JP5802189B2 - 固体電解質材料およびこれを用いた金属−空気全固体二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は固体電解質材料およびこれを用いた全固体二次電池に関するものである。
二次電池の中で、現在最もエネルギー密度(電池質量に対する放電可能な電力量)が高いと考えられているのはリチウムイオン電池であるが、リチウムイオン電池のエネルギー密度を超える二次電池の一つとして、金属−空気二次電池が注目されている。金属−空気二次電池は、正極の反応物質が空気中の酸素であり、負極が金属である。この金属−空気二次電池の最大の特徴は、正極で大気中の酸素を活用しているため正極の反応物質の質量を理論上ゼロにできる点にある。電池の質量は、正・負電極での反応物質の重さと、反応を仲介する電解質の重さが大部分を占めるため、片方の電極の反応物質をゼロにできる金属−空気二次電池は、エネルギー密度を飛躍的に向上できる可能性がある。
従来、金属−空気電池は、炭素粉末などの導電材と酸素還元触媒とを組み合わせた空気極を正極とし、亜鉛、アルミニウム、鉄、水素などを負極とし、電解質としては例えばアルカリ性水溶液のような液体を備えるものであった。一般に、アルカリ性水溶液のような水溶液電解質は、アルカリ性が強いため腐食による液漏れを封止する必要があり、持ち運びの点で課題がある。また、水溶液を用いるためにエネルギー密度の向上には限界がある。例えば特許文献1には、イオン液体を用いた電池が提案されているが、制御が難しいとともに、上述の通り液体であるために液漏れ等の課題は解決されていない。これに対して、近年、有機溶媒電解液や有機高分子ゲル電解質を用いた電池もあるが、これらの電解質は揮発性や可燃性であるため、未使用状態での長期保存によって電解液が枯渇したり劣化したりする可能性がある。また電池が破損した場合には、可燃性成分により爆発的な破壊を生じる危険性もある。
よって、電解質を非有機物で形成することが望まれている。近年では、層状構造を有する無機複合酸化物の粘土鉱物、特にハイドロタルサイトを用いたヒドロゲル電解質が、水溶性電解液の場合と同様の電気化学特性を有するため、全固体型二次電池用の電解質として提案されている(例えば特許文献2)。この技術は、層間に単に水溶液を保持するのでなく、アルカリ水溶液電解質を用いてゲル化しても層状構造の壊れない無機ヒドロゲル電解質とすることにより、電気化学特性の良い全固体アルカリ二次電池用無機電解質を得るものである。しかし、上記特許文献2の技術のヒドロゲル電解質は、ハイドロタルサイトに対するKOHのモル比が17から30と多いため、イオン伝導性は高いが、電解質が空気中の水分を吸収するため、アルカリ水溶液の漏洩が懸念される。
特開2008−293678号公報 特開2007−227032号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、イオン伝導性が高くかつ安定的な金属−空気全固体二次電池を得るべく、該金属−空気全固体二次電池の固体電解質の主成分を非有機物で形成することを目的とする。
上記課題を解決し得た本発明の固体電解質材料は、キセロゲル状のハイドロタルサイトを用いた固体電解質材料であって、該ハイドロタルサイトの層間アニオンである炭酸イオンの少なくとも一部が、水酸化物イオンに置換されている点に特徴を有する。
前記固体電解質材料は、前記ハイドロタルサイトと、アルカリ金属水酸化物とが複合体を形成したものであることが好ましい。
また本発明には、炭素と酸素還元触媒を含む空気極と、金属(好ましくは鉄)を含む金属極と、第1の固体電解質とを備えた金属−空気全固体二次電池であって、前記第1の固体電解質が、前記固体電解質材料からなる点に特徴を有する金属−空気全固体二次電池も含まれる。
本発明に係る固体電解質によれば、キセロゲル状の層状水酸化物(LDH)であるハイドロタルサイト[Mg2+ 1-xAl3+ x(OH)2]An- x/n・mH2Oを用いた電解質材料であって、層間アニオンである炭酸イオンの少なくとも一部が水酸化物イオンに置換されていることから、室温であっても十分な伝導性(例えば10-3S/cm程度)を発揮することができる。上記の通り、特にゲルを乾燥させたキセロ(ドライ)ゲル状のハイドロタルサイトを用いるため耐水性に優れている。また、この固体電解質は、例えば金属−空気全固体二次電池に有用であり、本発明の固体電解質を用いた金属−空気全固体二次電池は、充電−放電が可能であり、二次電池として十分に作動させることができる。
図1は、後記する実施例におけるKOH/LDH複合体(固体電解質材料)の作製手順を示した図である。 図2は、後記する実施例における、KOH/LDH複合体の温度と交流導電率の関係を、LDHに対する水酸化カリウムのモル比x別に示した図である。 図3は、後記する実施例において作製した円柱状電池の構成を示す概略図である。 図4は、後記する実施例において作製した電池(金属極は鉄のみからなる)の電流−電圧曲線を、LDHに対する水酸化カリウムのモル比x別に示したグラフである。 図5は、後記する実施例におけるKOH/LDH複合体のXRD測定結果である。 図6は、後記する実施例において作製した電池の電流−電圧曲線を示した図であり、(a)は金属極が鉄のみからなり、(b)は金属極を、純鉄粉、電解質粉末、およびカーボン粉末の混合粉末を用いて作製した(コンポジット電極とした)例である。
本発明者らは、有機固体電解質に代わる新たな固体の電解質について検討した。その結果、層状水酸化物(LDH)であるハイドロタルサイト[Mg2+ 1-xAl3+ x(OH)2]An- x/n・mH2Oで構成されるキセロゲルを用いた電解質材料であって、該ハイドロタルサイトの層間アニオンである炭酸イオンの少なくとも一部が、水酸化物イオンに置換されたものが、水酸化物イオンを高度に伝導でき、電解質材料として有用であることが明らかとなり、非有機(無機)固体電解質を実現するに至った。
前記電解質材料として、ハイドロタルサイトがアルカリ金属水酸化物と複合体を形成したものであれば、上記複合体を構成するアルカリ金属水酸化物の少なくとも一部の解離により生じた水酸化物イオンが、ハイドロタルサイトの層間アニオンである炭酸イオンの少なくとも一部と、置換されて、上記本発明の電解質材料が得られる。
上記ハイドロタルサイトのキセロゲルを用いれば、アルカリ金属水酸化物等の塩基性水酸化物の存在下、すなわち強アルカリ性の環境下でも安定なゲル化物が得られる。
なお、前記のゲル化物は、水酸化物イオンがインターカレーションしていれば良く、層間アニオンとして、他のイオン(例えば炭酸イオン)などが結合または残留していても良い。
本発明の電解質材料は、後記に詳述する通り、ハイドロタルサイト(粉末)とアルカリ金属水酸化物(溶液)とを混合、撹拌してゲル化物(中間ゲル化物)を生成し、このゲル化物を乾燥することで得られる。
前記アルカリ金属水酸化物としては、水酸化物イオンを遊離し得る化合物を使用できる。この様なアルカリ金属水酸化物を使用することで、上述の通り、上記ハイドロタルサイトの層間アニオンである炭酸イオンの少なくとも一部が水酸化物イオンに置換される。その結果、この水酸化物イオン(OH-イオン)が固体電解質内を移動可能となり、電解質の伝導性を高めることができる。前記アルカリ金属水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが好ましく、特に水酸化カリウムが好ましい。
アルカリ金属水酸化物として水酸化カリウム(KOH)を用いた場合、ハイドロタルサイト(LDH)に対するKOHのモル比(x)は1以上とすることが好ましく、より好ましい値は2程度である。
本発明の電解質材料は、ハイドロタルサイト粉末を出発原料として、該粉末とKOHなどのアルカリ金属水酸化物溶液とを、室温または50℃程度(例えば40〜80℃)で撹拌し、得られたゲル化物を60℃程度の温度で乾燥させることで得ることができる。前記電解質材料の製造方法としては、例えば共沈法を用いることができる。
中間ゲル化物が生成する限り、上記放置の温度条件等は特に限定されないが、例えば40〜80℃程度で保持する場合には、生成完了までに通常1〜2日間程度を要する。
中間ゲル化物を乾燥処理することで、本発明の固体電解質材料(最終ゲル化物)を得ることができる。乾燥(熱処理)温度は、アルカリ金属水酸化を用いる場合、60〜80℃程度とすれば、得られるゲル粉末の結晶性を高めることができ、室温付近でも高い導電率を確保できる。
上記固体電解質材料の用途は特に限定されず、金属−空気二次電池、ニッケル水素電池、またはニッケルカドミウム電池などに用いることができる。特には、空気極と、金属を含む金属極を備える上記金属−空気全固体二次電池に用いるのが好ましい。
前記金属−空気全固体二次電池の態様(態様A)として、炭素と酸素還元触媒を含む空気極と、金属を含む金属極と、第1の固体電解質とを備えた、金属−空気全固体二次電池であって、前記第1の固体電解質が、本発明の固体電解質材料であるものが好ましい。具体的態様として、前記固体電解質(第1の固体電解質)の一方側に、炭素と酸素還元触媒を含む空気極(好ましくは触媒付きカーボン層)が設けられ、他方側に、金属を含む金属極が設けられたものが挙げられる。
前記金属−空気全固体二次電池の別の態様(態様B)として、炭素と酸素還元触媒を含む空気極と、金属と導体と第2の固体電解質とを含む金属極と、第1の固体電解質とを備えた、金属−空気全固体二次電池であって、前記第1と第2の固体電解質が同一又は異なって、本発明の電解質材料である金属−空気全固体二次電池が好ましい態様として挙げられる。具体的には、前記空気極、第1の固体電解質、金属極がこの順に備えられ、前記金属極が、金属と導体と第2の固体電解質とを含むもの(例えば、下記に示す通り、第2の固体電解質の各粒子表面に金属が直接かつ部分的に形成され、かつ該金属の形成された第2の固体電解質と導体との混合体)が挙げられる。
上記電池における第1と第2の固体電解質層の厚み(第2の固体電解質の場合、金属極(負極)を構成する固体電解質層の厚みをいう)は、水酸化物イオンを伝導するという作用を十分に発揮させ、短絡を防ぐために0.1mm程度が好ましい。一方、固体電解質層の厚みが厚くなりすぎると、実抵抗(電池内部抵抗)が大きくなり、電流を取り出せなくなるという不具合が生じる。そこで固体電解質層の厚みは0.3mm以下とすることが好ましい。
次に、金属極について詳述する。前記金属極は、金属−空気全固体二次電池の負極として作用するものであり、用いる金属をMとすると、下記(1)式の反応が生じている。
M + x(OH-) → M(OH)x + xe- …(1)
前記金属極に用いられる金属として、亜鉛、アルミニウム、リチウム、鉄、マグネシウム等が挙げられるが、その中でも、鉄、アルミニウム、マグネシウムが好ましい。マグネシウムは、リチウムなどとは異なり豊富に存在する元素であり、電池の電圧の向上が期待できる。また、前記鉄とは、鉄合金や鉄含有物質も含む意味である。鉄は、酸化還元電位の絶対値は比較的小さいが、そのイオン化物(鉄イオン)が移動しないため、繰返し充放電しても金属極が安定するという利点を有する。前記金属は、充電−放電状態により、その一部または全部が、金属(例えばFe)または金属酸化物(例えばFe23)の状態をとる。
上記電池における金属極の厚みは、例えば1nm以上であり、負極として十分に作用させるには0.1mm以上が好ましい。一方、金属極の厚みが厚くなりすぎると、電解質との良好な接触が困難となり有効に負極材料が利用できない、または素子の軽量・薄肉化が難しくなるという不具合が生じる。よって金属極の厚みは、3mm以下とすることが好ましく、より好ましくは1mm以下、さらに好ましくは100μm未満である。
金属極は、金属箔であっても良いし、例えば平均粒径が0.01〜10μm(より好ましくは平均粒径が0.1〜5μm)である金属粉と金属ウール(例えば繊維径が10〜60μm)をペレット状に成形したものから構成されていても良い。
金属極は、上記態様Bに示す通り、前記金属の他に、導体(例えばカーボン、カーボン合金、炭化物など)と、本発明の固体電解質材料(第2の固体電解質)とを含んだもの(以下「混合体」ということがある)が好ましい(特には、上記金属、導体および本発明の固体電解質材料からなる混合体が好ましい)。
上記の通り金属極に導体が含まれることによって、金属極の金属が不動態化することによる電池のセル抵抗の上昇を軽減できる。特に前記金属が鉄、アルミニウム(特に鉄)である場合にその効果が顕著に発揮される。また、金属極に固体電解質(第2の固体電解質)が含まれることにより、金属の酸化によって生成する電子や、水酸化物イオンからの電子の授受を効率的に行うことができる。
金属極が、金属と導体と第2の固体電解質とを含む場合、これらの相互の位置関係及び濃度分布は特に限定されない。位置関係については、例えば金属と導体と第2の固体電解質の全てが混合された状態でも良いし、任意の順番で層状に並んでいても良い。前記混合された状態は、金属、導体および第2の固体電解質のいずれもが粉末であって、これらの混合粉末(混合方法は、一般的な方法を採用できる)を用いて形成したり、下記に示す通り、粉末状固体電解質に金属が部分的または連続的にコーティングされたものを用いたり、導体に金属が担持されたものを用いて形成してもよい。また濃度分布については、金属、導体、第2の固体電解質のそれぞれについて金属極中で均一であっても良いし、不均一であっても良い。
金属極として前記混合体を用いる場合、金属に対する導体の割合(導体/金属)は、質量比で0.03/1〜0.3/1程度であり、金属に対する固体電解質の割合(固体電解質/金属)は、質量比で1/1〜10/1程度である。
金属極における金属元素の含有割合は、例えば15原子%以上であり、好ましくは20原子%以上、より好ましくは30原子%以上であり、100原子%であっても良い。
また金属極は、固体電解質(上記態様Aにおける第1の固体電解質、上記態様B(即ち、第1及び第2の固体電解質を含む場合)における第2の固体電解質)の表面に直接形成されることも好ましい。固体電解質を用いた電池では、電極材料と電解質材料との界面部分の抵抗が大きく、特性を悪化させることが知られている。また、電池材料に粉末状の物質を用いた場合、電池は、それぞれのエレメント(電極材料、電解質材料)を混合し、圧力を加えて形成するが、該方法ではエレメント同士の接触が十分ではなく、電池の特性が十分に発揮できない恐れがある。よって金属極を、固体電解質材料表面に直接接触するように形成することで、金属極と電解質との間の抵抗を下げて特性を向上できる。
前記直接形成する態様には、金属が第2の固体電解質の表面に、部分的に形成される場合と、連続的に形成される場合とがある。
好ましくは、金属が第2の固体電解質の各粒子表面に直接かつ部分的に(不連続に)形成された態様である。金属極が、上記表面に直接かつ部分的に金属の形成された第2の固体電解質(粒子)と、導体粉末(例えばカーボンを主成分とする導体粉末)との混合体であり、この金属極と、第1の固体電解質(金属は形成されていない)と、空気極とがこの順に備えられた電池が好ましい。この様な構成の電池であれば、空気極側から導入された水酸化物イオンが、金属の不連続部分から進入して該金属(例えば鉄)と反応し、導電体に電子を効率よく受け渡すことが可能となり、利用効率の高い電池が実現できる。
金属が第2の固体電解質の各粒子表面に直接かつ部分的に形成される場合、固体電解質の各粒子表面の金属の被覆率は50%以上であることが好ましい。またこの場合、固体電解質の各粒子表面に形成する金属の厚さは、1nm以上が好ましい。金属の厚さが薄すぎると、金属が固体電解質の凹凸部分に入って金属表面への金属、固体電解質、炭素との接触ができず、電気が流れない。一方、上記金属の厚さが厚すぎると、反応に寄与しない金属の割合が増え、効率が低下する。金属の厚さの上限は、固体電解質(例えば粉末)の形状がほぼ金属付着前の状態を保っていれば良く、例えば固体電解質粉末の粒径の1/10程度であり、通常は1μm以下である。
金属が固体電解質の各粒子表面に部分的に形成されている上記態様には、金属が凝集して形成されているような場合も含み、部分的に形成されている場合の金属の厚さとは、連続膜に換算した膜厚を意味する。
一方、金属を固体電解質材料表面に直接かつ連続的に形成する場合には、該金属の厚みは、1nm以上、100μm未満であることが好ましく(より好ましくは3nm以上、1μm以下)、かつ金属極中のFe濃度が30原子%以上であることが好ましい。金属の厚みが1nm未満となると、固体電解質上の金属極の被覆性が極端に低下するため、電極層としての性能が十分に発揮できない。一方、金属の厚みが100μm以上となると、金属極自体の質量が電池質量の増加を招き、単位質量当たりの充電効率が低くなるため好ましくない。また、金属極中のFe濃度を30原子%以上とすれば、電池の単位重量当たりの放電容量が大きくすることができるため好ましい。尚、上記Fe濃度は、TEMのEDX分析の半定量分析の分析値から算出できる。
前記固体電解質材料表面に金属極を直接形成する方法として、例えばPVD法(例えばスパッタリング法、真空蒸着法)が挙げられる。
前記混合体において、前記導体と前記金属の形成された第2の固体電解質との混合比は、前記金属の形成された第2の固体電解質の割合が、空気極側に近づくにつれて多くなるようにすると、金属極の電子の取出しがスムーズに行われるので好ましい。
また金属極が、金属と導体と第2の固体電解質とを含む態様において、金属を導体に担持させることも好ましい。金属を導体に担持させることで、ナノサイズの金属を形成することができ、反応に寄与する表面積を増やすことができる。特には、前記金属が鉄、前記導体がカーボンであり、且つカーボンに鉄が担持されていることが好ましい。
次に本発明の金属−空気全固体二次電池における空気極について詳述する。該空気極は、金属−空気全固体二次電池の正極として作用するものであり、下記(2)式の反応が生じている。
2 + H2O + 4e- → 4OH- …(2)
本発明における空気極は、炭素と酸素還元触媒を含むものである。例えば空気極として触媒付きカーボン層を用いることができる。前記触媒は、酸素の還元反応を促進できるものであればよく、例えばPtやMnO2などが挙げられる。前記カーボン層の形態は、炭素粉末の圧粉体であっても良いし、カーボンペーパーなどを用いても良い。
上記空気極を正極として十分に機能させるため、空気極の厚みは0.05mm以上が好ましく、より好ましくは0.1mm以上である。一方、空気極(例えば、触媒付きカーボン層)の厚みが厚くなりすぎると、電解質/触媒/空気の三相界面を効率良く形成することが困難となる。よって、空気極(正極)の厚みは0.3mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0.2mm以下である。
金属−空気全固体二次電池は、上記の固体電解質層の一方側に炭素と酸素還元触媒を含む空気極、他方側に金属を含む金属極を積層し、室温〜500℃、500MPa以下、1〜100分の条件下でプレスすることによって製造することができる。また、固体電解質層と空気極、また固体電解質層と金属極は、これらの間に密着性を向上させるためのプライマー層を設けても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
固体電解質材料の作製は、図1に示す手順で行った。まず、層状水酸化物であるハイドロタルサイト(以下、「LDH」という場合がある)粉末と水酸化カリウム水溶液との混合液を室温で30分間撹拌して、ゲル化物(中間ゲル化物)を得た。前記LDHに対する水酸化カリウムのモル比(x)は、0,0.5,1,1.5,2とした。上記ゲル化物(中間ゲル化物)を60℃で2日間放置し、固体電解質材料として、水酸化カリウムとハイドロタルサイトの複合体(以下、「KOH/LDH複合体」という)の粉末を形成した。
得られたKOH/LDH複合体のイオン導電率(交流導電率)は、次の様にして測定した。即ち、金型(島津製作所、KBr錠剤成形器)を用い、前記KOH/LDH複合体粉末を、カーボンペーパー(直径13mm、厚み0.2mm程度)で挟んだ状態で、5MPa、10minの条件下で圧着させることにより、ペレット状(直径13mm、厚み0.4〜0.8mm)、かつ電極の接合された試料を得た。この試料を用い、電気化学測定システム(SI 1260、Solartron社)、および専用のソフトウェア(Z−plot)を用い、KOH/LDH複合体の30〜80℃の種々の温度でのイオン導電率(交流導電率)を測定した。その結果を図2に示す。
図2は、LDHに対する水酸化カリウムのモル比xを0、0.5、1、1.5、2と変化させたときの、KOH/LDH複合体の交流導電率を示したグラフである(なお、縦軸は交流導電率の常用対数で表す)。この図2より、LDHに対する水酸化カリウムのモル比(x)が1以上で良好な伝導性が得られることが分かった。即ち、図2によれば、水酸化カリウムを含む本発明の固体電解質材料を電極に用いた場合、室温付近でも10-3S/cm程度の高い導電率を達成できることが分かった。
[実施例2]
実施例1で得られた固体電解質材料を用い、金属−空気全固体二次電池を作製した。
金属極には、スポンジ状鉄0.2g(和光純薬工業株式会社製、鉄粉の平均粒径:1〜5μm)を使用した。空気極には、触媒付きカーボン層として、ケミックス社製のカーボンペーパーに触媒として、MnO2(5〜10mg/cm2)を担持させたものをそれぞれ用意した。そして図3に概略的に示す通り、スポンジ状鉄3、LDHに対する水酸化カリウムのモル比(x)が種々のKOH/LDH複合体粉末2、触媒付きカーボンペーパー1を順に積層し、室温、200MPaで3分間プレスして直径(φ)13mmの円柱状電池を作製した。該電池における各層の厚みは、金属極(スポンジ状鉄を使用):0.2mm、固体電解質(KOH/LDH複合体粉末を使用):0.3mm、空気極(触媒付きカーボンペーパーを使用):0.1mmとした。
前記モル比xが種々の各電池について、高性能ポテンショスタット/ガルバノスタット(Solartron、SI 1287、DC分極電圧:±14.5V(±14.5Vに対しての分解能100μV)、電流:±2A(分解能100pA)、測定分解能(装置の解析理論限界)[電流分解能:1pA、電圧分解能:1μV])、および周波数応答アナライザ(Solartron、1252A、周波数範囲:10kHz〜300kHz、交流振幅:0〜3Vrms、交流振幅分解能:5mV)を用いて、セル電圧と電流密度を測定した。その結果を図4に示す。
図4によれば、KOH/LDH複合体の、LDHに対する水酸化カリウムのモル比(x)が2のときに、最も大きな電流が得られることが分かった。
[実施例3]
実施例1と同様の方法で、LDHに対する水酸化カリウムのモル比(x)が種々のKOH/LDH複合体粉末を形成した。そして該粉末を用い、KOH/LDH複合体の構造をXRD(X線回折)で解析した。その結果を図5に示す。
図5に示されたX線回折スペクトルから、本発明のKOH/LDH複合体では、KOHが単体で存在しておらず、KOHがK+とOH-に解離し、LDHの層間もしくは表面にイオンの状態で分散、複合化されていることがわかった。
[実施例4]
実施例1の電解質(LDHに対する水酸化カリウムのモル比x=2)を用い、金属極の種類を変えて二次電池の評価を行った。
金属極に、スポンジ状鉄を使用した試料(電池a)は、実施例2の通り作製した。また、別の試料(電池b)として、金属極に、純鉄粉、電解質粉末およびカーボン粉末(混合割合は、質量比で、純鉄粉:電解質粉末(KOH/LDH複合体粉末):カーボン粉末=1:1〜10:0.03〜0.24)からなる混合粉末を用いた(金属極をコンポジット電極とした)こと以外は実施例2と同様にして、金属−空気全固体二次電池を作製した。
そして、各電池を、実施例2と同様に高性能ポテンショスタット/ガルバノスタットを用いて測定し、電圧と電流密度の関係を調べた。その結果を図6に示す。
図6より次のことがわかる。金属極に前記混合粉末を用いた電池b(図6中の(b))は、金属極に鉄のみを用いた電池a(図6中の(a))に比べて高い性能を示した。金属極にカーボンを含有させることによって、電子伝導パスが形成され、鉄の不動態化によるセル抵抗の上昇が軽減されたため、性能が向上したと考えられる。また、充放電試験も行った結果、金属極に前記混合粉末を用いた電池は、充放電も可能であることが分かった。
1 触媒付きカーボンペーパー
2 KOH/LDH複合体粉末
3 スポンジ状鉄

Claims (4)

  1. イドロタルサイトを含むキセロゲル状の固体電解質材料であって、該ハイドロタルサイトの層間アニオンである炭酸イオンの少なくとも一部が、水酸化物イオンに置換されていることを特徴とする固体電解質材料。
  2. 前記ハイドロタルサイトと、アルカリ金属水酸化物とが複合体を形成したものである請求項1に記載の固体電解質材料。
  3. 炭素と酸素還元触媒を含む空気極と、金属を含む金属極と、第1の固体電解質とを備えた金属−空気全固体二次電池であって、
    前記第1の固体電解質が、請求項1または2に記載の固体電解質材料からなることを特徴とする金属−空気全固体二次電池。
  4. 前記金属極に含まれる金属は鉄である請求項3に記載の金属−空気全固体二次電池。
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