JP5800789B2 - 背負バンドの取付構造 - Google Patents

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本発明は、背負式作業機の作業機本体部を作業者が背負うための背負バンドの取付構造に関する。
従来、液体ポンプや液体タンクを含む作業機本体部を作業者が背負って作業を行う背負式作業機が知られている。このような背負式作業機の作業機本体部には一対の背負バンドが取り付けられ、作業者は各々の背負バンドを両肩にかけるようにして作業機本体部を背負う。背負バンドを作業機本体部に取り付ける一般的構造としては、背負バンドのバンド部の両端部に連結された所謂ナスカンのフック部を、作業機本体部の上部及び底部にそれぞれ設けられたフランジの孔に係合させる構造が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−118674号公報
このように、特許文献1に記載の背負式作業機では、背負バンドの取付部であるフランジが作業機本体部の底部に設けられているが、当該フランジに取り付けられたフック部の動作が特に制限されていないため、フック部の動きによっては、背負バンドの一部が作業機本体部の下方に潜り込み、作業者が作業機本体部を背負いにくいという問題がある。また、作業者が作業機本体部を背負っている状態から作業機本体部を床面に置く際に、フック部の向きによっては、フック部が作業機本体部と床面との間に挟まってしまい、この結果、作業機本体部の配置状態が不安定になり、作業機本体部が倒れるおそれがある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、背負バンドの一部が作業機本体の下に潜り込んでしまうことを防止することができると共に作業機本体を背負いやすく、且つ設置が安定する背負バンドの取付構造を提供することを目的とする。
本発明による背負バンドの取付構造は、背負式作業機(100)の作業機本体部(1)を作業者が背負うための背負バンド(3)の下端部を装着する背負バンド(3)の取付構造であって、作業機本体部(1)の側面に突出するように設けられ、前後方向に貫通した貫通孔(10)を有する第一の支持部(8)と、背負バンド(3)の下端部を構成し、バンド部(11)の端部に連結されると共に貫通孔(10)に通されて係合する環状連結部(12)と、貫通孔(10)の下の位置で第一の支持部(8)と直交するように配置されると共に、環状連結部(12)が貫通孔(10)に通された状態で、環状連結部(12)が当接する支持面(9a)を有する第二の支持部(9)と、を備え、貫通孔(10)の前側(10a)の高さ方向の長さは、貫通孔(10)の後側(10b)の高さ方向の長さと比較して大きいことを特徴とする。
このような背負バンド(3)の取付構造によれば、環状連結部(12)が作業機本体部(1)の側面に設けられた第一の支持部(8)のその貫通孔(10)に通されており、作業機本体部(1)が例えば床面等の設置面に置かれた状態で、環状連結部(12)が第二の支持部(9)の支持面(9a)に当接し支持されるので、環状連結部(12)の下方への回動が制限される。これにより、背負バンド(3)の一部が作業機本体部(1)の下方に潜り込むことはなくなり、背負バンド(3)の汚れ等が防止されると共に背負バンド(3)を背負いやすい姿勢に保つことが可能となり、且つ設置が安定する。また、貫通孔(10)の前側(10a)の高さ方向の長さは、貫通孔(10)の後側(10b)の高さ方向の長さと比較して大きいので、環状連結部(12)の上方への動作の自由度を高めることができ、容易に作業機本体部を背負うことができる。
ここで、貫通孔(10)の左右方向の幅長は、一定であることが好ましい。これによれば、貫通孔(10)の左右方向の幅長が、一定であるので、環状連結部(12)が横ブレすることを防止することができる。
また、作業機本体部(1)は、液体を収容するタンク部(5)を備え、タンク部(5)は、液体を排出する排液口(15)を有し、第一の支持部(8)及び第二の支持部(9)は、排液口(15)より上に設けられていることが好ましい。これによれば、第一の支持部(8)及び第二の支持部(9)が液体の排液口(15)より上に配置されるので、例えば、排液作業時に背負バンド(3)が排液により汚れることを確実に防止することができる。
本発明によれば、背負バンドの一部が作業機本体の下に潜り込んでしまうことを防止することができると共に作業機本体を背負いやすく、且つ設置が安定する背負バンドの取付構造を提供することができる。
本発明の背負バンドの取付構造が適用された背負式作業機の前方斜視図である。 背負バンドの取付構造を示す側方斜視図であり、背負バンドを取り外した状態を示す図である。 図2の一部を破断した側方斜視図である。 背負バンドの取付構造を示す断面図であり、背負バンドを装着した状態を示す図である。 図4の平面図である。 ナスカンの動作を説明する図である。
以下、本発明の背負バンドの取付構造の好適な実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。以下の説明において、上下、前後、左右の語は、背負式作業機を背負った作業者を基準とした方向を表すものとする。
図1は、本実施形態の背負バンドの取付構造が適用された背負式作業機の前方斜視図であり、本実施形態では背負式作業機を薬剤等の散布に用いる背負式動力噴霧機として説明する。
図1に示されるように、背負式動力噴霧機100は、動力源を含む作業機本体部1と、作業者が作業機本体部1を背負うための一対の背負バンド3,3とを備えている。また、この背負式動力噴霧機100は、作業機本体部1から送り出された薬剤等を作業者の手元まで伝送する噴霧ホースと、噴霧ホースの端部に設けられた噴霧ノズルとを備えている。なお、ここでは噴霧ホース及び噴霧ノズルは取り外されている。
作業機本体部1は、薬剤(液体)を収容し、作業者に背負われるタンク5を備える。タンク5には、その後側に凹部が凹設されると共に凹部より前側且つ下部の側面部に、内部に収容されている薬剤を排出する排出口15を有する。タンク5内の薬剤を送り出すためのポンプ及びその駆動部は、凹部の凹面に取り付けられ、この凹部を覆うようにブラケット4が取り付けられている。また、作業機本体部1は、背負時に作業者の背中に当接する背当て部材2を備えている。
背負バンド3は、作業者の肩に掛かる長尺のバンド部11を有し、このバンド部11の上下側の端部11aに、背負バンド3の上下端部としてのナスカン(環状連結部)12が環状体17を介して連結されている。
図5に示されるように、ナスカン12は、フック部13と、このフック部13の基端部13aに連設され、フック部13の先端部13bと基端部13aとの間に形成された開口を開閉自在に閉塞してフック部13と共に環形状をなす閉塞体14とを備えている。
閉塞体14は、フック部13の基端部13aを支点として上記環形状の内側から外側へ向かう付勢力を有する板ばね体であり、その先端部は、フック部13の先端部13bに対し上記環形状の内側から当接する。
そして、一対の背負バンド3,3の上側の端部(ナスカン12)は、タンク5の上端部に左右対称に設けられた一対の上側バンド取付部6,6に着脱自在に各々連結され、一対の背負バンド3,3の下側の端部(ナスカン12)は、ブラケット4の側面部に左右対称に設けられた一対の下側バンド取付部7,7に着脱自在に各々連結されている(詳しくは後述する)。そして、一対の背負バンド3,3及び作業機本体部1のなす一対のループに作業者が両肩を通し、作業機本体部1を背負うことが可能となっている。
ここで、背負バンド3の取付構造の詳細について、図2〜図5を参照しながら説明する。図2は、背負バンドの取付構造を示す側方斜視図であり、背負バンドを取り外した状態を示す図、図3は、図2の一部を破断した側方斜視図、図4は、背負バンドの取付構造を示す断面図であり、背負バンドを装着した状態を示す図である。
図2〜図5に示されるように、下側バンド取付部7は、ブラケット4の側面の前部且つ上部の位置で側方に突出するように形成されているものであり、排液口15より上に位置するように設けられている(図1)。この下側バンド取付部7は、第一の支持部8と第二の支持部9とを備えている。第一の支持部8は、上下方向に延びるように平板状に形成され、前後方向に貫通した貫通孔10を有している。第二の支持部9は、第一の支持部8の貫通孔10の下の位置で前後方向に延びた平板状に形成され、第一の支持部8と直交するように配置される。この第二の支持部9は、その上面が、第一の支持部8の貫通孔10に下側から面する(接する)ように設けられている。
図4に示されるように、貫通孔10の後側10bは同一高さであり、貫通孔10の前側10aは、前側に行くほど、その高さが高くなるように形成されている。すなわち、貫通孔10の前側10aの高さH2は、貫通孔10の後側10bの高さH1と比較して高くされている。また、図5に示されるように、貫通孔10の左右方向の幅長Wは、一定であり、フック部13の先端部13bの幅よりも多少大きくされている。
そして前述したナスカン12は、閉塞体14を環形状の内側に押し込むことでフック部13の先端部13bと基端部13aとの間を開口させ、フック部13を貫通孔10に通すことで下側バンド取付部7に装着される。この装着状態にあっては、図2〜5に示されるように、フック部13が第一の支持部8に引っ掛けられて係合し、フック部13の先端部13bと基端部13aとの間が閉塞体14により閉塞されて係合解除が防止される。
また、図4及び図5に示されるように、フック部13が貫通孔10に通された状態にあってフック部13のうちの貫通孔10より前方の部分13xが第二の支持部9の第一の支持部8より前側の支持面9aに当接して支持され、フック部13のうちの貫通孔10より後方の部分13yが第二の支持部9の第一の支持部8より後側の部分9bに当接して支持される。このように、作業機本体部1を設置した状態では、第二の支持部9の支持面9aにより、フック部13の下方への動作が制限される。
続いて、作業機本体部1が設置された状態から背負った状態に変化した場合のナスカン12の動作について図6を参照しながら説明する。図6は、ナスカンの動作を説明する図である。図6に示されるように、ナスカン12は、作業機本体部1が設置された図4に示す状態から、当該作業機本体部1を作業者が背負うと、ナスカン12が引き上げられていき、これにより、背負バンド3の取り回し性が向上される。
以上のように構成された背負バンド3の取付構造によれば、ナスカン12が作業機本体部1のブラケット4の側面に設けられた第一の支持部8のその貫通孔10に通された状態で、ナスカン12が第二の支持部9の前側の支持面9aに当接し、ナスカン12の下方への回動が制限されるため、背負バンド3の一部が作業機本体部1の下方に潜り込むことはなくなり、背負バンド3の汚れ等が防止されると共に背負バンド3を背負いやすい姿勢に保つことが可能となり、且つ設置が安定する。また、貫通孔10の前側10aの高さ方向の長さ(H2)は、貫通孔10の後側10bの高さ方向の長さ(H1)と比較して大きいので、ナスカン12の上方への動作の自由度を高めることができ、容易に作業機本体部1を背負うことができる。
また、貫通孔10の左右方向の幅長Wが、一定であるので、ナスカン12が横ブレすることを防止することができる。
さらに作業機本体部1は、第一の支持部8及び第二の支持部9がタンク5の液体の排液口15より上に配置されているため、例えば、排液作業時に背負バンド3が排液により汚れることを確実に防止することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では背負式作業機を背負式動力噴霧機100として説明したが、本発明は背負式動力散布機や背負式ブロワ等にも応用可能であり、更には手動の背負式作業機にも適用できる。
1…作業機本体部、3…背負バンド、5…タンク部、8…第一の支持部、9…第二の支持部、9a…支持面、9b…当接する部分、10…貫通孔、10a…貫通孔の前側、10b…貫通孔の後側、11…バンド部、11a…端部、12…ナスカン(環状連結部)、13…フック部、13x…環状連結部のうちの貫通孔より前方の部分、13y…環状連結部のうちの貫通孔より後方の部分、15…排液口、100…背負式動力噴霧機(背負式作業機)。

Claims (3)

  1. 背負式作業機(100)の作業機本体部(1)を作業者が背負うための背負バンド(3)の下端部を装着する背負バンド(3)の取付構造であって、
    前記作業機本体部(1)の側面に突出するように設けられ、前後方向に貫通した貫通孔(10)を有する第一の支持部(8)と、
    前記背負バンド(3)の前記下端部を構成し、バンド部(11)の端部に連結されると共に前記貫通孔(10)に通されて係合する環状連結部(12)と、
    前記貫通孔(10)の下の位置で前記第一の支持部(8)と直交するように配置されると共に、前記環状連結部(12)が前記貫通孔(10)に通された状態で、前記環状連結部(12)が当接する支持面(9a)を有する第二の支持部(9)と、
    を備え、
    前記貫通孔(10)の前側(10a)の高さ方向の長さは、前記貫通孔(10)の後側(10b)の高さ方向の長さと比較して大きいことを特徴とする背負バンド(3)の取付構造。
  2. 前記貫通孔(10)の左右方向の幅長は、一定であることを特徴とする請求項1記載の背負バンド(3)の取付構造。
  3. 前記作業機本体部(1)は、
    液体を収容するタンク部(5)を備え、
    前記タンク部(5)は、前記液体を排出する排液口(15)を有し、
    前記第一の支持部(8)及び前記第二の支持部(9)は、前記排液口(15)より上に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の背負バンド(3)の取付構造。
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