JP5799696B2 - トナーの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トナーの製造方法に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置では、以下のようにして、カラー画像が形成される。
まず、カラー原稿に照明を当てることにより得られる反射光像を、カラーCCDを用いて、色分解して読み取った後、画像処理装置を用いて、所定の画像処理、色補正等を施し、複数色の画像信号を得る。
次に、半導体レーザー等を用いて、得られた複数色の画像信号に基づいて変調されたレーザー光線を感光体に、一色ずつ複数回照射することにより、複数の静電潜像を形成する。
さらに、複数の静電潜像を、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のカラートナーで順次現像することにより形成された4色のトナー像を用紙に転写した後、定着装置を用いて、加熱定着することにより、カラー画像が形成される。
このようにして形成されたカラー画像は、加熱定着する際に、表面がある程度平滑化されるため、ある程度の光沢を有するが、限界がある。
一方、カラー画像の光沢に対する好みは、画像の種類、使用目的等によって異なるが、カラー画像が人物、風景等の写真原稿である場合には、鮮明な画像を得るという観点から、高光沢な画像が好まれる傾向にある。
そこで、高光沢な画像を形成する方法としては、用紙に転写された4色のトナー像上に透明トナーをさらに形成する方法が知られている。
このような透明トナーの製造方法としては、液中乾燥法、乳化凝集法、溶融懸濁法、溶解懸濁法等の湿式製法が知られている。
なお、透明トナーは、着色剤を含まないため、粉砕性が悪い。
一方、トナーの製造方法として、噴霧乾燥法が知られている。
しかしながら、噴霧乾燥法を用いて製造されたトナーは、粒度分布が広いという問題がある。
特許文献1には、樹脂と着色剤とを含有するトナー用材料の溶解乃至分散液を、一定の周波数で振動させたノズルから吐出させて、液滴とし、液滴を乾燥させるトナーの製造方法が開示されている。
しかしながら、離型剤を含む透明トナーを製造すると、吐出口の目詰まりが発生しやすいという問題がある。
特許文献2には、樹脂及び離型剤を含み、着色剤を含まないトナー材料を有機溶媒に溶解又は分散させたトナー材料液を、複数の吐出口が形成されている膜を有する貯留部材に供給する工程と、膜を振動させることにより、複数の吐出口からトナー材料液を吐出する工程と、複数の吐出口から吐出された液滴を乾燥させ、母体粒子を形成する工程とを有するトナーの製造方法が開示されている。このとき、吐出口の開口径に対するトナー材料液中の離型剤の重量平均粒径の比が1%以上30%以下である。
しかしながら、生産性の向上が望まれている。
本発明は、上記従来技術が有する問題に鑑み、生産性に優れ、吐出口の目詰まりの発生を抑制すると共に、粒度分布が狭い透明トナーを製造することが可能なトナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明のトナーの製造方法は、樹脂及び離型剤を含むトナー組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させたトナー組成物液を、液滴吐出ユニットの液室に形成されている吐出口から吐出して液滴を形成する工程を有し、
前記吐出口の開口径に対する前記トナー組成物液中の前記離型剤の重量平均粒径の比が0.01以上0.30以下であり、前記トナー組成物液を前記吐出口から吐出する際に、前記液室に設置されている振動発生部材から発生した高周波振動により、前記液室内に液柱共鳴による定在波を形成し、前記吐出口は、前記液室の該定在波の腹となる領域に形成されており、前記液室の長手方向の両端のフレーム間の長さをL[m]、前記トナー組成物液中の音速をc[m/s]、前記振動発生部材の駆動周波数をf[Hz]とすると、
f=N×c/(4L)
(但し、Nは自然数である。)
を満たす
本発明によれば、生産性に優れ、吐出口の目詰まりの発生を抑制すると共に、粒度分布が狭い透明トナーを製造することが可能なトナーの製造方法を提供することができる。
本発明で用いられる液滴吐出ユニットの一例を示す断面図である。 図1のノズルの断面形状を示す図である。 図1のノズルの断面形状の変形例を示す図である。 液柱共鳴による定在波の速度及び圧力の分布を示す図である。 液柱共鳴による定在波の速度及び圧力の分布を示す図である。 図1の液室内に形成される液柱共鳴による定在波を説明する断面図である。 本発明で用いられるトナーの製造装置の一例を示す図である。 本発明で用いられる液滴吐出ユニットの他の例を示す断面図である。
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
本発明のトナーの製造方法は、樹脂及び離型剤を含むトナー組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させたトナー組成物液を、液滴吐出ユニットの液室に形成されている吐出口から吐出させて液滴を形成する工程を有する。
図1に、本発明で用いられる液滴吐出ユニットの一例を示す。なお、図1(a)及び(b)は、それぞれ側方断面図及び下方断面図である。
液滴吐出ユニット10は、液室11及び液共通供給流路12を有し、液室11は、液共通供給流路12と連通口13により接続されている。また、液室11の下部に、液滴Dを吐出するノズル14aが形成されているノズル板14が設置されている。さらに、液室11の上部に、液柱共鳴による定在波を形成するために高周波振動を発生させる振動発生部材15が、弾性板16を介して、設置されており、振動発生部材15には、高周波電源(不図示)が接続されている。
トナー組成物液は、循環ポンプ(不図示)により、液供給管を(不図示)を経由して、液共通供給流路12に供給され、液室11に充填される。そして、トナー組成物液が充填されている液室11内には、振動発生部材15から発生した高周波振動により、液柱共鳴による定在波が形成される。そして、液室11の液柱共鳴による定在波の腹となる領域、即ち、液室11の液柱共鳴による定在波において圧力の変動が大きい領域に形成されているノズル14aから液滴Dが吐出される。液柱共鳴による定在波の腹となる領域とは、液柱共鳴による定在波の波長方向の圧力の節を除く領域を意味する。このとき、ノズル14aは、液室11の定在波の波長方向の圧力の腹からの距離が定在波の波長の1/4未満である領域に形成されていることが好ましい。
ノズル14aが液室11の定在波の腹となる領域に形成されているため、複数のノズル14aからほぼ均一な液滴Dを吐出することができる。また、効率的に液滴Dを吐出することができ、その結果、トナーの生産性を向上させることができる。さらに、ノズル14aの目詰まりの発生を抑制することができる。
なお、液共通供給流路12を通過したトナー組成物液は、液戻り管(不図示)を経由して原料収容器(不図示)に戻される。
また、液滴Dを吐出することにより、液室11内のトナー組成物液の量が減少すると、液室11内に形成された定在波による吸引力が作用し、液共通供給流路12を通過するトナー組成物液の流量が増加し、液室11内にトナー組成物液が補充される。そして、液室11内にトナー組成物液が補充されると、液共通供給流路12を通過するトナー組成物液の流量が元に戻る。
液室11は、金属、セラミックス、シリコン等の振動発生部材15の駆動周波数において、液柱共鳴による定在波の周波数に影響を及ぼさない程度の高い剛性を有するフレームが接合されて形成されている。
液室11の長手方向の両端のフレーム間の長さLは、後述する液柱共鳴の原理に基づいて決定される。
液室11の幅Wは、液柱共鳴による定在波の周波数に影響を及ぼさないように、0.5L以下であることが好ましい。
液滴吐出ユニット10は、複数の液室11が設置されているため、トナーの生産性を向上させることができる。
液室11が設置されている個数は、通常、100〜2000個である。液室11が設置されている個数が100個未満であると、生産性が不十分となることがあり、2000個を超えると、操作性が低下することがある。
このとき、各液室11は、トナー組成物液を供給するための連通口13により液共通供給流路12と接続されている。
振動発生部材15としては、所定の駆動周波数で駆動することが可能であれば、特に限定されないが、二枚の電極により挟持されている圧電体が好ましい。
圧電体としては、特に限定されないが、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶等が挙げられる。
振動発生部材15は、液室11毎に設置されていることが好ましい。このとき、複数の振動発生部材15は、材質が同一であることが好ましい。
弾性板16は、振動発生部材15がトナー組成物液と接触しないように液室11の上部に設置されている。
弾性板16を構成する材料としては、特に限定されないが、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イリジウム、酸化ルテニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化オスミウム、酸化レニウム、酸化ロジウム、酸化パラジウム等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
ノズル板14を構成する材料としては、特に限定されないが、ステンレス鋼、ポリイミド等が挙げられる。
ノズル14aの開口径に対するトナー組成物液中の離型剤の重量平均粒径の比は、0.01〜0.30であり、0.03〜0.20が好ましい。ノズル14aの開口径に対するトナー組成物液中の離型剤の重量平均粒径の比が0.01未満であると、母体粒子中の離型剤の粒径が小さくなって、トナーの耐オフセット性が低下する。一方、ノズル14aの開口径に対するトナー組成物液中の離型剤の重量平均粒径の比が0.30を超えると、トナー組成物液中の離型剤の粒径が大きくなって、ノズル14aの目詰まりが発生しやすくなると共に、母体粒子の粒度分布が広くなる。
ノズル14aの開口径は、通常、1〜40μmであり、3〜35μmが好ましい。ノズル14aの開口径が1μm未満であると、ノズル14aの目詰まりが発生しやすくなることがあり、40μmを超えると、粒度分布が狭い母体粒子を形成することが困難になることがある。
なお、ノズルの開口径とは、ノズルの断面形状が真円であれば、直径を意味し、ノズルの断面形状が楕円であれば、短径を意味する。
また、ノズルの開口径が変化する場合、ノズルの開口径とは、ノズルの開口径の最小値を意味する。
液滴吐出ユニット10は、複数のノズル14aが幅方向に形成されているため、トナーの生産性を向上させることができる。
ノズル14aの断面形状は、上部から下部に向かって一定の角度θを保持しながら、開口径が小さくなるテーパー形状である。これにより、振動発生部材15が高周波振動を発生させる際に、ノズル14aの最下部でトナー組成物液に印加される圧力が最大となるため、トナー組成物液を安定に吐出することができる。
θは、通常、60〜90°である。θが60°未満であると、ノズル14aの最下部でトナー組成物液に圧力が印加されにくくなることがある。一方、θが90°を超えると、ノズル14aの最下部でトナー組成物液に圧力が印加されなくなるため、トナー組成物液を安定に吐出することができなくなる。
図3に、ノズル14aの断面形状の変形例を示す。
図3(a)のノズルの断面形状は、上部から下部に向かってラウンド形状を保持しながら、開口径が小さくなる。これにより、振動発生部材15が高周波振動を発生させる際に、ノズル14aの最下部でトナー組成物液に印加される圧力が最大となるため、トナー組成物液を安定に吐出することができる。
図3(b)のノズルの断面形状は、図3(a)のノズルの断面形状において、θが90°である場合とノズル14aの断面形状を組み合わせた形状である。このように段階的に断面形状を変更してもよい。
次に、液滴吐出ユニット10において、液滴が吐出されるメカニズムについて説明する。
まず、液滴吐出ユニット10の液室11において、液柱共鳴の原理について説明する。
トナー組成物液中の音速をc[m/s]とし、振動発生部材15の駆動周波数をf[Hz]、液室11内に形成される液柱共鳴による定在波の波長をλ[m]とすると、式
f=c/λ・・・(1)
が満たされる。
また、液共通供給流路12の底面から連通口13の底面までの高さhは、連通口13の高さhの約2倍以上である。このため、両端が閉鎖されている、即ち、閉口端と等価であるとすると、式
L=(N/4)λ・・・(2)
(但し、Nは正の偶数である。)
を満たす場合に、液柱共鳴による定在波が最も効率的に形成される。
さらに、両端が開口端であるとすると、式(2)を満たす場合に、液柱共鳴による定在波が最も効率的に形成される。同様にして、一端が閉口端で他端が開口端であるとすると、式
L=(N/4)λ・・・(3)
(但し、Nは正の奇数である。)
を満たす場合に、液柱共鳴による定在波が最も効率的に形成される。
以上のことから、液柱共鳴による定在波が最も効率的に形成される駆動周波数fは、式(1)〜(3)より、
f=N×c/(4L)・・・(4)
(但し、Nは自然数である。)
となる。
しかしながら、実際には、トナー組成物液は、液柱共鳴による定在波を減衰させる粘性を有するため、無限に振動が増幅されずに、Q値を有し、後述する式(5)、(6)に示すように、式(4)から求められるfの近傍の駆動周波数であっても、液柱共鳴による定在波は形成される。
図4、5に、液柱共鳴による定在波の速度及び圧力の分布を示す。なお、液柱共鳴による定在波は、本来、疎密波(縦波)であるが、図4、5のように表記することが一般的である。また、実線及び点線は、それぞれ液柱共鳴による定在波の速度及び圧力の分布である。
例えば、N=1、L=λ/4である液柱共鳴による定在波(図4(a)参照)は、閉口端で速度の振幅が0となり、開口端で速度の振幅が最大となる。
このとき、式(4)において、Nが1〜5である場合に、液柱共鳴による定在波が最も効率よく形成される。このとき、端部が開口端であるか閉口端であるかにより、液柱共鳴による定在波が異なる。後述するように、ノズル14aの開口の状態や連通口13の開口の状態により、端部の条件が決定される。
なお、音響学において、閉口端とは、長手方向の媒質の速度が0となり、圧力が極大となる端である。また、開口端とは、長手方向の媒質の速度が極大となり、圧力が0となる端である。閉口端は、音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。完全に閉口又は開口している場合は、図4、5に示すような液柱共鳴による定在波が形成されるが、ノズル14aの個数、ノズル14aの配置、ノズル14aの断面形状により、液柱共鳴による定在波の周波数が変動する。このため、振動発生部材15の駆動周波数は、式(4)から求められるfとは異なるが、後述するように、適宜調整すればよい。
例えば、トナー組成物液の音速cが1200m/sであり、液室11の長さLが1.85mmであり、液室11の連通口13と接続されている側の端が閉口端と等価である場合に、N=2とすると、式(3)から、fは、324kHzとなる。同様の条件で、N=4とすると、式(3)から、fは、648kHzとなる。
液室11は、液柱共鳴による定在波の周波数を増大させるために、液室11の連通口13と接続されている側の端が閉口端と等価であるか、ノズル14aの開口の状態により、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが好ましいが、開口端であってもよい。ここで、ノズル14aの開口の状態とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなる状態を意味する。このため、図4(b)及び図5(a)に示す液柱共鳴による定在波は、両側の閉口端で速度の振幅が0となり、好ましい。
また、ノズル14aの個数、ノズル14aの配置、ノズル14aの断面形状も、振動発生部材15の駆動周波数を決定する因子となる。例えば、ノズル14aの個数が増加すると、液室11のノズル14aが形成されている側の閉口端の拘束が徐々に緩くなって、ほぼ開口端に近い液柱共鳴による定在波が形成され、駆動周波数が増大する。さらに、連通口13に最も近い側に形成されているノズル14aの位置を起点にして、緩い拘束条件となり、ノズル14aの断面形状がラウンド形状となったり、ノズル板14の厚さによりノズル14a体積が変動したりして、定在波の波長が短くなり、振動発生部材15の駆動周波数よりも大きくなる。このように決定された駆動周波数に対応する電圧を振動発生部材15に印加すると、最も効率よく液柱共鳴による定在波が形成される。また、液柱共鳴による定在波が最も効率よく形成される駆動周波数の近傍の駆動周波数であっても、液柱共鳴による定在波は形成される。具体的には、液室11のノズル14aが形成されている側の閉口端から連通口13に最も近い側に形成されているノズル14aまでの距離をLeとすると、式
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le)・・・(5)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le)・・・(6)
で表される範囲の駆動周波数fを主成分とする駆動周波数に対応する電圧を印加して振動発生部材15を振動させて、液柱共鳴による定在波を形成して液滴Dをノズル14aから吐出することができる。
このとき、式
Le/L>0.6
を満たすことが好ましい。
このような液柱共鳴の原理を用いて、液室11内に液柱共鳴による定在波が形成され、液室11の液柱共鳴による定在波の腹となる領域に形成されているノズル14aから連続的に液滴Dが吐出される。このとき、液室11の液柱共鳴による定在波の圧力の腹となる領域にノズル14aを形成すると、液滴Dの吐出効率が大きくなり、振動発生部材15を振動させる際に印加する電圧を小さくすることができる。
液室11に形成されているノズル14aの個数は、1個でもよいが、生産性の観点から、2〜100個であることが好ましい。液室11に形成されているノズル14aの個数が100個を超えると、振動発生部材15に印加する電圧を大きくする必要があり、振動発生部材15の挙動が不安定になることがある。
2個以上のノズル14aを形成する場合、ノズル14a間のピッチは、20μm以上であることが好ましい。ノズル14a間のピッチが20μm未満であると、隣接するノズル14aから吐出された液滴Dが衝突する確率が高くなり、トナーの粒度分布が低下することがある。
次に、図6を用いて、液室11内に形成される液柱共鳴による定在波を説明する。なお、図6(a)は、液滴Dを吐出する時の液室11内に形成される液柱共鳴による定在波を説明する図であり、図6(b)〜(e)は、液室11内に形成される液柱共鳴による定在波の変化を説明する図である。ここで、実線及び点線は、それぞれ液柱共鳴による定在波の速度及び圧力の分布である。また、液柱共鳴による定在波の速度は、図中、左向きを+とし、右向きを−とする。さらに、液柱共鳴による定在波の圧力は、大気圧に対して正圧を+とし、負圧を−とする。即ち、大気圧に対して正圧であれば、図中、下向きの圧力が加わることになり、大気圧に対して負圧であれば、図中、上向きの圧力が加わることになる。また、図6は、前述したように、両端が閉口端であるという近似的な条件における速度及び圧力の分布を示す。
まず、液滴Dを吐出する時は、液室11のノズル14aが形成されている領域の液柱共鳴による定在波の圧力が極大となっており、液柱共鳴による定在波の速度が0となっている(図6(a)、(b)参照)。次に、液室11のノズル14aが形成されている領域の液柱共鳴による定在波の圧力が減少して0となり、液柱共鳴による定在波の速度が極小となる(図6(c)参照)。即ち、液柱共鳴による定在波の圧力が大気圧となり、液柱共鳴による定在波の右向きの速度が極大となる。さらに、液室11のノズル14aが形成されている領域の液柱共鳴による定在波の圧力が極小となり、液柱共鳴による定在波の速度が0となる(図6(d)参照)。このとき、液供給共通路12から、連通口13を経由してトナー組成物液の供給が開始される。次に、液室11のノズル14aが形成されている領域の液柱共鳴による定在波の圧力が増大して0となり、液柱共鳴による定在波の速度が極大となる(図6(e)参照)。即ち、液柱共鳴による定在波の圧力が大気圧となり、液柱共鳴による定在波の左向きの速度が極大となる。このとき、トナー組成物液の供給が終了される。さらに、液室11のノズル14aが形成されている領域の液柱共鳴による定在波の圧力が極大となり、液柱共鳴による定在波の速度が0となり、液滴Dを吐出する時の状態に戻る。以上のような動作を繰り返すことにより、液柱共鳴による定在波の周波数に応じて、ノズル14aから液滴Dが連続的に吐出される。
以上のようにしてノズル14aから吐出された液滴Dを乾燥させた後に、捕集することにより、母体粒子が得られる。
液滴Dを乾燥させる方法としては、特に限定されないが、気流中で液滴Dを乾燥させる方法等が挙げられる。
液滴Dを乾燥させる際には、気流の温度や蒸気圧、気体の種類等を適宜選択して乾燥状態を調整することができる。また、液滴Dを完全に乾燥させなくても、捕集された粒子が固体状態を維持していれば、捕集された粒子を二次乾燥させてもよい。
液滴Dが乾燥した粒子を捕集する方法としては、特に限定されないが、サイクロン捕集、バックフィルター等が挙げられる。
図7に、本発明で用いられるトナーの製造装置の一例を示す。
トナーの製造装置100には、液滴吐出ユニット10、トナー組成物液Tを収容するタンク20と、タンク20に収容されているトナー組成物液Tを液滴吐出ユニット10に供給する液供給管30、液滴吐出ユニット10に供給されたトナー組成物液Tをタンク20に戻す液戻り管40が設置されている。また、液供給管30には、循環ポンプ50が連結されており、トナー組成物液Tを液滴吐出ユニット10に供給することができる。
一方、トナーの製造装置100には、乾燥ユニット60、捕集ユニット70及び二次乾燥ユニット80が設置されている。
乾燥ユニット60は、チャンバ61、気流導入口62、排出口63を有する。
このとき、液供給管30には、圧力計P1が設置されており、チャンバ61には、圧力計P2が設置されており、液滴吐出ユニット10にトナー組成物液Tを供給する圧力及びチャンバ61内の圧力を管理することができる。
なお、P1がP2を超えると、トナー組成物液Tがノズル14aから染み出すことがあり、P1がP2未満であると、液滴吐出ユニット10に気体が入り、液滴Dの吐出が停止することがあるため、P1がP2と略同一があることが好ましい。
チャンバ61内では、気流導入口62から導入される気流により、下降気流Gが形成される。このため、液滴吐出ユニット10から吐出された液滴Dは、重力及び下降気流Gにより、下方に搬送された後、排出口63から排出され、捕集ユニット70により捕集される。
このとき、複数のノズル14aから吐出された液滴Dが乾燥する前に接触すると、液滴Dが合着して、液滴Dが乾燥した粒子の粒度分布が広くなる。液滴Dの合着を抑制するためには、液滴Dの速度の低下を抑制する必要がある。
例えば、下降気流Gの一部が、第一の気流として流れる流路17(図1参照)を液滴吐出ユニット10の液共通供給流路12の近傍に形成することにより、液滴Dが吐出された直後の液滴Dの速度の低下を抑制することができ、その結果、液滴Dの合着を抑制することができる。
また、流路17を形成する代わりに、略水平方向の気流G'が、第一の気流として流れる流路17'を形成してもよい(図8参照)。このとき、複数のノズル14aから吐出された液滴Dの軌跡が重ならないように気流G'を流すことが好ましい。
さらに、下降気流Gと気流G'の間の所定の角度を有する第一の気流を流してもよい。
以上のように、複数のノズル14aから吐出された液滴Dを第一の気流により搬送した後に、第二の気流により捕集ユニット70まで液滴Dが乾燥した粒子を搬送してもよい。
第一の気流の速度は、複数のノズル14aから液滴が吐出される速度以上であることが好ましい。第一の気流の速度は、複数のノズル14aから液滴が吐出される速度未満であると、液滴Dの速度の低下を抑制することが困難になることがある。
第一の気流の特性は、液滴Dの速度の低下を抑制することが可能であれば、第二の気流の特性と同一でなくてもよい。
下降気流Gの状態としては、特に限定されないが、層流、旋回流、乱流等が挙げられる。
下降気流Gを構成する気体としては、特に限定されないが、空気、窒素等の不活性気体等が挙げられる。
下降気流Gの温度は、トナー組成物液Tに応じて、適宜調整することができる。
チャンバ61内で、下降気流Gの状態を変化させてもよい。
なお、下降気流Gは、チャンバ61に液滴Dが付着することを抑制できる。
捕集ユニット70により捕集された粒子に残留する溶媒の量が多い場合は、必要に応じて、二次乾燥ユニット80において、捕集された粒子を二次乾燥させる。
捕集された粒子を二次乾燥させる方法としては、特に源手されないが、流動床乾燥、真空乾燥等が挙げられる。
トナー中に有機溶媒が残留していると、耐熱保存性、定着性、帯電特性等の特性が経時で変動するだけでなく、加熱により定着する際に有機溶媒が揮発するため、使用者及び周辺機器に悪影響を及ぼす可能性がある。
トナー組成物としては、樹脂及び離型剤を含み、有機溶媒中に溶解又は分散させることが可能であれば、特に限定されない。トナー組成物は、必要に応じて、グラフト重合体、帯電制御剤等をさらに含んでもよい。
有機溶媒としては、トナー組成物を溶解又は分散させることが可能であれば、特に限定されないが、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、離型剤の結晶成長を効果的に抑制することができるため、エステル系溶媒及びケトン系溶媒が好ましく、除去が容易であることから、酢酸エチル、メチルエチルケトンが特に好ましい。
有機溶媒のSP値は、ポリエステルの溶解性に優れることから、8〜9.8(cal/cm1/2であることが好ましく、8.5〜9.5(cal/cm1/2がさらに好ましい。
樹脂としては、特に限定されないが、スチレン系重合体、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系樹脂等のビニル系樹脂、ポリエステル、ポリオール、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート、石油系樹脂等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
ビニル系樹脂を合成する際に用いられる単量体としては、特に限定されないが、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン系単量体;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル系単量体;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル系単量体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフィン類;ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタレン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸誘導体;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸又はその無水物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、アルケニルコハク酸モノメチル、フマル酸モノメチル、メサコン酸モノメチル等の不飽和二塩基酸のモノエステル;マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル等の不飽和二塩基酸のジエステル;クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸、その無水物又は低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの無水物又はこれらのモノエステル;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類;4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレン等のヒドロキシ基を有する単量体等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
なお、スチレン系共重合体、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体等のビニル系樹脂を合成する際に、ビニル基を2個以上有する多官能の架橋剤を用いると、ビニル系樹脂を架橋することができる。
2官能の架橋剤としては、特に限定されないが、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレン基で結合されたジ(メタ)アクリレート化合物;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(#400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(#600)ジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のエーテル結合を含むアルキレン基で結合されたジ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
これら以外の2官能の架橋剤としては、アリーレン基又はエーテル結合を含むアリーレン基で結合されたジ(メタ)アクリレート化合物、ポリエステル型ジアクリレート化合物が挙げられる。
ポリエステル型ジアクリレート化合物の市販品としては、MANDA(日本化薬社製)が挙げられる。
3官能以上の架橋剤としては、特に限定されないが、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、オリゴエステル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
架橋剤は、トナーの定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、アリーレン基又はエーテル結合を1つ含むアリーレン基で結合されたジ(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
架橋剤の添加量は、単量体に対して、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.03〜5質量%がさらに好ましい。
ビニル系樹脂を合成する際に用いられる重合開始剤としては、特に限定されないが、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート、1,1'−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2',4'−ジメチル−4'−メトキシバレロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルベンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(2−エチルへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシカーボネート、ビス(エトキシイソプロピル)パーオキシジカーボネート、ビス(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
スチレン−(メタ)アクリル系樹脂は、トナーの定着性、オフセット性、保存性の点から、テトラヒドロフラン(THF)に可溶な成分のGPCチャートにおいて、分子量が3×10〜5×10である領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量が1×10以上である領域に少なくとも1つのピークが存在することが好ましい。
また、テトラヒドロフラン(THF)に可溶な成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)チャートにおいて、分子量が1×10以下である成分の含有量が50〜90%であることが好ましく、メインピークの分子量が5×10〜3×10であることがさらに好ましく、メインピークの分子量が5×10〜2×10であることが特に好ましい。
本発明において、GPCチャートにおける分子量は、ポリスチレン換算の分子量であり、GPCの展開溶媒としては、THFが用いられている。
ビニル系樹脂の酸価は、0.1〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜70mgKOH/gがさらに好ましく、0.1〜50mgKOH/gが特に好ましい。
ポリエステルは、2価以上のアルコールと、2価以上のカルボン酸を縮合することにより合成することができる。
なお、ポリエステルを合成する際に、3価以上のアルコール及び/又は3価以上のカルボン酸を用いると、ポリエステルを架橋することができる。
2価のアルコールとしては、特に限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA又はビスフェノールAに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルを開環付加することにより得られるジオール等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
3価以上のアルコールとしては、特に限定されないが、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
2価のカルボン酸としては、特に限定されないが、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸又はその無水物;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸又はその無水物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
3価以上のカルボン酸としては、特に限定されないが、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
ポリエステルは、トナーの定着性、耐オフセット性の点から、THFに可溶な成分のGPCチャートにおいて、分子量が3×10〜5×10である領域に少なくとも1つのピークが存在することが好ましい。
また、THFに可溶な成分のGPCチャートにおいて、分子量が1×10以下である成分の含有量が60〜100%であることが好ましく、分子量が5×10〜2×10である領域に少なくとも1つのピークが存在することがさらに好ましい。
ポリエステルの酸価は、0.1〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1〜70mgKOH/gがさらに好ましく、0.1〜50mgKOH/gが特に好ましい。
なお、ビニル系樹脂及び/又はポリエステルと、他の樹脂を併用する場合、全樹脂中の酸価が0.1〜50mgKOH/gである樹脂の含有量が60〜100質量%であることが好ましい。
本発明において、酸価は、JIS K0070に記載された方法を用いて測定することができる。
離型剤としては、特に限定されないが、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したもの;パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の飽和直鎖脂肪酸;プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスをスチレン、アクリル酸等のビニル系単量体でグラフトしたワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化物等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数が1である化合物を単量体とする合成ワックス、水酸基、カルボキシル基等の官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスをスチレン、マレイン酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等のビニル系単量体でグラフトしたものが好ましい。
また、離型剤は、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて、分子量分布を狭くしたり、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物等の不純物を除去したりすることが好ましい。
離型剤の融点は、60〜140℃であることが好ましく、60〜120℃がさらに好ましい。離型剤の融点が60℃未満であると、トナー粒子の耐ブロッキング性が低下することがあり、140℃を超えると、定着時の耐オフセット性が不十分となることがある。
本発明において、融点は、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計を用いて測定することができ、DSC曲線の最大の吸熱ピークのピークトップの温度である。
なお、融点は、ASTM D3418−82に準じて、測定することができ、1回昇温及び降温させて前履歴を取った後、昇温速度10℃/分で昇温させることによりDSC曲線が得られる。
また、融点の差が10〜100℃である離型剤を併用することにより、離型剤が有する可塑化作用と離型作用を同時に発現させることができる。
可塑化作用を発現する相対的に融点が低い離型剤としては、分岐構造を有するもの、極性基を有するもの等が挙げられ、離型作用を発現する相対的に融点が高い離型剤としては、直鎖構造のもの、極性基を有さない無極性のもの等が挙げられる。
このとき、少なくとも一方のワックスの融点が60〜120℃であることが好ましく、60〜100℃がさらに好ましい。
このような離型剤の組み合わせとしては、エチレンを主成分とするポリエチレンホモポリマー又はコポリマーとエチレン以外のオレフィンを主成分とするポリオレフィンホモポリマー又はコポリマーの組み合わせ、ポリオレフィンとグラフト変成ポリオレフィンの組み合わせ、アルコールワックス、脂肪酸ワックス又はエステルワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックス又はポリオレフィンワックスとパラフィンワックス又はマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、フィッシャートロプシュワックスとポリオレフィンワックスの組み合わせ、パラフィンワックスとマイクロクリスタルワックスの組み合わせ、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス又はモンタンワックスと炭化水素系ワックスの組み合わせ等が挙げられる。
トナー組成物中の離型剤の含有量は、樹脂に対して、0.2〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。トナー組成物中の離型剤の含有量が、樹脂に対して、0.2質量%未満であると、トナーの離型性が低下することがあり、20質量%を超えると、トナーの帯電性が低下することがある。
グラフト重合体は、ポリオレフィン樹脂がビニル系樹脂でグラフトされているため、トナー成分液14中で離型剤の凝集を抑制することができる。
ポリオレフィン系樹脂を合成する際に用いられる単量体としては、特に限定されないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセン等のオレフィンが挙げられ、二種以上併用してもよい。
ポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体等のポリオレフィン;ポリオレフィンの酸化物;ポリオレフィンを無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸誘導体で変性したポリオレフィンの変性物;ポリオレフィンの熱減成物;オレフィンと、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキル、炭素数が1〜18であるマレイン酸アルキル等の不飽和カルボン酸アルキル等の単量体の共重合体等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、ポリオレフィン、ポリオレフィンの酸化物、ポリオレフィンの熱減成物、ポリオレフィンの変性物が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体及びその熱減成物;ポリエチレン、ポリプロピレンの酸化物;ポリプロピレンのマレイン酸変性物がさらに好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましい。
ポリオレフィンの熱減成物としては、重量平均分子量が5×10〜5×10であるポリオレフィンを熱減成したもの等が挙げられる。
ポリオレフィンを熱減成する温度は、通常、250〜450℃である。
ポリオレフィンの熱減成物は、数平均分子量から導かれる1分子当たりの二重結合の含有率が30〜70%であることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の軟化点は、通常、60〜170℃であり、70〜150℃が好ましい。ポリオレフィン系樹脂の軟化点が60℃未満であると、トナーの流動性が低下することがあり、150℃を超えると、トナーの離型性が低下することがある。
ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量は、通常、500〜2×10であり、1×10〜1.5×10が好ましく、1.5×10〜1×10がさらに好ましい。また、ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、通常、800〜1×10であり、1.5×10〜6×10が好ましく、2×10〜3×10がさらに好ましい。ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が500未満である場合又はポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が800未満である場合は、トナーのフィルミングが発生することがある。一方、ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量が2×10を超える場合又はポリオレフィン系樹脂の重量平均分子量が1×10を超える場合は、トナーの離型性が低下することがある。
ポリオレフィン系樹脂をビニル系樹脂でグラフトする際に用いられるビニル系単量体としては、特に限定されないが、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、ベンジルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキル(アルキル基の炭素数1〜18);酢酸ビニル等のビニルエステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニル等のハロゲン基を有する単量体;ブタジエン、イソブチレン等のジエン系単量体;(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン等のシアノ基を有する単量体等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリロニトリル及びその併用が好ましく、スチレン及びスチレン、(メタ)アクリル酸アルキル、(メタ)アクリロニトリルの併用が特に好ましい。
また、グラフトされているビニル系樹脂のSP値は、10.0〜11.5(cal/cm1/2であることが好ましい。
なお、SP値は、Fedors法を用いて、算出することができる。
グラフト重合体におけるポリオレフィン系樹脂(A)及びビニル系樹脂(B)の組み合わせの具体例を、以下に例示する。
(A):ポリプロピレンの酸化物、(B):スチレン−アクリロニトリル共重合体
(A):ポリエチレン、ポリプロピレン混合物、(B):スチレン−アクリロニトリル共重合体
(A):エチレン−プロピレン共重合体、(B):スチレン−アクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体
(A):ポリプロピレン、(B):スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−マレイン酸モノブチル共重合体
(A):ポリプロピレンのマレイン酸変性物、(B):スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸−アクリル酸ブチル共重合体
(A):ポリプロピレンのマレイン酸変性物、(B):スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体
(A):ポリエチレン、ポリプロピレンのマレイン酸変性物の混合物、(B):アクリロニトリル−アクリル酸ブチル−スチレン−マレイン酸モノブチル共重合体
グラフト重合体は、ポリオレフィン系樹脂をトルエン、キシレン等の有機溶媒中に溶解又は分散させ、100〜200℃に加熱した後、ビニル系単量体及び重合開始剤を添加し、グラフト重合することにより得られる。
ポリオレフィン系樹脂とビニルモノマーの質量比は、フィルミングの観点から、通常、1〜30:70〜99であり、2〜27:83〜98が好ましい。
このとき、未反応のポリオレフィン系樹脂の含有量は、通常、5質量%以下であり、3質量%以下が好ましい。
また、グラフトしていないビニル系樹脂の含有量は、通常、10質量%以下であり、5質量%以下が好ましい。
重合開始剤としては、特に限定されないが、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシドベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート等が挙げられる。
重合開始剤の添加量は、通常、ビニル系単量体に対して、0.2〜10質量%であり、0.5〜5質量%が好ましい。
未反応のポリオレフィン系樹脂及びグラフトしていないビニル系樹脂を含むグラフト重合体の添加量は、離型剤の分散安定性の観点から、通常、離型剤100質量部に対して、5〜300質量部であり、10〜150質量部が好ましい。
帯電制御剤としては、特に限定されないが、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料等が挙げられる。
これら以外の帯電制御剤としては、スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩基等の官能基を有する高分子化合物が挙げられる。
帯電制御剤の市販品としては、ニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)等が挙げられる。
帯電制御剤の添加量は、樹脂に対して、通常、0.1〜10質量%であり、0.2〜5質量%が好ましい。
本発明においては、トナーとして、母体粒子を用いてもよいし、母体粒子に流動性向上剤、クリーニング性向上剤等の外添剤を添加したものを用いてもよい。
流動性向上剤としては、特に限定されないが、フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂粒子;湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等のシリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子又はこれらの粒子がシラン化合物等で疎水化処理されているもの等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子が好ましく、シラン化合物で疎水化処理されているシリカ粒子がさらに好ましい。
乾式製法シリカは、ハロゲン化ケイ素を気相酸化することにより生成される。
乾式製法シリカの市販品としては、AEROSIL−130、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84(以上、日本アエロジル社製)、Ca−O−SiL−M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5(以上、CABOT社製)、Wacker HDK−N20 V15、N20E、T30、T40(以上、WACKER−CHEMIE社製)、D−CFineSilica(ダウコーニング社製)、Fransol(Fransil社製)等が挙げられる。
流動性向上剤の個数平均粒径は、通常、5〜100nmであり、5〜50nmが好ましい。
流動性向上剤のBET法を用いて測定される比表面積は、30m/g以上であることが好ましく、60〜400m/gがさらに好ましい。
また、疎水化処理されている流動性向上剤のBET法を用いて測定される比表面積は、20m/g以上であることが好ましく、40〜300m/gがさらに好ましい。
シラン化合物で疎水化処理されているシリカは、シラン化合物がシリカに化学吸着又は物理吸着しているが、メタノール滴定試験によって測定される疎水化度が30〜80%であることが好ましい。
シラン化合物としては、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロロエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、2〜12個のシロキサン単位を有し、末端にそれぞれシラノール基を0〜1個有するジメチルポリシロキサンが好ましい。
これら以外のシラン化合物としては、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイルが挙げられる。
流動性向上剤の添加量は、母体粒子に対して、0.03〜8質量%であることが好ましい。
クリーニング性向上剤としては、特に限定されないが、ステアリン酸亜鉛粒子、ステアリン酸カルシウム粒子、ステアリン酸粒子等の脂肪酸又はその金属塩の粒子;ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等のソープフリー乳化重合により製造された樹脂粒子等が挙げられる。
樹脂粒子は、体積平均粒径が0.01〜1μmであることが好ましい。
外添剤を添加する際には、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、ハイブリタイザー、メカノフュージョン、Qミキサー等の混合機を用いることができる。
本発明において、トナーは、一成分現像剤として用いてもよいし、キャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよい。
このとき、二成分系現像剤は、キャリア100質量部に対して、トナー1〜200質量部を混合することが好ましく、2〜50質量部がさらに好ましい。
なお、一成分現像剤又は二成分現像剤は、電子写真、静電記録、静電印刷等において、静電潜像を現像する際に用いることができる。
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明は、実施例に限定されない。なお、部は、質量部を意味する。
[グラフト重合体の合成]
温度計及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中で、軟化点が128℃であるポリエチレンのサンワックスLEL−400(三洋化成工業社製)100部をキシレン480部中に溶解させた後、170℃まで昇温して窒素置換した。
次に、スチレン755部、アクリロニトリル100部、アクリル酸ブチル45部、アクリル酸21部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート36部及びキシレン100部を混合した混合液を3時間で滴下してグラフト重合し、30分間保持した後、脱溶剤して、数平均分子量が3.3×10、重量平均分子量が1.8×10、ガラス転移点が65.0℃、グラフトされているビニル系樹脂のSP値が11.0(cal/cm1/2であるグラフト重合体を得た。
[実施例1]
撹拌羽根と温度計をセットした容器に、重量平均分子量が2×10であるポリエステル120部、カルナバワックス40部、グラフト重合体40部及び酢酸エチル800部を仕込み、85℃まで昇温して、20分間撹拌した後、急冷し、カルナバワックスを析出させた。
次に、ビーズ分散機のスターミルラボスターLMZ06(アシザワ・ファインテック社製)を用い、粒径が0.3mmであるPSZビーズを80%充填し、粉砕室の周速を2500rpm(10m/s)、送液速度を300ml/minとして、カルナバワックスを1時間分散させ、ワックス分散液を得た。
攪拌羽根を有するミキサーを用いて、重量平均分子量が2×10であるポリエステル樹脂の20質量%酢酸エチル溶液100部、ワックス分散液30部及び酢酸エチル150部を混合してトナー組成物液を得た。このとき、カルナバワックスの重量平均粒径は0.8μmであった。
トナー組成物液を、トナーの製造装置100(図7参照)のタンク20から循環ポンプ50を用いて、液滴吐出ユニット10に供給した。このとき、液室11の長手方向の両端のフレーム間の長さLが1.85[mm]である。また、N=2、L=λ/2である定在波(図4(b)参照)の波長方向の圧力の腹からの距離が定在波の波長の1/4未満である領域に、長手方向の4個のノズル14aが形成されている(図6参照)。ノズル14aは、開口径が10.0μmであり、断面形状が図3(a)に示すようなラウンド形状である。さらに、高周波電源としての、ファンクションジェネレーターWF1973(NF社製)を、ポリエチレン被覆のリード線を介して、振動発生部材15に接続した。このとき、振動発生部材15の駆動周波数を330kHzとして、定在波を形成した。また、液滴Dを吐出している状態の撮影により、液滴Dを吐出する速度が12.2m/sであることがわかった。
チャンバ61は、内径が400mm、高さが2000mmの円筒状で鉛直方向に固定されており、上端部と下端部が絞られている。また、気流導入口62及び排出口63の内径は、それぞれ50mmである。液滴吐出ユニット11は、チャンバ61の上端からの距離が300mmの高さで、中央に配置されている。下降気流Gは、40℃の窒素であり、速度を10.0m/sとした。下降気流Gの一部を、液滴吐出ユニット10の液共通供給流路12の近傍に形成されている流路17に、液滴Dが吐出される方向と同一の方向に13.0m/sで流した。
以上のような条件で、液滴Dを乾燥させ、捕集ユニット70としての、サイクロン捕集機を用いて捕集し、母体粒子を得た。このとき、母体粒子を5時間製造したが、ノズル14aの目詰まりは発生しなかった。
フロー式粒子像解析装置FPIA−3000(シスメックス社製)を用いて、母体粒子の粒度分布を3回測定し、平均したところ、体積平均粒径の平均が5.6μm、個数平均粒径に対する体積平均粒径の比の平均が1.08であった。
なお、母体粒子の粒度分布は、以下のようにして測定した。まず、フィルターを通して微細なごみを取り除き、円相当径が0.50μm以上200.0μm未満である粒子の1×10−3cm中の個数が20個以下である水10ml中に、ノニオン系界面活性剤コンタミノンN(和光純薬社製)を数滴加えた。次に、母体粒子5mgを加え、超音波分散器UH−50(STM社製)を用いて、20kHzで、50W/10cmの条件で1分間分散させた後、合計5分間分散させた。さらに、円相当径が0.50μm以上200.0μm未満である粒子の1×10−3cm中の個数が4000〜8000個である分散液を用いて、円相当径が0.50μm以上200.0μm未満である粒子の粒度分布を測定した。
[実施例2]
PSZビーズの粒径を0.1mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、母体粒子を得た。
なお、トナー組成物液中のカルナバワックスの重量平均粒径は0.1μmであった。
このとき、母体粒子を5時間製造したが、ノズル14aの目詰まりは発生しなかった。
また、母体粒子は、体積平均粒径の平均が5.5μmであり、個数平均粒径に対する体積平均粒径の比の平均が1.05であった。
[実施例3]
PSZビーズの粒径を0.5mmに変更した以外は、実施例1と同様にして、母体粒子を得た。
なお、トナー組成物液中のカルナバワックスの重量平均粒径は3.0μmであった。
このとき、母体粒子を5時間製造したが、ノズル14aの目詰まりは発生しなかった。
また、母体粒子は、体積平均粒径の平均が5.8μmであり、個数平均粒径に対する体積平均粒径の比の平均が1.12であった。
[比較例1]
粒径が0.5mmであるPSZビーズを75%充填した以外は、実施例1と同様にして、母体粒子を得た。
なお、トナー組成物液中のカルナバワックスの重量平均粒径は3.5μmであった。
このとき、母体粒子を2時間製造したところ、ノズル14aの目詰まりが発生した。
また、母体粒子は、体積平均粒径の平均が6.1μmであり、個数平均粒径に対する体積平均粒径の比の平均が1.18であった。
[比較例2]
粒径が0.5mmであるPSZビーズを75%充填し、粉砕室の周速を2000rpm(8m/s)に変更した以外は、実施例1と同様にして、母体粒子を得た。
なお、トナー組成物液中のカルナバワックスの重量平均粒径は5.0μmであった。
このとき、5分間でノズル14aの目詰まりが発生したため、母体粒子を製造することができなかった。
[トナーの作製]
ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて、母体粒子に対して、1.0質量%の疎水性シリカH2000(クラリアントジャパン社製)を混合し、トナーを得た。
[現像剤の作製]
シリコーン樹脂をトルエンに分散させた分散液を、加温した状態で、平均粒径が50μmの球形フェライト粒子にスプレーコートした後、焼成し、冷却することにより、厚さが0.2μmの被覆層を形成し、キャリアを得た。
次に、トナー4部とキャリア96部を混合し、現像剤を得た。
10 液滴吐出ユニット
11 液室
12 液共通供給流路
13 連通口
14 ノズル板
14a ノズル
15 振動発生部材
16 弾性板
17 流路
特開2006−293320号公報 特開2011−39243号公報

Claims (3)

  1. 樹脂及び離型剤を含むトナー組成物を有機溶媒中に溶解又は分散させたトナー組成物液を、液滴吐出ユニットの液室に形成されている吐出口から吐出して液滴を形成する工程を有し、
    前記吐出口の開口径に対する前記トナー組成物液中の前記離型剤の重量平均粒径の比が0.01以上0.30以下であり、
    前記トナー組成物液を前記吐出口から吐出する際に、前記液室に設置されている振動発生部材から発生した高周波振動により、前記液室内に液柱共鳴による定在波を形成し、
    前記吐出口は、前記液室の該定在波の腹となる領域に形成されており、
    前記液室の長手方向の両端のフレーム間の長さをL[m]、前記トナー組成物液中の音速をc[m/s]、前記振動発生部材の駆動周波数をf[Hz]とすると、
    f=N×c/(4L)
    (但し、Nは自然数である。)
    を満たすことを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記吐出口は、開口径が1μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記樹脂に対する前記離型剤の質量比が0.2%以上20%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナーの製造方法。
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