JP5800424B2 - 湯水混合弁 - Google Patents

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本発明は、湯水混合弁に関するものである。
湯流入口と水流入口と混合水流出口と有し、内部に湯流入口に連通する湯室と、湯室に連通すると共に水流入口と混合水流出口とに連通する混合室とを有するケーシングと、ワックスを収容した感温部とワックスの膨張収縮により往復駆動されるピストンとを有しケーシング内に配設されたワックスエレメントとを備え、ワックスエレメントは混合室と湯室とに跨がって配設され、ワックスエレメントの一部がケーシング内面に形成されて湯室と混合室との間の仕切壁を形成する環状弁座に湯室側から当接離脱可能であることを特徴とする湯水混合弁が特許文献1に開示されている。
上記湯水混合弁においては、ワックスエレメントの一部が弁座に当接離脱することにより、混合室内の混合水温度、ひいては混合水流出口から流出する混合水温度が所定値に制御される。ワックスエレメントの作動に係わりなく混合室内に常時一定流量の水が流入するので、高温出湯が防止される。
特許第4540780号公報
特許文献1に記載された湯水混合弁には、湯水混合時にワックスエレメントの感温部が混合室と湯室とに跨がって存在するので、混合室内の混合水温度を正確に制御するのが困難であり、また、ワックスエレメントのピストンが湯室内に在りワックスエレメントのピストンとダイヤフラム間のグリスが流出してピストンの摺動抵抗が経時的に増加するので、温度調整の安定性が経時的に損なわれるという問題があった。
本発明は、湯流入口と水流入口と混合水流出口と有し、内部に湯流入口に連通する湯室と、湯室に連通すると共に水流入口と混合水流出口とに連通する混合室とを有するケーシングと、ワックスを収容した感温部とワックスの膨張収縮により往復駆動されるピストンとを有しケーシング内に配設されたワックスエレメントとを備える湯水混合弁であって、混合室内の混合水温度を正確に制御でき、温度調整の安定性が経時的に損なわれない湯水混合弁を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、湯流入口と水流入口と混合水流出口と有し、内部に湯流入口に連通する湯室と、湯室に連通すると共に水流入口と混合水流出口とに連通する混合室とを有するケーシングと、湯室と混合室との間の仕切壁を形成すると共にケーシング内面に形成された環状段部に周縁部が当接した停止位置から湯室側へ移動可能な環状の弁座形成体と、湯室内に配設され弁座形成体を停止位置へ向けて付勢する第1バネと、ワックスを収容した感温部とワックスの膨張収縮により往復駆動されるピストンとを有し、混合室内に配設され、ピストンの先端部が混合室囲壁に係止し、感温部のピストンから離隔する端部が弁座形成体の混合室側端面の内周縁部が形成する弁座に当接離脱可能なワックスエレメントと、ワックスエレメントをピストン先端部へ向けて付勢する第2バネとを備えることを特徴とする湯水混合弁を提供する。
本発明に係る湯水混合弁においては、湯水混合弁の下流側に配設された吐水栓が開かれると、水流入口を介して混合室内に水が流入する。また、湯流入口と湯室と弁座形成体の内周縁部が形成する弁座とワックスエレメントの感温部のピストンから離隔する端部との間の環状隙間とを通って混合室内に湯が流入する。混合室内で湯と水とが混合された後、適温の混合水が混合水流出口を介して湯水混合弁から流出する。混合室内の混合水の温度の昇降に対応して、第2バネの付勢力に抗してワックスエレメントが伸縮し、ワックスエレメントの感温部のピストンから離隔する端部が弁座に接近離隔して、前記端部と前記弁座との間の環状隙間が縮小拡大し、混合室へ流入する湯の流量が減少増大する。一方混合室へ流入する水の流量は一定である。この結果、混合室内の水と湯との混合比が所定値に自律制御されて、混合室内の混合水の温度、ひいては湯水混合弁から流出する混合水の温度が所定値に自律制御される。
湯水混合弁の下流側に配設された吐水栓が閉じられて、湯水混合弁内の湯、水の流れが停止すると、混合室内の混合水の温度が上昇し、ワックスエレメントのピストンが伸長し、ワックスエレメントの感温部のピストンから離隔する端部が弁座と当接して、湯室と混合室との連通が遮断されるが、前記当接部の僅かな隙間を介して微量の湯が混合室へ流入し続けるので、混合室内の混合水の温度が更に上昇し、ワックスエレメントのピストンが更に伸長する。この時、弁座が第1バネの付勢力に抗して環状段部から離脱し湯室側へ移動して、ワックスエレメントのピストンの伸長を吸収する。この結果、ワックスエレメントの損傷が防止される。
本発明に係る湯水混合弁においては、ワックスエレメントの作動に係わりなく混合室に常時所定流量の水が流入するので、混合水吐出開始時の高温水の流出が抑制される。
本発明に係る湯水混合弁においては、ワックスエレメントは混合室内に配設されており、ワックスエレメントの感温部は湯水混合時に混合室内に在るので、混合室内の混合水温度を正確に制御することができる。
本発明に係る湯水混合弁においては、ワックスエレメントのピストンの先端部が混合室の囲壁に係止しており、ピストンは湯室から遠ざかっているので、ピストンとダイヤフラム間のグリスの流出が抑制され、ピストンの摺動抵抗の経時的増加が抑制され、温度調整の安定性の経時的な低下が抑制される。
本発明の好ましい態様においては、第1バネは一端がケーシングに他端が弁座形成体に当接し、第2バネは一端がケーシングに他端がワックスエレメントに当接する。
本発明の好ましい態様においては、第1バネは一端がケーシングに他端が弁座形成体に当接し、第2バネは一端が弁座形成体に他端がワックスエレメントに当接する。
第2バネの一端はケーシングに係合しても良く、或いは弁座形成体に係合しても良い。
本発明の第1実施例に係る湯水混合弁の構造図である。(a)は開弁時の断面図であり、(b)は閉弁時の断面図であり、(c)は弁座移動時の断面図である。 本発明の第1実施例に係る湯水混合弁が備える弁座形成体と弁体の構造図である。(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は背面図であり、(d)は側断面図である。 本発明の第2実施例に係る湯水混合弁の構造図である。(a)は開弁時の断面図であり、(b)は閉弁時の断面図であり、(c)は弁座移動時の断面図である。 本発明の第2実施例に係る湯水混合弁が備える弁座形成体と弁体の構造図である。(a)は側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は背面図であり、(d)は側断面図である。
本発明の実施例に係る湯水混合弁を説明する。
図1に示すように、湯水混合弁1は、湯流入口2と水流入口3と混合水流出口4と有し、内部に湯流入口1に連通する湯室5と、湯室5に連通すると共に水流入口3と混合水流出口4とに連通する混合室6とを有するケーシング7を備えている。
湯流入口2は図示しない給湯配管を介して図示しない給湯装置に接続し、水流入口3は図示しない水道配管に接続し、混合水流出口4は図示しない混合水配管を介して図示しない吐水栓に接続している。
ケーシング7は、外観が略T字状の管部材である。T字の縦棒の横棒から離隔した端部が湯流入口2を形成し、T字の横棒の一端部が水流入口3を形成し、前記横棒の他端部が混合水流出口4を形成している。湯室5はT字の縦棒内に在り、混合室6はT字の縦棒と横棒との交差部に在る。
湯流入口2と湯室5との間に逆止弁8が配設され、湯室5の湯流入口側端部に環状のバネガイド9が係止している。
湯室5と混合室6との境界領域に形成され湯室5へ差し向けられた環状段部7aに環状の弁座形成体10の外周縁部が当接している。弁座形成体10は、混合室側端面の内周縁部に環状の弁座10aと、弁座10aの一部を取り囲む半円筒状のガイド10bとを有している。
一端がバネガイド9を介して湯室6囲壁に当接し他端が弁座形成体10の湯室側端面の外周縁部に当接した第1コイルバネ11が、弁座形成体10を環状段部7aへ向けて付勢して、弁座形成体10を、混合室側端面の外周縁部が環状段部7aに当接した停止位置に保持すると共に、バネガイド9を係止位置に保持している。
ワックスを収容した感温部12aとワックスの膨張収縮により往復駆動されるピストン12bとを有するワックスエレメント12が混合室6内に配設されている。ピストン12bの先端部は混合室6の囲壁に形成された凹部に嵌入係止しており、感温部12aのピストン12bから離隔する端部に円環板状の弁体13が係止している。図1、2に示すように、弁体13は円環板状の本体の湯室側端面から湯室側へ突出する4枚のガイド羽根13aを有している。ガイド羽根13aは弁座形成体10の中央穴に摺動可能に挿通されている。一端がバネガイド9を介して湯室囲壁に当接し、他端が弁体のガイド羽根13aに当接し、ひいては弁体13を介してワックスエレメントの感温部12aに当接した第2コイルバネ14が、弁体13ひいてはワックスエレメント12の感温部12aをピストン12b先端部へ向けて付勢している。
水流入口3と混合室6との間に逆止弁15が配設されている。
湯水混合弁1の作動を説明する。
湯水混合弁1の下流側に配設された吐水栓が開かれると、図1(a)から分かるように、水流入口3と逆止弁15とを介して混合室6内に水が流入する。また、湯流入口2と逆止弁8と湯室5と弁座形成体10の内周縁と弁体のガイド羽根13aとが形成する4個の穴と弁座10aと弁体13との間の環状隙間とを通って、混合室6内に湯が流入する。混合室6内で湯と水とが混合された後、適温の混合水が混合水流出口4を介して湯水混合弁1から流出し、下流側の吐水栓から吐出する。
混合室6内の混合水の温度の昇降に対応して、第2コイルバネ14の付勢力に抗してワックスエレメントのピストン12bが伸縮し、ワックスエレメントの感温部12aのピストン12bから離隔する端部が、ひいては当該端部に係止した弁体13が、弁座10aに接近離隔して、弁体13と弁座10aとの間の環状隙間が縮小拡大し、混合室6へ流入する湯の流量が減少増大する。一方混合室6へ流入する水の流量は一定である。この結果、混合室6内の水と湯との混合比が所定値に自律制御されて、混合室6内の混合水の温度、ひいては湯水混合弁1から流出し下流側の吐水栓から吐出する混合水の温度が所定値に自律制御される。
ワックスエレメントの感温部12aのピストン12bから離隔する端部が、ひいては当該端部に係止した弁体13が、弁座10aに接近離隔する際、弁体13が弁座形成体のガイド10bによって案内され、弁体のガイド羽根13aが弁座形成体10の中央穴周縁によって案内されることにより、弁体13ひいては感温部12aのスムーズな動きが実現される。
湯水混合弁1の下流側の吐水栓が閉じられて、湯水混合弁1内の湯、水の流れが停止すると、混合室6内の混合水の温度が上昇し、図1(b)に示すように、ワックスエレメントのピストン12bが伸長し、ワックスエレメントの感温部12aのピストン12bから離隔する端部が弁体13を介して弁座10aに当接して、湯室5と混合室6との連通が遮断されるが、前記当接部の僅かな隙間を介して微量の湯が混合室6へ流入し続け、混合室6内の混合水の温度が更に上昇し、ワックスエレメントのピストン12bが更に伸長する。この時、図1(c)に示すように、弁座形成体10が第1コイルバネ11の付勢力とと第2コイルバネ14の付勢力とに抗して環状段部7aから離脱し湯室側へ移動して、ワックスエレメントのピストン12bの伸長を吸収する。この結果、ワックスエレメント12の損傷が防止される。
湯水混合弁1においては、ワックスエレメント12の作動に係わりなく混合室6に常時所定流量の水が流入するので、下流側の吐水栓が開かれて混合水の吐出が開始される時に、湯水混合弁1から高温の湯が流出し、下流側の吐水栓から高温の湯が吐出する事態の発生が抑制される。
湯水混合弁1においては、ワックスエレメント12は混合室6内に配設されており、ワックスエレメントの感温部12aは湯水混合時に混合室6内に在るので、ピストン12bは混合室6内の混合水温度に確実に対応して伸縮する。この結果混合室内の混合水温度を正確に制御することができる。
湯水混合弁1においては、ワックスエレメントのピストン12bの先端部が混合室6の囲壁に係止しており、ピストン12bは湯室5から遠ざかっているので、ピストン12bとダイヤフラム間のグリスの流出が抑制され、ピストン12bの摺動抵抗の経時的増加が抑制され、温度調整の安定性の経時的な低下が抑制される。
上記実施例では、弁体13を弁座形成体のガイド10bが案内し、ガイド羽根13aを弁座形成体の中央穴周縁が案内して、ワックスエレメント12の感温部12aを弁座形成体10に対して案内したが、図3、4に示すように、ワックスエレメントの感温部12aのピストン12bから離隔する端部を弁座形成体10’の弁座10a’周囲に形成した弧状壁10b’と棒状突起10c’とで直接案内して、ワックスエレメント12を弁座形成体10’に対して案内しても良い。この場合、第2コイルバネ14’の一端を弁座形成体10’に当接させ他端をワックスエレトント12に直接当接させ、バネガイド9は配設せず、第1コイルバネ11’の一端を湯室囲壁に形成した環状段部に当接させても良い。第2コイルバネ14’の付勢力は第1コイルバネ11’の付勢力よりも小さく設定する必要がある。感温部12aのピストン12bから離隔する端部が弁座形成体10’の弁座10a’に当接した後は、第1コイルバネ11’の付勢力のみに抗して弁座形成体10’が移動することになる。上記構成には、バネガイド9と弁体13とを省略できるという利点がある。
本発明は、湯水混合弁に広く利用可能である。
1 湯水混合弁
2 湯流入口
3 水流入口
4 混合水流出口
5 湯室
6 混合室
7 ケーシング
8、15 逆止弁
9 バネガイド
10、10’ 弁座形成体
11、11’ 第1コイルバネ
12 ワックスエレメント
13 弁体
14、14’ 第2コイルバネ

Claims (3)

  1. 湯流入口と水流入口と混合水流出口と有し、内部に湯流入口に連通する湯室と、湯室に連通すると共に水流入口と混合水流出口とに連通する混合室とを有するケーシングと、湯室と混合室との間の仕切壁を形成すると共にケーシング内面に形成された環状段部に周縁部が当接した停止位置から湯室側へ移動可能な環状の弁座形成体と、湯室内に配設され弁座形成体を停止位置へ向けて付勢する第1バネと、ワックスを収容した感温部とワックスの膨張収縮により往復駆動されるピストンとを有し、混合室内に配設され、ピストンの先端部が混合室囲壁に係止し、感温部のピストンから離隔する端部が弁座形成体の混合室側端面の内周縁部が形成する弁座に当接離脱可能なワックスエレメントと、ワックスエレメントをピストン先端部へ向けて付勢する第2バネとを備えることを特徴とする湯水混合弁。
  2. 第1バネは一端がケーシングに他端が弁座形成体に当接し、第2バネは一端がケーシングに他端がワックスエレメントに当接することを特徴とする請求項1に記載の湯水混合弁。
  3. 第1バネは一端がケーシングに他端が弁座形成体に当接し、第2バネは一端が弁座形成体に他端がワックスエレメントに当接することを特徴とする請求項1に記載の湯水混合弁。
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