JP2015145697A - 定圧自動開閉弁 - Google Patents

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Abstract

【課題】チャタリングやキャビテーションを無くした定圧自動開閉弁を提供する。【解決手段】弁座2gに対して、その下流側の大シリンダ2bの受圧面積を大きくすることで、開弁後すぐに流体の圧力が大シリンダ2bで受圧する構造とし、さらに連通孔2fより小孔3d及び通路穴3eで構成した流体通路の断面積を小さくすることで、圧力降下の少ない流体の圧力を大シリンダ2bに受圧させることができる。このことで弁体3が開弁するとすぐに全開状態となり、その状態を維持することが可能なことから、チャタリングやキャビーションが防止ができる。【選択図】図2

Description

本発明は、消毒液による車両消毒装置の散布ノズルの手前に取り付ける定圧自動開閉弁に関する。
牧場などの畜産施設において、口蹄疫などの伝染病から家畜を護るため、本出願人のひとりが特許文献1(特開2012−115549号公報)の車両消毒装置を発明している。
この車両消毒装置は、畜産施設の入出場口に設置し、本装置を構成する建物内に設けたゲート体である装置本体を車両が通過する際に、車両消毒装置を作動させることで、複数のノズルから消毒液を噴射させて車両全体の殺菌消毒をおこなうものである。
寒冷地の牧場などの畜産施設では、冬、気温が氷点下になるため、消毒液を噴射しない非噴射時(車両消毒装置内に車両が入っていないときなど)は、消毒液を設定温度に加熱しノズル取付管内にて低圧で循環させて、冬期における消毒液の凍結防止を行っている。
ノズル取付管のノズル取付箇所には、ノズルと、そのノズルの上流側に定圧自動開閉弁(特許文献1では「圧力バルブ」と表記)が取り付けられており、この定圧自動開閉弁は、消毒液を噴射しない非噴射時は閉弁し、消毒液の噴射時は装置内のポンプが作動することでノズル取付管内の消毒液の圧力を設定圧力まで上昇させ、高圧の消毒液にすることで、閉弁から開弁に自動的に切り換わる。(特許文献1(図17)参照)
従来、車両消毒装置に取り付ける専用の定圧自動開閉弁は無く、汎用の逆流防止弁を代用しばねを強くして所定の圧力で開弁、閉弁させるようにしていた。
図3に、従来使用している逆流防止弁を改良した定圧自動開閉弁100の断面図を示す。
この定圧自動開閉弁100は、流入口側弁箱101a及び流出口側弁箱101bで構成された弁箱101に、流入口102、その下流側にカートリッジ室103、さらに流出口104を設け、前記カートリッジ室103には流出口104に向かって弁座105を形成し、ばね106によりボール形状の弁体107を弁座105に所定の力で押圧し、その下流側には流出口104に連通する連通孔108を形成するばね押さえ109を、カートリッジケース110に係止して成る交換容易なカートリッジ111を装着する構造である。
なお、弁箱101の流入口102側にはノズル取付管を、流出口104側にはノズルが接続される。(特許文献1(特開2012−115549号公報) 図17参照)
特許文献2(特開2012−7639号公報)は、気体を流体媒体とする逆流防止弁についての発明である。
これは弁体であるポペットが開閉するときのポペットのチャタリングを防止し、流体の流量を安定良く制御できる発明がなされている。
ポペットの胴体部をガイド部材により支持し、その後方であるガイド部材の流出側端部に圧力調整部材を装着することで、そのガイド部材内部に気体を封入して、開弁時に抜出孔より空気を抜き出し、ポペットに対して空気による適度な抵抗が生じることで、チャタリングを吸収制御させている。
特開2012−115549号公報 特開2012−7639号公報(図1)
しかしながら、図3に示す従来使用している逆流防止弁を改良した定圧自動開閉弁100は、車両消毒装置の消毒液噴射時に、ノズルから噴射される消毒液の噴射量は流量的に少量のため、カートリッジ111内の弁体107と弁座105間の弁開度は小さく、その流路に高圧の消毒液が流れることで、弁座105近傍で、弁体107のチャタリングやキャビテーションによる音が発生し、この現象により弁体107及び弁座105の損傷が起きてしまう可能性があった。
この損傷が起きてしまうと、弁体107と弁座105との密封性が低下し、消毒液の非噴射時に消毒液の漏洩が発生してしまい消毒液が無駄になるおそれがあった。
また、特許文献2(特開2012−7639号公報)を参考に、前記の定圧自動開閉弁100の弁体107のチャタリングやキャビテーションが引き起こす諸問題を解決するにしても、特許文献2は流体媒体が気体であることからキャビテーションの発生に対する対応を考慮しなくてもよいため、特許文献2の技術をもとに液体を扱う定圧自動開閉弁100でのキャビテーションの問題を解決できず、さらに特許文献2はチャタリングを防止するために装置のガイド部材内部に気体を封入させる構造を、液体を扱う定圧自動開閉弁100に採用するのは困難である。
以上に鑑み、本発明は上記課題を解決したもので、圧力だけで作動することにより流量と圧力を起因とする弁のチャタリングや弁周りに発生するキャビテーションを無くし、弁としての耐久性を良くした定圧自動開閉弁を提供することを目的とする。
本発明の定圧自動開閉弁は、上記目的を達成するために、
流入口、その下流側に順に連通孔、大シリンダ、小シリンダ、ストッパー部、流出口を同軸上にそれぞれ連通し、前記連通孔の大シリンダ側の開口部にシリンダ方向に向かって弁座を形成し、前記弁座より前記大シリンダの受圧面積を大きくした弁箱と、
大径部、小径部からなる弁体は、前記大径部の端部に前記弁座に当接するパッキンを装着させ、該パッキンの下流側に大シリンダ、小シリンダの水密性を図る大リングゴム、小リングゴムをそれぞれ前記大径部、小径部に装着し、該小径部には端部に開口する通路穴を設け、該通路穴に前記パッキンと大リングゴムの間の弁体外周面から中心軸に向かう複数個の小孔を連通させて流体通路を形成し、その流体通路である前記小孔及び前記通路穴の各断面積を前記連通孔の断面積より小さくなるように設け、
前記弁体を前記弁箱の前記大シリンダ、小シリンダに嵌合挿入させ、前記大リングゴムと小リングゴム間で挟まれる大気室を常に大気開放させるために、前記大シリンダと小シリンダの境界近傍の弁箱側部に大気貫通孔を設け、さらに前記大気室には弁体を常に弁座側に押圧するばねを設けたことを特徴とする。
本発明によれば、車両消毒装置が消毒液を噴射しない非噴射時(車両消毒装置内に車両が入っていないときなど)には、車両消毒装置内の消毒液が低圧であり、その圧力が定圧自動開閉弁の弁体を弁座側に押圧しているばねの押圧力より小さいために、パッキンを装着する弁体を弁座から離脱させず閉弁状態を維持させることができる。
一方、車両消毒装置の消毒液の噴射時には、装置内のポンプ作動により消毒液は低圧から高圧状態になり、その消毒液の圧力が弁体を弁座側に押圧しているばねの押圧力より勝るため、ばねをたわませて弁体が開弁方向に移動し始め、その後、消毒液は流入口及び連通孔を介し弁座の下流側に流れ、さらに弁部の外周、小孔、通路穴を通り、流出口へ流れノズルに供給される。
弁座に対して、その下流側の大シリンダの受圧面積を大きくし、弁体が開弁後すぐに消毒液の圧力が大シリンダでも受圧する構造であり、さらに連通孔より小孔及び通路穴で構成した流体通路の各断面積を小さくすることで、圧力降下の少ないできる限り高圧のままの消毒液の圧力を大シリンダに受圧させることができる構造を採用しているので、消毒液の流量に関係なく圧力により弁体は開弁するとすぐに全開状態となり、その状態を維持することができる。
さらに、消毒液の圧力は上記のように大シリンダで受圧する他に、小孔、通路穴を介して小シリンダでも受圧し、弁体を弁座側に移動させる力も作用するが、大リングゴムと小リングゴムで挟まれる大気室が大気貫通孔により常に大気開放されており、大シリンダと小シリンダでそれぞれ受圧する面積差、つまり大シリンダのほうが小シリンダより受圧面積が大きいことによる作用力も伴って、弁体は開弁するとすぐに全開状態となり、その状態を維持する。
このように車両消毒装置の消毒液の噴射時には、定圧自動開閉弁の弁体が開弁後すぐに全開状態となり十分な弁開度を確保できるので、従来技術のような流量や圧力を起因とする定圧自動開閉弁のチャタリングあるいはキャビテーションの発生はなく、これにより弁体および弁座の損傷はなくなり耐久性のある安定した定圧自動開閉弁を提供することができる。
本発明の一実施例を示す定圧自動開閉弁において、閉弁時を示す断面図である。 本発明の一実施例を示す定圧自動開閉弁において、開弁時(全開)を示す断面図である。 従来使用している、逆流防止弁を改良した定圧自動開閉弁の断面図である。
本発明の一実施の形態について図面を参照にして説明する。
図1は、本発明の一実施例を示す定圧自動開閉弁1において、閉弁時を示す断面図である。
弁箱2は、流入口側弁箱21及び流出口側弁箱22で構成される組立体であり、流入口2a、その下流側に順に大シリンダ2b、小シリンダ2c、ストッパー部2d、流出口2eを形成し、さらに前記流入口2aと前記大シリンダ2bを同軸上に連通する連通孔2f、その連通孔2fの大シリンダ2b側の開口部にはシリンダ方向に向かって弁座2gを形成されている。
弁体3は、大径部3aと小径部3bを設けた形状で、前記弁箱2の大シリンダ2b及び小シリンダ2cの両方に跨るように嵌合挿入され、ばね4により常に弁座2g方向に押圧力を受けている。
さらに弁体3は、前記大径部3aの一端側の端部に、前記弁座2gに当接するパッキン5を装着した弁部3cと、さらに前記大径部3aには、前記大シリンダ2bを摺動する大リングゴム6が装着されている。
ちなみに前記弁部3cの直径は、つば部3fの直径より若干小さくして、消毒液を流出口2eへ流す流量を確保するための流路としている。
さらに前記小径部3bには、前記小シリンダ2cを摺動する小リングゴム7が装着されている。
また、前記大径部3aの弁部3cには、パッキン5と大リングゴム6との間に、その外周面から中心軸に向かって複数個の小孔3dが設けられており、該小孔3dと前記小径部3bの端部に開口する通路穴3eとが連通されている。
この流体通路である前記小孔3dと前記通路穴3eの各穴の断面積は、前記連通孔2fの断面積より小さくなるように設計されている。
また、前記大リングゴム6と小リングゴム7間で挟まれる大気室30を常に大気開放させるために、前記大シリンダ2bと小シリンダ2cの境界近傍に大気貫通孔2hを設け、さらにこの大気室30には、弁体3を常に弁座2g側に押圧するばね4が設けられている。
前記ばね4の仕様は、該大気室30に設けるために弁体3の前記大径部3aより小径で、且つ前記小径部3bより大径となっている。
なお、前記大リングゴム6及び前記小リングゴム7は、できるだけ摺動抵抗が少なくなるよう、断面Y状の一方向密封性パッキンを使用しているが、摺動抵抗が少なくなるのであればこれに拘るものではない。
本発明の定圧自動開閉弁1の車両消毒装置への設置場所については、図3に示した従来使用している逆流防止弁を改良した定圧自動開閉弁100と同様であり、弁箱2の流入口2a側にはノズル取付管を、流出口2e側にはノズルが接続される。(特許文献1(特開2012−115549号公報) 図17参照)
次に、図1を用いて、本発明の定圧自動開閉弁1の閉弁時について説明する。
車両消毒装置内に車両進入が無い時、装置内のポンプは作動していないため、装置内の消毒液は低圧状態となっている。
そのため定圧自動開閉弁1の流入口2aには、低圧の消毒液が充てんされている。
消毒液の圧力は、流入口2a、連通孔2f及び弁座2gを介して弁体3に装着したパッキン5に作用するが、その圧力が弁体3を弁座2g側に押圧しているばね4の押圧力より小さいために、パッキン5を装着する弁体3を弁座2gから離脱させず閉弁状態を維持させている。
次に、図2を用いて、本発明の定圧自動開閉弁1の開弁時について説明する。
図2は、本発明の一実施例を示す定圧自動開閉弁1において、開弁時(全開)を示す断面図である。
車両消毒装置内に車両が進入すると、ポンプが作動することにより消毒液の圧力はそれまでの低圧から高圧状態に上昇する。
すると、定圧自動開閉弁1の流入口2aには高圧の消毒液が流入し、消毒液の圧力は弁座2gを介して弁体3に装着したパッキン5に作用し、その圧力が弁体3を弁座2g側に押圧しているばね4の押圧力より勝るため、ばね4をたわませて弁体3が開弁方向に移動し始める。
また十分な供給流量、圧力で消毒液が送られてくるため、弁体3に装着したパッキン5が弁座2gから離脱すると、消毒液は流入口2a及び連通孔2fを介し弁座2gの下流側に流れ、さらに消毒液は弁部3cの外周、小孔3d、通路穴3eを通り、流出口2eへ流れノズルに供給される。
弁体3が開弁後すぐに、消毒液の圧力は大シリンダ2bに密着する大リングゴム6でも受圧する。
弁座2gの受圧面積に対して、大シリンダ2bの受圧面積が大きくなるように設計しているので、消毒液の流量に関係なく圧力により弁体3は開弁するとすぐに全開状態(小径部3b端部がストッパー部2dに移動)となり、その状態を維持する。
さらに、消毒液の圧力は上記のように大シリンダ2bで受圧する他に、小孔3d、通路穴3eを介して小シリンダ2cでも受圧し、弁体3を弁座2g側に移動させる力も作用するが、大リングゴム6と小リングゴム7で挟まれる大気室30が大気貫通孔2hにより常に大気開放されており、大シリンダ2bと小シリンダ2cでそれぞれ受圧する面積差、つまり大シリンダ2bのほうが小シリンダ2cより受圧面積が大きいことによる作用力も伴って、弁体3は開弁するとすぐに全開状態となり、その状態を維持する。
この時、連通孔2fの断面積より小孔3d及び通路穴3eの各断面積を小さくすることで、圧力降下の少ないできる限り高圧のままの消毒液の圧力を大シリンダ2bに受圧させることができるため、弁体3が開弁後から全開になるまでの応答性を助長させている。
車両への消毒作業が終了すると、車両消毒装置内のポンプが停止することで、それまで車両消毒装置内を流れていた消毒液が高圧から低圧状態に切り換わる。
すると、弁体3の大シリンダ2b及び小シリンダ2cで受圧していた定圧自動開閉弁1内の圧力も下がるため、弁体3を弁座2g側に押圧しているばね4の力が、消毒液が低圧になることで弁体3を開弁方向に移動させていた力より勝り、パッキン5が弁座2gに密着することで弁体3が再び閉弁状態となり、弁座2gより下流側のノズルまでの流路は、消毒液が供給されず大気圧の状態になる。(図1の状態)
以上のように本発明の定圧自動開閉弁は、消毒液の圧力が低圧もしくは高圧であるかによって弁体を自動的に閉弁もしくは開弁することができる。
さらに開弁後すぐに、消毒液の圧力を弁座の受圧面積より大きい大シリンダで受圧するため、流量には関係なく一気に全開まで開弁し十分な弁開度を確保できるので、図3に示す従来技術のような流量と圧力を起因とするチャタリングやキャビテーションの発生は無く、これにより弁体や弁座の損傷は無くなり、耐久性のある安定した定圧自動開閉弁を提供することができる。
1 、100 定圧自動開閉弁
2 弁箱
21 流入口側弁箱
22 流出口側弁箱
2a 流入口
2b 大シリンダ
2c 小シリンダ
2d ストッパー部
2e 流出口
2f 連通孔
2g 弁座
2h 大気貫通孔
3 弁体
3a 大径部
3b 小径部
3c 弁部
3d 小孔
3e 通路穴
3f つば部
4 ばね
5 パッキン
6 大リングゴム
7 小リングゴム
30 大気室
101 弁箱
101a 流入口側弁箱
101b 流出口側弁箱
102 流入口
103 カートリッジ室
104 流出口
105 弁座
106 ばね
107 弁体
108 連通孔
109 ばね押さえ
110 カートリッジケース
111 カートリッジ

Claims (1)

  1. 流入口、その下流側に順に連通孔、大シリンダ、小シリンダ、ストッパー部、流出口を同軸上にそれぞれ連通し、前記連通孔の大シリンダ側の開口部にシリンダ方向に向かって弁座を形成し、前記弁座より前記大シリンダの受圧面積を大きくした弁箱と、
    大径部、小径部からなる弁体は、前記大径部の端部に前記弁座に当接するパッキンを装着させ、該パッキンの下流側に大シリンダ、小シリンダの水密性を図る大リングゴム、小リングゴムをそれぞれ前記大径部、小径部に装着し、該小径部には端部に開口する通路穴を設け、該通路穴に前記パッキンと大リングゴムの間の弁体外周面から中心軸に向かう複数個の小孔を連通させて流体通路を形成し、その流体通路である前記小孔及び前記通路穴の各断面積を前記連通孔の断面積より小さくなるように設け、
    前記弁体を前記弁箱の前記大シリンダ、小シリンダに嵌合挿入させ、前記大リングゴムと小リングゴム間で挟まれる大気室を常に大気開放させるために、前記大シリンダと小シリンダの境界近傍の弁箱側部に大気貫通孔を設け、さらに前記大気室には弁体を常に弁座側に押圧するばねを設けた車両消毒装置用の定圧自動開閉弁。
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