをアガロースゲル電気泳動で分離し回収した。pET−3aをNde1消化し、回収したarsRgfpとつなぎ合わせることでpETarsRgfpを得た。pETarsRgfpで大腸菌BL21(DE3)pLysSを形質転換することによりArsR−GFP融合タンパク質生産株を育種した。
このようにして得られた組換えタンパク質がArsRタンパク質としての機能性を有するか否かをゲルシフト法により確認した。ゲルシフト法ではタンパク質と核酸が特異的な結合を介して複合体を形成すると核酸単体あるいはタンパク質単体の場合と比較し電気泳動時の各分子の移動距離に差が生じ、ゲル上のバンドの位置に差異が生じる。これによりタンパク質と核酸の特異的な結合の有無を判別することが可能となる。ArsR−GFPタンパク質を含むタンパク質粗抽出液とPars−DNAを混合した結果、図5に示すように、Pars−ArsR−GFP複合体と推察されるバンドが確認された。また、Pars−DNAを添加せずタンパク質粗抽出液の反応液を泳動した場合には、このバンドが確認されないことから、このバンドがPars−ArsR−GFP複合体のものであることが裏付けられる。また、亜ヒ酸を反応液に添加した場合には、添加した亜ヒ酸の濃度が増加するにつれてPars−ArsR−GFP複合体のバンドが薄くなることが確認された。以上の結果から、ArsR−GFPタンパク質はPars−DNAと特異的に結合して複合体を形成すること、亜ヒ酸の存在によりPars−DNAとの結合が阻害されることが確認された。さらに、これらの結果は、GFP蛍光修飾によりArsRタンパク質の機能が損なわれないことを意味している。
Pars−DNAを固定化したウェルにArsR−GFPタンパク質を含むタンパク質粗抽出液を添加し、ウェル表面上でPars−ArsR−GFP複合体を形成させた。その後、タンパク質粗抽出液を除去し洗浄を行わずにウェル上のタンパク質をSDS−PAGE用のサンプル緩衝液で変性させ回収した。電気泳動による解析の結果、ArsR−GFPタンパク質の推定分子量41.8kDaの位置に濃いバンドが検出されたが、これ以外にも複数のバンドが確認された(図6レーン2)。同様の解析を、ウェル表面上でPars−ArsR−GFP複合体を形成させ洗浄を行った後に回収したサンプルで行った場合、ArsR−GFPの位置にほぼ完全に精製されたタンパク質が確認された(図6レーン1)。いずれのレーンのサンプルにおいても、タンパク質粗抽出液をそのまま展開した場合(図6レーン3)と比較し、飛躍的に目的タンパク質の精製が進んだことを示している。以上の結果から、ウェル表面にPars−DNAを固定化し、タンパク質粗抽出液を添加しインキュベートするだけで、Pars−DNAとArsR−GFPが高い特異性を維持しつつウェル表面でも結合し得ることが示された。この結果は、さらに、タンパク質精製のための煩雑なカラム操作が不要であることを示しており、バイオセンサーの作製にかかるコストを低減化することが可能である。
次に、ウェル表面にPars−DNAを固定化した後に、添加するタンパク質粗抽出液量の変化により、ウェル洗浄後に残存する蛍光強度がどのように変化するかを調べた。図7の横軸はウェル中の100mL液量当りのタンパク質粗抽出液の液量、縦軸はウェル上においてPars−DNAと複合体を形成しているArsR−GFPの蛍光強度を示す。蛍光強度は粗抽出液の液量が増加するとそれに伴い増加したが、40mLでプラトーに到達した。このことは、ウェル表面で固定化されたほぼ全てのPars−DNAに対してArsR−GFPとの複合体を形成させるためには100mL液量当り40mLのタンパク質粗抽出液の液量で十分であることを示している。これ以上の量の抽出液を添加した場合には、遊離ArsR−GFPタンパク質が反応系に過剰量存在することになり、亜ヒ酸を検出する際に過剰に存在する遊離ArsR−GFPがPars−DNAに結合することで検出感度の低下を招くことも予測される。従って、暫定的に40mLのタンパク質粗抽出液に相当するArsR−GFPの量を適用して亜ヒ酸の検出を行った。
前記のように、センサー素子となるParsとArsR−GFPからなる複合体を96穴マイクロプレート上で構築することが可能であると判断した。また、余剰のArsR−GFPタンパク質溶液をPars固定化ウェルから除去し、表6に示す10mM PB−Tによる洗浄を行ったところ、洗浄回数を重ねる毎にウェル内GFP由来の蛍光強度の減少が認められた。この減少はArsR−GFPが洗浄操作でParsから解離したことによると考えられたため、基材上でセンサー素子複合体が維持され、かつ余剰のArsR−GFPや夾雑タンパク質の系内からの排除が可能な洗浄条件が必要であると考えた。そこでArsR−GFPを利用して、下記のpHが異なる二つの緩衝液(表6)で洗浄操作を行い、蛍光強度の減少度を調べた。
センサータンパク質であるArsRは無機ヒ素である3価のヒ素As(III)と5価のヒ素As(V)に対して、それぞれ親和性が異なり、As(III)に対して親和性が高いことが知られている。しかし、飲料水基準値で示されるヒ素は亜ヒ酸とヒ酸の区別をしておらず、ArsR−GFPを素子とするセンサーでAs(III)とAs(V)のヒ素を同等の感度で検出することが好ましい。そこでAs(V)をAs(III)へと還元することでAs(V)をAs(III)と同等に検出可能であるか否かを検討した。試験では、As(V)としてヒ酸ナトリウムを、As(III)として亜ヒ酸ナトリウム、還元剤としてチオ硫酸ナトリウムをそれぞれ用いた。
開発したヒ素センサー素子はタンパク質であるため、極端なpH条件下では素子自身が変性を起こし、センサーとして機能しなくなる可能性がある。そのため、どのようなpHの試料に対しても、センサーとしての機能が発揮される至適pHに近づける必要があると考えられる。そこで、ヒ素検出試験時のpHの影響を確認した。検出試験に際しては、亜ヒ酸を含まない試料と100μg/LのAs(III)を含む試料の各445μLに2N塩酸の20.0μL、500mM エチレンジアミン四酢酸(pH8.0)の5.0μL、250mM チオ硫酸ナトリウムの1.0μL、2.5N 水酸化ナトリウムの16.0μLを順次加えることで還元処理を行った。その後、表7に示す緩衝液の25.0μLを添加し試料のpH条件の影響を検討することとした。緩衝液の緩衝能を高めるために濃度を1M(終濃度50mM)とした。
これまでの試験で得られた洗浄そして蛍光強度の測定条件にて亜ヒ酸の検出試験を行った。「(7)還元処理後に試料に添加する緩衝液とそのpHの最適化」で行った方法による試料の還元処理後にpH7.4の1Mリン酸緩衝液の25μLを加えた。こうして得られた処理後の試料の95μLと4.5μLのArsR−GFP溶液、0.5μLの10mg/mLサケ精子DNAを混合し氷上で30分間のインキュベーションを行った。その混合液を30分後にPars固定化ウェルに添加し、室温で10分間の振盪を行った。10分後に余剰の混合液を除去し、200μLのPB−T(表6)により5秒間の洗浄を1回行った。洗浄後、ウェルに50mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン−HCl、pH7.9の150μLを添加し蛍光測定を行った。As(III)検出におけるArsR−GFPの標準曲線を図14に示す。
ヒ素センサーは3価ヒ素のμg/Lオーダーの検出が可能であることが確認された。しかしながら、センサーの重要な要素である選択応答性を持つことは示されていない。そこで、ヒ素センサーのヒ素以外の金属に対する応答性について調べることにした。試料としては、1.0μM、10μM、100μMの塩化カルシウム、塩化カドミウム、硫酸銅(II)、硫酸鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、酢酸鉛(II)、硫酸亜鉛を試験した。As(III)とAs(V)の同時検出においては、チオ硫酸ナトリウムによる試料の還元処理が必要であるため、本試験においても「(7)還元処理後に試料に添加する緩衝液とそのpHの最適化」で行った方法で試料の還元処理後にpH7.4の1Mリン酸緩衝液の25μLを加えた。その後、前項と同様にArsR−GFP溶液とサケ精子DNAを混合し、氷上で30分間のインキュベーションを行った。混合液をPars固定化ウェルに添加し、室温で2時間の振盪を行った後に、ウェル内の余剰の混合液を除去し、200μLのPB−T(表6)により5秒間、1回の洗浄を行った。洗浄後、ウェルに150μLの蛍光測定用緩衝液を添加し蛍光測定を行った(図15)。
(1)CadC−GFP融合タンパク質生産大腸菌株の育種
実施例3に記載の、ArsR−GFP融合タンパク質作製と同様の方法で、CadC−GFP融合タンパク質を作製した。pGEMarsRgfpをSphIとBamHIで消化し、切り出されたフラグメントを除去することでpGEMgfpを得た(図16)。pI258プラスミドDNAを鋳型にしてPCRを行い、cadCを含むDNAフラグメントを増幅した。この際にプライマーは、cadC遺伝子の5’末端に相補的な20塩基にSphIとNdeIサイトを、3’末端に相補的な20塩基にBamHIサイトを付加したものを用いた。cadCをSphIとBamHIで消化しpGEMgfpとつなぎ合わせることでpGEMcadCgfpを得た。pGEMcadCgfpをNdeIで消化することでプラスミドDNAより切り出されたcadCgfpをアガロースゲル電気泳動で分離し回収した。pET−3aをNdeI消化し、回収したcadCgfpとつなぎ合わせることでpETcadCgfpを得た。pETcadCgfpで大腸菌BL21(DE3)pLysSを形質転換することによりCadC−GFP融合タンパク質生産株を育種した。
実施例3と同様に、CadC−GFP融合タンパク質がCadCタンパク質の機能を有するか否かをゲルシフト法により確認した。CadC−GFPタンパク質を含むタンパク質粗抽出液とPcad−DNAを混合すると、Pcad−CadC−GFP複合体と推察されるバンドが確認された(図17上)。Pcad−DNAを添加せずタンパク質粗抽出液の反応液を泳動した場合にはこのバンドが確認されないことから、このバンドがPcad−CadC−GFP複合体のものであることが裏付けられる。また、2価陽イオンである鉛、カルシウム、又はマグネシウムイオンをそれぞれ反応系に添加すると、いずれの場合においても、Pcad−CadC−GFP複合体のバンドが薄くなることが確認された(図17下)。しかしながら、2価鉛を添加したときにはカルシウムあるいはマグネシウムを添加したときよりも、より顕著にバンドが薄くなったことからCadC−GFP融合タンパク質は一定の選択性を持って2価鉛と結合しPcad−DNAとの結合定数あるいは解離定数を変化させることが推察される。
CadC−GFP融合タンパク質を含むタンパク質粗抽出液とPcad−DNAを固定化したマイクロプレートを用いて、亜ヒ酸検出系と同様の原理で鉛化合物とカドミウム化合物を検出するバイオセンサーを構築した。
Pcadの3’末端にビオチンが標識されたPcad34−ビオチンのウェルへの結合量を確認し、センサーを構築する上での参考にした。Pcad34−ビオチンの濃度が0〜50pmol/100μLとなるよう調製し、ウェルへの固定化に使用した。CadC−GFPを含むタンパク質粗抽出液は、図16に示すように育種されたE.coli BL21(DE3)pLysS(pETcadCgfp)の培養液の50mL中の細胞を4mLのTG(50mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン−HCl pH7.4、15%(v/v)グリセロール)に懸濁し氷上にて、UD−201(トミー精工社)を利用して超音波破砕(発振出力3、インターバル50%、5分間を4回)を行うことにより調製した。99μLのタンパク質粗抽出液と1.0 μLの10mg/mLサケ精子DNAを混合しPcad34固定化ウェルに添加し、室温で2時間の振盪を行った。2時間後に余剰のタンパク質粗抽出液を除去し、200μLのPB−T(表6)により5秒間、2回の洗浄を行った。洗浄後、ウェルに50mM トリスヒドロキシメチルアミノメタン−HCl(pH7.9)の150μLを添加し蛍光測定を行った。その結果、20pmol/100μLまではPcad34の固定化量の増加に応じて、CadC−GFP結合量の増加が見られた(図20)。Parsの固定化の結果と同様に、蛍光強度は固定化量20pmol/100μLで飽和に達した。今回の試験で使用したタンパク質粗抽出液中のCadC−GFP量は十分であったと考えられるため、Pcad34のウェル上の固定化量が10−20 pmol/100μLで飽和に達したと考えられる。結論として、鉛・カドミウムセンサーを構築する上でPcad34を固定化に使用する濃度は20pmol/100μLを上限とすることにした。
ウェル当たり20pmolのPcad34使用量に対し、CadC−GFPを含むタンパク質粗抽出液の最適添加量の検討を行った。Pcad34−ビオチンを20pmol/100μLとなるよう調製し、ウェルに添加することで固定化した。CadC−GFPを含むタンパク質粗抽出液の99μLと10mg/mLサケ精子DNAの1.0μLの混合液を調製した。次に、この混合液をTG(50mMトリスヒドロキシメチルアミノメタン−HCl pH7.4、15%(v/v)グリセロール)によって混合液の全量に対する容量比が0−100μL/100μLとなるよう希釈した。そして、この希釈試料をPcad34固定化ウェルに添加し蛍光測定を行った(図21上図)。その後に室温で1時間の振盪を行った後に、余剰の希釈試料を除去し、200μLのPB−T(表6)により5秒間の洗浄を2回行った。洗浄後にウェルに50mM Tris−HCl、pH7.9の150μLを添加し蛍光測定を行った(図21下図)。
Pcadの塩基数の違いによる影響を調べるために、新たに二本鎖DNAを設計した。これはS. aureusが持つpI258上のcadCの転写開始地点から上流のプロモーター共通配列の−10塩基付近のCadC結合配列を含むPcad34の塩基配列に、さらに−35付近のCadC結合配列を加えたものである。新たに作成した二本鎖DNAを調製するために、表9に示すPcad50−S−3−B(配列番号5にPcad50−Sの配列を示す)とPcad50−A(配列番号6)を等量混合し、プロモーター配列の3’末端にビオチンが標識された二本鎖オリゴヌクレオチド、Pcad50−ビオチンを形成させた。次に、Pcad34−ビオチンとPcad50−ビオチンを20pmol/100μLとなるよう調製し固定化に用いた。
これまでの試験で得られたインキュベーション条件にて鉛及びカドミウムの検出試験を行った。マイクロプレートのウェルには、Pcad50−ビオチンを20pmol/100μLとなるよう調製し固定化した。試料として0から100μg/Lの既知濃度のPb(II)あるいはCd(II)溶液の376μLと4MのNaClの4.0μLを混合した。さらに、試料のpHを一定にするために1Mのトリスヒドロキシメチルアミノメタン−HCl(pH7.4)の20.0μLを緩衝液として加え、試料の全量を400μLとした。この前処理後の試料の92μLとCadC−GFPを含むタンパク質粗抽出液の7.5μL、10mg/mLサケ精子DNAの0.5μLを混合し、これまでの検出試験と同様に一連の操作を行い、蛍光強度の測定を行った。
DNAとタンパク質の相互作用を介した複合体分子の高次構造の変化を検出するために、蛍光共鳴エネルギー移動 (Fluorescence Resonance Energy Transfer; FRET)を利用した系の開発を試みた。FRETとは、ドナーとなるエネルギー供与体からアクセプターとなるエネルギー受容体へ励起エネルギーが移動する現象である。励起状態にあるドナーの近くにアクセプターが存在すると、ドナーからの発光が起こらないうちにその励起エネルギーがアクセプターを励起させ、その発光を検出することができる。距離が近いほどFRETは起きやすいため、分子間の相互作用や分子の構造変化を検出する手段として用いられている。
ZntRタンパク質の発現用大腸菌形質転換株をAmpとCmを添加した培地5mLで37℃、一晩培養し、その後AmpとCmを添加した培地250mLに植菌し37℃で振とう培養した。OD600が0.6−0.8に達したときにイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(Isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside;IPTG)を終濃度0.5mMになるように無菌的に加え37℃で3時間、培養した。この培養液を8000rpmで5分間遠心分離して集菌し上清を捨てた後、凍結融解(−80℃で30分間凍結させ室温で30分間融解する)を3回行い、適量のトリスバッファーA(50mM Tris−Cl、pH8.0、2mM EDTA、5mM ジチオスレイトール)に再懸濁して室温で10分間インキュベートした。4℃、12000rpm、10分間遠心してZntRタンパク質粗抽出液を得た後、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)によって展開してZntRタンパク質の発現確認を行った。
全ての精製のステップは低温室(6〜8℃)にて行った。ZntRあるいはArsR−GFP融合タンパク質の粗抽出液に対し硫酸アンモニウム沈殿を行い、その後、脱塩のためのゲルろ過を行った。硫酸アンモニウムは乳棒と乳鉢で細かくすりつぶした。その後、スターラーで撹拌しながら、0%→10%→20%→30%→40%→45%となるよう粗抽出液に添加しそれぞれのステップにおいて完全に溶解させた。45%濃度に到達した後、一晩、スターラーで撹拌した。その後、4℃、12000rpmで30分間遠心し上清を捨て、粗抽出液の1/10量のトリスバッファーAを沈殿に加え完全に溶解させた。ゲルろ過はPD−10 Desalting column(GE Healthcare社)を用い、方法は付属のプロトコールに従い行った。この時、カラム平衡化に使用したバッファーと溶出バッファーにはトリスバッファーAを用いた。
EMSAに用いた蛍光標識オリゴヌクレオチド鎖を表16に示した(配列番号7にzntA-Pr-Sの配列を、配列番号8にzntA-Pr-Aの配列を示す)。なお、蛍光非標識のオリゴヌクレオチドは蛍光標識オリゴヌクレオチドと同じ塩基配列のもの作製した。また、プロモーターDNAとZntRタンパク質の結合反応組成を表17に示す。2本鎖DNAとする際は、相補的な2本の1本鎖DNA(100μM)を等量ずつPCRチューブにて混合し、95℃で1分間の熱処理を行った。熱処理の後は室温で1時間以上放置して2本鎖(50μM)の形成を促した。プロモーターDNAとZntRタンパク質との結合を促すために反応液を調製後、37℃で30分間のインキュベートを行った。反応液は表18に示すNative-PAGE用サンプルバッファーを加えて40μLとした。その後、表19に示した組成で作製したアクリルアミドゲルと表20に示すTBEバッファーを使用しNative-PAGEを行った。
用いたプロモーターDNAはEMSAで用いたものと同様に両末端にFITCとTAMRAを標識した2本鎖DNAである。プロモーターDNAはあらかじめFITCとTAMRAで標識した1本鎖DNAプローブを混合しEMSAにおいて用いた方法により処理することで2本鎖DNAを形成させた。重金属は、酢酸鉛(II);Pb(CH3COOH)2(以降Pbと表記)と硫酸亜鉛;ZnSO4(以降Znと表記)をそれぞれ10nMの濃度で調製した。比較対象として塩化ナトリウム;NaCl(以降Naと表記)、カルシウムイオン;CaCl2・2H2O(以降Caと表記)をそれぞれ10nM濃度で調製した。試料は1nM Pb、1nM Zn、1nM Na、1nM Ca、そしてEDTAを加えないトリスバッファーA(50mM Tris−Cl pH8.0、5mMジチオスレイトール)を加えたものの5条件を検討した。表21に示す組成で反応液を調製し暗条件下、37℃で30分間のインキュベートを行った。その後、反応溶液にEDTAを加えないトリスバッファーAを1mL加えて混合した後に表22に示す条件にて蛍光測定を行った。
ArsRタンパク質を融合させた、pAcGFP1プラスミド由来のGFPは励起波長475nm、蛍光波長505nmの緑色蛍光を発する蛍光タンパク質である。3つの異なる蛍光標識DNAプローブを、それぞれArsR−GFP融合タンパク質、亜ヒ酸ナトリウム;NaAsO2(以降、Asと表記)と混合することで反応溶液を調製した。用いた3つの蛍光標識DNAプローブを表23に示した。350nm、360nm、370nm、380nm、390nm、400nm、410nm、420nmの励起光を検討した結果、As非添加時とAs添加時にTAMRAとGFPの蛍光強度のピークに変化が生じた350nmと360nmの波長を用いた。励起波長と蛍光開始波長、蛍光終了波長を除く蛍光測定条件は表22に示す条件にて行った。全てのインキュベートは遮光条件下にて行った。表23に示すプライマー「ParsR-S3-5-TAMRA」と「Ec arsR prm ext prm」を組み合わせたPCRによりArsRタンパク質が結合する、ゲノムDNA上のプロモーター領域を中心とした350bpのDNA断片を増幅した(以下、ParsR-350プローブDNAと表記する)(配列番号9にParsR-S3の配列を、配列番号10にEc arsR prm ext prmの配列を、配列番号11にR773-50-Sの配列を、配列番号12にR773-50-Aの配列を示す)。
また、表23に示す、R773-50-S-5-TAMRAとR773-50-Aにより形成される2本鎖DNAはArsRタンパク質が結合する、R−773プラスミドDNA上のプロモーターDNAの50bpの塩基配列からなる(以下、R773−50プローブDNAと表記)。これら2つ蛍光標識DNAプローブは、80℃でインキュベートした後、室温でインキュベートし2本鎖DNAを形成させた。
ZntRタンパク質発現用大腸菌株の育種にはpET3aベクターを用いた。以前報告した組み換えZntRタンパク質にはN末端にHisタグが付いていたため、Hisタグを介した重金属との結合の可能性が否定できなかったため、Hisタグの付いていないZntRタンパク質を発現する大腸菌株を再度、育種した。まず、図27に示すpET16zntRを保持するJM109株を、Ampを加えたLB培地100mLに植菌し、37℃で一晩振とう培養した。翌日、菌体を回収した後にプラスミド抽出を行った。得られたプラスミド溶液を制限酵素NdeIとBamHIを用いて一晩、反応を行った。制限酵素反応液をアガロースゲル電気泳動により展開し、目的とするzntR遺伝子断片のバンドを切り出し精製した。これをインサートDNAとしpET3aベクターと16℃で一晩のインキュベートを行うことによりライゲーションを行った。ライゲーション反応液を用いて大腸菌JM109株の形質転換を行った。形質転換の後に選んだ5つコロニーをa、b、c、d、eとし、それぞれAmpを加えたLB培地5mLに植菌し、37℃で一晩振とう培養した。次に、それぞれの培養液を用いてプラスミド抽出を行った後にNdeI、BamHIを用いて37℃で1時間の制限酵素反応を行った。アガロースゲル電気泳動を行い、インサートの有無を確認した結果、bとcから抽出したプラスミドにてインサートが認められた。シーケンスの結果、cのサンプルが目的のpET3zntRであることが確認できたため、本プラスミドによりBL21(DE3)pLysSを形質転換した。これらの過程を経て、ZntRタンパク質発現用大腸菌株を育種した(図27)。
ZntRタンパク質発現用大腸菌をAmpとCmを加えたLB培地5mLで37℃にて一晩振とう培養し、種菌とした。AmpとCmを加えたLB培地5mLを新たに2つ用意し、それぞれに種菌を植菌し培養の途中で1つにIPTGを添加した。得られた培養液から10,000rpm、4℃の条件で5分間の遠心分離を行い、菌体を回収した。得られた菌体をトリスバッファーAに懸濁させ、超音波破砕機により菌体を破砕した。その後、12,000rpm、4℃の条件で10分間の遠心分離を行い、上清を回収した。これを、ZntRタンパク質粗抽出液として、SDS−PAGEによりZntRタンパク質の発現を確認した。この結果、IPTGを添加した方にのみ、ZntRタンパク質と見られるバンドが確認出来たため(図28の矢印の位置)、ZntRタンパク質の精製のために培地を250mLにスケールアップして培養を行うこととした。5mLの培養スケールの時と同様にして回収した菌体にトリスバッファーAを加えて溶解し超音波により破砕した。その後、遠心チューブに移し、12,000rpm、4℃の条件で10分間遠心分離を行い、デカンテーションによって上清を回収した。これをZntRタンパク質粗抽出液とする。
部分精製したZntRタンパク質の定量を行った結果、0.53mg/mLであった。ZntRタンパク質と各蛍光色素を標識したDNAからなるプローブDNAを用いてEMSAを行った。電気泳動用ゲルにロードした各試料の一覧を表26に示す。FITC標識したプローブDNAを用いた場合には、FITC標識の場合には青色励起光を照射しSCF515フィルター(ATTO社製)を通して、TAMRA標識の場合には緑色励起光を照射しR−60フィルター(ATTO社製)を通してそれぞれ撮影を行った(図32)。レーン1で認められるバンドは1本鎖DNA、レーン2と6で認められるバンドは2本鎖DNAのバンドと考えられる。ZntRタンパク質部分精製液を添加した試料ではさらに上にZntRタンパク質とプローブDNAの複合体のバンドと考えられるバンドのシフトが認められ、加えたタンパク質の液量の増加に伴いシフトしたバンドの量的増加が認められた。また、FITCあるいはTAMRAで標識したプローブDNAは緑色あるいは赤色の蛍光として検出可能であった。これらの結果から、調製した組み換えZntRタンパク質と用いたプローブDNAは特異的に結合し複合体を形成することが明らかとなった。
FITCとTAMRAで2重標識したプローブDNAとZntRタンパク質部分精製液を混合した反応液の蛍光スペクトルを測定した結果、PbあるいはZnの添加によりバッファーを添加したコントロールと比較し全体的に蛍光スペクトルが上方にシフトしただけであった。金属イオンであるNa、CaにおいてもPbとZnのときと同様の結果となった(図34)。
FRETを介したAs検出系を構築するためにヒ素に対するセンサータンパク質であるArsRタンパク質を組み換えタンパク質として調製することとした。組み換えArsRタンパク質を調製することができれば図26に示す原理で、かつArsRをGFPとの融合タンパク質という形でなくとも直接的に蛍光物質で標識可能であると考えられる。表28に示すarsR遺伝子断片増幅用プライマーE.coliArsR−S及びE.coilArsR−Aを大腸菌K12株のDNAシークエンスデータを基にして設計した(配列番号13に大腸菌ArsR−Sの配列を、配列番号14に大腸菌ArsR−Aの配列を示す)。大腸菌K12株のゲノムDNAを鋳型にプライマー大腸菌 ArsR−S及び大腸菌 ArsR-Aを用いてarsR遺伝子を、Pfx50TMDNA Polymeraseによるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅した。電気泳動にて増幅を確認した後、PCR反応液にTaKaRa LA TaqTM with GC Bufferを加えて3’末端へのdATPの付加反応を行った。この反応液を精製し、TAクローニングベクター、pGEM−T ベクターとライゲーションし、大腸菌JM109株を形質転換した(図35)。形質転換株よりpGEMarsRを抽出しXhoIとNdeIで消化して電気泳動によって挿入断片の確認を行った。pGEMarsRとpET16bをそれぞれXhoIとNdeIで処理し、pGEMarsRに関しては電気泳動後に目的とするarsR遺伝子断片(約360bp)のバンドを切り出して精製した。また、pET16bは反応液をそのまま精製してarsR遺伝子断片とライゲーションした。ライゲーション反応液を用いて大腸菌JM109株を形質転換した。arsR遺伝子のpET16bへの挿入の確認は形質転換株よりプラスミドを抽出し、XhoIとNdeIで処理した後電気泳動にてarsR遺伝子断片のバンドを確認することで行った。pET16arsR上のarsR遺伝子のシークエンスを行いGen Bankデータベースの大腸菌 K12株DNAシークエンスデータと比較することで、クローニングしたarsR遺伝子に変異がないことを確認した。しかし、pET16arsRから発現するArsRタンパク質にはHisタグが付いており、Hisタグを介して重金属と結合してしまう可能性が考えられたため、Hisタグを持たないpET3aベクターにarsR遺伝子断片を連結し直すことにした。pET16arsRとpET3aベクターをそれぞれBamHIとNdeIで処理し、pET16arsRに関しては電気泳動後に目的とするarsR遺伝子断片のバンドを切り出して精製した。arsR遺伝子断片をpET3aベクターと連結させ、pET3arsRを作製した。上記と同様にしてシークエンスを行い、Gen Bankの大腸菌 K12株DNAシークエンスデータと比較することでpET3arsR上のarsR遺伝子に、変異がないことを確認した。次にpET3arsRのプラスミド溶液を用いてタンパク質発現用株大腸菌BL21(DE3)pLysSを形質転換し、ArsRタンパク質発現用大腸菌株を育種した(図35)。
ArsRタンパク質発現用大腸菌株を培養後に超音波破砕することでArsRタンパク質粗抽出液を得た。このArsRタンパク質粗抽出液をSDS−PAGEによって展開することでArsRタンパク質の発現の確認を行った。しかし、IPTGの添加の有無に関わらずArsRタンパク質のバンドが予測された位置(約13kDa)にバンドが確認できなかった。IPTG添加時のタンパク質粗抽出液ではゲルの上部にバンドが密集しているため、ArsRタンパク質とDNAが結合している可能性が考えられた。そこでタンパク質と結合したDNAを除去する目的でタンパク質粗抽出液をDNaseI処理し、その後、再度SDS−PAGEによってArsRタンパク質のバンドの確認を行った。しかしながら、IPTGの添加の有無により予測される位置のバンドに差異は見られなかった。原因を特定していないが、組み換えArsRタンパク質を調製するには至らなかった。そこで、ArsRをGFPとの融合タンパク質という形で調製することにより蛍光標識することにした。
arsR遺伝子断片のクローニングのために表29に示す、arsR遺伝子増幅用プライマーEc-arsR-pAcGFP-S(配列番号15)及びEc-arsR-pAcGFP-A(配列番号16)を大腸菌K12株のDNAシークエンスデータを基にして設計した。また、それぞれのプライマーにはクローニングの際に必要となる制限酵素サイトを付けた。まず、大腸菌K12株のゲノムDNAを鋳型にプライマーEc-arsR-pAcGFP-S及びEc-arsR-pAcGFP-Aを用いてarsR遺伝子断片をPCRで増幅した(図36)。電気泳動にて増幅を確認した後のarsR遺伝子断片とpAcGFP1ベクターをそれぞれHindIIIとPstIで処理し、pAcGFP1に関しては電気泳動後に目的とするベクター部位(約3.3kb)のバンドを切り出して精製した。また、arsR遺伝子断片は反応液をそのまま精製した。両DNA断片をライゲーションし、得られたpAcGFParsRで大腸菌JM109株を形質転換した。arsR遺伝子の挿入の確認は形質転換株よりpAcGFParsRを抽出し、HindIIIとPstIで消化した後、アガロースゲル電気泳動にてarsR遺伝子断片(約360bp)のバンドを確認することで行った。pAcGFParsR上のシークエンスを行い、Gen Bankの大腸菌K12株のarsRのDNAシークエンスデータとの比較によりpAcGFParsR上のarsR遺伝子に変異がないことを確認した。
ArsR−GFP融合タンパク質発現用大腸菌株を培養し菌体を破砕することでArsR−GFP融合タンパク質粗抽出液を得た。このArsR−GFP融合タンパク質粗抽出液をSDS−PAGEによって展開することでArsR−GFP融合タンパク質の発現の確認を行った。その結果、ArsR−GFP融合タンパク質の予測される位置(約47kDa)にバンドが確認された(図37の矢印の位置)。しかしながら、発現量が低いため目的タンパク質をアフィニティークロマトグラフィーにて部分精製し、夾雑タンパク質に対する比率を高めることとした。
ArsR−GFP融合タンパク質粗抽出液に対して硫酸アンモニウム沈殿を行いバッファーに再溶解後、ゲルろ過による脱塩を行った。その後、アフィニティークロマトグラフィーによる精製を行い回収した40本のフラクションのA280とGFPの蛍光(520nm)を測定した。その結果、フラクション19と20を中心にA280と蛍光値のピークが認められ(図38)、ArsR−GFP融合タンパク質は主としてこれらのフラクションに存在することが明らかとなった。フラクション19と20についてSDS−PAGEによりタンパク質を確認したところ、ArsR−GFP融合タンパク質と考えられるバンドが確認できた(図39、矢印の位置)。
図26に示す原理により、ヒ素化合物(As)の存在がFRETを介して蛍光スペクトルに変化をもたらすか否かの検討を行った。ArsR−GFP融合タンパク質の部分精製液とTAMRAで標識したParsR−350を混合しAs存在下そして非存在下において励起光350nmと360nmにて蛍光スペクトルを測定した結果を図42に示す。いずれの励起光においても、580nm近辺のTAMRAの蛍光ピークにおいてわずかながらAs非添加時よりも添加時に蛍光強度の減少が認められた。また、510nm近辺のGFPの蛍光ピークにおいては、わずかながらAs非添加時よりも添加時にピークの増加が認められた。この傾向は、図26で示す検出原理から予測される蛍光スペクトルの変化と一致する。つまり、As非添加時にはタンパク質とDNAの複合体形成によりTAMRAとGFPの距離が短くなりGFPの蛍光がTAMRAの励起光として吸収され易くなった結果TAMRAの蛍光が増加し、逆にAs添加時にはタンパク質とDNAの解離によりTAMRAとGFPの距離が離れTAMRAにより吸収されるGFPの蛍光の割合が減少した結果GFPの蛍光が増加したと考えられる。しかしながら、TAMRAとGFPの蛍光強度の比率においてAs添加による顕著な変化が認められなかったため、DNA鎖の長さを350bpから50bpへと短くした、ParsR−50あるいはR773−50プローブDNAを用いてAsの検出試験を行った。その結果、いずれの励起光そしてプローブDNAにおいても、As添加によりParsR−350プローブDNAを使用した場合と同様のスペクトル変化が認められた(図43、図44)。また、580nm近辺のTAMRAの蛍光においてはAs添加によりParsR−350プローブDNAを使用した場合より減少が見られた。しかしながら、いずれのプローブDNAにおいてもGFPの蛍光強度においてはAs添加により増加傾向は認められなかった。ParsR−50とR773−50プローブDNA間の比較においては、TAMRAの蛍光においてはAs添加によりParsR−50プローブDNAを使用した場合が、より減少幅が大きかった。
調製した2つの組み換えタンパク質、ZntRあるいはArsR−GFPを用いたPbあるいはAsの検出試験の結果をそれぞれ以下に要約した。
プロモーターDNAをFITCとTAMRAで2重標識した、プローブDNAとZntRタンパク質を用いた試験においてはPbの添加によりFITCとTAMRAの蛍光強度の比率において変化は認められなかった。ゲルシフト法による解析結果から、調製したZntRタンパク質とプローブDNAはZntR−プロモーターDNA複合体を形成することが確認された。したがって、形成された複合体の、Pb添加による高次構造変化がFRETにおけるエネルギー移動の変化を引き起こすには小さ過ぎた可能性が考えられる。ZntR−プロモーターDNA複合体の高次構造の変化を、FRETを介して外部提示するのは困難であった。
Claims (5)
- 以下の(A)及び(B)の工程を含むことを特徴とする、被検試料中のヒ素(As)化合物、カドミウム(Cd)化合物及び鉛(Pb)化合物から選択される重金属化合物を水系で検出又は定量する方法。
(A)前記の重金属化合物に特異的に結合する、GFPで標識されている、ArsRタンパク質又はCadCタンパク質であるセンサータンパク質と、該センサータンパク質によって特異的に認識される配列を含む、支持体に固相化された核酸とを、被検試料の存在下、前記センサータンパク質がArsRタンパク質のときは50mM以上のリン酸緩衝液(pH7.4)中で、前記センサータンパク質がCadCタンパク質のときは40mM以上の塩化ナトリウム溶液中でそれぞれ反応させる工程
(B)固相化された核酸に結合した前記センサータンパク質を検出又は測定する工程 - センサータンパク質が、検出可能なマーカータンパク質との融合タンパク質であることを特徴とする請求項1記載の方法。
- センサータンパク質と核酸との結合が、重金属化合物により阻害されることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
- あらかじめ5価のヒ素(As(V))化合物を還元処理して3価のヒ素(As(III))
化合物に変換することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の方法。 - ヒ素(As)化合物、カドミウム(Cd)化合物及び鉛(Pb)化合物から選択される重金属化合物に特異的に結合する、GFPで標識されている、ArsRタンパク質又はCadCタンパク質であるセンサータンパク質と、該センサータンパク質によって特異的に認識される配列を含む、支持体に固相化された核酸と、前記センサータンパク質がArsRタンパク質のときは50mM以上のリン酸緩衝液(pH7.4)、前記センサータンパク質がCadCタンパク質のときは40mM以上の塩化ナトリウム溶液とを備えたことを特徴とする、被検試料中の重金属化合物の検出又は定量用キット。
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