JP5800491B2 - 標準菌の使用方法 - Google Patents

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本発明は、細菌検査の精度管理のために使用する標準菌の使用方法及び当該使用方法を用いた菌数検査の精度管理方法に関するものである。
近年、食品の安全性に対する消費者の意識が高まっている。その中で品質管理のポイントの一つとして細菌検査が挙げられる。細菌検査は対象食品を滅菌水とともに粉砕して、所定の希釈を行い一定量を採取して行うのが一般的である。本検査は無菌的な状態で行う必要があるため、クリーンベンチ内で滅菌操作などの種々の留意すべき点があり、検査手技に熟練を要する。
また、食品を各地の工場で製造する場合、結果の取得迅速性等を確保する観点から、各食品製造施設において直ちに検査に供するのが好ましいが、上述のように細菌検査においては検査手技に熟練を要するために、各施設ごとに定期的に検査手技の妥当性を判断する措置をとっておくことが好ましい。
精度管理は、上記のような場合に定期的に検査精度を評価し、対象施設の検査手技の正確性等を客観的に確認する管理方法である。このような精度管理を行うことで各施設の細菌検査の手技等を確認でき、いずれかの施設において測定された菌数が大きく異なる場合には、当該施設における細菌検査手技に問題があることを推定できる。
すなわち、中央の検査施設から定期的に各施設の検査室に対して、予め調製された同一ロットの菌数測定用の標準菌を送付し、中央の検査施設と各施設の検査室で同日に同一ロットの標準菌の菌数を測定する。そして、当該菌数を比較することにより各施設の検査結果の妥当性を客観的に判断し、各施設の細菌検査手技に問題が無いかを確認する。
この場合、中央の検査施設から各施設に送付する菌数測定用の標準菌は測定時において菌数バラツキができる限り少ないものであることが好ましい。なぜなら、この菌数バラツキが大きいと中央の検査施設と各施設の検査室における菌数の測定結果に違いがあった場合、各施設の検査手技に問題あるかどうかの判別が困難となり、各施設における細菌検査手技の良悪が判断し難いからである。
このような観点から精度の高い菌数の標準菌を提供するための方法として、例えば、フローサイトメトリーを用いて細菌を検知してこれを選択して正確な菌数の菌数測定用の標準菌株を提供できる方法が開示されている
特許第4414220号 上記方法は正確な菌数の標準菌を提供できる優れた方法である。すなわち、保存による菌数の減少がほとんどなく長期間に渡って菌数の安定した標準菌を調製することができる。但し、フローサイトメトリー等の高度な機器を必要とするため、安価にかつ簡便に標準菌を調製しようとする場合には困難である。また、種々の菌種が存在する中で、それぞれについて最も適した方法で標準菌の調製をしようとするとさらに時間と費用を要するものとなる。
しかし、細菌検査の精度管理において最も重要となるのは、測定時の菌数のバラツキが少ないことである。このことは、必ずしも長期に渡って菌数の安定した標準菌を必要としない。すなわち、標準菌を調製後、菌数の減少があったとしても、使用する期間内のバラツキの程度が十分小さければ、精度管理に供することが出来る。
そのため、あえて標準菌の安定性に拘らず、保存中に標準菌の菌数が多少減少したとしても、使用時の菌数のバラツキを小さく抑えられる保存条件および使用条件を設定することにより精度管理を行うことが可能である。
以上の方法を用いれば、菌種ごとに安定性の高い標準菌を得るための調製方法を検討する必要もないため、時間と費用を要する詳細な条件検討も不要となる。
そこで、本発明者らは精度管理における使用時に測定菌数バラツキの少ない標準菌を安価にかつ簡便に提供又は使用できる方法を開発することを目的とした。
本発明者らは、鋭意研究の結果、菌数測定用の標準菌について凍結乾燥して標準菌株の作成を終了した後において、冷凍状態(−20℃)に保存された場合、意外にも標準菌作成後数日の期間ではなく、1週間程度経過した後の概ね7〜14日経過後に使用すると標準菌株の測定結果のバラツキが少ないことを見出し、本発明をするに至ったのである。
すなわち、本願第一の発明は、
「細菌の菌数検査における精度管理のための菌数測定用標準菌の使用方法であって、
前記菌数測定用の標準菌は培養・集菌し、所定の菌数となるように希釈された後に凍結乾燥する方法により製造されるものであって、
前記凍結乾燥が終了した後7〜14日経過後の期間内に使用することを特徴とする菌数測定用の標準菌の使用方法。」、
である。
さらに、本発明者らは上記期間のうち、事情により同一ロットの標準菌を同日に測定できない場合も想定し、前記凍結乾燥が終了した後7〜9日目の連続する3日間のうちいずれかの日に測定するのであれば、同日でなくても十分にバラツキを抑えて細菌数を測定できることを見出した。
すなわち、本願第二の発明は、
「前記凍結乾燥が終了した後7〜9日目の連続する3日間のうちいずれかの日に使用することを特徴とする請求項1に記載の菌数測定用の標準菌の使用方法。」、である。
また、本発明はこのような標準菌の使用方法を用いた細菌の精度管理分析を意図している。
すなわち、本願第三の発明は、
「請求項1又は2に記載の標準菌の使用方法による菌数検査の精度管理方法。」、である。
本発明の使用方法により、標準菌の測定時の菌数バラツキを低く抑えることができるため、精度管理を行う場合において各施設の細菌検査の手技等のレベルを判断しやすい。すなわち、いずれかの施設において測定された菌数が大きく異なる場合には、当該施設における細菌検査手技に問題があることを推定できる。
試験例1の凍結乾燥後の標準菌(Enterobacter aerogenes)を−20℃で保存した場合の各週ごとに測定した菌数について対数値(底10)を計算し、これらの標準偏差を示した図である。
以下に本発明を実施するための形態について説明する。但し、本発明はこれらの範囲に限定されるものではない。
─細菌の菌数検査における精度管理─
本発明にいう、細菌の菌数検査における精度管理とは、例えば、食品を製造している工場等における細菌の菌数検査における中央の検査施設と各工場等の製造施設における検査室間における精度の管理をいう。
すなわち、細菌検査は対象食品を滅菌水とともに粉砕して、所定の希釈を行い一定量を採取して行うのが一般的である。本検査は無菌的な状態で行う必要があるため、クリーンベンチ内で滅菌操作などの種々の留意すべき点があり、検査手技に所定の技術を要する。このように細菌検査においては検査手技に一定のレベルを要するために、各施設ごとに定期的に検査手技の妥当性を判断する措置をとっておくことが好ましい。
そこで、予め一定の方法によって製造された同一ロットの菌数測定用の標準菌を調製しておき、当該標準菌を各工場等の食品製造施設に送付し、標準菌の調製日から決められた所定の期間を経た後に中央の検査施設及び各工場の検査施設において標準菌をプレート法等により菌数測定を行い、中央の検査施設及び各施設間で測定された菌数の結果を対比して、統計学的に所定の範囲を逸脱して菌数が多すぎる場合や少なすぎる場合には、当該施設の検査手技に問題がある可能性があるとして当該施設の手技を確認する等の措置を採るという方法が有効となる。
ここで、各施設に送付される同一ロットの菌数測定用の標準菌は中央の検査施設において同一ロットの標準菌を複数サンプル測定した場合に菌数のバラツキが少ない方が好ましい。
同一ロットの菌数測定用の標準菌であるにもかかわらず、当該同一ロットの複数サンプルを測定した場合に測定サンプルごとに菌数のバラツキが存在すると、同一のロットの標準菌を各施設に送付して当該標準菌の菌数の測定を行うものであるため、各施設における菌数の測定結果を評価し難い。
すなわち、調製されたロットの標準菌が同一ロット内において内在的に有する菌数のバラツキなのか、各施設の菌数検査の手技の不備による菌数のバラツキなのかが判別しがたいため、各施設の細菌検査手技の評価をすることが困難となる。
このため、同一ロットの標準菌を複数サンプル測定した場合に菌数のバラツキが少ないものを各施設での菌数測定用の標準菌とすることが好ましい。
細菌検査の精度管理においては、複数の検査施設が同一の標準試料を測定し、検査値が全体の平均から外れている程度をZ値解析により数値化する手法が一般的である。この際、検査値をLog10(検査値)に変換し求めた値とその全体平均の差を0.25で割ることでZ値を算出する。すなわち、全体平均を中心とした-2Z値と+2Z値の差は対数値1.0となり、その差が10倍であることを意味する。多くの細菌検査の精度管理で±2Z値を、検査値の許容範囲として合否判定している。なお、ここで0.25は目標標準偏差と言われている。
もし、標準菌自体のバラツキが対数値1.0を超える場合、もはや検査手技の良悪を判定することは出来ない。標準菌自体のバラツキとしてどの程度小さければ精度管理に使用可能かを判断する必要があるが標準菌についてバラツキの程度を判断する上で、標準偏差を実測することが有効である。
細菌検査の検査結果はその対数値が正規分布すると言われている。従って、標準菌の同一ロットについて、同じ条件下(たとえば同じ人が同じ方法)で検査を行い得られた検査結果について対数(Log10)変換し、標準偏差を求めた時、もし0.25であれば±2σ=1.0となる。統計的には95.4%が±2σの範囲に含まれることが期待できることになるが、目標標準偏差を0.25に設定している細菌検査精度管理の標準菌としては十分とは言えない。一方、±3σの範囲には正規分布の99.7%が含まれることから、±3σ≦1.0、すなわち標準偏差0.167以下であれば、精度管理の標準菌としても使用可能なバラツキと思われる。
─菌数測定─
通常、細菌検査においては、一般生菌数の測定、大腸菌群の測定、大腸菌の測定、黄色ブドウ球菌の測定等の細菌検査を行うのが一般的である。一般生菌数や大腸菌群、大腸菌の検査項目は衛生指標菌検査であり、黄色ブドウ球菌は病原菌の検査項目であるが、これらは管理基準や検査方法を食品衛生法の成分規格に掲載されている検査項目である。
これらの菌種を測定する場合には、対象となる食品を一部採取し、滅菌水又は生理食塩水を加えてストマッカー等によって粉砕してその一部を複数回希釈する等をして一定量を採取してそれぞれの菌を検出するためのプレートにまいて24〜48時間程度、静置してから菌数を測定する。
具体的には、例えば、一般生菌数であれば、標準平板菌数測定法で行うことができる。すなわち、まず試料原液を滅菌希釈水によって10倍段階希釈を順次行い希釈試料の調製を行う。次に、あらかじめ高圧蒸気滅菌した後、50℃に保持しておいた標準寒天培地約15〜20mlを無菌的に各シャーレに注ぎ、直ちに希釈試料液と培地がよく混ざり合うように静かに混和し、培地が完全に固化するまで静置する。その後、35℃±1℃で48±3時間インキュベータで培養した後平板のコロニー数を計測し、希釈倍率を乗じて1mlあたりの生菌数を算出する。
また、上述の標準平板菌数測定法のほかに、表面塗抹平板法も用いられる。予めシャーレに標準寒天培地を分注しておき、平板として重ね、培地表面に試料液0.1ml程度を添加し、コンラージ棒で均等に塗抹する。次に例えば、黄色ブドウ球菌であると35℃±1℃で48±3時間の培養後上述と同様に菌数を求める。
尚、培地については、菌種によって選択培地を用いることもできる。すなわち、黄色ブドウ球菌であれば、マンニット食塩卵黄寒天培地又は食塩卵黄寒天培地を用いることができる。また、大腸菌群としてデゾキシコレート培地、大腸菌としてXM-G培地等を用いることができる。
─菌数測定用標準菌─
本発明にいう標準菌は、好気性細菌、通性嫌気性細菌に適用できる。すなわち、通常、細菌検査においては、一般生菌数の測定、大腸菌群の測定、黄色ブドウ球菌の測定などの定量的な細菌検査を行うのが一般的である。これらのいずれの菌種においても本発明は適用できる。また、これらの菌種に限定されず、その他の細菌にも適用可能であることはもちろんである。
─標準菌の製造方法─
標準菌の製造方法は特に限定されない。すなわち、標準菌の懸濁液を調製し、これを凍結乾燥すればよいが、具体的には以下のような方法が可能である。
すなわち、例えば、標準菌が凍結乾燥の状態である場合には、当該凍結乾燥菌株に対して培地又は滅菌水を添加して希釈し、プレート上に拡げて培養する。培養後に見られるコロニーについてこれをピックアップし、液体培養する。当該液体培養液から凍結乾燥株を調製することができる。
また、プレート上に滅菌生理食塩水を添加してコロニーをかきとり、希釈して凍結乾燥して作製してもよい。このように本発明おいては種々の方法で凍結乾燥株を調製することができる。また、凍結乾燥する際には、遠心分離で集菌し、保護剤(スキムミルク)を含む溶液に懸濁させて凍結乾燥する方法が好ましい。
─凍結乾燥が終了した後7〜14日経過後の期間内に使用─
本発明は、上記凍結乾燥後の乾燥菌体の作成後において、7〜14日経過後の期間内に使用することを特徴とする。本発明者らの研究の結果、標準菌の凍結乾燥後数日の標準菌のサンプルの菌数を測定しても菌数のバラツキが大きく、精度管理には利用しにくいことが判明した。
一方、細菌の種類によって多少違いがあるが、凍結乾燥によって標準菌を完成させてから、概ね7〜14日経過後において標準菌の菌数測定時の菌数のバラツキが少なくなることが判明している。このように、概ね7〜14日経過後の標準菌を使用することが精度管理において好ましい。
具体的な精度管理の方法としては、凍結乾燥後の同一ロットの標準菌を各施設に宅配便等を用いて冷凍状態(−20℃程度)で送付する。そして、当該標準菌を受け取った各施設において、中央の検査施設と同日に標準菌を用いた細菌の菌数検査を実施する。
ここで7〜14日経過後の標準菌は、同一ロットでのサンプル間の菌数のバラツキが小さいため各施設での菌数の測定結果と比較して各施設の細菌検査手法の良悪についてより客観的に判断することができる。このように7〜14日経過後の標準菌を使用することで細菌検査の手技の評価について信頼性を高めることができる。
─凍結乾燥が終了した後7〜9日経過後の期間内に使用─
上述のように凍結乾燥後の標準菌については同一ロットについて同日に測定する場合、菌数のバラツキが凍結乾燥後概ね7〜14日目の期間が抑えられることが判明している。
しかし、工場によっては種々の事情により同一の日に測定できない場合もある。このような場合同一ロットの標準菌を異なる日でも測定できることができれば、細菌検査の精度管理という目的は達成できる。一方、菌数自体の変動については、凍結乾燥株の作成後から徐々に減少する傾向にある。
例えば7〜14日のうちそれぞれの1日について標準偏差が同じであっても、7日間にわたってその平均値が低下傾向にあるため7日間全体の標準偏差は、当然そのうちの3日間の標準偏差より大きくなる傾向がある。実際、6〜10日の間の測定値と7〜9日の間の測定値を用いて比較すると、実験例2に示すように、両者の平均値はほぼ同じでも、標準偏差は7〜9日の3日間の方が小さく、バラツキが少ない。このことから、同一の日に測定できない場合であっても精度管理標準としては、検査の期間を7〜9日目の連続する3日間のうちいずれかの日に使用することでより信頼性の高い精度管理を行えるということが判明した。
以上から、上述の7〜14日目の期間のうち、異なる日であっても標準偏差が十分小さい3日間、たとえば7〜9日目がより好ましいもの考えられる。
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[試験例1]
以下の手順により精度管理のための菌数測定用標準菌を調製した。すなわち、-70℃ディープフリーザーより凍結保存菌株(菌種:Enterobacter aerogenes)(グリセロールストック)を取り出した後、20℃±2℃の水浴中で急速融解させた。次に、あらかじめ試験管に分注し滅菌した前培養用液体培地に一白金耳を植菌した。前培養用培地としてBGLB培地(日水製薬)を用いた。さらに、35℃ウォーターバスで18〜24時間振とう培養し、対数増殖期まで増殖させた後、普通寒天培地(日水製薬)の平板プレートに培養液0.2mlを滴下し、寒天表面に広がるようコンラージ棒で塗抹した。本プレートを35℃インキュベータで一晩静置培養した。平板表面に生えた菌を回収するため、滅菌生理食塩水10mlを滴下し、コンラージ棒を用いて寒天表面からコロニーを剥がし、生理食塩水中に懸濁させ、の懸濁液をピペットで回収し、無菌試験管に採取した。
当該懸濁液の一部を用いて濁度を測定した。尚、濁度の測定にはビオメリュー社のデンシマットを使用した。あらかじめ菌濃度と濁度の相関関係について予備試験を行い検量線を作成していたものを用いて得られた濁度より懸濁液の菌濃度を推定した。菌数は8×109/mlであると推定された。
次に、10%スキムミルク水溶液をあらかじめオートクレーブ滅菌し、別途滅菌した空のビーカーとスターラーバーにその200mlを無菌的に移し替え、スターラーで攪拌可能な状態としておき、懸濁液を生理食塩水で10倍に希釈した液を100μlを添加した。これにより菌濃度(4×106/ml)のスキムミルク懸濁液を調整した。次に、スターラーで攪拌しスキムミルク懸濁液中の菌濃度を均一化させた。
オートクレーブ滅菌したバキュームバイアル(日電理化硝子)に上記のスキムミルク懸濁液を1mlずつ分注した。さらに、滅菌済みのバキュームバイアル用ブチル栓(日電理化硝子)をバイアルの口に無菌的に乗せた。
次に液体窒素を用いてバイアル中のスキムミルク懸濁液を瞬間的に凍結させた後に自動封栓チャンバー式真空凍結乾燥機(朝日ライフサイエンス)で凍結乾燥した。具体的には、あらかじめー40℃に冷却しておいたチャンバーの棚にバイアルを並べ、13.3Pa以下までチャンバー内を減圧してから、毎分0.1℃ずつ棚温度を上昇させた。10時間後棚温度は20℃に達し、この時点でバイアル中のスキムミルク懸濁液は完全に乾燥されていた。
以上の方法により調製された凍結乾燥後の標準菌(Enterobacter aerogenes)について、−20℃の冷凍庫に保存して、初発、1〜3、5、8週目において、標準菌を10点づつ取り出し生菌数を測定した。生菌数の測定は、直接バイアルに生理食塩水5mlを加えて乾燥物を均一に懸濁し、この懸濁液中の菌濃度(個/ml)を、段階希釈と標準寒天培地を用いての混釈平板培養法により、35℃、48時間後の出現コロニー数をカウントして算出した。
それぞれの週における当該各菌数のデータ(個/ml)について対数値(底10)を計算1Qし、これらの標準偏差を求めた。
各週における菌数の対数値の標準偏差の変化及び菌数の対数値の平均値について以下の表1に示す。また、当該データをプロットしたものを図1に示す。
Figure 0005800491
前述したように標準偏差0.167以下であれば、精度管理の標準菌としても使用可能なバラツキと考えられ、上記の表にみられるように、概ね1週目〜7週目であれば使用可能と判断される。さらに、概ね1週目〜2週目すなわち、概ね7日〜14日程度であれば、測定される菌数のばらつきが最も少ないことを見出した。凍結乾燥後の標準菌株を7〜14日後に使用すると菌数のバラツキが少なく、本期間において標準菌を使用するのが精度管理で使用する場合に好適であることを示す結果である。
[試験例2]
試験例1より、標準菌を−20℃に保管後1週目〜2週目(7日目〜14日目)が菌数のバラつきの点で好適であることを示し、7日目と14日目のそれぞれの1日間におけるバラツキが精度管理に使用可能なことを見出した。一方、7日目から14日目の菌数平均は減少し、個々の1日についてはバラツキが小さく保たれていても、連続する2日以上の期間についてのバラツキの程度はそれより大きくなることが示唆された。同一ロットの標準菌について各検査施設で測定する場合、同日でなく数日間の測定日の違いがある場合も多い。
そこで連続する2日以上の期間にわたるバラツキについて以下の試験を行い、特に連続する3日間と5日間の標準偏差を求め、同一ロットについて異なる日における測定でも標準菌を精度管理として利用できるかどうかを試験した。
試験例1に示した方法と同様の方法によって、凍結乾燥株を調製した。すなわち、一般生菌数及び大腸菌群数については、標準菌としてEnterobacter aerogenesを用いた。また、大腸菌数としては、E.coliを用いて、その前培養用培地としてBGLB培地(日水製薬)を使用した。平板プレートには、大腸菌群としてデゾキシコレート培地、大腸菌としてXM-G培地を用いた。また、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は前培養用培地として7.5%食塩を含むSCDブイヨン(日水製薬)を使用し、平板プレートには、卵黄加マンニット食塩培地を用いた。その他の条件は試験例1に示した方法と同様である。
これらの各細菌を用いて凍結乾燥を終了し、各標準菌を完成させた後、−20℃で保管後6、7、8、9、10日目において各10点のサンプルの菌数を測定して、6〜10日間のすべての菌数(サンプル数50点)の平均と7〜9日間のすべての菌数(サンプル数30点)の平均を求め、それぞれの当該菌数の対数値(底は10)を算出した。これらの結果から、6〜10日間の標準偏差と7〜9日間の標準偏差を求めてこれらの平均を比較した結果を表2に示す。
Figure 0005800491
試験例1(一般生菌数)の7日目の標準偏差が0.045であったが、これと比較すると7日目〜9日目の3日間(サンプル数30点)の標準偏差は0.089、6日目〜9日目の5日間(サンプル数50点)では0.104となり、バラツキが大きくなった。3日間と5日間の比較においてこの傾向は一般生菌数のみに限らず、大腸菌群数、大腸菌数、黄色ブドウ球菌数においても見られた。
また同時に、表1の0、1、2週目における菌数(LOG10(平均))のデータから6〜10日の期間内における経時的な菌数の平均値の減少傾向も推定され、これらの減少が菌数の測定時のバラツキに影響している可能性が高い。一方、3日間又は5日間のいずれも場合であっても精度管理の標準菌として使用可能な標準偏差0.167以下を維持することができた。
但し、「6日目〜10日目の5日間」と「7日目〜9日目の3日間」の両者を比較すると精度管理に使用する場合、検査の期間を7〜9日の3日間とした方が6〜10日の5日間とするより信頼性の高い精度管理を行えるということが判明した。
以上から、同一ロットの標準菌について同日に測定できない場合でも、標準偏差が十分小さい3日間、すなわち7〜9日目であれば十分にバラツキを抑えて精度管理に用いることができることが判明した。

Claims (2)

  1. 細菌の菌数検査における精度管理のための菌数測定用標準菌の使用方法であって、前記菌数測定用の標準菌は培養・集菌し、所定の菌数となるようにスキムミルクを含む懸濁液に希釈された後に、凍結乾燥機により凍結乾燥する方法により製造されるものであって、前記凍結乾燥が終了した後7〜9日目の連続する3日間のうちいずれかの日に使用することを特徴とする菌数測定用の標準菌の使用方法。
  2. 請求項1に記載の標準菌の使用方法による菌数検査の精度管理方法。
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