JP5800772B2 - ヘアドライヤー - Google Patents
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Description
ヘアコンディショナーは、カチオン性界面活性剤を主成分とする。カチオン性界面活性剤は、マイナスに帯電している毛髪に吸着し易い為である。この性質を利用し、界面活性剤で毛髪を覆い、表面を滑らかにしている。
以上のような、化粧品を使用する方法は、処理の面倒さに加えて、乾燥した環境では効果が持続しないなど、効果が一時的であることが問題である。
一方、乾燥した毛髪の場合、特に、ブラッシングをしながら乾燥させた場合、毛髪とブラシとの摩擦によって毛髪は正に帯電する為、負イオンを多く発生させると、イオンの毛髪への吸着効率が高くなる。
また、通常洗った髪を乾かしスタイリングするとき等に、より重大な損傷である枝毛、切れ毛などを引き起こすことが知られているが、薬剤を用いたパック等の方法を除いては、それらを改善する方法については全く提案されていない。
また、ヘアケアする美容機器の使用時において、リラックス効果を得たい場合に負イオンを多く発生させる等、場合に応じて発生させるイオンを変化させられることが望まれる。
また、本発明に係るヘアドライヤーは、前記送風機構は、風速15m/s以下で送風することを特徴とする。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係るヘアドライヤーの実施の形態である美容機器の外観を示す斜視図であり、図2は、該美容機器の内部構成を示す透視図である。
この美容機器は、内部に空気流路3が形成された略筒形状を有しており、空気流路3の下流側には、空気を吐出する吐出口1が形成され、上流側には空気を吸入する吸入口2が形成されている。空気流路3は、吸入口2より吐出口1に至る流路であり、空気流路3内には、シロッコファン及びシロッコファンを駆動するモータを備えた送風機構4が設けてあり、シロッコファンの吸込み口が吸入口2となっている。
また、空気流路3の送風機構4より下流側で且つ加熱部5より上流側の部分からは、二つの分流路3a,3bが分岐している。分流路3a,3bは、空気流路3の側面から外方に連設された筒形状の突出筒体7a,7bの内部に形成され、分流路3a,3bの入口で本体の空気流路3と連通している。
空気流路3の吸入口2側には、空気流路3の長手方向と略直角方向に柄21が設けられ、柄21の使用者が握る部分には、操作スイッチ6が設けられている。柄21の内部には、イオン発生部10a,10bを含むイオン発生装置の本体ケース14が収納されている。
イオン発生装置10は、その回路部を収納する本体ケース14と、イオン発生部10a,10bとを備えている。イオン発生部10a,10bは、略半球形状であり、その半球の平面部には、例えば直径8mm程度の円形状に形成されたイオンの放出孔14a,14bが開口し、半球の頂部は、高圧電線により本体ケース14に接続されている。
放出孔14a,14b内の略中心には、針形状の放電電極11a,11bが、放出孔面を直角方向に貫く態様で配設されている。また、放電電極11a,11bの周囲には、環状の対向電極12a,12bが、放出孔14a,14bに沿って対向配置されている。
このイオン発生装置10は、対向電極12a,12b及び放電電極11a,11bが、本体ケース14内に収納された高圧電源部13に接続されている。
高圧電源部13は、コンセントを通じてAC100V電源15に接続され、コンセントの一方のプラグには、ダイオードD1のアノードが接続され、ダイオードD1のカソードには、抵抗R1を通じて、コンデンサC1の一方の端子、及び二端子型サイリスタD2のアノードが接続されている。コンセントの他方のプラグには、コンデンサC1の他方の端子が接続され、二端子型サイリスタD2のカソード及びコンセントの他方のプラグ間には、変圧器16の一次側コイルが接続されている。
変圧器16の二次側コイルの他方の端子は、対向電極12a,12bに接続されている。
発明者等の確認では、正イオン発生部及び負イオン発生部が、気流の送出方向に直行する方向に約20mm離れていれば、イオンの効果は発揮される。
この美容機器は、操作スイッチ6がオンされると、送風機構4及びイオン発生装置10が起動する。この際、送風機構4は、対象物の位置で風速15m/s以下で送風する。
送風機構4は、吸入口2から吸い込んだ空気を吐出口1から送出する。髪を乾燥するときに使用する温風を生成させる「乾燥動作」のときは、加熱部5が稼働する。
また、イオン発生部10a、10bからは、それぞれ負イオン、正イオンがそれぞれ単独で放出される。発生したイオンは、分流路3a、3bを経由して流入した空気により前方へ放出され、吐出口1から送出される気流に乗って使用者の髪に照射される。
正イオンH+(H2O)mと負イオンO2 −(H2O)nとの結合により発生する水分及び両イオンにクラスタリングしている水分は、一般的に認識される水と異なり、分子レベルの大きさである為、髪の表面組織に関係なく、内部にまで浸透することで、水分量を直接的に増加させるものと考えられる。
また、イオン反応により生成し髪に吸着した水、又はイオンにクラスタリングして髪に吸着した水は、加温により分子運動が活性化され、空気中への拡散が起こるので、保湿運転動作時には、加熱部5は起動されない方が好ましい。
また、これとは逆に、乾燥運転の時には、発生した両イオンは単に電荷として作用する為、髪が有する電荷と逆極性のイオンが主に髪に吸着して、帯電を解消する。一般的に、毛髪は正極に帯電し易い為、送出された負イオンが髪に吸着し、正イオンは反発される。
従って、「乾燥運転」モードを設けて、送風機構4、加熱部5及びイオン発生装置を作動させ、「保湿運転」モードを設けて送風機構4及びイオン発生装置10のみを作動させるように構成しておくと、使用者への利便性が向上する。
毛髪の帯電は、季節や髪質により変化する為、実施の形態1に加えて、イオン発生装置10は、使用者によりイオン発生量を変化させることが可能な構成となっているのが好ましい。
また、同様に、送風機構4の送風量を変更可能な構成とする方が、使用者への利便性が増すが、この場合にも、送風量が多くてもイオン濃度が保てるように、イオン発生装置10のイオン発生量を増量することが好ましい。
このイオン発生装置10cは、図4に示すイオン発生装置10の構成に、コンピュータ制御で導通するスイッチング素子を外部に追加した例である。
フォトカプラ17の受光側(出力側)は、フォト双方向ダイオードTであり、フォト双方向ダイオードTは、AC100V電源の他方の端子、及びコンデンサC1の他方の端子間に接続されている。
一般に、パルスの個数が多くなると、イオン発生量は増加し、パルスの個数が減少すると、イオン発生量が減少する。使用者の利便性向上の為に、美容機器の本体にイオン増量及び減量を画一で指定する手段、つまり、「増量/減量」切替スイッチ、「増量」ボタン、「減量」ボタン等を設けておくのが一般的である。
図8は、本発明に係るヘアドライヤーの実施の形態3である業務用ヘアドライヤーの概略構成を示す説明図である。
業務用ヘアドライヤーとは、図8Bに示すように、使用者の頭部をすっぽりと覆うように被る、ヘアサロン等で使用される大型の髪乾燥機である。
仕切り板205の下面には、複数のイオン発生装置204が配置されている。ここで使用するイオン発生装置204は、正イオン発生部と負イオン発生部とを備え、高圧回路を内蔵するユニット型である。
このイオン発生装置204は、複数個が、仕切り板205(図8)中央の開口部を中心にして、円形状に配置され、空間206(図8)に十分な量のイオンを供給する。
このイオン発生装置204は、正イオン発生部204aと負イオン発生部204bとを備え、正イオン発生部204a及び負イオン発生部204bにそれぞれ対向するように、穴開き板金で形成された誘導電極204cが設けられている。正イオン発生部204a及び負イオン発生部204bは、それぞれ針状の放電電極であり、誘導電極204cとの間に高電圧が印加されることで、イオンが発生する。
実施の形態1,2の各場合と同様に、「温風乾燥モード」では髪の帯電を除去することで髪をまとめ易くする効果が期待される。
従って、「温風乾燥モード」においても、送風機202、加熱装置203及びイオン発生装置204が作動する。
また、季節や髪質によっても異なる乾燥条件を調節する為に、実施の形態1,2の各場合と同様に、イオンの量を変更するイオン量調節手段を設けるのが好ましい。
何れの運転モードにおいても、ドーム筐体201の上部に配値された複数の開口207から空気が吸い込まれて、仕切り板205とドーム筐体201内壁との間隙から空間206に送風される。
また、一般に、業務用のヘアドライヤーでは、乾燥時間を制御する為に、タイマ装置(図示せず)が設けられると共に、加熱の度合いを制御する為の温度設定装置(図示せず)が設けられるが、周知事項であり説明は省略する。
以下に、イオン発生部10a,10bが生成させた正イオン、負イオンを含む空気と含まない空気とによる毛髪の水分量の変化を実験したので、その結果を説明する。
ダメージ毛髪(人毛)サンプルの作製
15cm、2gの黒い毛髪束を,ポリオキシエチレン(POE)ラウリル硫酸ナトリウム1%水溶液に,30〜35℃で1分間浸漬させた。
流水にて水洗後、タオルで水分を拭き取った後,ドライヤーにて乾燥させた。
4.5%過酸化水素水及び2.5%アンモニア水の1:1混合液に、毛髪を20分間浸漬させ、流水にて水洗後、タオルで水分を拭き取った後、ドライヤーにて乾燥させた。
室温20±2℃、湿度50±5%の部屋で、毛髪サンプルに異なる濃度のイオンを照射した。
水分量の測定
イオン照射後の毛髪サンプルを2g計り取り、65℃で40分間加熱した。このとき減少した重量を全て水分量と見做し、ここで減少した水分を一次蒸散水とした。
更に、180℃で30分間加熱し、重量を測定した。ここで減少した水分量を二次蒸散水とした。
得られた値より、毛髪の乾燥重量(180℃で30分間加熱後の毛髪重量)に対する二次蒸散水分量(二次蒸散水分率)を求めた。
毛髪サンプルに照射されるイオン濃度が、正負各々100,000個/cm3になるように、イオン発生素子とイオン拡散させるファンとからなるイオン発生装置から50cmの位置に、ダメージ処理を施した毛髪サンプルを設置し8時間照射した。サンプル位置での風速は0.05m/sであり、無風と同等である為、自然放置を対照とした。
このグラフによると、正負イオンを照射した毛髪は、イオン照射前と比較して、115.1%の水分量となり、逆に、風のみを照射した毛髪は、68.2%の水分量となった。イオンを照射した毛髪は、イオンを照射しないものに比べて、水分量が増加する結果が得られた。
毛髪サンプルに照射されるイオン濃度が、正負各々3,000,000個/cm3 になるように、イオン発生素子とイオン拡散させるファンとからなるイオン発生装置から10cmの位置に、ダメージ処理を施した毛髪サンプルを設置し8時間照射した。サンプル位置での風速は2.9m/sであった為、同じファンを用いて送風のみ行ったものを対照とした。
このグラフによると、正負イオンを照射した毛髪は、イオン照射前と比較して約113.2%の水分量となり、逆に、風のみを照射した毛髪は、88.3%の水分量となった。イオンを照射した毛髪は、イオンを照射しないものに比べて水分量が増加する結果が得られた。
毛髪サンプルに照射されるイオン濃度が、正負各々2,000,000個/cm3になるように、イオン発生素子とイオン拡散させるファンとからなるイオン発生装置から15cmの位置に、ダメージ処理を施した毛髪サンプルを設置し20分間照射した。サンプル位置での風速は8.4m/sであった為、同じファンを用いて送風のみ行ったものを対照とした。
このグラフによると、正負イオンを照射した毛髪は、イオンを含まない空気のみを当てた毛髪と比較して約110.4%の水分量となった。イオンを照射した毛髪は、イオンを照射しないものに比べて水分量が増加する結果が得られた。
これにより、毛髪の場合、風速が強くても保湿できることが証明された。
以下に、イオン発生部10a,10bが生成させた正イオン、負イオンを含む空気と含まない空気とによるダメージ毛発生量の比較実験をしたので、その結果を説明する。
<ダメージ毛髪(人毛)サンプルの作製>
約60cm、5gの黒い毛髪束を,ポリオキシエチレン(POE)ラウリル硫酸ナトリウム1%水溶液に、30〜35℃で1分間浸漬させた。
流水にて水洗後、タオルで水分を拭き取った後,ドライヤーにて乾燥させた。
4.5%過酸化水素水及び2.5%アンモニア水の1:1混合液に、毛髪を20分間浸漬させ、流水にて水洗後、タオルで水分を拭き取った後、ドライヤーにて乾燥させた。
室温20±2℃、湿度50±5%の部屋で、毛髪サンプルに照射されるイオン濃度が、正負各々3,000,000個/cm3 になるように、イオン発生素子とイオンを拡散させるファンとからなるイオン発生装置から15cmの位置に、ダメージ処理を施した毛髪サンプルを設置した。毛髪サンプルに1分当たり100回の速さでブラッシングしながら15分間イオンを温風(約125℃)で照射した。サンプル位置での風速は14m/s〜15m/sであった為、同じファンを用いて送風のみ行ったものを対照とした。
<ダメージ毛発生量の評価>
処理を行った毛束を観察し、発生した枝毛および切れ毛を計数した。
このグラフによると、正負イオンを照射した毛髪は、イオンを含まない空気のみを当てた毛髪と比較して、枝毛・切れ毛の数が約1/2となった。イオンを照射した毛髪は、イオンを照射しないものに比べて、ダメージが抑制される結果が得られた。
以上の結果は、本発明に係る毛髪の加湿及び損傷軽減方法が毛髪に水分を与え、毛髪の強度を向上させることに加え、正負両イオンを発生させるた為、負に帯電するブラシ、正に帯電するブラシ両者を除電することができ、ブラッシング時の摩擦を低減できた結果である。
2 吸入口
3 空気流路
3a,3b 分流路
4 送風機構
6 操作スイッチ
10,10c,204 イオン発生装置
10a,10b イオン発生部
11a,11b 放電電極
13 高圧電源部
20 業務用ヘアドライヤー
21 柄
201 ドーム筐体
202 送風機
207 開口
208 加湿部
204a 正イオン発生部
204b 負イオン発生部
TR スイッチング素子
Claims (7)
- 吸込口から吐出口に至る空気流路の上流側に送風機構、下流側に加熱部を備えたヘアドライヤーであって、
前記加熱部側に配置され、正イオン、および負イオンをそれぞれ発生する放電電極を個別に備えた正イオン発生部、および負イオン発生部と、
前記送風機構側に配置され、前記正イオン発生部の放電電極、および前記負イオン発生部の放電電極に、それぞれに高電圧を供給する高圧電源部とを備え、
前記加熱部は、絶縁板と、ヒータ線とを有し、
前記絶縁板は、前記正イオン発生部と、前記負イオン発生部との間を仕切るように配置され、
前記正イオン発生部と、前記負イオン発生部とは、それぞれ前記絶縁板によって仕切られた空気流路内に設けられたことを特徴とするヘアドライヤー。 - 前記絶縁板は、水平方向に配された第一の板部材と、該第一の板部材と直交して平面視で十字状となるように配された第二の板部材とを有し、
前記第一の板部材は、前記正イオン発生部と、前記負イオン発生部との間を仕切るように配置してなる請求項1記載のヘアドライヤー。 - 前記正イオン発生部、および負イオン発生部は、前記加熱部の空気流路の下流側に配置してなる請求項1または2記載のヘアドライヤー。
- 前記正イオン発生部、および負イオン発生部は、前記加熱部の下流側端部付近に配置してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘアドライヤー。
- 前記高圧電源部は、交流電圧を正負の高圧パルス電圧に変換し、前記正イオン発生部の放電電極に、正の高圧パルス電圧を供給し、前記負イオン発生部の放電電極に、負の高圧パルス電圧を供給する請求項1〜4のいずれか1項に記載のヘアドライヤー。
- 前記正イオン発生部と負イオン発生部とは、20mm以上離れて設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載のヘアドライヤー。
- 前記送風機構は、風速15m/s以下で送風する請求項1〜6のいずれか1項に記載のヘアドライヤー。
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