JP5798698B1 - 構造部材の交点特定システム、交点特定方法及び角度計測器具 - Google Patents

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Abstract

【課題】2つの構造部材が交差して形成される交線位置が溶接接合部等により隠れている場合に、2つの部材の見えない交点を、容易に特定するシステム及び方法を提供する。【解決手段】角度計測器具と、プログラムをインストールした演算手段と、を備え、角度計測器具は、同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた第1プレート及び第2プレートを備え、第1プレート及び第2プレートは構造部材の表面に当接される当接辺を有し、回転軸Fから当接辺に下した垂線は長さz(mm)を有し、表面に予め特定された少なくとも一つの基準点Eを有し、構造部材の表面に各当接辺を当接させたときに当接辺が交差して成す角度θを特定するための器具であり、プログラムは、角度θ及び長さzを用いて、基準点Eから交点Xまでの距離の演算を実行する。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、溶接等により接合された2つの構造部材の交点が溶接接合部等により隠されている場合に、構造部材上の任意の点からその交点までの距離を容易に算出するための交点特定システム、交点特定方法及び角度計測器具に関する。
土木,建設,鉄工,造船等の分野において、溶接等により接合された2つの構造部材の交点(交線)の位置を特定することが必要になることがしばしばある。
例えば、図27に示すように、溶接接合部Sxで互いに接合された、第1構造部材1と第2構造部材2のそれぞれの面S,Sbが互いに交差して形成される交点Xの位置は、そこから距離L離れた例えば面S上の所定位置Tに、さらに他の構造部材3を接合したり、加工したりするための基準として用いられる。また、交点Xの位置は、設計図面に対する建造物等の誤差を確認検査するための基準等としても用いられる。しかしながら、溶接接合部や、R加工、コーキング等により交点が隠れた場合には、交点の位置が不明になってしまうことがあった。
接合された2つの構造部材のなす角度は取付度とも称される。例えば、図27に示すように、溶接接合部Sxで互いに接合された2つの構造部材の面Sと面Sbとの成す角が90度の場合、直角定規の直角を挟む各辺を面S及び面Sbのそれぞれに当接させることにより、直角定規の直角の頂点の位置を交点Xの位置として特定することができる。
近年、デザイン性や機能性を付与する目的で、2つの構造部材が鈍角や鋭角を成すように接合された構造物が増えている。例えば、図28(a)に示すように第1構造部材1と第2構造部材2とが鈍角を成すように接合されたり、図28(b)に示すように鋭角を成すように接合されたりしている。また、このような接合時には取り付け誤差が生じやすい。このような鈍角や鋭角を成すように接合された場合には、直角定規を用いた方法では交点Xの位置を求めることができなかった。そのために、例えば、交点Xを基準として距離L離れた所定位置Tに構造部材3を正確に接合するような作業が困難であった。
従来、溶接接合部で互いに接合された、第1構造部材と第2構造部材のそれぞれの面が互いに交差して形成される交点の位置は、例えば、次のようにして測定されていた。新規に構造物を建造する際には、種々の角度を挟んだ2辺を有する複数の当て型(取付度型)の2辺を順に2面に当接させ、一致した角度の当て型の2辺の交点を求めることにより交点の位置を特定したり、予め特定の位置に刻まれた卦書き線の位置からの距離により交点の位置を特定したりした。しかしながら、当て型を用いて溶接施工後の交点位置を求めた場合、第2構造部材の取付誤差を特定することが困難になり、最終作業までの複数の工程を経るに連れて誤差が蓄積されるという問題があった。
また、建造されてから長期間経過したような既設構造物を補修したり検査したりする場合、詳細な原寸資料が失われていることが多い。また、建造時に刻まれた卦書き線は塗装等の表面処理施工により確認は不可能になる。このような場合には、例えば、モデリングパテを用いて接合部の形状を転写した現物のモデリングを採集し、モデリングを二次元で表現するようにスライスし、スライス片を方眼紙に充てて外形をトレースすることにより2辺の交点の位置を特定するような方法を用いたりしていた。現物のモデリングを採って方眼紙にスケッチして交点までの距離を特定する場合、正確な交点の位置を把握することはできるものの、トレースする作業等を要するために結果を得るまでに長時間を要していた。そのために現場作業中に迅速に交点の位置を特定することができなかった。
また、交点Xの位置は、溶接接合部の溶接脚長を測定するための基準にもなる。2つの構造部材の面と面との成す角度が90度の場合には、通常、溶接脚長を測定する器具である限界ゲージやナカゲージを用いて測定することができる。しかしながら、取付度が鈍角や鋭角の場合には、それらの器具を用いて溶接脚長を測定することが困難であった。具体的には、図29を参照すれば、面Sと面Sbとの交点Xの位置が特定できない場合、基準点になる交点Xの位置が不明であるために溶接脚長(Lx,LY)や溶接厚みであるノド厚(Ln)を測定することができなかった。従来は、モデリングパテでモデリングして基準となる交点Xを求めていたが、溶接作業中に迅速に特定することができないために、溶接脚長やノド厚の測定に長時間を要し、溶接施工現場の確認や測定箇所が多数ある施工検査の現場では不向きであった。
さらに、溶接接合部の接合状態を検査するための超音波探傷検査においても交点Xを特定することが求められることがある。具体的には、例えば、図30を参照すれば、溶接接合部Sxにおいて、面Saより1回反射法による超音波探傷検査を行う場合、溶け込み不良,ブローホール,開先のこり,割れ等の欠陥特性を欠陥位置とスコープの波形や反射率等で総合的に判断する。欠陥位置は、探触子5の位置から出射させた超音波ビームの反射位置Dをスコープ波形から特定し、ビーム路程を読取計算してLbを算出して特定される。
溶接接合部の接合状態を検査するための超音波探傷検査においては、第1構造部材1の面Saと第2構造部材2の面Sbとの交点Xの位置を面Saの側から特定することは困難であった。そして、面Saと面Sbとの交点Xの位置が不明である場合には、基準点になる交点Xの位置が不明であるために欠陥位置である超音波ビームの反射位置Dを正確に特定できず、欠陥種類等の想定が困難になる。検査基準の厳しい検査対象の場合、モデリングパテでモデリングして基準となる交点Xを求めていたが、一般的な検査基準や作業環境の悪い場所、高所の作業現場等においてはスコープ波形の形状等を参考にして経験的に欠陥特性を判断するしかなかった。
このような問題を解決する従来の技術としては、例えば、下記特許文献1は、角度を有する2つの部材の接合部分から各部材上の任意の位置までの寸法を測定する装置であって、2枚のプレートが同一回転軸を有して相対回転可能に重ねられるとともに、これらの各プレートに、上記各部材に当接されてこれらの各部材に沿ってスライド自在なスケール部材がそれぞれ装着され、上記片方のプレートには、角度目盛が設けられ、他方のプレートには、上記2つの部材の成す角度を上記角度目盛で示すための指針部材が設けられ、上記各プレートには、上記角度目盛及び指針部材により読み取られた上記2つの部材の成す角度に応じて上記各スケール部材をスライドさせるべき位置を記したスライド目盛がそれぞれ設けられ、上記各スケール部材には、各スケール部材を上記スライド目盛の所定の目盛に位置決めするための指針部材がそれぞれ設けられたことを特徴とするコーナー部の寸法測定装置を開示する。
特許文献1の装置によれば、角度を有する2つの部材の接合部分に溶接部分等が存在しても、2つの部材の接合部分から各部材上の任意の位置までの寸法を正確に測定することができる。
特開平7−63502号公報
特許文献1に開示された装置によれば、2つの構造部材の成す角度に応じて各プレートを回転させて2つの部材の成す角度を読み取り、これに応じて各スケール部材を移動させることにより、2つの部材の接合部分から各部材上の任意の位置までの寸法を正確に測定することができる。しかしながら、特許文献1に開示された装置は、構造的限界のために、測定できない角度領域が発生し、2つの構造部材の成す角度が90度に近い角度範囲で接合された構造物に対してしか用いることができず、0度から180度までのような広い角度領域では用いることができなかった。
本発明は、構造物の組立,検査,調査,実測等の作業現場において、溶接等により接合された2つの構造部材の交点が溶接接合部等の形成により隠されている場合に、交差する2面の交点(交線)までの距離を構造物上の任意の点から容易に算出する手段、とくには、2つの構造部材の成す角度が0度から180度までの範囲のような広い角度領域であっても2つの部材の見えない交点を容易に特定することができる手段を提供することを目的とする。
本発明の一局面は、所定の角度を成すように接合された、第1構造部材と第2構造部材との交点Xまでの距離を第1構造部材または第2構造部材上の所定位置から特定するための交点特定システムであって、角度計測器具と、プログラムをインストールした演算手段と、を備え、角度計測器具は、同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた第1プレート及び第2プレートを備え、第1プレートは第1構造部材の表面に当接される第1当接辺を、第2プレートは第2構造部材の表面に当接される第2当接辺を有し、回転軸Fから第1当接辺またはその延長線に下した垂線と第1当接辺またはその延長線との交点を交点A、回転軸Fから第2当接辺またはその延長線に下した垂線と第2当接辺またはその延長線との交点を交点Bとした場合、回転軸Fから交点Aまでの線分FA及び回転軸Fから交点Bまでの線分FBはそれぞれ同じ長さzを有し、第1当接辺及び第2当接辺の少なくとも一方の当接辺上に予め設定された少なくとも一つの基準点Eを有し、第1構造部材の表面に第1当接辺を第2構造部材の表面に第2当接辺をそれぞれ当接させたときに第1当接辺と第2当接辺との成す角度θを特定するための器具であり、演算手段は、長さz及び与えられた角度θに基づいて、基準点Eから交点Xまでの距離の計算を実行する交点特定システムである。
このような交点特定システムによれば、後述するように、角度計測器具を用いて特定された第1当接辺と第2当接辺との成す角度θ及び回転軸Fから当接辺またはその延長線までの距離である長さzを用いることにより、予め設定された基準点Eから交点Xまでの距離を算出することができる。その結果、交点Xが溶接されて形成された溶接接合部により隠れているような場合であっても、例えば、基準点Eの位置を特定する罫書き線を構造部材上に罫書いておくことにより、罫書き線からの交点Xの位置を容易に特定することができる。
また、本発明の他の一局面は、所定の角度を成すように接合された、第1構造部材と第2構造部材との交点Xまでの距離を第1構造部材または第2構造部材上の所定位置から特定するための交点特定システムであって、角度計測器具と、プログラムをインストールした演算手段と、を備え、角度計測器具は、同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた第1プレート及び第2プレートを備え、第1プレートは第1構造部材の表面に当接される第1当接辺を、第2プレートは第2構造部材の表面に当接される第2当接辺を有し、回転軸Fから第1当接辺またはその延長線に下した垂線と前記第1当接辺またはその延長線との交点を交点A、回転軸Fから前記第2当接辺またはその延長線に下した垂線と第2当接辺またはその延長線との交点を交点Bとした場合、回転軸Fから交点Aまでの線分FA及び回転軸Fから交点Bまでの線分FBはそれぞれ同じ長さzを有し、回転軸Fを中心とする所定の半径を有する予め設定された円の円周と、回転軸Fと交点Xとを結ぶ線分との交点を基準点Eとし、第1構造部材の表面に第1当接辺を第2構造部材の表面に第2当接辺をそれぞれ当接させたときに第1当接辺と第2当接辺との成す角度θを特定するための器具であり、演算手段は、長さz及び与えられた角度θに基づいて、基準点Eから交点Xまでの距離の計算を実行する交点特定システムである。
このような交点特定システムによれば、後述するように、溶接部のノド厚等を測定しやすい点から好ましい。
また、第1プレートと第2プレートとは、第1当接辺を第1構造部材の表面に、第2当接辺を第2構造部材の表面に当接させたときに、接合部との接触を避けるための空間を形成する外形を有することが好ましい。溶接接合部に第1当接辺や第2当接辺が接触した場合には、角度を正確に測定しにくくなる。このような場合に、第1プレートと第2プレートとを各構造部材の表面に当接させたときに、溶接接合部との接触を避ける空間が形成される場合には、溶接接合部に第1当接辺や第2当接辺が接触しないために角度を正確に測定することができる。また、このような空間は、第1プレート及び第2プレートに空間の形状を変化させるための装脱着可能な補助ブレードを設けることにより形成させてもよい。また、第1プレート及び第2プレートは、各プレート上の任意の点から基準点Eまでの距離を特定するための目盛を有することが、基準点Eを介して交点Xから任意の点までの距離を容易に計測することができる点から好ましい。
また、第1プレート又は第2プレートが、回転軸Fを中心とする分度盤を備える場合には、角度を測定するためのプロトラクターとしても角度計測器具を用いることができる点から好ましい。
また、角度計測器具は、回転軸Fに沿って第1プレート及び第2プレートを挟持するグリップ部材を備え、グリップ部材は、第1プレート及び第2プレートを相対回転させることにより角度θを測定する電子分度器、演算手段、及び演算手段による演算結果を表示する表示部を内蔵し、演算手段は、電子分度器により測定された角度θを取り込んで計算を行うことが、演算結果をより簡単に確認することができる点から好ましい。
また、演算手段として、プログラムがインストールされた携帯情報端末機器を用いることが、汎用の携帯情報端末機器に専用プログラムのソフトウェアをインストールしたり、市販の表計算プログラムのソフトウェアをインストールするだけで演算手段及び表示手段を簡単に構成できる点から好ましい。
また、本発明の他の一局面は、角度計測器具を用いて、所定の角度を成すように接合部で接合された、第1構造部材と第2構造部材との交点Xまでの距離を特定するための交点特定方法であって、角度計測器具は、同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた、第1構造部材の表面に当接される第1当接辺を有する第1プレート及び、第2構造部材の表面に当接される第2当接辺を有する第2プレートを備え、回転軸Fから第1当接辺またはその延長線に下した垂線と第1当接辺またはその延長線との交点を交点A、回転軸Fから第2当接辺またはその延長線に下した垂線と前記第2当接辺またはその延長線との交点を交点Bとした場合、回転軸Fから交点Aまでの線分FA及び回転軸Fから交点Bまでの線分FBは同じ長さzを有し、且つ、第1当接辺及び第2当接辺の少なくとも一方の当接辺上に予め設定された少なくとも一つの基準点Eを有し、第1プレート及び第2プレートを相対回転させて第1当接辺を第1構造部材の表面に、第2当接辺を第2構造部材の表面に当接させるように角度計測器具を配置する工程と、第1当接辺と第2当接辺との成す角度θを測定するとともに、そのときの基準点Eの位置を第1構造部材または第2構造部材の表面に罫書く工程と、角度θ及び長さzを用いて基準点Eから交点Xまでの距離を計算する工程と、を備える交点特定方法である。このような方法によれば、交点Xが溶接接合部により隠れているような場合であっても、基準点Eの位置に相当する罫書き線から交点Xの位置を容易に特定することができる。
また、本発明の他の一局面は、接合部で接合された第1構造部材と第2構造部材との成す角度を測定するための角度計測器具であって、同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた、第1構造部材の表面に当接される第1当接辺を有する第1プレート及び、第2構造部材の表面に当接される第2当接辺を有する第2プレートを備え、第1プレートと第2プレートとは、第1当接辺を第1構造部材の表面に、第2当接辺を第2構造部材の表面に当接させたときに、接合する部分との接触を避けるための空間を形成する外形を有する角度計測器具である。このような角度計測器具によれば、溶接接合部のような接合する部分を回避して2つの接合部材の成す角度を測定することができる。また、第1プレート及び第2プレートは、空間の形状を変化させるための装脱着可能な補助ブレードを備えるために、溶接接合部等の大きさに応じて、回避する空間の形状を調整できる。
本発明によれば、構造物の組立,検査,調査,実測等の作業現場において、2つの部材の成す角度が0度から180度までの範囲のような広い角度領域であっても2つの部材の隠された交点を容易に特定することができる。
図1は、第1実施形態の交点特定方法に用いられる角度計測器具10の模式図である。 図2は、第1構造部材1と第2構造部材2とを鈍角θDを挟んで接合した構造体に対して、角度計測器具10を当接させたときの状態をxy平面座標上に投影したときの説明図である。 図3は、距離EXを用いて、点Tから交点Xまでの距離TXを求めるための計算方法を説明するための説明図である。 図4は、第1構造部材1と第2構造部材2とを鋭角θEを挟んで接合した構造体に対して、角度計測器具10を当接させたときの状態をxy平面座標上に投影したときの説明図である。 図5は、2面の成す角度が鈍角である場合に、角度計測器具10で角度を測定する様子を説明する模式説明図である。 図6は、2面の成す角度が鋭角である場合に、角度計測器具10で角度を測定する様子を説明する模式説明図である。 図7は、計測作業現場における作業の順序を説明するための流れ図である。 図8は、計算式を組み込んだプログラムを説明する流れ図である。 図9は、第2実施形態の交点特定装置100の模式図である。 図10は、2面の成す角度が鋭角のときの測定例を示す。 図11は、2面の成す角度が鈍角のときの測定例を示す。 図12は、2面の成す角度が鈍角のときの他の測定例を示す。 図13は、交点特定装置100を表示部102の視認方向から見たときの模式図である。 図14は、第2実施形態の演算装置の構成を示すブロック図である。 図15は、第3実施形態の交点特定システムを構成する角度計測器具200の模式図である。 図16は、2面の成す角度が鋭角の場合の測定において、重ねられた第1プレート211及び第2プレート212を分解して平行にずらしたときの様子を示した模式図である。 図17は、2面の成す角度が鈍角の場合の測定において、重ねられた第1プレート211及び第2プレート212を分解して平行にずらしたときの様子を示した模式図である。 図18は、2面の成す角度が鋭角の場合の測定において、角度計測器具200に補助ブレード220を装着したときの状態を説明する模式説明図である。 図19は、2面の成す角度が鈍角の場合の測定において、角度計測器具200に補助ブレード220を装着したときの状態を説明する模式説明図である。 図20は、第3実施形態の交点特定システムを構成する携帯情報端末(スマートフォン)を説明する説明図である。 図21は、第4実施形態の交点特定システムを構成する角度計測器具300の模式図である。 図22は、角度計測器具300に補助ブレード320を装着ししたときの状態を説明する模式説明図である。 図23は、第5実施形態の交点特定システムを構成する角度計測器具400の模式図である。 図24は、第5実施形態の角度計測器具400の補助ブレード420を脱着したときの状態を説明する模式説明図である。 図25は、2面の成す角度が鈍角の場合において、角度計測器具400を2面に当接させて溶接接合部の寸法を測定するときの模式説明図である。 図26は、2面の成す角度が鋭角の場合において、角度計測器具400を2面に当接させて溶接接合部の寸法を測定するときの模式説明図である。 図27は、溶接接合部Sxで接合された構造部材の面Saと面Sbとの交差する付近の様子を示す説明図である。 図28(a)は、2面の成す角度が鈍角になるように接合された面Saと面Sb、図27(b)は、鋭角になるように接合された面Saと面Sbの、交差する付近の様子を示す説明図である。 図29は、溶接脚長の測定を説明する説明図である。 図30は、超音波探傷検査を説明する説明図である。
[第1実施形態]
はじめに、所定の角度を成すように接合された、第1構造部材1の面Saと第2構造部材2の面Sbとの交点Xの位置を、第1構造部材1又は第2構造部材2上の任意の点から特定するための交点特定方法の基本原理について、説明する。
図1は、第1実施形態の交点特定方法に用いられる角度計測器具10の模式図である。図1に示すように、角度計測器具10は、同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた、第1当接辺11aを有する第1プレート11と、第2当接辺12aを有する第2プレート12と、第1プレート11及び第2プレート12を挟んで回転軸Fを覆う円形プレート13とを備える。
角度計測器具10は、回転軸Fから第1当接辺11aに下した垂線と第1当接辺11aとの交点を交点A、回転軸Fから第2当接辺12aに下した垂線と第2当接辺12aとの交点を交点Bとした場合、回転軸Fから交点Aまでの線分FA及び回転軸Fから交点Bまでの線分FBは同じ長さz(mm)を有する。また、第1当接辺11a上に予め定められた基準点E,第2当接辺12a上に予め定められた基準点E,円形プレート13の円周に予め定められた基準点Eを有する。
図2は、角度θ(鈍角θD)を挟んで第1構造部材1と第2構造部材2とを接合部Sxで接合した構造体において、第1構造部材1の面Saと第2構造部材2の面Sbに対して、角度計測器具10の第1当接辺11aを面Saに、第2当接辺12aを面Sbに当接させた状態をxy平面座標上に投影したときの説明図である。なお、第1プレート11及び第2プレート12が90度を成すときに、第1当接辺11aがx軸に、第2当接辺12aがy軸に、それぞれ当接する座標(z,z)に、回転軸Fを配置する。
角度計測器具10においては、回転軸Fから交点Aまでの線分FA及び回転軸Fから交点Bまでの線分FBは同じ長さz(mm)を有する。そして、面Saと面Sbとが鈍角θDを成す場合、第2プレート12はy軸に対して、回転軸Fを中心として角度θa(=θD-90度)回転させたように配置される。
y軸と第2当接辺12aとの交点をPとし、面Saと面Sbとの交点を交点Xとし、回転軸Fからy軸に下ろした垂線との交点をaとした場合、∠OPX=∠aFB=θaになる。このとき、線分OXの長さは、
OX=OP・tanθa=(z-aP)・tanθa・・・(1)となる。
また、aF=aO=z、aP=PB・・・(2)であるために、
∠aFP=θa/2,aP=aF・tanθa/2=z・tanθa/2・・・(3)となる。
そして、(1)〜(3)から、
OX=(z-aP)・tanθa=(z−z・tanθa/2)・tanθa・・・(4)となる。
また、AX=OA−OX=z−OX
=z−(z−z・tanθa/2)・tanθa・・・(5)
となる。
基準点Eは予め設定されており、距離EAをα(mm)とすると、基準点Eから交点Xまでの距離EXは、
X=EA+AX=α+{z−(z−z・tanθa/2)・tanθa}・・・(6)
となる。
式(6)に予め定数α,zを入力しておき、測定時に測定されたθa(=θD-90度)を式(6)に代入することにより、基準点Eから交点Xまでの距離EXが算出される。
基準点Eの位置に第1構造部材1の表面に罫書き線で記しておくことにより、基準点Eから第1構造部材1上の所定位置Tまでの距離を直尺定規等を用いて実測することができる。そのために、距離EXを特定することにより、所定位置Tから交点Xまでの距離TXも求められる。図3は、距離EXを用いて、所定位置Tから交点Xまでの距離TXを求めるための計算方法を説明するための説明図である。図3(a)は、距離EXが距離TXよりも短いT=T場合、図3(b)は、距離EXが距離XTよりも長いT=Tの場合を示している。
図3(a)を参照すれば、距離EXがTXよりも短い場合には、所定位置Tから交点Xまでの距離TXは、TX=T+EXより算出される。距離Tは直尺定規等を用いて計測することができる。一方、図3(b)を参照すれば、距離EXが距離XTよりも長い場合には、所定位置Tから交点Xまでの距離TXは、TX=EX―Eより算出される。
以上のように、面Saと面Sbとが鈍角θDを成す場合、θa(=θD-90度)及びzの値のみから距離EX、さらには所定位置Tから交点Xまでの距離TXが容易に求められる。
次に、図2を参照して、溶接接合部Sのノド厚NXの算出について説明する。ノド厚NXは、NX=FX−FNにより算出できる。
そして、FXは、
FX=(FA2+AX21/2=(z2+(z−OX)21/2
=[z2+{z−(z−z・tanθa/2)・tanθa21/2・・・(7)
により求められる。
ここで、距離NEはテーパーゲージ等を用いれば実測でき、FN=NE+EFであるために、ノド厚NXは、
NX=FX−FN=FX−(NE+EF)
=[z2+{z−(z−z・tanθa/2)・tanθa21/2−(NE+EF)
から求められる。
基準点Eは円形プレート13の円周上に予め設定されており、距離EFを円形プレート13の半径であるβ(mm)とし、テーパーゲージ等で測定された距離NEをγ(mm)とした場合、
NX=[z2+{z−(z−z・tanθa/2)・tanθa21/2−(γ+β)・・・(8)
から求められる。
すなわち、式(8)に予め定数βを入力しておき、測定時に測定されたθa(=θD-90度)及びγを式(8)に代入することにより、ノド厚NXが算出される。
次に、図4を参照して、鋭角の場合の計算の一例を説明する。図4は、角度θ(鋭角θE)を挟んで第1構造部材1と第2構造部材2とを接合部Sxで接合した構造体において、第1構造部材1の面Saと第2構造部材2の面Sbに対して、角度計測器具10の第1当接辺11aを面Saに、第2当接辺12aを面Sbに当接させた状態をxy平面座標上に投影したときの説明図である。なお、第1プレート11及び第2プレート12が90度を成すときに、第1当接辺11aがx軸に、第2当接辺12aがy軸に、それぞれ当接する座標(z,z)に、回転軸Fを配置する。
角度計測器具10においては、回転軸Fから交点Aまでの線分FA及び回転軸Fから交点Bまでの線分FBは同じ長さz(mm)を有する。そして、面Saと面Sbとが鋭角θEを成す場合、第2プレート12は、y軸に対して、回転軸Fを中心として角度θb(=90度-θE)回転させたように配置される。
y軸と第2当接辺12aの延長線との交点をPとし、面Saと面Sbとの交点を交点Xとし、回転軸Fからy軸に下ろした垂線との交点をaとした場合、∠OPX=∠aFB=θbになる。このとき、線分OXの長さは、
OX=OP・tanθb=(z+ap)・tanθb・・・(11)となる。
また、aF=aO=z、aP=PB・・・(12)であるために、
∠aFP=θb/2,aP=aF・tanθb/2=z・tanθb/2・・・(13)となる。
そして、(11)〜(13)から、
OX=(z+ap)・tanθb=(z+z・tanθb/2)・tanθb・・・(14)となる。
また、AX=OA+OX=z+OX
=z+(z+z・tanθb/2)・tanθb・・・(15)
となる。
基準点Eは予め設定されており、距離EAをα(mm)とすると、基準点Eから交点Xまでの距離EXは、
X=EA+AX=α+{z+(z+z・tanθb/2)・tanθb}・・・(16)
となる。
式(16)に予め定数α,zを入力しておき、測定時に測定されたθb(=90度-θE)を式(16)に代入することにより、基準点Eから交点Xまでの距離EXが算出される。
次に、図4を参照して、溶接接合部Sのノド厚NXの算出について説明する。ノド厚NXは、NX=FX−FNにより算出できる。
そして、FXは、
FX=(FA2+AX21/2=(z2+(z+OX)21/2
=[z2+{z+(z+z・tanθb/2)・tanθb21/2・・・(17)
により求められる。
ここで、距離NEはテーパーゲージ等を用いれば実測でき、FN=NE+EFであるために、ノド厚NXは、
NX=FX−FN=FX−(NE+EF)
=[z2+{z+(z+z・tanθb/2)・tanθb21/2−(NE+EF)
から求められる。
基準点Eは円形プレート13の円周上に予め設定されており、距離EFを円形プレート13の半径β(mm)とし、テーパーゲージ等で測定された距離NEをγ(mm)とした場合、
NX=[z2+{z+(z+z・tanθb/2)・tanθb21/2−(γ+β)・・・(18)
から求められる。
すなわち、式(18)に予め定数βを入力しておき、測定時に測定されたθb(=90度-θE)及びγを式(18)に代入することにより、ノド厚NXが算出される。
以上、説明したように、角度θを挟んで接合部Sxで接合された第1構造部材1と第2構造部材2との構造体に対して、角度計測器具10の第1当接辺11aを第1構造部材1の面Sa、第2当接辺12aを第2構造部材2の面Sbに当接させて成す角θを計測し、角度θ及びzを用いることにより、角度計測器具10に予め設けられた基準点E(E,E,E)点から交点Xまでの距離や交点Xまでの距離を用いて溶接接合部Sのノド厚NXを算出することができる。
本実施形態における交点特定方法においては、交点付近の溶接接合部等との接触を避けるような外形を形成する角度計測器具を用いることが好ましい。図5は、面Saと面Sbとの成す角が鈍角である場合に、角度計測器具10で2面の成す角度θDを測定する様子を説明する模式説明図である。図5(a)は90度に近い鈍角、図5(b)は180度に近い鈍角を測定する様子を示す。
角度計測器具10は、同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた、第1当接辺11aを有する第1プレート11及び第2当接辺12aを有する第2プレート12を備える。角度θDは、角角度計測器具10の当接辺11aを面Sa、当接辺12aを面Sbに当接させて当接辺11aと当接辺12aとがなす角度として測定される。
図5(a)に示すように、面Sa,Sbの成す角度θが90度に近い鈍角θDの場合、当接辺11a及び当接辺12aを当接させたときに溶接接合部Sxを回避させるためには辺FA及び辺FBの長さz(mm)が長い方が好ましい。zが短すぎる場合には回転軸Fが溶接接合部Sxに接近して接触しやすくなる。一方、図5(b)に示すように、面Sa,Sbの成す角度が180度に近い鈍角θDの場合、zが大きくても辺FA及び辺FBが溶接接合部Sxに接近して接触しやすくなる。
一方、図6は、面Sa,Sbの成す角度が鋭角θEである場合に、角度計測器具10(10a、10b)で面Sa,Sbの成す角度を測定する様子を説明するための説明図である。角度計測器具10aは辺FA及び辺FBの長さzが短い場合(z1)、角度計測器具10bは辺FA及び辺FBの長さzが長い場合(z2)の様子を示す。
面Sa,Sbの成す角度が鋭角θEの場合、溶接接合部Sxを回避することを目的としてzを長くした場合(z2)、交点Xから当接辺11a及び当接辺12aまでの距離Lが長くなる(L2)。この場合、角度を測定する際に作業者が交点Xから離れた場所で当接辺11a及び当接辺12aを面Sa,Sbに当接させなければならないために作業性が低下する。一方、zを短くした場合(z1)、交点Xから当接辺11a及び当接辺12aまでの距離Lが短くなる(L1)。この場合、角度を測定する際に作業者が交点Xに近い部分で当接辺11a及び当接辺12aを面Sa,Sbに当接させることができるために、作業性が向上する。以上のことから、鋭角の場合には、角度計測器具10aとして示したように、zを短く(z1)することが好ましい。
以上の考察から、面Sa,Sbの成す角度が鈍角θDの場合には、90度に近い鈍角から180度に近い鈍角まで鈍角の大きさによらず、zを長くすることにより、溶接接合部Sxを回避させやすくなる。一方で、面Sa,Sbの成す角度が鋭角θEの場合にはzを短くすることにより、作業性を低下させずに溶接接合部Sxを回避して、角度を測定できる角度計測器具を用いることが好ましいことがわかる。
〈計測作業〉
以上、本実施形態の交点特定方法の基本原理について説明した。次に、上述した基本原理に基づいて、角度計測器具を用いた実際の計測作業の工程について図7を参照して説明する。
図7は、上述した交点特定方法を用いた計測作業現場における作業の順序を説明するための流れ図である。
計測作業の開始に際して、作業者は、上述したような角度計測器具10を準備する(s0)。そして、第1構造部材1の面Saに第1当接辺11a、第2構造部材2の面Sbに第2当接辺12aをそれぞれ正確に当接させる(s1)。そして、s1において、第1当接辺11a及び第2当接辺12aを正確に当接させた状態で、距離を算出したい所定位置Tを含む面Saまたは面Sbのいずれかの面に基準点E(E,E,E)に一致する位置に、罫書き針等を用いて罫書き線を引く(s2)。そして、罫書き線を基準点Eに合わせた状態で角度計測器具10を用いて、第1構造部材1の面Saと第2構造部材2の面Sbの成す角度と同じになる、第1当接辺11aと第2当接辺12aの成す角度θを特定する(s3)。
このとき、角度計測器具10の回転軸Fから第1当接辺11aに下した垂線と第1当接辺11aとの交点を交点A、回転軸Fから第2当接辺12aに下した垂線と第2当接辺12aとの交点を交点Bとした場合、回転軸Fから交点Aまでの線分FA及び回転軸Fから交点Bまでの線分FBは同じ長さzを有する。すなわち、zは、角度計測器具10の形状から特定される定数であり、基準点Eから交点Aまでの距離EAも定数である。従って、例えば、鈍角の場合には、上述した式(6)、鋭角の場合には上述した式(16)に角度θを代入して計算を実行することにより、基準点Eから交点Xまでの距離EXが算出される(s4)。
さらに、他の構造部材を接続したり、加工したりするための所定位置Tから基準点Eまでの距離TEは直尺定規等を用いることにより、簡単に実測することができる(s5)。そのために、基準点Eから交点Xまでの距離EXに基づいて、交線Xから所定位置Tまでの距離TXは、TX=XE+ETの式により容易に計算することができる。
なお、作業現場においては、計算式を組み込んだプログラムのソフトウェアがインストールされた端末機器等を用いた場合、定数として、角度計測器具10の形状に応じて、長さz、基準点Eから交点Aまでの距離EAを予め設定しておくことにより、測定された角度θ、所定位置Tから基準点Eまでの距離TE等を入力するだけで、基準点Eから交点Xまでの距離EXや所定位置Tから交点Xまでの距離TX等を容易に特定することができる。その結果、作業現場で迅速に、距離EXや距離TXを特定することができる。
〈計算の一例〉
上述した基本原理で説明した計算式によれば、面Sa,Sbの成す角度が鈍角θDの場合と鋭角θEの場合とで計算式が異なる。なお、直角の場合には、鋭角θEの場合と同様の式で計算することができる。以下、上述したような計算式を用いて、具体的な例に沿って、計算を説明する。
はじめに、面Sa,Sbの成す角度が鈍角θD(=90度+θa)の場合について例示する。
図2を参照して、基準点Eから交点Xまでの距離EXを求める場合、面Sa,Sbの成す角度が鈍角θDであるために、EA=αとして、
X=α+{z−(z−z・tanθa/2)・tanθa}・・・(6)を用いる。式(6)に、以下のような与えられた数値を代入して計算を実行することにより、EXが算出される。
一例として、z=50(mm)、θD=120度(θa=30度)、α=165(mm)とした場合、tanθa/2=0.268であるために、
式(6)から、
X=α+{z−(z−z・tanθa/2)・tanθa}
≒165+{50−21.13}≒193.87mmになる。
このようにして、罫書き線の位置である基準点Eから交点Xまでの距離が193.87mmであることが特定される。
また、ノド厚NXはNX=FX−FNにより算出できる。そして、FXは、FX=[z2+{z−(z−z・tanθa/2)・tanθa21/2・・・(7)
により求められる。
基準点Eは予め設定されており、距離EFをβ=3(mm)とし、テーパーゲージで測定された距離NEをγ=25(mm)とした場合、
FN=NE+EFであるために、ノド厚NXは、
NX=FX-FN
=[z2+{z−(z−z・tanθa/2)・tanθa21/2−(γ+β)・・・(8)
から求められ、
NX=[2500+{50−21.13}21/2−(25+3)
=57.74−(25+3)≒29.7mmとなる。
このようにして、ノド厚NXが29.7mmであることが特定される。
次に、面Sa,Sbの成す角度が鋭角θE(=90度-θb)の場合について例示する。
図4を参照して、基準点Eから交点Xまでの距離EXを求める場合、面Sa,Sbの成す角度が鋭角θEであるために、EA=αとして、
X=α+{z+(z+z・tanθb/2)・tanθb}・・・(16)を用いる。式(16)に、以下のような与えられた数値を代入して計算を実行することにより、EXが算出される。
一例として、z=20(mm)、θE=30度(θb=60度)、α=165(mm)とした場合、tanθb/2=0.577であるために、
式(16)から、
X=α+{z+(z+z・tanθb/2)・tanθb}
≒165+{20+(54.64)}=239.64mmになる。
このようにして、罫書き線の位置である基準点Eから交点Xまでの距離が239.64mmであることが特定される。
また、ノド厚NXはNX=FX−FNにより算出できる。そして、FXは、FX=[z2+{z+(z+z・tanθb/2)・tanθb21/2・・・(17)
により求められる。
基準点Eは予め設定されており、距離EFをβ=3(mm)とし、テーパーゲージで測定された距離NEをγ=50(mm)とした場合、
FN=NE+EFであるために、ノド厚NXは、
NX=FX−FN
=[z2+{z+(z+z・tanθb/2)・tanθb21/2−(γ+β)・・・(18)
から求められ、
NX=[400+{20+(54.64)}21/2−(50+3)≒24.3mmとなる。
このようにして、ノド厚NXが24.3mmであることが特定される。
上述したような計算は、測定された角度θを用いて、基準点Eから交点Xまでの距離の演算を実行する計算式をプログラムしたソフトウエアがインストールされた端末機器等を用いて実行されることが好ましい。このようなプログラムの実行のフローを図8を参照して説明する。
図8に示すように、プログラムの実行開始(s10)に際して、基準点Eから交点Xまでの距離の演算を実行するプログラムには、定数であるz,α、β等を設定値として予め記憶させる(s11)。
そして、角度計測器具10によりθが測定されたとき、測定された角度θがプログラムに入力される(s12)。プログラムは入力された角度θが鈍角θDであるか否かを判定する(s13)。
角度θが鈍角θDである場合(YES)、プログラムは鈍角の場合の式(6)に角度θを代入し、基準点Eから交点Xまでの距離EXを計算する(s14)。一方、入力された角度θが鈍角θDでない場合(NO、鋭角θE又は直角)、プログラムは式(16)に角度θを代入し、計算する(s15)。そして、プログラムは、演算結果を出力する(s16)。
以上、本発明に係る交点距離を特定するための交点特定システムの基本原理を説明した。以下に、さらに具体的な実施形態を説明する。
[第2実施形態]
第2実施形態の交点特定装置(システム)100について図9を参照して説明する。
図9は、交点特定装置100を模式的に示した六面図である。図9中、(a)は正面図,(b)は背面図,(c)は左側面図,(d)は右側面図,(e)は上面図,(f)は底面図である。交点特定装置100は、第1プレート本体111a,第2プレート本体112a,第1補助ブレード111b、第2補助ブレード112b、及び回転軸Fに沿って配置された第1プレート本体111a及び第2プレート本体112aを挟持するグリップ部材101(101a,101b)、グリップ部材101に内蔵された所定のプログラムをインストールした図略の演算装置、及び演算装置による演算結果を表示する表示部102を備える。また、グリップ部材101a及び101bは、互いに相対回転することにより角度を測定する電子分度器機能を有する。
図9の交点特定装置100においては、第1プレート本体111aに第1補助ブレード111bが装着されて第1プレート111を形成している。同様に、第2プレート本体112aに第2補助ブレード112bが装着されて第2プレート112を形成している。第1補助ブレード111b,第2補助ブレード112bは、それぞれ第1プレート本体111a及び第2プレート本体112aに装脱着可能に嵌合部材105で固定されている。第1補助ブレード111b,第2補助ブレード112bが装着されたときには、装着状態でそれぞれ、第1プレート111または第2プレート112となる。また、第1補助ブレード111b,第2補助ブレード112bが脱着されたときには、第1プレート本体111aのみまたは第2プレート本体のみ112aがそれぞれ第1プレート111または第2プレート112となる。第1プレート111、第2プレート112には、予め定められた位置に、基準点E(E11、E12、E13、E14)が設けられている。また、第1プレート本体111a,第2プレート本体112a,第1補助ブレード111b,第2補助ブレード112bには、それぞれ目盛Mが付されている。目盛Mは、XE11距離やXE12距離から目盛で読まれた長さを加減することにより、所定位置Tから交点Xまでの距離TX距離を計算することを補助する。
第1補助ブレード111b,第2補助ブレード112bは、2面の成す角度や、接合溶着部の障害を回避することを考慮して、必要に応じて所定の位置に固定されて装着される。第1補助ブレード111bは第1プレート本体111aに、第2補助ブレード112bは第2プレート112a本体に高さを付与してzを長くする。
図10は、2面の成す角度が鋭角のときの測定姿勢の例を示す。2面の成す角度が鋭角の場合、第1プレート111(111a)及び第2プレート112(112a)を接合部により近づけるために、zが小さいことが好ましい。zを小さくするためには、第1補助ブレード111b,第2補助ブレード112bを脱着した状態で用いることが好ましい。このとき、第1プレート本体111a及び第2プレート本体112bの回転軸Fから第1当接辺111cまでの距離になる長さzを、例えば、z=20mmとする。
一方、図11は、2面の成す角度が鈍角のときの測定姿勢の例を示す。2面の成す角度が鈍角のときには、第1プレート111及び第2プレート112を溶接接合部に接触させないようにするために、zが大きいことが好ましい。zを大きくするために、第1補助ブレード111b,第2補助ブレード112bを装着してzを大きくすることが好ましい。このとき、第1プレート111及び第2プレート112の回転軸Fから第1当接辺111dまでの距離になる長さzは、例えば、z=50mmになる。
さらに、図12は、2面の成す角度が鈍角のときの他の測定姿勢の例を示す。図11を参照して説明したように、2面の成す角度が鈍角のときには、第1プレート111及び第2プレート112を溶接接合部Sxに接触させないように、第1補助ブレード111b,第2補助ブレード112bを装着した状態で用いることが好ましい。しかしながら、溶接接合部Sxが大きすぎる場合には、第1補助ブレード111b,第2補助ブレード112bに溶接接合部Sxが接触することがある。このような場合、図12に示すように、第1補助ブレード111b,第2補助ブレード112bを図11の例に対して反転させて回転軸Fに重ならないように装着することにより、さらに、溶接接合部Sxを回避できるような大きな空間を回転軸の周囲に形成することができる。
図13は、交点特定装置100を表示部102の視認方向から見たときの模式図である。図13(a)に示すように、表示部102には、計測された角度θが表示されている。また、表示部102の表示内容は、ボタン108a〜108cの押操作により、角度θ、XE距離、設定条件等を目的に応じて変更される。図13(b)では、XE11距離及びXE12距離を表示している例を示す。
図14は、交点特定装置100の演算装置120の構成を示すブロック図である。演算装置120は、グリップ部材101(101a,101b)を互いに相対回転させることにより電子分度器により測定された角度θを取り込んで、さらにその他の定数を用いて計算を行うための計算処理プログラムをインストールされたメモリ(ROM)と、演算処理を行うCPU等のプロセッサと、計算結果等を記憶するメモリ(RAM)とを備える。プロセッサは与えられた代数に従って所定の計算を実行する。そして、RAMに計算結果を記憶させる。そして、RAMに記憶された計算結果は、必要に応じてグリップ部材101aに内蔵された表示部102に表示される。
[第3実施形態]
第3実施形態の交点特定システムについて説明する。第3実施形態の交点特定システムでは、角度測定のみを目的とするプロトラクターとしても使用できる図15に示すような角度計測器具200を用いる。第3実施形態の交点特定システムは、このような角度計測器具200と、演算手段として、図20に示すような所定の計算プログラムがインストールされた携帯情報端末機器250とを組み合わせて構成される。
図15は、角度計測器具200を模式的に示した六面図である。図15中、(a)は正面図,(b)は背面図,(c)は左側面図,(d)は右側面図,(e)は上面図,(f)は底面図である。また、(g)は、補助ブレード220の正面図、(h)は、補助ブレード220の背面図である。
角度計測器具200は、第1プレート本体211、第2プレート本体212、及び回転軸Fに沿って配置された第1プレート本体211及び第2プレート本体212を固定してキャップするエンドキャップ201を備える。第2プレート本体212は分度盤202を備え、第1プレート本体211は、分度盤202の目盛を視認させる測定窓203を備える。また、第1プレート本体211には、基準点E(E21〜E26)が設けられている。
図16及び図17は、重ねられた第1プレート本体211及び第2プレート本体212を分解した様子を示した模式図である。図16は、2面の成す角度が鋭角の場合の測定において、重ねられた第1プレート211及び第2プレート212を分解して平行にずらしたときの様子を示した模式図である。図17は、2面の成す角度が鈍角の場合の測定において、重ねられた第1プレート211及び第2プレート212を分解して平行にずらしたときの様子を示した模式図である。図16及び図17中の(a)は、第1プレート本体211、(b)は第2プレート本体212、(c)は分度盤202の拡大図である。
図16を参照すれば、第1プレート本体211は鋭角当接辺211a及び鈍角当接辺211bを有し、第2プレート本体212は鋭角当接辺212a及び鈍角当接辺212bを有する。また、角度計測器具200においては、回転軸Fから鋭角当接辺211aまたは鋭角当接辺212aまでの距離であるz1が55mmであり、鈍角当接辺211bの延長線または鈍角当接辺212bの延長線までの距離であるz2が70mmになるように、鈍角当接辺211b及び鈍角当接辺212bは、それぞれ、15度のテーパーを形成するようなテーパー部211d、212dを形成している。
2面の成す角度が鋭角のときには、zができるだけ小さいほうが好ましい。そのために、図16に示すように、回転軸Fから鋭角当接辺211aまでの距離、及び回転軸Fから鋭角当接辺212aまでのそれぞれの距離z1が小さく(55mm)なるように、第1プレート本体211の鋭角当接辺211a及び第2プレート本体212の鋭角当接辺212aを2面に当接させて角度を測定する。一方、2面の成す角度が鈍角のときには、zができるだけ大きいほうが好ましい。そのために、図17に示すように、回転軸Fから鈍角当接辺211bの延長線までの距離、及び回転軸Fから鈍角当接辺212bの延長線までのそれぞれの距離z2が大きく(70mm)なるように、鈍角当接辺211b及び鈍角当接辺212bを2面に対して当接させて角度を測定する。
鋭角当接辺211a及び鋭角当接辺212aを2面に対して当接させて角度を測定した場合、鋭角当接辺211aと鋭角当接辺212aとの成す角度θが第1プレート211の測定窓203の中心に分度盤202により示される。具体的には、例えば、測定窓203の中心に、図16(c)の外側の分度目盛202aにより0度が指されている場合には鋭角当接辺211aと鋭角当接辺212aとの成す角度θが0度であり、90度が指されている場合には鋭角当接辺211aと鋭角当接辺212aとの成す角度θが90度である。
一方、鈍角当接辺211b及び鈍角当接辺212bを取り付け角が鈍角で接合された構造体の2面に対して当接させて角度を測定した場合、鈍角当接辺211bと鈍角当接辺212bとの成す角度θが第1プレート211の測定窓203の中心に分度盤202により示される。具体的には、例えば、測定窓203の中心に、図17(c)の内側の分度目盛202bにより0度が指されている場合には鈍角当接辺211bと鈍角当接辺212bとの成す角度θが0度であり、180度が指されている場合には鈍角当接辺211bと鈍角当接辺212bとの成す角度θが180度である。
図17(c)及び図18(c)に示すように、分度目盛202は、上述したような外側の分度目盛202a及び内側の分度目盛202bを有する。外側の分度目盛202aは360度の目盛であり、内側の分度目盛202bは180度の目盛である。分度目盛202aと分度目盛202bは30度の差を有する。例えば、内側の分度目盛202bが150度のとき、外側の分度目盛202aは180度である。そして、鋭角当接辺211aと鋭角当接辺212aとを2面に対して当接させたときには外側の分度目盛202aで角度を読み取り、鈍角当接辺211bと鈍角当接辺212bとを2面に対して当接させたときには内側の分度目盛202bで角度を読み取る。鈍角当接辺211b及び鈍角当接辺212bにおいては、それぞれ、15度のテーパーを形成するようにテーパー部を形成しているために、鋭角当接辺211aと鋭角当接辺212aとの角度よりも合計で30度の差が出るように設定する。そのために、外側の分度目盛202a及び内側の分度目盛202bの2つの目盛系を設けて、鋭角当接辺211aと鋭角当接辺212aとを用いて測定したときには外側の分度目盛202aで、鈍角当接辺211bと鈍角当接辺212bとを用いて測定したときには内側の分度目盛202bで目盛を読み取ることにより、誤読を防止できる。すなわち、作業者は目盛を読んで暗算で角度を算出することがあるが、このように30度のような大きな目盛の差が出るように設置することにより、読み間違いに気付かせることができる。
図18及び図19は、第1プレート本体211及び第2プレート本体212のそれぞれに補助ブレード220(220a,220b)を装着して角度θを測定するときの模式説明図である。360度の目盛を有する分度盤202を備える角度計測器具200の場合、zを小さくすることが困難である。また、測定精度を高めるために当接面を充分に確保することが好ましい。このような場合においては、着位置を調整して補助ブレード220(220a,220b)を装着することにより、溶接接合部を回避するような空間を充分に確保しながら、当接面を充分に確保することができる。補助ブレード220には、目盛Mが付されている。目盛Mは、目盛で読まれた長さを加減することにより、距離EX(E21X)から目的とする所定位置Tから交点Xまでの距離TX距離を計算すること等を補助する。
図18は2面の成す角度が鋭角のときの測定時の角度計測器具200の姿勢を示す。図18(c)に示すように、第1プレート本体211及び第2プレート本体212には、補助ブレード220を取り付けて取付ボルト205等により固定できるような溝が形成されている。そして、図18に示すように、第1プレート本体211の鋭角当接辺211aに補助ブレード220a、第2プレート本体212の鋭角当接辺212aに補助ブレード220bをそれぞれ装着することにより、2面の交点Xに出来るだけ近い位置の基準点E21を基準として卦書き線を引くことができる。また、当接面も増やすことができる。その結果、測定の作業性及び精度が向上する。なお、本実施形態においては、第1プレート本体211及び第2プレート本体212に補助ブレード220を装着することにより、z=55mmに補助ブレード220の高さ分5mmが加えられて、zは60mmになる。
一方、図19は2面の成す角度が鈍角のときの角度計測器具200の測定時の姿勢を示す。図19に示すように、第1プレート本体211の鈍角当接辺211bに補助ブレード220a、第2プレート本体212の鈍角当接辺212bに補助ブレード220bをそれぞれ装着することにより、2面の交点Xに出来るだけ近い位置の基準点E21を基準として卦書き線を引くことができる。また、当接面を増やすことができる。その結果、測定の作業性及び精度が向上する。なお、本実施形態においては、z=70mmに補助ブレード220の高さ5mmが加えられるために、zは75mmになる。
本実施形態の交点特定システムにおいては、プログラムをインストールした演算手段として、図20に示すようなスマートフォンやタブレット型情報端末のような汎用の携帯情報端末機器250を用いる。携帯情報端末機器250には、上述のような計算を実行するための専用プログラムのソフトウェアがインストールされているか、市販の表計算プログラムのソフトウェアがインストールされている。そして、測定された角度θをタッチパネル等からキー入力することにより、予め規定された定数z、α、β等を用いて、基準点Eから交点Xまでの距離等を計算し、表示部251に表示する。
[第4実施形態]
第4実施形態の交点特定システムは、図21に示すような角度計測器具300と、演算手段として、所定の計算プログラムがインストールされた携帯情報端末機器とを組み合わせて構成される。携帯情報端末機器は第3実施形態で説明したものと同様のものを用いるために、本実施形態では説明を省略する。
図21は、角度計測器具300を模式的に示した六面図及び補助ブレード320の模式図である。図21中、(a)は角度計測器具300の正面図,(b)は背面図,(c)は左側面図,(d)は右側面図,(e)は上面図,(f)は底面図である。また、(g)は、補助ブレード320の正面図、(h)は、補助ブレード320の背面図である。
角度計測器具300は、第1プレート本体311、第2プレート本体312、及び回転軸Fに沿って配置された第1プレート本体311及び第2プレート本体312を固定する固定部品313を備える。第1プレート本体311及び第2プレート本体312にはそれぞれレール311a,312aが形成されている。図22に示すように、第1プレート本体311及び第2プレート本体312には、補助ブレード320がレール311a,312aに補助ブレード320の溝320aを嵌合させるようにして装着される。
角度計測器具300は、角度計測に用いられるいわゆるベベルを改良したものである。角度計測器具300には、直接角度を読み取る分度器や分度盤等は設けられていない。そのため、比較的安価に製造することができる。第1プレート本体311と第1プレート本体311との成す角度を固定した後、別に用意した分度器やプロトラクターを用いて角度を特定する。第1プレート本体311、第2プレート本体312、補助ブレード320(320a、320b)には、少なくとも一つ以上の基準位置E(E21,E22)が設定されている。また、回転軸Fから交点Aまでの線分FA及び回転軸Fから交点Bまでの線分FBは同じ長さz(mm)を有する。
[第5実施形態]
第5実施形態の交点特定システムについて説明する。第5実施形態の交点特定システムは、図23に示すような角度計測器具400と、演算手段として、所定の計算プログラムがインストールされた携帯情報端末機器とを組み合わせて構成される。演算手段は第3実施形態で説明したものと同様のものを用いるために、本実施形態では説明を省略する。
第5実施形態の角度計測器具400は溶接脚長及びノド厚を測定するための専用器具である。図23は、角度計測器具400を模式的に示した六面図である。図23中、(a)は正面図,(b)は背面図,(c)は左側面図,(d)は右側面図,(e)は上面図,(f)は底面図である。
角度計測器具400は、第1プレート本体411、第2プレート本体412、及び回転軸Fに沿って配置された第1プレート本体411及び第2プレート本体412を固定する固定部品403を備える。図24に示すように、第1プレート本体411及び第2プレート本体412には、補助ブレード420(420a、420b)が装脱着される。補助ブレード420を脱着することにより、第1当接辺411aを第1構造部材1の面Saに、第2当接辺412aを第2構造部材2の面Sbに当接させたときに、接合部Sxとの接触を避けるための空間を大きく形成することができる。
角度計測器具400には、直接角度を読み取る分度器や分度盤等は設けられていない。そのために、第1プレート本体411と第2プレート本体412との成す角度を固定した後、別に用意した分度器やプロトラクターを用いて角度を特定する。
角度計測器具400を用いることにより、溶接接合された第1構造部材1の面Saと第2構造部材2の面Sbとの溶接接合部Sで隠された交点Xを特定することができる。また、その交点を基準として、溶接脚長及びノド厚を容易に特定することができる。以下に、溶接脚長及びノド厚を特定する方法について詳しく説明する。
図25は、2面の成す角度が鈍角になるように溶接接合された第1構造部材1の面Saと第2構造部材2の面Sbとの溶接接合部Sで隠された交点Xを特定するために、角度計測器具400を用いる方法を説明するための説明図である。図25(a)は、角度計測器具400の第1当接辺411aを面Saに、第2当接辺412aを面Sbに当接させたときの様子を示し、図25(b)は、角度計測器具400を直線状にして、直尺として用いる方法を説明するための説明図である。鈍角の場合、溶接接合部Sxと角度計測器具400との接触を避けるために補助ブレード420を脱着して用いる。
図23(a)に示すように、角度計測器具400の第1プレート本体411及び第2プレート本体412の回転軸Fから第1当接辺411aの延長線までの距離、及び第2当接辺412aの延長線までの距離になる長さは何れも同じzである。
角度計測器具400を用いて角度θDを測定するために、角度計測器具400の第1当接辺411aを面Saに、第2当接辺412aを面Sbに当接させて、角度計測器具400の基準点E31、E32の位置を面Sa,面Sbにそれぞれの罫書き線を罫書く。そして、そのときの角度θを別に用意した分度器やプロトラクターを用いて計測する。
そして、得られた角度θDを用いて、基準点E31、E32の位置から交点Xまでの距離を特定する。計算方法は第1実施形態で説明した方法と同様である。
図25(a)に示すように、例えば、XE31及びXE32がいずれも15.77mmであった場合、図25(b)に示すように、基準点E31から溶接ビード端T32までの距離を実測し(例えば、9.77mm)、算出されたXE31の距離15.77mmから実測された9.77mmを減ずることにより、交点Xから溶接ビード端T32までの長さが6mmであることが特定される。このとき、図25(b)に示すように、角度計測器具400は、第1プレート本体411及び第2プレート本体112を一直線になるように広げることにより、直尺定規としても用いることができる。このような角度計測器具400を直尺定規として用いることにより、直尺定規を別に用意する手間が省略できる。
また、ノド厚は次のように特定される。図25(a)に示すように、角度計測器具400を2面に当接させた状態で、第1プレート本体411の端部411cと溶接ビードの頂点までの距離をスキマゲージ、テーパーゲージ、直尺等を用いて実測する。ノド厚計算値からこの実測値を減算することによりノド厚を特定できる。
また、図26は、2面の成す角度が鋭角になるように溶接接合された第1構造部材1の面Saと第2構造部材2の面Sbとの溶接接合部Sxで隠された交点Xを特定するために、角度計測器具400を用いる方法を説明するための説明図である。図26(a)は、角度計測器具400の第1当接辺411aを面Saに、第2当接辺412aを面Sbに当接させたときの様子を示し、図26(b)は、角度計測器具400を直線状にして、直尺として用いる方法を説明するための説明図である。測定方法は鈍角の場合と同様であるが、鋭角の場合には、当接面を充分に確保するために補助ブレード420a,420bを装着して測定している。
本発明によれば、土木・建築・構造物の新設工事や既設構造物に対する検査や改造のための施工において、基準となる位置になる接合された2つの構造物の交点を作業現場で容易に求めることができる。
1 第1構造部材
2 第2構造部材
10,200,300,400 角度計測器具
11,211,311,411 第1プレート
11a,211a,311a,411a 第1当接辺
12,212,312,412 第2プレート
12a,212a,312a,412a 第2当接辺
220,320,420 補助ブレード
202 分度盤
101 グリップ部材
120 演算手段
102 表示部
250 スマートフォン(携帯情報端末機器)
A 回転軸Fから第1当接辺に下した垂線と第1当接辺との交点
B 回転軸Fから第2当接辺に下した垂線と第2当接辺との交点
D 空間
E(E1,11,21,2,12,22) 基準点
F 回転軸
x (溶接)接合部
第1構造部材1の面
b 第2構造部材2の面
X 第1構造部材と第2構造部材との交点

Claims (13)

  1. 所定の角度を成すように接合された、第1構造部材と第2構造部材との交点Xまでの距離を前記第1構造部材または前記第2構造部材上の所定位置から特定するための交点特定システムであって、
    角度計測器具と、プログラムをインストールした演算手段と、を備え、
    前記角度計測器具は、
    同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた第1プレート及び第2プレートを備え、
    前記第1プレートは前記第1構造部材の表面に当接される第1当接辺を、前記第2プレートは前記第2構造部材の表面に当接される第2当接辺を有し、
    前記回転軸Fから前記第1当接辺またはその延長線に下した垂線と前記第1当接辺またはその延長線との交点を交点A、前記回転軸Fから前記第2当接辺またはその延長線に下した垂線と前記第2当接辺またはその延長線との交点を交点Bとした場合、前記回転軸Fから前記交点Aまでの線分FA及び前記回転軸Fから前記交点Bまでの線分FBはそれぞれ同じ長さzを有し、
    前記第1当接辺及び前記第2当接辺の少なくとも一方の当接辺上に予め設定された少なくとも一つの基準点Eを有し、
    前記第1構造部材の表面に前記第1当接辺を前記第2構造部材の表面に前記第2当接辺をそれぞれ当接させたときに前記第1当接辺と前記第2当接辺との成す角度θを特定するための器具であり、
    前記演算手段は、前記長さz及び与えられた前記角度θに基づいて、前記基準点Eから前記交点Xまでの距離の計算を実行することを特徴とする交点特定システム。
  2. 前記第1プレートと前記第2プレートとは、
    前記第1当接辺を前記第1構造部材の表面に、前記第2当接辺を前記第2構造部材の表面に当接させたときに、前記接合する部分との接触を避けるための空間を形成する外形を有する請求項1に記載の交点特定システム。
  3. 前記第1プレート及び前記第2プレートは、前記空間の形状を変化させるための装脱着可能な補助ブレードを備える請求項2に記載の交点特定システム。
  4. 前記第1プレート及び前記第2プレートは、各プレート上の任意の点から前記基準点Eまでの距離を特定するための目盛を有する請求項1〜3の何れか1項に記載の交点特定システム。
  5. 前記第1プレート又は前記第2プレートが、前記回転軸Fを中心とする分度盤を備える請求項1〜4の何れか1項に記載の交点特定システム。
  6. 前記角度計測器具は、前記回転軸Fに沿って前記第1プレート及び前記第2プレートを挟持するグリップ部材を備え、
    前記グリップ部材は、前記第1プレート及び前記第2プレートを相対回転させることにより前記角度θを測定する電子分度器、前記演算手段、及び前記演算手段による演算結果を表示する表示部を内蔵し、
    前記演算手段は、前記電子分度器により測定された前記角度θを取り込んで前記計算を実行する請求項1〜5の何れか1項に記載の交点特定システム。
  7. 前記演算手段として、前記プログラムがインストールされた携帯情報端末機器を用いる請求項1〜5の何れか1項に記載の交点特定システム。
  8. 所定の角度を成すように接合された、第1構造部材と第2構造部材との交点Xまでの距離を前記第1構造部材または前記第2構造部材上の所定位置から特定するための交点特定システムであって、
    角度計測器具と、プログラムをインストールした演算手段と、を備え、
    前記角度計測器具は、
    同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた第1プレート及び第2プレートを備え、
    前記第1プレートは前記第1構造部材の表面に当接される第1当接辺を、前記第2プレートは前記第2構造部材の表面に当接される第2当接辺を有し、
    前記回転軸Fから前記第1当接辺またはその延長線に下した垂線と前記第1当接辺またはその延長線との交点を交点A、前記回転軸Fから前記第2当接辺またはその延長線に下した垂線と前記第2当接辺またはその延長線との交点を交点Bとした場合、前記回転軸Fから交点Aまでの線分FA及び前記回転軸Fから交点Bまでの線分FBはそれぞれ同じ長さzを有し、
    前記回転軸Fを中心とする所定の半径を有する予め設定された円の円周と、前記回転軸Fと前記交点Xとを結ぶ線分との交点を基準点Eとし、
    前記第1構造部材の表面に前記第1当接辺を前記第2構造部材の表面に第2当接辺をそれぞれ当接させたときに前記第1当接辺と前記第2当接辺との成す角度θを特定するための器具であり、
    前記演算手段は、前記長さz及び与えられた前記角度θに基づいて、前記基準点Eから前記交点Xまでの距離の計算を実行することを特徴とする交点特定システム。
  9. 前記第1プレートと前記第2プレートとは、
    前記第1当接辺を前記第1構造部材の表面に、前記第2当接辺を前記第2構造部材の表面に当接させたときに、前記接合する部分との接触を避けるための空間を形成する外形を有する請求項8に記載の交点特定システム。
  10. 前記第1プレート及び前記第2プレートは、前記空間の形状を変化させるための装脱着可能な補助ブレードを備える請求項9に記載の交点特定システム。
  11. 角度計測器具を用いて、所定の角度を成すように接合された、第1構造部材と第2構造部材との交点Xまでの距離を前記第1構造部材または前記第2構造部材上の所定位置から特定するための交点特定方法であって、
    前記角度計測器具は、
    同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた、前記第1構造部材の表面に当接される第1当接辺を有する第1プレート及び、前記第2構造部材の表面に当接される第2当接辺を有する第2プレートを備え、前記回転軸Fから前記第1当接辺またはその延長線に下した垂線と前記第1当接辺またはその延長線との交点を交点A、前記回転軸Fから前記第2当接辺またはその延長線に下した垂線と前記第2当接辺またはその延長線との交点を交点Bとした場合、前記回転軸Fから前記交点Aまでの線分FA及び前記回転軸Fから前記交点Bまでの線分FBは同じ長さzを有し、且つ、前記第1当接辺及び前記第2当接辺の少なくとも一方の当接辺上に予め設定された少なくとも一つの基準点Eを有し、
    前記第1プレート及び前記第2プレートを相対回転させて前記第1当接辺を前記第1構造部材の表面に、前記第2当接辺を前記第2構造部材の表面に当接させるように前記角度計測器具を配置する工程と、
    前記第1当接辺と前記第2当接辺との成す角度θを測定するとともに、そのときの前記基準点Eの位置を前記第1構造部材または前記第2構造部材の表面に罫書く工程と、
    前記角度θ及び前記長さzを用いて前記基準点Eから前記交点Xまでの距離を計算する工程と、
    を備えることを特徴とする交点特定方法。
  12. 角度計測器具を用いて、所定の角度を成すように接合された、第1構造部材と第2構造部材との交点Xまでの距離を前記第1構造部材または前記第2構造部材上の所定位置から特定するための交点特定方法であって、
    前記角度計測器具は、
    同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた、前記第1構造部材の表面に当接される第1当接辺を有する第1プレート及び、前記第2構造部材の表面に当接される第2当接辺を有する第2プレートを備え、前記回転軸Fから前記第1当接辺またはその延長線に下した垂線と前記第1当接辺またはその延長線との交点を交点A、前記回転軸Fから前記第2当接辺またはその延長線に下した垂線と前記第2当接辺またはその延長線との交点を交点Bとした場合、前記回転軸Fから前記交点Aまでの線分FA及び前記回転軸Fから前記交点Bまでの線分FBは同じ長さzを有し、且つ、前記回転軸Fを中心とする所定の半径を有する予め設定された円の円周と、前記回転軸Fと前記交点Xとを結ぶ線分との交点を基準点Eとし、
    前記第1プレート及び前記第2プレートを相対回転させて前記第1当接辺を前記第1構造部材の表面に、前記第2当接辺を前記第2構造部材の表面に当接させるように前記角度計測器具を配置する工程と、
    前記第1当接辺と前記第2当接辺との成す角度θを測定するとともに、そのときの前記基準点Eの位置を前記第1構造部材または前記第2構造部材の表面に罫書く工程と、
    前記角度θ及び前記長さzを用いて前記基準点Eから前記交点Xまでの距離を計算する工程と、
    を備えることを特徴とする交点特定方法。
  13. 接合された第1構造部材と第2構造部材との成す角度を測定するための角度計測器具であって、
    同一の回転軸Fで相対回転可能に重ねられた、前記第1構造部材の表面に当接される第1当接辺を有する第1プレート及び、前記第2構造部材の表面に当接される第2当接辺を有する第2プレートを備え、
    前記第1プレートと前記第2プレートとは、
    前記第1当接辺を前記第1構造部材の表面に、前記第2当接辺を前記第2構造部材の表面に当接させたときに、前記接合する部分との接触を避けるための空間を形成する外形を有し、
    前記第1プレート及び前記第2プレートは、前記空間の形状を変化させるための装脱着可能な補助ブレードを備えることを特徴とする角度計測器具。
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